(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態の貼付装置及び貼付方法について説明する。
まず、貼付装置1の構成について説明する。
図1は、本実施形態の貼付装置を示す模式的な平面図である。
図2及び
図3は
図1の一部を示す拡大図である。
図1に示すように、本発明の貼付装置1は、円柱面状の側面2aを有する被着体2の側面2aにラベル3を貼り付ける装置である。被着体2は、円柱面状の側面2aを有しているものであれば、形状、材料等は特に限定されない。被着体2の具体例としては、棒、管、ビン、缶、樹脂ボトル、紙製容器などを挙げることができる。
【0020】
図1および
図2に示すように、ラベル3は、厚さ方向の一方に粘着面4が設けられており、厚さ方向の他方の面には所定の模様、色彩、あるいは文字等が設けられている。本実施形態では、ラベル3は、所定の寸法に型抜きされ、粘着面4に剥離紙5が貼り付けられた状態で供給される。本実施形態では、剥離紙5は、複数のラベル3の粘着面4が貼り付けられた長尺の帯状形状を有している。剥離紙5が貼り付けられたラベル3は、ロール状にまかれた原紙として貼付装置1に装着されるようになっている。
【0021】
また、各ラベル3の形状及び大きさは特に限定されない。例えば、本実施形態では、ラベル3は、被着体2の側面2aの周方向に沿って測った側面2aの長さが長辺となる長方形状とされている。
【0022】
図1に示すように、貼付装置1は、供給部10と、搬送部30とを備える。
供給部10は、被着体2を搬送部30へ供給する第一供給部11と、ラベル3を搬送部30へ供給する第二供給部16とを有している。
第一供給部11は、被着体2を搬送する公知の搬送装置100における搬送経路の一部に設けることができる。例えば、第一供給部11は、上記公知の搬送装置におけるコンベアベルト等に接続される供給コンベア部12と、被着体2を所定のタイミングで搬送部30へ送り込む第一調整部13とを備える。
【0023】
本実施形態では、供給コンベア部12は、後述する補助コンベア45の一部を用いることにより補助コンベア45と兼用されている。供給コンベア部12は、被着体2の底面が接し、被着体2を支えつつ被着体2を搬送部30へと搬送する。
【0024】
第一調整部13は、被着体2を、一定の間隔で第一供給部11から搬送部30へと送り込むために設けられている。第一調整部13は、ストッパ14a及びセパレータ14bが設けられた本体部14と、被着体2を搬送部30へ送り込んだことを第二調整部24へ通知する通知手段15とを有している。
本体部14は、供給コンベア部12上に配される被着体2をせき止めるストッパ14aと、ストッパ14aを通過した被着体2を分離するセパレータ14bとを有している。
【0025】
第二供給部16は、繰出部17と、剥離部20と、回収部22と、第二調整部24と、帯電装置27とを備える。
繰出部17は、ラベル3の原紙がセットされる原紙取付部18と、剥離紙5が付いた状態のラベル3の繰り出し速度を調整するためのブレーキ部19とを有する。ブレーキ部19は、剥離紙5が付いた状態のラベル3が略一定の張力がかかった状態で繰り出されるように、回収部22の動作と連動して制御される。
【0026】
剥離部20は、繰出部17から繰り出されたラベル3の剥離紙5を鋭角に折り返すための剥離板21を有する。剥離板21は、後述する搬送コンベア32へ尖端が向けられた板状であり、搬送コンベア32へ近づくにしたがってその厚さが漸次薄くなっている。また、剥離板21の尖端は、ラベル3の剥離紙5が切断されるのを防止する目的で丸みを帯びて形成されている。
【0027】
回収部22は、剥離板21においてラベル3が剥離された残りの剥離紙5をロール状に回収するためのものである。回収部22は、剥離紙5が掛けられる剥離紙固定軸23を有しており、後述する回転駆動部26bにより剥離紙固定軸23が回転するようになっている。回転駆動部26bによって剥離紙固定軸23が回転されることにより、剥離紙5が牽引され、繰出部17から原紙が繰り出される。
