(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013043
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】3−O−エチルアスコルビン酸を配合した皮膚外用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/67 20060101AFI20161011BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20161011BHJP
A61K 8/20 20060101ALI20161011BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20161011BHJP
A61Q 19/02 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
A61K8/67
A61K8/73
A61K8/20
A61K8/86
A61Q19/02
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-145248(P2012-145248)
(22)【出願日】2012年6月28日
(65)【公開番号】特開2014-9172(P2014-9172A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2015年6月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113470
【氏名又は名称】ポーラ化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100549
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 嘉之
(74)【代理人】
【識別番号】100126505
【弁理士】
【氏名又は名称】佐貫 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100131392
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 武司
(74)【代理人】
【識別番号】100151596
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 俊明
(72)【発明者】
【氏名】畑野 利江
(72)【発明者】
【氏名】飯田 隆
【審査官】
岩下 直人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−284623(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/67
A61K 8/20
A61K 8/73
A61K 8/86
A61Q 19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)3−O−エチルアスコルビン酸を組成物全量に対して0.1〜3質量%と、2)アルギン酸及び/又はその塩を組成物全量に対して0.03〜3質量%と、3)多価金属塩を前記アルギン酸及び/又はその塩に対して2〜20質量%と、4)ポリオキシブチレンポリグリセリンモノアルキル(モノアルケニル)エーテルを組成物全量に対して0.1〜0.5質量%とを含有することを特徴とする皮膚外用組成物。
【請求項2】
前記多価金属塩が塩化カルシウムであることを特徴とする請求項1に記載の皮膚外用組成物。
【請求項3】
乳化組成物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の皮膚外用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚に対して優れた美白効果を有するアスコルビン酸誘導体にアルギン酸を配合することにより、製剤の粘度が格段に高くなり、使用感触および製剤安定性に優れた皮膚外用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アスコルビン酸及びアスコルビン酸誘導体は、皮膚のシミ、ソバカス、日焼けの原因であるメラニンの生成に関与するチロシナーゼを阻害する。また、体内の結合組織を構成するコラーゲン合成を高める作用を有し、皮膚のシワ、たるみを防ぎ、かつ改善し、化粧料として有用な薬剤である。
【0003】
中でも、3位の水酸基を低級アルキル基や低級アルキルカルボニル低級アルキル基などのアルキル基で置換した3−O−置換アスコルビン酸誘導体は、アスコルビン酸より安定でありかつ抗酸化作用を示し、食品及び化粧品の品質劣化防止に有用である他、ラジカル消去作用に基づき医薬品としても有用である。また、この他に癌転移防止作用などの医薬としての有用性が知られている。とりわけ皮膚外用組成物においては、3−O−置換アスコルビン酸誘導体の中では、水溶性に優れ、かつ安定性が高く、合成法も容易(例えば特許文献1)な3−O−エチルアスコルビン酸が汎用されている。
【0004】
しかしながら、3−O−エチルアスコルビン酸を皮膚外用組成物に配合した場合、その特性により、高分子が持つ増粘作用を低下させ、製剤の粘性を低下させ、皮膚外用組成物として、とりわけ化粧料として非常に重要な要素となる使用感触および製剤安定性において、極めて好ましくない状況であった。しかしながら、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体やキサンタンガム等は、若干の粘性を付与することが知られている(特許文献2)。ただし、この程度の粘性付与においては、50℃での高温放置下あるいは経時的変化において、粘度が減少し、使用感触および製剤安定性において、望ましい状況は得られず、課題が存在した。
【0005】
【特許文献1】特開平成8-134055号公報
【特許文献2】特開2002−284623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
