特許第6013098号(P6013098)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6013098バイオディーゼル燃料容器用樹脂組成物およびそれを用いた成形体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013098
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】バイオディーゼル燃料容器用樹脂組成物およびそれを用いた成形体
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/02 20060101AFI20161011BHJP
   C08K 5/29 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   C08L67/02
   C08K5/29
【請求項の数】8
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2012-202972(P2012-202972)
(22)【出願日】2012年9月14日
(65)【公開番号】特開2014-58597(P2014-58597A)
(43)【公開日】2014年4月3日
【審査請求日】2015年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004503
【氏名又は名称】ユニチカ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】西條 健人
(72)【発明者】
【氏名】谷本 裕亮
【審査官】 岸 智之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−195668(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 67/02
C08K 5/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアリレート樹脂(A)100質量部に対し、カルボジイミド化合物(B)0.1〜5質量部、酸化防止剤(C)0.01〜0.5質量部を含有し、ポリアリレート樹脂(A)のカルボキシル価が20mol/ton以下であることを特徴とするバイオディーゼル燃料容器用樹脂組成物。
【請求項2】
下記条件(i)、(ii)で測定されるインヘレント粘度(η)、インヘレント粘度(η)が(η)/(η)=0.9以上であることを特徴する請求項1記載のバイオディーゼル燃料容器用樹脂組成物。
(i)酢酸ナトリウムを0.01mol/L含むフェノール/テトラクロロエタン =6/4(質量比)混合溶媒で測定されるインヘレント粘度(η
(ii)酢酸ナトリウム非存在下、テトラクロロエタン溶液で測定されるインヘレント粘度(η
【請求項3】
カルボジイミド化合物(B)が芳香族モノカルボジイミドであることを特徴とする請求項1または2記載のバイオディーゼル燃料容器用樹脂組成物。
【請求項4】
酸化防止剤(C)が、ヒンダードフェノール系酸化防止剤であることを特徴とする請求項1〜のいずれか記載のバイオディーゼル燃料容器用樹脂組成物。
【請求項5】
さらに離型剤(D)を含有してなる請求項1〜のいずれか記載のバイオディーゼル燃料容器用樹脂組成物。
【請求項6】
離型剤(D)がペンタエリスリトール系化合物であることを特徴とする請求項1〜のいずれか記載のバイオディーゼル燃料容器用樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか記載のバイオディーゼル燃料容器用樹脂組成物を成形してなる成形体。
【請求項8】
バイオディーゼル燃料用のフィルター容器として用いることを特徴とする請求項記載の成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオディーゼル燃料に対する耐久性の高いポリアリレート樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ポリアリレート樹脂は、耐熱性、機械的強度、透明性に優れるため、電気・電子、自動車、機械等の分野で幅広く使用されている。しかし、耐薬品性、耐加水分解性が必ずしも十分ではなかった。
例えば、医薬品や食飲料の容器本体や、車載用芳香剤容器等の各種容器の分野では、上記ポリアリレート樹脂を用いた場合、耐久性が不足し、耐熱性、機械的強度、透明性が低下するという問題があった。
【0003】
このようなポリアリレート樹脂に対し、特許文献1では、ポリアリレート樹脂に対し、1,4−シクロヘキサンジメタノールからなるポリエステル樹脂を溶融混合して用いることで透明性を損なうことなくアルコール等の溶剤に対する耐薬品性を十分に向上させている。このようなポリアリレート樹脂組成物は、ディーゼル燃料に対しては十分な耐性を有していた。しかしながら、バイオディーゼル燃料に対する耐久性は劣っていた。
【0004】
一方で、ポリアリレート樹脂の耐久性、特に分子量低下にともなう機械的特性の劣化に関しては、ポリアリレート樹脂の末端封止により耐加水分解性、耐久性を高める試みが従来より行われている。特許文献2では、ポリアリレート樹脂のモノマー成分であるビスフェノールのアシル化物(カルボン酸からOHを引き抜いたもの)を用い、末端カルボキシル基を加水分解触媒効果を示さない形で封止を行うことで、ポリアリレート樹脂の耐加水分解性を大幅に向上させている。しかしながら、このような耐加水分解性が向上したポリアリレート樹脂であっても、バイオディーゼル燃料に対する耐久性は十分でなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−302596号公報
【特許文献2】特開平3−131623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、二酸化炭素排出量削減に対する期待から、ディーゼル燃料が見直され、特にバイオディーゼル燃料の使用が積極的に検討されている。バイオディーゼル燃料とは、菜種油、ひまわり油、大豆油、コーン油などの植物油や、それらの廃食用油を原油としてメタノールによりメチルエステル化してグリセリンを分離除去した脂肪酸メチルエステルからなる燃料である。このようなバイオディーゼル燃料は、この脂肪酸メチルエステル単独または軽油にある一定の割合で混ぜて用いられている。
【0007】
しかしながら、バイオディーゼル燃料は化学構造がディーゼル燃料と全く異なるため、ディーゼル燃料に耐性ある材料が必ずしもバイオディーゼル燃料耐性があるとは限らず、特別に耐性を付与する必要性があった。またバイオディーゼル燃料は原料の選択肢が広く、この原料によっても材料耐性が変化する場合がある。これにより、ディーゼル系統に使用される材料について見直しの必要性が出て来ており、バイオディーゼル燃料の普及にあたり課題となっている。
【0008】
さらにバイオディーゼル燃料は夾雑物成分を多く含有するため、自動車燃料として用いるには、一旦フィルターを用いてろ過する必要性がある。このようなフィルターケースとしては従来より非晶性ポリアミドが用いられてきた。ろ過フィルター部材は燃料ろ過の状態、フィルター目詰まりの状態を視認できるよう透明性が要求される。また、自動車部材として長期にわたって機械的強度の維持が可能な耐久性も要求される。しかしながら、上記非晶性ポリアミドであってもバイオディーゼル燃料に対する耐久性は不十分であった。
