特許第6013042号(P6013042)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6013042画像処理プログラム、記録媒体、画像処理装置、及び画像処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013042
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】画像処理プログラム、記録媒体、画像処理装置、及び画像処理方法
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/161 20060101AFI20161011BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20161011BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   G01T1/161 C
   G06T1/00 290A
   A61B6/03 301
【請求項の数】11
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2012-144230(P2012-144230)
(22)【出願日】2012年6月27日
(65)【公開番号】特開2014-9945(P2014-9945A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2015年4月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000149837
【氏名又は名称】富士フイルムRIファーマ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】512165329
【氏名又は名称】イクシニ ダイアグノスティックス エイ ビー
【氏名又は名称原語表記】EXINI Diagnostics AB
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】特許業務法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊池 明泰
(72)【発明者】
【氏名】河上 一公
【審査官】 遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−136779(JP,A)
【文献】 特表2007−524940(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/062135(WO,A1)
【文献】 特開2009−085652(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/161
A61B 6/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の体内の放射性薬剤の分布状態を撮像した画像を記憶するコンピュータのための画像処理プログラムであって、
前記画像内の画素値に基づいて評価値を計算する計算ステップと、
前記評価値が特定範囲外であるか否かを判定する判定ステップと、
前記評価値が前記特定範囲外である場合、前記画像内の画素値を前記評価値に基づいて変更することで得られる修正画像を格納し、前記評価値が前記特定範囲内である場合、前記画像を前記修正画像として格納する変更ステップと、
前記修正画像内の解剖学的部位を識別するセグメンテーションステップと、
をコンピュータに実行させる画像処理プログラム。
【請求項2】
前記変更ステップは、前記評価値が前記特定範囲外である場合、前記変更された画像の評価値が前記特定範囲内の特定値になるように前記画像の画素値を変更する、
請求項1に記載の画像処理プログラム。
【請求項3】
前記特定範囲及び前記特定値は、複数の画像に基づいて夫々計算された複数の評価値に基づいて決定される、
請求項2に記載の画像処理プログラム。
【請求項4】
前記計算ステップは、前記画像内の画素値の総和に基づいて前記評価値を計算する、
請求項1〜3のいずれかに記載の画像処理プログラム。
【請求項5】
前記計算ステップは、前記画像内の特定の領域の画素値の総和に基づいて前記評価値を計算する、
請求項1〜3のいずれかに記載の画像処理プログラム。
【請求項6】
前記画像は、骨シンチグラムであり、前記被験者の前面像及び後面像を含む、
請求項1〜5のいずれかに記載の画像処理プログラム。
【請求項7】
前記計算ステップは、前記前面像内の画素値と前記後面像内の画素値とに基づいて前記評価値を計算し、
前記変更ステップは、前記評価値が前記特定範囲外である場合、前記前面像内の画素値と前記後面像内の画素値とを前記評価値に基づいて変更する、
請求項6に記載の画像処理プログラム。
【請求項8】
更に、
前記修正画像を含む複数の修正画像を正規化する正規化ステップと、
前記正規化された複数の画像を撮像された時刻に対応させて配置することにより表示画像を生成し、表示装置に前記表示画像を表示させる表示制御ステップと、
をコンピュータに実行させる、
請求項1〜7のいずれかに記載の画像処理プログラム。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の画像処理プログラムを格納した記録媒体。
【請求項10】
被験者の体内の放射性薬剤の分布状態を撮像した画像を記憶する記憶手段と、
前記画像内の画素値に基づいて評価値を計算する計算手段と、
前記評価値が特定範囲外であるか否かを判定する判定手段と、
前記評価値が前記特定範囲外である場合、前記画像内の画素値を前記評価値に基づいて変更することで得られる修正画像を格納し、前記評価値が前記特定範囲内である場合、前記画像を前記修正画像として格納する変更手段と、
前記修正画像内の解剖学的部位を識別するセグメンテーション手段と、
を備える画像処理装置。
【請求項11】
被験者の体内の放射性薬剤の分布状態を撮像した画像を記憶する画像処理装置が、
前記画像内の画素値に基づいて評価値を計算する計算ステップと、
前記評価値が特定範囲外であるか否かを判定する判定ステップと、
前記評価値が前記特定範囲外である場合、前記画像内の画素値を前記評価値に基づいて変更することで得られる修正画像を格納し、前記評価値が前記特定範囲内である場合、前記画像を前記修正画像として格納する変更ステップと、
前記修正画像内の解剖学的部位を識別するセグメンテーションステップと、
を行う画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験者の体内の放射性薬剤の分布状態を撮像した画像を処理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被験者の体内の放射性薬剤の分布状態を撮像した画像、例えば骨シンチグラフィの画像(以下、骨シンチグラムと称する)に基づいて診断を行う場合、医師等の読影者が画像を目視で確認して、放射性薬剤が異常に集積している箇所を特定し、これに基づいて診断が行われている。この場合、正しい診断をくだせるか否かは読影者の経験に依存してしまう。
【0003】
そこで、時間的に連続したデジタル医用画像の間でサブトラクションを行って経時変化を強調することにより、診断の精度を高める技術が知られている(例えば特許文献1)。また、同一被験者の骨シンチグラムにおいて、過去に撮影した画像(過去画像)と今回撮影した画像(現在画像)との差分画像を生成し、読影者を支援する技術が知られている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許4130661号公報
【特許文献2】国際公開WO2007/062135 A2
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】A new computer−based decision−support system for the interpretation of bone scans by Sadik M. et al published in Nuclear Medicine Communication nr. 27: pp. 417−423.
【非特許文献2】Active shape models − their training and application, T. F. Cootes, C. J. Taylor, D. H. Cooper and J. Graham presented in Computer Vision and Image Understanding, Vol. 61, no. 1, pp. 38−59, 1995.
【非特許文献3】Application of the Active Shape Model in a commercial medical device for bone densitometry, H. H. Thodberg and A. Rosholm presented in the Proceedings of the 12th British Machine Vision Conference, 43−52, 2001.
【非特許文献4】Average brain models: A convergence study, Guimond A. Meunier J. Thirion J.−P presented in Computer Vision and Image Understanding, 77(2), pp.192−210, 2000.
【非特許文献5】Non−Rigid Registration using Morphons, A. Wrangsjo, J. Pettersson, H. Knutsson presented in Proceedings of the 14th Scandinavian conference on image analysis (SCIA’05), Joensuu June 2005.
