特許第6013151号(P6013151)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6013151-補助ミラー付きドアミラー 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013151
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】補助ミラー付きドアミラー
(51)【国際特許分類】
   B60R 1/06 20060101AFI20161011BHJP
   B60R 1/08 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   B60R1/06 G
   B60R1/08 Z
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-257648(P2012-257648)
(22)【出願日】2012年11月26日
(65)【公開番号】特開2014-104807(P2014-104807A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年6月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000148689
【氏名又は名称】株式会社村上開明堂
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(72)【発明者】
【氏名】薮崎 勝快
(72)【発明者】
【氏名】塚本 永尊
【審査官】 菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−206567(JP,A)
【文献】 実開平07−022849(JP,U)
【文献】 特開2001−233131(JP,A)
【文献】 特開2009−248693(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0132944(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/06
B60R 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアミラー本体に補助ミラーが設けられた補助ミラー付きドアミラーにおいて、
前記補助ミラーが取付けられると共に、前記ドアミラー本体から突出して前記ドアミラー本体に一体に形成される補助ミラー支持部と、
前記補助ミラーを露出させる窓部前記補助ミラー支持部を挿入させる開口部を有すると共に前記ドアミラー本体とは別体として形成され、前記補助ミラー支持部を覆って前記ドアミラー本体に前記開口部の周縁が当接させられる補助ミラーハウジングと、を備えたことを特徴とする補助ミラー付きドアミラー。
【請求項2】
前記ドアミラー本体には、前記補助ミラーハウジングの開口部近傍であって前記補助ミラーハウジングの前側の壁部の裏面に近接又は当接して配置されて、前記壁部の前記裏面に沿った形状を有する壁面が設けられていることを特徴とする請求項1記載の補助ミラー付ドアミラー。
【請求項3】
前記補助ミラーハウジングを前記ドアミラー本体に固定するための固定手段は、
前記補助ミラー支持部に形成された係止片と、
前記補助ミラーハウジングの裏面から突出すると共に、先端が前記係止片に係合する引掛け片と、を有することを特徴とする請求項1又は2記載の補助ミラー付きドアミラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補助ミラーの一例である直前直左ミラーが設けられたドアミラーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、特開2012−106528号公報がある。この公報に記載された補助ミラー付きドアミラーにおいて、ハウジングボディに着脱可能に取り付けられされるロワカバーには、補助ミラーユニットが設けられている。この補助ミラーユニットは、第1ミラー部および第2ミラー部と、第1ミラー部および第2ミラー部を支持する補助ミラーブラケットと、補助ミラーブラケットを覆ってロワカバーに固定される補助ミラーハウジングと、により構成されている。補助ミラーブラケットは、樹脂からなる部材であり、インジェクション成型により形成されている。補助ミラーブラケットには、第1ミラー部および第2ミラー部が両面テープにより貼付されている。補助ミラーブラケットに固定された第1ミラー部によって、運転席から見て死角となる左前タイヤ近辺の視認を可能にし、第2のミラー部によって、運転席から見て死角となる助手席ドア付近の視認を可能にしている。補助ミラーブラケットは、第1ミラー部および第2ミラー部が取り付けられた状態で、タッピングビスにより補助ミラーハウジングのボスに固定される。補助ミラーハウジングには、ロワカバーおよびスカルキャップ(アッパカバー)と係合可能な係合爪が一体成形されている。そして、補助ミラーハウジングは、ロアカバーの下部およびスカルキャップに対してスナップフィット等により取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−106528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
