特許第6013132号(P6013132)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6013132有機酸洗浄用の腐食抑制液及び当該腐食抑制液を用いた金属の洗浄方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013132
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】有機酸洗浄用の腐食抑制液及び当該腐食抑制液を用いた金属の洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   C23G 1/26 20060101AFI20161011BHJP
   C11D 1/58 20060101ALI20161011BHJP
   C11D 3/34 20060101ALI20161011BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20161011BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   C23G1/26
   C11D1/58
   C11D3/34
   C11D3/20
   C11D3/37
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-232137(P2012-232137)
(22)【出願日】2012年10月19日
(65)【公開番号】特開2014-84475(P2014-84475A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年6月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000213840
【氏名又は名称】朝日化学工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390027188
【氏名又は名称】栗田エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】上恐 敏史
(72)【発明者】
【氏名】板場 保
(72)【発明者】
【氏名】大田 幸次
(72)【発明者】
【氏名】吉川 忠芳
【審査官】 祢屋 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−172783(JP,A)
【文献】 特開2000−096272(JP,A)
【文献】 特開平01−159388(JP,A)
【文献】 特開2006−169595(JP,A)
【文献】 特開2000−038690(JP,A)
【文献】 特開平05−195270(JP,A)
【文献】 米国特許第04637899(US,A)
【文献】 米国特許第06310024(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23G 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機酸0〜100重量部に対して、キレート剤100〜250重量部と、還元剤(キレート機能を有する場合を除く)50〜150重量部とを含み、pHが6〜8である洗浄液に、腐食抑制成分を添加混合した金属用の有機酸洗浄用の腐食抑制液であって、前記腐食抑制成分として、前記有機酸洗浄用の腐食抑制液中に、ピリジニウム化合物(分子内にS原子を含む場合を除く)を0.03〜0.15重量%、有機硫黄化合物を0.05〜0.3重量%および分子内にエーテル基、水酸基、エステル基またはケトン基のうち少なくとも1種の基を有する数平均分子量300〜1000の水溶性高分子を0.03〜0.2重量%含むこと特徴とする有機酸洗浄用の腐食抑制液。
【請求項2】
前記ピリジニウム化合物がアルキルピリジニウムクロライドであることを特徴とする請求項1に記載の有機酸洗浄用の腐食抑制液。
【請求項3】
前記有機硫黄化合物が、チオシアン酸アンモニウムおよび3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機酸洗浄用の腐食抑制液。
【請求項4】
前記水溶性高分子が、ポリエチレングリコールであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機酸洗浄用の腐食抑制液。
【請求項5】
