(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
pH7〜11の範囲で分散した酸化チタン分散液を、pH7以上、温度50〜100℃の範囲で水酸化錫層を被覆することを特徴とする請求項11記載の白色導電性粉末の製造方法。
pH7〜11の範囲で分散した酸化チタン分散液を、pH2未満、温度50〜100℃の範囲で水酸化錫層を被覆することを特徴とする請求項12又は13記載の白色導電性粉末の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の白色導電性粉末を樹脂に練り込んで導電膜として使用する場合、その面方向における抵抗値のばらつきが小さいことが望まれており、その面内ばらつきの低減のためにさらなる改善が求められている。また、白色導電性粉末は長期にわたる環境安定性を有していること、更には光触媒活性を有して、有機ガスの放出がないことが要求される。
本発明は、上記事情に鑑み提案されたもので、樹脂に対する分散性が良好で、導電膜としたときの抵抗値の面内ばらつきを小さく抑えることができ、且つ導電性に優れ、我々が新たに見出した酸化錫層が光触媒活性も有する白色導電性粉末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の白色導電性粉末は、酸化チタン粒子の表面に酸化錫の被覆層を備えた白色導電性粉末であって、前記酸化チタンに対する前記酸化錫の質量比が0.5〜1.2であり、前記酸化錫中の水分含有率が2.0質量%以上4.6質量%以下であることを特徴とする。
また、本発明の白色導電性粉末は、酸化チタン粒子の表面に酸化錫の被覆層を備えた白色導電性粒子と、酸化錫よりなる導電性粒子とを含む白色導電性粉末において、前記酸化チタンに対する前記酸化錫の質量比が0.5〜1.2であり、前記
被覆層における酸化錫中の水分含有率が2.0質量%以上4.6質量%以下であることを特徴とする。
さらに、本発明の白色導電性粉末は、酸化チタン粒子の表面に酸化錫の被覆層を備えた白色導電性粒子と、酸化錫よりなる導電性粒子とを含む白色導電性粉末において、前記白色導電性粒子の多くが前記酸化錫の被覆層を介して前記導電性粒子と接合され、前記酸化チタンに対する前記酸化錫の質量比が0.5〜1.2であり、前記
被覆層における酸化錫中の水分含有率が2.0質量%以上4.6質量%以下であることを特徴とする。
【0006】
白色導電性粉末は、導電性付与のために熱処理によって酸化錫に酸素欠損を生じさせており、表面の活性が強い状態となっている。このため、樹脂への分散性が低下し、導電膜の面内における抵抗値のばらつきとなっていると考えられる。
本発明の白色導電性粉末は、所定量の水分を、被覆層の酸化錫に吸着・吸蔵させたことにより、白色導電性粉末の表面の活性を和らげて表面状態を安定化させることができ、樹脂への良好な分散性を有するものである。本発明の白色導電性粉末を用いることにより、表面抵抗値の面内ばらつきの小さい導電膜を得ることができる。
【0007】
この場合、酸化錫中の水分含有率が2.0質量%未満あるいは4.6質量%を超えると、樹脂への分散性を向上して導電膜の抵抗値を安定させる効果に乏しい。また、酸化錫中の水分含有率が4.6質量%を超えると、疎水性の樹脂との練り込みにおいて、余分な水分が阻害となり、樹脂との分散性がさらに悪くなる。このため、酸化錫中の水分含有率を2.0質量%以上4.6質量%以下とした。なお、この水分は酸化錫中に含まれる。
白色導電性粉末中の酸化チタンに対する酸化錫の質量比が0.5未満であると、白色導電性粉末の導電性および光触媒活性が低くなり、1.2を超えると、白色導電性粉末のLab表色系におけるL値が低くなり過ぎる場合があり、白色度が求められる場合に好ましくない。
さらに、酸化チタン粒子としては、結晶構造についてはルチル型でもアナターゼ型等のいずれでもよいが、白色度を求める場合は、ルチル型が好ましい。光触媒活性を求める場合には、アナターゼ型が好ましいが、本発明の新に見出した特異的な酸化錫層には光触媒活性があるため、ルチル型で十分である。
酸化チタン粒子の表面に酸化錫の被覆層を備えた白色導電性粒子単独でも良いが、白色導電性粒子よりも小粒子径の酸化錫粒子を含ませることにより、次の利点が得られる。
酸化錫粒子が白色導電性粒子より大きい場合は、L値の低下をもたらす為好ましくないが、白色導電性粒子よりも小さい粒子を添加した場合、白色導電性粒子の間隙に酸化錫粒子が入り込むため、L値の低下が生じにくい。さらに、膜を形成した際、酸化チタンに被覆された導電性の被覆層同士のみの場合よりも、白色導電性粒子の間隙に酸化錫が入り込むことにより、被覆層と酸化錫粒子が密度の高い導電層を形成し、導電性を向上させることができる。
【0008】
本発明の白色導電性粉末において、白色導電性粉末に含有されている水分は、全水分の55