【0009】
本発明は、従来のポリアリレート樹脂の耐熱性、機械的特性を維持したまま、十分な成形性を有し、バイオディーゼル燃料に対し十分な耐性を有したポリアリレート樹脂組成物を提供することを目的とする。
このようなポリアリレート樹脂組成物から得られる成形体は、バイオディーゼル燃料に直接接触する部材、特に燃料タンクや商用車向けの燃料フィルターユニットのフィルター容器で好適に使用が可能である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。
【0011】
すなわち本発明の要旨は下記の通りである。
(1) ポリアリレート樹脂(A)100質量部に対し、カルボジイミド化合物(B)0.1〜5質量部、酸化防止剤(C)0.01〜0.5質量部を含有し、ポリアリレート樹脂(A)のカルボキシル価が20mol/ton以下であることを特徴とするバイオディーゼル燃料容器用樹脂組成物。
(2)下記条件(i)、(ii)で測定されるインヘレント粘度(η)、インヘレント粘度(η)が(η)/(η)=0.9以上であることを特徴する(1)記載のバイオディーゼル燃料容器用樹脂組成物。
(i)酢酸ナトリウムを0.01mol/L含むフェノール/テトラクロロエタン =6/4(質量比)混合溶媒で測定されるインヘレント粘度(η
(ii)酢酸ナトリウム非存在下、テトラクロロエタン溶液で測定されるインヘレント粘度(η
(3)カルボジイミド化合物(B)が芳香族モノカルボジイミドであることを特徴とする(1)または(2)記載のバイオディーゼル燃料容器用樹脂組成物。
(4)酸化防止剤(C)が、ヒンダードフェノール系酸化防止剤であることを特徴とする請求項1〜(3)のいずれか記載のバイオディーゼル燃料容器用樹脂組成物。
(5)さらに離型剤(D)を含有してなる請求項1〜(4)のいずれか記載のバイオディーゼル燃料容器用樹脂組成物。
(6)離型剤(D)がペンタエリスリトール系化合物であることを特徴とする請求項(1)〜(5)のいずれか記載のバイオディーゼル燃料容器用樹脂組成物。
(7)(1)〜(6)のいずれか記載のバイオディーゼル燃料容器用樹脂組成物を成形してなる成形体。
(8)バイオディーゼル燃料用のフィルター容器として用いることを特徴とする(7)記載の成形体。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、従来のポリアリレート樹脂の耐熱性、機械的特性を維持したまま、十分な成形性を有し、バイオディーゼル燃料に対し十分な耐性を有したポリアリレート樹脂組成物が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明におけるポリアリレート樹脂(A)は、芳香族ジカルボン酸残基と、ビスフェノール残基とから構成されているポリエステルである。ポリアリレート樹脂(A)は、溶融重合、界面重合など公知慣用の方法により製造することができる。
【0015】
芳香族ジカルボン酸残基を導入するためのポリアリレート原料としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、メチルテレフタル酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,2’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルフォンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルイソプロピリデンジカルボン酸、1,2−ビス(4−カルボキシフェノキシ)エタン、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。これら芳香族ジカルボン酸は2種以上を混合して用いることができる。
【0016】
上記芳香族ジカルボン酸の中でも、テレフタル酸、イソフタル酸が好ましく、得られるポリアリレート樹脂の溶融加工性および機械的特性を容易に向上させることができる点で、テレフタル酸およびイソフタル酸を混合して用いることがさらに好ましい。その場合、テレフタル酸とイソフタル酸の混合モル比率(テレフタル酸/イソフタル酸)は、任意に選択することができるが、重合性および得られるポリアリレート樹脂の溶融加工性、機械的特性向上の観点から、90/10〜10/90の範囲であることが好ましく、70/30〜30/70であることがより好ましく、55/45〜45/55であることがより好ましい。
【0017】
ビスフェノール残基を導入するためのポリアリレート原料としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2−フェニル−3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミジン、4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデンジフェノール等のビスフェノール類が挙げられる。
【0018】
上記ビスフェノール類の中でも、ポリアリレート樹脂の重合性、得られるポリアリレート樹脂の機械的特性向上の点で、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)が特に好ましい。また、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを用いる場合、他のビスフェノール類と混合して用いることもできるが、得られるポリアリレート樹脂の耐薬品性向上が顕著である点で2種類以下、特に単独で使用することが好ましい。
【0019】
本発明において、ポリアリレート樹脂(A)の条件(i)で測定されるインヘレント粘度(η)と、条件(ii)で測定されるインヘレント粘度(η)は、(η)/(η)=0.9以上であることが好ましく、0.95以上であることがより好ましい。(η)/(η)が0.9未満であるとポリアリレートバイオディーゼル燃料に接触した際に分子量低下しやすく、特に引張伸度が低下する傾向、配合に必要なカルボジイミド化合物量が増える傾向があり好ましくない。
なお、上記インヘレント粘度の測定において、条件(i)でのインヘレント粘度とは、所定量の酢酸ナトリウム存在下、フェノール/テトラクロロエタン = 6/4(質量比)溶液を用い温度25℃で測定されるインヘレント粘度(η)であり、条件(ii)でのインヘレント粘度とは、酢酸ナトリウム非存在下、テトラクロロエタン溶液を用い温度25℃で測定されるインヘレント粘度(η)である。インヘレント粘度(η)は、フェノールがポリアリレート分子鎖中に存在する酸無水物結合を分解する作用をもたらし、酢酸ナトリウムはその分解を促進する作用があるため、測定するポリアリレート樹脂中の酸無水物結合を切断した残りのフラグメントの分子量の指標となる。酸無水物結合はポリアリレートの重合時に副次的に起きる反応により生成されるものである。
【0020】
(η)/(η)の比率を制御する方法としては、ポリアリレート分子主鎖中に含まれる酸無水物結合を減らすことが挙げられる。酸無水物結合を減らすには、ポリアリレートの重合反応速度を上げることが効果的である。具体な操作としては、用いる重合触媒の種類の選定、配合量、重合時の撹拌速度等により重合反応速度の調整が可能である。
【0021】
