(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
スロットルボディが取り付けられるスロットルボディ取付部(3)と、サージタンク(5)と、多気筒エンジン(E)の各吸気ポートに連通される複数の吸気通路(7)とが吸気流れ方向下流側へ向かって順に配置接続され、上記各吸気通路(7)の上流側が上記サージタンク(5)の下側から反エンジン(E)側へ延びるとともに、下流側がサージタンク(5)の反エンジン(E)側を上方へ湾曲状に延びた後、エンジン(E)側へ延びるように形成された多気筒エンジンの樹脂製インテークマニホールドであって、
エンジン(E)側に位置するエンジン側マニホールド構成部材(11)と、該エンジン側マニホールド構成部材(11)の反エンジン(E)側に位置する反エンジン側マニホールド構成部材(13)と、上記エンジン側マニホールド構成部材(11)及び反エンジン側マニホールド構成部材(13)の間に位置する中間マニホールド構成部材(15)とに分割され、
上記吸気通路(7)の並び方向両側には、溶着リブ(11d,11g,11i,15n,15h,19a,21a)が形成され、
上記エンジン側マニホールド構成部材(11)及び上記中間マニホールド構成部材(15)は、上記溶着リブ(11d,11g,11i,15n,15h,19a,21a)により互いに溶着されて上記吸気通路(7)の上流側及び上記サージタンク(5)を構成し、
上記中間マニホールド構成部材(15)の上記溶着リブ(19a,21a)周りには、該溶着リブ(19a,21a)との間に凹部(19b,21b)を有するように縦壁部(19c,21c)が立設され、
上記吸気通路(7)の上流端には、上記サージタンク(5)に臨むように筒状部材(8)が設けられ、隣接する該筒状部材(8)同士は、連結部(16a)を介して連結され、該連結部(16a)には、上記凹部(19b)に嵌り込む凸部(16d)が形成され、
上記凸部(16d)と該凸部(16d)に隣接する上記筒状部材(8)との間には、隙間(16e)が設けられ、上記縦壁部(19c)は、前記隙間(16e)に嵌り込む
ことを特徴とする樹脂製インテークマニホールド。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、エンジンの種類等により、サージタンクの容量と吸気通路の容量及び長さとを任意に設定しながらもコンパクトにしたいという要求がある。この要求を満たすために、サージタンクの形状を工夫しつつ、エンジンの気筒列方向から見て、各吸気通路のサージタンクに巻き付く角度を270°よりも大きくしなければならない場合がある。
【0007】
特許文献3のインテークマニホールドにおいて吸気通路がサージタンクに巻き付く角度を270°よりも大きくする場合、エンジンの吸気ポートの位置が定まっているため、吸気通路の下流端を延長することはできない。したがって、吸気通路の上流端を延長せざるを得ない。そこで、吸気通路の上流端を延長するために、吸気通路の上流端からサージタンクに延びる筒状部材を別途設けることが考えられる。特許文献3のインテークマニホールドにおいて筒状部材を設ける場合、エンジン側マニホールド構成部材及び中間マニホールド構成部材の間に筒状部材を挟んだ状態で両構成部材を振動溶着させる。しかしながら、上記筒状部材は、両構成部材によって挟まれているだけなので、振動溶着時の振動によって規定の位置からずれる虞がある。
【0008】
一方、中間マニホールド構成部材には吸気通路の並び方向において各吸気通路の両側に対応する部位に溶着リブが形成されており、この溶着リブにエンジン側マニホールド構成部材を圧接させた状態で該エンジン側マニホールド構成部材を吸気通路の並び方向に振動させ、溶着リブが溶融固化することにより接合される。ところが、振動溶着時に発生するバリが吸気通路及びサージタンクに入り込む虞がある。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、分割体の振動溶着時に筒状部材を確実に位置決めすると共に、エンジン側マニホールド構成部材及び中間マニホールド構成部材の溶着時に発生するバリが吸気通路及びサージタンクに入り込むのを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明は、筒状部材とエンジン側マニホールド構成部材との接合構造を工夫したものである。
