(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の絶縁性接着剤組成物(以下、「本組成物」ともいう。)は、(A)1分子内に2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、(B)1分子内にカルボン酸基を有する活性剤、(C)熱硬化性硬化剤、および(D)希釈剤を有する絶縁性接着剤組成物である。以下、詳細に説明する。
【0010】
[(A)成分]
本組成物における(A)成分は、(A1)フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂と、(A2)フルオレン骨格を有しないエポキシ樹脂とを混合してなるものである。
ここで、上述の(A1)成分としては、特に、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する構造が好ましく、例えば、ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレンのジグリシジルエーテルが挙げられる。このようなフルオレン骨格を有するエポキシ樹脂は市販されており、例えば、ナガセケムテックス社製の商品名「オンコートEXシリーズ」(型番:EX−1010、1011、1012、1020,1030,1040,1050)や、大阪ガスケミカル社製の商品名「オグソールシリーズ」(型番:PG、PG−100、EG、EG−200)などが挙げられる。フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂は1種でも、2種以上を混合して用いてもよい。
【0011】
(A2)成分としては、フルオレン骨格を有していない限り公知のエポキシ樹脂を適宜用いることができる。このようなエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビフェニル型、ナフタレン型、クレゾールノボラック型、フェノールノボラック型などのエポキシ樹脂が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
また、上述した(A1)成分や(A2)成分は、常温で液状のものを含有することが好ましく、常温で固形のものを用いる場合には、常温で液状のものと併用することが好ましい。また、これらのエポキシ樹脂の型の中でも、硬化物が落下衝撃に対し有効であり、更にはんだの融点時までにおけるリフロー処理過程において濡れ広がり性が良好という観点から、液状ビスフェノールA型、液状ビスフェノールF型、液状水添タイプのビスフェノールA型が好ましい。
【0012】
前記した(A1)成分の割合は、(A)成分基準で10質量%以上60質量%以下であることが必要である。(A)成分全体に占める(A1)成分の割合が10質量%未満であると接合性が低下し、気泡も発生しやすくなる。一方、この割合が60質量%を超えるとパッケージ部品搭載時の作業性が低下する。それ故、(A1)成分の好ましい割合は15質量%以上60質量%以下であり、より好ましい割合は25質量%以上40質量%以下である。
【0013】
前記(A)成分の配合量としては、本組成物全量基準で、40質量%以上70質量%以下であることが好ましく、50質量%以上65質量%以下であることがより好ましい。(A)成分の配合量が前記下限値未満では、パッケージ部品を固着させる際の強度が低下し、落下衝撃に対する耐性が低下するおそれがある。他方、前記上限値を超えると、組成物中の他の構成成分の配合量が減少し、エポキシ樹脂を硬化せしめる速度が遅延すると伴にリフロー過程において、パッケージ部品が位置ずれを起こし、導通不良となりやすい傾向にある。
【0014】
[(B)成分]
本組成物における(B)成分は、分子内にカルボン酸基を有する活性剤である。このような(B)成分として好ましいものは、分子内に1つ以上のカルボン酸基と1つ以上の二重結合を有するカルボン酸基含有重合性不飽和化合物と、1分子内に1つ以上の二重結合を有する重合性不飽和化合物とを共重合させてなるカルボン酸基含有共重合体(樹脂酸)である。
前記カルボン酸基含有重合性不飽和化合物としては、例えば、カルボン酸基含有(メタ)アクリル化合物が挙げられる。
前記重合性不飽和化合物としては、例えば、(メタ)アクリル化合物、スチレン化合物が挙げられる。これらの重合性不飽和化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記カルボン酸基含有共重合体は、前記カルボン酸基含有重合性不飽和化合物と前記重合性不飽和化合物とを共重合させてなるものである。具体的には、カルボン酸基含有(メタ)アクリル共重合体、カルボン酸基含有(メタ)アクリル−スチレン共重合体などが挙げられる。これらの中でも、耐湿性の観点から、カルボン酸基含有(メタ)アクリル−スチレン共重合体が好ましい。