【0028】
第二調整部24は、被着体2およびラベル3の移動状態を検知するためのセンサ部25と、回収部22の剥離紙固定軸23を回転させる駆動装置26とを有する。
センサ部25は、剥離紙5とともに移動するラベル3を検知するラベルセンサ25aと、被着体2を検知する被着体センサ25bとを有する。
ラベルセンサ25aは、1枚のラベル3が通過する毎に、ラベル3が通過したことを示す信号を駆動装置26へ出力する。
被着体センサ25bは、1つの被着体2が通過する毎に、被着体2が通過したことを示す信号を駆動装置26へ出力する。
【0029】
駆動装置26は、ラベルセンサ25a及び被着体センサ25bに接続された駆動制御部26aと、駆動制御部26aに接続された回転駆動部26bとを有する。
駆動制御部26aは、被着体センサ25bから、被着体2が通過したことを示す信号が入力される。また、駆動制御部26aは、ラベルセンサ25aから、ラベル3が通過したことを示す信号が入力される。
駆動制御部26aは、被着体センサ25bから信号の入力を受けた後、所定の時間後あるいは被着体2が所定量だけ送り込まれた後、回転駆動部26bを駆動させる信号を回転駆動部26bへと出力する。その後、ラベルセンサ25aから信号の入力を受けたときに、回転駆動部26bの駆動を停止させる信号を回転駆動部26bへと出力する。
【0030】
帯電装置27は、剥離部20まで繰り出されたラベル3を帯電させ、ラベル3を搬送コンベア33に付着させるための装置であり、コロナ放電を用いてラベル3を帯電させる。具体的には、帯電装置27は、帯電ガン28と、帯電ガン28に高電圧を供給する高電圧電源部29とを有する。帯電ガン28は、コロナ放電によってイオンを発生させ、剥離部20の剥離板21へ向けてイオンを放出する。高電圧電源部29は、例えば90kV程度の電圧を帯電ガン28に供給する。
【0031】
搬送部30は、バックアッププレート31(第一支持部)と、搬送コンベア32(第二支持部)と、補助コンベア45とを備える。
【0032】
バックアッププレート31は、被着体2の側面2aに対して滑りにくく構成された平面状の支持面31aを有する。バックアッププレート31としては、例えばジャージ付きスポンジやゴム板等、柔軟性を有する構造を採用することができる。これにより、被着体2の寸法に誤差があっても被着体2とバックアッププレート31と無端ベルト33とが好適に接する。バックアッププレート31は、被着体2の側面2aに接して被着体2を支持する。
【0033】
搬送コンベア32は、一方向に循環駆動する無端ベルト33と、無端ベルト33を循環駆動させる駆動部42とを有する。
【0034】
搬送コンベア32の無端ベルト33は、導電ゴムからなるベルトや、導電ゴムが外面に積層されたベルト等により構成される。すなわち、搬送コンベア32の無端ベルト33は、外面が導電性を有する。本実施形態では、
図2に示すように、搬送コンベア32の無端ベルト33は、ベルト芯材34、クッション35、及び導電ゴム36がこの順に内側から外側へ向けて積層された柔軟な三層構造を有している。クッション35と導電ゴム36とが積層されていることにより、導電性を有し、且つ被着体2の側面2aに対するフィット性の高い無端ベルト33とすることができる。
【0035】
無端ベルト33の外面は、被着体2の側面2aに接触して被着体2を搬送する搬送面33aとなっている。搬送面33aは、一部が、被着体2の直径よりわずかに小さな隙間を開けて、バックアッププレート31の支持面31aと平行となるように、支持面31aに対して対向配置されている。また、搬送面33aは、平坦な面とされている。また、搬送面33aの駆動方向は、バックアッププレート31の長手方向と平行とされている。搬送コンベア32は、被着体2を間に挟んでバックアッププレート31と反対側に配され、バックアッププレート31との間の隙間に被着体2が送り込まれるようになっている。
【0036】
