(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、この発明の課題は、簡単な構成で信頼性の高いトレイ検出ができる加熱調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、この発明の加熱調理器は、
被加熱物が収容される加熱室と、
上記加熱室内の上記被加熱物を加熱するためのマイクロ波を発生するマイクロ波発生部と、
上記加熱室内に着脱可能に配置されるトレイと、
上記加熱室の側面または天面に配置され、上記加熱室内を照明するための照明部と、
上記加熱室に装着された上記トレイによって上記照明部からの照明光が遮断される位置に配置された受光部と、
上記受光部からの受光信号に基づいて、上記加熱室内に上記トレイが装着されているか否かを判定するトレイ判定部と
、
上記受光部からの受光信号に基づいて、上記照明部が故障であるか否かを判定する故障判定部と、
上記加熱室の開口部に開閉自在に取り付けられた扉の開閉を検知する扉開閉検知部と、
上記照明部が消灯している運転停止状態から上記扉が開いたことを上記扉開閉検知部が検知すると、上記照明部を点灯させる照明制御部と
を備え、
上記故障判定部は、上記扉開閉検知部が上記扉が開いたことを検知して、上記照明制御部により上記照明部を点灯させた状態で、上記受光部からの受光信号のレベルが予め設定された故障検出閾値以下であるとき、上記照明部が故障であると判定することを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、加熱室内にトレイが装着されていないときは、照明部からの照明光が遮断されることなく受光部に受光される一方、加熱室内にトレイが装着されているときは、照明部からの照明光がトレイに遮断されて受光部で受光されない。これにより、トレイ判定部は、照明部からの照明光が受光部で受光されるときは、その受光信号に基づき加熱室内にトレイが装着されていないと判定する一方、照明部からの照明光が受光部で受光されないときは、その受光信号に基づき加熱室内にトレイが装着されていると判定することが可能となる。上記照明部や受光部は、加熱室の外側に配置でき、照明部からの照明光を窓を介して加熱室内に照射したり加熱室内の光を窓を介して受光部で受光したりすることが可能となるので、照明部と受光部が高熱に曝されることがない。したがって、圧電センサなどを用いることなく、簡単な構成で信頼性の高いトレイ検出ができる。
また、受光部からの受光信号に基づいて、故障判定部は照明部が故障であるか否かを判定するので、例えば扉を開けて照明部が点灯すべきときに受光部に照明光が受光されない場合は照明部の故障と判定することが可能になる。
また、照明部が消灯している運転停止状態から扉が開いたとき、故障判定部は、扉開閉検知部が扉が開いたことを検知して、照明制御部により照明部を点灯させた状態で、受光部からの受光信号のレベルが予め設定された故障検出閾値以下であるとき、照明部が故障であると判定するので、調理の度に扉を開くことで照明部の故障判定ができる。上記照明部が消灯している運転停止状態では、トレイを装着していないのが常であるから、照明部からの照明光がトレイに遮断されることがなく、正常であれば照明部からの照明光が受光部で受光される。
また、この発明の加熱調理器は、
被加熱物が収容される加熱室と、
上記加熱室内の上記被加熱物を加熱するためのマイクロ波を発生するマイクロ波発生部と、
上記加熱室内に着脱可能に配置されるトレイと、
上記加熱室の側面または天面に配置され、上記加熱室内を照明するための照明部と、
上記加熱室に装着された上記トレイによって上記照明部からの照明光が遮断される位置に配置された受光部と、
上記受光部からの受光信号に基づいて、上記加熱室内に上記トレイが装着されているか否かを判定するトレイ判定部と、
上記受光部からの受光信号のレベルが予め設定された炎検出閾値以上であるとき、上記加熱室内で炎が発生したと判定する炎発生判定部と
を備え、
上記炎検出閾値は、上記受光部が受光した上記照明部からの照明光を表す受光信号のレベルよりも高く、かつ、上記受光部が受光した上記加熱室内で発生する放電光を表す受光信号のレベルよりも低く設定されていることを特徴とする。