前記(B)成分の質量平均分子量は、1000以上50000以下であることが好ましく、4000以上16000以下であることがより好ましい。
前記(B)成分の軟化点(Tg)は、40℃以上150℃以下であることが好ましく、60℃以上110℃以下であることがより好ましい。
前記(B)成分の酸価は、50mgKOH/g以上400mgKOH/g以下であることが好ましく、70mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であることがより好ましい。
【0015】
なお、前記(B)成分としては、低分子量タイプの有機酸も使用可能であり、公知の有機酸を適宜用いることができる。このような有機酸の中でも、エポキシ樹脂との溶解性に優れるという観点、並びに保管中において結晶の析出が起こりにくいという観点から、アルキレン基を有する二塩基酸を用いることが好ましい。このようなアルキレン基を有する二塩基酸としては、例えば、アジピン酸、2,5−ジエチルアジピン酸、2,4−ジエチルグルタル酸、2,2−ジエチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸、2−エチル−3−プロピルグルタル酸、セバシン酸が挙げられる。これらの中でも、アジピン酸が好ましい。
【0016】
前記(B)成分の配合量としては、本組成物全量基準で、1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、3質量%以上25質量%以下であることがより好ましい。(B)成分の配合量が前記下限値未満では、活性作用が低下する。他方、前記上限値を超えると、耐湿性、特に加湿環境に放置した場合の接着強度および絶縁性が不十分となるおそれがある。
【0017】
[(C)成分]
本組成物における(C)成分は、熱硬化性硬化剤である。このような硬化剤としては、熱で硬化作用を生じればよく特に種類を問わないが、硬化性能の観点よりジシアンジアミド(DICY)およびメラミンが好ましい。これらは単独で使用してもよく混合して使用してもよい。
(C)成分の配合量は、硬化性能の観点より、本組成物全量基準で0.1質量%以上5質量%の範囲で使用することが好ましい。
【0018】
[(D)成分]
本組成物における(D)成分は、分子内に1つのエポキシ基を有するエポキシ化合物であり、単官能グリシジル基含有化合物ともいう。また、この単官能グリシジル基含有化合物は、25℃の粘度が100mPa・s以下である。
本組成物は、このような(D)成分を配合することにより硬化性等の諸特性を維持しつつ、組成物の粘度をより好適な範囲に調整することができる。
【0019】
本発明に用いる(D)成分としては、公知の単官能グリシジル基含有化合物を適宜用いることができる。このような単官能グリシジル基含有化合物としては、例えば、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−メチルオクチルグリシジルエーテル、メトキシポリエチレングリコールモノグリシジルエーテル、エトキシポリエチレングリコールモノグリシジルエーテル、ブトキシポリエチレングリコールモノグリシジルエーテル、フェノキシポリエチレングリコールモノグリシジルエーテル、p−ターシャリーブチルフェニルグリシジルエーテル、sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、n−ブチルフェニルグリシジルエーテル、フェニルフェノールグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、ジブロモクレジルグリシジルエーテルが挙げられる。これらの単官能グリシジル基含有化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらの単官能グリシジル基含有化合物の中でも、粘度の調整のしやすさの観点から、フェニルグリシジルエーテルが特に好ましい。
(D)成分の配合量としては、本組成物全量基準で、5質量%以上40質量%以下であることが好ましく、10質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。(D)成分の配合量が前記下限値未満では、本組成物の粘度を調整するという効果が得られにくい傾向にあり、他方、前記上限値を超えると、本組成物の硬化性等の諸特性が低下する傾向にある。
【0020】
[本組成物]
本発明は、上述した(A)成分、(B)成分、(C)成分、および(D)成分を有する絶縁性接着剤組成物であるが、25℃における粘度(E型粘度計、10rpm)が1000mPa・s以上8000mPa・s以下であることが望ましい。