搬送コンベア32の無端ベルト33は、搬送面33a上にラベル3を保持した状態で上記一方向に循環駆動することができるようになっている。すなわち、本実施形態では、帯電装置27によって帯電状態とされたラベル3を搬送コンベア32の搬送面33aに吸着させることによって、搬送面33a上にラベル3を保持できるようになっている。
【0037】
さらに、本実施形態では、搬送コンベア32は、無端ベルト33を除電する除電装置37を有している。除電装置37は、搬送コンベア32の無端ベルト33に接する除電ローラ38と、除電ローラ38に電気的に接続されたアース線41とを有する。
【0038】
除電ローラ38は、アース線41が設けられた導電性の軸39に導電ベアリング40を介して取り付けられており、搬送コンベア32の無端ベルト33の走行によって自在に回転する。本実施形態では、除電ローラ38の外周面38aは、無端ベルト33の搬送面33aに接し、除電ローラ38が接した部分の無端ベルト33の電位をグランド電位にする。
【0039】
除電ローラ38の位置は、無端ベルト33における戻り側の領域(
図1及び
図3に符号Xで示す領域)内であればどの位置にあってもよい。例えば、除電ローラ38は、無端ベルト33における戻り側の領域であってラベル3の供給位置から最も遠い位置に配置されてよい。なお、除電ローラ38は、無端ベルト33における戻り側の領域であってラベル3の供給位置に最も近い位置に配置されてもよい。
【0040】
図1に示すように、駆動部42は、無端ベルト33の両端に配されたプーリ43,44と、プーリ43,44を回転させる図示しない動力源とを備える。無端ベルト33の一端側に掛けられたプーリ43の回転中心と、無端ベルト33の他端側に掛けられたプーリ44の回転中心との間の距離は、被着体2の側面2aの周方向の長さの1.5倍以上であることが好ましい。一例を挙げると、本実施形態では、無端ベルト33の一端側に掛けられたプーリ43の回転中心と、無端ベルト33の他端側に掛けられたプーリ44の回転中心との間の距離は、被着体2の側面2aの周方向の長さの1.5倍とされている。
なお、プーリ43,44に代えて、スプロケットが設けられていてもよい。この場合には、無端ベルト33は、スプロケットと噛み合うように構成される。
【0041】
補助コンベア45は、被着体2の底面を支持し、搬送コンベア32と連動して動作するコンベアベルトを有する。補助コンベア45のコンベアベルトは、搬送コンベア32の無端ベルト33よりも遅い速度で循環駆動される。具体的には、本実施形態では、補助コンベア45は、無端ベルト33の速度の半分の速度で循環駆動されている。本実施形態では、補助コンベア45は、搬送部30から供給部10側へと延びており、補助コンベア45の一部は被着体2を搬送部30へと送り込むためのコンベアとして機能している。
なお、補助コンベア45は、コンベアベルトに代えて、トップチェーンが循環駆動されるものであってもよい。
【0042】
次に、本実施形態の貼付方法について説明する。
まず、本実施形態の貼付方法における基本的な工程について説明する。
図4は、本実施形態の貼付方法を示すフローチャートである。
図5ないし
図8は、本実施形態の貼付方法における基本的な工程を示す工程説明図である。
【0043】
本実施形態の貼付方法は、円柱面状の側面2aを有する被着体2の側面2aにラベル3を貼り付ける貼付方法である。具体的には、本実施形態の貼付方法は、被着体2が搬入される搬入位置(
図5に符号Aで示す側)から、被着体2が搬出される搬出位置(
図5に符号Bで示す側)まで、被着体2を移動させながら被着体2の側面2aにラベル3を貼り付ける。
まず、ラベル3を吸着搬送するための搬送面33aに被着体2の側面2aを接触させる(
図4に示すステップS1)。
【0044】
続いて、被着体2の側面2aの周方向に被着体2が回転するように、搬送面33a上で被着体2を転がす(ステップS2)。本実施形態では、
