(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013145
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】アンケート装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20120101AFI20161011BHJP
【FI】
G06Q30/02 312
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-250216(P2012-250216)
(22)【出願日】2012年11月14日
(65)【公開番号】特開2014-99033(P2014-99033A)
(43)【公開日】2014年5月29日
【審査請求日】2015年11月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100092679
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 盛之助
(72)【発明者】
【氏名】冨本 浩一郎
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 毅
(72)【発明者】
【氏名】番匠 康之
(72)【発明者】
【氏名】筧 康明
(72)【発明者】
【氏名】赤塚 大典
【審査官】
青柳 光代
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−011910(JP,A)
【文献】
特開2004−102480(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0288276(US,A1)
【文献】
特開2010−055283(JP,A)
【文献】
特開2008−052616(JP,A)
【文献】
特開2009−288955(JP,A)
【文献】
特開2007−334740(JP,A)
【文献】
特開平04−255398(JP,A)
【文献】
特開平07−4650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者がアンケートに対する回答を記入するための記入部と、前記記入された回答を電子情報として記録するための記録部と、前記保存された回答を表示するための表示部と、からなるアンケート装置であって、
前記記入部は、
前記利用者が前記回答を手書きによって記入するための記入台を備え、
前記記録部は、
前記記入された回答を解析し、回答内容を文字として抽出した文字情報を含む回答情報を生成する生成部と、
を備え、
前記表示部は、
前記記録部に前記回答情報が記録されるごとに、該記録された回答情報を表示する第一の表示装置と、
前記記録部に記録された回答情報を一覧表示する、タッチパネルによる操作が可能な第二の表示装置と、
を備え、
前記第二の表示装置は、該装置に表示された回答情報の一覧から利用者が任意の回答情報をタッチパネルを用いて選択することにより、該選択された回答情報の詳細を表示する
ことを特徴とする、アンケート装置。
【請求項2】
前記記入台は、利用者がアンケートを記入するためのアンケート用紙を備え、
前記記録部は、更に、前記アンケート用紙を撮影する撮影装置を備え
たことを特徴とする、請求項1記載のアンケート装置。
【請求項3】
前記記入台は、タッチパネルによる操作が可能な第三の表示装置を備え、該第三の表示装置にアンケート文及び回答記入用の領域を表示させるとともに、利用者がタッチパネルにより前記回答記入用の領域に回答を手書きによって記入する
ことを特徴とする、請求項1記載のアンケート装置。
【請求項4】
前記アンケートは、所定の設問に対し該当する回答を選択する択一式の設問と、文章による任意の回答を求める設問を組み合わせたアンケートである
ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のアンケート装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアンケート装置に関し、具体的には、手書き入力されたアンケート回答を電子情報として保存するアンケート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、アンケートを行うためのシステムとして、たとえば特許文献1や特許文献2のシステムが知られている。
【0003】
これらの従来のアンケートシステムは、コンピュータを用いて質問に回答するものであり、コンピュータが備える一般的な入力装置、すなわち、キーボードやマウスを使用して回答するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−94463号公報
【特許文献2】特開2012−203486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のアンケートシステムは、一般的なコンピュータの入力装置を用いて回答を行うものであり、多くは、所定のフォームに対して回答を文字列として入力させるか、又は、複数の回答候補の中から望ましい回答を選択させるものであった。
【0006】
しかし、前述のような従来の回答方法によって得られたアンケートでは、回答者の心情等の情報を得ることは難しく、機械的で画一的な回答しか得られないという問題があった。
【0007】
一方で、紙媒体のアンケート用紙に任意の回答を手書きにより記載してもらう方式は、回答者の心情等も含めて十分に得ることができるものの、集計が困難でありアンケート結果を活用することが難しいという問題があった。