前記金属用の有機酸洗浄用の腐食抑制液が、鋼材洗浄用の有機酸洗浄用の腐食抑制液であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の有機酸洗浄用の腐食抑制液。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか1項に記載の有機酸洗浄用の腐食抑制液を金属表面に吹き付け、浸漬または接触させて金属表面を洗浄することを特徴とする金属の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管など、特にクロム含有鋼に生成するスケールや錆を除去するための有機酸洗浄用の腐食抑制液及び該有機酸洗浄用の腐食抑制液を用いる金属の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から鋼材などの金属の洗浄には各種のスケール除去剤が使用されている。スケール除去剤の主成分として無機酸が汎用されており、一般的に、無機酸はコストが低く、金属酸化物の溶解能力が大きいという特徴を有する。しかし、その反面、被洗浄金属の材料種によっては過酸洗や水素脆性、金属の変色などの問題を生じるおそれがある。更に、洗浄後の中和処理が難しく、強酸性であるため取り扱い上の危険があり、ガスやミストの発生により周辺の設備や環境を汚染するなどの問題も有する。
【0003】
一方、無機酸を主成分とするスケール除去剤の前記問題を避けるため、有機酸による洗浄が行われる。有機酸などを主成分とするスケール除去剤では、コスト高であること、常温域でのスケール溶解能力を高めるために洗浄時に70°C以上に加熱する必要があるといった欠点を有するものの、無機酸に比較して被洗浄金属に対する腐食作用が緩やかであり、洗浄後の中和処理が容易であるなどの特徴を有している。
【0004】
特許文献1には、スケール除去と共に金属の腐食を抑制する有機酸系のスケール除去剤が開示されており、該スケール除去剤の組成は(A)1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸やその塩などの有機ホスホン酸及びその塩から選ばれる1種以上、(B)クエン酸などのカルボン酸及びその塩から選ばれる1種以上、(C)メルカプトカルボン酸及びその塩から選ばれる1種以上からなることが開示されている。また、特許文献1には、さらにその他の成分として、エチレンジアミン四酢酸、ヒドラジンなどが含有できることも記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、クロム含有鋼材のスケール除去方法において、処理剤として無機酸、有機酸、キレート剤が使用されることが記載されており、有機酸としてクエン酸、キレート剤としてエチレンジアミン四酢酸、還元剤としてヒドラジンなどが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−70805号公報
【特許文献2】特開2012−97336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記のような有機酸系の処理剤を用いて有機酸洗浄を行った場合、スケール除去、腐食抑制に一定の効果が認められるものの、十分な効果とまで言い難く、また前記効果は時間と共に劣化しやすく、安定的に使用するための酸洗時の効果の持続という面で難点がある。
【0008】
本発明は、鋼材、特にはクロム含有鋼材の洗浄時に腐食抑制、孔食防止効果を有し、かつ酸洗時のこれらの効果の安定的な持続性を有する有機酸洗浄用の腐食抑制液ならびに該有機酸洗浄用の腐食抑制液を用いる金属の洗浄方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、有機酸0〜100重量部に対して、キレート剤100〜250重量部と、還元剤(キレート機能を有する場合を除く)50〜150重量部とを含み、pHが6〜8である洗浄液に、腐食抑制成分を添加混合した金属用の有機酸洗浄用の腐食抑制液であって、前記腐食抑制成分として、前記有機酸洗浄用の腐食抑制液中に、ピリジニウム化合物(分子内にS原子を含む場合を除く)を0.03〜0.15重量%、有機硫黄化合物を0.05〜0.3重量%および分子内にエーテル基、水酸基、エステル基またはケトン基のうち少なくとも1種の基を有する数平均分子量300〜1000の水溶性高分子を0.03〜0.2重量%含むこと特徴とする有機酸洗浄用の腐食抑制液である。
【0010】
また本発明は、前記ピリジニウム化合物がアルキルピリジニウムクロライドであることを特徴とする。
【0011】
また本発明は、前記有機硫黄化合物が、チオシアン酸アンモニウムおよび3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸の少なくとも1種であることを特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記水溶性高分子が、ポリエチレングリコールであることを特徴とする。
【0014】
また本発明は、前記金属用の有機酸洗浄用の腐食抑制液が、鋼材洗浄用の腐食抑制剤であることを特徴とする。
【0015】