ポリアリレート樹脂(A)のインヘレント粘度(η)は、0.45〜1.0であることが好ましく、0.50〜0.9であることがより好ましく、0.52〜0.8であることがさらに好ましい。インヘレント粘度(η)が0.45未満となると得られる樹脂組成物の分子量が低くなるため、機械的特性、耐熱性、耐薬品性が劣る場合があり、インヘレント粘度(η)が1.0を超えると溶融粘度が高くなるため溶融加工時の変色や、流動性の低下が起こる場合がある。インヘレント粘度(η)は、ポリアリレート樹脂(A)の分子量の指標であり、例えば原料モノマーの仕込み比を調節したり、分子量調節剤を使用することで適宜調整することができる。
【0022】
ポリアリレート樹脂(A)に含有するカルボキシル価は20mol/ton以下であることが好ましく、18mol/ton以下であることがより好ましく、15mol/ton以下であることがさらに好ましい。カルボキシル価が20mol/tonを超えると、樹脂組成物のバイオディーゼル燃料耐性が大きく低下する。
【0023】
本願発明におけるカルボジイミド化合物(B)は、(−N=C=N−)で表されるカルボジイミド基を分子内に有する化合物をいう。なお、カルボジイミド基を分子内に1個有する化合物をモノカルボジイミド化合物と表し、カルボジイミド基を分子内に2個以上有する化合物をポリカルボジイミド化合物と表し区別をする。これらカルボジイミド化合物は単独で使用してもよいが2種以上を組み合わせて使用してもよい。モノカルボジイミドとポリカルボジイミドを混合して使用することも可能である。
【0024】
同一分子内に1個のカルボジイミド基を有するモノカルボジイミドとしては、例えば、N,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,6−ジ−tert−ブチルフェニルカルボジイミド、N−トリル−N´−フェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−ニトロフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−アミノフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−ヒドロキシフェニルカルボジイミド、p−フェニレン−ビス−ジ−o−トリルカルボジイミド、p−フェニレン−ビス−ジシクロヘキシルカルボジイミド、エチレン−ビス−ジフェニルカルボジイミド、N−オクタデシル−N′−フェニルカルボジイミド、N−ベンジル−N′−フェニルカルボジイミド、N−フェニル−N′−トリルカルボジイミド、N,N′−ジ−o−エチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−エチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−o−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−o−イソブチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−イソブチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,6−ジエチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2−エチル−6−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2−イソブチル−6−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,4,6−トリメチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,4,6−トリイソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,4,6−トリイソブチルフェニルカルボジイミド、ジ−β−ナフチルカルボジイミド等の芳香族モノカルボジイミド、N,N’−ジ−o−トリルカルボジイミド、N,N’−ジオクチルデシルカルボジイミド、N−トリル−N´−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジ−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−トリルカルボジイミド、ヘキサメチレン−ビス−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N′−ベンジルカルボジイミド、N−オクタデシル−N′−トリルカルボジイミド、N−シクロヘキシル−N′−トリルカルボジイミド、N−ベンジル−N′−トリルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、t−ブチルイソプロピルカルボジイミド、ジ−t−ブチルカルボジイミド等の脂肪族/または脂環族モノカルボジイミドを挙げることができる。中でも、得られる成形体のバイオディーゼル燃料耐性、透明性の観点から、芳香族モノカルボジイミドを用いることが好ましく、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドがさらに好ましい。
【0025】
同一分子内に2個以上のカルボジイミド基を有するポリカルボジイミドとしては、各種市販品を用いることができるが、例えば、ラインヘミー社製スタバックゾールP、ラインヘミー社製スタバックゾールP−100、ラインヘミー社製スタバックゾールP−400などの芳香族ポリカルボジイミド、日清紡社製LA−1などの脂肪族/または脂環族ポリカルボジイミドを挙げることができる。中でも、バイオディーゼル燃料耐性、透明性の観点からは芳香族ポリカルボジイミドを用いることが好ましい。
【0026】
本発明のバイオディーゼル燃料容器用樹脂組成物を用いて成形を行う際の成形性、得られる成形体のバイオディーゼル燃料耐性、透明性を総合的に判断すると、芳香族モノ/またはポリカルボジイミドを用いることが好ましく、成形性を重視する観点から芳香族モノカルボジイミドを用いることが好ましく、中でも、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドは後述する酸化防止剤との併用において、耐候性を高める効果が高く、特に好ましい。
【0027】
本発明のポリカルボジイミド分子中のカルボジイミド基数は、2〜50であることが好ましく、2〜40であることがより好ましく、2〜30であることがさらに好ましい。カルボジイミド基数は、ポリカルボジイミド分子中のカルボジイミドの個数であり、ジイソシアネート化合物から得られたポリカルボジイミドであれば、重合度に相当する。例えば、21個のジイソシアネート化合物が鎖状につながって得られたポリカルボジイミドの重合度は、20であり、分子鎖中のカルボジイミド基数は20である。通常、ポリカルボジイミドは、種々の長さの分子の混合物であり、カルボジイミド基数は、平均値で表される。カルボジイミド基数は、13C−NMR、IR、GPC、滴定法またはそれらの組合せ等により測定でき、カルボジイミド基数として把握することが可能である。13C−NMRでは130から142ppm、IRでは2130〜2140cm−1にピークを観察することが可能である。
【0028】