図6に示すように、ステップS2において、搬送面33a自体を搬出位置B側へと移動させ、且つ被着体2を搬送面33a上で転がすことにより、搬送面33a自体の移動方向へ被着体2を移動させながら、被着体2の側面2aの中心線O1回りに被着体2を回転させる。搬送面33a自体を移動させる動作は、被着体2の搬入場所から被着体2の搬出場所まで被着体2を移動させる過程で被着体2にラベル3を貼り付けるために行なわれるものである。
【0045】
続いて、ラベル3の厚さ方向の両表面のうち粘着面4とは反対側の面が搬送面33aに接するように、搬送面33aと被着体2との接触位置とは異なる位置でラベル3を搬送面33aに供給する(ステップS3)。
図6に示すように、ラベル3の供給位置は、搬送面33aにおいて搬入位置A側であり、搬送面33aに対する被着体2の転がり方向の先側の範囲内にある。
【0046】
続いて、ラベル3が被着体2に近づくように被着体2を搬送面33a上で転がす(ステップS4)。ステップS4では、ステップS2における搬送面33aの移動方向へと搬送面33aを移動させつつ、被着体2をバックアッププレート31に接触させる(
図7および
図8参照)。被着体2は、被着体2の側面2aがバックアッププレート31に接した状態で搬送面33a上を転がる。このため、搬送面33aの移動方向に沿って見たときの被着体2の移動速度は、搬送面33aの移動速度の半分となる。一方で、ラベル3は、搬送面33aに接した状態で、搬送面33aと一体に移動する。したがって、ラベル3の移動速度は、被着体2の移動速度の2倍となる。その結果、被着体2よりも遅れて搬送面33a上に供給されたラベル3は、搬送面33aが移動するに従って被着体2へと近づき、被着体2に追いつく。
ラベル3が被着体2に追いつき、さらにラベル3が移動されると、被着体2の側面2aと搬送面33aとの間にラベル3が入り込む。被着体2は搬送面33aに接しているので、被着体2の側面2aが当該側面2aの中心線O1回りに回転する速度は、被着体2に対する搬送面33aの相対移動速度と一致する。したがって、搬送面33a上に供給されたラベル3は、搬送面33aと被着体2の側面2aとの間に入り込む際に、ラベル3の厚さ方向へは圧縮されるが、ラベル3の面方向にラベル3を移動させる力を受けない。
図8に示すように、被着体2の側面2aにラベル3が接すると、ラベル3の粘着面4が被着体2の側面2aに付着し、ラベル3は被着体2によって搬送面33aから引き上げられる。これにより、ラベル3は、被着体2の側面2aに沿って被着体2に貼り付けられる。
【0047】
被着体2にラベル3が貼り付けられた後、搬送面33aが移動されることにより、被着体2は搬出位置Bまで搬送される(ステップS5)。
本実施形態の貼付方法は、たとえば被着体2の製造工程の一部において、上記ステップS1からステップS5がこの順に行なわれる。
【0048】
次に、本実施形態の貼付装置1の使用方法及び使用時の動作とともに、本実施形態の貼付方法を説明する。
まず、
図1に示すように、被着体2の製造ライン等における公知の搬送装置100から、第一供給部11へと被着体2が搬入される。第一供給部11では、第一調整部13によって、供給コンベア部12から搬送コンベア32への被着体2の送り込みタイミングが制御され、所定の間隔で被着体2が搬送コンベア32へと送り込まれる。被着体2は、円柱面状の側面2aの中心線O1が搬送面33aの移動方向に対して垂直となり且つ被着体2の側面2aが支持面31aと搬送面33aとの両方に接した状態で支持面31aと搬送面33aとの間に送りこまれる。
【0049】
また、本実施形態では、搬送コンベア32に1つの被着体2のみが配置されるように、被着体2の送り込みタイミングが設定される。これにより、搬送コンベア32の無端ベルト33を循環させる駆動部42にかかる負荷を、被着体2の一つ分とすることができる。なお、
図1においては、被着体2へのラベル3の貼り付け開始時と被着体2に対するラベル3の貼り付け完了時とを両方図示する目的でバックアッププレート31と搬送コンベア32との間に2つの被着体2を示している。
【0050】