【非特許文献6】Morphons: Segmentation using Elastic Canvas and Paint on Priors, H. Knutsson, M. Andersson presented in ICIP 2005, Genova, Italy, September 2005.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
同一被験者について長期間に亘る複数の検査を行う場合、検査によって検出器の種類や被験者の体調や放射性薬剤の投与量等の撮像条件が異なる場合がある。この場合、例えば、複数の画像における同等の異常が、大きく異なる画素値で表される場合がある。従って、これら複数の画像が並べて表示されたとしても、読影者がそれらの画像を比較して適切な判断をすることは容易ではない。
【0007】
そこで、本発明の目的は、被験者の体内の放射性薬剤の分布状態を撮像した複数の画像の撮像条件が異なる場合であっても、それらの画像を精度高く比較できるように読影者に情報提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つの実施態様に従う画像処理プログラムは、被験者の体内の放射性薬剤の分布状態を撮像した画像を記憶するコンピュータのための画像処理プログラムであって、前記画像内の画素値に基づいて評価値を計算する計算ステップと、前記評価値が特定範囲外であるか否かを判定する判定ステップと、前記評価値が前記特定範囲外である場合、前記画像内の画素値を前記評価値に基づいて変更する変更ステップと、をコンピュータに実行させる。
【0009】
好適な実施形態では、前記変更ステップは、前記評価値が前記特定範囲外である場合、前記変更された画像の評価値が前記特定範囲内の特定値になるように前記画像の画素値を変更してもよい。
【0010】
好適な実施形態では、前記特定範囲及び前記特定値は、複数の画像に基づいて夫々計算された複数の評価値に基づいて決定されてもよい。
【0011】
好適な実施形態では、前記計算ステップは、前記画像内の画素値の総和に基づいて前記評価値を計算してもよい。
【0012】
好適な実施形態では、前記計算ステップは、前記画像内の特定の領域の画素値の総和に基づいて前記評価値を計算してもよい。
【0013】
好適な実施形態では、前記画像は、骨シンチグラムであり、前記被験者の前面像及び後面像を含んでもよい。
【0014】
好適な実施形態では、前記計算ステップは、前記前面像内の画素値と前記後面像内の画素値とに基づいて前記評価値を計算し、前記変更ステップは、前記評価値が前記特定範囲外である場合、前記前面像内の画素値と前記後面像内の画素値とを前記評価値に基づいて変更してもよい。
【0015】
好適な実施形態では、更に、前記画像を含む複数の画像を正規化する正規化ステップと、前記正規化された複数の画像を撮像された時刻に対応させて配置することにより表示画像を生成し、表示装置に前記表示画像を表示させる表示制御ステップと、をコンピュータに実行させてもよい。
【0016】
好適な実施形態では、前記コンピュータは、前記複数の画像の視野のサイズに関するサイズ情報を記憶し、前記表示制御ステップは、前記サイズ情報に基づいて、前記表示画像内の前記正規化された複数の画像の視野を合わせてもよい。
【0017】
好適な実施形態では、前記表示制御ステップは、別の被験者の体内の放射性薬剤の分布状態が撮像された画像が正規化された画像内の最大の画素値に基づいて決定された基準値を用い、前記正規化された複数の画像における前記基準値以下の画素値を、グレースケールに変換してもよい。
【0018】
好適な実施形態では、前記表示制御ステップは、前記表示画像内の第1領域内に、前記正規化された複数の画像ペアの中の前面像を前記複数の時刻の順に配置し、前記表示画像内の第2領域内に、前記正規化された複数の画像ペアの中の後面像を前記複数の時刻の順に配置してもよい。
【0019】
好適な実施形態では、前記表示制御ステップは、前記表示画像内に、前記正規化された複数の画像ペアを前記複数の時刻の順に配置してもよい。
【0020】
好適な実施形態では、前記正規化ステップは、前記複数の画像の夫々から健康な領域である正常領域を検出し、前記正常領域の画素値に基づいて、前記正常領域を含む画像の画素値を正規化してもよい。
【0021】
好適な実施形態では、前記正規化ステップは、前記複数の画像の夫々の中の骨格部位を識別し、前記骨格部位の中から前記正常領域を検出してもよい。
【0022】
好適な実施形態では、前記正規化ステップは、前記複数の画像の夫々から複数の領域を検出し、前記検出された複数の領域の中から、健康でない領域である異常領域と前記正常領域とを検出してもよい。
【0023】
好適な実施形態では、前記正規化ステップは、前記複数の画像の夫々について、前記正常領域の画素値の平均値を計算し、前記正常領域を含む画像の画素値を前記平均値で除算することにより前記正常領域を含む画像の画素値を正規化してもよい。
【0024】
好適な実施形態では、前記正規化ステップは、前記骨格部位の中から画素値が所定条件を満たす特定領域を検出し、前記骨格部位のうち前記特定領域を除いた領域を前記正常領域として検出してもよい。
【0025】
好適な実施形態では、前記正規化ステップは、前記骨格部位の中から画素値が所定閾値を超える領域を前記特定領域として検出してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本実施形態に係る画像処理装置1の構成を示すブロック図である。
図2】画像処理装置1の動作を示すフローチャートである。
図3】修正部20の動作を示すフローチャートである。
図4】正規化部30の構成を示すブロック図である。
図5】正規化部30による骨シンチグラム分割方法を示すフローチャートである。
図6】骨シンチグラムと骨格部位の一例を示す図である。
図7】健康基準画像セットの一例である
図8】正規化部30による正規化方法を示すフローチャートである。
図9】正規化された骨シンチグラムセットの一例を示す図である。
図10】正規化前の骨シンチグラムのカウント値の分布を示すヒストグラムである。
図11】正規化後の骨シンチグラムの正規化カウント値の分布を示すヒストグラムである。
図12】骨シンチグラムにおける高強度領域の平均画素値の順位と高強度領域の平均画素値との関係の一例を示す図である。
図13】スケールレンジを示す図である。
図14】第1の表示態様を示す画面である。
図15】第2の表示態様を示す画面である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態に係る画像処理装置について、図面を参照して説明する。
【0028】
図1は、本実施形態に係る画像処理装置1の構成を示すブロック図である。同図に示すように、画像処理装置1は、画像処理装置本体10と、キーボード、タッチパネル、ポインティングデバイスなどの入力装置4と、液晶ディスプレイなどの表示装置5とを有する。画像処理装置本体10は、修正部20と、正規化部30と、表示制御部60と、記憶部70とを有する。表示制御部60は、調整部40と、変換部50と、生成部80とを有する。
【0029】
画像処理装置本体10は、例えば汎用的なコンピュータシステムにより構成され、以下に説明する画像処理装置本体10内の個々の構成要素または機能は、例えば、コンピュータプログラムを実行することにより実現される。このコンピュータシステムは、メモリとマイクロプロセッサを有する。記憶部70は、メモリにより実現されても良い。このコンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納されて配布されることができる。
【0030】
記憶部70は、撮像画像記憶部15と、修正画像記憶部25と、正規化画像記憶部35と、特徴データ記憶部36と、調整画像記憶部45とを有する。撮像画像記憶部15は、撮像された骨シンチグラムである撮像画像を記憶する。骨シンチグラムは、被験者の体内の放射性薬剤の分布状態が撮像された画像である。撮像画像セットは、或る患者の或る検査により撮像された、前面像の撮像画像と後面像の撮像画像とのペアである。本実施形態において、骨シンチグラム内の各ピクセルの値(画素値)は、画像を撮影する前に人間の体内に注入された放射性物質(放射性同位体:ラジオアイソトープ)からの放射強度を示すカウント値である。また、撮像画像記憶部15は、検査日時、前面又は後面を示す情報、基準視野等を含む撮像条件データを、撮像画像に関連付けて記憶する。
【0031】
図2は、画像処理装置1の動作を示すフローチャートである。このフローは、検査により撮像画像セットが撮像画像記憶部15へ保存される度に実行されても良いし、或る患者の複数の撮像画像セットが撮像画像記憶部15へ保存された状態で、診察や解析のために実行されても良い。