第1及び第2ミラー部を取り付けるための補助ミラーブラケットは、ビス止めされるので、一般的には、強度・剛性・耐衝撃性の高いガラス繊維強化プラスチックが利用され、このプラスチックは、比重が大きく比較的重い部品である。このような部品を利用すると、ドアミラーの軽量化が困難であり、しかも、補助ミラーブラケットを固定するためのビスを必要とし、これによって、ドアミラーの組立て作業性を煩雑にし、しかも、補助ミラーブラケットをビス止めするための位置決め構造を必要とし、これにより、ドアミラーの構造が複雑化する。
【0005】
本発明は、軽量化、構造の簡素化、組立て作業性の向上を図るようにした補助ミラー付きドアミラーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ドアミラー本体に補助ミラーが設けられた補助ミラー付きドアミラーにおいて、補助ミラーが取付けられると共に、ドアミラー本体から突出してドアミラー本体に一体に形成される補助ミラー支持部と、補助ミラーを露出させる窓部補助ミラー支持部を挿入させる開口部を有すると共にドアミラー本体とは別体として形成され、補助ミラー支持部を覆ってドアミラー本体に開口部の周縁が当接させられる補助ミラーハウジングと、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この補助ミラー付きドアミラーにおいては、補助ミラーが取付けられる補助ミラー支持部を、ドアミラー本体から突出してドアミラー本体に一体に形成させることで、従来のような別部品として準備しなければならない補助ミラーブラケットを不要とし、これによって、従来のように、重量のある補助ミラーブラケットやビスを必要としないので、軽量化、構造の簡素化、組立て作業性の向上を図ることができる。
【0008】
また、ドアミラー本体には、補助ミラーハウジングの開口部近傍であって補助ミラーハウジングの前側の壁部の裏面に近接又は当接して配置されて、壁部の裏面に沿った形状を有する壁面が設けられている。
このように、対面するドアミラー本体の壁面と補助ミラーハウジングの前側の壁部の裏面とが近接又は当接するので、補助ミラーハウジングとドアミラー本体との繋ぎ目による風切り音の発生を抑制し、しかも、補助ミラーハウジング内への雨や風の進入する低減させることができる。また、当接にあっては、補助ミラーハウジングをドアミラー本体に組み付ける際の位置決めとして機能させることができる。
【0009】
また、補助ミラーハウジングをドアミラー本体に固定するための固定手段は、補助ミラー支持部に形成された係止片と、記補助ミラーハウジングの裏面から突出すると共に、先端が係止片に係合する引掛け片と、を有する。
このような構成を採用すると、補助ミラーハウジングを確実にワンタッチで固定させることができ、ドアミラーの組立てに利用されるビス類の低減を可能にする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、軽量化、構造の簡素化、組立て作業性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る補助ミラー付きドアミラーの一実施形態を示す外観斜視図である。
図2図1に示されたドアミラーの分解斜視図である。
図3図1のドアミラーの要部が拡大して示された分解斜視図である。
図4図1のドアミラーの要部が拡大して示された分解斜視図である。
図5】補助ミラーハウジングの内部構造を示す斜視図である。
図6図1のVI−VI線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る補助ミラー付きドアミラーの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、後述の「前後左右」は、ドアミラーを車体に取り付けた場合の前後左右をいう。
【0013】
図1及び図2に示されるように、補助ミラー付きドアミラー1は、アーム部(不図示)を介して前側のドアパネル(不図示)に固定されるドアミラー本体Aと、補助ミラーBの一例をなす直前直左ミラーと、を備えている。ドアミラー本体Aは、樹脂製のドアミラーハウジング2と、ドアミラーハウジング2の後側開口を塞ぐように配置された反射ミラー3と、反射ミラー3の裏面に着脱自在に装着されたピボットプレート(不図示)の傾動を可能にするミラー調整機構(図示せず)と、で主として構成されている。
【0014】
ドアミラーハウジング2は、ミラー調整機構が取り付けられるベース部4と、ベース部4の前側開口4aを塞ぐと共に、装飾として利用されるアッパーカバー6及びロアカバー7とで構成されている。ロアカバー7は、ビスによってベース部4に固定され、アッパーカバー6は、ベース部4の枠とロアカバー7の上縁に引っ掛けられるようにして固定されている。
【0015】
図2図4に示されるように、ロアカバー7の底部7aには、リブ構造からなる補助ミラー支持部10が一体成形されている。この補助ミラー支持部10は、ロアカバー7の底部7aから下方に向けて突出し、補助ミラー支持部10をリブ構造にすることで軽量化且つ強度アップを可能にしている。この補助ミラー支持部10のリブ部10aの遊端には、補助ミラーBをなす第1のミラー部11および第2のミラー部12が両面テープ11a,12aにより貼付されている。そして、補助ミラー支持部10に対し第1のミラー部11は、運転席から見て死角となる左前タイヤ近辺の視認を可能にし、第2のミラー部12によって、運転席から見て死角となる助手席ドア付近の視認を可能にしている。
