(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記反転昇降機構は、上記シュートと一体に上記収容容器を保持する保持部を備え、この保持部が昇降しつつ、上記下降位置において上記フレキシブルホースが描く上記円弧の中心線に平行に該保持部とともに昇降する回転軸線回りに回転させられることにより、上記収容容器を反転させることを特徴とする請求項1に記載の粉体の投入装置。
上記下降位置において粉体投入後の上記収容容器の開口部と上記シュートとの間を密閉するように介装され、上記収容容器内と上記シュート内を吸引して集塵する集塵機構を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の粉体の投入装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に記載された反転投入式のものでは、蓋が除去されたドラム缶を上下反転させて傾ける際に、ドラム缶の傾きが粉体の安息角に達した時点で粉体が一気に流動してホッパーの開口に流れ込むことになり、多量の粉塵が舞い上がる。このため、特許文献1に記載されているように、投入装置やホッパーの開口を壁や隔壁で覆っても周囲の環境が汚染されることは避けられない。また、集塵装置を設けても多量の粉塵を集塵しきれない場合が多く、さらに徒に集塵風量を上げることはホッパーへの粉体投入量の減少を招く結果となる。
【0005】
一方、特許文献2に記載された吸引投入式のものでは、発塵は抑えることができるが、空気輸送時の配管の摩耗やバグフィルターと粉体との接触によるコンタミネーションが問題となることが多い。また、粉体自体を空気に触れさせられない場合もあり、そのような場合には空気輸送による吸引投入式のものは使用することができない。
【0006】
本発明は、このような背景の下になされたもので、特許文献1に記載されたような反転投入式の粉体の投入装置および投入方法において、特許文献2に記載された吸引投入式のものと同じように発塵を抑えることができ、投入装置周りの環境を汚染することなく効率的な粉体の投入を行うことが可能な粉体の投入装置および投入方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の粉体の投入装置は、有底筒状の収容容器に収容された粉体を他の容器に投入して移し替える粉体の投入装置であって、投入口を備えて上記収容容器の開口部を密閉するように被覆するシュートと、このシュートと一体に上記収容容器を昇降するとともに、下降位置においては下向きとされた上記収容容器の底部を上昇位置においては上向きとなるように該収容容器を反転させる反転昇降機構と、上記シュートの投入口と上記他の容器の供給口とを連結するフレキシブルホースとを備え
、上記フレキシブルホースは、上記下降位置においては円弧を描いて上記シュートの投入口から上向きに延びた後に下向きに延びて上記他の容器の供給口に連結されており、上記反転昇降機構は、上記収容容器が上記上昇位置に向かうに従い、上記フレキシブルホースを、上記シュートの投入口側では上記円弧の曲率を一定に維持しつつ、上記他の容器の供給口側では直線状に延びるように真直させることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の粉体の投入方法は、有底筒状の収容容器に収容された粉体を他の容器に投入して移し替える粉体の投入方法であって、投入口を備えたシュートによって上記収容容器の開口部を密閉するように被覆し、このシュートと一体に上記収容容器を昇降する反転昇降機構によって上記収容容器を上昇させるとともに、下降位置においては下向きとされた上記収容容器の底部を上昇位置においては上向きとなるように該収容容器を反転させ、上記シュートの投入口と上記他の容器の供給口とを連結するフレキシブルホースを介して粉体を上記他の容器に投入する
