(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記冷却水を前記循環路に循環させる前記ポンプの動作を断続させ、または断続動作中の前記ポンプの出力を変動させることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池コジェネレーションシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、冷却水系統に循環する冷却水の温度がシステムの起動から徐々に上昇し、冷却水中の溶存空気が気泡(エア)として現れる。システム停止から長時間が経過すると、冷却水系統にエア溜りが発生する場合がある。システム設置後、冷却水系統に水張りを行う際、冷却水系統にエアが入り込み、そのエアが抜け難い。
【0007】
冷却水に残留するエアがポンプに絡むと、ポンプ機能の低下を来す。いわゆるポンプのエア噛みである。また、冷却水の熱を上水などに熱交換する熱交換器にエアが滞留すると、熱交換効率を低下させる。残留するエアを放置し、その残留量が増大すると、動作エラーを引き起こす原因になる。この動作エラーはたとえば、燃料電池のオーバーヒート、セパレータ内のエア残留による出力電圧の低下、熱交換機器の熱交換異常、冷却水の圧力異常、冷却水タンクのレベル異常などである。
【0008】
冷却水系統は配管レイアウトで構成され、配管により様々な機器が連結されている。このため、冷却水系統内に生じたエアは冷却水内に溶存状態、気泡状態などの種々の状態で滞留している。このエアを冷却水系統から除去するには、冷却水系統に設置されたポンプをON/OFFさせて冷却水を動揺させて系統外に導くことが行われている。
【0009】
しかしながら、冷却水の水張り時または起動時のポンプON/OFF制御では、熱交換器内のエアや冷却水系統の各所に滞留するエアを完全に除去できない場合や、ポンプ自体にエア噛みをしているために冷却水循環が行えないなど、性能低下や既述のエラーが発生するという課題がある。発電時に生じたエアを残留させることは、同様に性能低下やエラーを生じるという課題がある。そして、起動時、冷却水からエア抜きのために起動時間が長くなり、発電動作の開始が遅延するという課題がある。
【0010】
そこで、本発明の目的は、冷却水系統のエア抜き機能を高め、起動時間を短縮化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の燃料電池コジェネレーションシステムは、
上水を溜める貯湯タンクと、前記貯湯タンクに接続されて前記貯湯タンクの前記上水を循環させる貯湯循環路と、前記貯湯循環路に前記上水を循環させる貯湯ポンプとを備える貯湯ユニットと、燃料電池に冷却水を循環させる循環路と、前記循環路に前記冷却水を循環させるポンプと、
前記循環路に循環する前記冷却水を加熱する
発熱手段と、
前記冷却水に燃焼排ガスの熱を熱交換する第1の熱交換手段と、前記冷却水と前記上水との間で熱交換する第2の熱交換手段と、前記冷却水の温度を検出する温度検出手段と、前記燃料電池の発電開始前、前記
発熱手段
および前記第1の熱交換手段により
前記冷却水を加熱
するとともに、前記貯湯タンクの前記上水の温度が前記冷却水の温度よりも高い場合に前記貯湯ポンプで前記上水を循環させて前記第2の熱交換手段により前記冷却水を加熱し、前記冷却水の検出温度が所定温度に到達するまで前記燃料電池の発電動作を待機状態に制御する制御部
とを備える
燃料電池ユニットとからなる。
【0012】
上記燃料電池コジェネレーションシステムにおいて、より好ましくは、前記制御部は、前記冷却水を前記循環路に循環させる前記ポンプの動作を断続させ、または断続動作中の前記ポンプの出力を変動させてもよい。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の燃料電池コジェネレーションシステムの制御プログ
ラムは、
貯湯ユニットと燃料電池ユニットとからなる燃料電池コジェネレーションシステムに搭載されたコンピュータに実行させるための制御プログラムである。この制御プログラムは、
前記燃料電池ユニットに設置された燃料電池の発電開始前、
前記燃料電池に循環する冷却水の温度情報を取り込み、