25℃における粘度が1000mPa・s未満では、パッケージ部品をランド上に搭載した際、一時的に保持力が低下するため、リフロー工程中に位置ずれを起こしやすいばかりか、接着剤組成物のはんだボールへの付着量が不十分となるため、十分な接合強度が確保できなくなり、他方、25℃における粘度が8000mPa・sを超えると、パッケージ部品に接着剤組成物を付着させる場合において、パッケージ部品を接着剤組成物膜から引き剥がすことができないといった問題が生じる。また、本組成物のハンドリング性の観点から、25℃における粘度は、2000mPa・s以上7500mPa・s以下であることがより好ましい。また、はんだボールを有するパッケージ部品と実装基板との接合強度の観点からは、25℃における粘度は、2000mPa・s以上5000mPa・s以下であることがより好ましい。なお、本発明における粘度は、粘度測定装置(東機産業社製 E型粘度計)により測定することができる。
また、本組成物においては、チクソ指数は、特に制限されないが、0.29以上0.33以下であることが好ましい。
【0021】
[他の成分]
本組成物には、必要に応じて、チクソ剤、界面活性剤、カップリング剤、消泡剤、粉末表面処理剤、反応抑制剤、および沈降防止剤などの添加剤を配合してもよい。
【0022】
チクソ剤としては、公知のチクソ剤を適宜用いることができる。このようなチクソ剤としては、例えば、脂肪酸アマイド、水添ヒマシ油が挙げられる。これらの中でも、パッケージ部品のはんだボールに本組成物を付着させ、当該部品を接合用ランド上に搭載した際の付着性の観点から、脂肪酸アマイドが好ましい。前記チクソ剤の配合量としては、本組成物全量基準で、0.5質量%以上10質量%以下であることが好ましく、1質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。
【0023】
[回路基板への部品実装方法]
以下、本組成物を用いてパッケージ部品を実装基板に接合する方法を
図1〜
図4に基づいて説明する。
パッケージ部品の接合方法は、以下のように膜形成工程、本組成物付着工程、搭載工程、およびリフロー工程を備える。
パッケージ部品1は、はんだボール11を有するパッケージ部品であり、パッケージ基板12の一方の面におけるランド13上にはんだボール11を有するものである。前記はんだボールの直径は特に限定されないが、例えば、0.1mm以上0.8mm以下であることが好ましく、0.2mm以上0.7mm以下であることがより好ましい。はんだボールの直径が前記下限値未満の場合には、はんだボールが小さ過ぎるためにパッケージ部品を実装基板に接合することが困難となる傾向にあり、他方、前記上限値を超える場合には、はんだボールによる接合のみでもパッケージ部品と実装基板との接合強度を確保できるため、本発明のパッケージ部品の接合方法を採用する必要はない。
【0024】
また、前記はんだボールのピッチは特に限定されないが、0.2mm以上1.5mm以下であることが好ましく、0.3mm以上1.3mm以下であることがより好ましい。はんだボールのピッチが前記下限値未満の場合には、パッケージ部品を実装することが困難であるばかりか、本組成物の付着量の制御が難しいため、過度の付着によるはんだボールの接合不良となりやすい傾向にあり、他方、前記上限値を超える場合には、はんだボールによる接合のみでもパッケージ部品と実装基板との接合強度を確保できるため、本発明のパッケージ部品の接合方法を採用する必要はない。
パッケージ部品1の大きさは特に限定されないが、例えば、パッケージ部品1の一辺の長さが5mm以上30mm以下となる大きさであることが好ましい。また、パッケージ部品1あたりのはんだボールの数は特に限定されないが、例えば、200個以上1000個以下であることが好ましい。
本発明に用いるはんだは特に限定されず、公知のはんだを適宜用いることができる。また、本発明に用いるはんだの融点も特に限定されないが、通常は、130℃以上250℃以下であることが好ましい。
【0025】
膜形成工程においては、
図1に示すように、厚み(T)がはんだボールの高さ寸法(H)に対して20%以上90%以下である絶縁性接着剤組成物膜(本組成物膜)3を形成する。この厚み(T)が前記下限値未満では、パッケージ部品に付着する本組成物の付着量が不足するためにパッケージ部品と実装基板との接合強度が不十分となり、他方、前記上限値を超えると、パッケージ部品に付着する本組成物の付着量が多過ぎるために、パッケージ部品を本組成物膜3から引き剥がすことができないといった問題が生じるおそれがある。
本組成物膜3を形成する方法は特に限定されないが、本組成物を支持体4上に塗布することにより、