【0011】
具体的には、本発明は、スロットルボディが取り付けられるスロットルボディ取付部と、サージタンクと、多気筒エンジンの各吸気ポートに連通される複数の吸気通路とが吸気流れ方向下流側へ向かって順に配置接続され、上記各吸気通路の上流側が上記サージタンクの下側から反エンジン側へ延びるとともに、下流側がサージタンクの反エンジン側を上方へ湾曲状に延びた後、エンジン側へ延びるように形成された多気筒エンジンの樹脂製インテークマニホールドを対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0012】
第1の発明は、
インテークマニホールドが、エンジン側に位置するエンジン側マニホールド構成部材と、該エンジン側マニホールド構成部材の反エンジン側に位置する反エンジン側マニホールド構成部材と、上記エンジン側マニホールド構成部材及び反エンジン側マニホールド構成部材の間に位置する中間マニホールド構成部材とに分割され
た構成を有する。上記吸気通路の並び方向両側には、溶着リブが形成され
ている。上記エンジン側マニホールド構成部材及び上記中間マニホールド構成部材は、上記溶着リブにより互いに溶着されて上記吸気通路の上流側及び上記サージタンクを構成し
ている。上記中間マニホールド構成部材の上記溶着リブ周りには、該溶着リブとの間に凹部を有するように縦壁部が立設され
ている。上記吸気通路の上流端には、上記サージタンクに臨むように筒状部材が設けられ
ている。隣接する該筒状部材同士は
、連結部を介して連結され
ている。該連結部には、上記凹部に嵌り込む凸部が形成され
ている。そして、第1の発明は、上記凸部と該凸部に隣接する上記筒状部材との間に隙間が設けられ、上記縦壁部が前記隙間に嵌り込むことを特徴とする。
【0013】
第2の発明は
、第1の発明
の樹脂製インテークマニホールドにおいて、上記中間マニホールド構成部材に形成された複数の上記溶着リブ
が、上記吸気通路の並び方向から見て、エンジン側に突出する凸状をなす上記溶着リブ及びサージタンクに向かってエンジン側に傾斜する上記溶着リブを含むことを特徴とする。
【0014】
第3の発明は、第1又は第2の発明の樹脂製インテークマニホールドにおいて、上記溶着リブと上記縦壁部との間に、これら溶着リブと縦壁部とを連結する連結リブが形成されていることを特徴とする。
【0015】
第4の発明は、第1〜第3の発明のいずれか1つの樹脂製インテークマニホールドにおいて、上記筒状部材の上流端が、上記吸気通路の並び方向に見たときに上記サージタンクの中央側に臨んでいることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
第1の発明によれば、中間マニホールド構成部材に形成された溶着リブの周りに該溶着リブとの間に凹部を有するように縦壁部が立設されている。一方、複数の吸気通路の各上流端にサージタンクに臨む筒状部材が設けられ、筒状部材同士を連結する連結部に上記凹部に嵌り込む凸部が形成されている。したがって、中間マニホールド構成部材にエンジン側マニホールド構成部材を振動溶着する際に筒状部材の凸部を中間マニホールド構成部材の凹部に嵌め込むことにより、筒状部材を確実に位置決めすることができる。また、第1の発明によれば、溶着リブ周りに凹部と縦壁部があるので、振動溶着時に発生するバリが凹部に溜まると共に縦壁部によって堰き止められる。したがって、バリが吸気通路及びサージタンクに入り込むことや外周に飛散するのを防止することができる。
【0017】
第2の発明によれば、中間マニホールド構成部材に、吸気通路の並び向から見てエンジン側に突出する凸状をなす溶着面及びサージタンクに向かってエンジン側に傾斜する溶着面が形成されているので、連結部によって連結された複数の筒状部材は、凸状をなす上記溶着面の頂点を通って吸気通路の並び方向に延びる稜線から両側に向かって下方に傾斜するように延びている。したがって、連結された複数の筒状部材は、その位置に安定した状態でセットされる。よって、筒状部材の位置決めをより確実に行うことができる。
【0018】