上記構成によれば、加熱室内にトレイが装着されていないときは、照明部からの照明光が遮断されることなく受光部に受光される一方、加熱室内にトレイが装着されているときは、照明部からの照明光がトレイに遮断されて受光部で受光されない。これにより、トレイ判定部は、照明部からの照明光が受光部で受光されるときは、その受光信号に基づき加熱室内にトレイが装着されていないと判定する一方、照明部からの照明光が受光部で受光されないときは、その受光信号に基づき加熱室内にトレイが装着されていると判定することが可能となる。上記照明部や受光部は、加熱室の外側に配置でき、照明部からの照明光を窓を介して加熱室内に照射したり加熱室内の光を窓を介して受光部で受光したりすることが可能となるので、照明部と受光部が高熱に曝されることがない。したがって、圧電センサなどを用いることなく、簡単な構成で信頼性の高いトレイ検出ができる。
また、炎検出閾値は、受光部が受光した照明部からの照明光を表す受光信号のレベルよりも高く、かつ、受光部が受光した加熱室内で発生する放電光を表す受光信号のレベルよりも低く設定されているので、その炎検出閾値に基づいて、加熱室内で炎が発生したか否かを炎発生判定部により正確に判定できる。
【0009】
また、一実施形態の加熱調理器では、
上記マイクロ波による加熱調理時に、上記トレイ判定部が上記加熱室内に上記トレイが装着されていると判定すると、上記マイクロ波発生部から上記マイクロ波を発生させないように上記マイクロ波発生部を制御するマイクロ波制御部を備えた。
【0010】
マイクロ波による加熱調理時に、加熱室内に金属製のトレイが装着されていると、トレイと加熱室の壁面との間で放電が生じて危険である。上記実施形態によれば、上記加熱室内にトレイが装着されているとトレイ判定部が判定すると、マイクロ波制御部は、マイクロ波発生部からマイクロ波を発生させないようにマイクロ波発生部を制御するので、安全性を向上できる。
【0011】
また、一実施形態の加熱調理器では、
上記受光部は、上記加熱室の後側に配置されている。
【0012】
上記実施形態によれば、受光部を加熱室の後側に配置することによって、扉の窓から加熱室内に入る外光の影響を低減でき、正確なトレイ検出ができる。
【0013】
また、一実施形態の加熱調理器では、
上記マイクロ波による加熱調理時に、上記受光部からの受光信号のレベルが予め設定された放電検出閾値以上のとき、上記加熱室内で放電が発生していると判定する放電判定部を備えた。
【0014】
上記実施形態によれば、マイクロ波による加熱調理時に、受光部からの受光信号のレベルが予め設定された放電検出閾値以上のとき、放電判定部は加熱室内で放電が発生していると判定することによって、放電を検出したらマイクロ波加熱を停止することが可能になり、安全性がより向上する。ここで、放電光を受光した受光部からの受光信号のレベルは、照明部からの照明光を受光した受光部からの受光信号のレベルよりも極めて高いので、照明光を検出する閾値に比べて放電検出閾値を高い値に設定することで、照明光と放電光との識別は容易である。
【0015】
また、一実施形態の加熱調理器では、
上記受光部からの受光信号に基づいて、上記照明部が故障であるか否かを判定する故障判定部を備えた。
【0016】
上記実施形態によれば、受光部からの受光信号に基づいて、故障判定部は照明部が故障であるか否かを判定するので、例えば扉を開けて照明部が点灯すべきときに受光部に照明光が受光されない場合は照明部の故障と判定することが可能になる。
【0017】
【0018】
【0019】
また、一実施形態の加熱調理器では、
上記受光部からの受光信号のレベルが予め設定された炎検出閾値以上であるとき、上記加熱室内で炎が発生したと判定する炎発生判定部を備え、
上記炎検出閾値は、上記受光部が受光した上記照明部からの照明光を表す受光信号のレベルよりも高く、かつ、上記受光部が受光した上記加熱室内で発生する放電光を表す受光信号のレベルよりも低く設定されている。
【0020】
上記実施形態によれば、炎検出閾値は、受光部が受光した照明部からの照明光を表す受光信号のレベルよりも高く、かつ、受光部が受光した加熱室内で発生する放電光を表す受光信号のレベルよりも低く設定されているので、その炎検出閾値に基づいて、加熱室内で炎が発生したか否かを炎発生判定部により正確に判定できる。