【0008】
本発明は上記の状況に着目し、集計容易な手書きによるアンケートを実施できる装置を
提供する事を、その目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決することを目的としてなされた本発明は、利用者がアンケートに対する回答を記入するための記入部と、前記記入された回答を電子情報として記録するための記録部と、前記保存された回答を表示するための表示部と、からなるアンケート装置であって、前記記入部は、前記利用者が前記回答を手書きによって記入するための記入台を備え、前記記録部は、前記記入された回答を解析し、回答内容を文字として抽出した文字情報を含む回答情報を生成する生成部と、を備え、前記表示部は、前記記録部に前記回答情報が記録されるごとに、該記録された回答情報を表示する第一の表示装置と、前記記録部に記録された回答情報を一覧表示する、タッチパネルによる操作が可能な第二の表示装置と、を備え、前記第二の表示装置は、該装置に表示された回答情報の一覧から利用者が任意の回答情報をタッチパネルを用いて選択することにより、該選択された回答情報の詳細を表示することを特徴としている。
【0010】
本発明のアンケート装置は、前記記入台が、利用者がアンケートを記入するためのアンケート用紙を備え、前記記録部は、更に、前記アンケート用紙を撮影する撮影装置を備えていることが望ましい。また、前記記入台は、タッチパネルによる操作が可能な第三の表示装置を備え、該第三の表示装置にアンケート文及び回答記入用の領域を表示させるとともに、利用者がタッチパネルにより前記回答記入用の領域に回答を手書きによって記入するようにしてもよく、前記アンケートは、所定の設問に対し該当する回答を選択する択一式の設問と、文章による任意の回答を求める設問を組み合わせたアンケートとしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、手書きによって記入された回答から回答内容を文字として抽出した文字情報を含む回答情報を生成することにより、手書きによるアンケートを容易に集計することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態の一例を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【
図2】同実施例におけるアンケート用紙を記入台に設置した状態を示す平面図である。
【
図3】同実施例におけるフレームを示す図であり、(a)は正面図、(b)は断面拡大図である。
【
図4】同実施例におけるアンケート装置の構成を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態の一例を図面を参照して説明する。
図1(a)(b)で示すように、本実施例のアンケート装置1は、回答者がアンケートの回答を記入するための記入部2と、記入部2によって記入された回答を電子化して表示するための表示部3と、記入部2及び表示部3の各種装置を制御すると共に、電子化した回答を保存するためのコンピュータ4と、記入部2と、表示部3と、コンピュータ4を設置するためのフレーム5と、から構成されている。
【0014】
記入部2は、回答者が本実施例のアンケート装置1によりアンケートへの回答を記入するための装置であり、具体的には、アンケート用紙21と、記入台22と、撮影装置23と、撮影ボタン24と、から構成されている。
【0015】
アンケート用紙21は、回答者がアンケートへの回答を記入するための紙である。
図2で示すように、本実施例におけるアンケート用紙21は、回答者が自由にコメントを記載するためのコメント記載欄211を備えている。
【0016】
また、アンケート用紙21が載置される後述の記入台22の上面には、前述のアンケート用紙21の側面側に、複数の回答候補から任意の回答を選択させるための設問と、当該設問に対する回答の選択肢と、当該選択肢に対応する選択式回答欄が記載された設問シート221が配されている。
【0017】
記入台22は、前述のアンケート用紙21を載置し、回答者がアンケート用紙21に回答を記入するための机である。本実施例では、後述のフレーム5に設けられた木製の平板状部材である。
【0018】
前述のとおり、記入台22の上面には、アンケート用紙21の側面側に、選択式の回答を記入させるための設問シート221が設けられている。
【0019】
撮影装置23は、アンケート用紙21に記載されたアンケート回答を撮影し、後述のコンピュータ4によって電子化するための装置である。回答者がアンケート用紙21に回答を記載した後に撮影ボタン24を押すと、撮影装置23によってアンケート用紙21を撮影し、当該撮影した画像をコンピュータ4に送信する。
【0020】
表示部3は、後述のコンピュータ4によって電子化されたアンケートへの回答を表示するための装置であり、本実施例では第一の表示装置31と、第二の表示装置32を主たる構成としている。
【0021】
第一および第二の表示装置31、32は、共にディスプレイ装置であり、3台のディスプレイ装置33a〜33cを上下方向に並べ、当該ディスプレイ装置33a〜33cの前面にタッチパネル34を設けた構成となっている。3台のディスプレイ装置33a〜33cの内、もっとも上側にあるディスプレイ装置33aが第一の表示装置31を構成し、下側2台のディスプレイ装置33b、33cが第二の表示装置32を構成している。
【0022】