第3の発明によれば、溶着リブが連結リブによって縦壁部と連結されて補強されているので、振動溶着時に溶着リブが吸気通路の並び方向に傾くのを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る多気筒エンジンの樹脂製インテークマニホールド1全体を示す斜視図である。
図2は、
図1のII-II線矢視断面図である。このインテークマニ
ホールド1は、4本の気筒が一直線状に配置された直列4気筒エンジンEに装着される。インテークマニホールド1は、スロットル弁を有するスロットルボディ(図示せず)が取り付けられる略円筒状のスロットルボディ取付部3と、このスロットルボディ取付部3内と連通するサージタンク5と、このサージタンク5と連通してエンジンEの各気筒の吸気ポート(図示せず)に連通される4つの独立した吸気通路7とで一体に構成されている。
【0022】
上記サージタンク5はインテークマニホールド1の上下方向中央部上側に配置され、サージタンク5の反エンジンE側に上記スロットルボディ取付部3が配置されている。また、4つの吸気通路7は、エンジンEの気筒列方向に並んで配置されている。
【0023】
各吸気通路7の上流端は、
図2に示すように、サージタンク5の下壁内面5aに開口し、この吸気通路7の上流側はサージタンク5の下方を通り反エンジンE側へ向かって下方へ湾曲して延びている。さらに、この吸気通路7の下流側はサージタンク5の反エンジンE側を上方へ湾曲状に延びた後、エンジンE側に向かって湾曲状に延びている。
図1に示すように、上記吸気通路7の上流側は互いに隣接する一方、下流側はエンジンEの気筒の間隔に対応して互いに離間して配置されている。
【0024】
上記各吸気通路7の上流端には、サージタンク5に臨む断面矩形状の筒状部材8が設けられている。筒状部材8は、反エンジンE側に向かって上方に湾曲状に延びている。このように筒状部材8を別途設けることにより、気筒列方向から見て吸気通路7を上方に延長することができる。したがって、吸気通路7の容量を維持しつつインテークマニホールド1をコンパクトにすることができる。上記吸気通路7の下流端にはエンジンEの側面に締結される取付部としてのフランジ9が設けられ、このフランジ9によりインテークマニホールド1がエンジンEに取り付けられるようになっている。エンジンEに取り付けられたインテークマニホールド1には、スロットルボディからの吸気がスロットルボディ取付部3を介してサージタンク5に流入し、サージタンク5に流入した吸気が各吸気通路7に分流してエンジンEの各吸気ポートに供給される。
【0025】
上記インテークマニホールド1は、
図2に示すように、エンジンE側に位置するエンジン側マニホールド構成部材11と、このエンジン側マニホールド構成部材11の反エンジンE側に位置する反エンジン側マニホールド構成部材13と、これらエンジン側マニホールド構成部材11と反エンジン側マニホールド構成部材13との間に位置する中間マニホールド構成部材15とに分割されている。各マニホールド構成部材11,13,15は、樹脂の射出成形品である。
【0026】
図3〜7は、上記各マニホールド構成部材11,13,15及び4つの上記筒状部材8を連結した筒連結体16を示す図である。
図3はエンジン側マニホールド構成部材11を示す図であって、(a)は反エンジンE側から見た全体斜視図であり、(b)は(a)のIIIb部拡大平面図である。
図4、5は中間マニホールド構成部材15を示す図である。
図4は全体斜視図であって、(a)は反エンジン側から見た図であり、(b)はエンジン側から見た図である。
図5は、
図4(b)のV部拡大図である。
図6は筒連結体16を示す
図であって、(a)は平面図であり、(b)は正面図である。
図8は反エンジン側マニホールド構成部材13を反エンジンE側から見た全体斜視図である。
【0027】
上記エンジン側マニホールド構成部材11は、
図3(a)に示すように、上記フランジ9と、上記吸気通路7の下流端近傍を構成する4つの下流端構成部11aと、上記サージタンク5のエンジンE側を構成する第1タンク構成部11bと、上記吸気通路7の上流側下部を構成する4つの第1通路構成部11cとで一体成形されている。上記フランジ9は、エンジンEの側面に沿って上下方向に延びる厚肉板状に形成され、周縁に締結部材(図示せず)が挿通する挿通孔9aが複数形成されている。
【0028】