前記燃料電池ユニットに設置されたポンプを起動して前記燃料電池に前記冷却水を循環させる循環路に前記冷却水を循環させ、発熱手段と燃焼排ガスの熱を前記冷却水に熱交換する第1の熱交換手段とにより前記冷却水を加熱するとともに、前記貯湯ユニットに設置された貯湯タンク内の上水の温度が前記冷却水の温度よりも高い場合に、前記上水と前記冷却水との間で熱交換する第2の熱交換手段により前記冷却水を加熱し、前記温度情報により前記冷却水が所定温度に到達しているか否かを判断し、前記冷却水が所定温度に到達するまで前記燃料電池の発電動作を待機状態に制御する処理を前記コンピュータに実行させる。
【0015】
上記制御プログラムにおいて、より好ましくは、前記燃料電池に接続されている
前記循環路にあるポンプの動作を断続させ、または断続動作中に前記ポンプの出力を変動させる処理を前記コンピュータに実行させてもよい。
【0016】
上記目的を達成するため、本発明の
貯湯ユニットと燃料電池ユニットとからなる燃料電池コジェネレーションシステムの制御方法は、
前記燃料電池ユニットに設置された燃料電池の発電開始前、
前記燃料電池に循環させる冷却水を加熱手段により加熱し、
前記燃料電池の発電開始前、前記冷却水の温度を温度検出手段により検出し、
前記燃料電池ユニットに設置されたポンプを起動して前記燃料電池に前記冷却水を循環させる循環路に前記冷却水を循環させ、発熱手段と燃焼排ガスの熱を前記冷却水に熱交換する第1の熱交換手段とにより前記冷却水を加熱するとともに、前記貯湯ユニットに設置された貯湯タンク内の上水の温度が前記冷却水の温度よりも高い場合に、前記上水と前記冷却水との間で熱交換する第2の熱交換手段により前記冷却水を加熱し、前記冷却水が所定温度に到達しているか否かを判断し、前記冷却水が所定温度に到達するまで前記燃料電池の発電動作を待機状態に制御する。
【0017】
上記制御方法において、より好ましくは、前記燃料電池に接続されている
前記循環路にあるポンプの動作を断続させ、または断続動作中に前記ポンプの出力を変動させてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、次のいずれかの効果が得られる。
【0019】
(1) 燃料電池の発電開始前、循環路を循環させる冷却水を所定温度に到達させた後、発電動作に移行させることができ、冷却水のエア抜きに要する制御の不要化ないし軽減することができる。これにより、燃料電池の温度制御を安定化できる。
【0020】
(2) エア抜きのための起動時間を短縮でき、発電動作の開始を迅速化できる。
【0021】
(3) 燃料電池の発電開始前の冷却水からのエア抜きが良好になり、起動中や発電中のエアによる性能低下やエラーの発生を防止できる。
【0022】
そして、本発明の他の目的、特徴および利点は、添付図面および各実施の形態を参照することにより、一層明確になるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、第1の実施の形態に係る燃料電池コジェネレーションシステムを示している。
図1に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
【0026】
この燃料電池コジェネレーションシステム2−1には、燃料電池ユニット4と貯湯ユニット6が備えられている。燃料電池ユニット4は、燃料ガスの化学変化により発電するとともに、発電により生じる熱を回収する(排熱回収)。貯湯ユニット6は、燃料電池ユニット4から回収した熱を熱源に用いて上水22を加熱し、貯湯する。
【0027】
燃料電池ユニット4には、燃料電池スタック8が設置されている。この燃料電池スタック8は燃料電池の一例であり、複数の燃料電池を備える。この燃料電池スタック8には、冷却水循環路(以下単に「循環路」と称する)10が接続されており、この冷却水循環路10には、燃料電池スタック8の起動時、発電時または水張り時に冷却水12を循環させる。起動時は発電前の準備期間である。発電時は発電動作中である。これら起動時または発電時のいずれにも属さない時間として、たとえば、水張り時がある。この水張り時は循環路10に冷却水12を充填する場合である。
【0028】