皮膚に対して優れた美白効果を有する3−O−エチルアスコルビン酸を配合した、製剤の粘度が高く、使用感触および製剤安定性に優れた皮膚外用組成物の提供を課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、化粧品分野で使用できうる高分子を組み合わせて使用し、新たな皮膚組成物を目指して鋭意研究した結果、以下に示すような皮膚外用組成物が、製剤の粘度が高く、使用感触および製剤安定性に優れていることを見出し、本発明を完成させた。すなわち本発明は以下に示すとおりである。
【0008】
(1)1)3−O−エチルアスコルビン酸と、2)アルギン酸又はその塩と、3)多価金属塩を含有することを特徴とする皮膚外用組成物。
(2)前記多価金属塩が塩化カルシウムであることを特徴とする(1)に記載の皮膚外用組成物。
(3)ポリオキシブチレンポリグリセリンモノアルキル(モノアルケニル)エーテルを含有することを特徴とする、(1)又は(2)に記載の皮膚外用組成物。
(4)乳化組成物であることを特徴とする(1)〜(3)何れか1つに記載の皮膚外用組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、製剤の粘度が格段に高くなり、使用感触および製剤安定性に優れた新たな皮膚外用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)本発明の必須成分である3−O−エチルアスコルビン酸
本発明に用いられる3−O−エチルアスコルビン酸は、一般に抗酸化作用を有し、発ガン抑制作用、癌転移抑制作用、美白作用などが認められている。3−O−エチルアスコルビン酸としては、L−3−O−エチルアスコルビン酸が好適に用いられる。特開平8−134055に記載の公知の方法で合成することも出来る。市販品(日本精化製「VCエチル」)があるので、これらを入手して使用することが可能であり、好ましい。本発明の皮膚外用組成物に於ける、かかる3−O−エチルアスコルビン酸
の含有量は、皮膚外用
組成物全量に対して、0.1〜
3質量%であり
、好ましくは、0.5
〜1.5質量%である。
【0011】
(2)本発明の必須成分であるアルギン酸
及び/又はその塩
アルギン酸及び/ 又はその塩は、化粧料などの皮膚外用組成物、食品などの分野で水溶
性の増粘成分として広く使用されている。これらには、増粘の程度によって幾つかのグレードが存する。超低粘度品、高純度品、高粘度品などのグレードが例示できる。その塩としては、通常知られているものであれば、特段の限定無く適用することが出来、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩、トリエチルアミン塩等の有機アミン塩類、リジン塩、アルギニン塩等の塩基性アミノ酸塩等が好ましく例示できる。超低粘度品などでは1質量
%における粘度は、100〜200cp程度であり、高純度品では300〜700cp程度であり、高粘度品では900〜1200cp程度であると言われている。この粘度範囲であれば、本発明の皮膚外用組成物に於いては特段の限定無く使用することが出来る。本発明の皮膚外用
組成物では、1質量%の水溶液の1気圧20℃の粘度が10〜1500cpのものであれば、特段の限定無く許容できると言える。好ましい粘度は、この条件下で200〜1000cpのものである。本発明の皮膚外用組成物に於いては、かかるアルギン酸及び/又はその塩は唯一種を含有せしめることも出来るし、二種以上を組み合わせて含有せしめることも出来る。本発明の皮膚外用組成物に於ける、かかるアルギン酸及び/又はその塩
の含有量は、総量で、皮膚外用
組成物全量に対して、
0.03〜3質量%で
ある。
【0012】
(3)本発明に必須の多価金属塩
多価金属塩は、アルギン酸又はアルギン酸塩を架橋させて、粘度を高めることができるため、重要な成分となる。例えば、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、亜鉛塩、アルミニウム塩等の中性金属塩、マンガン塩、鉄塩、ニッケル塩等の遷移金属塩が好ましく例示できる。中でも、カルシウムを対イオンとする形態、例えば塩化カルシウムがより好ましい。本発明の皮膚外用組成物に於ける、かかる多価金属塩
の含有量は、アルギン酸又はアルギン酸塩の含有量に対して、総量で2〜20質量%(アルギン酸又はアルギン酸塩の含有量を100とした場合、多価金属塩が2〜20の比)
、好ましくは、5〜10質量%(アルギン酸又はアルギン酸塩の含有量を100とした場合、多価金属塩が5〜10の比)である。
【0013】
(4)本発明に
必須のポリオキシブチレンポリグリセリンモノアルキル(モノアルケニル)エーテル
本発明の皮膚外用組成物は、ポリオキシブチレンポリグリセリンモノアルキル(モノアルケニル)エーテルを必須成分として含有することを特徴とする。ポリオキシブチレンポリグリセリンモノアルキル(モノアルケニル)エーテルはモノアルキル(モノアルケニル)グリセリルエーテルにグリシドールとテトラヒドロフランとを開環重合させることにより得られる化合物であり、かかる化合物のアルキル基或いはアルケニル基としては炭素数1
0〜24のものが好ましく、中でもラウリル基、ミリルチル基、パルミチル基、ステアリル基、オレイル基或いはベヘニル基などが好適に例示でき、中でもステアリル基とオレイル基が特に好ましい。又、ポリグリセリン、ポリオキシブチレンの付加モル数は、それぞれ10〜20が好ましく、10〜16が更に好ましい。かかる化合物は上記の如く製造して用いることもできるが、既にこの様な化合物は市販されているのでそれを用いることもできる。市販品の内、特に好ましいものはアルキル(アルケニル)基がステアリル基であり、ポリグリセリンの付加モル数が平均13、ポリオキシブチレンの付加モル数が平均14である「ハイグリオールS−26(日光ケミカルズ株式会社)」である。かかるポリオキシブチレンポリグリセリンモノアルキル(モノアルケニル)エーテルは唯一種を含有することもできるし、2種以上を組み合わせて含有させることもできる。かかるポリオキシブチレンポリグリセリンモノアルキル(モノアルケニル)エーテルの好ましい含有量は、総量で0.05〜5重量%であり、更に好ましくは0.1〜0.5重量%である。
【0014】
(5)本発明の皮膚外用組成物