質量%以下が物理的な吸着水であるとよい。
被覆層に吸着・吸蔵された水分は100℃未満の環境でのみ存在する物理吸着水分と100℃以上にても安定に存在する化学吸着・吸蔵水分とよりなるが、白色導電性粉末の長期にわたる化学的環境安定性を考えると100℃以上で安定な化学吸着・吸蔵水分の割合を高めることが望ましい。化学的な環境安定と経済合理性から、100℃未満で離脱する可能性がある物理的な吸着水は、
白色導電性粉末に含有されている全水分に対して55
質量%以下にすることが望ましい。
【0009】
本発明の白色導電性粉末において、体積抵抗率が2×10
4Ω・cm以下であるとよい。
導電材料のため、体積抵抗率は低い方が好ましい。本発明の白色導電性粉末は、導電膜としたときの抵抗値のばらつきが小さいので、粉末の体積抵抗率としては2×10
4Ω・cm程度までは実用上問題なく使用することができる。
【0010】
本発明の白色導電性粉末において、BET法による比表面積が42m
2/g以上55m
2/g以下であるとよい。
BET法による比表面積が42m
2/g未満または55m
2/gを超えると、膜の外観が悪化し、グロス(光沢度)も低下するおそれがある。
【0011】
本発明の導電性粉末において、前記酸化錫被覆層および/または前記導電性粒子に
リン(P)が含有されているとよい。
酸化錫被覆層および/または導電性粒子にPを含有させることは、抵抗値の低減に有効であり、導電性をより安定させることができる。
【0012】
本発明は、上記の白色導電性粉末を
分散媒に分散させてなる分散液、その分散液とバインダーとを含有する塗料、その塗料を塗布してなる
膜とすることができる。
【0013】
本発明の白色導電性粉末の製造方法は、酸化チタン粒子の表面に水酸化錫を被覆した被覆酸化チタン粉末、または前記被覆酸化チタン粉末と水酸化錫粉末との混合粉末を前駆体粉末とし、前記前駆体粉末を不活性雰囲気下で加熱することにより、前記酸化チタン粒子の表面に導電性を有する酸化錫被覆層を形成し、前記水酸化錫粉末から酸化錫を形成する熱処理工程と、該熱処理工程後に加湿された雰囲気下、150℃以下の温度に60時間以下保持して水分を含有させる加湿工程とを実施することを特徴とする。
【0014】
加湿工程が、150℃を超える温度の場合、または、60時間を超える場合、白色導電性粉末における酸化錫中の水分含有量が過剰となること、さらに、窒素雰囲気下で焼成することにより発現させた酸素欠陥が大幅に減少することで、粉体の体積抵抗率が高くなる弊害が生じる。
【0015】
本発明の白色導電性粉末の製造方法において、前記加湿工程の後に、減圧下で乾燥させる減圧乾燥工程を有するとよい。
酸化錫中の水分含有量が多いと樹脂への分散性が悪くなる傾向があるため、加湿工程で水分を多く含有した場合は、減圧乾燥により物理吸着した水分を除去することにより、水分含有量を調整する。また、加湿工程での水分含有量が上記の適切な範囲内であった場合でも、減圧乾燥工程を経ることにより、白色導電性粉末の分散性が良くなり、膜グロスが向上する。
減圧乾燥工程は、物理吸着の水成分を除去する目的から、100℃以下で実施されるとよい。
【0016】
本発明の白色導電性粉末の製造方法において、前記熱処理工程は、600℃以上700℃以下の温度で実施するとよい。
熱処理温度が600℃未満であると、導電性粉末のBET比表面積が増大する傾向がある。700℃を超えると、BET比表面積が過度に小さくなる傾向がある。
【0017】
本発明の白色導電性粉末の製造方法において、前記加湿工程は、50〜150℃の温度で実施されるとよく、100〜150℃の温度で実施されるとより好ましい。
本発明の白色導電性粒子は、比表面積が大きい為、製造工程中に大気中に含有する有機成分を吸着しやすく、このため、加湿工程で50℃未満であると、この有機成分を除去することができない。
【0018】
本発明の白色導電性粉末の製造方法において、前記加湿工程は、大気雰囲気下で実施されるとよい。
導電性付与のために窒素雰囲気の熱処理によって酸化錫に酸素欠損を生じさせており、この表面の活性が強い状態になっているが、加湿工程を大気雰囲気下で実施する事により、より一層、活性を和らげる効果があり、樹脂への分散性が向上し、導電膜の面内における抵抗値のばらつきを改善する。
【0019】
本発明の白色導電性粉末の製造方法において、pH7〜11の範囲で分散した酸化チタン分散液を、pH7以上、温度50〜100℃の範囲で水酸化錫層を被覆すると、酸化チタン粒子に酸化錫層が被覆された白色導電性粒子が得られる。