【0032】
修正部20は、撮像画像記憶部15に格納されている撮像画像を予め定められた規格に従って修正し、その結果である修正画像を修正画像記憶部25へ保存する(S20)。
【0033】
その後、正規化部30は、修正画像記憶部25に格納されている修正画像から骨格部位やホットスポット等の特徴を検出し、その結果である特徴データを修正画像に関連付けて特徴データ記憶部36へ保存する。更に、正規化部30は、特徴データに基づいて修正画像を正規化し、その結果である正規化画像を正規化画像記憶部35へ保存する(S30)。
【0034】
その後、表示制御部60は、正規化画像記憶部35に格納されている正規化画像を調整して配置することにより表示画面を生成し、表示画面を表示装置5に表示させ(S60)、このフローを終了する。
【0035】
表示制御部60において、調整部40は、正規化画像記憶部35に格納されている正規化画像のサイズを調整し、その結果である調整画像記憶部45へ保存する。変換部50は、調整画像記憶部45に格納されている調整画像の画素値をグレースケールの濃度に変換する。生成部80は、調整画像を時系列に従って配置することにより表示画面を生成し、表示装置5に表示させる。
【0036】
なお、生成部80は、特徴データ記憶部36に格納されている特徴データを、調整画像に関連付けて表示画面内に配置しても良い。
【0037】
画像処理装置1によれば、撮像された複数の骨シンチグラムにおいて、撮影条件の違いの影響を低減することができる。また、複数の骨シンチグラムを時系列に従って表示装置5に表示させることにより、読影者は複数の骨シンチグラムの経時変化を判断することが容易になる。
【0038】
以下、修正部20の詳細について説明する。
【0039】
図3は、修正部20の動作を示すフローチャートである。前述のS20において、修正部20はこのフローを実行する。
【0040】
修正部20は、撮像画像記憶部15から撮像画像セットを読み出し、読み出された撮像画像セットが予め定められた規格を満たすか否かを判定する(S2020)。
【0041】
例えば、修正部20は、撮像画像セット内の特定の領域のピクセルのカウント値から評価値を計算し、その評価値が規格範囲内であれば、撮像画像セットが予め定められた規格を満たすと判定する。評価値は例えば、前画像及び後画像の全ピクセルのカウント値の合計に基づいて計算される。より好適な評価値は、(前画像の全ピクセルのカウント値の合計+後画像の全ピクセルのカウント値の合計)/2で表される。規格範囲は例えば、標準撮像条件下で撮像された複数の撮像画像セットを格納する撮像画像データベースに基づいて決定される。即ち、修正部20は、撮像画像セットの評価値が規格範囲内であれば、その撮像画像セットが標準撮像条件下で撮像されたものであると判定する。規格範囲の下限は例えば、撮像画像データベース内の各撮像画像セットから計算された評価値の最小値より小さく、規格範囲の上限は例えば、撮像画像データベース各撮像画像セットから計算された評価値の最大値より大きい。実際の撮像画像データベースに基づいて決定された規格範囲において、下限は例えば1,200,000であり、上限は例えば、2,200,000である。
【0042】
撮像画像セットが規格を満たす場合(S2020:Yes)、修正部20は、撮影画像セットを修正せずに修正画像セットとして修正画像記憶部25へ保存し(S2030)、このフローを終了する。
【0043】
撮像画像セットが規格を満たさない場合(S2020:No)、修正部20は、評価値に基づいてスケーリングファクタを計算し、撮影画像セットの各ピクセルにスケーリングファクタを乗算することにより修正画像セットを生成して修正画像記憶部25へ保存し(S2040)、このフローを終了する。スケーリングファクタは例えば、(基準評価値/評価値)で表される。規格を満たさないと判定された撮影画像セットの各ピクセルにスケーリングファクタを乗算することにより、その結果である修正画像セットの評価値は基準評価値になる。基準評価値は、規格範囲内の値である。実際の撮像画像データベースに基づいて決定された基準評価値は例えば、1,800,000である。
【0044】
修正部20は、修正画像に対応する撮像条件データを撮像画像記憶部15から読み出し、修正画像に関連付けて修正画像記憶部25へ保存する。
【0045】
ここで、修正部20の変形例について説明する。
【0046】
修正部20は、撮像画像データベース内の各撮像画像セットから計算された評価値の統計量に基づいて規格範囲及び基準評価値を決定しても良い。
【0047】
第1の変形例において、修正部20は、撮像画像データベース内の各撮像画像セットから計算された評価値の平均値及び標準偏差SDを計算する。更に修正部20は、評価値の平均値を基準評価値とし、(平均値−所定偏差)を規格範囲の下限とし、(平均値+所定偏差)を規格範囲の上限とする。所定偏差は例えば、SDや2SD等、SDに基づいて決定される。
【0048】
第2の変形例において、修正部20は、撮像画像データベース内の各撮像画像セットから計算された評価値を大きい順に並べて評価値の中央値を検出する。このとき、修正部20は、評価値の中央値を基準評価値とし、中央値から所定数だけ下位に位置する評価値を規格範囲の下限とし、中央値から所定数だけ上位に位置する評価値を規格範囲の上限とする。所定数は例えば、撮像画像データベース内の撮像画像セット数(症例数)に所定割合を乗じた値である。所定割合は例えば、25%である。
【0049】
第3の変形例において、修正部20は、評価値の中央値を基準評価値とし、中央値から所定偏差だけ低い評価値を規格範囲の下限とし、中央値から所定偏差だけ高い評価値を規格範囲の上限とする。所定偏差は例えば、SDや2SD等、SDに基づいて決定される。
【0050】
また、第4及び第5の変形例において、評価値は、前画像及び後画像の中の特定の骨領域内のピクセルのカウント値の合計に基づいて計算される。この場合、修正部20は、撮像画像セットから特定の骨領域を検出しても良いし、予め設定された骨領域を用いても良い。より好適な評価値は、(前画像の特定の骨領域内のカウント値の合計+後画像の特定の骨領域内のカウント値の合計)/2で表される。
【0051】
第4の変形例において、修正部20は、撮像画像データベース内の各撮像画像セットから計算された評価値の平均値、最大値、最小値を計算する。修正部20は、評価値の平均値を基準評価値とし、評価値の最小値を規格範囲の下限とし、評価値の最大値を規格範囲の上限とする。
【0052】
第5の変形例において、修正部20は、撮像画像データベース内の各撮像画像セットから計算された評価値の平均値及び標準偏差SDを計算する。このとき、修正部20は、評価値の平均値を基準評価値とし、平均値から所定偏差を減じた値を規格範囲の下限とし、平均値に所定偏差を加えた値を規格範囲の上限とする。所定偏差は例えば、SDや2SD等、SDに基づいて決定される。
【0053】
以上が修正部20の動作である。
【0054】
以上に説明したように、修正部20は、カウント値が規格外であると判定された撮像画像セットを、規格を満たすように修正することができる。言い換えれば、標準撮像条件下で撮影されていない撮像画像セットのカウント値を、標準撮像条件下で撮影された撮像画像セットのカウント値の範囲内に修正することができる。これにより、その後の処理の精度を向上させることができる。
【0055】
以下、正規化部30について説明する。
【0056】
正規化部30は、修正画像記憶部25から修正画像セットを読み出す。以下の説明において、修正画像を骨シンチグラムや患者画像と呼ぶことがある。
【0057】
図4は、正規化部30の構成を示すブロック図である。正規化部30は、入力画像メモリ105と、形状識別部110と、注釈付画像メモリ115と、ホットスポット検出部120と、第1ホットスポットメモリ125と、ホットスポット特徴抽出部130と、第2ホットスポットメモリ135と、第1ANN部140と、第3ホットスポットメモリ145と、患者特徴抽出部150と、患者特徴メモリ155と、第2ANN部160とを有する。ここで、ANNとは、人工ニューラルネットワーク(artificial neural network)である。
【0058】
入力画像メモリ105は、骨シンチグラムセットを格納する。一回の診断により得られる骨シンチグラムセットは、患者の正面から撮像した前面像と、患者の背面から撮像した後面像とを有する。
【0059】
形状識別部110は、入力画像メモリ105に接続されており、骨シンチグラムセットに含まれる骨格の解剖学的構造を識別する。形状識別部110は、予め定義された骨格モデルを有する。骨格モデルは少なくとも一つの解剖学的部位(セグメント)を有する。各部位は、一般的な骨格の解剖学的部分を表す。骨格モデルは、骨シンチグラムセットの骨格に合うように調整される。
