特許第6013076号(P6013076)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラ株式会社の特許一覧

特許6013076エネルギー管理装置、エネルギー管理システムおよびエネルギー管理方法
<>
  • 特許6013076-エネルギー管理装置、エネルギー管理システムおよびエネルギー管理方法 図000002
  • 特許6013076-エネルギー管理装置、エネルギー管理システムおよびエネルギー管理方法 図000003
  • 特許6013076-エネルギー管理装置、エネルギー管理システムおよびエネルギー管理方法 図000004
  • 特許6013076-エネルギー管理装置、エネルギー管理システムおよびエネルギー管理方法 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013076
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】エネルギー管理装置、エネルギー管理システムおよびエネルギー管理方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/46 20060101AFI20161011BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20161011BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20161011BHJP
   H02J 3/14 20060101ALI20161011BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   H02J3/46
   H02J3/32
   H02J7/35 K
   H02J3/14 130
   H02J3/38 130
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-179039(P2012-179039)
(22)【出願日】2012年8月10日
(65)【公開番号】特開2014-39352(P2014-39352A)
(43)【公開日】2014年2月27日
【審査請求日】2014年11月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100153017
【弁理士】
【氏名又は名称】大倉 昭人
(72)【発明者】
【氏名】沖野 健太
【審査官】 緑川 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−254696(JP,A)
【文献】 特開2000−323177(JP,A)
【文献】 特開平09−093829(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/118606(WO,A1)
【文献】 特開2008−253092(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3176095(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J1/00−7/12,
H02J7/34−7/36,
H02J13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電設備の発電電力、蓄電設備の充放電電力及び負荷の消費電力からなる3要素の電力情報のうち、いずれか2要素の電力情報を前記2要素から取得し、前記2要素の電力情報に基づいて、自立運転状態において、前記3要素の電力情報のうち、前記2要素を除いた1要素の電力情報を算出する制御部を備え
前記発電設備と前記蓄電設備からの前記負荷への同時出力を可能とする構成を有しているか否かを示す情報を取得可能な通信部をさらに有し、
前記制御部は、前記通信部で受信した情報に基づいて前記負荷への同時出力の可否に応じた計算を行うことを特徴とする、エネルギー管理装置。
【請求項2】
前記負荷の消費電力は、全負荷のうち前記自立運転状態のときに電力供給を受けることができる特定負荷の消費電力であることを特徴とする、請求項1に記載のエネルギー管理装置。
【請求項3】
前記蓄電設備から取得する前記電力情報は、充電された電力を放電している放電状態、充電も放電も行なっていない待機状態、又は、電力を充電している充電状態のいずれかの状態に関する情報であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のエネルギー管理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記蓄電設備の充放電電力及び前記負荷の消費電力の電力情報に基づいて、自立運転状態における前記発電設備の発電電力の電力情報を算出することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のエネルギー管理装置。