コンピュータ4は、記入部2及び表示部3を制御すると共に、電子化された回答を記録するための装置である。コンピュータ4を構成する装置としては、一般的なハードウェア構成、すなわち、CPU、メモリ、記録装置、入出力装置等がバスによって接続されたコンピュータであれば良いが、前述の撮影装置23、撮影ボタン24、ディスプレイ装置33a〜33c、及びタッチパネル34が接続可能である必要がある。また、本実施例におけるコンピュータ4は、回答内容を解析して文字情報を抽出し、回答情報を生成する生成手段と、該生成手段によって生成した回答情報を記録する記録部を備えている。記録部は、一般的なハードディスク等の記録装置を用いることができる。
【0023】
フレーム5は、前述の記入部2と、表示部3と、コンピュータ4を設置するための台である。
図3(a)で示すように、フレーム5は、フレーム中央部51と、フレーム中央部51両側面のフレーム側面部52と、フレーム中央部51の下方を覆うカバー53と、フレーム5を設置する際に床面等と当接し、かつ、フレーム5の上下方向高さを調節するためのアジャスター54と、表示部3を設置するためのブラケット55から構成されている。
【0024】
フレーム中央部41及びフレーム側面部52は、共に木製の平板状部材であり、
図3(b)で示すように、断面略H字状になるように接続されている。また、フレーム中央部51には、表示部3を構成するディスプレイ装置33a〜33cを設置する箇所に金属製のブラケット55が取り付けられている。
【0025】
カバー53は、フレーム4の下部を覆うための化粧板である。本実施例では、フレーム中央部51に表示部3とコンピュータ5が設置されるが、カバー53はコンピュータ5を覆うための部材である。
【0026】
図4は、本実施例のアンケート装置の各部材同士の接続状態を示す図である。本実施例では、記入部2の撮影装置23及び撮影ボタン24と、表示部3のタッチパネル34がコンピュータ4とユニバーサル・シリアル・バス(USB)によって接続され、表示部3のディスプレイ装置33a〜33cはディスプレイ制御装置35を介してコンピュータ4と接続されている。
【0027】
本実施例において、回答者が記入台22上のアンケート用紙21に回答を記載し、撮影ボタン24を押すと、コンピュータ4が撮影装置23を操作して、アンケート用紙21を撮影する。撮影された画像は撮影装置23からコンピュータ4へと送信される。コンピュータ4は、当該画像を受信すると前述の生成手段を実行し、アンケート用紙21の内容を解析する。
【0028】
本実施例におけるアンケートは、アンケート用紙21のコメント記載欄211に記載するコメント形式の回答と、設問シート221に記載する選択式の回答から構成されており、前述の生成手段は、当該選択式回答のどの選択肢を回答者が選択したかを識別すると共に、コメント記載欄211の記載内容を画像及び文字情報として抽出する。識別された選択肢の回答と、抽出された画像及び文字情報は、回答情報としてコンピュータ4が備える記録部に記録される。
【0029】
コンピュータ4の記録部に回答情報が記録された際には、コンピュータ4は当該記録された画像を前述の第一の表示装置31に所定の時間において拡大表示する。拡大表示が終了すると、コンピュータ4は当該画像を表示装置31から表示装置32に向かって下降するように移動させながら表示する。表示装置32には、下端側から過去に撮影された回答の画像がスタック状に積み上げられるように一覧表示されており、新たに撮影された画像は当該一覧表示の上方に配置される。
【0030】
表示装置32に一覧表示された回答は、表示装置32が備えるタッチパネル34に利用者が触れることにより、選択することができる。選択された回答は、表示装置32のディスプレイ装置33b上に拡大表示され、利用者自身、又は他者が記載した回答を閲覧することができる。
【0031】
本実施例では、上下方向に3台のディスプレイ装置33a〜33cを設け、そのもっとも上方にあるディスプレイ装置33aを第一の表示装置31とし、下方のディスプレイ装置33b、33cを第二の表示装置32としている。撮影されたアンケート回答は、もっとも上方に位置する第一の表示装置31に拡大表示された後、第二の表示装置32に下降してスタック状に一覧表示される。本実施例ではアンケートに回答するごとに上記表示による演出を行うことができ、アンケート装置から離れた場所に居る人物に対して、当該装置によるアンケートが行われていることを知らせることができる。また、上記演出によりアンケートへの回答を誘導することができるので、より多くの回答を得ることができる。
【0032】
なお、本発明の構成は上記実施例に限られるものではない。
たとえば、本実施例では記入部2の構成として紙媒体のアンケート用紙21と撮影装置23を用いているが、アンケート用紙21と撮影装置23に代えて、タッチパネルによる操作が可能な第三の表示装置を用いて、当該第三の表示装置上にアンケート用紙21及び設問シート221を画像として表示してもよい。この場合は、第三の表示装置上で利用者がスタイラス等により直接電子化された回答を行うことができる。
また、コンピュータ4は、一のアンケート装置1ごとに必ず単体の装置として備えている必要はなく、複数のアンケート装置に対して一のコンピュータ4を用いてもよい。また、コンピュータ4が備える記録部のみを複数のアンケート装置1で共有するように構成してもよい。
その他の具体的構成についても上記の実施例に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲でさまざまな変更が可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 アンケート装置
2 記入部
21 アンケート用紙
22 記入台
23 撮影装置
24 撮影ボタン
3 表示部
31 第一の表示装置
32 第二の表示装置
33a〜33c ディスプレイ装置
34 タッチパネル
35 ディスプレイ制御装置
4 コンピュータ
5 フレーム