【0060】
注釈付画像メモリ115は、形状識別部110に接続されており、注釈付画像セットを格納する。注釈付画像セットは、形状識別部110からの、骨シンチグラムセットの異なる複数の骨格部位に対応する複数の解剖学的構造に関する情報に基づく。
【0061】
ホットスポット検出部120は、注釈付画像メモリ115に接続されており、注釈付画像セットの高強度領域を検出する。ホットスポット検出部120の一つの形態は、骨シンチグラムセットを走査し、或る閾値を超えるピクセルを識別する閾値走査部を有する。好適なホットスポット検出部120は、形状識別部110により定義された異なる複数の解剖学的部位に対する異なる複数の閾値を有する。この場合、ホットスポット特徴抽出部130は、各ホットスポットに対して少なくとも一つのホットスポット特徴を抽出し、各ホットスポットの形状と位置を決定する。
【0062】
ホットスポット検出部120の別の形態は、骨シンチグラムセットを走査し、或る閾値を超えるピクセルを識別する画像正規化フィルタリング部を有しても良い。この場合、ホットスポット特徴抽出部130は、各ホットスポットに対して少なくとも一つのホットスポット特徴を抽出し、各ホットスポットの形状、テクスチャ、幾何学的形状を決定する。好適なホットスポット特徴のセット内の各特徴の詳細は、第1ANN部140の入力の具体例として後述される。
【0063】
検出された高強度領域、所謂「ホットスポット」に関して、以上のように生成される情報は、第1ホットスポットメモリ125に格納される。
【0064】
ホットスポット特徴抽出部130は、第1ホットスポットメモリ125に接続されており、ホットスポット検出部120により検出された各ホットスポットのホットスポット特徴のセットを抽出する。抽出されたホットスポット特徴は、第2ホットスポットメモリ135に格納される。
【0065】
第1ANN部140は、第2ホットスポットメモリ135に接続されており、ホットスポットセットの各ホットスポットが転移(癌転移、骨転移)である尤度(ホットスポットの転移可能性)を計算する。第1ANN部140は、ホットスポット特徴抽出部130により生成されたホットスポットセットの各ホットスポットの特徴が供給される。尤度計算は、ホットスポット特徴抽出部130により抽出されたホットスポット特徴セットに基づく。尤度計算の結果は、第3ホットスポットメモリ145に格納される。
【0066】
好ましくは、第1ANN部140内に、各解剖学的部位に対して学習したANNが配置されている。或る部位内の各ホットスポットは、その部位からのホットスポットを処理するように配置されたANNにより順次処理される。
【0067】
患者特徴抽出部150は、第2ホットスポットメモリ135及び第3ホットスポットメモリ145に接続されており、ホットスポット検出部120により検出されて第2ホットスポットメモリ135に格納されているホットスポットの数と、第3ホットスポットメモリ145に格納されている第1ANN部140からの尤度の出力値とに基づいて、患者特徴セットを抽出する。患者特徴抽出部150は、ホットスポット特徴抽出部130からのデータと第1ANN部140の出力のデータの両方を用いて計算を実行する。抽出された患者特徴は、患者特徴メモリ155に格納される。好適な、抽出された特徴は、第2ANN部160の入力の具体例として後述される。
【0068】
第2ANN部160は、患者特徴メモリ155に接続されており、患者特徴抽出部150により抽出されて患者特徴メモリ155に格納されている患者特徴セットに基づいて、患者が少なくとも一つの癌転移を持っている転移可能性(患者の転移可能性)を計算する。正規化部30は、オプションで閾値判定部165を有してもよい。閾値判定部165の一つの形態は、第2ANN部160から出力された尤度が予め定義された閾値を超える場合に「yes、患者が少なくとも一つの癌転移を持っている」に対応する値を出力すること、及び第2ANN部160から出力された尤度が予め定義された閾値を超えない場合に「no、患者は癌転移を持っていない」に対応する値を出力することにより、「yes又はno」判定を行う。別のオプションの形態の閾値判定部165は、出力を四つの診断の一つに階級分けする。四つの診断とは、「確実に正常」、「おそらく正常」、「おそらく転移」、及び「確実に転移」である。
【0069】
これらの形態を用いて行われたテストは、上記の形態の何れかに基づく正規化部30が良く動作したことを示す。上記の形態の一つにおいて、感度は90%まで測定され、特異度も90%まで測定された。このテスト方法は、非特許文献1に説明されているテスト方法と同一である。
【0070】
上記のオプションの形態において、性能は、出力値を4個の診断の一つに階級分けするために用いられる閾値に相当する3個の設定において測定された。これらの設定における感度及び特異度は次の通りである。
・確実に正常/おそらく正常:感度95.1%、特異度70.0%
・おそらく正常/おそらく転移:感度90.2%、特異度87.3%
・おそらく転移/確実に転移:感度88.0%、特異度90.1%
【0071】
以下、正規化部30による骨シンチグラム分割方法(セグメンテーション)について説明する。
【0072】
図5は、正規化部30による骨シンチグラム分割方法を示すフローチャートである。前述のS30において、正規化部30はこのフローを実行する。
【0073】
骨シンチグラム分割方法は例えば、ASM(active shape model:アクティブ形状モデル)アプローチを用いて、腕(上肢)と脚(下肢)の下部(末端)を除く骨格の前面像と後面像の全体の輪郭抽出の実行を含む。腕と足の下部が転移に対して非常に稀な場所であり、それらは時々骨走査ルーチンで取得されていないので、骨格のこれらの部分を省くことは、問題にならない。説明のため、ASMは、画像内のオブジェクトを見つけるための統計的方法として定義されている。その方法は、学習画像セットに基づく統計モデルに基づいている。各学習画像において、オブジェクトの形状は、準備又は学習の段階中に人間のオペレータにより手動で決定される目標点により定義される。その後、オブジェクトに関する一般的形状を記述するために用いられる点分布モデルが、計算される。一般的形状は、本実施形態の場合と同様、例えば骨格のようなオブジェクトタイプの新規の例に対する他の画像を検索するために用いることができる。人間の骨格の解剖学的構造を記述するASMの学習のための方法が提供される。そのモデルは、以下の説明するステップを含む。
【0074】
最初のステップは例えば、骨格を8個の異なる学習セットに分割する(S205)。学習セットは、一貫したセグメンテーションを実現するために特に適している解剖学的部位に対応するように選択される。8個の異なる学習セットは以下に示される。
1)頭と脊椎の前面像に関する第1学習セット。
2)肋骨の前面像に関する第2学習セット。
3)腕の前面像に関する第3学習セット。
4)下半身の前面像に関する第4学習セット。
5)頭と脊椎の後面像に関する第5学習セット。
6)肋骨の後面像に関する第6学習セット。
7)腕の後面像に関する第7学習セット。
8)下半身の後面像に関する第8学習セット。
【0075】
各学習セットは、多くの事例画像を提供する(S210)。各画像は、目標点のセットを用いて作成される。各目標点は、画像の特別な解剖学的または生物学的な点を表す座標ペアに関連付けられている。座標ペアは、対応する解剖学的/生物学的点を手動で特定することにより決定される(S215)。前面像では、以下の簡単に識別可能な解剖学的目標点が使用される。
【0076】
学習セットの統計量を取り込む前に、目標点の各セットは、8個の学習セットの夫々に対して異なる共通座標系に整列される。これは、非特許文献2に説明されているように、学習形状が互いにできるだけ近づくようにする、学習形状のスケーリング、回転、及び解釈により実現される。学習セットの統計量の検査により、学習セット内で観察される形状変化を含む2次元統計的ポイント分布モデルが得られる(S220)。この複数の骨格に亘る目標点(形状)の変化の統計的モデリングは、非特許文献2及び非特許文献3に説明されているように実行される。
【0077】
形状変化の結果として得られる統計モデルは、骨格を分割するために患者画像に適用されることができる。平均形状から始め、形状モデルの可能な変化の範囲内の新たな形状は、生成された骨格が患者画像内に存在する構造に似るように、学習セットの形状に似て生成されることができる。この方法を用いて分割される前面体セグメントは例えば、頭蓋骨、顔首、脊椎、上部胸骨、下部胸骨、右腕、左腕、右肋骨、左肋骨、右肩、左肩、骨盤、膀胱、右大腿骨、及び左大腿骨であっても良い。後面体セグメントは例えば、頭蓋骨、首、上部脊椎、下部脊椎、背骨、右腕、左腕、右肋骨、左肋骨、右肩甲骨、左肩甲骨、股関節、下部骨盤、膀胱、右大腿骨、及び左大腿骨であっても良い。