上記下流端構成部11aは、上記フランジ9から反エンジンE側へ突出する大略角筒状に形成され、吸気通路7の並び方向に互いに間隔をあけて配置されている。下流端構成部11a内部の吸気通路7はエンジンEの吸気ポートに連通している。下流端構成部11aの反エンジンE側の端部には、上記中間マニホールド構成部材15と振動溶着される突条の溶着リブ11dが形成されている。
【0029】
上記第1タンク構成部11bは、
図2に示すように、フランジ9よりも反エンジンE側から下方に向かってエンジンE側に膨出するように延びている。この第1タンク構成部11bの下部は、
図3(a)に示すように、吸気通路7の並び方向に並ぶ3つの分離壁11eによって分離されており、この分離された各部分が上記各第1通路構成部11cと連続している。第1タンク構成部11bの周縁には、上記溶着リブ11dと連続し上記中間マニホールド構成部材15が振動溶着される溶着面11fが形成されている。この溶着面11fには突条の溶着リブ11gが形成されている。
【0030】
上記各第1通路構成部11cは、
図3(a)に示すように、エンジンE側へ窪んで上方から下方へ延びる凹部により形成されている。したがって、
図2に示すように、エンジン側マニホールド構成部材11の縦断面は、第1タンク構成部11bと第1通路構成部11cとにより略C字状をなしている。第1通路構成部11cは吸気通路7の並び方向に隣接していて、
図3に示すように、エンジン側マニホールド構成部材11の下部は全体として波状をなしている。各第1通路構成部11cにおける吸気通路7の並び方向両側及び下部には、
図3(b)に示すように、上記中間マニホールド構成部材15と振動溶着される溶着面11hが形成されている。この溶着面11hには突条の溶着リブ11iが形成されている。溶着面11hの吸気通路7の並び方向における最も外側の上縁は、上記溶着面11fと連続している。また、第1通路構成部11c間の溶着面11h上端部は幅狭となっている。溶着リブ11iは溶着面11h上端まで延びておらず、溶着面11hの上端が溶着リブ11i上端の周りを囲んでいる。
【0031】
上記中間マニホールド構成部材15は、
図2、
図4及び
図5に示すように、サージタンク5の反エンジンE側を構成する第2タンク構成部15aと、
図4(a)に示すように、各吸気通路7の延びる方向に湾曲して形成された4つの湾曲部15bとを備えている。
図2に示すように、第2タンク構成部15aの縦断面は、上記第1タンク構成部11bに対応するようにエンジンE側に開放する略コ字状をなしている。また、第2タンク構成部15aの横断面も、
図4(b)に示すように、エンジンE側に開放する略コ字状をなしている。この第2タンク構成部15aの上記吸気通路7の並び方向一方側側壁には、エンジンEからの排気の一部をサージタンク5に戻す図示しない排気通路が取り付けられる排気導入口15cが貫通形成されている。以下、吸気通路7の並び方向における排気導入口15側を吸気通路並び方向一方側とし、その反対側を吸気通路並び方向他方側とする。第2タンク構成部15aの反エンジン側側壁15dにおける吸気通路並び方向一方側端部には、上記スロットルボディ取付部3内に連通する吸気導入口15eが貫通形成されている。さらに、第2タンク構成部15aの下壁内面15fにおける上記吸気導入口15eに対応する部分は、下方に窪んでいる。そして、この第2タンク構成部15aの周縁には溶着面15gが形成されており、この溶着面15gには、上記第1タンク構成部11b周縁の溶着リブ11gに振動溶着される突条の溶着リブ15hが形成されている。
【0032】
上記湾曲部15bは、
図2に示すように、吸気通路7の上流側に対応する下側部分が第2タンク構成部15aの下壁から下方へ離間した板状をなし、下流側に対応する上側部分が第2タンク構成部15aの上壁に一体成形されている。従って、これら湾曲部15bと第2タンク構成部15aの下壁との間には、エンジンE側から反エンジンE側に向かって順に空間R1,R2,R3,R4,R5が形成されている。
【0033】
各湾曲部15bの吸気通路7上流側には、吸気通路7の一部を構成する下側環状部15iが下方へ突出するように一体成形されている。各湾曲部15bの下側環状部15iよりも吸気通路7上流側の部分が第2通路構成部15jとされ、この第2通路構成部15jは、上記エンジン側マニホールド構成部材11の第1通路構成部11c上側に重合され該第1通路構成部11cとともに吸気通路7の上流側を構成するものである。この第2通路構成部15jの周縁には、
