特許第6013058号(P6013058)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013058
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】ワイヤ曲げ方法
(51)【国際特許分類】
   B21F 1/00 20060101AFI20161011BHJP
【FI】
   B21F1/00 B
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-161451(P2012-161451)
(22)【出願日】2012年7月20日
(65)【公開番号】特開2014-18842(P2014-18842A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2015年7月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】595126750
【氏名又は名称】株式会社大平製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100073357
【弁理士】
【氏名又は名称】犬飼 新平
(72)【発明者】
【氏名】堤野 武美
(72)【発明者】
【氏名】浦林 富男
【審査官】 豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−141369(JP,A)
【文献】 特開2003−170237(JP,A)
【文献】 特開昭60−111732(JP,A)
【文献】 特開平11−090569(JP,A)
【文献】 特開平07−068335(JP,A)
【文献】 特開昭55−117524(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/044144(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/133039(WO,A1)
【文献】 特開昭62−130731(JP,A)
【文献】 西独国特許出願公告第01252616(DE,B)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21F 1/00 − 1/04
B21D 7/00 − 7/025
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤ送り方向に対し直交する鉛直軸線回りに回動自在とされた曲げ駆動軸の上端に取り付けられた円盤のピン台と、該ピン台の上端で前記回動軸線から半径方向に離れた位置に立設された曲げピンとを含むワイヤ曲げ部を設け、前記ピン台の回動軸線を境としてワイヤ経路の一方側に固定側曲げガイド部、他方側に移動側曲げガイド部を設け、
前記固定側曲げガイド部において、前記ピン台の上面から間隔を存して上側で、ワイヤの通過を案内するよう案内路を構成する2個のガイド片が取付台に固定され、該ガイド片のピン台回動中心付近にワイヤ曲げ案内面が形成され、
前記移動側曲げガイド部において、ワイヤの通過を案内するよう案内路を構成する2個のガイド片が、ワイヤ長さ方向に摺動自在に設けられ、該ガイド片のピン台回動中心側にワイヤ曲げ案内面が形成され、
前記移動側曲げガイド部を上側に固定した摺動取付台を、ワイヤ長さ方向に摺動自在に設け、前記ピン台の回動に対応して前記摺動取付台を前記ピン台に近づけ、移動側ガイド部のワイヤ曲げ案内面を固定側曲げガイド部のワイヤ曲げ案内面に対向接近させ、これらの案内面の間で前記ピン台を回動させて前記曲げピンでワイヤを曲げるワイヤ曲げ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はワイヤ曲げ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤ曲げ作業の例は、本出願人が先に出願し特許を得たものは次のようなものであった。(特許文献1)即ち、ワイヤの先端部分を通過案内し、ヘッド本体の正面に対し直交方向に延びる棒状のマンドレルと、該マンドレルを中心に貫通させ、ヘッド本体の凹所内で、かつ、マンドレルの回りに回転可能に嵌挿された円盤状の曲げスリーブと、該曲げスリーブの外表面に突設された曲げ凸部と、前記曲げスリーブとマンドレルを一体的に進退させる手段とを持つ。また、前記マンドレルのヘッド本体の正面に露出している端面には、直径上に沿う案内溝と、該案内溝のワイヤ送り方向前方の他端において、円周方向に沿う案内面が連続して形成され、これらの案内溝に対する案内面の境界部には、ワイヤの最小屈曲半径を決めるノーズ部が形成されている。そして、ワイヤをマンドレルの案内溝から繰り出し、曲げスリーブを回動させて曲げ凸部で押し曲げるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4554781号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この装置でU字状の曲げ作業は3工程が必要であった。即ち、ワイヤをマンドレルの案内溝を通過させ、マンドレル出口からL1だけ突出させてワイヤの送りを停止し、曲げスリーブを角度G1だけ正転させて、曲げ凸部でワイヤを押し曲げる。次に曲げスリーブを退避させて、ワイヤをL2だけ送り、曲げスリーブを進出させ、曲げスリーブを角度G2だけ逆転させて、曲げ凸部でワイヤを押し曲げる。次に曲げスリーブを退避させてワイヤをL3だけ送り、曲げスリーブを進出させ、曲げスリーブを角度G3だけ正転させて、曲げ凸部でワイヤを押し曲げる。このように、U字状の曲げ作業は3工程が必要であった。
【0005】