【発明の効果】
【0021】
以上より明らかなように、この発明によれば、簡単な構成で信頼性の高いトレイ検出が容易にできる加熱調理器を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明の加熱調理器を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0024】
図1はこの発明の実施の一形態の表示装置を備えた加熱調理器の正面斜視図を示している。
【0025】
この実施の形態の加熱調理器は、
図1に示すように、直方体形状のケーシング1の正面に、下端側の辺を略中心に回動する扉2が取り付けられている。この扉2の上部にハンドル3を取り付けると共に、扉2の略中央に耐熱ガラス4を取り付けている。また、扉2の右側に操作パネル5を設けている。この操作パネル5は、カラー液晶表示部6とボタン群7を有している。また、ケーシング1の上側かつ右側後方に排気ダクトカバー8を設けている。さらに、ケーシング1の扉2の下方に、露受容器9を着脱自在に取り付けている。
【0026】
また、
図2は上記加熱調理器の正面から見た縦断面の模式図を示し、
図3はこの加熱調理器の右側方から見た縦断面の模式図を示している。なお、
図2において55は受光部であり、
図3において45は照明部である。
【0027】
図2,
図3示すように、加熱室10の右側方に、前面側から着脱自在に挿入された給水タンク11を配置すると共に、その給水タンク11の後面側に蒸気発生装置12を配置している。この蒸気発生装置12は、給水タンク11に接続され、ヒータ(図示せず)の加熱によって蒸気を発生する。蒸気発生装置12に蒸気供給通路13の一端が接続され、蒸気供給通路13の他端が循環ユニット14に接続されている。
【0028】
上記給水タンク11から供給された水を蒸気発生装置12で加熱して飽和水蒸気を生成する。この蒸気発生装置12で生成された飽和水蒸気は、蒸気供給通路13を介して蒸気供給口13aから吸込口28の下流側に供給される。この吸込口28は、加熱室10の右側壁の中央部に設けられている。
【0029】
上記蒸気供給通路13の蒸気供給口13aを吸込口28の近傍に配置している。また、循環ユニット14内には、吸込口28に対向するように循環ファン18を配置している。この循環ファン18は、循環ファン用モータ19によって駆動される。
【0030】
上記加熱室10の上面および左側面を覆うように、L字状に屈曲した蒸気ダクト100を取り付けている。この蒸気ダクト100は、加熱室10の上面側に固定された第1ダクト部110と、第1ダクト部110の左側方から下側に屈曲する屈曲部120と、加熱室10の左側面側に固定され、屈曲部120を介して第1ダクト部110に連なる第2ダクト部130とを有している。
【0031】
この蒸気ダクト100の第1ダクト部110内に、シーズヒータなどからなる過熱蒸気生成ヒータ20を収納している。蒸気ダクト100の第1ダクト部110と過熱蒸気生成ヒータ20で過熱蒸気生成装置21を構成している。なお、過熱蒸気生成装置は、蒸気ダクトとは別に設けてもよい。
【0032】
そして、蒸気ダクト100の第1ダクト部110の右側は、循環ユニット14の上部に設けられた蒸気供給口14aに連通している。加熱室10の天面には、複数の第1蒸気吹出口24が設けられており、蒸気ダクト100の第1ダクト部110は、第1蒸気吹出口24を介して加熱室10内に連通している。一方、蒸気ダクト100の第2ダクト部130は、加熱室10の左側面に設けられた複数の第2蒸気吹出口25を介して加熱室10内に連通している。また、加熱室10内の左壁面および右壁面には、トレイ140の両端部を係止する係止部39a,39b,39cが上下方向に3段に設けられている。
【0033】
上記加熱室10と蒸気ダクト100との隙間は、耐熱樹脂などによりシールされている。また、加熱室10と蒸気ダクト100は、加熱室10の前面開口を除いて断熱材により覆われている。
【0034】
上記循環ユニット14と蒸気ダクト100と加熱室10とそれらを接続する接続部材とによって、熱媒体の循環経路が形成されている。そして、この循環経路における循環ユニット14の加熱室10との境界部に、蒸気発生装置12で生成された飽和水蒸気が供給される。