図1に示すような、本組成物膜3を形成する方法を採用することができる。このような場合に用いる塗布装置としては、例えば、ロールコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、ディップコーター、バーコーター、アプリケーター、スクリーン印刷機、ダイコーター、リップコーター、コンマコーター、グラビアコーターが挙げられる。これらの中でも、膜厚の均一性およびチップマウント装置への適用のしやすさという観点から、ロールコーター、ダイコーターがより好ましく、ロールコーターが特に好ましい。
【0026】
本組成物付着工程においては、
図2に示すように、パッケージ部品1のはんだボール11を本組成物膜3中に浸漬させて、本組成物をはんだボール11に付着させる。
パッケージ部品1のはんだボール11を本組成物膜3中に浸漬させる場合には、はんだボール11が支持体4に接触するようにすることが好ましい。このようにすれば、本組成物膜3の厚みが均一であるために、はんだボール11に付着する本組成物の付着量を均一にすることができる。
【0027】
搭載工程においては、
図3に示すように、本組成物が付着したパッケージ部品1を実装基板2の接合用ランド21上に搭載する。
実装基板2は、絶縁基材22と、絶縁基材22上に形成された接合用ランド21とを備えるものである。そして、この接合用ランド21上にパッケージ部品1など各種部品を搭載する。
搭載工程に用いる装置としては、公知のチップマウント装置を適宜用いることができる。なお、本発明においては、搭載工程の前に樹脂組成物付着工程を施す必要がある。そのため、搭載工程に用いる装置としては、部品をピックアップしてから実装基板2に搭載するまでの間に、本組成物付着工程を施すことが可能な装置を用いることが好ましい。
接合用ランド21の材質としては、公知の導電性材料(銅、銀など)を適宜用いることができる。また、絶縁基材22としては、公知の絶縁基材(ガラスエポキシ基材、ポリイミド基材など)を適宜用いることができる。
【0028】
リフロー工程においては、パッケージ部品1が搭載された実装基板2を加熱することにより、はんだボール11を溶融させ、
図4に示すように、はんだボール11を実装基板の接合用ランド21に接合する。
リフロー工程に用いる装置としては、公知のリフロー炉を適宜用いることができる。
リフロー工程における加熱温度は、はんだの融点に応じて異なるために限定されないが、例えば、はんだの融点よりも10℃以上高いことが好ましく、はんだの融点よりも15℃以上高いことがより好ましい。
リフロー工程における昇温速度は、0.2℃/秒以上2.0℃/秒以下であることが好ましく、0.4℃/秒以上1.8℃/秒以下であることがより好ましい。昇温速度が前記下限値未満では、はんだが溶融する前に本組成物が硬化してしまうおそれがあり、他方、前記上限値を超えると、本組成物の濡れ広がりが不十分となる傾向にある。
【0029】
以上のような実施形態によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、パッケージ部品1のはんだボール11間にも本組成物を付着させることができ、本組成物の付着量を制御することもできる。そのため、パッケージ部品1における本組成物の付着量が多過ぎるために、パッケージ部品1を本組成物膜3から引き剥がすことができないといった問題が生じるおそれはなく、一方で、パッケージ部品1における本組成物の付着量が少な過ぎるために、パッケージ部品1と実装基板2との接合強度を確保することができないといった問題が生じるおそれもない。
また、リフロー工程での熱を利用して、
図3に示すように、パッケージ部品1のはんだボール11に付着した付着後の本組成物31をはんだボール11に濡れ広がらせると共に、本組成物31が濡れ広がった後には本組成物31を硬化させて、
図4に示すような硬化後の本組成物32とすることにより、パッケージ部品1と実装基板2との接合強度を確保することができる。
このようにして、アンダーフィル材などを用いて接合部分を補強しない場合でも、簡便な方法により、はんだボール11を有するパッケージ部品1と実装基板2との接合強度を確保することが可能となる。
【0030】
なお、回路基板への部品実装方法は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態においては、前記搭載工程前に、さらに、実装基板2の接合用ランド21上にソルダーペースト(図示せず)を印刷するソルダーペースト印刷工程を施してもよい。このような印刷工程により、はんだボール11を有するパッケージ部品1と実装基板2との接合強度をさらに向上させることができる。
このような場合に用いるソルダーペーストとしては、公知のソルダーペーストを適宜用いることができる。
【実施例】
【0031】
以下に、本発明を実施例および比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
[実施例1]