第一供給部11が被着体2を搬送コンベア32へと送り込んだ後、第一調整部13は、第二調整部24に対して、被着体2が搬送コンベア32に送り込まれたことを通知するための信号を出力する。
【0051】
被着体2が搬送コンベア32に送り込まれると、被着体2は、側面2aの一部がバックアッププレート31の支持面31aに接し、側面2aの他の一部が搬送コンベア32の搬送面33aに接する。これにより、被着体2は、中心線周りに回転しつつ、搬送面33aの搬送方向へと移動する。
【0052】
ラベル3と搬送面33aとは、帯電したラベル3の吸着力によって吸着されているので、搬送面33aに対するラベル3の吸着力は、ラベル3の粘着剤の粘着力と比較して弱い。本実施形態では、ラベル3が搬送面33aに吸着された状態でも、剥離紙5が移動されなければラベル3は剥離紙5から剥がれない。このため、剥離紙5の回収動作によってラベル3が剥離紙5から剥がれるまでは、搬送面33a上におけるラベル3の位置は、第二供給部16によって規定される。
【0053】
剥離紙5の回収動作により、剥離紙5は剥離板21の先端において漸次ラベル3から剥がされる。剥離紙5から剥がされるラベル3は、漸次搬送面33aに接してゆく。このため、搬送面33aに対するラベル3の吸着力は漸次高まる。ラベル3が剥離紙5から完全に剥がれると、剥離板21から無端ベルト33の搬送面33aへとラベル3が完全に移動し、搬送面33aにラベル3が吸着した状態で、ラベル3が保持される。
これで、第二供給部16から搬送コンベア32にラベル3が供給される。
【0054】
搬送コンベア32に供給されたラベル3は、搬送面33aと一体に移動する。これに対して、支持面31aと搬送面33aとの両方に側面2aが接している被着体2は、中心線回りに搬送面33a上を転がりながら、搬送面33aの移動速度より遅い速度(搬送面33aの移動速度の1/2の速度)で搬送面33aの移動方向へ移動する。このため、先に搬送コンベア32に送り込まれた被着体2の側面2aに、遅れて搬送コンベア32に供給されたラベル3が追いつき、ラベル3の粘着面4が被着体2の側面2aに貼り付く。
ラベル3が側面2aに貼り付けられた被着体2は、搬送コンベア32の移動方向の端(貼付装置1における搬出位置)まで搬送され、例えば被着体2の製造ライン等における公知の搬送装置100へと戻る。
【0055】
従来、被着体の側面にラベルを貼る場合、被着体の側面と、被着体にラベルを押し付けるための部材との間にラベルの先端を差し込むようにするのが一般的であった。この場合、ラベルの粘着面が最初に付着した部分が最初に引っ張られ、ラベルが均等に引かれない場合があった。特に、被着物に対するラベルの粘着力が剥離紙に対するラベルの粘着力よりも強い場合、ラベルが均等に引かれない状態でラベルが剥離紙から強制的に剥がされ、ラベルが傾いたまま被着体に貼られてしまう場合がある。
また、ラベルが薄いフィルム製である場合など、ラベルが非常に柔軟であると、剥離紙から先端が剥がされたラベル3おける先端の位置が精度良く定まらないことが多い。また、ラベルを剥離紙上で切り抜く抜き刃が剥離紙に食い込む深さと、ラベルの粘着面に設けられた粘着剤のはみ出し量とのばらつきにより、ラベルの剥離角度がばらつくことがある。これらの場合、ラベルの粘着面が被着体の側面において意図しない位置に付着してしまう場合がある。
その他、従来のラベル貼り装置では、被着体の側面が真円度が低い場合には、ラベルが正しく被着体に付着しない場合もある。
さらに、従来、被着体を搬送する際の加速度と、ラベルを搬送する際の加速度とのずれにより、所望の貼り付け位置からラベルがずれてしまうこともある。
また、被着体の側面に水滴や油膜等の汚れがあると、被着体の側面に対するラベルの位置ずれを悪化させることがある。
このように、従来、被着体の側面にラベルを貼り付ける際には、様々な要因により、ラベルの位置ずれが生じやすい。
【0056】