図4(b)に示すように、第1通路構成部11cの溶着面11hに溶着される溶着面17が形成されている。
【0034】
上記溶着面17の構成を
図4(b)及び
図5を参照してより具体的に説明する。上記溶着面17は、各第2通路構成部15jの吸気通路7の並び方向両側に形成された縦溶着面19と、縦溶着面19下端同士を繋ぐ横溶着面21とによって構成されている。吸気通路7の並び方向における最も外側の一対の縦溶着面19は、それぞれ上縁において上記溶着面15gと連続している。また、
図4(b)に示すように、吸気通路並び方向他方側から2番目の縦溶着面19は、吸気通路7の並び方向から見てエンジンE側に突出する凸状をなしている。つまり、この縦溶着面19は、上側に向かってエンジンE側に頂点Toまで登り、さらにこの頂点Toから上側に向かって反エンジンE側に降るように湾曲している。一方、吸気通路並び方向他方側から3番目及び4番目の縦溶着面19は、上方に向かってエンジンE側に傾斜している。つまり、これら3,4番目の縦溶着面19は、上側に向かってエンジンE側に登っているものの、上記頂点Toを通って吸気通路並び方向に延びる稜線RLまで達していない。縦溶着面19及び横溶着面21には、突条の溶着リブ19a,21aがそれぞれ形成され、この溶着リブ19a,21a周りに該溶着リブ19a,21aとの間に凹部19b,21bを有するように縦壁部19c,21cがそれぞれ立設されている。縦溶着面19の溶着リブ19aと縦壁部19cとの間には、両者を連結する複数の連結リブ19dが上下方向に間隔をあけて吸気通路7の並び方向に延びるように形成されている。
【0035】
上記各縦壁部19cは、吸気通路7の並び方向における上記溶着リブ19aの両側において該溶着リブ19aと平行に延びるように形成された一対の下側縦壁部19eと、該溶着リブ19aの上端部をコの字状に取り囲んで該下側縦壁部19eの上端同士を連結する上側縦壁部19fとによって構成されている。上側縦壁部19fは上記一対の下側縦壁部19eよりも幅狭に形成されており、各下側縦壁部19e上端は溶着リブ19aに近づくように折れ曲がって上記上側縦壁部19f下端に繋がっている。上記溶着リブ19aは、上記上側縦壁部19fよりも高く形成されている一方、上記下側縦壁部19eよりも低く形成されている。また、上記連結リブ19dは、上記下側縦壁部19eの上端、上記第2通路構成部15jの上端、及び該第2通路構成部15j上端と上記横溶着面21との中間のそれぞれに対応する位置に形成されている。このうち上記下側縦壁部19eの上端に対応する位置に形成された連結リブ19dは、その吸気通路7の並び方向外側端が上記下側縦壁部19eの上端と繋がっている。
また、縦溶着面19の上端部に形成された縦壁部19cは、溶着リブ19aよりも低く形成されている一方、溶着リブ19aの吸気通路7の並び方向両側の縦壁部19cは、該溶着リブ19aよりも高く形成されている。
【0036】
各湾曲部15bの下側環状部15iよりも吸気通路7下流側は、
図4(a)に示すように、該吸気通路7下流側において反エンジンE側に突出するように上下方向に湾曲状に延びる部分のエンジンE側を構成する第3通路構成部15kである。この第3通路構成部15kは、第2タンク構成部15aの反エンジンE側を上方へ延びた後、上記エンジン側マニホールド構成部材11の下流端構成部11aまで延びるように形成されている。第3通路構成部15kの周縁には、上記反エンジン側マニホールド構成部材13に振動溶着される溶着面15lには突状の溶着リブ15q(
図9参照)が形成されている。
【0037】
各湾曲部15bの吸気通路7下流側端部には、吸気通路7の一部を構成する上側環状部15mが上方へ突出するように形成されている。この上側環状部15mのエンジンE側には、上記下流端構成部11aの溶着リブ11dに振動溶着される溶着面15nが形成され、反エンジンE側には上記反エンジン側マニホールド構成部材13に振動溶着される溶着面15pが形成されている。
【0038】
上記筒連結体16は、
