特許第6013068号(P6013068)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013068
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】気泡付着位置検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/02 20060101AFI20161011BHJP
【FI】
   G01N29/02
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-166698(P2012-166698)
(22)【出願日】2012年7月27日
(65)【公開番号】特開2014-25826(P2014-25826A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2015年7月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【弁理士】
【氏名又は名称】小室 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】叶 浩司
【審査官】 横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−004567(JP,A)
【文献】 特開昭57−029916(JP,A)
【文献】 特開2012−078729(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00−29/52
H03H 3/08− 3/10
H03H 9/145,25
H03H 9/42− 9/44
H03H 9/64,68,72,76
G01B 17/00−17/08
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電性物質で形成された基板の一方の面上に導電層が設けられたセンサにおいて、液体に浸した前記センサの前記導電層に付着した気泡の前記一方の面に平行な第一の方向における位置を検出する気泡付着位置検出方法であって、
前記一方の面に平行であって前記第一の方向に交差する第二の方向に前記基板を伝搬する弾性表面波が前記第二の方向に伝搬するのに要する時間が前記第一の方向の位置により異なることを利用し、
前記センサは、
前記一方の面上、かつ、前記導電層に対する前記第二の方向の一方側に設けられ、電気信号を入力されることで前記第二の方向に弾性表面波を伝搬させる入力電極と、
前記一方の面上、かつ、前記導電層に対する前記第二の方向の他方側に設けられ、前記第二の方向に伝搬する弾性表面波を電気信号として出力する3以上の出力電極と、
を備え、
前記一方の面に直交する直交方向に見たときに、前記出力電極を通り前記第二の方向に平行な基準線上における前記導電層の長さである導電層長さは、互いに異なるように設定され、
前記入力電極から前記第二の方向に弾性表面波を伝搬させて、前記弾性表面波を伝搬させてからそれぞれの前記出力電極が前記弾性表面波を受信するまでに要する伝搬時間を測定する測定工程と、
それぞれの前記出力電極に対応する前記導電層長さおよび前記伝搬時間の組のうち、線形の関係から最も外れた組に対応する前記出力電極を特定し、特定した前記出力電極の前記第一の方向における位置を前記気泡の位置とする特定工程と、
を備えることを特徴とする気泡付着位置検出方法。
【請求項2】
それぞれの前記出力電極は、
第一電極片と、
前記第一電極片に対して絶縁された第二電極片とを有し、
それぞれの前記第一電極片は互いに電気的に接続され、
それぞれの前記第二電極片は互いに電気的に接続され、
前記測定工程において、前記第一電極片に対する前記第二電極片の電位を測定しつつ、前記入力電極から前記第二の方向に弾性表面波を伝搬させて、前記弾性表面波を伝搬させてからそれぞれの前記出力電極が前記弾性表面波を受信するまでに要する伝搬時間を測定することを特徴とする請求項1に記載の気泡付着位置検出方法。
【請求項3】
前記特定工程では、前記導電層長さと前記伝搬時間との関係を、直交座標平面上における一方の軸を前記導電層長さ、他方の軸を前記伝搬時間として最小二乗法により一次式で近似し、