【請求項5】
前記制御部は、自立運転中に前記発電設備と前記蓄電設備が双方からの前記負荷への同時電力供給が不可能であって、前記蓄電設備が放電状態である場合に、前記発電設備の発電電力を0とすることを特徴とする、請求項4に記載のエネルギー管理装置。
【請求項6】
前記制御部は、自立運転中に前記蓄電設備が待機状態である場合に、前記発電設備の発電電力を前記負荷の消費電力と等しいとすることを特徴とする、請求項4に記載のエネルギー管理装置。
【請求項7】
前記制御部は、自立運転中に前記発電設備と前記蓄電設備が双方からの前記負荷への同時電力供給が不可能であって、前記蓄電設備が充電状態である場合に、前記発電設備の発電電力を、前記負荷の消費電力と前記蓄電設備の充電電力との合計とすることを特徴とする、請求項4に記載のエネルギー管理装置。
【請求項8】
前記制御部は、自立運転中に前記発電設備と前記蓄電設備が双方からの前記負荷への同時電力供給が可能であって、前記蓄電設備が放電状態である場合に、前記発電設備の発電電力を、前記負荷の消費電力と前記蓄電設備の放電電力との差とすることを特徴とする、請求項4に記載のエネルギー管理装置。
【請求項9】
前記発電設備、前記蓄電設備及び前記負荷と通信可能な通信部をさらに有し、
前記通信部は、前記2要素から前記電力情報を直接取得することを特徴とする、請求項1からのいずれか1項に記載のエネルギー管理装置。
【請求項10】
前記通信部は、通信端末からの電力情報要求信号に応じて、前記電力情報を前記通信端末に送信することを特徴とする、請求項に記載のエネルギー管理装置。
【請求項11】
前記特定負荷が、蓄電池パワーコンディショナに接続されている、請求項2に記載のエネルギー管理装置。
【請求項12】
発電設備、蓄電設備及び負荷と、
前記発電設備の発電電力、前記蓄電設備の充放電電力及び前記負荷の消費電力からなる3要素の電力情報のうち、いずれか2要素の電力情報を前記2要素から取得し、前記2要素の電力情報に基づいて、自立運転状態において、前記3要素の電力情報のうち、前記2要素を除いた1要素の電力情報を算出する制御部とを備え
前記発電設備と前記蓄電設備からの前記負荷への同時出力を可能とする構成を有しているか否かを示す情報を取得可能な通信部をさらに有し、
前記制御部は、前記通信部で受信した情報に基づいて前記負荷への同時出力の可否に応じた計算を行うことを特徴とする、エネルギー管理システム。
【請求項13】
発電設備の発電電力、蓄電設備の充放電電力及び負荷の消費電力からなる3要素の電力情報のうち、いずれか2要素の電力情報を前記2要素から取得するステップと、
前記発電設備と前記蓄電設備からの前記負荷への同時出力を可能とする構成を有しているか否かを示す情報を取得するステップと、
前記2要素の電力情報及び前記同時出力を可能とする構成を有しているか否かを示す情報に基づいて、自立運転状態において、前記3要素の電力情報のうち、前記2要素を除いた1要素の電力情報を算出するステップと、を含む、エネルギー管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー管理装置、エネルギー管理システムおよびエネルギー管理方法に関する。
【0002】
近年、電力需要家ごとに設けられるエネルギー管理装置の一例として電力管理装置(例えば、HEMS:Home Energy Management System)によって、電力需要家に設けられる負荷機器および分散電源などを制御する技術が知られている(特許文献1参照)。電力管理装置は、電力管理装置が制御または監視する負荷機器の消費電力量、分散電源の発電電力量、および商用電源からの供給電力量などの様々な電力量の時間に応じた変化を取得し、保管することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−309928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、エネルギー管理装置が取得した各種電力量の情報をより有効に活用するために、さらなる詳細な検討が求められていた。
【0005】
したがって、かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、エネルギーの需給状態を制御および管理するシステムにおいて取得される情報をより有効に活用することのできるエネルギー管理装置、エネルギー管理システムおよびエネルギー管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明に係るエネルギー管理装置は、