のに際し、上記フレキシブルホースを、上記下降位置においては円弧を描いて上記シュートの投入口から上向きに延びた後に下向きに延びて上記他の容器の供給口に連結されるようにし、上記反転昇降機構により、上記収容容器が上記上昇位置に向かうに従い、上記フレキシブルホースを、上記シュートの投入口側では上記円弧の曲率を一定に維持しつつ、上記他の容器の供給口側では直線状に延びるように真直させることを特徴とする。
【0009】
このような粉体の投入装置および投入方法においては、シュートの投入口と粉体が移し替えられるホッパー等の他の容器の供給口とがフレキシブルホースによって連結されており、オープンドラムタイプのドラム缶のような収容容器に収容された粉体は、シュートによって開口部が密閉された上で反転昇降機構によって上記下降位置から上昇させられるとともに底部が上向きとなるように反転させられることにより、上記フレキシブルホースを介して他の容器内に投入される。従って、粉塵が投入装置の周辺に飛散することはなく、発塵による汚染を防ぐことができるとともに、他の容器への粉体投入量が減少するのも抑制することができる。
【0010】
また、フレキシブルホースは、例えば弾性や可撓性を有する樹脂材料によって形成されて、力を加えていない状態では円筒状をなし、所定の許容半径までは断面が円形を維持したまま円弧状に湾曲させることができる。そこで、上記投入装置
および投入方法では、このフレキシブルホースを、上記下降位置においては円弧を描いて上記シュートの投入口から上向きに延びた後に下向きに延びて上記他の容器の供給口に連結されるようにし、上記反転昇降機構により、上記収容容器が上記上昇位置に向かうに従い、上記フレキシブルホースを、上記シュートの投入口側では上記円弧の曲率を一定に維持しつつ、上記他の容器の供給口側では直線状に延びるように真直させることにより、長期に亙って昇降、反転を繰り返してもフレキシブルホースに余分な外力が作用するのを防いで破損を防止することができる。
【0011】
ここで、このようにフレキシブルホースを、収容容器が上昇位置に向かうに従いシュートの投入口側では一定の曲率を維持しつつ、他の容器の供給口側では直線状に延びるように真直させるには、例えば上記反転昇降機構に、シュートと一体に収容容器を保持する保持部を備え、この保持部が昇降しつつ、上記下降位置においてフレキシブルホースが描く円弧の中心線に平行に該保持部とともに昇降する回転軸線回りに回転させられることによって収容容器を反転させるようにすればよい。これにより、フレキシブルホースは、収容容器の上昇時には上記円弧から巻き解かれるように真直させられることになり、また下降時には同円弧に巻き戻されるように湾曲させられるので、一定の曲率を維持することができる。
【0012】
なお、粉体投入後の収容容器を下降位置に戻した後は、次の収容容器の粉体を投入するために粉体投入後の収容容器の開口部からシュートを取り外すことになるが、この際に収容容器内やシュート内粉体が浮遊していると、これが漏れ出て投入装置周りを汚染するおそれがある。このため、上記投入装置にはさらに、上記下降位置において粉体投入後の収容容器の開口部とシュートとの間を密閉するように介装され、収容容器内とシュート内を吸引して集塵する集塵機構を備えるのが望ましく、これにより一層の投入装置周りの環境のクリーン化を図ることができる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、反転投入式の粉体の投入装置および投入方法において、粉体投入の際の発塵を防ぐことができ、周囲の環境が汚染されるのを防止するとともに、粉体投入量が減少するのも防いで、効率的な粉体の移し替えを行うことが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1ないし
図4は、本発明の粉体の投入装置の一実施形態を示すものであり、
図5ないし
図9は、この一実施形態の投入装置による本発明の粉体の投入方法の一実施形態を説明するものである。本実施形態における粉体の収容容器は、上部開口部が蓋1Aによって密閉可能とされた有底円筒状のオープンドラムタイプのドラム缶1であり、このドラム缶1は、