カルボジイミド化合物(B)の配合量は、ポリアリレート樹脂(A)100質量部に対し、0.1〜5質量部である必要があり、0.1〜3.0質量部であることが好ましく、0.2〜2.5質量部であることがより好ましく、0.3〜2.0質量部であることが特に好ましい。カルボジイミド化合物(B)の配合量が0.1質量部未満であると、得られる樹脂組成物中に、カルボン酸末端、酸無水物結合、水酸基末端等が残り易く、十分なバイオディーゼル燃料を有した材料が得られない。カルボジイミド化合物(B)の配合量が5質量部を超えると得られる樹脂組成物のバイオディーゼル燃料による熱分解を誘発し、むしろバイオディーゼル燃料耐性が下がる。
【0029】
本願発明における酸化防止剤(C)は、ホスファイト系化合物、ホスフェート化合物、ヒンダードフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ビンダードアミン系化合物、チオエーテル系化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物等を用いることができる。中でも、溶融加工時の熱分解を抑制する効果、およびバイオディーゼル燃料耐性を高める効果が高い点で、ホスファイト系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、チオエーテル系化合物が好ましく、ヒンダードフェノール系化合物が特に好ましい。
【0030】
酸化防止剤(C)として用いることのできるホスファイト系化合物としては、各種市販品を用いることができ、例えば、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(ADEKA社製アデカスタブPEP−36、分子量633)、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(ADEKA社製アデカスタブPEP−24G、分子量604)、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト(ADEKA社製アデカスタブPEP−8、分子量733)、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(ADEKA社製アデカスタブPEP−4C、分子量633)を挙げることができる。
【0031】
酸化防止剤(C)として用いることのできるヒンダードフェノール化合物としては、各種市販品を用いることができ、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASF社製IRGANOX1010)、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASF社製IRGANOX1035)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(BASF社製IRGANOX1076、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド](BASF社製IRGANOX1098)、ベンゼンプロパン酸,3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ,C7−C9側鎖アルキルエステル(BASF社製IRGANOX1135)、2,4−ジメチル―6−(1−メチルペンタデシル)フェノール(IRGANOX1141)、ジエチル[{3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル}メチル]ホスフォネート(BASF社製IRGANOX1222)、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン―2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール(BASF社製IRGANOX1330)、カルシウムジエチルビス[[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォネート]とポリエチレンワックスの混合物(BASF社製IRGANOX1425WL)、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール(BASF社製IRGANOX1520L)、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(tert−ブチル―4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート](BASF社製IRGANOX245)、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASF社製IRGANOX259)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌル酸(BASF社製IRGANOX3114)、1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2、6−キシリル)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H、3H、5H)−トリオン(BASF社製IRGANOX3790)、N−フェニルベンゼンアミンと2,4,4−トリメチルペンテンとの反応生成物(BASF社製IRGANOX5057)、6−(4−ヒドロキシ−3−5−ジt−ブチルアニリノ)−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン(BASF社製IRGANOX565)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌル酸(ADEKA社製アデカスタブAO−20)、1,1,3−tris(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン(ADEKA社製アデカスタブAO−30)、4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)(ADEKA社製アデカスタブAO−40)、3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピオン酸−n−オクタデシル(ADEKA社製アデカスタブAO−50)、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオナート](ADEKA社製アデカスタブAO−60)、トリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート](ADEKA社製アデカスタブAO−70)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルプロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]−ウンデカン(ADEKA社製アデカスタブAO−80)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(ADEKA社製アデカスタブAO−330)、2,2−オキサミドビス−[エチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](Crompton−Uniroyal Chemical社製ナウガードXL−1)などが挙げられ、特に、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−ヒドロキシフェニル)プロピオネート] (IRGANOX1010)等を挙げることができる。なかでも、溶融加工時の熱分解を抑制する効果、およびバイオディーゼル燃料耐性を高める効果が高い点で、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が最も好ましい。これらは1種でも2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0032】