【0078】
検索プロセスの最初のステップは、前面像の平均形状に対する開始位置を見つけることであっても良い。例えば、頭の最高点が選択されても良い。なぜなら、それは、テストにおいて、ロバストな開始位置であることが証明され、画像上部内で各水平行内の特定閾値より大きい強度を検査することにより簡単に見つけられるためである。
【0079】
次に、患者画像内の骨格に合う骨格形状モデルの事例の検索は、非特許文献2及び非特許文献3に記述されたアルゴリズムに従って実行される。
【0080】
以上の動作により、正規化部30は、骨シンチグラムセットから識別された骨格部位の領域、検出されたホットスポットの領域、ホットスポットの転移可能性、患者の転移可能性等を含む特徴データを、特徴データ記憶部36へ保存する。
【0081】
以下、正規化部30による別の骨シンチグラム分割方法について説明する。
【0082】
別の骨シンチグラム分割方法が提供される。別の骨シンチグラム分割方法の目標は、前述の骨シンチグラム分割方法と同様、骨シンチグラム300内の骨格の異なる複数の解剖学的部位を認識して輪郭抽出することである。図6は、骨シンチグラムと骨格部位の一例を示す図である。この図に示されているように、骨格部位は、患者画像310に輪郭320を重ねることにより定義される。ここで述べた分割方法は、登録により表される分割である。
【0083】
画像登録方法は、或る画像を別の画像の座標系に変換する。これらの画像が、同一のオブジェクトクラス、ここでは骨格、の実体を表すと仮定する。変換された画像はソース画像で表され、一方で変換されない画像はターゲット画像で表される。同一の画像座標が、ソース画像とターゲット画像に含まれているオブジェクトにおける同一の幾何学的/解剖学的位置に一致する場合、ソース画像とターゲット画像の座標系は、一致すると言える。登録による分割は、ソース画像に手動で定義された分割を用いることと、分割が定義されていない場合にソース画像をターゲット画像に登録することである。ソース画像の分割は、それによってターゲット画像に変換され、従ってターゲット画像の分割を生成する。
【0084】
この形態におけるソース画像の分割は、基準健康患者の解剖学的構造を定義し、多角形のセットとして臨床検査の専門家により手動で描かれる。図7は、健康基準画像セットの一例である。健康基準画像セットは、「アトラス」と呼ばれる。ここで、健康基準画像セットは、健康基準画像400a及び健康基準画像400bを有する。健康基準画像400aは、患者の正面像或いは前面像を示し、一方で健康基準画像400bは、患者の背面像或いは後面像を示す。健康基準画像400a及び健康基準画像400b内のラベルを夫々参照すると、これらの領域は、(1,1)とラベリングされた前部及び後部の頭蓋骨401,402、(2,2)とラベリングされた前部及び後部の頸椎403、404、(3,3)とラベリングされた前部及び後部の胸椎405、406、(14)とラベリングされた前部胸骨407、(4,4)とラベリングされた前部及び後部の腰椎409、408、(11,5)とラベリングされた前部及び後部の仙骨411、410、(15,14)とラベリングされた前部及び後部の骨盤、(5,6,7,6)とラベリングされた前部及び後部の左右の肩甲骨、(17,16)とラベリングされた前部及び後部の左右の鎖骨、(7,8,9,8)とラベリングされた前部及び後部の左右の上腕骨、(9,10,11,10)とラベリングされた前部及び後部の左右の肋骨、及び(12,13,12,13)ラベリングされた前部及び後部の左右の大腿骨413、415、412、414を定義する。
【0085】
健康基準画像セットは、正規化部30によりソース画像として常に用いられ、一方、検査される患者画像はターゲット画像として働く。その結果は、ターゲット画像の骨シンチグラム300に描かれているような骨格部位への分割である。下腕と下肢は、解析のために考慮されない。
【0086】
ソース画像として用いられる健康基準画像セットは、典型的な画質と正常な外観及び解剖学的構造を有する健康患者の10個の現実の事例から構成される。事例画像のグループから計算された平均的な強度及び解剖学的構造を有する架空の正常な健康患者の前面像及び後面像を生成するアルゴリズムが用いられる。正規化部30は、非特許文献4で説明されているようなこのタスクを実行する。健康基準画像セットは、結果として得られる解剖学的構造が確かに正常健康外観を有するように見える場合の結果を示す。この解剖学的構造は、数人の患者の解剖学的構造の平均化の結果であり、横方向対称性が高いことを示す。
【0087】
この登録方法は、非特許文献5及び非特許文献6に示されているMorphon(形態単位)登録方法の改良である。この方法は、前面像及び後面像の両方が与えられる場合の、骨格画像の分割の目的のためにロバスト性を高めるために改良される。以下にこの改良の詳細を示す。
【0088】
本実施形態に含まれるMorphon登録方法の改良は、一つの画像変換を決定するための同じオブジェクトの複数の画像を用いるためのシステムからなる。特に、我々は、前面及び後面の骨格画像を同時に用いる。この改良の目標は、この方法のロバスト性を高めることである。この改良の説明のために、オリジナルのMorphon登録方法の必要な部分が最初に説明され、続いてこの改良が説明される。
【0089】
Morphon登録方法内で用いられる所謂変異ベクトル場生成についての以下の説明は、記法を導入し、この改良を見やすくすることに努めている。より完全な扱いは、非特許文献5及び非特許文献6に説明されている。
【0090】
Morphon登録方法は、反復を続ける。各反復は、ソース画像をターゲット画像との一致に近づける。これは、各ソース画像要素(ピクセル又はボクセル)の小さい変位に相当する。反復中のこのような変位の全ての集合は、各ベクトルが対応する画像要素の変位を示す場合のソース画像として、同じサイズのベクトル場内に収集される。このベクトル場は、4個の複素フィルタを用いて決定される。各フィルタは、或る方向の画像内の線とエッジを取り込む。4個のフィルタに対応する方向は、垂直、水平、左上から右下への対角線、及び右上から左下への対角線である。これらのフィルタの一つによる画像のフィルタリングは、位相及び大きさに分けられることができる複素応答を生成する。フーリエシフト定理のために、フィルタリングされたソース画像及びターゲット画像の間の特定の点における位相差は、オブジェクトをフィルタの方向内のその点に一致させるために必要な空間シフトに比例する。各画像点における位相及び大きさが4個のフィルタの全ての方向に対して計算された場合、変位ベクトルは、各点における最小二乗問題を解くことにより見つけられる。この大きさは、各変位推定の確実性の尺度を導出するために用いられることができる。確実性は、重みのセットとして最小二乗問題に組み込まれることができる。結果の重み付き最小二乗問題は、次式で表される。
【0091】
【数1】
【0092】
ここで、vは得られた2行1列の変位ベクトルであり、niはi番目のフィルタの方向であり、viはi番目のフィルタに対応する位相差であり、wiはi番目のフィルタの大きさから得られる確実性尺度である。
【0093】
この方法の改良は、変位の一つのベクトル場の推定のための複数画像を用いることで構成されている。各画像は、前述のように別々にフィルタリングされ、各画像に対する4個の複素応答の結果を得る。重み付き最小二乗問題は、次式を与える全画像を含むように拡張される。
【0094】
【数2】
【0095】
ここで、kは画像の数(骨シンチグラムの場合は2)である。これの効果は、データポイントの数に2次元変位vの推定内の画像の数を掛け、問題がより良く定義されることである。この改良は、更に確実性尺度により説明される。単一画像を入力として用いると、低い確実性尺度に対応する結果の変位ベクトル場の部位は、十分に定義されない。複数画像が与えられると、少なくとも一つの画像は、関連する全ての部位に十分な確実性を提供することができる見込みがある。
【0096】
以下、正規化部30による骨シンチグラムの正規化方法について説明する。
【0097】
前述のように、ホットスポット検出部120は、形状識別部110からの情報を用いる。ホットスポット検出部120の目的は二つである。その第1の目的は、前面及び後面の患者画像内のホットスポットを分けることである。ホットスポットは、高輝度の分離された画像部位であり、骨格内にある時に転移性疾患の指標であっても良い。その第2の目的は、画像の強度を、予め定義された基準レベルに調整することである。このような強度の調整は、画像の正規化を表す。ここでは、そのアルゴリズムを説明する。このアルゴリズムは、同時に、ホットスポットを分離し、正規化因子を推定する。また、このアルゴリズムは、前面像及び後面像で別々に実行される。以下、最初に適切な正規化の必要性が簡潔に説明され、続いてこのアルゴリズムが説明される。