図1に示すように蓋脱着装置2によって上記蓋1Aが取り外された上で、搬送コンベア3によって投入装置に搬送される。
【0016】
本実施形態の投入装置は、
図1に示すように、この搬送コンベア3によって搬送されたドラム缶1を受け入れ、また粉体投入後のドラム缶1を搬送コンベア3に払い出すローラコンベア11と、このローラコンベア11に受け入れられたドラム缶1の上部開口部を密閉するように被覆するシュート12と、このシュート12と一体に上記ドラム缶1を保持する保持部13を備えた反転昇降機構14と、ドラム缶1内の粉体が投入されて移し替えられる、本実施形態における他の容器としてのホッパー15と、上記シュート12の投入口12Aとホッパー15の供給口15Aとを連結するフレキシブルホース16とを備えている。
【0017】
ローラコンベア11には、回転駆動可能な複数本のローラ11Aが、搬送コンベア3からのドラム缶1の搬送方向(
図1および
図5における右方向)に間隔をあけて並列に配設されている。これらのローラ11Aが回転駆動されてドラム缶1を搬送コンベア3から受け入れ、
図5に示すようにこのローラコンベア11上の所定の搬送位置に搬送されたところでドラム缶1は位置決めされる。
【0018】
ホッパー15は、この搬送位置と若干の間隔をあけて上記搬送方向側に位置させられている。本実施形態におけるホッパー15は、内外径が下方に向かうに従い漸次縮径する円錐台面状の漏斗形の胴部と、この胴部の上端から延びる円筒部とが一体に形成されたものであり、胴部の下端部にはバルブを備えて所定量の粉体をホッパー15から排出可能な計量排出部15Bが設けられているとともに、円筒部の上端部は蓋体15Cによって密閉されており、上記供給口15Aはこの蓋体15Cのローラコンベア11側の縁部に円形をなして上下方向に開口させられている。
【0019】
また、蓋体15Cの中央部には、モータ等により回転駆動される駆動軸がホッパー15の中心線に沿ってホッパー15内にシールされて挿通されており、この駆動軸には、上記円筒部内に水平に均しバーが取り付けられていて、ホッパー15内に投入された粉体の上面を水平に均す均し機構15Dが構成されている。さらに、ホッパー15には、図示されないノッカーおよびエアブラスターが取り付けられている。このようなホッパー15は、ホッパー支持台15Eにロードセル15Fを介して設置されて支持されている。
【0020】
反転昇降機構14は、シュート12と上記保持部13によって保持されたドラム缶1とを一体に昇降させるとともに、この昇降における下降位置において
図6に示すように下向きとされたドラム缶1の底部を、上昇位置においては
図8に示すように上向きとなるように、シュート12および保持部13ごとドラム缶1を反転させる。この反転昇降機構14においては、ホッパー15を取り囲むように配設されたフレーム17に昇降部18が昇降可能に設けられていて、この昇降部18に設けられた回転軸18Aに上記保持部13が取り付けられている。
【0021】
フレーム17は、上記搬送方向からみてホッパー15の両外側に一対ずつホッパー15の中心線に関して対称に鉛直方向に立設された合計4本の支柱17Aを備えて門形をなしており、片側の一対の支柱17A同士は該搬送方向においては
図1ないし
図8に示すようにホッパー15と重なり合うように配設されている。これらの支柱17Aのうち、両外側のローラコンベア11側の2つの支柱17Aの該ローラコンベア11側を向く側面には、ラック17Bが上下方向に延びるように設けられている。
【0022】
反転昇降機構14の昇降部18は、これらホッパー15の両外側の各一対の支柱17Aにそれぞれ取り付けられた一対の昇降部材18Bと、これらの昇降部材18Bの間に水平に延びる回転軸線回りに回転自在に支持された上記回転軸18Aと、上記回転軸線を中心として回転軸18Aに一体に回転可能に取り付けられるとともに上記2つの支柱17Aのラック17Bにそれぞれ噛み合わされた一対のピニオンギヤ18Cと、一方の昇降部材18Bに取り付けられて上記ピニオンギヤ18Cを回転駆動するモータと減速機等からなる回転駆動手段18Dとを備えている。ここで、ピニオンギヤ18Cと噛み合わされたラック17Bのピニオンギヤ18Cのピッチ円に接するデータム線は、上記回転軸線方向に見てホッパー15の供給口15Aの中心線と一致させられている。