酸化防止剤(C)として用いることのできるチオエーテル化合物としては、各種市販品を用いることができ、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ドデシルチオプロピオネート)(シプロ化成社製SEENOX 412S、住友化学社製Sumilizer TP−D、ADEKA社製AO−412S)、ジドデシルチオジプロピオネート(シプロ化成社製SEENOX DL、BASF社製IRGANOX PS 800 FL、住友化学社製Sumilizer TPL−R)、ジトリデシルチオジプロピオネート(ADEKA社製AO−503)、ジテトラデシルチオジプロピオネート(シプロ化成社製SEENOX DM、住友化学社製Sumilizer TPM)、ジオクタデシルチオジプロピオネート(シプロ化成社製SEENOX DS、BASF社製IRGANOX PS 802 FL、住友化学社製Sumilizer TPS)、2−メルカプトベンズイミダゾール(住友化学社製Sumilizer MB)を挙げることができる。これらは1種でも2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0033】
酸化防止剤(C)の配合量は、ポリアリレート樹脂(A)100質量部に対し、0.01〜0.5質量部である必要があり、0.01〜0.4質量部であることが好ましく、0.02〜0.3質量部であることがより好ましく、0.03〜0.2質量部であることが特に好ましい。酸化防止剤(C)の配合量が0.01質量部未満であると、得られる樹脂組成物の酸化防止効果が十分でなく、滞留安定性やバイオディーゼル燃料耐性が不足する。酸化防止剤(C)の配合量が0.5質量部を超えると、酸化防止剤(C)自体の分解が促進され、滞留安定性に劣り、着色、黄変が顕著となり、バイオディーゼル燃料耐性に劣ったものとなる。また、バイオディーゼル燃料耐性を有していたとしても、着色・黄変が顕著となり得られる成形体の品位が悪くなることがある。
【0034】
バイオディーゼル燃料は、前記した通り、菜種油、ひまわり油、大豆油、コーン油などの植物油や、それらの廃食用油を原油としてメタノールによりメチルエステル化してグリセリンを分離除去した脂肪酸メチルエステルからなる燃料である。バイオディーゼル燃料は、この脂肪酸メチルエステル単独または軽油にある一定の割合で混ぜて用いられており、この配合比率により呼称が変化し、B100(バイオディーゼル燃料100%)、B05(バイオディーゼル燃料5%)等と呼称される。この混合した燃料の中でも普及度が高いのはB05〜B20の範囲内である。中でも廃食油由来のバイオディーゼル燃料は、不純物や脂肪酸メチルエステル中に含まれる不飽和炭化水素が多く、ラジカルの発生に伴う熱劣化が顕著である。すなわち、樹脂組成物を酸化劣化させやすい。また、バイオディーゼル燃料は、エステル極性が高く水との親和性が高まるため、バイオディーゼル燃料は水分を多く含有しやすい。この含有水分は、樹脂組成物の加水分解を促進させやすい。
【0035】
一方、現行のディーゼル燃料、すなわち軽油は、主成分が炭化水素であり、バイオディーゼル燃料とは異なり含有する水分量は少なかった。またディーゼル燃料はバイオディーゼル燃料に比べ不飽和炭化水素が少なく、樹脂組成物を酸化劣化する傾向は低かった。
【0036】
バイオディーゼル燃料を使う場合においては、不純物や脂肪酸メチルエステル中に含有する不飽和炭化水素等による樹脂組成物の酸化劣化や含有水分による加水分解の懸念が、ディーゼル燃料に比べ高くなる。したがって、樹脂組成物として酸化劣化、加水分解を減少することが必要となる。
【0037】
本発明の樹脂組成物のバイオディーゼル燃料耐性を効率よく向上させる要件としては、バイオディーゼル燃料接触時の分子量低下を抑制することである。このことに対しては、カルボキシル価の低いポリアリレート樹脂を用いること、前記(η)/(η)を所定の範囲とすること、所定量のカルボジイミド化合物を用いること、さらに酸化防止剤を併用して用いることで抑制が可能となる。
【0038】
本発明のポリアリレート樹脂組成物は、さらに、離型剤(D)を配合してもよい。ポリアリレート樹脂組成物に配合可能な離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、脂肪族炭化水素化合物等を挙げることができる。中でも、バイオディーゼル燃料による機械的特性の低下を抑制する効果が高い点で、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルが好ましい。
【0039】
離型剤(D)として用いることが可能な脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルとしては、例えば、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ジペンタエリスリトールテトラステアレート、ジペンタエリスリトールテトラミリステート、ジペンタエリスリトールテトラパルミテート、ジペンタエリスリトールテトラオレート等が挙げられる。中でも、ジペンタエリスリトールテトラステアレート、ジペンタエリスリトールテトラミリステート、ジペンタエリスリトールテトラパルミテート、ジペンタエリスリトールテトラオレートのようなジペンタエリスリトール1分子にステアリン酸4分子が反応したジペンタエリスリトール部分エステルが好ましく、ジペンタエリスリトールテトラステアレートが特に好ましい。
【0040】
離型剤(D)を用いる場合は、その配合量は、ポリアリレート樹脂(A)100質量部に対し、0.01〜1.0質量部であることが好ましく、0.03〜0.8質量部であることがより好ましく、0.05〜0.6質量部であることがさらに好ましく、0.1〜0.5質量部であることが特に好ましい。
【0041】
本発明の樹脂組成物は、紫外線等屋外環境での各種光線によっても、大きな変色、機械特性の低下を伴わないことが好ましい。通常燃料フィルターケースは視認性確保のため透明性の高い材料を用いることが多かった。このような材料は屋外環境で長期にわたって使用される場合、変色や機械特性の低下が顕著であり市場において問題があった。これに対し、ポリアリレート樹脂は、機械特性の低下はほとんど起きないが、紫外線照射によりフリース転移し黄変、または褐変する。フリース転移現象は、紫外線によってポリアリレート樹脂の分子構造が化学的に変化する現象であり、構造変化に伴い波長380nm以下の紫外線が遮断される。この現象は樹脂表層のみで起きる現象である。この結果、成形体の厚み方向において成形体表面で紫外線が吸収されるため、ポリアリレート樹脂成形体の紫外線による機械特性が抑制、すなわち耐候性が顕著に向上する。
【0042】