前記直交座標平面上において前記一次式で表される直線からの距離が最も大きくなる前記導電層長さおよび前記伝搬時間に対応する前記出力電極を特定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の気泡付着位置検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサに付着した気泡の位置を検出する気泡付着位置検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
弾性表面波溶液センサは、検出面を伝搬する弾性表面波と溶液との相互作用を利用して、溶液の性質を測定するデバイスである。弾性表面波溶液センサは、例えば、特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1の弾性表面波溶液センサは、基板の表面上に、例えば、横波弾性波を励振する励振電極(入力電極)と、励振電極から伝搬される弾性表面波を受信する受信電極(出力電極)とが形成された構成となっている。励振電極と受信電極との間にあるセンシング領域(導電層)は、例えば樹脂製の側壁で囲まれている。
このセンシング領域に測定対象の溶液(液体)を滴下し、しかる後に励振電極から受信電極へ弾性表面波を伝搬させ、この溶液の存在により生じる弾性表面波の伝搬特性の変化を検出して、溶液の誘電率などの物性値を測定するものである。
この弾性表面波溶液センサは、原理上、測定対象の溶液とセンシング領域とを接触させて使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−129788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の弾性表面波溶液センサでは、溶液の温度変化などにより発生した気泡がセンシング領域上に付着した場合、気泡の影響により測定誤差を生じる。センシング領域上に付着した気泡の位置が特定できれば、測定した誘電率などを補正しやすくなる。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、センサの導電層に付着した気泡の位置を検出する気泡付着位置検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の気泡付着位置検出方法は、圧電性物質で形成された基板の一方の面上に導電層が設けられたセンサにおいて、液体に浸した前記センサの前記導電層に付着した気泡の前記一方の面に平行な第一の方向における位置を検出する気泡付着位置検出方法であって、前記一方の面に平行であって前記第一の方向に交差する第二の方向に前記基板を伝搬する弾性表面波が前記第二の方向に伝搬するのに要する時間が前記第一の方向の位置により異なることを利用し、前記センサは、前記一方の面上、かつ、前記導電層に対する前記第二の方向の一方側に設けられ、電気信号を入力されることで前記第二の方向に弾性表面波を伝搬させる入力電極と、前記一方の面上、かつ、前記導電層に対する前記第二の方向の他方側に設けられ、前記第二の方向に伝搬する弾性表面波を電気信号として出力する3以上の出力電極と、を備え、前記一方の面に直交する直交方向に見たときに、前記出力電極を通り前記第二の方向に平行な基準線上における前記導電層の長さである導電層長さは、互いに異なるように設定され、前記入力電極から前記第二の方向に弾性表面波を伝搬させて、前記弾性表面波を伝搬させてからそれぞれの前記出力電極が前記弾性表面波を受信するまでに要する伝搬時間を測定する測定工程と、それぞれの前記出力電極に対応する前記導電層長さおよび前記伝搬時間の組のうち、線形の関係から最も外れた組に対応する前記出力電極を特定し、特定した前記出力電極の前記第一の方向における位置を前記気泡の位置とする特定工程と、を備えることを特徴としている。
【0008】
