特許第6013094号(P6013094)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヨツギ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6013094-索条保持具 図000002
  • 特許6013094-索条保持具 図000003
  • 特許6013094-索条保持具 図000004
  • 特許6013094-索条保持具 図000005
  • 特許6013094-索条保持具 図000006
  • 特許6013094-索条保持具 図000007
  • 特許6013094-索条保持具 図000008
  • 特許6013094-索条保持具 図000009
  • 特許6013094-索条保持具 図000010
  • 特許6013094-索条保持具 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013094
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】索条保持具
(51)【国際特許分類】
   H02G 7/00 20060101AFI20161011BHJP
   F16B 2/12 20060101ALI20161011BHJP
   F16B 2/10 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   H02G7/00
   F16B2/12 B
   F16B2/10 B
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-199421(P2012-199421)
(22)【出願日】2012年9月11日
(65)【公開番号】特開2014-57394(P2014-57394A)
(43)【公開日】2014年3月27日
【審査請求日】2015年9月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115382
【氏名又は名称】ヨツギ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】冨永 孝弘
【審査官】 石坂 知樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−176901(JP,A)
【文献】 特開2011−205890(JP,A)
【文献】 特開2009−039055(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 7/00
F16B 2/10
F16B 2/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
索条を電線に保持するための索条保持具であって、
電線が嵌合可能な凹状部を有する保持具本体と、
前記保持具本体に設けられ、前記索条保持具に着脱可能に索条を係止する索条係止手段と、
前記凹状部側に一端部が突出し、前記凹状部とは反対側に他端部が突出するように、該保持具本体に装着されるねじ部材であって、前記一端部側に雄ねじが形成される第1ねじ部と、該第1ねじ部よりも前記他端部側に前記第1ねじ部とは旋回方向が逆方向の雄ねじが形成される第2ねじ部とを有するねじ部材と、
前記第1ねじ部に螺合する雌ねじが形成される第1螺合部を有し、前記ねじ部材の回転によって電線に近接/離反する方向に変位自在に設けられる押圧体と、
前記保持具本体に設けられ、前記第2ねじ部が挿通して螺合する雌ねじが形成される第2螺合部と、を含むことを特徴とする索条保持具。
【請求項2】
前記保持具本体に連結され、角変位することによって前記凹状部を閉鎖した閉鎖状態と開放させた開放状態とに切換える蓋体を、さらに含むことを特徴とする請求項1に記載の索条保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線への鳥の飛来を防止するための、ワイヤなどの索条を電線に沿って張架された状態で保持するために用いられる索条保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電柱間に架設される電線への鳥の飛来を防止するため、電線に沿って索条を張架する鳥害防止具が用いられている。この鳥害防止具は、ワイヤなどによって実現される索条と、索条を電線に沿って張架するための索条保持具とを含んで構成される。