【0023】
上記一対の昇降部材18Bは、例えば上記回転軸18Aの回転軸線に垂直に延びる板状の部材であり、上記片側の一対の支柱17Aのホッパー15に対する外側にそれぞれ掛け渡されていて、上記回転軸18Aは上記ローラコンベア11側の2つの支柱17Aの該ローラコンベア11側において、これらの昇降部材18Bの間に支持されている。また、この昇降部材18Bには、ラック17Bが設けられていない支柱17Aに係合して回転自在な複数のカムフォロア18Eが備えられていて、これらのカムフォロア18Eと上記回転駆動手段18Dによって回転駆動される上記ピニオンギヤ18Cとにより、一対の昇降部材18Bは回転軸18Aともども一体に昇降可能、かつ任意の昇降位置で停止可能にフレーム17に取り付けられている。
【0024】
反転昇降機構14の保持部13は、上記回転軸18Aの回転軸線方向にドラム缶1の外径およびローラコンベア11の幅よりも大きな間隔をあけて互いに平行に該回転軸18Aに基端部が固定された一対の保持部材13Aと、これらの保持部材13Aの先端部に設けられたクランパー13Bとを備えている。保持部材13Aは、
図2に示すようにフレーム状に形成されてその基端部同士もフレーム材により連結され、上記回転軸線方向に見て上記ピニオンギヤ18Cのピッチ円の接線を中心として該接線方向に延びており、保持部13が上記下降位置にあるときには同じく上記回転軸線方向に見て
図5に示すように、この接線が上記搬送位置にあるドラム缶1の中心線と一致して上下方向に延びるようにされている。
【0025】
また、クランパー13Bは、上記回転軸線方向に見てシリンダーロッドが上記接線に平行に両保持部材13Aの先端側に出没可能とされた複数のシリンダー装置と、これらのシリンダー装置のシリンダーロッド先端に固定されて両保持部材13A間に掛け渡されたクランプフレームとから構成されている。クランプフレームは、上記回転軸線と平行に両保持部材13A間に延びるローラコンベア11の幅よりも長い一対の長辺部と、これらの長辺部を結ぶドラム缶1の外径よりも短い一対の短辺部とを有する長方形枠状とされて、これらの短辺部に上記シリンダーロッドの先端が固定されている。
【0026】
このようなクランパー13Bは、ドラム缶1がローラコンベア11に搬送されていない状態で保持部13が上記下降位置にあるときに、シリンダー装置のシリンダーロッドを伸長させることにより、クランプフレームの長辺部がローラコンベア11の間隔をあけたローラ11Aの間に挿入されて、ローラコンベア11の上面よりも低位置に埋没させられる。そして、ドラム缶1が搬送されて上記搬送位置に位置決めされた状態でシリンダーロッドを引き込むことにより、クランプフレームが上昇してドラム缶1の底部に当接し、ドラム缶1をローラコンベア11上から引き上げるようにされている。
【0027】
さらに、上記シュート12は、本実施形態では一対の保持部材13Aの基端部同士を連結する上記フレーム材に固定されて保持部13に一体に設けられており、上述のようにクランパー13Bによって引き上げられたドラム缶1の上部開口部を密閉して被覆するとともに、クランプフレームとの間でドラム缶1を挟み込んで保持するようにされている。ここで、このシュート12は、本実施形態ではホッパー15の胴部と同じく円錐台面状の漏斗形をなしており、このシュート12の大径開口部はドラム缶1の開口部をシールして密閉可能とされるとともに、小径開口部が円形に開口した投入口12Aとされている。
【0028】