【0035】
ここで、熱媒体は、加熱された空気であってもよいし、水蒸気を含む加熱された空気であってもよく、100℃以上に加熱された過熱水蒸気を含む空気であってもよく、さらに、100℃以上に加熱された過熱水蒸気を主とするものであってもよい。
【0036】
また、加熱室10の下部にマイクロ波発生部の一例としてのマグネトロン80を配置している。このマグネトロン80で発生したマイクロ波は、導波管(図示せず)によって加熱室10の下部中央に導かれ、回転アンテナ81によって攪拌されながら加熱室10内の上方に向かって放射されて被加熱物160を加熱する。このマイクロ波による加熱調理の場合、被加熱物160は、加熱室10内の底部に載置される。
【0037】
また、加熱室10の右側壁の吸込口28の前面側に給気口(図示せず)を設けると共に、吸込口28の後面側に第1排気口36を設けている。給気口は扉2の近傍に配され、給気口から吹き出される外気が扉2に沿って加熱室10内に流入する。また、加熱室10の後面側壁面の右下側に、第1排気口36よりも開口面積が小さい第2排気口37を設けている。
【0038】
上記加熱室10の右側面に配置された循環ユニット14に、循環ファン18を駆動する循環ファン用モータ19を取り付けている。この循環ファン18によって加熱室10内の蒸気や空気は、吸込口28から吸い込まれて蒸気ダクト100を介して第1,第2蒸気吹出口24,25から加熱室10内に吹き出す。また、循環ユニット14の吸込口28近傍には、加熱室10内の熱媒体(蒸気を含む空気)の温度を検出する庫内温度センサ29(
図4に示す)を配置している。
【0039】
上記加熱室10内の被加熱物160は、蒸気ダクト100の第1ダクト部110内に配置された過熱蒸気生成ヒータ20の輻射熱によって加熱される。また、過熱蒸気生成ヒータ20によって蒸気ダクト100を通過する熱媒体(蒸気を含む空気)が加熱され、加熱された熱媒体が第1,第2蒸気吹出口24,25から吹き出される。これにより、加熱室10内の熱媒体が所定温度に維持される。また、加熱室10に供給される蒸気を過熱蒸気生成ヒータ20によりさらに昇温して100℃以上の過熱蒸気を生成することができる。
【0040】
ケーシング1内の下側には、冷却ファン部22と、電装品部17を配置している。ケーシング1内の加熱室10の右側方に送風ダクト31を配置している。この送風ダクト31内に、希釈ファン30とその希釈ファン30を駆動する希釈ファン用モータ38を収納している。冷却ファン部22は、冷却ファン(図示せず)と、その冷却ファンを駆動する冷却ファン用モータ16(
図4に示す)とを有する。
【0041】
上記電装品部17は、加熱調理器の各部を駆動する駆動回路やこの駆動回路を制御する制御回路等を有している。また、冷却ファンは、ケーシング1内に外気を取り込み、発熱する電装品部17やマグネトロン80を冷却する。また、冷却ファンによってケーシング1内に流入した外気の一部は、希釈ファン30により送風ダクト31内に導かれると共に、残りの外気は、ケーシング1の背面等に形成された開口(図示せず)から外部に排出される。
【0042】
図3に示すように、加熱室10の右側壁に第1排気口36から排気ダンパ(図示せず)を介して接続された第1排気ダクト34を配置している。この第1排気ダクト34の上端に排気ダクトカバー8を着脱可能に取り付けている。
【0043】
上記第1排気ダクト34の背面側に、吸込ダクト27を介して外気を吸い込む吸込口(図示せず)を設けている。この吸込口または第1排気口36のいずれか一方を択一的に選択して第1排気ダクト34に接続するように排気ダンパを制御する。上記排気ダンパは、排気ダンパ用モータ60(
図4に示す)より駆動される。
【0044】
第1排気ダクト34は、上側に向かって流路面積が拡大されて排気ダクトカバー8に連結される。排気ダクトカバー8は、開放端が前方に向かって開口した排気口8aが形成されている。
【0045】
一方、第2排気口37に第2排気ダクト35の下端を接続し、その第2排気ダクト35の上端を第1排気ダクト34の下側に接続している。
【0046】