【0003】
典型的な従来技術の索条保持具は、たとえば特許文献1に記載されている。この特許文献1には、電線に取付けられる索条保持具としての電線取付部が開示されている。前記電線取付部には、離隔部が突設され、電線取付部を電線の長手方向に沿って間隔をあけて複数取付け、各離隔部の間に電線と平行に索条であるワイヤを架設して、鳥の飛来を防ぐ鳥害防止具が構成される。
【0004】
前記電線取付部は、電線の一端部を保持する受け部と、受け部と電線を介して対向する位置から電線の他端部を押圧保持する締付部とを備える。前記離隔部は、電線取付部から起立する起立部と、離隔部に取付けられるワイヤ保持部と、ワイヤ保持部に取付けられるワイヤとを備える。
【0005】
前記起立部は、その中間部に起立方向に長いガイド部が設けられ、ワイヤ保持部は、起立部の起立方向に沿って移動し、かつワイヤの掛け部を有する移動部と、ガイド部のいずれかの箇所に係止して移動部を起立部の適宜な位置で固定する固定部とを有する。
【0006】
前記ガイド部は、起立部の起立方向に長い長孔部と、長孔部の長手方向の両端部にそれぞれ連続して設けられるとともに、長孔部の短手方向の孔幅よりも幅広に形成される位置決め孔とを有する。移動部には、ガイド部と対向する位置にねじ孔が設けられる。固定部は、ガイド部を挿通して前記ねじ孔にねじ止めするねじ部を有し、ねじ部のねじ軸の長手方向の一端部には、起立部に係止される頭部を有する。
【0007】
前記ねじ部は、ねじ軸の径断面が楕円またはトラック状に形成され、ねじ部のねじ径の長軸側の両端部が長孔部の長手方向に直交する方向にあるとき、位置決め孔に係止し、ねじ部のねじ径の短軸側の両端部が長孔部の長手方向とは直交する方向にあるとき、長孔部に沿って移動可能に形成される。
【0008】
このような構成によって、この従来技術では、電線に飛来を試みる鳥の大きさに合わせて、ワイヤを保持したワイヤ保持部を起立部のガイド部に沿って移動させ、適宜な位置で位置決めすることによって、鳥害防止具を取付ける地域に対応して、ワイヤと電線との距離が適切な状態となるように簡単に調整することができるとともに、ねじ部のねじ軸の径断面が楕円またはトラック状を成すので、ねじ部の回転した位置によって、ガイド部の長孔部に沿う移動または位置決め孔への位置決めを、簡単な操作で切り換えることができるが、索条保持具の電線への取付け作業および取外し作業が煩雑であり、取付けおよび取外し作業に手間を要するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−39055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、索条保持具の電線への取付け作業および電線からの索条保持具の取外し作業に要する手間および時間を削減し、取付け作業および取外し作業の容易性が向上された索条保持具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、索条を電線に保持するための索条保持具であって、
電線が嵌合可能な凹状部を有する保持具本体と、
前記保持具本体に設けられ、前記索条保持具に着脱可能に索条を係止する索条係止手段と、
前記凹状部側に一端部が突出し、前記凹状部とは反対側に他端部が突出するように、該保持具本体に装着されるねじ部材であって、前記一端部側に雄ねじが形成される第1ねじ部と、該第1ねじ部よりも前記他端部側に前記第1ねじ部とは旋回方向が逆方向の雄ねじが形成される第2ねじ部とを有するねじ部材と、
前記第1ねじ部に螺合する雌ねじが形成される第1螺合部を有し、前記ねじ部材の回転によって電線に近接/離反する方向に変位自在に設けられる押圧体と、
前記保持具本体に設けられ、前記第2ねじ部が挿通して螺合する雌ねじが形成される第2螺合部と、を含むことを特徴とする索条保持具である。
【0012】