本発明の樹脂組成物は、上記ポリアリレート樹脂に特有のフリース転移にともなう黄変を、実用上の視認性に影響の出ない範囲まで低減し、かつバイオディーゼル燃料に対する耐久性を高めたものである。すなわち、ポリアリレート樹脂に対し、所定量のカルボジイミド化合物、酸化防止剤を用いることで、樹脂組成物は透明性を有しかつ黄味を帯びたものとなる。樹脂組成物が当初より黄味を帯びていることは、その後屋外環境で用いてフリース転移が起こったとしても、外見上、大きな色調変化を感じない程度まで、黄変による色調変化が低減される。本発明において、紫外線照射による色調変化は、例えば、厚さ3mmの樹脂組成物プレートを用い、カーボンアークを光源とするサンシャインウェザーメーターを用い1000時間照射試験を行った後、JIS Z8722に準拠し、その照射試験前後での色差(△E*ab)が10以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましい。
【0043】
また、本発明の樹脂組成物は、紫外線による視認性の変化の低減に加え、チョーキングも低減することができる。チョーキングとは、主に紫外線の影響により樹脂組成物の表面が劣化し、粉状樹脂によって覆われる状態である。チョーキングは、樹脂組成物よりなる成形体の機械的強度を損ねるばかりでなく、視認性を大きく低下するものである。
【0044】
本発明の樹脂組成物の荷重たわみ温度は、厚さ4mmの試験片を用いて、荷重5.0MPa条件下で測定される値が、120℃以上であることが好ましく、130℃以上であることがより好ましい。例えば自動車燃料用の容器部品として高温条件にさらなされる場合には、容器部品に対しては燃料の流れに応じて、正圧または負圧がかかる。このような温度および荷重負荷がかかる条件では、荷重たわみ温度が高いことは特に重要である。
【0045】
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内で、前記ポリアリレート樹脂(A)、末端封鎖剤(B)、酸化防止剤(C)の他に、本発明の効果を損なわない範囲内で、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ブルーイング剤、顔料、難燃剤、離型剤、帯電防止剤、滑剤、有機系充填剤、無機系充填剤などを含んでもよい。
【0046】
また、本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、本発明で規定した以外の樹脂が添加されていても良い。樹脂としては、ポリアミド(ナイロン)、ポリエステルアミド、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。これらの成分は、1種でも、2種以上用いてもよく、単に混合されていてもよいし、共重合されていてもよい。
【0047】
ただし、前述の通り種々のアロイは透明性を失する懸念があり、透明性が必要な用途においては制限が生じる懸念があり、透明性を維持するために配合量を控える必要性が生じる懸念もある。また配合量が多くとも透明性を維持できるような相溶型のアロイであっても前述の通り、結晶性樹脂を多量に配合するケースでは、樹脂組成物の結晶化による白濁等弊害が生じ、用途制限が生じる懸念もある。
【0048】
本発明において、ポリアリレート樹脂(A)に末端封鎖剤(B)、酸化防止剤(C)を配合する方法は特に限定されるものではなく、各成分が均一に分散されている状態になればよい。具体的には、例えば、タンブラーやヘンシェルミキサーを用いて均一にドライブレンドした後、溶融混練押出して、冷却・カッティング・乾燥工程に付して、ペレット化すればよい。溶融混練に際しては、単軸押出機、二軸押出機、ロール混練機、ブラベンダー等の一般的な混練機を使用することが出来るが、分散性向上の観点から二軸押出機を使用することが好ましい。
【0049】
本発明の樹脂組成物は、任意の方法で各種成形品に成形されることができる。成形方法は特に制限されず、射出成型法、押出成形法、圧縮成形法、ブロー成型法などが適用できる。
【0050】
本発明の樹脂組成物は、バイオディーゼル燃料に対する耐久性が高く、自動車部品として、特にバイオディーゼル燃料が接触するような成形体部品として使用することができる。また、バイオディーゼル燃料と軽油を混合して用いるような混合燃料に対しても、樹脂組成物の加水分解、酸化劣化を抑制し好適に使用することができる。また、バイオディーゼル燃料に対する耐久性に加え、屋外使用によっても継時的な色調の変動を伴わず、チョーキングも抑制しているため、例えば燃料の濾過状態を視認することができるセジメンタフィルタのような燃料フィルター容器として好適に用いることができる。
セジメンタフィルタとは、ディーゼル車等のエンジン系統に付随する部品であり、燃料中に混じっている水分や不純物を分離する装置であり、セジメンタフィルタ中には、除去された水分、不純物が残存することとなる。
また、自動車部品の保守、洗浄のために用いられるアルコールを主成分とする洗浄剤、いわゆるパーツクリーナーによっても劣化することがないため、例えば、長期にわたって自動車を使用した際の燃料フィルター容器表面への、埃や油を洗浄除去する場合でも、パーツクリーナーによって燃料フィルター容器が劣化や、視認性の低下を引き起こすことがない。
【実施例】
【0051】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0052】
1.評価方法
(1)インヘレント粘度(η
樹脂組成物を1,1,2,2−テトラクロロエタンに溶解し、濃度1g/dlの試料溶液を作製した。続いて、ウベローデ型粘度計を用い、25℃の温度にて試料溶液および溶媒の落下時間を測定し、以下の式を用いてインヘレント粘度を求めた。
インヘレント粘度=ln[(試料溶液の落下時間/溶媒のみの落下時間)/樹脂濃度(g/dl)]
【0053】
(2)インヘレント粘度(η
用いる溶媒をフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン=6/4(質量比)溶液に対し、酢酸ナトリウムを0.01mol/Lを配合した混合溶媒とした以外は、インヘレント粘度(η)と同様にして、インヘレント粘度(η)の測定を行った。
【0054】
(3)(η)/(η)の算出
インヘレント粘度(η)とインヘレント粘度(η)より(η)/(η)を求めた。(η)/(η)は、ポリアリレート分子鎖中の酸無水物結合存在量の程度を示す指標である。(η)/(η)が小さくなるほど、酸無水物結合の存在量が多いことを示し、(η)/(η)が1に近づくほど、酸無水物結合は殆ど存在しない。本発明においては、(η)/(η)は0.9以上であることが好ましい。
【0055】
(4)カルボキシル価 (mol/ton)
樹脂組成物を、塩化メチレンに溶解後、フェノールレッドをpH指示薬として加え、0.1Nの水酸化カリウムのベンジルアルコール溶液で滴定を行い、カルボキシル価を求めた。
【0056】
(5)荷重たわみ温度 (℃)
ISO 75−1に準拠し、厚さ4mmの試験片を用いて、荷重5.0MPaで測定した。ただし、試験片に対しては、残留歪み除去等を目的とした事前アニール処理を施さないものとする。荷重たわみ温度は耐熱性の指標である。実用的には135℃以上であることが好ましい。
【0057】
(6)バイオディーゼル燃料への浸漬試験
(6−1)浸漬溶液の調製
バイオディーゼル燃料B100(株式会社レボインターナショナル製 C−FUEL、廃食油由来)とJIS2号軽油を質量比3/7で混合した。さらにこの混合燃料(以下、B30という)と水を体積比9/1で混合し浸漬溶液を得た。