また本発明は、前記いずれかの有機酸洗浄用の腐食抑制液を金属表面に吹き付け、浸漬または接触させて金属表面を洗浄することを特徴とする金属の洗浄方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、有機酸0〜100重量部に対して、キレート剤100〜250重量部と、還元剤(キレート機能を有する場合を除く)50〜150重量部とを含み、pHが6〜8である洗浄液に、腐食抑制成分を添加混合した金属用の有機酸洗浄用の腐食抑制液であって、前記腐食抑制成分として、前記有機酸洗浄用の腐食抑制液中に、ピリジニウム化合物(分子内にS原子を含む場合を除く)を0.03〜0.15重量%、有機硫黄化合物を0.05〜0.3重量%および分子内にエーテル基、水酸基、エステル基またはケトン基のうち少なくとも1種の基を有する数平均分子量300〜1000の水溶性高分子を0.03〜0.2重量%含むので、鋼材、特には難溶性スケールが形成されているクロム含有鋼材に適用することにより、脱スケール性はもちろんのこと、優れた腐食抑制、孔食防止効果を有し、かつ酸洗時のこれらの効果の安定的な持続性を有する優れた洗浄効果を得ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の有機酸洗浄用の腐食抑制液は、有機酸0〜100重量部と、キレート剤100〜250重量部と、還元剤(キレート機能を有する場合を除く。以下、単に還元剤という)50〜150重量部とを含み、pHが6〜8である洗浄液に、腐食抑制成分として、前記有機酸洗浄用の腐食抑制液中に、ピリジニウム化合物(分子内にS原子を含む場合を除く。以下、単にピリジニウム化合物という)が0.03〜0.15重量%、有機硫黄化合物を0.05〜0.3重量%および分子内にエーテル基、水酸基、エステル基またはケトン基のうち少なくとも1種の基を有する数平均分子量300〜1000の水溶性高分子が0.03〜0.2重量%となるよう添加混合した腐食抑制剤である。
【0018】
本発明の有機酸洗浄用の腐食抑制液は、pHが6.0〜8.0、好ましくは6.5〜7.5の範囲に調整されている。
【0019】
本発明の有機酸洗浄用の腐食抑制液(以下、単に腐食抑制剤ということがある)において、洗浄液に配合される有機酸0重量部は、洗浄液に有機酸を含まない場合を示し、有機酸が0重量部のときは、洗浄液は、キレート剤100〜250重量部と、還元剤50〜150重量部の2成分を含むことを意味する。
【0020】
また、洗浄液に有機酸を含む場合には、その配合量の下限は1重量部であるが、本発明の効果を奏する限りにおいて、有機酸が前記下限を下回る重量部、たとえば0.5重量部であっても、当該洗浄液は本発明の有機酸洗浄用腐食抑制剤を構成する洗浄液に該当する。
洗浄液が有機酸を含む場合、有機酸としては、芳香族カルボン酸または脂肪族カルボン酸があげられ芳香族カルボン酸としては安息香酸が、脂肪族カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、クエン酸、マロン酸、シュウ酸、グリコール酸、リンゴ酸などがあげられる。
【0021】
またキレート剤としては、アミノポリカルボン酸類化合物が好ましく、たとえばエチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸などがあげられる。
【0022】
これらのキレート剤は、遊離のものであってもよく、またはそれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミン塩もしくはアンモニウム塩などを例示することができる
【0023】
また還元剤としては、金属表面の金属酸化物、金属腐食生成物等を還元させて金属、金属イオン等の還元生成物を生成させるものであれば、特に制限はなく従来公知の還元剤を用いることができる。かかる還元剤としてはヒドラジン、L−アルコルビン酸、エルソルビン酸、ブドウ糖、クエン酸および酒石酸などの有機系還元剤があげられる。これらの還元剤は遊離のものであってもよく、あるいはそれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミン塩もしくはアンモニウム塩などを例示することができる
【0024】
前記洗浄液のもっとも好ましい配合比率は、有機酸100重量部に対して、キレート剤200重量部、還元剤100重量部であることがさらに好ましい。なお、当該洗浄液の残りは水とする。
【0025】
前記キレート剤、還元剤の配合比率が、前記下限に達しないときは、脱スケール性を減ずることになり、また前記上限を越えるときは、腐食量を増加させることになり、いずれも好ましくない。
【0026】
前記洗浄液は、前記有機酸、キレート剤および還元剤を、所定の配合比率で、攪拌下に水に添加して混合することにより製造することができる。
【0027】
得られた洗浄液は、水酸化アルカリ金属塩またはアンモニア水などのpH調整剤を加えて液pHを、6〜8に調整することが望ましい。これにより、洗浄液は、中性域での取り扱いが容易になり、腐食抑制剤の性能が向上し、濁りや分解が無く安定性が良いという効果を発揮する。
【0028】
本発明において、洗浄液に添加混合する腐食抑制成分は、腐食抑制成分として、有機酸洗浄用の腐食抑制液中にピリジニウム化合物を0.03〜0.15重量%、有機硫黄化合物を0.05〜0.3重量%および分子内にエーテル基、水酸基、エステル基またはケトン基のうち少なくとも1種の基を有する水溶性高分子を0.03〜0.2重量%を含む。
【0029】
ピリジニウム化合物の濃度が0.03重量%より小さいとクロム含有鋼材の耐孔食性が落ちるため好ましくなく、0.15重量%より大きいと性能は変わらず経済的に好ましくない。また硫黄化合物の濃度が0.03重量%より小さいとクロム含有鋼材の耐孔食性が落ちるため好ましくなく、0.3重量%より大きいと性能は変わらず経済的に好ましくない。水溶性高分子の濃度は、0.03重量%より小さいとクロム含有鋼材の耐孔食性が落ちるため好ましくなく、0.2重量%より大きいと性能は変わらず経済的に好ましくない。