図6に示すように、吸気通路7の並び方向に並ぶ4本の筒状部材8を有し、筒状部材8同士は隣接する筒状部材8と連結部16aを介して連結され、また、筒状部材8の上流端同士が矩形板状のフランジ16bによって連結されている。吸気通路並び方向他方側の筒状部材8は、その他の筒状部材8よりも下流側が短く形成されている。また、上記各連結部16aの下流端には、
図6(a)に示すように矩形状の切欠部16cが形成されている。切欠部16cの内周面には、
図6(b)に示すように、該内周面に沿って下方に突出する凸部16dが形成されており、
図7に示すように、該各凸部16dとそれに隣接する筒状部材8との間に間隙16eが設けられている。この間隙16eに、
図5に示す上記縦壁部19cのコの字状の上側縦壁部が嵌り込む。また、切欠部16cの高さ寸法h
1は、上記縦壁部19cにおける上端部分と溶着リブ19aの吸気通路7の並び方向両側部分との段差d
1,d
2(
図5参照)と一致している。さらに、凸部16dの高さ寸法h
2は、上記凹部19bの深さd
3(
図5参照)よりも小さい。尚、凸部16dの高さ寸法h
2は、上記凹部19bの深さd
3と一致していてもよい。
【0039】
上記反エンジン側マニホールド構成部材13は、
図8に示すように、上記第3通路構成部15k(
図4参照)の反エンジンE側に重合されて該第3通路構成部15kと共に吸気通路7の下流側を構成する4つの第4通路構成部13aを備えている。各第4通路構成部13aの縦断面形状は略U字状に形成されるとともに横断面形状は略半円弧状に形成され、第4通路構成部13aの周縁には上記第3通路構成部15kの溶着面15l及び上記上側環状部15mの溶着面15pに振動溶着される溶着面13bが形成されている。
【0040】
各第4通路構成部13aは、大略上下方向に延び上下方向の中間部が反エンジンE側へ向かって湾曲するように形成されている。第4通路構成部13aは互いに吸気通路7の並び方向に離間している。吸気通路7の並び方向一方側の2つの第4通路構成部13aの間には、これら第4通路構成部13aを連結する連結壁部13cが形成されている。この連結壁部13cは、上記中間マニホールド構成部材15の第2タンク構成部15aの上壁に外側から重合している。
【0041】
上記連結壁部13cには、上記スロットルボディ取付部3の上流側が上下方向に延びるように一体成形されている。スロットルボディ取付部3の下端は、連結壁部13cに開口している。このスロットルボディ取付部3の下端開口は上記第2タンク構成部15aの吸気導入口15eと一致していて、スロットルボディ取付部3内とサージタンク5とは該吸気導入口15eを介して連通している。
【0042】
次に、上記構成のインテークマニホールド1の製造要領について
図9〜11を参照して説明する。
図9は、反エンジン側マニホールド構成部材13を中間マニホールド構成部材15に溶着する工程を示す断面図である。
図10は、反エンジン側マニホールド構成部材13及び中間マニホールド構成部材15の組立体にエンジン側マニホールド構成部材11を溶着する工程を示す断面図である。
図11は筒連結体16がセットされた状態における中間マニホールド構成部材15を示す斜視図であって、(a)はエンジンE側から見た図であり、(b)は一部拡大図である。
図12は
図11(a)のXII-XII線矢視断面であっ
て、(a)は筒連結体16がセットされた状態を示す図であり、(b)はエンジン側マニホールド構成部材11が振動溶着された状態を示す図である。
【0043】
先ず、図示しない振動溶着機を用いて、
図9に示すように、反エンジン側マニホールド構成部材13の溶着面13bと、中間マニホールド構成部材15の溶着面に形成された溶着リブ15q、15pとをそれぞれ圧接させて、一方の構成部材を他方の構成部材に対し振動させる。こうすると、第3通路構成部15kと第4通路構成部13aとが振動溶着されて吸気通路7の下流側が構成される。
【0044】
さらに、振動溶着機を用いて、
図10に示すように、中間マニホールド構成部材15及び反エンジン側マニホールド構成部材13の組立体を下側に、エンジン側マニホールド構成部材11を上側に配置した状態で、中間マニホールド構成部材15に筒連結体16をセットし、中間マニホールド構成部材15の溶着面に形成された溶着リブ15n、15h、19a、21aと、エンジン側マニホールド構成部材11の溶着面に形成された溶着リブ11d、11g、11iとを圧接させて、一方の構成部材を他方の構成部材に対し吸気通路7の並び方向に振動させる。