これに対して、本実施形態の貼付装置1および貼付方法では、先に送り込まれた被着体2の側面2aに向かってラベル3を移動させることができ、且つ、被着体2の側面2aとラベル3との接触位置において被着体2の周速とラベル3の移動速度とが等しい。このため、被着体2に対して高い精度で安定してラベル3を貼り付けることができる。
【0057】
また、ラベル3を帯電させて平坦な搬送面33aに吸着させるので、ラベル3を変形させるような大きな外力がラベル3にかからず、無用なしぼやしわがラベル3に生じない。
従来は、ラベルが帯電すると被着体における所望の位置にラベルを貼り付けることが困難となるものと考えられており、静電気を除去することは積極的に行なわれていた。すなわち、ラベルを精度良く被着体に貼り付ける目的でラベルを帯電させることは知られていなかった。本実施形態の貼付装置1では、ラベル3の帯電状態を、帯電装置27により、帯電した状態を維持するように制御し、被着体2に対して高い精度で安定してラベル3を貼り付けることができる。
【0058】
また、除電ローラ38を通じて搬送コンベア32の無端ベルト33が除電されるので、無端ベルト33に電荷が蓄積されてラベル3が吸着され難くなるのを予防することができる。このため、多数のラベル3を連続して被着体2に貼り付けても、搬送面33aに対するラベル3の吸着力を維持することができる。
【0059】
なお、本実施形態では、剥離紙5からラベル3が完全に剥離されてからラベル3が被着体2の側面2aに貼り付けられる構成となっているが、剥離紙5にラベル3の一部が付着した状態で被着体2の側面2aへのラベル3の貼り付けが開始されてもよい。被着体2の側面2aへのラベル3の貼り付け開始タイミングは、搬送面33aへのラベル3の繰り出しタイミングによって定まる。
【0060】
(変形例)
次に、本実施形態の貼付装置及び貼付方法の変形例について説明する。
本変形例では、上述の第1実施形態で説明した無端ベルト33に代えて、絶縁性を有する無端ベルト33Aを有している。また、帯電ガン28は、第1実施形態と異なり、無端ベルト33Aを帯電させるようになっている。さらに、本変形例では、除電装置37は設けられていない。
絶縁性を有する無端ベルト33Aは、例えば、第1実施形態で説明した導電ゴム36に代えて、絶縁性のゴムを有している。
【0061】
すなわち、本変形例では、ラベル3ではなく無端ベルト33Aを帯電ガン28によって帯電させ、これにより無端ベルト33Aにラベル3を付着させるようになっている。具体的には、ラベル3が剥離紙5から剥がされることにより、剥離帯電が起こりラベル3がプラスに帯電する。帯電ガン28は、照射対象物をマイナスに帯電させるので、本変形例では、無端ベルト33Aは帯電ガン28によりマイナスに帯電する。その結果、マイナスに帯電した無端ベルト33Aに、プラスに帯電したラベル3が吸着される。
【0062】
このような構成であっても、上述の第1実施形態と同様の効果を奏する。
また、本変形例では、ラベルを帯電させる必要がなく、帯電しにくいラベルであっても無端ベルト33Aに付着させることができる。帯電しにくいラベルとしては、例えば金属を含んだラベルを挙げることができる。
【0063】
すなわち、金属箔や金属粒子が含まれているラベルは、帯電ガンによって直接帯電させようとしても、空気中で放電してしまい、帯電状態が維持される時間が短い。従って、第1実施形態で説明した貼付装置1では、ラベル3として上述の帯電しにくいラベルが使用された場合に、無端ベルト33からラベル3が脱落する可能性が考えられる。これに対して、本変形例では、帯電しやすいラベルに限ることなく好適に無端ベルト33Aを用いて搬送することができる。
【0064】
なお、第1実施形態で説明した無端ベルト33と、本変形例の無端ベルト33Aとを共に備え、貼り付けるラベル3の帯電しやすさに応じて適宜交換することができる貼付装置でもよい。
【0065】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態の貼付装置1A及び貼付方法について説明する。