【0030】
ピリジニウム化合物としては、4級アンモニウム塩が好ましく、たとえばウンデシルピジニウムクロライド、1−ブチルピリジニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライドなどのアルキルピリジニウムクロライド、ベンジルピリジニウムクロライド、N−ヒドロキシエチル−ピリジニウムクロライド、N−(P−ラウリルベンジル)−ピリジニウムクロライド、N−カルボキシメチル−ピリジニウムクロライド、N−ヒドロキシエトキシエチル−ピリジニウムクロライド、N−アリル−ピリジニウムクロライドなどを例示することができる。この中で最も好ましいのは、アルキルピリジニウムクロライドであり、とりわけウンデシルピジニウムクロライドが好ましい。
【0031】
また有機硫黄化合物としては、フェニルチオ尿素、トリルチオ尿素、N−メチルチオ尿素、ジメチルチオ尿素、ジエチルチオ尿素、ジブチルチオ尿素、テトラメチルチオ尿素、メチルイソチオ尿素、ベンジルイソチオ尿素、ジイソプロピルチオ尿素、エチレンチオ尿素などのチオ尿素類化合物、メルカプトベンゾチアゾール、2,5−ジメルカプト1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾールなどのベンゾチアゾール類化合物、イソブチルメルカプタン、ブチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、メルカプトベンゾチアジルスルフィド、2−メルカプトイミダゾリンなどのメルカプタン類化合物のほか、3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸、(2−ベンゾチアジルチオ)酢酸、2−メルカプトイミダゾリン、チオシアン酸、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジベンジルスルフォキシドなどがあげられる。
【0032】
これらの有機硫黄化合物は、遊離のものであってもよく、またはそれらの塩であってもよい。また、これらの有機硫黄化合物は、1種以上を併用することができる。
【0033】
有機硫黄化合物としては、チオシアン酸アンモニウムまたは3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸が好ましく、特にチオシアン酸アンモニウムおよび3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸を併用することが好ましい。
【0034】
本発明において、分子内にエーテル基、水酸基、エステル基またはケトン基のうち少なくとも1種の基を有する数平均分子量300〜1000の水溶性高分子としては、たとえばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合物、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロポキシメチルセルロースなどを例示することができる。この中で最も好ましいのは、ポリエチレングリコールである。
【0035】
また、ポリエチレングリコールとしては、好ましくは、その分子量が数平均分子量として300〜600の範囲にあるものがあげられる。分子量が300より小さいと孔食防止の効果が小さく、1000より大きいと洗浄液中での溶解安定性が悪いため好ましくない。

【0036】
本発明の有機酸洗浄用の腐食抑制液を構成する腐食抑制成分は、前記洗浄液に、順次または同時に、攪拌下、添加し、混合することによって、有機酸洗浄用の腐食抑制液とすることができる。
【0037】
本発明において、腐食抑制成分の各成分の、有機酸洗浄用の腐食抑制液中におけるより好ましい濃度は、ピリジニウム化合物が0.05〜0.1重量%であり、硫黄化合物が0.1〜0.2重量%であり、水溶性高分子が0.05〜0.15重量%である。
【0038】
本発明の有機酸洗浄用の腐食抑制液は、金属、特には鋼材、さらにはクロム含有鋼材の洗浄に適用される。洗浄方法としては、有機酸洗浄用の腐食抑制液を洗浄すべき鋼材表面に吹付け、またはこの有機酸洗浄用の腐食抑制液に洗浄すべき鋼材を浸漬することによって実施することができ、これによって金属表面が洗浄される。また鋼材が管の場合でスケールが管内面に生じている場合には、この有機酸洗浄用の腐食抑制液を管内に通液するのが好ましい。
【0039】
[実施例]
以下、本発明を実施例により具体的に示すが、本発明は、これらの実施例により制限されるものではない。
【0040】
なお、特に指定しない限り、実施例中の洗浄液の成分についての部は固形分換算での重量部であり、腐食抑制成分についての%は有機酸洗浄用の腐食抑制液中の重量%である。
【0041】
(実施例1および2)