また本発明は、前記保持具本体に連結され、角変位することによって前記凹状部を閉鎖した閉鎖状態と開放させた開放状態とに切換える蓋体を、さらに含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、保持具本体に、凹状部側に一端部が突出し、凹状部とは反対側に他端部が突出するねじ部材が設けられる。このねじ部材は、一端部側に雄ねじが形成される第1ねじ部と、第1ねじ部よりも他端部側に前記第1ねじ部とは旋回方向が逆方向の雄ねじが形成される第2ねじ部とを有する。前記ねじ部材の第1ねじ部は、前記凹状部から突出する一端部に押圧体の第1螺合部が螺合し、第2ねじ部は第2螺合部の雌ねじに螺合し、ねじ部材の回転によって押圧体を高速で電線に近接させ、あるいは離反させることができる。これによって、索条保持具の電線への取付け作業および電線からの索条保持具の取外し作業におけるねじ部材の回転操作量を少なくして、前記取付け作業および取外し作業に要する手間および時間を削減し、取付け作業および取外し作業の容易性を向上することができる。
【0015】
また本発明によれば、保持具本体に設けられる蓋体によって、凹状部を閉鎖した閉鎖状態と開放させた開放状態とに切換えることができる。閉鎖状態では、凹状部からの電線の離脱が防がれ、電線から索条保持具を不用意に落下させてしまうという不具合を防止することができる。また、蓋体は保持具本体に角変位するように連結されるので、電線に索条保持具を装着するに際して、蓋体を開放状態にして電線を凹状部に嵌め込んだ後、蓋体を角変位させて保持具本体を閉鎖状態とすることができるので、高所での電線への索条保持具の取付け作業および取外し作業を短時間で容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態の索条保持具1の一部を省略した断面図であり、図1(1)は索条保持具1のねじ部材2を電線締付け位置から後退させた状態を示し、図1(2)は索条保持具1のねじ部材2を電線締付け位置へ向けて前進させた状態を示す。
図2】蓋体3が開かれた状態の索条保持具1を示す斜視図である。
図3図3(1)は蓋体3が閉じられた索条保持具1の正面図であり、図3(2)は蓋体3が開かれた索条保持具1の正面図である。
図4】保持具本体6の構成を示す図であり、図4(1)は保持具本体6の正面図であり、図4(2)は保持具本体6の底面図であり、図4(3)は保持具本体6の右側面図である。
図5】蓋体3の構成を示す図であり、図5(1)は蓋体3の正面図であり、図5(2)は蓋体3の底面図であり、図5(3)は蓋体3の右側面図である。
図6】押圧体9の構成を示す図であり、図6(1)は押圧体9の側面図であり、図6(2)は押圧体9の平面図であり、図6(3)は押圧体9の正面図であり、図6(4)は押圧体9の底面図である。
図7】ねじ部材2の構成を示す図であり、図7(1)はねじ部材2の平面図であり、図7(2)はねじ部材2の正面図であり、図7(3)はねじ部材2の底面図であり、図7(4)はねじ部材2の側面図である。
図8】操作部材60の構成を示す図であり、図8(1)は操作部材60の平面図であり、図8(2)は操作部材60の正面図であり、図8(3)は操作部材60の底面図であり、図8(4)は操作部材60の側面図である。
図9】嵌合案内片62の構成を示す図であり、図9(1)は嵌合案内片62の左側面図であり、図9(2)は嵌合案内片62の正面図であり、図9(3)は嵌合案内片62の右側面図であり、図9(4)は嵌合案内片62の底面図である。
図10】索条係止手段7が蓋体3に装着された索条保持具1を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の一実施形態の索条保持具1の一部を省略した断面図であり、図1(1)は索条保持具1のねじ部材2を電線締付け位置から後退させた状態を示し、図1(2)は索条保持具1のねじ部材2を電線締付け位置へ向けて前進させた状態を示す。図2は蓋体3が開かれた状態の索条保持具1を示す斜視図であり、図3(1)は蓋体3が閉じられた索条保持具1を示す正面図であり、図3(2)は蓋体3が開かれた索条保持具1を示す正面図である。
【0019】
本実施形態の索条保持具1は、間接活線工法において、索条Wを電線4に沿って張架した状態に保持するための索条保持具1であって、電線4が嵌合可能な凹状部5を有する保持具本体6と、保持具本体6に設けられ、索条保持具1に着脱可能に索条Wを係止する索条係止手段7と、凹状部5側に一端部2aが突出し、前記凹状部5とは反対側に他端部2bが突出するように、該保持具本体6に装着されるねじ部材2であって、前記一端部2a側に第1雄ねじSC1が形成される第1ねじ部2cと、該第1ねじ部2cよりも前記他端部2b側に前記第1ねじ部2cとは旋回方向が逆方向の第2雄ねじSC2が形成される第2ねじ部2dとを有するねじ部材2と、第1ねじ部2cに螺合する第1雌ねじSC3が形成される第1螺合部8を有し、前記ねじ部材2の回転によって電線4に近接/離反する方向に変位自在に設けられる押圧体9と、前記保持具本体6に設けられ、前記第2ねじ部2dが挿通して第2雄ねじSC2が螺合する第2雌ねじSC4が形成される第2螺合部10と、前記保持具本体6に連結され、角変位することによって前記凹状部5を閉鎖した閉鎖状態と開放させた開放状態とに角変位して開閉状態を切換え可能な蓋体3とを含む。