循環路10は燃料電池ユニット4に冷却水12を循環させる経路である。つまり、燃料電池スタック8の出側から流出した冷却水12を燃料電池スタック8の入側に循環させる。冷却水12にはたとえば、純水が用いられる。
【0029】
この循環路10には、エアベント14、冷却水タンク16、第1の熱交換器18−1、第2の熱交換器18−2および冷却水ポンプ20−1が設置されている。エアベント14は、循環する冷却水12から気泡化したエアを排出させる。このエアベント14は、冷却水タンク16にエアベント機能つまり、エア抜き機能を備えていれば、省略してもよい。冷却水タンク16には冷却水12が溜められる。循環する冷却水12は、冷却水タンク16の上層側に戻され、冷却水タンク16の冷却水12は冷却水タンク16の底側から流出させる。
【0030】
熱交換器18−1は、発電時、冷却水12に回収された排熱を上水22側に熱交換する。冷却水12を熱源とし、上水22が加熱される。起動時、この熱交換器18−1は、貯湯タンク30の上水22に蓄熱された熱で冷却水12を加熱する熱交換に用いることができる。この場合、高温の上水22の熱を熱交換に利用するため、上水22の流れ方向を逆方向に設定する。
【0031】
熱交換器18−2は、燃料改質器23で発生した排気の熱を冷却水12に熱交換する。燃料改質器23は、燃料電池スタック8の起動前、改質動作を行うので、起動時にその排熱を冷却水12の加熱、つまり、その熱交換に利用することができる。
【0032】
冷却水ポンプ20−1は、燃料電池スタック8の起動時(または水張り時)、または発電時に起動し、冷却水12を循環路10を通じて燃料電池スタック8に循環させる。
【0033】
燃料電池スタック8の入側には温度センサ24−1、燃料電池スタック8の出側には温度センサ24−2が設置されている。温度センサ24−1は、循環路10から燃料電池スタック8に流入する冷却水12の入側検出温度T1を検出する。温度センサ24−2は、燃料電池スタック8から循環路10に流出する冷却水12の出側検出温度T2を検出する。これら温度センサ24−1または温度センサ24−2は、温度検出手段の一例である。これら温度センサ24−1または温度センサ24−2の入側検出温度T1、出側検出温度T2は、燃料電池スタック8が発電動作前であれば、同一ないし同等の温度となる。
【0034】
冷却水タンク16にはヒータ26およびレベルセンサ28が設置されている。ヒータ26は、発熱手段の一例であり、起動時、冷却水12を温める。レベルセンサ28は、冷却水タンク16の冷却水レベルを検出する。この冷却水レベルは、循環路10内の冷却水12が適正量であるか否か(つまり、循環路10に循環可能か否か)の判断に用いられる。
【0035】
貯湯ユニット6には貯湯タンク30が設置されている。貯湯タンク30は上水22を溜めており、下層側を低温度、上層側を高温度とする蓄熱(階層蓄熱)を行う。この貯湯タンク30には貯湯循環路32が接続されている。この貯湯循環路32は、下層側から取り出された上水22を上層側に戻す経路である。この貯湯循環路32には熱交換器18−1および貯湯ポンプ20−2が設置されている。
【0036】
貯湯ポンプ20−2は、貯湯循環路32を通じて貯湯タンク30の下層側から上水22を取り出して貯湯循環路32に循環させ、その上水22を貯湯タンク30の上層側に戻す。貯湯循環路32に循環する上水22は熱交換器18−1に循環し、冷却水12と上水22との間で熱交換を行う。つまり、冷却水12の温度が上水22より高い場合には、上水22が冷却水12によって加熱される。また、上水22の温度が冷却水12の温度より高い場合には蓄熱している上水22の熱で冷却水12が加熱されることになる。
【0037】
この実施の形態の燃料電池コジェネレーションシステム2−1では、冷却水12の加熱手段として熱交換器18−1、18−2およびヒータ26を備え、熱交換器18−1では、上水22の蓄熱、熱交換器18−2では燃料改質器23の排気の熱を利用している。冷却水12の加熱手段は、これらいずれかでもよく、これらのうちの2以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
<燃料電池コジェネレーションシステム2−1の制御系統3−1>
【0039】
図2は、燃料電池コジェネレーションシステム2−1の制御系統3−1を示している。
図2において、