表1および2に示すように、マロン酸、クエン酸のそれぞれ100部とニトリロ三酢酸200部、ヒドラジン100部よりなる洗浄液に、腐食抑制成分として、ウンデシルピリジニウムクロライド0.05%、有機硫黄化合物(3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸とチオシアン酸アンモニウムとの混合物(重量比1:1))0.1%、および数平均分子量300のポリエチレングリコール0.05%となる量を溶解し有機酸洗浄用の腐食抑制液とした。これを用いて後記の脱スケール性、耐腐食性、耐孔食性、腐食抑制成分の安定性、酸洗時の効果の持続性の評価を行った。結果は表3に示すとおりである。
【0042】
(実施例3)
表1および2に示すように、グリコール酸100部とニトリロ三酢酸200部、ヒドラジン100部よりなる洗浄液に、腐食抑制成分として、ウンデシルピリジニウムクロライド0.03%、有機硫黄化合物(3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸とチオシアン酸アンモニウムとの混合物(重量比1:1))0.1%、および数平均分子量300のポリエチレングリコール0.05%となる量を溶解し有機酸洗浄用の腐食抑制液とし、前記と同様に評価した。結果は表3に示すとおりである。
【0043】
(実施例4)
表1および2に示すように、マロン酸100部とエチレンジアミン四酢酸200部、ヒドラジン100部よりなる洗浄液に腐食抑制成分として、ウンデシルピリジニウムクロライド0.05%、有機硫黄化合物(3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸とチオシアン酸アンモニウムとの混合物(重量比1:1))0.1%、および数平均分子量600のポリエチレングリコール0.05%となる量を溶解し有機酸洗浄用の腐食抑制液とし、前記と同様に評価した。結果は表3に示すとおりである。
【0044】
(実施例5)
表1および2に示すように、クエン酸100部とエチレンジアミン四酢酸200部、ヒドラジン100部よりなる洗浄液に腐食抑制成分として、ウンデシルピリジニウムクロライド0.03%、有機硫黄化合物(3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸とチオシアン酸アンモニウムとの混合物(重量比1:1))0.06%、および数平均分子量600のポリエチレングリコール0.05%となる量を溶解し有機酸洗浄用の腐食抑制液とし、前記と同様に評価した。結果は表3に示すとおりである。
【0045】
(実施例6)
表1および2に示すように、グリコール酸100部とエチレンジアミン四酢酸200部、ヒドラジン100部よりなる洗浄液に腐食抑制成分として、ウンデシルピリジニウムクロライド0.05%、有機硫黄化合物(3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸とチオシアン酸アンモニウムとの混合物(重量比1:1))0.1%、および数平均分子量600のポリエチレングリコール0.05%となる量を溶解し有機酸洗浄用の腐食抑制液とし、前記と同様に評価した。結果は表3に示すとおりである。
【0046】
(実施例7)
表1および2に示すように、マロン酸100部とジエチレントリアミン五酢酸200部、ヒドラジン100部よりなる洗浄液に腐食抑制成分として、ウンデシルピリジニウムクロライド0.05%、有機硫黄化合物(3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸とチオシアン酸アンモニウムとの混合物(重量比1:1))0.1%、および数平均分子量1000のポリエチレングリコール0.05%となる量を溶解し有機酸洗浄用の腐食抑制液とし、前記と同様に評価した。結果は表3に示すとおりである。
【0047】
(実施例8)
表1および2に示すように、クエン酸100部とジエチレントリアミン五酢酸200部、ヒドラジン100部よりなる洗浄液に腐食抑制成分として、ウンデシルピリジニウムクロライド0.05%、有機硫黄化合物(3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸とチオシアン酸アンモニウムとの混合物(重量比1:1))0.1%、および数平均分子量1000のポリエチレングリコール0.05%となる量を溶解し有機酸洗浄用の腐食抑制液とし、前記と同様に評価した。結果は表3に示すとおりである。
【0048】
(実施例9)
表1および2に示すように、グリコール酸100部とジエチレントリアミン五酢酸200部、ヒドラジン100部よりなる洗浄液に腐食抑制成分として、ウンデシルピリジニウムクロライド0.03%、有機硫黄化合物(3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸とチオシアン酸アンモニウムとの混合物(重量比1:1))0.06%、および数平均分子量1000のポリエチレングリコール0.05%となる量を溶解し有機酸洗浄用の腐食抑制液とし、前記と同様に評価した。結果は表3に示すとおりである。
【0049】
(実施例10および11)