発電設備の発電電力、蓄電設備の充放電電力及び負荷の消費電力からなる3要素の電力情報のうち、いずれか2要素の電力情報を前記2要素から取得し、前記2要素の電力情報に基づいて、自立運転状態において、前記3要素の電力情報のうち、前記2要素を除いた1要素の電力情報を算出する制御部を備え
前記発電設備と前記蓄電設備からの前記負荷への同時出力を可能とする構成を有しているか否かを示す情報を取得可能な通信部をさらに有し、
前記制御部は、前記通信部で受信した情報に基づいて前記負荷への同時出力の可否に応じた計算を行うことを特徴とする。
【0007】
また本発明に係るエネルギー管理装置は、
前記制御部は、前記蓄電設備の充放電電力及び前記負荷の消費電力の電力情報に基づいて、自立運転状態における前記発電設備の発電電力の電力情報を算出することを特徴とする。
【0008】
また本発明に係るエネルギー管理装置は、
前記制御部は、自立運転中に前記発電設備と前記蓄電設備が双方からの前記負荷への同時電力供給が不可能であって、前記蓄電設備が放電状態である場合に、前記発電設備の発電電力を0とすることを特徴とする。
【0009】
また本発明に係るエネルギー管理装置は、
前記制御部は、自立運転中に前記蓄電設備が待機状態である場合に、前記発電設備の発電電力を前記負荷の消費電力と等しいとすることを特徴とする。
【0010】
また本発明に係るエネルギー管理装置は、
前記制御部は、自立運転中に前記発電設備と前記蓄電設備が双方からの前記負荷への同時電力供給が不可能であって、前記蓄電設備が充電状態である場合に、前記発電設備の発電電力を、前記負荷の消費電力と前記蓄電設備の充電電力との合計とすることを特徴とする。
【0011】
また本発明に係るエネルギー管理装置は、
前記制御部は、自立運転中に前記発電設備と前記蓄電設備が双方からの前記負荷への同時電力供給が可能であって、前記蓄電設備が放電状態である場合に、前記発電設備の発電電力を、前記負荷の消費電力と前記蓄電設備の放電電力との差とすることを特徴とする。
【0013】
また本発明に係るエネルギー管理システムは、
発電設備、蓄電設備及び負荷と、
前記発電設備の発電電力、前記蓄電設備の充放電電力及び前定負荷の消費電力からなる3要素の電力情報のうち、いずれか2要素の電力情報を前記2要素から取得し、前記2要素の電力情報に基づいて、自立運転状態において、前記3要素の電力情報のうち、前記2要素を除いた1要素の電力情報を算出する制御部とを備え
前記発電設備と前記蓄電設備からの前記負荷への同時出力を可能とする構成を有しているか否かを示す情報を取得可能な通信部をさらに有し、
前記制御部は、前記通信部で受信した情報に基づいて前記負荷への同時出力の可否に応じた計算を行うことを特徴とする。
【0014】
また本発明に係るエネルギー管理方法は、
発電設備の発電電力、蓄電設備の充放電電力及び負荷の消費電力からなる3要素の電力情報のうち、いずれか2要素の電力情報を前記2要素から取得するステップと、
前記発電設備と前記蓄電設備からの前記負荷への同時出力を可能とする構成を有しているか否かを示す情報を取得するステップと、
前記2要素の電力情報及び前記同時出力を可能とする構成を有しているか否かを示す情報に基づいて、自立運転状態において、前記3要素の電力情報のうち、前記2要素を除いた1要素の電力情報を算出するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0015】
上記のように構成された本発明のエネルギー管理装置、エネルギー管理システムおよびエネルギー管理方法によれば、エネルギーの需給状態を制御および管理するシステムにおいて取得される情報をより有効に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係るエネルギー管理システムの概略構成を示す機能ブロック図である。
図2図1におけるエネルギー管理装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係るエネルギー管理システムの動作を示すフローチャートである。
図4】本発明の一実施形態に係るエネルギー管理システムによる発電電力の算出にかかる動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
(実施の形態)