【0098】
複数の骨シンチグラムは、強度レベルにおいて、患者、研究、及びハードウェア構成により、大きく異なる。この差は増大傾向にあると推測され、ゼロの強度は全画像に対して共通の基準レベルであると推測される。従って、ソース画像をターゲット画像に関して正規化することは、ソース画像の強度をターゲット画像と等しいレベルにするスカラー因子を見つけることである。ここで、ソース画像内の骨格の健康部位の平均強度がターゲット画像内の対応する部位に等しい場合、二つの骨格画像の強度は等しいとして定義される。図8は、正規化部30による正規化方法を示すフローチャートである。このフローチャートに示されている正規化方法は、以下のステップを有する。
【0099】
1.骨格に対応する画像要素の同定(S510)。
2.画像に含まれるホットスポットの同定(S520)。
3.骨格要素からホットスポット要素を除去(S530)。
4.残りの(健康)要素の平均強度の計算(S540)。
5.適切な正規化因子の計算(S550)。
6.正規化因子を乗算することによるソース画像強度の調整(S560)。
【0100】
S510は、前述のように、形状識別部110により得られる変換された解剖学的部位により提供される骨格に属する画像部位の情報を用いて実行される。多角形の部位は、骨格の夫々の部位に属する画像要素を定義するバイナリ画像マスクに変換される。
【0101】
S520において、ホットスポットは、一つの画像フィルタリング演算と一つの閾値演算を用いて分割される。画像は、夫々の周囲に関する高強度の小さい部位を強調するDoG(difference-of-Gaussians)−BPF(band-pass filter)を用いてフィルタリングされる。フィルタリングされた画像は、その後、一定レベルで閾値判定され、その結果得られるバイナリ画像は、ホットスポット要素を定義する。
【0102】
S530において、S510で計算された要素のうち、S520で計算されたホットスポット要素と一致する要素は、削除される。残りの要素は、健康骨格部位に対応すると推測される。
【0103】
S540において、健康骨格要素の平均強度が計算される。この平均強度はAで表される。
【0104】
S550において、適切な正規化因子は、予め定義された基準強度レベルに関連して決定される。ここで、例えば、このレベルを1000に設定することができる。正規化因子Bは、(B=1000/A)のように計算される。
【0105】
S560において、ソース画像の強度は、Bを乗算することにより調整される。
【0106】
S520におけるホットスポット分割は、S550で計算された正規化因子により順次決定される画像の全体強度レベルに依存する。とは言え、S550で計算された正規化因子は、S520からのホットスポット分割に依存する。S520及びS550の結果が相互に依存しているので、S520からS560は例えば、S570において正規化因子におけるそれ以上の変化が発生しなくなるまで繰り返されても良い。広範に亘るテストでは、このプロセスが通常、3又は4回の繰り返しで収束することが示されている。
【0107】
図9は、正規化された骨シンチグラムセットの一例を示す図である。正規化画像600aは、正規化された骨シンチグラムセットの前面像を示し、正規化画像600bは、正規化された骨シンチグラムセットの後面像を示す。分割されたホットスポット620は、分割された画像610内に現れる濃いスポットとして正規化画像600a及び正規化画像600b内に示されている。従って、正規化部30は、癌転移を有するとしてこの患者を分類するだろう。
【0108】
正規化部30は、前述の正規化方法による修正画像の正規化の結果を、正規化画像として正規化画像記憶部35へ保存する。
【0109】
前述の第2ANN部160は、第1ANN部140と同じであっても良いし、第1ANN部140の一部であっても良い。
【0110】
上記の説明における用語「点」は、画像内の少なくとも一つのピクセルを表すために使用されることがある。
【0111】
以下、第1ANN部140への入力の具体例について説明する。
【0112】
第1ANN部140には、各ホットスポットの大きさ、形状、方向、局在性、及び強度分布を測定する以下の27の特徴が与えられる。
【0113】
・骨格病変。2次元ホットスポット領域と、対応する骨格領域の2次元領域と、骨格全体に関する骨格部位により表される体積割合を表す係数とに基づいて、抽出されたホットスポット部位により占有される骨格体積の尺度。(ホットスポット領域/局所領域*係数)として計算される。
・相対面積。対応する骨格部位に対するホットスポット領域。画像解像度及びスキャナ視野に依存しない尺度。
・相対重心位置(2機能)。対応する骨格部位の境界ボックスに対する相対的重心位置。値は、0(上、左)から1(下、右)の範囲である。
・質量の相対中心(2機能)。重心の機能に似ているが、xとyの値を計算する場合にホットスポット部位の強度を考慮に入れる。
・相対高さ。対応する骨格部位の高さに対するホットスポットの高さ
・相対幅。対応する骨格部位の幅に対するホットスポットの幅。
・最小強度。対応する正規化された画像上の全てのホットスポット要素から計算される最小強度。
・最大強度。対応する正規化された画像上の全てのホットスポット要素から計算される最大強度。
・強度の総和。対応する正規化された画像上の全てのホットスポット要素から計算される強度の総和。
・平均強度。対応する正規化された画像上の全てのホットスポット要素から計算される平均強度。
・強度の標準偏差。対応する正規化された画像上の全てのホットスポット要素から計算される強度の標準偏差。
・境界長。ピクセル単位で測定されるホットスポットの境界の長さ。
・堅実性。ホットスポット領域により表されるホットスポットの凸包領域の割合。
・偏心。0(円)から1(線)で表されるホットスポットの伸び。
・ホットスポットカウントの総数。骨格全体の全てのホットスポット内の強度の総和。
・部位におけるホットスポットカウントの数。現在のホットスポットに対応する骨格部位に含まれているホットスポットの強度の総和。
・総ホットスポット範囲。対応する画像内の骨格部位全体に対する、骨格部位全体内の全てのホットスポットの面積。
・部位におけるホットスポット範囲。骨格部位の面積に対する現在のホットスポットに対応する骨格部位内の全てのホットスポットの面積。
・ホットスポットの総数。骨格全体のホットスポットの数。
・部位におけるホットスポットの数。現在のホットスポットに対応する骨格部位内のホットスポットの数。
・ホットスポット局所性(2機能)。X座標は、形状識別部110のステップにおいて変換された基準解剖学的構造から計算される中間線に対して、0(最も内側)から1(最も遠位)の範囲に亘る。Y座標は、0(最も優れる)から1(最も劣る)の範囲に亘る。全ての尺度は、対応する骨格部位に相対的である。
・距離非対称性。現在のホットスポットの質量の相対的中心と、対側の骨格部位内のホットスポットの質量の鏡像相対的中心との間の最小ユークリッド距離。対応する対側骨格部位を自然に有している骨格領域に対してのみ計算される。
・範囲非対称性。現在のホットスポットと対側骨格部位内のホットスポットの範囲との間の範囲の最小差。
・強度非対称性。現在のホットスポットと対側骨格部位内のホットスポットの強度との間の強度の最小差。
【0114】
以下、第2ANN部160への入力の具体例について説明する。
【0115】
転移性疾患の有無に関係する患者レベルの診断を判定する第2ANN部160は、以下に列挙された34の特徴を入力として用いる。第2ANN部160により用いられる全ての機能は、第1ANN部140により高い転移可能性を有するとして分類されたホットスポットから計算される。
・総病変。骨格全体の骨格病変の総和。
・頭蓋骨病変。頭蓋骨部位内の骨格病変の総和。
・頸椎柱病変。頸椎部柱部位内の骨格病変の総和。
・胸部柱病変。胸部柱部位内の骨格病変の総和。
・腰椎柱病変。腰部列地域の骨格病変の総和。
・上肢病変。上肢部位の骨格病変の総和。
・下肢病変。下肢部位の骨格病変の総和。
・胸部病変。胸部部位の骨格病変の総和。
・骨盤病変。骨盤部位の骨格病変の総和。
・「高い」ホットスポットの総数。
・頭蓋骨部位内の「高い」ホットスポットの数。
・頸椎柱部位内の「高い」ホットスポットの数。
・胸部柱部位内の「高い」ホットスポットの数。
・腰部柱部位内の「高い」ホットスポットの数。
・上肢部位内の「高い」ホットスポットの数。