表1および2に示すように、マロン酸、クエン酸のそれぞれ100部とニトリロ三酢酸200部、エリソルビン酸100部よりなる洗浄液に腐食抑制成分として、ウンデシルピリジニウムクロライド0.05%、有機硫黄化合物(3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸とチオシアン酸アンモニウムとの混合物(重量比1:1))0.1%、および数平均分子量300のポリエチレングリコール0.05%となる量を溶解し有機酸洗浄用の腐食抑制液とし、前記と同様に評価した。結果は表3に示すとおりである。
【0050】
(実施例12)
表1および2に示すように、グリコール酸100部とニトリロ三酢酸200部、エリソルビン酸100部よりなる洗浄液に腐食抑制成分として、ウンデシルピリジニウムクロライド0.03%、有機硫黄化合物(3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸とチオシアン酸アンモニウムとの混合物(重量比1:1))0.1%、および数平均分子量300のポリエチレングリコール0.05%となる量を溶解し有機酸洗浄用の腐食抑制液とし、前記と同様に評価した。結果は表3に示すとおりである。
【0051】
(実施例13)
表1および2に示すように、マロン酸100部とエチレンジアミン四酢酸200部、エリソルビン酸100部よりなる洗浄液に腐食抑制成分として、ウンデシルピリジニウムクロライド0.05%、有機硫黄化合物(3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸とチオシアン酸アンモニウムとの混合物(重量比1:1))0.06%、および数平均分子量600のポリエチレングリコール0.05%となる量を溶解し有機酸洗浄用の腐食抑制液とし、前記と同様に評価した。結果は表3に示すとおりである。
【0052】
(実施例14)
表1および2に示すように、クエン酸100部とエチレンジアミン四酢酸200部、エリソルビン酸100部よりなる洗浄液に腐食抑制成分として、ウンデシルピリジニウムクロライド0.05%、有機硫黄化合物(3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸とチオシアン酸アンモニウムとの混合物(重量比1:1))0.1%、および数平均分子量600のポリエチレングリコール0.05%となる量を溶解し有機酸洗浄用の腐食抑制液とし、前記と同様に評価した。結果は表3に示すとおりである。
【0053】
(実施例15)
表1および2に示すように、グリコール酸100部とエチレンジアミン四酢酸200部、エリソルビン酸100部よりなる洗浄液に腐食抑制成分として、ウンデシルピリジニウムクロライド0.03%、有機硫黄化合物(3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸とチオシアン酸アンモニウムとの混合物(重量比1:1))0.1%、および数平均分子量600のポリエチレングリコール0.05%となる量を溶解し有機酸洗浄用の腐食抑制液とし、前記と同様に評価した。結果は表3に示すとおりである。
【0054】
(実施例16)
表1および2に示すように、マロン酸100部とジエチレントリアミン五酢酸200部、エリソルビン酸100部よりなる洗浄液に腐食抑制成分として、ウンデシルピリジニウムクロライド0.05%、有機硫黄化合物(3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸とチオシアン酸アンモニウムとの混合物(重量比1:1))0.1%、および数平均分子量1000のポリエチレングリコール0.05%となる量を溶解し有機酸洗浄用の腐食抑制液物とし、前記と同様に評価した。結果は表3に示すとおりである。
【0055】
(実施例17)
表1および2に示すように、クエン酸100部とジエチレントリアミン五酢酸200部、エリソルビン酸100部よりなる洗浄液に腐食抑制成分として、ウンデシルピリジニウムクロライド0.05%、有機硫黄化合物(3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸とチオシアン酸アンモニウムとの混合物(重量比1:1))0.06%、および数平均分子量1000のポリエチレングリコール0.05%となる量を溶解し有機酸洗浄用の腐食抑制液とし、前記と同様に評価した。結果は表3に示すとおりである。
【0056】
(実施例18)
表1および2に示すように、グリコール酸100部とジエチレントリアミン五酢酸200部、エリソルビン酸100部よりなる洗浄液に腐食抑制成分として、ウンデシルピリジニウムクロライド0.03%、有機硫黄化合物(3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸とチオシアン酸アンモニウムとの混合物(重量比1:1))0.1%、および数平均分子量1000のポリエチレングリコール0.05%となる量を溶解し有機酸洗浄用の腐食抑制液とし、前記と同様に評価した。結果は表3に示すとおりである。
【0057】
(実施例19)