【0020】
前記第1雄ねじSC1およびそれに螺合する第1雌ねじSC3は、たとえばM10の台形左ねじによって実現される。また前記第2雄ねじSC2およびそれに螺合する第2雌ねじSC4は、たとえばM16の台形右ねじによって実現される。
【0021】
図4は、保持具本体6の構成を示す図であり、図4(1)は保持具本体6の正面図であり、図4(2)は保持具本体6の底面図であり、図4(3)は保持具本体6の右側面図である。前記保持具本体6は、前述したように、凹状部5と第2螺合部10とを有する。凹状部5は、電線4を挿脱自在な開口13を規定し、正面から見て略凹状に形成される。凹状部5の周方向の一端部には、前記蓋体3が角変位自在に連結される円柱状の一対の軸部12a,12bが共通な軸線L1上に一体的に形成されるとともに、凹状部5から外方に突出して第1嵌合受け部14が一体的に形成される。
【0022】
前記凹状部5の周方向の他端部には、前記第2螺合部10が各軸部12a,12bの軸線L1に直交する軸線L2を中心軸線として一体的に形成される。前記第2螺合部10は、前記雌ねじSC3が形成される略円筒状の筒状部分15と、筒状部分15から前記軸線L2と平行に突出する一対のリブ16a,16bとを有する。
【0023】
このような保持具本体5は、耐候性および電気絶縁性の高い熱可塑性合成樹脂から成り、射出成形によって一体的に形成される。前記合成樹脂としては、たとえばポリカーボネート、ABS(Acrylonitrile-Butadiene-Styrene)、AES(Acrylonitrile-Ethylene-Styrene)のうちのいずれか1つを選択的に用いることができる。
【0024】
図5は、蓋体3の構成を示す図であり、図5(1)は蓋体3の正面図であり、図5(2)は蓋体3の底面図であり、図5(3)は蓋体3の右側面図である。前記蓋体3は、略円筒体の一部を成す周壁部30と、周壁部30の前記軸線L1方向の両端部に連なって設けられ、正面から見て略C字状の一対のフランジ部31a,31bと、各フランジ部31a,31bの上部から外方(図5(1)の上方)に突出する逆J字状の一対のフック部32a,32bと、各フランジ部31a,31bの下部から外方(図5(1)の下方)に突出する平板状の一対の把持部33a,33bと、各フランジ部31a,31bの前記把持部33a,33bとは周方向に反対側の端部に一体的に形成される電線案内部35a,35bと、周壁部30から外方に突出する第2嵌合受け部34とを有する。
【0025】
各把持部33a,33bは、ねじ部材2の2cが挿通し、第1ねじ部2cと第2ねじ部2dとの段差面に支持された断面凹状のロック片17のロック溝に後述の図10に示すように嵌合して、蓋体3が保持具本体6に係止され、電線4の脱け出しが防がれる。
【0026】
各フック部32a,32bには、保持具本体6の各軸部12a,12bが軸線L1まわりに回転自在に嵌合して保持され、蓋体3を保持具本体6に対して前記軸線L1まわりに角変位させて、前記開口13を開閉することができる。開口13が開放された状態では、各電線案内部35a,35bが開口13内に突出し、各電線案内部35a,35bに電線4を当接させた状態で押込むことによって、保持具本体6内の電線4を円滑に挿入することができる。
【0027】
前記第2嵌合受け部34は、正面から見て、各フック部32a,32bの共通軸線L3と周壁部30および各フランジ部31a,31bの共通軸線L4とを含む第1の仮想平面に対して、前記共通軸線L4を含む第2の仮想平面が各フック部32a,32bから各把持部33a,33b側へ周方向に予め定める角度θの位置で、周壁部30から外方に突出して形成される。前記予め定める角度θは、30°以上、60°未満に選ばれ、好ましくは45°に選ばれる。
【0028】
このような蓋体3は、耐候性および電気絶縁性の高い熱可塑性合成樹脂から成り、射出成形によって一体的に形成される。前記合成樹脂としては、たとえばポリカーボネート、ABS(Acrylonitrile-Butadiene-Styrene)、AES(Acrylonitrile-Ethylene-Styrene)のうちのいずれか1つを選択的に用いることができる。