まず、第1の実施形態に係るエネルギー管理システムについて説明する。本実施形態に係るエネルギー管理システムは、商用電源系統から供給される電力の他に、発電設備として例えば太陽光発電などによって電力を供給する太陽電池、および、電力を充放電することができる蓄電設備として蓄電池を備えることができる。なお、発電設備は、太陽電池に限定されるものではなく、例えばSOFC(Solid Oxide Fuel Cell)などの燃料電池を含む燃料電池システムなど、種々の発電システムとすることができる。以下説明する本実施形態においては、発電設備は太陽電池を備え、蓄電設備は、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等の蓄電池を備えるものとする。
【0019】
図1は、本実施形態に係るエネルギー管理システムの概略構成を示す機能ブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係るエネルギー管理システム10は、通信端末11、エネルギー管理装置12、スマートメータ13、太陽電池パワーコンディショナ14a、蓄電池パワーコンディショナ14b、太陽電池15、および蓄電池16を含んで構成される。
【0020】
図1において、各機能ブロックを結ぶ実線は、電力の流れを表す。また、図1において、各機能ブロックを結ぶ破線は、制御信号または通信される情報の流れを表す。当該破線が示す通信は有線通信としてもよいし、無線通信としてもよい。
【0021】
制御信号および情報の通信には、様々な方式を採用可能である。例えば、エネルギー管理装置12と、通信端末11、スマートメータ13、太陽電池パワーコンディショナ14aおよび蓄電池パワーコンディショナ14bとの通信には、ZigBee(登録商標)などの近距離通信方式による通信を採用することができる。また、エネルギー管理装置12と一般負荷18および特定負荷19との通信には、赤外線通信、電力線搬送通信(PLC:Power Line Communication)など、様々な伝送メディアを使用することができる。またそれぞれの通信に適した物理層等の下位層の上で、各種プロトコルZigBee SEP2.0(Smart Energy Profile2.0)、ECHONET Lite(登録商標)などのような上位層だけ規定される通信プロトコルを動作させてもよい。
【0022】
エネルギー管理システム10は、商用電源系統50から供給される電力の他、太陽電池15が発電する電力、および蓄電池16に充電された電力のうち放電された電力を、一般負荷18および特定負荷19に供給可能である。
【0023】
通信端末11は、エネルギー管理装置12から取得した情報およびエネルギーの管理状態を表示することができる。通信端末11は、モバイル端末、パソコン(PC)、ノートパソコン、またはタブレット端末などにアプリケーションソフトウェアをインストールしたものとするなど、各種の端末とすることができる。
【0024】
通信端末11は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)または有機ELディスプレイ等を備えることができ、エネルギー管理装置12から取得した情報を、数値又はグラフ画像として表示することができる。
【0025】
通信端末11は、例えばタッチパネルを備えることにより、ユーザが指などにより直接触れる操作を検出することが可能である。また、通信端末11は、物理キーを有するタイプの操作手段を備えることができる。通信端末11の、本実施形態に特有の制御については後述する。
【0026】
通信端末11は、例えばエネルギー管理装置12と無線通信を行う。すなわち、通信端末11はエネルギー管理装置12に制御信号および/または情報を送信するとともに、エネルギー管理装置12からの制御信号および/または情報を受信する。
【0027】
エネルギー管理装置12は、図1に示すエネルギー管理システム10における各機器の電力を制御および管理する。エネルギー管理装置12の構成についての詳細は後述する。
【0028】
スマートメータ13は、商用電源系統50に接続されて、商用電源系統50から供給される電力(買電)を計測する。また、スマートメータ13は、分電盤17にも接続されて、太陽電池15が発電して太陽電池パワーコンディショナ14aから分電盤17を介して電力会社に売電する電力を計測する。スマートメータ13は、計測した電力を、エネルギー管理装置12に送信可能である。
【0029】
また、スマートメータ13は、系統EMS(Energy Management System)60から、例えば電力に関する予測などの情報を受信可能である。ここで、系統EMS60は、電力に関する各種の予測および制御などを行う設備であり、一般的には、例えば電力会社などに設置される。系統EMS60は、例えばMDMS(メータデータマネジメントシステム)を構成するものを採用可能である。この系統EMS60は、各種の電力に関する情報を記憶するデータベース61を有しており、スマートメータ13が計測した結果の情報を収集して保管することもできる。また、系統EMS60は、インターネットなどのネットワーク70に接続可能である。