上記第2排気ダクト35は、第1排気ダクト34よりも流通面積が小さい。この第2排気口37からの排気は、第2排気ダクト35を介して第1排気ダクト34に流入し、排気ダクトカバー8の排気口8aから外部に排出される。
【0047】
これにより、第1排気ダクト34内にエジェクタが形成され、希釈ファン30によって第1排気口36から排気口8aに向かう気流を発生させる。
【0048】
さらに、送風ダクト31の上部に給気通路32の一端を接続し、その給気通路32の他端を給気ダンパ90に接続している。給気通路32および給気ダンパ90は、希釈ファン30により給気口(図示せず)を介して加熱室10に給気するための給気機構の一部である。この加熱室10の給気口近傍かつ下側に解凍センサ50を配置している。
【0049】
図4は上記加熱調理器の制御ブロック図を示している。この加熱調理器は、マイクロコンピュータと入出力回路などからなる制御装置200を電装品部17(
図2に示す)内に備えている。制御装置200は、過熱蒸気生成ヒータ20,循環ファン用モータ19,冷却ファン用モータ16,給気ダンパ用モータ91,排気ダンパ用モータ60,回転アンテナ用モータ82,照明ランプ42,受光センサ52,扉開閉検知部の一例としての扉開閉センサ51,操作パネル5,庫内温度センサ29,解凍センサ50,給水ポンプ70,蒸気発生装置12およびマグネトロン80が接続されている。操作パネル5からの信号および庫内温度センサ29,解凍センサ50,受光センサ52および扉開閉センサ51からの検出信号に基づいて、制御装置200は、過熱蒸気生成ヒータ20,循環ファン用モータ19,冷却ファン用モータ16,給気ダンパ用モータ91,排気ダンパ用モータ60,回転アンテナ用モータ82,操作パネル5,給水ポンプ70,蒸気発生装置12,マグネトロン80および照明ランプ42などを制御する。
【0050】
この実施の形態では、照明ランプ42に電球を用い、受光センサ52に光センサ(CdS)を用いたが、これに限らず、照明ランプにLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)など用いてもよいし、受光センサにフォトダイオードなどを用いてもよい。
【0051】
上記制御装置200は、加熱室10内にトレイ140が装着されているか否かを判定するトレイ判定部200aと、マグネトロン80を制御するマイクロ波制御部200bと、加熱室10内で放電が発生しているか否かを判定する放電判定部200cと、照明部45(
図6に示す)が故障であるか否かを判定する故障判定部200dと、照明部45を制御する照明制御部200eと、加熱室10内で炎が発生したか否かを判定する炎発生判定部200fと、加熱調理制御部200gを有する。
【0052】
上記構成の加熱調理器において、マイクロ波を用いて加熱調理を行う場合は、加熱調理制御部200eによりマグネトロン80で発生させたマイクロ波は、導波管(図示せず)によって加熱室10の下部中央に導かれ、回転アンテナ用モータ82によって駆動される回転アンテナ81によって攪拌されながら加熱室10内の上方に向かって放射されて被加熱物160を加熱する。
【0053】
また、過熱蒸気によって加熱調理を行う場合には、
図7,
図8に示すように、加熱室10内にトレイ140を装着する。トレイ140の両端部を係止部39aで係止することにより、トレイ140を上段に装着し、トレイ140の両端部を係止部39bで係止することにより、トレイ140を中段に装着する。そして、加熱調理制御部200eによって、
図2に示す過熱蒸気生成ヒータ20をオンすると共に、循環ファン18を回転駆動する。そうして、蒸気発生装置12から循環ユニット14の蒸気吸込口15の近傍上流側に供給された飽和水蒸気は、循環ファン18の回転によって負圧になっている循環ユニット14内に蒸気吸込口15を介して吸い込まれて、蒸気供給口22から過熱蒸気生成装置21内に吹き出される。そして、過熱蒸気生成装置21の過熱蒸気生成ヒータ20によって加熱されて過熱蒸気となる。この過熱蒸気の一部は、下側の加熱室10の天面に設けられた複数の第1蒸気吹出口24から、加熱室10内に下方に向かって吹き出す。また、過熱蒸気の他の一部は、蒸気ダクト100を介して加熱室10の第2蒸気吹出口25から加熱室10内に吹き出す。
【0054】