本発明は上記課題を解決し、1工程でU字状の曲げ作業ができるワイヤ曲げ方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1解決手段のワイヤ曲げ方法は、ワイヤ送り方向に対し直交する鉛直軸線回りに回動自在とされた曲げ駆動軸の上端に取り付けられた円盤のピン台と、該ピン台の上端で前記回動軸線から半径方向に離れた位置に立設された曲げピンとを含むワイヤ曲げ部を設け、前記ピン台の回動軸線を境としてワイヤ経路の一方側に固定側曲げガイド部、他方側に移動側曲げガイド部を設け、前記固定側曲げガイド部において、前記ピン台の上面から間隔を存して上側で、ワイヤの通過を案内するよう案内路を構成する2個のガイド片が取付台に固定され、該ガイド片のピン台回動中心付近にワイヤ曲げ案内面が形成され、前記移動側曲げガイド部において、ワイヤの通過を案内するよう案内路を構成する2個のガイド片が、ワイヤ長さ方向に摺動自在に設けられ、該ガイド片のピン台回動中心側にワイヤ曲げ案内面が形成され、前記移動側曲げガイド部を上側に固定した摺動取付台を、ワイヤ長さ方向に摺動自在に設け、前記ピン台の回動に対応して前記摺動取付台を前記ピン台に近づけ、移動側ガイド部のワイヤ曲げ案内面を固定側曲げガイド部のワイヤ曲げ案内面に対向接近させ、これらの案内面の間で前記ピン台を回動させて前記曲げピンでワイヤを曲げることである。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、1行程でU字状の曲げ作業ができることとなった。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は本発明装置の平面図である。
図2図2は本発明装置の正面図である。
図3図3は本発明装置の左側面図である。
図4図4図1のX4−X4断面図である。
図5図5図4のY5−Y5断面図である。
図6図1におけるワイヤ曲げ説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施例を図に基づき説明する。図1,2,4において、ワイヤWはチャック1で掴まれて、ワイヤ曲げ部10で図6のようにU字状に曲げられる。即ち、ワイヤ曲げ部10において、ワイヤ送り方向に対し直交する鉛直軸線回りに回動自在とされた曲げ軸13の上端に取り付けられた円盤のピン台12と、該ピン台の上端で前記回動軸線から半径方向に離れた位置に立設された曲げピン11とを備える。図示では2本が、前記回動軸線を中心とする円周方向に互いに離れた位置に立設されている。前記曲げ軸13の下部に接続された原動機を持つ曲げ駆動部20が設けられ、受動ギヤ21に図外の駆動ギヤとサーボモータにより回動される。
【0014】
固定曲げガイド部30では、前記ピン台12の上面から間隔を存して上側で、ワイヤの通過を案内するよう案内路を構成する2個のガイド片31が取付台32に固定され、ピン台12の回動中心付近にワイヤ曲げ案内面31aが形成されている。移動曲げガイド部40では、前記円盤ピン台12を挟んでワイヤ長さ方向の先端側で、ワイヤの通過を案内するよう案内路を構成する2個のガイド片41が設けられ、円盤ピン台12側にワイヤ曲げ案内面41aを形成されている。
【0015】
該ガイド片41を上側に固定した直方体の取付台42が、ワイヤ長さ方向に摺動自在とされ、該取付台の下面で円盤ピン12側にストッパ42aが垂下され、反円盤ピン12側にバネ受け42bが垂下されている。
【0016】
図4,5で移動案内駆動部50において、前記取付台42の下面に直方体の中間部材51がワイヤ長さ方向に摺動自在に係合され、中間部材51とバネ受け42bとの間に圧縮バネ52が介在され、前記取付台42の下端にラック53が固定される。該ラックに噛み合うピニオン54が移動軸55に固定され、この軸に取り付けられたホイール56にウオーム57が噛み合い、ウオーム56は移動モータ58で回動される。
【0017】
前記の全体がケース2に収容されて、上下される。ケース昇降部60において、装置フレーム3に固定された水平基台4の下面にピストンシリンダ61が装着される。ピストン棒の下端に水平連結棒62が取り付けられ、その両端から立設された支持棒63が、前記基台4を融通貫通して、ケース2の下面を支えている。
【0018】
図1,2、4,において、ワイヤWはチャック1で掴まれて上方から降ろされ、固定ガイド片31,31の間、曲げピン11,11の間、および移動ガイド片41,41の間に入って保持される。次に曲げ駆動部20が作動し、ピン台12が右に回動する。同時に、移動案内駆動部50を作動すると、ピニオン54が図4で右に回り、ラック53と共に移動ガイド片41がピン台12に近づいて止まる。
【0019】
この結果、図6のように、ワイヤはU字部の両側で固定側と移動側のガイド片31,41の曲げ案内面31a、41aで受けられながら、U字状に曲がる。このとき、曲げの初期ではワイヤの曲げによる引張力により、ワイヤはピン台側に引かれ、移動ガイド片はワイヤとの摩擦力により、バネ52を縮めながらピン台側に引かれる。そして、中間部材51とストッパ42aとの間に隙間が生じる。その後、圧縮バネ52は伸びながら移動ガイド片41を後退させ、中間部材とストッパとの間に隙間がなくなる。これで移動ガイド片41の動きがラック53、ピニオン54の動きに追従する。図6でピン台12が左に回動する場合は、もう1本のピン11が前記と逆方向のU字状に曲げる。
【0020】
次に図2,4で、ケース昇降部60のピストンシリンダ61を作動させて、ケース2を下降させると、ワイヤWはチャック1で掴まれてまま、固定ガイド片31,31の間、曲げピン11,11の間、および移動ガイド片41,41の間から抜け出し、チャック1のアームを上方に回動させ、図外の製品受けのところでチャック1から離れる。
【0021】
本発明は前記した実施例や実施態様に限定されず、特許請求の範囲を逸脱せずに種々の変形を含む。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明はワイヤ曲げ方法に利用される。
【符号の説明】
【0023】
W ワイヤ、 1 チャック、 2 ケース、 3 装置フレーム、 4 基台
10 ワイヤ曲げ部
11 曲げピン
12 ピン台
13 曲げ軸
20 曲げ駆動部
21 受動ギヤ
30 固定曲げガイド部
31 ガイド片
31a 曲げ案内面
32 取付台
40 移動曲げガイド部
41 ガイド片
41a 曲げ案内面
42 取付台
42a ストッパ
42b バネ受け
50 移動案内駆動部
51 中間部材
52 バネ
53 ラック
54 ピニオン
55 移動軸
56 ウオ−ム
57 ホイール
58 移動モータ
60 ケース昇降部
61 ピストンシリンダ
62 連結棒
63 支持棒
図1
図2
図3
図4
図5
図6