また、上記の気泡付着位置検出方法において、それぞれの前記出力電極は、第一電極片と、前記第一電極片に対して絶縁された第二電極片とを有し、それぞれの前記第一電極片は互いに電気的に接続され、それぞれの前記第二電極片は互いに電気的に接続され、前記測定工程において、前記第一電極片に対する前記第二電極片の電位を測定しつつ、前記入力電極から前記第二の方向に弾性表面波を伝搬させて、前記弾性表面波を伝搬させてからそれぞれの前記出力電極が前記弾性表面波を受信するまでに要する伝搬時間を測定することがより好ましい。
【0009】
また、上記の気泡付着位置検出方法において、前記特定工程では、前記導電層長さと前記伝搬時間との関係を、直交座標平面上における一方の軸を前記導電層長さ、他方の軸を前記伝搬時間として最小二乗法により一次式で近似し、前記直交座標平面上において前記一次式で表される直線からの距離が最も大きくなる前記導電層長さおよび前記伝搬時間に対応する前記出力電極を特定することがより好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の気泡付着位置検出方法によれば、センサの導電層に付着した気泡の位置を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態の気泡付着位置検出方法の実施に用いられる弾性表面波溶液センサの平面図である。
図2】同気泡付着位置検出方法で測定した伝搬時間と伝搬路長さとの関係を示す図である。
図3】同気泡付着位置検出方法で測定した出力電極25Dの伝搬時間に対する遅延時間を示す図である。
図4】本発明の第2実施形態の気泡付着位置検出方法の実施に用いられる弾性表面波溶液センサの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る気泡付着位置検出方法の第1実施形態を、図1から図3を参照しながら説明する。本実施形態の弾性表面波溶液センサ(センサ)は、本発明の気泡付着位置検出方法を実施する弾性表面波溶液センサの一例である。
図1に示すように、この弾性表面波溶液センサ1は、基板10の一方の面10a上に伝搬路(導電層)15が設けられた構成となっている。弾性表面波溶液センサ1は、不図示の溶液(液体)に浸したときに、伝搬路15に付着した気泡Bの、一方の面10aに平行な第一の方向Dにおける位置を検出するものである。
溶液としては、特に種類は限定されないが、例えば、純水や溶剤などを用いることができる。
【0014】
基板10は、公知の圧電性物質で形成されている。
伝搬路15の第一の方向Dの両端に設けられた縁部15a、15bは、一方の面10aに平行であって第一の方向Dに直交する第二の方向Eに平行に延びるように形成されている。伝搬路15の第二の方向Eにおける一方側E1に設けられた縁部15cは、第一の方向Dに平行に延びるように形成されている。伝搬路15の第二の方向Eにおける他方側E2に設けられた縁部15dは、縁部15aに近づくにしたがって縁部15cから離間するように形成されている。このように、伝搬路15は、一方の面10aに直交する直交方向Fに見たときに、互いに平行な縁部15a、15bを有する台形状に形成されている。伝搬路15は、金などの金属をエッチングすることなどで形成することができる。
【0015】
弾性表面波溶液センサ1は、一方の面10a上に設けられ、伝搬路15を第二の方向Eに挟むように配置された入力電極20、および、4つの出力電極25A〜25Dを備えている。
なお、出力電極25A〜25Dの構成は互いに同一であるため、互いに同一となる構成は、符号のうち数字の部分を共通にし、出力電極25Aの構成については共通の数字に英字「A」を付加し、出力電極25Bの構成については共通の数字に英字「B」を付加し、・・などの方法で示すことにする。
【0016】
入力電極20、および出力電極25A〜25Dは、伝搬路15を第二の方向Eに挟むように配置されている。すなわち、入力電極20は伝搬路15に対する第二の方向Eの一方側E1に設けられ、出力電極25A〜25Dは伝搬路15に対する第二の方向Eの他方側E2に設けられている。
入力電極20は、第一入力電極片21と、第一入力電極片21に対して電気的に絶縁された第二入力電極片22とを有している。第一入力電極片21の歯部21a、および、第二入力電極片22の歯部22aは、第一の方向Dに延びるとともに、第二の方向Eに見たときに互いに重なるように配置されている。このように構成された入力電極20は、全体としていわゆる櫛歯状に形成されている。入力電極20は、伝搬路15から離間するとともに、縁部15cの近傍に配置されている。