【0016】
また、この補助ミラー支持部10は、ロアカバー7と同色のカップ状の補助ミラーハウジング13で覆われ、この補助ミラーハウジング13内に補助ミラー支持部10が収容されている。補助ミラーハウジング13には、第1のミラー部11を覗かせるための第1の窓部13aと、第2のミラー部12を覗かせるための第2の窓部13bと、が形成されている。そして、補助ミラーハウジング13の底部には、水抜き穴14が形成されている。
【0017】
図3図6に示されるように、補助ミラーハウジング13をドアミラー本体Aのロアカバー7に固定するための固定手段Cは、補助ミラー支持部10と補助ミラーハウジング13との係合により構成されている。この固定手段Cは、補助ミラーハウジング13に形成された引掛け片15と、補助ミラー支持部10に形成された係止片17と、からなる。
【0018】
補助ミラーハウジング13の裏面には、斜め上方に向かって起立するように突出する引掛け片15が形成されている。この引掛け片15は、基端が補助ミラーハウジング13の裏面に固着されて、斜め上方に向かって起立する本体部15aと、先端に設けられて、補助ミラー支持部10から水平方向に突出する板状の係止片17の遊端に引っ掛かる爪部15bと、からなる。
【0019】
左右一対の引掛け片15の各爪部15bの高さは左右で異ならせている。これによって、左右の引掛け片15でしっかりと補助ミラーハウジング13を固定させることができる。また、各係止片17には、上下方向に延在するリブ17aが接合され、これによって各係止片17が変形し難くなっている。同様に、引掛け片15の本体部15aの背面側には、断面三角形状のリブ15cが設けられ、このリブ15cによって本体部15aを弾性変形させ難くしている。従って、このリブ15cにより爪部15bが係止片17から外れ難くなり、補助ミラーハウジング13を確実にワンタッチで固定させることができ、ドアミラー1の組立てに利用されるビス類の低減を可能にする。
【0020】
補助ミラーハウジング13には、補助ミラー支持部10を挿入するための開口部Sが設けられ、この開口部Sの近傍に位置する前側の壁部13dの裏面は、ドアミラー本体Aの一部をなすロアカバー7の表面に当接される。ロアカバー7には、補助ミラーハウジング13の前側の壁部13dを支持するハウジング支持部16(図2参照)が設けられている。このハウジング支持部16は、補助ミラー支持部10の基端側で水平方向に延在すると共に、補助ミラーハウジング13の前側の壁部13dの形状に合致した曲面をなす壁面16cと、この壁面16cに形成されると共に、上下方向に延在して補助ミラーハウジング13の壁部13dの裏面に当接する線状の突起部16bと、からなる。
【0021】
そして、ドアミラー本体Aの表面の一部をなして等間隔に配置された各突起部16bによって、壁部13dの裏面はハウジング支持部16に対して線接触を可能にし、これによって、下から補助ミラーハウジング13を嵌め易くすることができる。また、ハウジング支持部16は、補助ミラーハウジング13をロアカバー7に組み付けるときの位置決めやガイドとして機能し、爪部15bを係止片17に確実に引っ掛けることができ、補助ミラーハウジング13のワンタッチ固定を容易にしている。なお、ハウジング支持部16に関して、突起部16bを採用しない場合には、ドアミラー本体Aの表面の一部をなして補助ミラーハウジング13の壁部13dの裏面と当接するのは、壁面16cである。
【0022】
そして、ハウジング支持部16の壁面16cと、開口部Sの近傍に位置する前側の壁部13dの裏面と、が面状の継ぎ目として構成されているので、補助ミラーハウジング13とドアミラー本体Aのロアカバー7との繋ぎ目による風切り音の発生を抑制し、しかも、補助ミラーハウジング13内への雨や風の進入する低減させることができる。なお、図6に示されるように、開口部Sの近傍に位置する後側の壁部13e及び側壁13f(図5参照)の上端は、ロアカバー7の底部7aに突き当てられている。
【0023】
前述した補助ミラー付きドアミラー1においては、補助ミラーをなす第1のミラー部11および第2のミラー部12が取付けられる補助ミラー支持部10を、ドアミラー本体Aから突出してドアミラー本体Aに一体に形成させることで、従来のような別部品として準備しなければならない補助ミラーブラケットを不要とし、これによって、従来のように、重量のある補助ミラーブラケットやビスを必要としないので、軽量化、構造の簡素化、組立て作業性の向上を図ることができる。
【0024】
本発明は、前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0025】
例えば、固定手段Cは、補助ミラーハウジング13の裏面から突出する係止片(不図示)と、補助ミラー支持部10に形成されると共に、先端が係止片に係合する引掛け片(不図示)と、で構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0026】
1…補助ミラー付きドアミラー、10…補助ミラー支持部、13…補助ミラーハウジング、13a,13b…窓部、13d…前側の壁部、16…ハウジング支持部、17…係止片、A…ドアミラー本体、B…補助ミラー、C…固定手段。
図1
図2
図3
図4
図5
図6