一方、pH7〜11の範囲で分散した酸化チタン分散液を、pH2未満、温度50〜100℃の範囲で水酸化錫層を被覆すると、白色導電性粒子と酸化錫単独の粒子の混合体を得ることができ、白色度を低下させることなく、導電性を向上させることができる。この製造方法を実施することで、酸化錫単独粒子と白色導電性粒子を混合する工程を省くことが可能である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の白色導電性粉末は、樹脂に対する分散性が良好であり、この白色導電性粉末を用いて形成した導電膜において、表面抵抗値の面内ばらつきを小さく抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に基づいて具体的に説明する。なお、含有量を示す単位の“%”は、特に示さない限り、質量%である。
【0023】
〔白色導電性粉末〕
本実施形態の白色導電性粉末は、酸化チタン粒子と、酸化チタン粒子の表面を被覆する酸化錫被覆層とを具備しており、酸化錫からなる導電性粒子が混合している場合もある。
酸化チタン粒子は、アナターゼ型構造、ブルッカイト型、ルチル型構造のいずれでもよいが、ルチル型酸化チタンは屈折率nが高く(ルチル型 n=2.72 アナターゼ型 n=2.52)、白色度が優れるため、隠ぺい力を求める分野には好ましい。
この酸化チタン粒子の一次粒子径は、樹脂などに分散したときに良好な分散性を得るために250nm以下が好ましい。ここで、一次粒子径は、酸化チタンを走査電子顕微鏡等で観察される粒子径である。一次粒子径が250nmを超えていると、白色導電性粉末のBET比表面積が小さくなり、導電膜にしたときの外観が悪化し、グロスも低下するおそれがある。
なお、一次粒子径が100nm未満であると、酸化チタン粒子および/または白色導電性粉末の凝集の問題が生じ、また多量の導電層用材料(すなわち、酸化錫)が必要になってコスト高になるため、100nm以上の一次粒子径が好ましい。さらに、酸化チタンの隠蔽力は、酸化チタンの一次粒子径において200〜300nmが最も優れている。100nm以下であると、隠蔽力がなくなり、また、500nm以上でも隠蔽力がなくなる。
酸化チタン粒子の形状は、特に限定されるものではないが、膜の美観(光沢度)の観点から、鱗片状より、球状、棒状等が好ましい。
【0024】
酸化錫被覆層は、白色導電性粉末に導電性を付与するもので、酸化チタン粒子の表面に酸化錫粒子が付着して形成されたものである。導電性の点から、酸化錫被覆層および導電性粒子を形成する酸化錫粒子は、その一部が還元されて組成式がSnO
1.2〜2.0であることが好ましい。また、酸化錫粒子は、リン、フッ素、塩素等でドープされていることがより好ましい。これにより、還元されている酸化錫粒子の導電性等を安定化させることができる。特に酸化錫粒子は、リン(P)でドープされていることが最も好ましい。これにより、白色導電性粉末の体積抵抗率を低減して導電性をより安定させることができる。また、リンドープにより優れた光触媒活性も得られる。酸化錫粒子が、酸化錫とリンとの合計:100質量部に対して、リンを0.1〜10質量部含むことが好ましく、リンの含有量は1〜10質量部がより好ましい。ここで、リンの定量は、ICP発光分光分析法によりSnとPの含有量を測定し、SnはすべてSnO
2として存在すると仮定して酸化錫の含有量を算出し、酸化錫粒子中のPの含有量を算出することにより、行うことができる。
上記条件を満たす量のリンを含有することにより、無添加のものに比べ、粉体体積抵抗率を1/10〜1/20程度低くすることができる場合がある。
なお、環境汚染防止の観点から、酸化錫粒子はアンチモン、インジウムを含まないものとする。
酸化錫粒子の一次粒子径は、導電性、膜強度等の観点から、5〜100nmが好ましく、10〜30nmがより好ましい。
なお、酸化チタン粒子上への酸化錫粒子のコーティングを均一にするために、酸化錫粒子中にAl、Si、MgおよびZnをそれぞれ1質量%未満含有していてもよい。
【0025】
白色導電性粉末中の酸化錫と酸化チタンの質量比は、酸化錫/酸化チタン=0.5〜1.2であることが好ましく、0.60〜0.85がより好ましい。酸化錫の割合が少な過ぎる(酸化錫/酸化チタンが0.5未満)と、白色導電性粉末の導電性および光触媒活性が低くなる場合がある。酸化錫の割合が多過ぎる(酸化錫/酸化チタンが1.2超)と、白色導電性粉末のLab表色系におけるL値が低くなり過ぎる場合があり、白色度が求められる場合に好ましくない。酸化錫と酸化チタンの定量は、以下の方法により行われる。ICP発光分光分析法によりSnとTiの含有量を測定する。次いで、SnはすべてSnO
2として存在し、TiはすべてTiO
2として存在すると仮定して、酸化錫及び酸化チタンの含有量を算出する。
なお、白色導電性粉末は、酸化チタン粒子の表面に酸化錫被覆層が形成されたもの(白色導電性粒子と称す)と、酸化錫よりなる導電性粒子とが混合している場合も、酸化錫と酸化チタンの質量比は、酸化錫/酸化チタン=0.5〜1.2とされる。
【0026】
白色導電性粉末中の白色導電性粒子の平均粒子径は、特に限定されないが、導電性の点から、110〜1000nmが好ましく、500〜1000nmがより好ましく、600〜900nmが最も好ましい。白色導電性粒子の形状は、粒状、棒状が好ましい。