そして、加熱室10内に供給された過熱蒸気は、トレイ140上の網150(
図2に示す)に搭載された被加熱物160を加熱した後、加熱室10の右壁面に循環ユニット14の蒸気吸込口15に対向して形成された吸込口28から循環ユニット14内に吸い込まれる。そうして、再び循環経路を通って加熱室10内に戻るという循環を繰り返す。
【0055】
これに対して、非過熱蒸気によって被加熱物160を蒸すかまたは暖める運転を行う場合には、加熱調理制御部200eによって、過熱蒸気生成ヒータ20をオフすると共に、循環ファン18を停止する。そうすると、循環ファン18が停止しているため、循環経路内に循環気流が発生することがなく、蒸気発生装置12から循環ユニット14の蒸気吸込口15の近傍上流側に供給された飽和水蒸気は、循環ユニット14内に強制的に吸い込まれない。これにより、蒸気圧によって自然に加熱室10内に流れ込む飽和水蒸気により、被加熱物160を蒸すかまたは暖める。
【0056】
図5は上記加熱調理器の照明部45の縦断面の模式図を示しており、
図5に示すように、加熱室10の上部、かつ、蒸気ダクト100の第1ダクト部110と前面パネル26の上部との間に、取付板41を配置している。この取付板41に照明ランプ42を固定している。
【0057】
また、加熱室10の上壁には、照明ランプ42に対向する複数のパンチング穴43,43,…を設けている。照明ランプ42から出射された照明光が複数のパンチング穴43,43,…を介して加熱室10内に入るようになっている。また、加熱室10内の蒸気などがパンチング穴43,43,…から加熱室10外に漏れないように、パンチング穴43,43,…上にガラス板44を配置している。このパンチング穴43,43,…とガラス板44で照明窓を形成している。
【0058】
上記取付板41と照明ランプ42と複数のパンチング穴43,43,…とガラス板44で照明部45(
図6に示す)を構成している。
【0059】
図6は扉2を開いた状態の加熱調理器の正面図を示しており、
図2と同一の構成部には同一参照番号を付している。
図6において、45は照明部、55は受光部である。
【0060】
図6に示すように、加熱室10の後面かつ左下側に、複数のパンチング穴53,53,…を設け、そのパンチング穴53,53,…を外側から覆うガラス板(図示せず)を配置している。このパンチング穴53,53,…とガラス板で受光窓を形成している。
【0061】
そして、受光窓に対向するように受光センサ52(
図4に示す)を取付板(図示せず)を介して加熱室10の背面外側に取り付けている。
【0062】
上記取付板と受光センサ52とパンチング穴53,53,…とガラス板54で受光部55を構成している。
【0063】
トレイ140が装着されていない
図6の状態では、扉2を閉めて、マイクロ波による加熱調理を開始するとき、照明部45の照明ランプ42から照明窓を介して加熱室10を照らす。このとき、受光部55の受光センサ52で照明光を検出する。
【0064】
また、
図7は上段にトレイ140が装着された状態の加熱調理器の正面図を示し、
図8は中段にトレイ140が装着された状態の加熱調理器の正面図を示している。このように、加熱室10内にトレイ140が装着された状態では、照明部45からの照明光がトレイ140に遮断されて受光部55で受光されない。
【0065】
上記構成の加熱調理器において、
図6に示すように、加熱室10内にトレイ140が装着されていないときは、照明部45からの照明光が遮断されることなく受光部55に受光される一方、
図7,
図8に示すように、加熱室10内にトレイ140が装着されているときは、照明部45からの照明光がトレイ140に遮断されて受光部55で受光されない。これにより、トレイ判定部200aは、照明部45からの照明光が受光部55で受光されるときは、照明部45からの受光信号に基づき加熱室10内にトレイ140が装着されていないと判定する一方、照明部45からの照明光が受光部55で受光されないときは、照明部45からの受光信号に基づき加熱室10内にトレイ140が装着されていると判定する。照明部45や受光部55は、加熱室10の外側に配置され、照明部45からの照明光を照明窓を介して加熱室10内に照射すると共に、加熱室10内の光を受光窓を介して受光部55で受光するので、照明部45と受光部55が高熱に曝されることがない。したがって、圧電センサなどを用いることなく、簡単な構成で信頼性の高いトレイ140の検出ができる。