本発明で言う皮膚外用組成物とは、皮膚に外用で投与されるものであれば特段の限定はなく、例えば、医薬部外品を包含する化粧料、皮膚外用雑貨等が好適に例示できる。これらの内では、化粧料が特に好ましい。又、本発明の皮膚外用組成物は、通常知られている、ローション剤形、乳液剤形、エッセンス剤形、クリーム剤形、粉体含有剤形の何れをも取ることが出来る。化粧料としては、基礎化粧料、毛髪化粧料、メークアップ化粧料の何れもが適用可能であるが、基礎化粧料に適用することが特に好ましい。
【0015】
このようにして得られた皮膚外用組成物は、製剤の粘度が格段に高くなり、使用感触および製剤安定性に優れた新たな皮膚外用組成物となりうる。
【0016】
本発明の皮膚外用組成物に於いては、前記の成分以外に、通常化粧料や皮膚外用医薬で使用される任意成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボカド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類、流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類、オレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)
、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)
、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類、グアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、カロニン酸,キチン、キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト等の増粘剤、表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類、表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類、レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4'−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB
6塩酸塩、ビタミンB
6トリパルミテート、ビタミンB
6ジオクタノエート、ビタミンB
2又はその誘導体、ビタミンB
12、ビタミンB
15又はその誘導体等のビタミンB類、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類などが好ましく例示できる。
【実施例】
【0017】
<製造例1>本発明の皮膚外用組成物の製造
以下に示す処方に従って、本発明の乳化組成物である、乳液を作製した(実施例1)。すなわち、(A)の各成分を混合し70℃で加熱溶解した。一方(B)の各成分を混合溶解して80℃に加熱した。(A)の混合物に(B)を加えて撹拌して乳化させた。その後、40℃まで撹拌、冷却し、(C)を混合し、(D)を混合し、最後に(E)を混合し、皮膚外用組成物を得た。実施例1のうち、アルギン酸ナトリウムと塩化カルシウムの両方の含有量を変えた実施例2〜5、比較例1、2を、塩化カルシウムの含有量を変えた実施例6、7、比較例3、4を、3−O−エチルアスコルビン酸の含有量を変えた実施例8、9、比較例5、6、ハイグリオールS−26の含有量を変えた実施例10、11も同時に調整した。さらに、実施例1のうち、アルギン酸ナトリウムを他の高分子に換えた比較例7、8、ハイグリオールS−26を他の界面活性剤に換えた比較例9も同時に調製した。表1、2に示す。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
<試験例1>皮膚外用組成物の外観、色、においの評価
製造例1で調製した皮膚外用組成物を、20℃に1日保管し、外観の評価を行った。その後、50℃に保管し、1ヶ月後に、外観、色、においの評価を行った。ただし評価を行う前日に、50℃に保管した皮膚外用組成物を20℃に24時間保管し、これを評価した。外観においては、絶対評価を、色、においに関しては、5℃で別途保管していたものと比較評価した。各評価の基準は以下に示す。結果は表1、2に示す。
【0021】
<外観評価>
0 : きれいに乳化している。
1 : 乳化しているが、乳化粒子が大きくなり、透明感が強くなっている。
2 : 乳化不良が見られる(全体の5%未満)。
3 : 乳化が破壊され、油が分離している。
【0022】
<色、におい評価>
0 : 5℃と同じである。
1 : 5℃と比較して、わずかに違いが見られる。5℃と比較しないと分らない程度である。
2 : 5℃と比較して、違いが見られる。5℃と比較しなくても、容易に分かる程度である。
3 : 変色あるいは変臭が著しい。皮膚外用組成物として適当でない。
【0023】
<試験例2>皮膚外用組成物の粘度測定
製造例1で調製した皮膚外用組成物を、20℃に1日保管し、粘度測定を行った。その後、50℃に保管し、1ヶ月後に、再度粘度測定を行った。ただし評価を行う前日に、50℃に保管した皮膚外用組成物を20℃に24時間保管したものを測定した。粘度測定においては、B型粘度計3号ローター毎分6回転の条件で測定した(単位:mPa・s)。結果を表1、2に示す。
【0024】
<試験例3>皮膚外用組成物の使用感触評価
粘度測定を行った試験サンプルの塗布時の使用感に関してアンケートを行った。評価基準を以下に示した。また5名で最も多い結果を表1、2に示す。
A : ベタツキ感がなく、とてもよい使用感である。
B : ベタツキ感を若干感じるが、比較的よい使用感である。
C : ベタツキ感を感じ、悪い使用感である。
D : ベタツキ感をかなり感じ、非常に悪い使用感である。皮膚外用組成物として適当でない。
【0025】
表1、2の結果より、本発明によれば、製剤の粘度が格段に高くなり、使用感触および製剤安定性に優れた新たな皮膚外用組成物を提供することがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、使用感触および製剤安定性に優れた新たな皮膚外用組成物に適用できる。