図1と同一部分には同一符号を付してある。
【0040】
この制御系統3−1には制御部36が設置されている。この制御部36はたとえば、マイクロコンピュータ(μ−COM)などのコンピュータによって構成される。この制御部36にはCPU(Central Processing Unit )38、ROM(Read-Only Memory)40、RAM(Random-Access Memory)42および入出部(I/O)44が備えられる。これら機能部はバス46により接続されている。
【0041】
CPU38はROM40に格納されているOS(Operating System)や制御プログラムなどの各種のプログラムを実行する。このROM40は、記憶媒体の一例であり、このROM40には不揮発性メモリが含まれる。したがって、ROM40には制御情報が格納されている。RAM42は、情報処理のワークエリアを構成する。
【0042】
I/O44には温度センサ24−1、24−2、レベルセンサ28の検出信号が取り込まれる。このI/O44から発せられた制御出力は、冷却水ポンプ20−1、貯湯ポンプ20−2、加熱制御部48に加えられる。
【0043】
ヒータ26はたとえば、交流ヒータであり、交流電源50の供給により発熱する。加熱制御部48は、ヒータ26の給電制御部の一例であり、制御部36の制御出力を受けることによりヒータ26を給電状態または給電解除状態に制御する。
【0045】
図3は、CPU38によって実行される冷却水制御機能52を示している。この冷却水制御機能52には、起動機能56、冷却水加熱制御機能57、ポンプ出力断続機能58およびポンプ出力変動機能60が含まれる。
【0046】
起動機能56は、発電前の起動時(または水張り時)の機能であり、発電前に冷却水ポンプ20−1を起動させる機能である。斯かる機能の実行により、主として冷却水12からエアを排出させる。
【0047】
冷却水加熱制御機能57は、冷却水12の温度情報を取り込み、冷却水12が所定温度未満であれば起動状態を維持して冷却水12を加熱し、冷却水12が所定温度以上に到達すれば起動状態から発電状態に移行する。
【0048】
ポンプ出力断続機能58は、起動時、冷却水ポンプ20−1を起動させ、ポンプ出力Pを断続させる。
【0049】
ポンプ出力変動機能60は、断続動作中の冷却水ポンプ20−1のポンプ出力Pを変動させる。この変動形態は、動作期間を単位として出力レベルを変更してもよいし、動作期間中であれば時間経過に応じて出力レベルを変更してもよい。いずれの形態であっても、断続するポンプ出力Pの出力レベルを変動させれば、循環する冷却水12を加熱と相まって動揺させ、冷却水12中のエアをエアベント14または冷却水タンク16に導き、外気に排出させることができる。つまり、冷却水12からエアを抜き取ることができる。
【0051】
図4は、冷却水温度に依存させた起動および発電の切替え制御を示している。
図4のAは温度センサ24−1、24−2の検出温度の推移を示している。
図4のBは、起動動作から発電動作への切替えを示している。
【0052】
燃料電池コジェネレーションシステム2−1の起動時には冷却水ポンプ20−1を起動する。冷却水ポンプ20−1を動作させると、冷却水12が循環路10に循環する。この冷却水12の温度は温度センサ24−1、24−2で検出することができる。各温度センサ24−1、24−2の入側検出温度T1、出側検出温度T2は制御部36に取り込まれ、起動状態の維持、発電動作への切替え情報に用いられる。
【0053】
時点t1で起動した後、時点t2で入側検出温度T1または出側検出温度T2のいずれかまたは双方が基準温度Trefに到達すれば、その時点t2で起動状態から発電動作に移行する。起動状態は、燃料電池スタック8の発電前の状態である。発電動作は、起動状態から燃料電池スタック8に発電を開始させる動作である。
【0054】
<冷却水ポンプ20−1のポンプ制御>
【0055】
(1) 起動時(または水張り時)のポンプ出力制御
【0056】
起動時(または水張り時)、冷却水ポンプ20−1を起動して循環路10に冷却水12を循環させ、冷却水ポンプ20−1の動作を断続させる(ON/OFF制御)。このON/OFF制御において、
図5に示すように、冷却水ポンプ20−1のポンプ出力Pを変動させる。