図9は、本実施形態の貼付装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。
図10は
図9のA1−A1線における断面図である。なお、以下に説明する各実施形態では、上述の第1実施形態と同様の構成要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0066】
図9及び
図10に示すように、本実施形態では、帯電装置27及び除電装置37に代えて、吸引装置50を備えている点、及び、搬送コンベア32の無端ベルト33に、外気を吸い込むための吸引孔51が形成されている点が異なっている。すなわち、本実施形態では、吸引孔51を通じて外気を吸い込むことにより、ラベル3を吸引して無端ベルト33の搬送面33a上に付着させ、ラベル3を搬送面33a上に保持するようになっている。
【0067】
無端ベルト33の吸引孔51は、無端ベルト33において所定間隔おきに複数形成されている。吸引孔51は、無端ベルト33の厚さ方向に貫通する孔である。吸引孔51の位置は、無端ベルト33において、ラベル3が接触可能な領域内に設けられている。
【0068】
なお、本実施形態では、無端ベルト33の電気的な特性は特に限定されない。すなわち、本実施形態では、上述の第1実施形態と異なり、無端ベルト33の外面が導電性を有している必要はない。
【0069】
吸引装置50は、吸引孔51から外気を吸い込むためのチャンバー52と、チャンバー52内を負圧状態とするための排気機構53とを有している。排気機構53は、ブロアファンや、吸引ポンプなど、公知の構成を適宜選択して採用することができる。
【0070】
このような構成であっても、上述の第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0071】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態の貼付装置1について説明する。
図11は、本実施形態の貼付装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。
図11に示すように、本実施形態では、搬送部30の構成が上述の第1実施形態と異なっている。すなわち、搬送部30は、無端ベルト33の両端に配された各プーリ43,44の回転中心間の距離を変更する移動長調整部55と、バックアッププレート31と搬送コンベア32との間の距離を変更する直径調整部56と、無端ベルト33の張力を調整する張力調整部57とを備える。
【0072】
移動長調整部55は、搬送面33aの移動方向における各プーリ43,44の距離を調整することができるようになっている。例えば、各プーリ43,44がボールネジ及びナットによって連結されていたり、搬送面33aの移動方向に長い長孔に各プーリ43,44が位置決め可能に取り付けられていたりするなどの構成を採用することができる。
【0073】
直径調整部56は、例えば公知の直線移動手段(例えばボールネジ、ラックアンドピニオン、シリンダ、リンク、レール、あるいはカム)を適宜選択して、当該直線移動手段によりバックアッププレート31と搬送コンベア32とを連結して構成することができる。
【0074】
なお、本実施形態の貼付装置1Bは、移動長調整部55と直径調整部56とを連動させる連動手段をさらに有していてもよい。例えば、直径調整部56を用いて、バックアッププレート31と搬送コンベア32と間の距離を変更すると、バックアッププレート31と搬送コンベア32と間の距離の変更と連動して各プーリ43,44の距離が変更されるようになっていてもよい。
【0075】
張力調整部57は、無端ベルト33の一部を収容し、移動長調整部55によって各プーリ43,44の距離が変更されたときに無端ベルト33の張力を一定に維持する。
【0076】