入力電極20は、入力電極片21、22間に電気信号を入力されることで、第二の方向Eの他方側E2に弾性表面波Wを伝搬させることができる。
【0017】
出力電極25A〜25Dは、伝搬路15の縁部15a側から縁部15b側に向けて順に並ぶように配置されている。
出力電極25Aは、第一出力電極片(第一電極片)26Aと、第一出力電極片26Aに対して絶縁された第二出力電極片(第二電極片)27Aとを有している。第一出力電極片26Aの歯部28A、および、第二出力電極片27Aの歯部29Aは、第一の方向Dに延びるとともに、第二の方向Eに見たときに互いに重なるように配置されている。出力電極25A〜25Dは、伝搬路15から離間するとともに、縁部15dの近傍に配置されている。
このように構成された出力電極25A〜25Dは、第二の方向Eの他方側E2に伝搬する弾性表面波Wを電気信号に変換して出力することができる。
なお、出力電極25Aと出力電極25Bとの第二の方向Eにおける位置のずれは、弾性表面波Wのパルス幅以上であることが好ましい。出力電極25Bと出力電極25C、出力電極25Cと出力電極25Dにおいても同様である。
【0018】
ここで、直交方向Fに見たときに、出力電極25Aを通り第二の方向Eに平行な基準線CA上における伝搬路15の長さである伝搬路長さ(導電層長さ)LAを規定する。同様に、出力電極25B〜25Dに対しても、基準線CB〜CD、および伝搬路長さLB〜LDを規定する。本実施形態では、伝搬路15は、伝搬路長さLA〜LDが、伝搬路長さLA、伝搬路長さLB、‥の順で短くなり、伝搬路長さLA〜LDが互いに異なるように形成されている。なお、この例では、伝搬路長さLAと伝搬路長さLBとの長さの差、伝搬路長さLBと伝搬路長さLCとの長さの差、および、伝搬路長さLCと伝搬路長さLDとの長さの差、は互いに等しくなるように設定されている。すなわち、伝搬路長さLA〜LDの長さの変化量は等しくなるよう設定されている。
第一出力電極片26A〜26Dは、互いに電気的に接続されている。第二出力電極片27A〜27Dは、互いに電気的に接続されている。
出力電極25A〜25Dは、第一の方向Dにおいて、入力電極20が占める範囲内に配置されている。
【0019】
次に、以上のように構成された弾性表面波溶液センサ1を用いた本実施形態の気泡付着位置検出方法について説明する。なお、以下の、測定工程および特定工程は、弾性表面波溶液センサ1とともに用いられる不図示の制御装置で行われる。
まず、測定工程において、入力電極20が弾性表面波Wを伝搬させてから出力電極25A〜25Dで弾性表面波Wを受信するまでに要する伝搬時間を、出力電極25A〜25Dで測定する。
具体的には、入力電極20を、高周波の電気信号を発生する不図示の発振器に接続しておくとともに、弾性表面波Wに対応した出力信号を検出する公知の検出器を第一出力電極片26Aと第二出力電極片27Aとの間に接続し、第一出力電極片26Aに対する第二出力電極片27Aの電位を測定する。発振器が電気信号を発生させたタイミングを検出器に送信することで、前述の伝搬時間を検出器で測定する。
発振器から入力電極20に電気信号を入力することで、入力電極20から第二の方向Eの他方側E2に弾性表面波Wを伝搬させる。
【0020】
伝搬路15に気泡Bが付着していない場合には、弾性表面波Wは第一の方向Dの位置によらず同様に、基板10および伝搬路15上を第二の方向Eに揃うようにして他方側E2に伝搬され、出力電極25A〜25Dで受信される。このときの、出力電極25A〜25Dの伝搬路長さLA〜LDと伝搬時間との関係は、図2に示す測定点PA、PB’、PC、PDのようになる。すなわち、伝搬路長さが長くなるにしたがって伝搬時間が長くなる。より具体的には、伝搬路長さに対して伝搬時間は一次式(線形)の関係にある。
この例の場合、出力電極25A〜25Dのうち最も早く弾性表面波Wを受信するのは伝搬路長さが最も短い出力電極25Dである。出力電極25D以外の出力電極25A〜25Cにおいて、出力電極25Dの伝搬時間に対する遅延時間は図3のようになる(出力電極25Bについては、二点鎖線を参照。)。すなわち、弾性表面波Wを伝搬させてから時間が経過するにしたがって、伝搬路長さがより長い出力電極で弾性表面波Wが受信される。