表1および2に示すように、ニトリロ三酢酸200部、ヒドラジン100部よりなる洗浄液に腐食抑制成分として、ウンデシルピリジニウムクロライド0.05%、有機硫黄化合物(3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸とチオシアン酸アンモニウムとの混合物(重量比1:1))0.1%、および数平均分子量600のポリエチレングリコール0.05%となる量を溶解し有機酸洗浄用の腐食抑制液とし、前記と同様に評価した。結果は表3に示すとおりである。
【0058】
(実施例20)
表1および2に示すように、エチレンジアミン四酢酸200部、ヒドラジン100部よりなる洗浄液に腐食抑制成分として、ウンデシルピリジニウムクロライド0.05%、有機硫黄化合物(3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸とチオシアン酸アンモニウムとの混合物(重量比1:1))0.1%、および数平均分子量600のポリエチレングリコール0.05%となる量を溶解し有機酸洗浄用の腐食抑制液とし、前記と同様に評価した。結果は表3に示すとおりである。
【0059】
(実施例21)
表1および2に示すように、ジエチレントリアミン五酢酸200部、ヒドラジン100部よりなる洗浄液に腐食抑制成分として、ウンデシルピリジニウムクロライド0.05%、有機硫黄化合物(3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸とチオシアン酸アンモニウムとの混合物(重量比1:1))0.1%、および数平均分子量600のポリエチレングリコール0.05%となる量を溶解し有機酸洗浄用の腐食抑制液とし、前記と同様に評価した。結果は表3に示すとおりである。
【0060】
(比較例1)
表1および2に示すように、マロン酸100部、ニトリロ三酢酸200部、ヒドラジン100部よりなるpH9の洗浄液に腐食抑制成分として、ウンデシルピリジニウムクロライド0.05%、有機硫黄化合物(3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸とチオシアン酸アンモニウムとの混合物(重量比1:1))0.1%、および数平均分子量600のポリエチレングリコール0.05%となる量を溶解し洗浄剤組成物とし、前記と同様に評価した。結果は表3に示すとおりである。
【0061】
(比較例2)
表1および2に示すように、マロン酸100部、ニトリロ三酢酸200部、ヒドラジン100部よりなるpH5の洗浄液に腐食抑制成分として、ウンデシルピリジニウムクロライド0.05%、有機硫黄化合物(3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸とチオシアン酸アンモニウムとの混合物(重量比1:1))0.1%、および数平均分子量600のポリエチレングリコール0.05%となる量を溶解し洗浄剤組成物とし、前記と同様に評価した。結果は表3に示すとおりである。
【0062】
(比較例3)
表1および2に示すように、マロン酸100部、エチレンジアミン四酢酸50部、ヒドラジン100部よりなる洗浄液に腐食抑制成分として、ウンデシルピリジニウムクロライド0.05%、有有機硫黄化合物(3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸とチオシアン酸アンモニウムとの混合物(重量比1:1))0.1%、および数平均分子量600のポリエチレングリコール0.05%となる量を溶解し洗浄剤組成物とし、前記と同様に評価した。結果は表3に示すとおりである。
【0063】
(比較例4)
表1および2に示すように、マロン酸100部、エチレンジアミン四酢酸300部、ヒドラジン100部よりなる洗浄液に腐食抑制成分として、ウンデシルピリジニウムクロライド0.05%、有機硫黄化合物(3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸とチオシアン酸アンモニウムとの混合物(重量比1:1))0.1%、および数平均分子量600のポリエチレングリコール0.05%となる量を溶解し洗浄剤組成物とし、前記と同様に評価した。結果は表3に示すとおりである。
【0064】
(比較例5)
表1および2に示すように、マロン酸100部、エチレンジアミン四酢酸200部、ヒドラジン100部よりなる洗浄液に腐食抑制成分として、ウンデシルピリジニウムクロライド0.05%、有機硫黄化合物(3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸とチオシアン酸アンモニウムとの混合物(重量比1:1))0.1%、および数平均分子量200のポリエチレングリコール0.05%となる量を溶解し洗浄剤組成物とし、前記と同様に評価した。結果は表3に示すとおりである。
【0065】
(比較例6)
表1および2に示すように、マロン酸100部、エチレンジアミン四酢酸200部、ヒドラジン100部よりなる洗浄液に腐食抑制成分として、ウンデシルピリジニウムクロライド0.05%、有機硫黄化合物(3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸とチオシアン酸アンモニウムとの混合物(重量比1:1))0.1%、および数平均分子量2000のポリエチレングリコール0.05%となる量を溶解し洗浄剤組成物とし、前記と同様に評価した。結果は表3に示すとおりである。