・下肢部位内の「高い」ホットスポットの数。
・胸部部位内の「高い」ホットスポットの数。
・骨盤部位内の「高い」ホットスポットの数。
・頭蓋骨部位における第1ANN部140からの最大ANN出力。
・頸椎部位における第1ANN部140からの最大ANN出力。
・胸椎部位における第1ANN部140からの最大ANN出力。
・腰椎部位における第1ANN部140からの最大ANN出力。
・仙骨部位における第1ANN部140からの最大ANN出力。
・上腕骨部位における第1ANN部140からの最大ANN出力。
・鎖骨部位における第1ANN部140からの最大ANN出力。
・肩甲骨部位における第1ANN部140からの最大ANN出力。
・大腿部位における第1ANN部140からの最大ANN出力。
・胸骨部位における第1ANN部140からの最大ANN出力。
・肋骨部位における第1ANN部140からの最大ANN出力。
・肋骨部位における第1ANN部140からの2番目に高いANN出力。
・肋骨部位における第1ANN部140からの3番目に高いANN出力。
・骨盤部位における第1ANN部140からの最大ANN出力。
・骨盤部位における第1ANN部140からの2番目に高いANN出力。
・骨盤部位における第1ANN部140からの3番目に高いANN出力。
【0116】
以上に説明したように、形状識別部110は、予め定義された骨格モデルを骨シンチグラムに合わせて変形させることにより、患者の体型に依らず、骨シンチグラム内の骨格部位を識別することができる。また、ホットスポット検出部120は、識別された骨格部位から予め定められた閾値より高いカウント値を有する領域であるホットスポットを検出することにより、異常集積を検出することができる。第1ANN部140は、ホットスポット毎の転移可能性を計算することができる。第2ANN部160は、患者の転移可能性を計算することができる。患者の転移可能性は、ANN値と呼ばれることがある。
【0117】
以下の説明において、正規化されたカウント値を正規化カウント値と呼ぶ。図10は、正規化前の骨シンチグラムのカウント値の分布を示すヒストグラムである。正規化前の骨シンチグラム3010と骨シンチグラム3020とにおいて、健康骨格要素である正常骨領域(正常領域)のカウント値の分布は異なる。即ち、骨シンチグラム3010の正常骨領域の平均カウント値3011と、骨シンチグラム3020の正常骨領域の平均カウント値3021とは異なる。図11は、正規化後の骨シンチグラムの正規化カウント値の分布を示すヒストグラムである。骨シンチグラム3010が正規化された骨シンチグラム3030と、骨シンチグラム3020が正規化された骨シンチグラム3040とを示す。骨シンチグラム3030と骨シンチグラム3040において、正常骨領域の正規化カウント値の分布は重なる。また、正常骨領域の平均カウント値3011、3021は、正規化により、正規化カウント値における1000に変換される。
【0118】
ホットスポット検出部120は、正規化画像に対応する撮像条件データを修正画像記憶部25から読み出し、正規化画像に関連付けて正規化画像記憶部35へ保存する。
【0119】
ホットスポット検出部120は、骨格部位からホットスポットを除いた健康骨格要素を抽出し、骨シンチグラムを健康骨格要素の平均カウント値で正規化することにより、ホットスポットの影響を受けずに複数の骨シンチグラムの濃度を揃えることができる。
【0120】
正規化部30は、予め設定された閾値を用いて、第1ANN部140の出力であるホットスポットの転移可能性を判定し、ホットスポットを高リスク部位と低リスク部位に分類し、分類結果を特徴データに含めてもよい。正規化部30は、全ての骨格部位の面積に対する高リスク部位の面積の割合であるBSI(bone scan index)を計算し、計算結果を特徴データに含めてもよい。また、正規化部30は、高リスク部位数を計算し、計算結果を特徴データに含めてもよい。
【0121】
なお、正規化部30は、他の正規化方法を用いて正規化画像を生成しても良い。
【0122】
以下、正規化部30による別の正規化方法の一例として特許文献2に記載の方法について説明する。
【0123】
正規化部30は、各画像の正常骨組織の平均画素値を用いてその画像を正規化する。まず正規化部30は、骨シンチグラムのヒストグラムと複数の閾値とを用いて、全ての異常領域(異常集積)と幾つかの正常領域(正常集積)を含む複数の高強度領域を識別する。次に正規化部30は、異常領域と正常領域を区別するための閾画素値に対応する転移点を決定するために、複数の高強度領域の夫々の平均画素値を計算する。次に正規化部30は、複数の高強度領域を平均画素値の順位に基づいてソートする。
【0124】
図12は、骨シンチグラムにおける高強度領域の平均画素値の順位と高強度領域の平均画素値との関係の一例を示す図である。この図において、横軸は、各高強度領域の平均画素値の順位を示し、縦軸は、各高強度領域の平均画素値を示し、曲線上の各点は、高強度領域に対応する。次に正規化部30は、この曲線の傾きが大きく変化する転移点を検出する。転移点は、異常領域と正常領域の境界を示す。また、異常領域に比べて、正常領域の平均画素値のばらつきは小さい。次に正規化部30は、転移点の平均画素値より高い平均画素値を有する高強度領域を選択して異常領域とする。また、正規化部30は、転移点の平均画素値以下の平均画素値を有する幾つかの高強度領域を選択して正常領域とする。ここで、正規化部30は、正常領域として、平均画素値が転移点の平均画素値以下且つ所定の閾値より大きい高強度領域を選択しても良いし、転移点の平均画素値から下へ所定の数の高強度領域を選択しても良い。
【0125】
次に正規化部30は、転移点から下位へ向かって所定の領域数の正常領域を選択し、選択された正常領域の平均画素値の平均値Pを計算する。所定の領域数は、例えば5である。次に正規化部30は、正規化因子Fを計算する。Fは例えば、k/Pである。ここで、kは例えば、正規化カウント値における1000とすれば良い。次に正規化部30は、正規化因子Fと骨シンチグラムの画素値との積を計算して正規化画像内の画素値とすることにより、正規化画像を生成する。
【0126】
この正規化方法によれば、正規化部30は、高強度領域である異常領域と正常領域を識別し、正常領域の平均画素値に基づいて、骨シンチグラムを正規化して正規化画像を生成する。これにより、異常領域の影響を受けずに複数の骨シンチグラムの画素値を揃えることができる。
【0127】
以下、調整部40について説明する。
【0128】
撮像画像内の患者の領域のサイズは、撮像する検出器(ガンマカメラ)および収集条件によって異なる。撮像画像内の各ピクセルにより表される領域の実サイズであるピクセルサイズは、(基準視野/マトリクスサイズ/拡大率)で表される。基準視野は、検出器の視野の正方形の一辺の長さである。マトリクスサイズは、撮像画像を構成するマトリクスのうち基準視野の一辺に対応するピクセル数である。骨シンチグラムにおける拡大率は通常1である。撮像条件データは、ピクセルサイズ、基準視野及びマトリクスサイズを含む。複数の骨シンチグラムの撮像において、検出器(ガンマカメラ)および収集条件の違いによる患者領域のサイズが互いに異なることにより、読影者は表示される複数の骨シンチグラムの間で部位の実サイズを比較することが困難になる。
【0129】
調整部40は、正規化画像記憶部35から正規化画像とそれに対応する撮像条件データとを読み出す。その後、調整部40は、正規化画像に対応する撮像条件データに基づいて、正規化画像が特定の基準視野になるように、例えばピクセルサイズの拡大又は縮小およびマトリクスサイズの変更を行うことにより、調整画像を生成し、調整画像を調整画像記憶部45へ保存する。これにより、調整画像の基準視野は一定になる。
【0130】
調整部40は、調整画像に対応する撮像条件データを修正画像記憶部25から読み出し、調整画像に関連付けて調整画像記憶部45へ保存する。
【0131】
特定の基準視野は、複数の骨シンチグラムの基準視野の中の、最新の基準視野であっても良い。また、特定の基準視野は、複数の骨シンチグラムの基準視野の中の、最も多い基準視野であっても良い。また、特定の基準視野は、予め設定された基準視野であっても良い。
【0132】
調整部40によれば、複数の骨シンチグラムの基準視野が一定になることにより、読影者は表示される複数の骨シンチグラム内の領域の実サイズを比較することができる。
【0133】
以下、変換部50について説明する。
【0134】
前述の正規化方法によれば、正規化カウント値を濃度として調整画像を表示することにより、正常骨領域のピクセルの濃度の範囲は揃えられる。但し、調整画像をそのまま表示しても、読影者による正常骨領域及びホットスポットの認識に適した濃度のスケールであるとは限らない。例えば、最大濃度に対応する正規化カウント値が高すぎると、正常骨領域のほとんどが白く表示され、読影者が表示された骨シンチグラム内の正常骨領域を認識できない場合がある。