【0021】
一方で、図1に示すように、例えば、伝搬路15における出力電極25Bで受信される弾性表面波Wが伝搬される部分に気泡Bが付着している場合には、気泡B周囲の弾性表面波Wの伝搬速度が変化するため、出力電極25Bに対する伝搬時間の測定結果は、図2に示すように線形関係でなくなる。すなわち、出力電極25Bに対する伝搬時間が、気泡Bが付着していない場合に比べて変化する。言い換えれば、図3中に出力電極25Bに対して実線で示すように、出力電極25Bの遅延時間が、気泡Bが付着していない場合に比べて長くなる。
以上で測定工程を終了し、特定工程に移行する。
【0022】
続いて、特定工程において、出力電極25A〜25Dにおける伝搬路長さと伝搬時間との関係において、測定点PA、PB、PC、PDのうち、一次式の関係から最も外れた測定点に対応する出力電極を特定する。
具体的には、測定点PA、PB、PC、PDの導電層長さと伝搬時間との関係を、図2に示すように、直交座標平面上における一方の軸を導電層長さ、他方の軸を伝搬時間として最小二乗法により近似して一次式を求める。直交座標平面上において、求めた一次式で表される直線M1からの距離が最も大きくなる測定点PBに対応する出力電極25Bを特定する。
そして、特定した出力電極25Bの第一の方向Dにおける位置を、伝搬路15に付着した気泡Bの第一の方向Dにおける位置とする。
【0023】
以上説明したように、本実施形態の気泡付着位置検出方法によれば、伝搬路15に気泡Bが付着することで、気泡Bが付着した位置に対応する出力電極25Bの伝搬時間が求めた一次式で表される直線M1から乖離する。これにより、伝搬路15に付着した気泡Bの第一の方向Dにおける位置を容易に検出することができる。
【0024】
出力電極25A〜25Dに接続する検出器は、第一出力電極片26Aと第二出力電極片27Aとの間の電位、すなわち、1チャンネル分の電位だけを測定すればよいので、検出器の構成を簡単にすることができる。
出力電極25A〜25Dは、第一の方向Dにおいて、入力電極20が占める範囲内に配置されているため、入力電極20から第二の方向Eに伝搬される弾性表面波Wを、出力電極25A〜25Dに確実に伝搬させることができる。
測定点PA、PB、PC、PDを一次式で近似することで、気泡Bの第一の方向Dにおける位置を容易に検出することができる。
【0025】
なお、本実施形態では、測定点PA、PB、PC、PDを一次式で近似することで、測定点PA、PB、PC、PDのうち一次式の関係から最も外れたものを特定した。しかし、この特定方法はこれに限ることなく、例えば、測定点PA、PB、PC、PDにおける伝搬路長さと伝搬時間との相関係数を求めることで特定してもよい。
具体的には、測定点PA、PB、PC、PD全体の相関係数に比べて、測定点PBを除いた測定点PA、PC、PDにおける相関係数が1(または、−1。)に大きく近づいた場合には、測定点PBに対応する出力電極25Bの第一の方向Dにおける位置を、伝搬路15に付着した気泡Bの第一の方向Dにおける位置とすることになる。
【0026】
本実施形態では、弾性表面波溶液センサ1は、4つの出力電極25A〜25Dを備え、縁部15a側から縁部15b側に向かうにしたがって、伝搬路15の第二の方向Eの幅が狭くなるように形成した。しかし、伝搬路の形状、および、出力電極の配置はこの限りでなく、第一の方向Dの中央部に配置された出力電極に対する伝搬路長さが最も短くなるように伝搬路を形成してもよい。
【0027】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図4を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図4に示す弾性表面波溶液センサ2は、第1実施形態の弾性表面波溶液センサ1の伝搬路15に代えて、伝搬路35を備えている。
伝搬路35は、直交方向Fに見たときに矩形状に形成されている。すなわち、この例では、伝搬路長さLA〜LDは、互いに等しく設定されている。
第一出力電極片26A〜26Dは互いに接続されていなく、第二出力電極片27A〜27Dも互いに接続されていない。
【0028】