【0029】
図6は、押圧体9の構成を示す図であり、図6(1)は押圧体9の側面図であり、図6(2)は押圧体9の平面図であり、図6(3)は押圧体9の正面図であり、図6(4)は押圧体9の底面図である。前記押圧体9は、略円筒状の前述の第1螺合部8と、第1螺合部8の一端部に直角に連なり、保持具本体6に対して前記軸線L4に沿って延びるビーム部40と、ビーム部40の長手方向の両端部にそれぞれ形成される各一対のフランジ部41a,41b;41c,41dとを有する。このような押圧体9によって電線4を保持具本体5および蓋体3内で押圧して、索条保持具1を電線4に取付けることができる。
【0030】
このような押圧体9は、耐候性および電気絶縁性の高い熱可塑性合成樹脂から成り、射出成形によって一体的に形成される。前記合成樹脂としては、たとえばポリカーボネート、ABS(Acrylonitrile-Butadiene-Styrene)、AES(Acrylonitrile-Ethylene-Styrene)のうちのいずれか1つを選択的に用いることができる。
【0031】
図7は、ねじ部材2の構成を示す図であり、図7(1)はねじ部材2の平面図であり、図7(2)はねじ部材2の正面図であり、図7(3)はねじ部材2の底面図であり、図7(4)はねじ部材2の側面図である。前記ねじ部材2は、一端部2a側に雄ねじが形成される第1ねじ部2cと、第1ねじ部2cよりも他端部2b側に第1ねじ部2cとは旋回方向が逆方向の雄ねじが形成される第2ねじ部2dと、第2ねじ部2dの他端部2bに一体的に形成される円環状のフランジ部50と、フランジ部50に連なり、フランジ部50から離反する方向に延びる軸部51とを有する。
【0032】
軸部51は、一対のアーム片51a,51bと、各アーム片51a,51bの基端部が連なり、フランジ部50に一体的に形成される円柱状の基部51cとを有する。各アーム片51a,51bは、平行に延び、前記基端部とは長手方向に反対側の遊端部に係止爪52a,52bが形成される。各係止爪52a,52bは、各アーム片51a,51bの遊端部から互いに離反する方向に突出して形成される。
【0033】
各アーム片51a,51bは、後述の操作部材60の軸孔を挿通し、操作部材60の前記フランジ部50とは反対側の一方の端面部に形成される凹所60a内の底面に各係止爪52a,52bを弾発的に係合させて抜止めされ、適度の押圧力で操作部材60をフランジ部50に弾発的に押し付けた状態とすることができる。
【0034】
フランジ部50は、その一方の円環状の主面から突出する複数(本実施形態では4)の第1係止突部53が周方向に等間隔に形成される。前記周方向の間隔は、たとえば中心軸線L5に関して90°毎に選ばれる。
【0035】
第1係止突部53は、後述の操作部材60の中心軸線L6に関して、各第1係止突部53を通る一半径線に垂直な断面が、締付け方向A1の下流側に傾斜面53aが臨み、締付け方向A1とは逆方向となる緩め方向A2(すなわち、締付け方向A1の上流側)に垂直面53bが臨む直角三角形またはそれに類似の形状とされる。
【0036】
このようなねじ部材2は、耐候性および電気絶縁性の高い熱可塑性合成樹脂から成り、射出成形によって一体的に形成される。前記合成樹脂としては、たとえばポリカーボネート、ABS(Acrylonitrile-Butadiene-Styrene)、AES(Acrylonitrile-Ethylene-Styrene)のうちのいずれか1つを選択的に用いることができる。
【0037】
図8は、操作部材60の構成を示す図であり、図8(1)は操作部材60の平面図であり、図8(2)は操作部材60の正面図であり、図8(3)は操作部材60の底面図であり、図8(4)は操作部材60の側面図である。操作部材60は、大略的に六角柱状であって、前記フランジ部50の一方の主面に対向して配置される中空円柱状の摺動部60cと、摺動部60cに同軸に連なる中空六角柱状の把持部60bとを有する。
【0038】
前記摺動部60cの外部に露出する主面には、前記フランジ部50の主面に形成される第1係止突部53間に配置される複数(本実施形態では4)の第2係止突部61が周方向に等間隔に形成される。前記周方向の間隔は、たとえば前記第1係止突部53と同様に、中心軸線L6に関して90°毎に選ばれる。
【0039】