なお、浸漬溶液中、B30と水は分相する。そして水に比べB30は比重が小さいため、浸漬溶液を静置した場合、下相に水、上相にB30となる。
【0058】
(6−2)試験片の浸漬方法
各々の樹脂組成物を用い射出成形にて厚さ4mmのダンベル試験片を得た。また得られたダンベル試験片に対して、(5)で得られた各々の(荷重たわみ温度−10℃)に制御された温度条件下、3時間アニール処理を施した。
次に容積2Lであるステンレス容器を(7−1)で調整を行った浸漬溶液で満たした。また、ダンベル試験片が水には直接触れずB30に接触するように上げ底を施し、その上に金網を設置した。ダンベル試験片を金網の上に載せステンレス容器に隙間を空けて蓋をした。前記ステンレス容器を、熱風乾燥機(防爆機能付き)内で、温度90℃で、1000時間静置した。1000時間経過後、ダンベル試験片を取り出し、浸漬試験前後でのインヘレント粘度、引張降伏強度、引張破断伸度、質量の対比を行った。
【0059】
(6−3)インヘレント粘度保持率
ダンベル片より切り出した樹脂切片を用い、浸漬試験前後でのインヘレント粘度(η)を測定し、次式によりインヘレント粘度保持率を算出した。
インヘレント粘度保持率(%)={(浸漬試験後のインヘレント粘度)/(浸漬試験前のインヘレント粘度)}×100
【0060】
(6−4)引張降伏強度保持率
ISO 527−1、2に準拠し、浸漬試験前後での引張降伏強度を測定し、次式により引張降伏強度保持率を算出した。
引張降伏強度保持率(%)={(浸漬試験後の引張降伏強度)/(浸漬試験前の引張降伏強度)}×100
引張降伏強度保持率は70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。本試験で70%未満となる場合、実使用時において経年的に強度不足による割れが生じる懸念があり、実用性がないと判断する。
【0061】
(6−5)引張破断伸度保持率
(6−4)引張降伏強度保持率を得た場合と同様にして、引張破断伸度の測定を行い、次 式により引張降伏強度保持率を算出した。
引張破断伸度保持率(%)={(浸漬試験後の引張破断伸度)/(燃料浸漬試験前の引張破断伸度)}×100
引張破断伸度保持率は40%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。本試験で40%未満となる場合、実使用時において経年的に靱性不足による割れが生じる懸念があり、実用性がないと判断する。
【0062】
(6−6)質量変化率
電子天秤を用い、浸漬試験前後でのダンベル片1個の質量を測定し、次式により質量変化率を算出した。
質量変化率(%)=[1−{(浸漬試験後の質量)/(浸漬試験前の質量)}]×100
質量変化率は1.0%以下であることが好ましく、0.7%以下であることがより0.5%以下であることが好ましい。本試験では質量変化率が1.0%を超える場合、実使用において、質量変化に伴う寸法変化により、勘合部の緩みによる漏れ、締付けによる割れ等が懸念され、実用性がないと判断する。
【0063】
(6−7)外観変化
ダンベル片を目視確認し、浸漬試験前後の対比により、下記の基準で評価した。△、×であるものは実用性がないと判断した。以下でいう視認性とは、例えばフィルター容器として使用した際、内容物の有無が確認できる程度の透明性を有することを言う。 ◎:透明性に変化なし。完全に透明であり、視認性を有する。
○:透明性に変化なし。視認性を有する。
△:試験片表面にチョーキング発生または微細なクラックが生じる。視認性が低下する。
×:試験片表面は平滑だが、試験片内部を含む全体が白化し、視認性を全く失う。
【0064】
(7)耐候性試験
各々の樹脂組成物を用い射出成形にて厚さ3mmのプレート状試験片を得た。サンシャインウェザーメーター(スガ試験機株式会社製S80HB型、光源;カーボンアーク灯)の内に、プレート状試験片を設置し、ブラックパネル温度63℃、降水サイクル18min/120minに設定し、1000、5000時間処理した後、視認性評価、色差の測定を行った。
【0065】
(7−1)視認性評価
プレート状試験片を目視で確認し、下記の基準で評価した。×であるものは実用性がないと判断した。以下でいう視認性とは、例えばフィルター容器として使用した際、内容物の有無が確認できる程度の透明性を有することを言う。実用的には、◎、○であることが好ましい。
◎:透明性に変化なし。完全に透明であり、視認性を有する。
○:透明性に変化なし。視認性を有する。
△:試験片表面の一部にチョーキングが発生するものの、視認性は有する。
×:試験片表面の全面に対しチョーキングが発生または微細なクラックが生じる。
その結果、視認性を全く失う。
【0066】
(7−2)色差(△E*ab)
プレート状試験片をJIS Z8722に準拠し、分光色差計(日本電色株式会社製SE−6000型、光源;D−65、視野角;2°)を用い透過条件にて△E*abを測定した。なお、前記(7−1)視認性評価にて◎および○の評価であったもののみ測定を実施した。色差(△E*ab)は、10以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましい。
【0067】
(8)耐アルコール性
各々の樹脂組成物を用い射出成形にて、長さ127mm×幅13mm×厚さ3.2mmである板状試験片を得た。得られた板状試験片に対し、(5)で得られた各々の(荷重たわみ温度−10℃)に制御された温度条件下、3時間アニール処理を施した。得られた板状試験片の長さ方向の中心に歪み率が1.5%となるよう歪みを与えながら3点支持型の鉄製治具へ装着した。イソプロパノール(試薬)含浸した脱脂綿を、前記歪みを与えた部位に接触させ静置した。イソプロパノールの揮発を抑制する目的で、ポリエチレン袋で全体を覆い密封した。常温下で24時間放置後、鉄製治具から板状試験片を取り外し脱脂綿除去後、歪みを与えた部位の観察を行い下記の基準で評価した。
本試験で△、×となるものについては、バイオディーゼル燃料の洗浄剤として多用されるアルコール成分に対する耐性が不足していると判断されるため、実用性に欠けると判断した。
○:異常なし。
△:クラック、クレーズが生じるか、常温静置後24時間以内に破断する。
×:溶解もしくは膨潤する。
【0068】
(9)離型性
各々の樹脂組成物を用い射出成形機(FANUC社製S−2000i−100B型)にて、外形30mmφ、内径28mmφ、深さ20mm、底面肉厚1mmのカップ型試験片を得た。射出成形にあたり、抜き勾配4/100で、200μmφのピンポイントゲートを有する金型を使用した。成形条件は、シリンダ温度360℃、金型温度140℃とした。射出圧力100MPa、射出速度100mm/秒、冷却時間25秒、1サイクル30秒により、200個の連続成形を行い、良品が得られた割合(エジェクター部の変形が発生するもの、脱離できないものを不良品とした)で判定した。
【0069】
2.原料
(1)ポリアリレート樹脂
・(a−1):ビスフェノールA/テレフタル酸/イソフタル酸=50/25/25(mol%)であって、インヘレント粘度(η)が0.72dl/g、Tgが197℃であるポリアリレート樹脂。(η)/(η)が1.00、カルボキシル価10mol/t。
・(a−2):ビスフェノールA/テレフタル酸/イソフタル酸=50/25/25(mol%)であって、インヘレント粘度(η)が0.54dl/g、Tgが195℃であるポリアリレート樹脂。(η)/(η)が1.00、カルボキシル価10mol/t。