【0030】
太陽電池パワーコンディショナ14aおよび蓄電池パワーコンディショナ14bは、それぞれ太陽電池15および蓄電池16から供給される直流の電力を、交流の電力に変換する。太陽電池パワーコンディショナ14aおよび蓄電池パワーコンディショナ14bは、変換した交流の電力を、分電盤17を介して一般負荷18および特定負荷19に供給する。また、太陽電池パワーコンディショナ14aは、太陽電池15が発電した電力に余剰がある場合には、変換した交流の電力を、分電盤17を介して電力会社に売電することもできる。また、蓄電池パワーコンディショナ14bは、商用電源系統50から供給される交流の電力を、蓄電池16に充電するための直流の電力に変換可能である。
【0031】
太陽電池パワーコンディショナ14aは、太陽電池15の発電電力の情報を、使用するプロトコルにおいて予め定められたメッセージフォーマットによりエネルギー管理装置12に送信することができる。蓄電池パワーコンディショナ14bは、使用するプロトコルにおいて予め定められたメッセージフォーマットにより蓄電池16の充放電電力の情報をエネルギー管理装置12に送信することができる。
【0032】
太陽電池15は、太陽光を利用して発電する。太陽電池15は、太陽光のエネルギーを直流の電力に変換する。本実施形態において、太陽電池15は、例えば家の屋根などにソーラパネルを設置して、太陽光を利用して発電するような態様を想定している。しかしながら、本発明において、太陽電池15は一例であり、自然エネルギーを電力に変換できるものであれば、任意のものを採用することができる。
【0033】
太陽電池15が発電する電力は、上述したように、太陽電池パワーコンディショナ14aによって交流に変換されてから、一般負荷18および特定負荷19へ供給、および/または、電力会社に売電可能である。また、太陽電池15が発電した電力を、蓄電池16に供給して充電することも可能であり、さらには直流のまま一般負荷18および特定負荷19に供給される構成であってもよい。
【0034】
蓄電池16は、この蓄電池に充電された電力を放電することにより、電力を供給可能である。また、蓄電池16は、商用電源系統50または太陽電池15等から供給される電力を充電可能である。図1に示すように、蓄電池16から放電される電力も、一般負荷18および特定負荷19に供給可能である。
【0035】
蓄電池16は、充電された電力を放電している放電状態、充電も放電も行っていない待機状態、電力を充電している充電状態の3状態のうち、常に何れかの状態を構成する。蓄電池16は、通信により、上記の3状態のうち、何れの状態にあるかをエネルギー管理装置12に送信することができる。また、蓄電池16は系統の停電を検出し、通信によりエネルギー管理装置12に送信することができる。
【0036】
分電盤17は、供給される電力を一般負荷18に分配する。
【0037】
図1において、エネルギー管理システム10に接続される一般負荷18は、任意の数とすることができる。これらの一般負荷18は、例えば、テレビ、エアコン、冷蔵庫など、種々の電化製品である。
【0038】
特定負荷19は、例えば、照明、TV(テレビジョン受像機)、冷蔵庫、扇風機、携帯電話等モバイル端末の充電、ルータ等の通信機器、パソコン(PC)、およびHEMSなどの各種負荷機器とすることができる。すなわち、停電時にも、蓄電池16、太陽電池15から電力供給を受けることができる。
【0039】
次に、本実施形態に係るエネルギー管理装置12について、さらに説明する。
【0040】
図2は、本実施形態に係るエネルギー管理装置12の概略構成を示す機能ブロック図である。エネルギー管理装置12は、例えばHEMSであって、通信部23、制御部24および取得部26を含んで構成される。
【0041】
通信部23は、例えばインターフェースであり、通信端末11、スマートメータ13、太陽電池パワーコンディショナ14a、蓄電池パワーコンディショナ14b、一般負荷18および特定負荷19との間における制御部24からの制御信号および様々な情報を送受信する。
【0042】