また、本実施形態において、バックアッププレート31の長手方向の長さは、本実施形態の貼付装置1Bによってラベル3が貼り付けられることが想定される被着体2の側面2aの周方向の長さに基づいて設定される。例えば、バックアッププレート31の長手方向の長さは、本実施形態の貼付装置1Bによってラベル3が貼り付けられることが想定される被着体2のうち最も直径が大きな被着体2の側面2aの周方向の長さの1.5倍以上であることが好ましい。
【0077】
本実施形態では、第一の直径d1を有する被着体2に対してラベル3を貼り付ける場合には、第一の直径d1に対応して直径調整部56、移動長調整部55、及び張力調整部57を設定する。また、第一の直径d1を有する被着体2に対するラベル3の貼り付けが終了し、第一の直径d1と異なる第二の直径d2を有する被着体2に対してラベル3を貼り付ける場合には、第二の直径d2に対応して直径調整部56、移動長調整部55、及び張力調整部57を設定する。
【0078】
本実施形態では、互いに直径が異なる被着体2に対して同一の貼付装置1Bを用いてラベル3を貼り付けることができる。このとき、各プーリ43,44の回転中心との間の距離を、被着体2の側面2aの周方向の長さの1.5倍となるように設定することができる。その結果、各プーリ43,44の回転中心との間の距離を、被着体2の側面2aの全周にラベル3を貼り付けることができる最低限の長さとすることができ、被着体2の搬入から搬出までに要する時間を最短にすることができる。
【0079】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態の貼付装置について説明する。
図12は、本実施形態の貼付装置を示す模式的な平面図である。
図12に示すように、本実施形態の貼付装置1Cは、バックアッププレート31に代えて、被着体2の側面2aに接する転動体62を備えた支持機構60(第一支持部)を有する。
【0080】
支持機構60は、自在に回転する一対のプーリ63,64に掛けられたベルト部材61と、ベルト部材61に取り付けられた転動体62とを有する。転動体62は、被着体2の側面2aの中心線O1と平行に回転中心が延びる一対のアイドルローラや、ベルト部材61に転動自在に取り付けられた一対の円柱体などによって構成することができる。また、転動体62は、ベルト部材61に対して所定の間隔を開けて複数設けられている。
【0081】
さらに、本実施形態では、支持機構60と第一調整部13とは駆動力を伝達できるように連結されており、連動している。これにより、第一調整部13は、一対のアイドルローラの間に被着体2が入り込むようなタイミングで、被着体2を搬送部30へと送り込むことができる。
なお、支持機構60に、転動体62の位置を検知する図示しない検知手段が設けられていてもよい。この場合、第一調整部13は、当該検知手段による転動体62の検知に基づいて搬送部30へ被着体2を送り込むことができる。
【0082】
本実施形態では、被着体2の側面2aは、転動体62を構成する一対のアイドルローラまたは一対の球体と、搬送面33aとによって、周方向に離間する三箇所で保持されている。このため、搬送部30へ被着体2を送り込むときに被着体2の向きがずれても、被着体2の向きが正しい向きに補正される。このため、供給されるラベル3の向きに対する被着体2の向きのずれが少なく抑えられる。
【0083】
また、被着体2の側面2aが精度の高い円柱形状でない場合、搬送面33a上を転がりながら被着体2が移動することにより被着体2の中心線の向きがずれる可能性がある。本実施形態では、被着体2の向きが正しい向きに補正されつつ被着体2が移動されるので、被着体2の形状に誤差があっても好適にラベル3を側面2aに貼り付けることができる。
【0084】
なお、本実施形態において、一対のプーリ63,64は、搬送コンベア32の無端ベルト33の動作と対応して回転するようになっていてもよい。
【0085】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
また、上述の各実施形態において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。