なお、白色導電性粒子から走査型電子顕微鏡(SEM)により、酸化チタン粒子及び酸化錫粒子を観察することができ、これらの粒子径を測定することができる。
白色導電性粉末のBET法による比表面積は、42m
2/g以上55m
2/g以下とされる。この比表面積が42m
2/g未満または55m
2/gを超えると、導電膜としたときの膜の外観が悪化し、グロス(光沢度)も低下するおそれがある。
【0027】
本発明の白色導電性粉末は、酸化錫中に水分を含有しており、酸化錫中の水分含有率が2.0質量%以上4.6質量%以下である。酸素欠損により活性の強い白色導電性粉末の表面の活性を水分により和らげて表面状態を安定化させるので樹脂への分散性が良好で、樹脂と練り込んで導電膜としたときに、表面抵抗値の面内ばらつきを小さく抑えることができる。さらに、製造工程において、白色導電性粉末が、大気中に存在する微量の有機成分等を吸着する可能性がある。加湿処理工程を経ることで、その微量の有機成分を除去することができる。故に、当該白色導電性粉末を含有する膜は、加熱された際に有機成分が再放出されることがない為、電子部品等の信頼性が得られる。
酸化錫層が酸化チタン粒子の表面全体を被覆しているため、白色導電性粉末中の水分は、酸化チタン粒子中には存在せず、酸化錫中に含まれる。この白色導電性粉末における酸化錫の水分含有量の測定は、TG−DTA(示差熱・熱重量同時測定)法等による乾燥減量を測定することにより白色導電性粉末全体の水分量を測定するとともに、ICP発光分光分析法により白色導電性粉末中の酸化錫の量を測定し、水分が酸化錫に含有されるものとして、酸化錫中の水分含有率を算出することにより、行うことができる。また、簡易な電子式水分計を用いても測定することができる。
この場合、酸化錫中の水分含有率が2.0質量%未満あるいは4.6質量%を超えると、樹脂への分散性を向上して導電膜の抵抗値を安定させる効果に乏しい。また、4.6質量%を超えていると、疎水性の樹脂との練り込みにおいて、余分な水分が阻害となり、樹脂との分散性がさらに悪くなる。このため、酸化錫中の水分含有率を2.0質量%以上4.6質量%以下とした。この水分含有率は、好ましくは2.4質量%以上3.8質量%以下であり、さらに好ましくは2.8質量%以上3.5質量%以下である。
【0028】
白色導電性粉末の導電性は、粉体体積抵抗率を測定することにより評価することができる。
白色導電性粉末の粉体体積抵抗率は、本実施形態の白色導電性粉末で想定される用途では、導電膜として10
11Ω/□(Ω/sq)以下の表面抵抗値を得るために、2×10
4Ω・cm以下であることが好ましく、5×10
3Ω・cm以下であることが、より好ましい。ここで、粉体体積抵抗率の測定は、試料粉末を圧力容器に入れて10MPaで圧縮し圧粉体を作製し、この圧粉体の抵抗率をデジタルマルチメータによって測定することにより行うことができる。
【0029】
なお、本実施形態の白色導電性粉末においては、酸化錫層(酸化錫粒子)がアンチモン及びインジウムを含まないので、環境汚染を生じる懸念がない。また、アンチモン、インジウムを含まないので、白色導電性粉末を低コストで製造できる。なお、本実施形態において、アンチモン及びインジウムを含まないとは、アンチモン及びインジウムの原料を使用せずに製造されたことを意味し、検出限界が500ppmの標準的な分析装置によって、これらの元素が検出されないことをいう。
【0030】
〔白色導電性粉末の製造方法〕
本実施形態の白色導電性粉末の製造方法を説明する。
まず、酸化チタン粒子の表面上に、加水分解法により水酸化錫化合物を析出させる。次いで、この酸化チタン粒子の表面に水酸化錫化合物を析出させた被覆酸化チタン粉末、または被覆酸化チタン粉末と水酸化錫粉末との混合粉末を前駆体粉末として作製し、この前駆体粉末を乾燥し、不活性ガス雰囲気下で焼成(熱処理)する。この熱処理により得られた一次粉末に水分を含有させることにより、白色導電性粉末を製造することができる。
【0031】
詳細な製造方法の例を以下に示す。
酸化チタンを水に投入し、分散させて、スラリーを得る。このとき、分散剤として、珪酸ソーダ、ヘキサメタリン酸ナトリウム等を添加してもよい。酸化チタン粒子を分散させる程度は、分散機の分散強度、分散時間で調整することができる。酸化チタンの等電点の観点から、pH7以上で分散するのが好ましい。また、水中の電解質濃度が高くなると、分散が不良となるため、pH11以下で分散するのが好ましい。
【0032】