【0045】
ここで、筒連結体16を中間マニホールド構成部材15にセットする際には、
図11に示すように、筒連結体16の各切欠部16cを中間マニホールド構成部材15の各縦溶着面19上端に合わせ、各切欠部16cに形成された凸部16dを上記各縦溶着面19上端に形成された凹部19bに嵌め込む。このように、凸部16dが凹部19bに嵌合することにより、筒連結体16をしっかりと位置決めすることができる。
【0046】
また、前述のように、中間マニホールド構成部材15の吸気通路7の並び方向他方側から2番目の縦溶着面19が吸気通路7の並び方向から見てエンジンE側に突出する凸状をなす一方、上記他方側から3番目及び4番目の縦溶着面19が上方に向かってエンジンE側に傾斜しているので、中間マニホールド構成部材15にセットされた筒連結体16は、上記稜線RLから両側に向かって下方に傾斜するように延びている。そうすると、筒連結体16は、
図11に示すように上記稜線RLの両側に跨っているので、その位置で安定した状態でセットされる。したがって、筒連結体16の位置決めをより確実に行うことができる。ひいては、中間マニホールド構成部材15及びエンジン側マニホールド構成部材11をより確実に溶着することができる。
【0047】
さらに、前述のように、切欠部16cの高さ寸法が上記縦溶着面19に形成された縦壁部19cにおける上端部分と溶着リブ19aの吸気通路7の並び方向両側部分との段差と一致し、さらに、凸部16dの高さ寸法が凹部19bの深さよりも小さいため、凸部16dが凹部19bに嵌合した状態で、筒連結体16の連結部16a上面と溶着リブ19aの吸気通路7の並び方向両側の縦壁部19a上面とが面一となる。この面一となった状態で、エンジン側マニホールド構成部材11を中間マニホールド構成部材15にセットすると、エンジン側マニホールド構成部材11の溶着面11hが筒連結体16の切欠部16c外周縁及び中間マニホールド構成部材15の縦壁部19c上面と対向する。そして、一方の構成部材を他方の構成部材に対し振動させ、
図12(b)に示すように、上記溶着面11hが上記切欠部16c外周縁上面及び上記縦壁部19c上面と接した時点で振動を停止する。
【0048】
このとき、溶着リブ11i、19a、21aが溶融してバリが発生するが、このバリは溶着リブ19a、21a周りの凹部19b、21bに溜まり、さらに、縦壁部19c、21cと、外周の縦壁部21cとによって堰き止められる。したがって、バリがサージタンク5及び吸気通路7に入り込むことや外周に飛散するのを防止することができる。また、溶着リブ19aが連結リブ19dによって縦壁部19cと連結されて補強されているため、振動溶着時に溶着リブ19aが吸気通路7の並び方向に傾くのを防止することができる。
【0049】
そうして、第2タンク構成部15aに第1タンク構成部11bが重合された状態で振動溶着されてサージタンク5が構成され、第2通路構成部15jに第1通路構成部11cが重合された状態で振動溶着されて吸気通路7の上流側が構成され、さらに、上側環状部15mに下流端構成部11aが重合された状態で振動溶着されて吸気通路7の下流端が構成される。これにより、エンジン側マニホールド構成部材11と中間マニホールド構成部材15と反エンジン側マニホールド構成部材13とが一体化してインテークマニホールド1となる。そして、エンジン側マニホールド構成部材11のフランジ9をエンジンEに取り付けることで、インテークマニホールド1がエンジンEに取り付けられた状態となる。
【0050】
尚、上記実施形態では、反エンジン側マニホールド構成部材13と中間マニホールド構成部材15とを溶着してから、該中間マニホールド構成部材15をエンジン側マニホールド構成部材11に溶着するようにしてもよいし、これら3つの構成部材11,13,15を同時に溶着するようにしてもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、エンジン側マニホールド構成部材11と中間マニホールド構成部材15とを溶着するための溶着リブ11i、19a、21aが両マニホールド構成部材11,15に形成されているが、これに限定されず、中間マニホールド構成部材15のみ形成されていてもよい。