【0057】
図5は、起動時のON/OFF制御における出力変動制御を示している。
図5の横軸は時間t、縦軸はポンプ出力Pの増減比率〔%〕を示している。
【0058】
この出力変動制御では、時点t0から時点t1までの時間間隔I1、時点t1から時点t2までの時間間隔I2、時点t2から時点t3までの時間間隔I3、時点t3から時点t4までの時間間隔I4、時点t4から時点t5までの時間間隔I5、時点t5から時点t6までの時間間隔I6、時点t6から時点t7までの時間間隔I7、時点t7から時点t8までの時間間隔I8、時点t8から時点t9までの時間間隔I9、時点t9から時点t10までの時間間隔I10、時点t10から時点t11までの時間間隔I11が設定されている。
【0059】
時点t0で起動を開始し、時間間隔I1でポンプ出力P=0に設定している。時間間隔I2でポンプ出力P=P5(但し、P5>P1、P5>P2、P5>P3、P5>P4、P5<P6)に設定している。時間間隔I3でポンプ出力P=0に設定している。時間間隔I4でポンプ出力P=P2(但し、P2>P1、P2<P3、P2<P4)に設定している。時間間隔I5でポンプ出力P=0に設定している。時間間隔I6でポンプ出力P=P1(P1<P3、P1<P4)に設定している。時間間隔I7でポンプ出力P=0に設定している。時間間隔I8でポンプ出力P=P6(P6>P5、P6>P4、P6>P3、P6>P2、P6>P1、たとえば、P6=100〔%〕)に設定している。時間間隔I9でポンプ出力P=0に設定している。時間間隔I10でポンプ出力P=P3に設定している。時間間隔I11でポンプ出力P=0に設定している。
【0060】
この場合のポンプ出力制御では、時間間隔I1=I2=I3=I4=I5=I6=I7=I8=I9=I10=I11に設定されている。また、ポンプ出力の変動は、0→P5→0→P2→0→P1→0→P6→0→P3→0のように交互に出力0を介在させたレベル変化(つまり、前回値と異なる出力であり、出力レベルのリズム化)を設定している。また、時間間隔I2:P5=一定、時間間隔I4:P2=一定、時間間隔I6:P1=一定、時間間隔I8:P6=一定、時間間隔I10:P3=一定に設定されている。
【0061】
ポンプ出力制御の時間間隔Iは、I1≠I2≠I3≠I4≠I5≠I6≠I7≠I8≠I9≠I10≠I11でもよいし、I1<I2<I3<I4<I5<I6<I7<I8<I9<I10<I11でもよいし、I1>I2>I3>I4>I5>I6>I7>I8>I9>I10>I11でもよい。また、I1=I3=I5=I7=I9=I11=Ix、I2=I4=I6=I8=I10=Iyとし、Ix≠Iyとしてもよい。
【0062】
時間間隔を単位とする出力変動では、時間間隔I2:P5=変動(増加または減少)、時間間隔I4:P2=変動(増加または減少)、時間間隔I6:P1=変動(増加または減少)、時間間隔I8:P6=変動(増加または減少)、時間間隔I10:P3=変動(増加または減少)に設定してもよい。その出力変動も、ランプ関数などの単調変化でもよいし、アトランダムな出力変動でもよい。つまり、正弦関数などの出力変化であってもよい。
【0063】
(2) 発電時のポンプ出力制御(燃料電池スタック8の発熱温度に応じた冷却水ポンプ20−1の出力制御)
【0064】
燃料電池スタック8の入側検出温度T1、出側検出温度T2を参照し、燃料電池スタック8の発熱温度を所定温度に維持するための冷却水ポンプ20−1の出力制御を行う。
【0065】
図6は、既述の起動から移行した発電動作を示している。この場合、時点t11で燃料電池スタック8が発電動作に移行している。発電が開始されると、燃料電池スタック8は、燃料の燃焼により熱を発する。つまり、冷却水12は燃料電池スタック8の排熱を吸収し、温められる。この燃料電池スタック8の温度推移は、温度センサ24−1の入側検出温度T1と、温度センサ24−2の出側検出温度T2により、CPU38で監視される。この温度推移を参照し、制御部36では燃料電池スタック8の温度が所定温度に維持されるように冷却水ポンプ20−1のポンプ出力Pを制御する。つまり、回転を増減することにより、冷却水12の循環量を制御する。