次に、分散させた酸化チタン粒子に水酸化錫を被覆させる。水酸化錫の原料としては、塩化錫などのハロゲン化錫、酸化錫、水酸化錫、錫の硫酸塩、硝酸錫などの錫の無機酸塩(第一錫塩、第二錫塩)などが挙げられ、これらを単独で或いは2種以上混合して用いてもよい。第一錫塩としては、フッ化第一錫、塩化第一錫、ホウフッ化第一錫、硫酸第一錫、酸化第一錫、硝酸第一錫、ピロリン酸錫、スルファミン酸錫、亜錫酸塩などの無機系の塩、アルカノールスルホン酸第一錫、スルホコハク酸第一錫、脂肪族カルボン酸第一錫などの有機系の塩などが挙げられる。第二錫塩としては、上記第一錫塩のそれぞれの第二錫塩が挙げられるが、気体であるもの、難溶性のものなどがある。このため、水酸化錫化合物の原料としては、液体である塩化第二錫または塩化第一錫を用いるのが一般的である。特に、塩化第二錫または塩化第一錫の塩酸水溶液を用いることが、工業的にも望ましい。水酸化錫化合物は、原料を加水分解させることによって得ることができ、この方法は、当業者に公知の方法でよい。具体的には、塩化錫水溶液とアルカリ水溶液を混合して加水分解させることにより、水酸化錫化合物は得られる。このため、以下の方法により、酸化チタン粒子に水酸化錫を被覆させる。分散処理によって得られた酸化チタン粒子スラリーを攪拌しながら、水酸化物の原料となる化合物の溶液とアルカリ溶液をスラリー中に滴下して加水分解させる。これにより、酸化チタン粒子表面上に水酸化錫を析出、被覆させる。反応温度は、析出する水酸化錫を適度の大きさにして良好な導電性を得るために、好ましくは50〜100℃であり、より好ましくは70〜98℃である。
【0033】
溶液(溶媒)としては、上記第二錫塩や第一錫塩を溶解可能なものであればよく、水、アルコール等が挙げられる。アルコールとしては、メタノール、エタノール等が挙げられる。なお、溶液に水を用いる場合には、第二錫塩や第一錫塩を溶解した後であり、かつ第二錫塩や第一錫塩が自発的に加水分解を始める前に、アルカリ添加により加水分解させることが好ましい。
【0034】
分散させた酸化チタン粒子に水酸化錫を被覆させる場合、pH7〜11の範囲で分散した酸化チタン分散液を、pH7以上、温度50〜100℃の範囲で水酸化錫層を被覆すると、酸化チタン粒子に酸化錫層が被覆された白色導電性粒子が得られる。
一方、pH7〜11の範囲で分散した酸化チタン分散液を、pH2未満、温度50〜100℃の範囲で水酸化錫層を被覆すると、白色導電性粒子と酸化錫単独の粒子の混合体を得ることができる。
【0035】
次に、酸化チタン粒子に水酸化錫が被覆された被覆酸化チタン粉末、または被覆酸化チタン粉末と水酸化錫粉末との混合粉末からなる前駆体粉末に対して、通常の洗浄、乾燥、粉砕等の処理を行う。
【0036】
上記処理の後、アルゴンガス、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で、焼成(熱処理)を行う。焼成の温度は、600℃以上700℃以下が好ましい。この温度範囲で焼成することにより、酸化第二錫が生成し、酸化第二錫に酸素欠陥を形成できる。焼成温度が600℃未満であると、白色導電性粉末のBET比表面積が増大する傾向がある。700℃を超えると、BET比表面積が過度に小さくなる傾向がある。また、熱処理(焼成)の時間は、10分以上8時間以下が好ましく、20分以上6時間以下が特に好ましい。ただし、焼成炉により、熱処理時間は適宜変更される。
【0037】
なお、水酸化錫化合物にリンを含有させる方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。(1)水酸化錫化合物の原料として、リンを含む化合物を用いる方法。(2)予め、リンの原料を、水酸化錫の原料を含有する溶液に溶解しておき、リンを含む水酸化錫を形成する方法。(3)水酸化錫の被膜を形成した後に、リンの原料を添加し、水酸化錫の被膜にリンを含有させる方法。水酸化錫の被覆をより均一に形成するためには、上記(2)の方法がより好ましい。また、焼成前にリンの原料を散布し、焼成中にリンを酸化錫に拡散させる方法でも良い。
リンの原料としては、例えば、オルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、亜リン酸、次亜リン酸およびこれらのアンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等を使用することができる。
【0038】
以上のようにして酸化チタン粒子に水酸化錫の被膜を形成した被覆酸化チタン粉末、または被覆酸化チタン粉末と水酸化錫粉末との混合粉末からなる前駆体粉末を焼成した後、必要に応じて粉砕等の処理を行うことにより、一次粉末として、酸化チタン粒子の表面に酸化錫被覆層を形成した粉末、またはこれに酸化錫粉末が混合した粉末が得られる。
次に、このようにして得られた一次粉末に対して、加湿された雰囲気下に保持して水分を含有させる(加湿工程)ことにより、白色導電性粉末を製造する。加湿工程としては、酸化錫中の水分含有率が2.0質量%以上4.6質量%以下となる条件であればよく、例えば、湿度50%以上90%以下、温度50℃以上150℃以下に維持された恒温恒湿槽内に1時間以上48時間以下の時間保持することにより行われる。