エポキシ樹脂A(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、DIC(株)製、商品名「EPICLON EXA−830」)25.8質量%、エポキシ樹脂B(フルオレン骨格含有エポキシ樹脂、大阪ガスケミカル(株)製、商品名「EG−200」)17.5質量%、活性剤A(スチレン−アクリル酸共重合樹脂、東亞合成(株)製、商品名「UC3900」)25.0質量%、硬化剤A(ジシアンジアミド、三菱化学(株)製、商品名「DICY7」)1.1質量%、硬化剤B(メラミン、日産化学工業(株)製、商品名「微粉メラミン」0.7質量%、およびエポキシ化合物(フェニルグリシジルエーテル、ナガセケムテックス社製、商品名「EX−141」)30.0質量%を容器に投入し、三本ロールを用いて混合分散させて接着剤組成物を得た。
【0032】
[実施例2〜10、比較例1〜6]
上述した接着剤組成物を構成する各成分の割合を表1、表2に示すように変更した以外は実施例1と同様にして接着剤組成物を調製した。BGAパッケージと実装基板との接合方法も実施例1と同様である。
なお、比較例3、4で用いた活性剤Bは、アミン有機酸塩(昭和化学(株)製、商品名「ベンジルアミンアジピン酸塩」)である。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
[評価方法]
以下に示す方法で、上述の各接着剤組成物(サンプル)を評価した。
(1)粘度およびチクソ指数
サンプルを東機産業社製 E型粘度計を用いて、25℃で10rpmにおける粘度を測定した。さらに、1rpmにおける粘度を測定し、以下の式を用いてチクソ指数を算出した。
チクソ指数=Log(1rpmにおける粘度/10rpmにおける粘度)
【0036】
(2)気泡発生量
サンプルをAmkor製0.5mmP BGAボール面に25mg塗布して評価試験基板を作成した。この評価試験基板のBGAのボール面を上にし、TROPHY社製プレパラートを重ね、山陽精工社製リフローシュミレーターSMT Scope SK−5000を用いて、窒素雰囲気下で240℃まで加熱し、その時の気泡発生量を目視にて観測した。判定基準は、以下の通りである。
◎:気泡の発生がほとんど観測されない。
○:気泡の発生が少ない。
△:気泡の発生がある程度観測される。
×:気泡の発生が非常に多い。
【0037】
(3)はんだリング溶融性
Sn−3.0Ag−0.5Cuの糸はんだをリング状にし、30×30×0.3mmtのNi板に載せ、サンプルを10mg塗布した。その後、株式会社タムラ製作所製リフロー炉TNP25−538EMを用いて、酸素濃度5000ppmにおいて、
図5に示す温度プロファイルで加熱溶融させ、評価試験片を作成した。そして、溶融後のはんだのぬれ状態を目視にて観測した。判定基準は以下の通りである。
○:はんだリングが溶融し基材にぬれている。
△:はんだリングが溶融しているが、基材にはぬれていない。
×:はんだリングが溶融せず、リングの状態である。
【0038】
(4)接合性試験
サンプルをAmkor製0.5mmP BGAに塗布し、YAMAHA社製マウンターYV100Xgを用いて基板に実装し、株式会社タムラ製作所製リフロー炉TNP25−538EMを用い、窒素条件下において、
図5に示す温度プロファイルで加熱溶融させ、評価試験基板を作成した。作成した評価試験片のBGA回路内の抵抗値を測定した。判定基準は以下の通りである。
○:BGA回路内の抵抗値が0.7±0.1Ω
×:BGA回路内の抵抗値が0.6Ω未満または0.8Ωを超える
【0039】
(5)パッケージ部品搭載時の作業性
サンプルを松浪硝子工業社製スライドガラスの上に厚さ130μmで塗布した。サンプルを塗布したスライドガラスに、試験基板Amkor製0.5mmP BGAをYAMAHA社製マウンターYV−100Xgを用いてBGAのボール面がぬれるように操作した。1秒後に同じマウンターを用いて試験基板を引き上げた。判定基準は以下の通りである。
○:引き上げることができる。
×:引き上げることができない。
【0040】
[評価結果]
表1、表2の結果より、実施例1〜10のサンプルでは、はんだボールを有するパッケージ部品と実装基板との接合に際し、簡便な方法で作業できるとともに、十分な接合性を確保でき、硬化後も気泡が少ない。一方、比較例1のサンプルでは、(A1)成分の割合が(A)成分基準で65.3質量%と高く、粘度も高いためパッケージ部品搭載時の作業性が悪い。比較例2では、逆に、(A1)成分の割合が(A)成分基準で8.2質量%と低く、粘度も低いため接合性に劣る。比較例3、4のサンプルでは、活性剤として本発明の(B)成分を用いていないため、硬化時に気泡が発生しやすく接合性も悪い。比較例5のサンプルは、本発明の(D)成分が配合されていないので、はんだリング溶融性、接合性、およびパッケージ部品搭載時の作業性が悪い。比較例6のサンプルは25℃粘度が低いため、接合性に劣る。