第2係止突部61は、操作部材60の中心軸線L6に関して、各第2係止突部61を通る一半径線に垂直な断面が、締付け方向A1の上流側に傾斜面61aが臨み、締付け方向A1とは逆方向となる緩め方向A2に垂直面61bが臨む直角三角形またはそれに類似の形状とされる。
【0040】
したがって、操作部材60を締付け方向A1に操作すると、第1係止突部53の傾斜面53aに第2係止突部61の傾斜面61aが当接し、操作部材60の締付方向A1への回転トルクがねじ部材2に伝達され、押圧体9を電線4に近接する方向に迅速に移動させ、押圧体9によって電線4を押圧して締付けることができる。このとき、第1係止突部53と第2係止突部61とは、互いに傾斜面53a,61a同士が接触しているので、過大な回転トルクが操作部材60からねじ部材2に伝わることが防がれ、電線4の損傷が防がれる。
【0041】
また、電線4から押圧体9を退避させて索条保持具1を電線4から取り外す場合には、操作部材60を緩め方向A2に回転操作することによって、第1係止突部53の垂直面53bに第2係止突部61の垂直面61bが当接し、操作部材60の緩め方向A2の回転トルクをねじ部材2に確実に伝達して、電線4から押圧体9を迅速に離反させることができる。
【0042】
上記のフランジ部50と操作部材60とは、操作部材60からねじ部材2への締付け方向A1の過剰な回転トルクの伝達を阻止し、緩め方向A2への回転トルクを伝達する一方向クラッチを構成する。
【0043】
このような操作部材60は、耐候性および電気絶縁性の高い熱可塑性合成樹脂から成り、射出成形によって一体的に形成される。前記合成樹脂としては、たとえばポリカーボネート、ABS(Acrylonitrile-Butadiene-Styrene)、AES(Acrylonitrile-Ethylene-Styrene)のうちのいずれか1つを選択的に用いることができる。
【0044】
本実施形態では、第1係止突部53と第2係止突部61とは、同じ数だけ形成されるが、本発明の他の実施形態では、異なる数であってもよい。一例としては、第1係止突部53を90°毎に形成して合計4個を設けた場合、第2係止突部61を45°毎に形成して8個を設けるようにしてもよい。また、第1係止突部53を45°毎に形成して合計8個を設けた場合、第2係止突部61を90°毎に形成して合計4個を設けるようにしてもよい。
【0045】
このように、第1係止突部53と第2係止突部61との数を異ならせることによって、操作部材60を手で把持して回転操作する際、第1および第2係止突部53,61のいずれか一方を、第1および第2係止突部53,61のいずれか他方が乗り越えるとき、操作部材60の回転抵抗を過剰に大きくせずに、適度の力で回転操作することができるとともに、第1および第2係止突部53,61のいずれか一方を、第1および第2係止突部53,61のいずれか他方が乗り越える度に、多い方の数に対応した回転間隔で回動量を操作者が感覚的に把握することができる。これによって、操作者は、押圧体9による電線4への適度の押圧状態を容易かつ正確に認識し、確実に索条保持具1を電線4に取付けることができる。
【0046】
図9は、嵌合案内片62の構成を示す図であり、図9(1)は嵌合案内片62の左側面図であり、図9(2)は嵌合案内片62の正面図であり、図9(3)は嵌合案内片62の右側面図であり、図9(4)は嵌合案内片62の底面図である。図10は、索条係止手段7が蓋体3に装着された索条保持具1を示す斜視図である。
【0047】
図2および図3をも参照して、前述の索条係止手段7の構成について説明する。前記索条係止手段7は、索条Wを嵌合させて位置決めした状態で保持する嵌合案内片62と、第1および第2嵌合受け部14,34のいずれか一方に着脱可能に嵌合して取付けられる起立部材63と、嵌合案内片62に螺着され、ロックボルト64とを含む。
【0048】
前記嵌合案内片62は、互いに平行に配置される一対の側壁部65a,65bと、各側壁部65a,65bを連結する縦壁部66と、縦壁部66に垂直に形成される略円筒状のボス部67と、各縦壁部66に垂直でかつボス部67の周方向の一部に連なり、各側壁部65a,65bを連結する横壁部68とを有する。ボス部67および縦壁部66には、前記ロックボルト64の軸部69がその軸線まわりに回転自在に挿通する軸孔70が形成される。各側壁部65a,65bには、側方(図9(2)では右方)に開放し、索条Wが挿脱自在に嵌まり込む嵌合凹所71a,71bが形成される。