例えば、通信部23は、スマートメータ13から、商用電源系統50からの買電の電力情報および/または商用電源系統50への売電の電力情報を受信可能である。さらに、通信部23は、スマートメータ13を介して例えば電力会社などから需要応答(Demand Response:DR)などの情報を受信可能である。また、通信部23は、太陽電池パワーコンディショナ14aおよび蓄電池パワーコンディショナ14bから、太陽電池15、蓄電池16、および商用電源系統50から分電盤17で複数に分岐した支幹を介して一般負荷18および特定負荷19に供給される電力情報について、各支幹に設けたセンサを介して取得可能である。また、通信部23は、太陽電池パワーコンディショナ14aから、太陽電池15が発電した発電電力情報を受信可能である。また、通信部23は、蓄電池パワーコンディショナ14bから、蓄電池16に充電される電力情報(つまり充電電力情報)についても直接受信可能である。また、通信部23は、一般負荷18および特定負荷19から消費電力情報についても直接受信可能である。また、通信部23は、ネットワーク70から多様な情報を取得可能である。そして、通信部23は、通信端末11とも通信することができる。
それぞれとの通信は、各種プロトコルに準拠して予め定められたメッセージフォーマットにより行われる。
【0043】
また、通信部23は通信端末11から、制御信号を取得可能であり、また通信部23は通信端末11にエネルギー管理システム10における電力の制御および管理の状態を示す情報を送信することができる。
【0044】
制御部24は、通信部23が受信した様々な情報に基づいて、エネルギー管理システム10における各機器の電力を制御する制御信号および/または通信端末11に送信する情報を生成する。
【0045】
制御部24は収集した各種の情報を保管するために、データベース25を有している。データベース25は、任意のメモリ装置などにより構成することができ、エネルギー管理装置12の外部に接続されるようにしてもよいし、エネルギー管理装置12に内蔵されるようにしてもよい。取得部26は、制御部24の制御によりデータベース25への情報の読み出し及び書き込みを行う。
【0046】
制御部24は、通信部23が取得する情報、例えば、上記の商用電源系統50からの買電電力、商用電源系統50への売電電力、太陽電池15の発電電力、蓄電池16の充放電電力、一般負荷18および特定負荷19の消費電力等の電力情報をデータベース25に保管することができる。
【0047】
ここで、エネルギー管理システム10における、系統停電時の接続について説明する。商用電源系統50から電力供給が停止した系統停電時には、太陽電池パワーコンディショナ14aは、太陽電池15が発電した電力を、自立出力し、蓄電池パワーコンディショナ14bを介して蓄電池16および/または、特定負荷19に供給する。また、蓄電池パワーコンディショナ14bは、蓄電池16が放電する電力を特定負荷19のみに供給する。このような接続構成を「ACリンク接続」という。
【0048】
エネルギー管理装置12は、蓄電池16からの系統停電情報の受信、太陽電池15からの系統停電情報の受信、および分電盤17の主幹における測定電圧が0であることなどから、自立運転かつACリンク動作を判断することができる。エネルギー管理装置12は、系統停電情報の受信あるいは分電盤17の主幹における測定電圧が0であることを検出すると、蓄電池パワーコンディショナ14bと太陽電池パワーコンディショナ14aとに対し、系統から解列した上で「ACリンク接続」に切り替えるよう、使用中のプロトコルにおいて予め定められたメッセージフォーマットに基づいた制御信号を送出するよう構成してもよい。この場合には、蓄電池パワーコンディショナ14bと太陽電池パワーコンディショナ14aとが制御信号受信後に「ACリンク接続」に切り替え、切り替えが完了すると、完了した旨の信号をエネルギー管理装置12の制御部24に送信する。このようにしてエネルギー管理装置12の制御部24が「ACリンク接続」に切り替えられて自立運転されていることを判別すると、その後、制御部24は、ACリンク動作時に電力情報の算出を行うことができる。
【0049】
ここで、系統停電時(自立運転かつACリンク接続時)におけるエネルギー管理装置12の制御部24が行う太陽電池15の発電電力の算出方法の一例について説明する。特定負荷19に対して、太陽電池15の発電電力の供給と、蓄電池16の放電電力の供給が同時に行えない場合を例に説明する。
【0050】
エネルギー管理装置12の通信部23は、蓄電池16の充放電電力および特定負荷19の消費電力を受信する。また、通信部23は、蓄電池16が上記の3状態の何れの状態にあるかを受信する。
【0051】