図6のPは、ポンプ出力の変動を示している。このようなポンプ出力Pを増減することにより、燃料電池スタック8の温度が所定温度に制御される。
【0066】
<冷却水ポンプ20−1のポンプ制御処理>
【0067】
図7は、起動時(または水張り時)のポンプ出力制御の処理手順を示している。この処理手順は、燃料電池コジェネレーションシステムの制御プログラムまたはその制御方法の一例である。
【0068】
この処理手順では、CPU38が燃料電池スタック8の発電開始前に冷却水ポンプ20−1を循環させ、冷却水12の温度情報の取込みを行う(S101)。CPU38は、既述の温度情報に基づき、冷却水12の温度が所定温度以上か否かを判断する(S102)。
【0069】
冷却水12の検出温度が所定温度以上であれば(S102のYES)、発電動作に移行し(S103)、この処理を終了する。
【0070】
冷却水12の検出温度が所定温度未満であれば(S102のNO)、冷却水12の加熱動作を行う(S104)。この加熱動作には既述の加熱手段のいずれかまたは2以上を用いればよい。
【0071】
起動中の冷却水ポンプ20−1のポンプ動作を断続させ(S105)、断続動作中に冷却水ポンプ20−1の出力を変動させる(S106)。
【0072】
そして、冷却水12の検出温度を取り込み(S101)、冷却水12の検出温度が所定温度未満であれば(S102のNO)、S104ないしS106を繰り返し、検出温度を監視する。冷却水12の検出温度が所定温度に到達すれば(S102のYES)、起動状態から発電動作に移行する(S103)。
【0074】
(1) 燃料電池コジェネレーションシステムにおいて、水張り時や起動時に冷却水系統のエア抜きを適切に行うことができ、エア噛みに付随したエラー発生を抑制することができる。つまり、発電時の燃料電池スタック8のオーバーヒート、セパレータ内のエア残留による出力電圧の低下、熱交換機器の熱交換異常、冷却水の圧力異常、冷却水タンクのレベル異常などを未然に回避することができる。
【0075】
(2) 冷却水温度が所定の温度へ到達するまで発電動作を待機させることができ、エア抜きが不完全な状態での発電動作への移行を防止できる。
【0076】
(3) 発電の待機中(即ち、燃料電池システム起動中)に、
a)冷却水12の循環系統にあるヒータ26
b)燃料改質器23の燃焼排ガス
c)貯湯タンク30の蓄熱
d)a)〜c)いずれか2以上の組み合わせ
を冷却水12の加熱手段に用いることにより、発電前に冷却水12を加温する。これにより、冷却水12からエア抜きを迅速に行うことができ、発電前の起動動作を短縮化でき、発電動作への移行を迅速化できる。
【0077】
(4) 冷却水ポンプ20−1のON/OFF制御により断続動作を併用すれば、エア抜きの迅速化を図ることができる。
【0078】
(5) 断続中の冷却水ポンプ20−1のポンプ出力を様々に変化すれば、よりエア抜き効果を高めることができる。
【0079】
(6) このようなエア抜き動作により、発電中のエア発生を抑制でき、発電中のエア抜き制御の不要化ないし軽減が図られるとともに、発電中の燃料電池スタック8の温度を所定の温度に制御できる。
【0080】
(7) 発電中のエア発生を抑制でき、発電中のエア抜き制御が不要になることに加え、起動時の冷却水12の温度上昇を短時間で行え、起動時間を短縮化できる。つまり、起動から発電動作への移行を迅速化できる。
【0081】
(8) 発電中のエア抜き制御の不要化ないし軽減に加え、冷却水12の加熱、断続、ポンプ出力Pの変動により、種々の流速を冷却水12に付与でき、係る冷却水12により燃料電池スタック8や循環路10などの滞留エアを押し出すことができ、起動中や発電中のエアによる性能低下やエラー発生を防止できる。
【0082】
(9) 起動中のエア抜きにより、起動中や発電中のエアによる性能低下やエラー発生を防止できる。
【0083】
(10) 既述したとおり、起動時、水張り時または発電時の冷却水系統のエアによる性能低下やエラーを確実に防止でき、信頼性の高い燃料電池コジェネレーションシステムを実現することができる。
【0085】
図8は、第2の実施の形態に係る燃料電池コジェネレーションシステムを示している。
図8において、
図1と同一部分には同一符号を付し、その説明を割愛する。
【0086】