【0049】
前記起立部材63は、大略的に長手薄板状の部材であって、長手方向の一端部は前記第1および第2嵌合受け部14,34のいずれかに着脱可能に嵌合させて装着され、長手方向他端部は、飛来した鳥が留まることを防ぐために先細状に形成される。また起立部材63には、長手方向両端部間に延び、前記ロックボルト64の軸部69が挿通される長孔72が形成される。
【0050】
前記ロックボルト64は、前述した軸部69と、軸部69の一端部に一体に形成される板状の把持部74とを有する。把持部74と軸部69との間には、軸部69から半径方向外方に突出した図示しない円環状のフランジ部分が設けられ、このフランジ部分によって、各嵌合凹所71a,71bにわたって装着された索条Wを、前記ボス部67の端面上に押し付けて固定することができる。
【0051】
これらの嵌合案内片62、起立部材63およびロックボルト64は、耐候性および電気絶縁性の高い熱可塑性合成樹脂から成り、射出成形によって一体的に形成される。前記合成樹脂としては、たとえばポリカーボネート、ABS(Acrylonitrile-Butadiene-Styrene)、AES(Acrylonitrile-Ethylene-Styrene)のうちのいずれか1つを選択的に用いることができる。
【0052】
このように構成される索条保持具1は、電線4に間隔をあけて複数設けられ、各索条保持具1間にわたって索条Wを張架することができる。複数の索条保持具1と索条Wとを含んで、鳥害防止装置が構成され、電線4に沿って張架される索条Wによって、電線4への鳥の飛来を防止することができる。
【0053】
以上のように構成される索条保持具1は、保持具本体6に、凹状部5側に一端部が突出し、凹状部5とは反対側に他端部が突出するねじ部材2が設けられ、このねじ部材2が第1ねじ部2cと、第1ねじ部2cとは旋回方向が逆方向の第2ねじ部2dとを有するので、ねじ部材2の回転によって押圧体9を高速で電線4に近接させ、あるいは離反させることができる。これによって、索条保持具1の電線4への取付け作業および電線4からの索条保持具1の取外し作業におけるねじ部材2の回転操作量を少なくして、取付け作業および取外し作業に要する手間および時間を削減し、取付け作業および取外し作業の容易性を向上することができる。
【0054】
また、保持具本体6に設けられる蓋体3によって、凹状部5を閉鎖した閉鎖状態と開放させた開放状態とに切換えることができるので、閉鎖状態では、凹状部5からの電線4の離脱が防がれ、電線4から索条保持具1を不用意に落下させてしまうという不具合を防止することができる。また、蓋体3は保持具本体6に角変位するように構成されるので、電線4に索条保持具1を装着するに際して、蓋体3を開放状態にして電線4を凹状部5に嵌め込んだ後、蓋体3を角変位させて保持具本体6を閉鎖状態とすることができる。これによって、高所での電線4への索条保持具1の取付け作業および取外し作業を短時間で容易に行うことができる。
【0055】
さらに、保持具本体6または蓋体3は、索条係止手段7を着脱自在に取付け可能な複数の取付け部を有するので、索条保持具1の電線4への取付け環境に応じて、図10に示すように、たとえば斜め下に操作部材60を向けた状態にして、周囲に充分な作業空間を確保できる位置から間接活線工法用の把持具を用いて、前記操作部材60を把持して回転操作し、索条係止手段7の保持具本体6に対する取付け位置および取付け角度を適切に選択して、最適な張架位置で索条Wを保持して張架することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 索条保持具
2 ねじ部材
2a 一端部
2b 他端部
2c 第1ねじ部
2d 第2ねじ部
3 蓋体
4 電線
5 凹状部
6 保持具本体
7 索条係止手段
8 第1螺合部
9 押圧体
10 第2螺合部
13 開口
14 第1嵌合受け部
12a,12b 軸部
15 筒状部分
16a,16b 補強部分
30 周壁部
31a,31b フランジ部
32a,32b フック部
33a,33b 把持部
34 第2嵌合受け部
50 フランジ部
53 第1係止突部
53a 傾斜面
60 操作部材
60a 摺動部
60b 把持部
61 第2係止突部
61a 傾斜面
61b 垂直面
62 嵌合案内片
W 索条
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10