制御部24は、系統停電時(自立運転かつACリンク接続時)に蓄電池16が放電状態である場合、太陽電池15の発電電力を0とする。すなわち、制御部24は、太陽電池15からの電力供給がないものとして電力を算出する。また、制御部24は、系統停電時に蓄電池16が待機状態である場合、太陽電池15の発電電力を、特定負荷19の消費電力と等しい値とする。すなわち、制御部24は、太陽電池15の発電電力は特定負荷19のみに供給されるものとして電力を算出する。また、制御部24は、蓄電池16が充電状態である場合、太陽電池15の発電電力を、特定負荷19の消費電力と蓄電池16の充電電力の合計の値とする。すなわち、制御部24は、太陽電池15の発電電力は特定負荷19に供給され、さらに余剰の電力が蓄電池16に供給されるものとして電力を算出する。
【0052】
上記では、太陽電池15の発電電力の算出方法を示したが、これに限られず、他の電力を算出してもよい。例えば、太陽電池15の発電電力および蓄電池16の充放電電力に基づいて、系統停電時(自立運転かつACリンク接続時)の特定負荷19の消費電力を算出することも可能である。すなわち、制御部24は、蓄電池16が放電状態である場合、特定負荷19の消費電力を、蓄電池16の放電電力と等しい値とする。また、制御部24は、蓄電池16が待機状態である場合、特定負荷19の消費電力を、太陽電池15の発電電力とする。また、制御部24は、蓄電池16が充電状態である場合、特定負荷19の消費電力を、太陽電池15の発電電力から、蓄電池16の充電電力を差し引いた値とする。
【0053】
すなわち、エネルギー管理装置12の制御部24は、太陽電池15の発電電力、蓄電池16の充放電電力及び特定負荷19の消費電力からなる3要素の電力情報うち、いずれか2要素の電力情報を取得し、当該2要素の電力情報に基づいて、3要素の電力情報うち、当該2要素を除いた1要素の電力情報を算出する。
【0054】
次に本発明の一実施形態に係るエネルギー管理システム10について、エネルギー管理装置12が、蓄電池16の充放電電力および特定負荷19の消費電力を受信して、太陽電池15の発電電力を算出する場合の動作を、図3に示すフローチャートにより説明する。
【0055】
はじめに、エネルギー管理装置12は、制御部24が蓄電池パワーコンディショナ14bあるいは太陽電池パワーコンディショナ14aに自立運転かつACリンク接続に切り替えるよう指示(ステップS1)した後、この切り替え指示に対して切り替え完了のメッセージを受信する。その後、エネルギー管理装置12の通信部23は、各種電力(蓄電池16の充放電電力および特定負荷19の消費電力)の情報を受信する(ステップS2)。次に通信部23は、蓄電池16が上記の3状態の何れの状態にあるかを、蓄電池16からステータスを示すメッセージとして受信する(ステップS3)。
【0056】
続いてエネルギー管理装置12の制御部24は、受信した各種電力の情報に基づいて、太陽電池15の発電電力を算出する(ステップS4)。ステップS4における発電電力の算出について、図4に示すフローチャートにより説明する。
【0057】
まずエネルギー管理装置12の制御部24は、蓄電池16の状態を、蓄電池16から受信した情報に基づき判定する(ステップS41)。蓄電池16の状態に応じて、それぞれステップS42〜ステップS44に進む。
【0058】
蓄電池16が放電状態の場合、制御部24は、太陽電池15の発電電力を0とする(ステップS42)。そして処理が終了する。
【0059】
一方、蓄電池16が待機状態の場合、太陽電池15の発電電力を、特定負荷19の消費電力と等しい値とする(ステップS43)。そして処理が終了する。
【0060】
一方、蓄電池16が充電状態である場合、制御部24は、太陽電池15の発電電力を、特定負荷19の消費電力と蓄電池16の充電電力の合計の値とする(ステップS44)。そして処理が終了する。ステップS42〜ステップS44のいずれかの処理が終了した後、図3におけるステップS5に進む。
【0061】
続いて制御部24は、算出した電力情報をデータベース25に保管する(ステップS5)。
【0062】
続いて通信端末11は、ユーザの操作により、通信端末11とエネルギー管理装置12との間で使用されているプロトコルにおいて規定されたメッセージフォーマットに準じた電力情報要求信号をエネルギー管理装置12に送信する(ステップS6)。
【0063】
続いてエネルギー管理装置12の制御部24は、通信端末11からの要求に応じて、データベース25に電力情報を要求し、データベース25から電力情報を取得する(ステップS7)。
【0064】
続いて制御部24は、通信部23を介して通信端末11に電力情報を規定のフォーマットにより送信する(ステップS8)。そして通信端末11は、液晶ディスプレイ等に、取得した情報に対応した数値またはグラフ情報として電力情報を表示する(ステップS9)。
【0065】