このように構成された弾性表面波溶液センサ2を用いた本実施形態の気泡付着位置検出方法は、以下のように行われる。
測定工程において、検出器の測定チャンネルを第一出力電極片26Aと第二出力電極片27Aとの間、第一出力電極片26Bと第二出力電極片27Bとの間、第一出力電極片26Cと第二出力電極片27Cとの間、そして、第一出力電極片26Dと第二出力電極片27Dとの間、にそれぞれ接続する。すなわち、検出器で第二出力電極片27A、27B、27C、27Dの電位を独立して測定する。
この例では、伝搬路35に気泡Bが付着していない場合には、入力電極20から第二の方向Eの他方側E2に伝搬された弾性表面波Wは、出力電極25A〜25Dで同時に受信されることになる。一方で、例えば伝搬路35における出力電極25Bで受信される弾性表面波Wが伝搬される部分に気泡Bが付着している場合には、出力電極25A、25C、25Dの伝搬時間が互いに等しいのに対して、出力電極25Bでは異なる伝搬時間が測定される。
【0029】
続いて、特定工程において、出力電極25A〜25Dの伝搬時間のうち予め見積もられる伝搬時間(仮にTとする)との差の絶対値が0にならない出力電極25Bを特定し、特定した出力電極25Bの第一の方向Dにおける位置を、伝搬路35に付着した気泡Bの第一の方向Dにおける位置とする。
なお、出力電極25A〜25Dにおいて測定される伝搬時間に測定誤差が含まれることを考慮して、以下のように出力電極を特定してもよい。すなわち、測定した出力電極25A〜25Dの伝搬時間のうち伝搬時間Tとの差の絶対値が、例えば1msなどの閾値を超えた出力電極を特定する。そして、特定した出力電極の第一の方向Dにおける位置を、伝搬路35に付着した気泡Bの第一の方向Dにおける位置とする。
閾値は、この値に限ることなく、測定条件や検出したい気泡Bの大きさなどに応じて適宜設定されるものである。
【0030】
以上説明したように、本実施形態の気泡付着位置検出方法によれば、弾性表面波溶液センサ2の伝搬路35に付着した気泡Bの第一の方向Dにおける位置を検出することができる。
また、弾性表面波溶液センサ2において、第一出力電極片26A〜26D、第二出力電極片27A〜27Dを電気的に接続する必要が無いため、回路の構成を簡単にすることができる。
【0031】
以上、本発明の第1実施形態および第2実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更なども含まれる。さらに、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
たとえば、前記第1実施形態および第2実施形態では、弾性表面波溶液センサが備える出力電極の数は、3以上であればいくつでもよいが、4以上であることが好ましい。
【0032】
また、前記第1実施形態および第2実施形態では、気泡Bの第一の方向Dにおける位置を検出し、その位置以外の位置における伝搬時間のデータを用いることで、伝搬路の一部に気泡Bが付着した場合であっても、弾性表面波溶液センサが浸された溶液の物性値を精度良く測定することができる。
伝搬路に気泡が付着していないと分かっているときの出力電極25A〜25Dの伝搬時間を予め測定し、制御装置のメモリなどに記憶しておいてもよい。そして例えば、この記憶した伝搬時間を測定工程で測定した各出力電極25A〜25Dの伝搬時間と比較し、両伝搬時間の差が一定以上大きくなったときに、その伝搬時間が長くなった出力電極に対応する第一の方向Dにおける位置を、伝搬路に付着した気泡の第一の方向Dにおける位置としてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1、2 弾性表面波溶液センサ(センサ)
10 基板
10a 一方の面
15、35 伝搬路(導電層)
20 入力電極
25A、25B、25C、25D 出力電極
26A、26B、26C、26D 第一出力電極片(第一電極片)
27A、27B、27C、27D 第二出力電極片(第二電極片)
B 気泡
CA、CB、CC、CD 基準線
D 第一の方向
E 第二の方向
E1 一方側
E2 他方側
F 直交方向
LA、LB、LC、LD 伝搬路長さ(導電層長さ)
M 直線
W 弾性表面波
図1
図2
図3
図4