【0066】
(比較例7)
表1および2に示すように、マロン酸100部、エチレンジアミン四酢酸200部、ヒドラジン200部よりなる洗浄液に腐食抑制成分として、ウンデシルピリジニウムクロライド0.05%、有機硫黄化合物(3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸とチオシアン酸アンモニウムとの混合物(重量比1:1))0.1%、および数平均分子量600のポリエチレングリコール0.05%となる量を溶解し洗浄剤組成物とし、前記と同様に評価した。結果は表3に示すとおりである。
【0067】
(比較例8)
表1および2に示すように、マロン酸100部、エチレンジアミン四酢酸200部、ヒドラジン30部よりなる洗浄液に腐食抑制成分として、ウンデシルピリジニウムクロライド0.05%、有機硫黄化合物(3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸とチオシアン酸アンモニウムとの混合物(重量比1:1))0.1%、および数平均分子量600のポリエチレングリコール0.05%となる量を溶解し洗浄剤組成物とし、前記と同様に評価した。結果は表3に示すとおりである。
【0068】
(比較例9)
表1および2に示すように、マロン酸100部、エチレンジアミン四酢酸200部、ヒドラジン100部よりなる洗浄液に腐食抑制成分として、ウンデシルピリジニウムクロライド0.02%、有機硫黄化合物(3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸とチオシアン酸アンモニウムとの混合物(重量比1:1))0.1%、および数平均分子量600のポリエチレングリコール0.05%となる量を溶解し洗浄剤組成物とし、前記と同様に評価した。結果は表3に示すとおりである。
【0069】
(比較例10)
表1および2に示すように、マロン酸100部、エチレンジアミン四酢酸200部、ヒドラジン100部よりなる洗浄液に腐食抑制成分として、ウンデシルピリジニウムクロライド0.05%、有機硫黄化合物(3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸とチオシアン酸アンモニウムとの混合物(重量比1:1))0.04%、および数平均分子量600のポリエチレングリコール0.05%となる量を溶解し洗浄剤組成物とし、前記と同様に評価した。結果は表3に示すとおりである。
【0070】
(比較例11)
表1および2に示すように、マロン酸100部、エチレンジアミン四酢酸200部、ヒドラジン100部よりなる洗浄液に腐食抑制成分として、ウンデシルピリジニウムクロライド0.05%、有機硫黄化合物(3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸とチオシアン酸アンモニウムとの混合物(重量比1:1))0.1%、および数平均分子量600のポリエチレングリコール0.02%となる量を溶解し洗浄剤組成物とし、前記と同様に評価した。結果は表3に示すとおりである。
【0071】
<評価方法>
(1)耐腐食性
サイズを4cm長さ×2cm幅×3mm厚に切り出したクロム含有鋼材を試験片とし、400番の研磨紙で研磨したものを、温度95℃に保持した有機酸洗浄用の腐食抑制液または洗浄剤組成物に200時間、浸漬した。腐食量は下記の式により計算した。これに基づき、以下の基準で評価した。
腐食量(mg/cm)=
(浸漬前試験片重量(mg)−浸漬後試験片重量(mg))/試験片表面積(cm
◎ 0.03(mg/cm)以下
○ 0.03〜0.05(mg/cm
△ 0.05〜0.10(mg/cm
× 0.10(mg/cm)以上
【0072】
(2)耐孔食性
サイズを4cm長さ×2cm幅×3mm厚に切り出したクロム含有鋼材を試験片とし、400番の研磨紙で研磨したものを、温度95℃に保持した有機酸洗浄用の腐食抑制液または洗浄剤組成物に200時間、浸漬し、浸漬後の試験片の表面積1cm2 の鉄鋼表面に発生した直径30μm以上の真円状の孔食の数を、光学顕微鏡を使用して100倍に拡大し、目視によってその数を計測した。これに基づき以下の基準で耐孔食性の評価を行った。
◎ なし
○ 1〜2個
△ 3または4個
× 5個以上
【0073】
(3)腐食抑制成分の安定性
温度95℃で200時間保持した有機酸洗浄用の腐食抑制液または洗浄剤組成物について、沈殿物や浮遊物の有無、試験ビン壁面への付着物の有無を確認し、安定性の評価を行った。
◎ なし
○ 僅かに液面に油膜状となり浮遊、試験ビン壁面には付着なし。
△ 僅かに試験ビン壁面に付着。
× 多量の腐食抑制成分が析出。
【0074】
【表1】
【0075】
表1中、NTAはニトリロ三酢酸、EDTAはエチレンジアミン四酢酸、DTPAはジエチレントリアミン五酢酸であることを表す。
【0076】
【表2】
【0077】
表2中、Aは、ウンデシルピリジニウムクロライド、Bは、3‐(2‐ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸とチオシアン酸アンモニウムとの混合物(重量比1:1)であることを表す。
【0078】
【表3】