・(a−3):ビスフェノールA/テレフタル酸/イソフタル酸=50/25/25(mol%)であって、インヘレント粘度(η)が0.65dl/g、Tgが195℃であるポリアリレート樹脂。(η)/(η)が0.85、カルボキシル価10mol/t。
・(a−4):ビスフェノールA/テレフタル酸/イソフタル酸=50/25/25(mol%)であって、インヘレント粘度(η0)が0.55dl/g、Tgが194℃であるポリアリレート樹脂。(η1)/(η0)が0.99、カルボキシル価30mol/t。なお、(a−4)は、(a−3)に対し下記、製造例1の手順により処理して得た。
【0070】
(2)カルボジイミド化合物
・(b−1):芳香族型モノポリカルボジイミド
N,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド(ラインケミー社製「スタバックゾールI」)
・(b−2):脂肪族型モノカルボジイミド
ジイソプロピルカルボジイミド(試薬)
・(b−3):脂環族型モノカルボジイミド
ジシクロヘキシルカルボジイミド(試薬)
・(b−4):脂環族型ポリカルボジイミド
ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)(日清紡社製「LA−1」)
・(b−5):芳香族型ポリカルボジイミド
(ポリ(1,3,5−トリイソプロピルベンゼン)カルボジイミド)(ラインケミー社製「スタバックゾールP」、数平均分子量約700)
・(b−6):芳香族型ポリカルボジイミド
(ポリ(1,3,5−トリイソプロピルベンゼン)カルボジイミド)(ラインケミー社製「スタバックゾールP−400」、数平均分子量約6400)
【0071】
(3)酸化防止剤
・(c−1):ヒンダードフェノール系酸化防止剤
ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオナート](BASFジャパン社製「Irganox1010」)
・(c−2):ホスファイト系酸化防止剤
ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(ADEKA社製「アデカスタブPEP−36」)
・(c−3):チオエーテル系酸化防止剤
ペンタエリスリトールテトラキス(3−ドデシルチオプロピオネート)(シプロ化成社製「SEENOX412S」)
【0072】
(4)離型剤
・(d−1):ジペンタエリスリトール系化合物
ジペンタエリスリトールヘキサステアレート(エメリーオレオケミカル社製VPG−2571)
・(d−2):ペンタエリスリトール系化合物
ペンタエリスリトールテトラステアレート(エメリーオレオケミカル社製VPG−861)
・(d−3):パラフィンワックス(日本精蝋製LUVAX#1226)
・(d−4):グリセリン系化合物
グリセリンモノステアレート(エメリーオレオケミカル社製LOXIOL#8312)
【0073】
(5)その他樹脂成分
・(e−1):非晶性ポリアミド樹脂(EMS社製TR55)
【0074】
製造例1
(a−3)のポリアリレート樹脂を、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン=6/4(質量比)混合溶媒に対し、酢酸ナトリウムを0.01mol/Lを配合した溶媒に溶解させ、3時間静置させた。その後、メタノール中にてポリマーを再沈殿させ、得られたポリマーをメタノール中で2日間浸漬させることで洗浄して得た。
【0075】
実施例1
ポリアリレート樹脂(a−1)100質量部、カルボジイミド化合物(b−1)1質量部、酸化防止剤(c−1)0.05質量部を均一混合した後、総仕込み量3kgをロスインウェイト式連続定量供給装置(クボタ社製CE−W−1型)を用いて、スクリュー径26mmの二軸押出機(東芝機械社製TEM26SS型)の主供給口に供給し溶融混練を行った。途中、ベント減圧度−0.099MPa(ゲージ圧)で脱気を行い、ダイスからストランド状に引き取り温浴槽にて冷却固化し、ペレタイザでカッティングした後、樹脂組成物ペレットを得た。溶融混練は、押出機のバレル温度設定340℃、吐出量20kg/h、スクリュー回転数300rpmの条件で行った。得られた樹脂組成物ペレットを100℃で12時間、熱風乾燥することにより十分に乾燥した。
得られた乾燥樹脂組成物ペレットを用い、射出成形機(東芝機械社製EC−100型)を用い、シリンダ温度350℃、金型温度140℃で射出成形を行い、各種試験片を得た後各種評価を行った。その結果を表1に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
実施例2〜12
表1記載の配合に従う以外は、実施例1と同様にして各種試験片を得た後各種評価を行った。その結果を表1に示す。
【0078】
実施例13〜26
表2記載の配合に従う以外は、実施例1と同様にして各種試験片を得た後各種評価を行った。その結果を表2に示す。
【0079】
【表2】
【0080】
比較例1〜12
表3記載の配合に従う以外は、実施例1と同様にして各種試験片を得た後各種評価を行った。その結果を表3に示す。
【0081】
【表3】
【0082】
比較例13
非晶性ポリアミド樹脂(e−1)100質量部、カルボジイミド化合物(b−1)1質量部、酸化防止剤(c−1)0.05質量部を均一混合した後、総仕込み量3kgをロスインウェイト式連続定量供給装置(クボタ社製CE−W−1型)を用いて、スクリュー径26mmの二軸押出機(東芝機械社製TEM26SS型)の主供給口に供給し溶融混練を行った。途中、ベント減圧度−0.099MPa(ゲージ圧)で脱気を行い、ダイスからストランド状に引き取り温浴槽にて冷却固化し、ペレタイザでカッティングした後、樹脂組成物ペレットを得た。溶融混練は、押出機のバレル温度設定280℃、吐出量20kg/h、スクリュー回転数300rpmの条件で行った。得られた樹脂組成物ペレットを100℃で16時間、熱風乾燥することにより十分に乾燥した。
得られた乾燥樹脂組成物ペレットを用い、射出成形機(東芝機械社製EC−100型)を用い、シリンダ温度290℃、金型温度80℃で射出成形を行い、各種試験片を得た後各種評価を行った。その結果を表3に示す。
【0083】
比較例14
表3記載の配合に従う以外は、実施例12と同様にして各種試験片を得た後各種評価を行った。その結果を表3に示す。
【0084】
実施例1〜26は、本願所定の配合に従ったため、耐熱性、機械的特性、成形性に優れた樹脂組成物とすることができた。また、バイオディーゼル燃料耐性、耐候性、耐アルコール性も兼ね備えていた。
【0085】
比較例1〜4は、カルボジイミド化合物、酸化防止剤の配合を行わなかったため、バイオディーゼル燃料耐性、耐候性が劣った。
【0086】
比較例5〜8は、酸化防止剤を配合しなかったため、バイオディーゼル燃料耐性が劣った。
【0087】
比較例9は、カルボジイミド化合物の配合が下限値未満であったので、バイオディーゼル燃料耐性が劣った。
【0088】
比較例10は、カルボジイミド化合物の配合が上限値を超えたため、バイオディーゼル燃料耐性が劣った。
【0089】
比較例11は、酸化防止剤の配合が下限値未満であったので、バイオディーゼル燃料耐性が劣った。
【0090】
比較例12は、酸化防止剤の配合が上限値を超えたため、バイオディーゼル燃料耐性が劣った。また、樹脂組成物が著しく黄変したものであった。
【0091】
比較例13、14は、ポリアリレート樹脂に代えて非晶性ポリアミド樹脂を用いた
ため、バイオディーゼル燃料耐性、耐候性、耐アルコール性が劣った。