また、この加湿工程後に、酸化錫中の水分含有率が4.6質量%を超えていた場合には、減圧下で白色導電性粉末を乾燥させる減圧乾燥工程を実施する。減圧乾燥工程としては、特に限定されるものではないが、含有水分量に応じて、温度が室温(15℃)以上100℃以下、圧力が13kPa(100mmHg)以下で、5時間以上40時間以下の時間保持するとよい。
また、加湿工程後の白色導電性粉末における酸化錫中の含有水分率が4.6質量%以下であった場合でも、減圧乾燥工程を実施することにより、分散性が良くなり、導電膜にしたときのグロスをさらに向上させることができる。この膜グロス向上のための減圧乾燥工程としては、水分含有量が高い場合に行う減圧乾燥工程の条件の範囲内で、含有水分量に応じて適宜に設定すればよい。
【0039】
本実施形態の白色導電性粉末は、安全な導電性材料として、導電性、静電防止、帯電防止、防塵等の機能が必要な分野に広く用いることができる。また、以下に示すように、
分散媒に分散させた分散液、その分散液とバインダーとを含有する塗料、その塗料を塗布してなる
膜として使用することができる。そして、導電性または静電防止用合成繊維・床材、帯電防止フィルム、ICパッケージやテープ、帯電防止用プラスチック・インキ、帯電防止塗料や静電塗装材料、帯電制御添加剤、静電記録用紙、帯電防止ロール等の用途における導電材料として好適に使用される
。
【0040】
〔分散液〕
本実施形態の分散液は、
分散媒と、前記
分散媒に分散された本実施形態の白色導電性粉末を含有する。
分散媒としては、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、トルエン、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどが挙げられる。
【0041】
上記分散液の固形分濃度は、質量基準で1〜70%であり、好ましくは10〜50%である。ここで、固形分には、白色導電性粉末、無機分散剤及び有機分散剤が含まれる。
【0042】
〔塗料〕
本実施形態の塗料は、上記分散液と、バインダーを含有する。バインダーとしては、樹脂、シリカゾルゲル、ソーダガラス等が挙げられる。樹脂、シリカゾルゲル、ソーダガラスは、単独で使用できるが、シリカゾルゲル、ソーダガラスを樹脂と共に使用しても良い。シリカゾルゲル又はソーダガラスを含有することによって、白色導電性粉末のパッキング(充填)効果が高められる。このため、塗料を基板に用いる場合、基板上での白色導電性粉末の充填効果が高められ、良好な導電性が得られる。また、シリカゾルゲルやソーダガラスは、耐熱性に優れる。このため、塗料を用いて形成された
膜が、デバイス化工程などの加熱処理を施される場合、熱による変質を防ぐことができる。樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール樹脂、塩ビ−酢ビ樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、アクリル−スチレン共重合体、繊維素樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、石油樹脂、セラック、ロジン誘導体、ゴム誘導体などの天然系樹脂などが挙げられる。
【0043】
白色導電性粉末の配合量は、樹脂100質量部に対して、20〜400質量部であり、好ましくは100〜300質量部である。
【0044】
〔
膜〕
本実施形態の
膜は、本実施形態の白色導電性粉末を含有する。
本実施形態の塗料を導電性が要求される用途に使用する場合には、例えば塗料をプラスチック成形体、紙、高分子フィルムなどの絶縁性基体に塗布する。基体への塗布は、常法により、例えば、ロールコート、スピンコート、スクリーン印刷、アプリケーター等の手法で行うことができる。その後、塗布組成物を、必要により加熱して水または
分散媒を蒸発させ、塗膜を乾燥させて硬化させる。これにより、基体上に表面平滑性や密着性に優れた導電膜を形成できる。
本実施形態の導電膜の表面抵抗値は、平均で1×10
11Ω/□以下とすることができる。表面抵抗値は、三菱化学社製ハイレスタ等を用いて測定する。また、その表面抵抗値のばらつきは、例えば導電膜の任意の3点の表面抵抗値を測定し、(3点の表面抵抗値の標準偏差)÷三点の表面抵抗値の平均値×100により得られる変動係数によって評価することができる。このばらつきとしては、求められる帯電防止・帯電制御・静電防止・防塵等の機能を有効に発揮させるためには、50%以下が好ましく、30%以下がより好ましい。
また、この導電膜は、凝集粒がないか、凝集粒がほとんど目立たず、均一に塗布され、良好な外観を呈す。