上記実施の形態では、貯湯ポンプ20−2を反転させることにより貯湯タンク30から高温の上水22を熱交換器18−1に循環させている。これに対し第2の実施の形態では貯湯ポンプ20−2に対してバイパス管32−1、32−2が設置されるとともに、切替弁62−1、62−2が設置されている。各切替弁62−1、62−2はたとえば、三方弁で構成されている。切替弁62−1、62−2は貯湯ポンプ20−2の回転方向を変えることなく、切替弁62−1、62−2の流れ方向の切替えにより、貯湯タンク30の高温の上水22を熱交換器18−1に流し、上水22の熱で冷却水12を温める構成である。
【0087】
<燃料電池コジェネレーションシステム2−2の制御系統3−2>
【0088】
図9は、燃料電池コジェネレーションシステム2−2の制御系統3−2の一例を示している。この実施の形態では、既述の切替弁62−1、62−2が入出部(I/O)44に接続されている。つまり、上水22の熱で冷却水12を加熱する際に、
図10のAに示すように、切替弁62−1、62−2が切り替えられる。その他の構成は、第1の実施の形態と同様であるので同一符号を付し、その説明を割愛する。
【0089】
<切替弁62−1、62−2の切り替え>
【0091】
貯湯タンク30に貯湯されている上水22の熱を冷却水12に利用する場合には、
図10のAに示すように切替弁62−1、62−2を切り替える。貯湯ポンプ20−2は、発電時(
図10のB)と同一方向に回転させる。
【0092】
貯湯タンク30から流出した高温の上水22は熱交換器18−1に流れ、上水22の熱が冷却水12に熱交換される。熱交換により、上水22は低温化される。この上水22は、切替弁62−2、バイパス管32−1、貯湯ポンプ20−2、バイパス管32−2および切替弁62−1を経て貯湯タンク30に至る。
【0094】
この場合、
図10のBに示すように切替弁62−1、62−2を切り替える。貯湯ポンプ20−2は、起動時(
図10のA)と同一方向に回転させる。
【0095】
貯湯タンク30から流出した低温の上水22は、切替弁62−1、貯湯ポンプ20−2および切替弁62−2を経て熱交換器18−1に流れ、冷却水12の熱が上水22に熱交換される。この場合、バイパス管32−1、32−2には上水22が循環しない。熱交換により、上水22は高温化され、貯湯タンク30の上層部に至る。
【0097】
第1の実施の形態と同様の効果が得られるとともに、エア抜きの必要状態を判断して、発電前または発電中に冷却水12のエアを除くことができる。発電前であれば、エア抜き後、速やかに発電動作に移行でき、発電中であれば、発電動作における機能低下やエラー発生を確実に防止でき、信頼性の高い動作を確保することができる。
【0098】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【0100】
(1) 上記実施の形態(
図1)では、冷却水12の加熱手段として冷却水12の循環系統にあるヒータ26、燃料改質器23の燃焼排ガスおよび貯湯タンク30の蓄熱の全てを備えているが、既述したとおりいずれかひとつでもよく、選択された2以上を備えてもよい。
【0101】
(2) 上記実施の形態では、冷却水12の加熱手段としてヒータ26を冷却水タンク16に備えた例を示しているが、冷却水タンク16以外の循環路10にヒータ26を備えてもよい。
【0102】
(3) 上記実施の形態では、冷却水12の加熱手段の一例としてとして蓄熱媒体である上水22および熱交換器18−1を用いているが、他の熱交換手段を用いて燃焼熱などを利用して冷却水12を温めてもよい。
【0103】
(4) 貯湯ユニット6について、
図11のAに示すように、貯湯循環路32にバイパス管32−1、32−2を分岐して備え、バイパス管32−1の出側に切替弁62−1、バイパス管32−2の入側に切替弁62−2を備えてもよい。この場合、起動時には
図11のAに示すように、切替弁62−1、62−2により貯湯ポンプ20−2により上水22を流し、発電時には
図11のBに示すように、上水22を流してもよい。
【0104】
(5) 第2の実施の形態の貯湯ポンプ20−2、切替弁62−1、62−2およびバイパス管32−1、32−2を備える構成は、貯湯ユニット6に限定されない。同様の構成を燃料電池ユニット4で構成してもよい。