ここで、太陽電池15の発電電力の算出は、エネルギー管理装置12で行わず、エネルギー管理装置12を介して取得した各種電力情報に基づいて、通信端末11で行うことも可能である。そして、エネルギー管理装置12で発電電力の算出を行う場合と、通信端末11で発電電力の算出を行う場合との両者において、エネルギー管理装置12から通信端末11に送信される情報は異なる。具体的には、前者の場合には、グラフ情報あるいは画像化した情報が使用プロトコルにおいて規定されたメッセージフォーマットに準じた形で送信され、後者の場合には、数値情報が送信される。このように、後者の場合の方が送信される情報が簡素かつサイズも小容量であるためトラフィック上有用であるが、前者の場合には、計算処理プログラムを搭載していないような汎用通信端末であっても通信端末11になることができる、というように、両者とも優れたメリットが有る。
【0066】
このように、本実施形態によれば、太陽電池15の発電電力、蓄電池16の充放電電力および特定負荷19の消費電力の電力情報を、系統停電時にも通信端末11で表示することができる。すなわち、太陽電池15の発電電力、蓄電池16の充放電電力および特定負荷19の消費電力のうち、いずれか2つの電力情報に基づいて、残りの1つの電力情報を算出することができる。したがって、本発明は、例えば太陽電池15の発電電力、蓄電池16の充放電電力および特定負荷19の消費電力のうち、何れか1つの電力情報の精度が低い場合、もしくは得られない場合において特に有効である。
【0067】
ここで、先の実施形態では、蓄電池16から特定負荷19への電力供給中は、太陽電池15から特定負荷19への電力供給が不可能である場合について説明したが、蓄電池16から特定負荷19への電力供給中も、太陽電池15から特定負荷19への電力供給が可能である場合も有り得る。
【0068】
この場合の実施形態としては、蓄電池パワーコンディショナ14bが自立運転かつACリンク接続の状態で、太陽電池15からの電力を特定負荷19に供給しつつ、蓄電池16からの電力も特定負荷19に同時に供給することのできる同時供給の構成を有しているか否かの情報を、例えば図3のステップ1(ACリンク切り替えを判別する時)において、エネルギー管理装置12が蓄電池パワーコンディショナ14bから取得するようにしてもよい。このような同時供給の構成の有無を示すメッセージも、使用中のプロトコルにて規定されるフォーマットに準じたものとする。そして、これに基づいてについてエネルギー管理装置12は、蓄電池パワーコンディショナ14bが同時供給の構成を有しているか否かを判別する。
【0069】
次に、エネルギー管理装置12は、自立運転かつACリンク接続の状態での同時供給の構成が無いと判断される場合には、先に説明した実施形態と同じとなるため説明を省略するが、同時供給の構成が有る場合には若干相違するため、説明を行う。
【0070】
すなわち、蓄電池16が放電状態かつ同時供給の構成が無い場合には、特定負荷19には太陽電池からの発電電力が供給されないこととなっていたが、蓄電池16の放電電力同時供給の構成が有る場合には、特定負荷19に太陽電池からの発電電力が供給されうる。よって、蓄電池16が放電状態かつ同時供給の構成が有る場合、エネルギー管理装置12は、太陽電池15の発電電力を特定負荷19の消費電力と蓄電池16の放電電力との差により算出することができる。
【0071】
また、太陽電池パワーコンディショナ14a、蓄電池パワーコンディショナ14bは、パワーコンディショナシステムとして、1つの構成とすることも可能である。
【0072】
また、自立運転中に特定負荷19に対し、蓄電池パワーコンディショナ14bおよび太陽電池パワーコンディショナ14aからACで電力供給を行う例で説明したが、DCでの電力供給でももちろん問題ない。
【0073】
本発明を諸図面および実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形および修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形および修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段、各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段およびステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0074】
10 エネルギー管理システム
11 通信端末
12 エネルギー管理装置
13 スマートメータ
14a 太陽電池パワーコンディショナ
14b 蓄電池パワーコンディショナ
15 太陽電池
16 蓄電池
17 分電盤
18 一般負荷
19 特定負荷
23 通信部
24 制御部
25 データベース
26 取得部
50 商用電源系統
60 系統EMS
61 データベース
70 ネットワーク
図1
図2
図3
図4