さらに、導電膜の光沢度がよく、グロスチェッカーによる測定(測定角60°)で60以上とされる。好ましくは光沢度65以上である。この光沢度は例えば堀場製作所製グロスチェッカーIG331にて測定することができる。
【実施例】
【0045】
以下に、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
水:400cm
3に、市販の二酸化チタン粉末(BET比表面積7.7m
2/g):100gとヘキサメタリン酸1gを加え、ビーズミルで分散した。分散中は使用する酸化チタンの等電点を避けたpH(pH=8〜10)を保持した。尚、二酸化チタン粒子径は、走査型電子顕微鏡にて観察をし、二酸化チタン粒子の粒子径を確認した。
このスラリーを95℃に加温した。この分散液に、50%SnCl
4水溶液(284g)と85%H
3PO
4水溶液(6.9g)の混合液と、苛性ソーダ水溶液とを、pH1程度、温度は95±5℃に維持しながら、同時に滴下し、中和反応を行い、二酸化チタン表面にリンドープ酸化錫の水酸化物の結晶を析出させた。
なお、一部の実施例・比較例においては、使用する混合液の配合を下記のように変更することで、酸化チタンに対する酸化錫の質量比を変更させた。各水溶液の濃度は実施例1と同様である。
実施例2:SnCl
4水溶液(250g)とH
3PO
4水溶液(6.0g)
実施例16:SnCl
4水溶液(177g)とH
3PO
4水溶液(4.3g)
実施例17:SnCl
4水溶液(341g)とH
3PO
4水溶液(8.3g)
実施例18:SnCl
4水溶液(397g)とH
3PO
4水溶液(9.7g)
比較例3:SnCl
4水溶液(156g)とH
3PO
4水溶液(3.8g)
比較例4:SnCl
4水溶液(431g)とH
3PO
4水溶液(10.5g)
【0046】
実施例13では、分散液に、50%SnCl
4水溶液(306g)と苛性ソーダ水溶液とを、pH1程度、温度は95±5℃に維持しながら、同時に滴下し、中和反応を行い、二酸化チタン表面にPをドープしない酸化錫の水酸化物(水酸化錫)の結晶を析出させた。
なお、この水酸化錫を析出させる際の分散液のpH及び温度を表1の「反応」の欄に記載した。
この湿式処理した前駆体粉末を取り出して、上澄み液の電気伝導度が500μS/cmになるまで洗浄し、乾燥した。
この乾燥粉末:40gを、石英管状炉に入れ、昇温速度10℃/分で昇温し、表1の温度で2時間、窒素ガス雰囲気中にて焼成した。
焼成後に得られた一次粉末を、表に示す条件で、加湿処理を実施した。得られた白色導電性粉末について、下記にて、体積抵抗率、BET比表面積、水分含有率を測定した。
【0047】
「体積抵抗率」
試料粉末を圧力容器に入れて10MPaで圧縮し圧粉体を作製する。次いで、この圧粉体の抵抗率をデジタルマルチメータ(横河電機製:DM−7561)で測定した。
「BET比表面積」
島津製作所製フローソーブIII 2310にて、BET比表面積を測定した。
「水分含有率」
まず、Rigaku社製 TG8120を使用し、TG−DTA(示差熱・熱重量同時測定)法にて、白色導電性粉末全体の水分含有率を下記条件で測定した。
測定雰囲気:大気
測定パン:アルミ
比較試料:アルミナ
加熱条件:常温〜400℃、5.0℃/min、サンプリング幅1.0秒
試料重量:6g
さらに、加熱減量した際に発生する成分が何であるかを調査するため、島津製作所製質量分析装置GC/MS−QP2010Plusにて、分析を実施し、H
2Oであることを確認した。さらに、島津製作所製の電子式水分計EB−340MOCにて、ヒーター設定温度320度、試料量3.3gを天秤にのせ、質量変化量が10mg以内になった時点の減少量を測定した。TG−DTAと同一値が得られる事を確認後、実施例のデータは、電子式水分計にて、含水率を測定した。
また、酸化錫の重量との関係から、酸化錫中の水分含有率を算出した。また、酸化チタン中の水分が存在していないことの確認は、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOFF−SIMS)にて測定した。さらに、水:400cm
3に、市販の二酸化チタン粉末(BET比表面積7.7m
2/g):100gとヘキサメタリン酸1gを加え、ビーズミルで分散した。分散中は使用する酸化チタンの等電点を避けたpH(pH=8〜10)を保持した。この酸化チタン分散液を、酸化錫層を被覆せずに、乾燥し、実施例1記載の焼成条件にて焼成した。この試料の水分含有率を測定したところ、0.01%であった。
「物理的な吸着水及び化学的な吸着水のそれぞれの割合」
物理吸着水は、試料を2gを秤量し、100℃で10分、乾燥機で乾燥し、乾燥後の重量を測定した。乾燥前の重量と乾燥後の重量差から、算出した。こうして求めた物理吸着水の量と、電子式水分計で求めた全水分量とから、物理的な吸着水の割合を算出した。また、電子式水分計で求めた全水分量と物理的な吸着水の量との差は化学的吸着水の量とし、全水分量に対する割合を算出した。