【0066】
また、マイクロ波による加熱調理時に、加熱室10内に金属製のトレイ140が装着されていると、トレイ140と加熱室10の壁面との間で放電が生じて危険である。上記実施の形態の加熱調理器によれば、加熱室10内にトレイ140が装着されているとトレイ判定部200aが判定すると、マイクロ波制御部200bは、マグネトロン80からマイクロ波を発生させないようにマグネトロン80を制御するので、安全性を向上できる。
【0067】
また、上記受光部55を加熱室10の後側に配置することによって、扉2の耐熱ガラス4から加熱室10内に入る外光の影響を低減でき、正確なトレイ140検出ができる。
【0068】
また、マイクロ波による加熱調理時に、受光部55からの受光信号のレベルが予め設定された放電検出閾値以上のとき、放電判定部200cは加熱室10内で放電が発生していると判定することによって、放電を検出したらマイクロ波加熱を停止することが可能になり、安全性がより向上する。ここで、放電光を受光した受光部55からの受光信号のレベルは、照明部45からの照明光を受光した受光部55からの受光信号のレベルよりも極めて高いので、照明光を検出する閾値に比べて放電検出閾値を高い値に設定することで、照明光と放電光との識別は容易である。
【0069】
また、上記受光部55からの受光信号に基づいて、故障判定部200dは照明部45が故障であるか否かを判定するので、扉2を開けて照明部45が点灯すべきときに受光部55に照明光が受光されない場合は、照明部45の故障と判定することが可能になる。
【0070】
また、上記照明部45が消灯している運転停止状態から扉2が開いたとき、故障判定部200dは、扉2が開いたことを扉開閉センサ51が検知して、照明制御部200eにより照明部45を点灯させた状態で、受光部55からの受光信号のレベルが予め設定された故障検出閾値以下であるとき、照明部45が故障であると判定するので、調理の度に扉2を開くことで照明部45の故障判定ができる。上記照明部45が消灯している運転停止状態では、トレイを装着していないのが常であるから、照明部45からの照明光がトレイ140に遮断されることがなく、正常であれば照明部45からの照明光が受光部55で受光される。
【0071】
また、上記受光部55が受光した照明部45からの照明光を表す受光信号のレベルよりも高く、かつ、受光部55が受光した加熱室10内で発生する放電光を表す受光信号のレベルよりも低く設定された炎検出閾値に基づいて、炎発生判定部200fは加熱室10内で炎が発生したか否かを判定することによって、トレイ140の有無、放電光の発生、照明部45の故障の判定だけでなく、加熱室10内に発生した炎を正確に判定できる。
【0072】
この場合、炎発生判定部200fは、受光部55の受光信号のレベルが炎検出閾値よりも高く、かつ、放電検出閾値よりも低いときに炎が発生したと判定する。
【0073】
また、この発明の加熱調理器としては、過熱水蒸気を使用するオーブンレンジについて説明したが、過熱水蒸気を使用しないオーブンレンジ、水蒸気を使用しないオーブンレンジなどがある。
【0074】
この発明の加熱調理器では、オーブンレンジなどにおいて、過熱水蒸気または飽和水蒸気を用いることによって、ヘルシーな調理を行うことができる。例えば、本発明の加熱調理器では、温度が100℃以上の過熱水蒸気または飽和水蒸気を食品表面に供給し、食品表面に付着した過熱水蒸気または飽和水蒸気が凝縮して大量の凝縮潜熱を食品に与えるので、食品に熱を効率よく伝えることができる。また、凝縮水が食品表面に付着して塩分や油分が凝縮水と共に滴下することにより、食品中の塩分や油分を低減できる。さらに、加熱室内は過熱水蒸気または飽和水蒸気が充満して低酸素状態となることにより、食品の酸化を抑制した調理が可能となる。ここで、低酸素状態とは、加熱室内において酸素の体積%が10%以下(例えば0.5〜3%)である状態を指す。
【0075】
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。