【0135】
そこで、変換部50は、調整画像を表示する際、調整画像の正規化カウント値を適切なグレースケールの濃度に変換する。
【0136】
変換部50は、特定の飽和基準値がグレースケールの最大濃度に変換されるように、スケールレンジを決定する。飽和基準値は、特定の最大基準値に所定のレンジ係数を乗算した値である。最大基準値は例えば、前述の撮像画像データベースにおける骨シンチグラムを前述の正規化方法により正規化して得られる正規化カウント値に基づいて決定される。最大基準値は例えば、撮像画像データベースにおける最大の正規化カウント値と同じか大きい。レンジ係数は、0より大きく1より小さい。より好適な飽和基準値は、1000より大きく、撮像画像データベースにおける最大の正規化カウント値より小さい。
【0137】
図13は、スケールレンジを示す図である。この図において、横軸は調整画像のピクセルの正規化カウント値を示し、縦軸は調整画像のピクセルの濃度を示す。これにより、正規化カウント値がゼロであるピクセルの濃度は、ゼロの濃度で表示される。正規化カウント値が飽和基準値以上であるピクセルは、最大濃度で表示される。正規化カウント値がゼロより大きく飽和基準値より小さいピクセルは、その正規化カウント値に応じた階調、例えば直線階調またはログ階調等の曲線階調により表示される。
【0138】
変換部50によれば、調整画像の正規化カウント値を適切なグレースケールの濃度に変換することにより、読影者は表示された骨シンチグラム内の正常骨領域及びホットスポットを容易に認識することができる。なお、変換部50は、読影者による入力装置4の操作に基づいて、レンジ係数又は飽和基準値を調整しても良い。
【0139】
以下、生成部80について説明する。
【0140】
生成部80は、読影者による入力装置4の操作に基づいて、表示の対象となる患者と複数の検査日を特定する。調整画像記憶部45内の複数の調整画像から、特定された患者と検査日に対応する調整画像を選択する。生成部80は、表示装置5に表示するための表示画面を生成し、選択された調整画像を時系列に従って表示画面内に配置する。
【0141】
図14は、第1の表示態様を示す画面である。第1の表示態様による表示画面は、前面像を配置するための領域である前面像領域8100と、後面像を配置するための後面像領域8200とを有する。この例では、3個の調整画像セットが選択されたとする。生成部80は、選択された複数の調整画像セット内の複数の前面像8511、8521、8531を、前面像領域8100内の水平方向に検査日時順に並べ、選択された調整画像セット内の複数の後面像8512、8522、8532を、後面像領域8200内の水平方向に検査日時順に並べる。即ち、より新しい前面像は、前面像領域8100内のより右へ配置され、即ち、より新しい後面像は、後面像領域8200内のより右へ配置される。この時、生成部80は、並べられた複数の前面像8511、8521、8531の水平方向の中心を前面像領域8100内の水平方向の中心8101に合わせ、並べられた複数の後面像8512、8522、8532の水平方向の中心を後面像領域8200内の水平方向の中心8201に合わせる。前面像領域8100と後面像領域8200は、左右に配置されても良いし、上下に配置されても良い。生成部80は、表示画面内の前面像及び後面像の夫々に対し、調整画像セットに関連付けられた撮像条件データに基づいて、検査日を付しても良い。更に生成部80は、表示画面内の前面像及び後面像の夫々に対し、調整画像セットに関連付けられた特徴データに基づいて、転移可能性、BSI、高リスク部位数等を付しても良い。
【0142】
第1の表示態様によれば、撮影条件の違いによる影響が低減された前面像と後面像の夫々について、時系列に従って配置することにより、読影者は表示された骨シンチグラムの経時変化を容易に把握することができる。
【0143】
図15は、第2の表示態様を示す画面である。第2の表示態様による表示画面は、前面像と後面像のペアである調整画像セットを配置するための領域であるペア領域8300を有する。生成部80は、選択された調整画像セット8610、8620、8630を、領域8300内の水平方向に検査日時順に並べる。即ち、より新しい調整画像セットは、ペア領域8300内のより右へ配置される。この時、生成部80は、並べられた複数の調整画像セット8610、8620、8630の水平方向の中心をペア領域8300内の水平方向の中心8301に合わせる。ここで、調整画像セット8610は、前面像8511と後面像8512を有し、調整画像セット8620は、前面像8521と後面像8522を有し、調整画像セット8630は、前面像8531と後面像8532を有する。生成部80は、表示画面内の調整画像セットの夫々に対し、調整画像セットに関連付けられた撮像条件データに基づいて、検査日を付しても良い。更に生成部80は、表示画面内の調整画像セットの夫々に対し、調整画像セットに関連付けられた特徴データに基づいて、転移可能性、BSI、高リスク部位数等を付しても良い。
【0144】
第2の表示態様によれば、撮影条件の違いによる影響が低減された前面像と後面像の複数のペアを時系列に従って配置することにより、読影者は表示された骨シンチグラムの経時変化を容易に把握することができる。
【0145】
生成部80は、読影者による入力装置4の操作に応じて、第1及び第2の表示態様の何れかを選択しても良い。
【0146】
生成部80は、特徴データに示されている骨格部位の輪郭を、調整画像に重ねても良い。また、生成部80は、調整画像内の低リスク部位及び高リスク部位に夫々異なる色を付けても良い。
【0147】
生成部80は、表示画面内の各調整画像に転移可能性、BSI、高リスク部位数等の特徴データを付すことにより、読影者は、特徴データの経時変化を知ることができる。
【0148】
画像処理装置1は、調整画像を解析する解析部を有していても良い。この場合、解析部は、特徴データ記憶部36内の特徴データを用いて、複数の検査で得られた調整画像内の特定の骨格部位を比較しても良い。また、解析部は、特徴データ記憶部36内の特徴データを用いて、複数の検査で得られた調整画像内の特定のホットスポットの時系列を関連付けても良い。解析部が撮影条件の違いによる影響が低減された複数の調整画像を解析することにより、複数の撮像画像を解析する場合に比べて、解析の精度を向上させることができる。
【0149】
画像処理装置1は、前述の撮像画像データベースを有していても良い。また、画像処理装置1は、撮像画像記憶部10に格納されている撮像画像のうち、所定条件を満たす撮像画像を撮像画像データベースへ登録しても良い。
【0150】
用語について説明する。計算ステップ及び判定ステップは例えば、処理S2020に対応する。変更ステップは例えば、処理S2040に対応する。特定範囲は例えば、規格範囲に対応する。特定値は例えば、基準評価値に対応する。記憶手段は例えば、記憶部70に対応する。計算手段と判定手段と変更手段は例えば、修正部20に対応する。正規化手段は例えば、正規化部30に対応する。表示制御手段は例えば、表示制御部60に対応する。変更手段は例えば、修正部20に対応する。特定領域は例えば、ホットスポットに対応する。サイズ情報は例えば、撮像条件データに対応する。基準値は例えば、飽和基準値に対応する。第1領域は例えば、前面像領域8100に対応する。第2領域は例えば、後面像領域8200に対応する。別の被験者の体内の放射性薬剤の分布状態が撮像された画像、別の画像ペアは例えば、撮像画像データベースに対応する。特定範囲は例えば、規格範囲に対応する。特定値は例えば、基準評価値に対応する。正規化ステップは例えば、処理S30に対応する。表示制御ステップは例えば、処理S60に対応する。
【0151】
上述した本発明の実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。例えば、上述の実施形態では骨シンチグラムを対象としているが、これ以外にもCT、MRI、SPECT、PET、X線(レントゲン)などの画像を対象としても良い。
【符号の説明】
【0152】
1 :画像処理装置
4 :入力装置
5 :表示装置
10 :画像処理装置本体
15 :撮像画像記憶部
20 :修正部
25 :修正画像記憶部
30 :正規化部
35 :正規化画像記憶部
36 :特徴データ記憶部
40 :調整部
45 :調整画像記憶部
50 :変換部
60 :表示制御部
70 :記憶部
80 :生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図8
図10
図11
図12
図13
図6
図7
図9
図14
図15