「L値」
試料3.5gを硝子セルに入れ、スガ試験機製Colour Cute i CC−iにてL値を測定した。
「分散性評価」
分散性が良いものは、一次粒子の凝集が少なくなる、即ち、二次粒子径のメジアン径が小さい値となる。そこで、試料5.0gとエタノール100.0gをジルコニアビーズで分散し、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製、型番:LB−550)で分散液中の白色導電性粉末のメジアン径を測定した。
【0048】
次に、導電膜を以下のようにして形成した。
上記白色導電性粉末20g、DIC製アクリディックA168 17g(粉末:樹脂=7:3)、トルエン 163gを混ぜ合わせ、分散した。分散した液を回収し、バーコーターNO.8にて、75μm厚さのPETフィルムに塗布し、70℃で1分乾燥した。
形成した膜について、三菱化学製ハイレスタにて膜の表面抵抗値を測定した。また、膜の厚さは、重量と面積と理論密度から算出したところ、2μmであった。さらに堀場製作所製グロスチェッカーIG331にて光沢度(膜グロス)を60度視野にて測定した。
表面抵抗値のばらつきは、(3点の表面抵抗値の標準偏差)÷三点の表面抵抗値の平均値×100で算出した。
膜外観は、目視により下記の基準で評価した。
◎:均一に塗布され、凝集粒が無い。
○:ややムラがあるが、凝集粒が目立たない。
△:ムラがある。凝集粒が目立つ。
【0049】
なお、一次粉末に対して加湿処理をしなかったもの(比較例1)、水分含有率が過剰であるもの(比較例2)も用意した。
【0050】
次に、実施例1及び比較例2の粉末に対して、表1に示す条件の減圧乾燥工程を実施し、同様にして、体積抵抗率、BET比表面積、水分含有率を測定し、また、導電膜を形成して、膜の表面抵抗値及びそのばらつき、光沢度(膜グロス)を測定し、膜外観を評価した(実施例14,15)。
これらの結果を表1に示す。粉末の体積抵抗値に関して、指数での表示10
nは、E+nとして表示する。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
表1から明らかなように、2.0質量%以上4.6質量%の水分を含有する実施例の場合は、導電膜の抵抗値のばらつきが50%以下と小さく、導電性が安定していることがわかる。
これに対して、比較例の場合は、水分の含有量が少ない比較例1も、水分含有量が多い比較例2,5も、分散性が低く(メジアン径が大きい)、導電膜の抵抗値のばらつきが大きかった。さらに、比較例5は、加湿処理工程の温度が高温の為、他の実施例と比べて体積抵抗値が高くなり、導電膜の抵抗値も高めになっていた。
比較例3は、酸化チタンに対する酸化錫の質量比が小さいため、白色導電性粉末の導電性が低い。比較例4は、酸化チタンに対する酸化錫の質量比が大きいため、L値が低い。また、比較例3,4は、分散性が低く(メジアン径が大きい)、導電膜の抵抗値のばらつきも大きかった。
また、実施例14は、加湿工程後の水分含有率が1.5質量%で、実施例1と同じであるが、減圧乾燥工程を経ることにより、水分含有率が0.9質量%に低減し、膜グロスが実施例1のものより向上した。同様に、実施例15も、減圧乾燥工程を経ることにより、水分含有率が、0.9質量%に低減し、膜グロスが向上した。
実施例6は、物理的な吸着水の割合が60%と大きいため、実施例1,2,4等と比較すると膜のグロスが低い値を示した。
実施例7は、熱処理工程における焼成温度が低いため、他の実施例と比べて体積抵抗値が高めになり、導電膜の抵抗値も高めになっていた。
実施例11は、熱処理工程における焼成温度が高いため、BET比表面積が小さくなり、他の実施例と比べると、膜外観、膜グロスにおいて劣っていることがわかる。
実施例12は、酸化チタン粒子の平均粒子径が大きいため、白色導電性粉末のBET比表面積が小さくなり、他の実施例と比べると、膜外観、膜グロスにおいて劣っていることがわかる。
実施例13は、被覆層にPがドープされていないため、他の実施例に比べて体積抵抗値が高めになり、導電膜の抵抗値も高めになっていた。
【0054】
実施例1のSEM写真を
図1に示す。また、
図2に、EDSによるマッピングを示す。
図1,2から、酸化錫単独粒子と酸化錫層が被覆された酸化チタンが存在していることがわかる。
図2において、白丸で囲んだ部分が、酸化錫からなる導電性粒子である。
また、各実施例・比較例の白色導電性粉末をEDSで分析したところ、実施例19は酸化チタン粒子の表面に酸化錫が被覆された白色導電性粒子からなり、その他は、白色導電性粒子にくわえて酸化錫よりなる導電性粒子が存在していることが確認された。また、白色導電性粒子の多くが酸化錫層を介して前記導電性粒子と接合されていることが確認された。
なお、実施例19のSEM写真を
図3に示す。