このようなシュート12は、保持部13が下降位置にあるときには、投入口12Aを上向きにして、この投入口12Aがなす円の中心線が搬送位置および下降位置にあるドラム缶1の中心線と一致するようにされており、従って投入口12Aの中心線は上記回転軸18Aの回転軸線方向に見て上記ピニオンギヤ18Cのピッチ円の接線に沿って延びることになる。また、この投入口12Aの中心線とホッパー15の円形をなす供給口15Aの中心線とは上記回転軸線に垂直な1つの平面上に位置させられており、さらにこれら投入口12Aと供給口15Aとは、保持部13が下降位置にあるときには上下方向において上記回転軸線と等しい位置に開口するようにされている。なお、シュート12にはバイブレータ12Bが取り付けられている。
【0029】
これらシュート12の投入口12Aとホッパー15の供給口15Aとを連結する上記フレキシブルホース16は、例えばエラストマー等の柔軟な樹脂材料により形成された円筒部の外周に、この円筒部よりは硬質のポリプロピレンのような樹脂材料よりなる線材が螺旋状に巻回されて一体化されたものであって、弾性および可撓性を有している。このようなフレキシブルホース16は、所定の許容半径までは円筒部が皺や弛みを生じることなく伸縮して断面が円形を維持したまま円弧状に湾曲可能とされている。
【0030】
そして、このフレキシブルホース16は、保持部13が下降位置にあるときに、上記許容半径以上の半径の円弧を描いて、シュート12の投入口12Aから上向きに延びた後に下向きに延びてホッパー15の供給口15Aに連結されている。さらに、このときのフレキシブルホース16の断面がなす円の中心線は、これら投入口12Aと供給口15Aの中心線が位置する上記回転軸線に垂直な1つの平面上にあって、該回転軸線方向に見たときに上記ピニオンギヤ18Cのピッチ円に沿った半円弧となるようにされている。
【0031】
さらにまた、本実施形態の投入装置は、
図9に示すように、粉体投入後のドラム缶1の上部開口部とシュート12との間を密閉するように介装されてドラム缶1内とシュート12内を吸引して集塵する集塵機構19を備えている。この集塵機構19は、例えば図示されない支持軸に水平面内で旋回可能にアーム19Aが取り付けられるとともに、このアーム19Aの先端部に集塵フード19Bが取り付けられた構成とされている。
【0032】
この集塵フード19Bは、上下方向に延びる中心線を有する円筒状のもので、この中心線方向の幅は、保持部13が下降位置にあるときのシュート12の大径開口部と上記搬送位置にあって底部がローラコンベア11上に設置しているときのドラム缶1の上部開口部との間隔と略等しくされ、アーム19Aの旋回に伴いこの間隔部分に挿入されて、その上下の開口部がシュート12の大径開口部とドラム缶1の上部開口部とをシールして密閉するようにされている。なお、アーム19Aおよび集塵フード19Bは旋回時に保持部13の保持部材13Aなどと干渉しないようにされている。
【0033】
また、集塵フード19Bには、集塵機に接続された図示されない集塵管が例えば上記アーム19Aを介して連結されて集塵フード19B内に開口させられている。そして、集塵フード19Bが上述のようにシュート12の大径開口部とドラム缶1の上部開口部とをシールして密閉した状態で上記集塵機を駆動することにより、ドラム缶1内とシュート12内に残存して浮遊する僅かな粉体が集塵管を通して吸引されて集塵される。
【0034】
このような構成の粉体の投入装置を用いた本発明の粉体の投入方法の一実施形態について、
図5ないし
図9に基づいて説明する。まず、
図1に示したように保持部13が下降位置にあってクランパー13Bのシリンダロッドを伸長させることによりクランプフレームがローラコンベア11の上面から埋没した状態において、蓋脱着装置2によって蓋1Aを取り外した上で、粉体が収容されたドラム缶1を搬送コンベア3およびローラコンベア11によって
図5に矢線で示すようにローラコンベア11の上記搬送位置に搬送する。このとき、上述したようにドラム缶1の中心線はシュート12の投入口12Aの中心線および該投入口12Aにおけるフレキシブルホース16の中心線の接線と一致させられる。
【0035】
次に、
図6に示すようにクランパー13Bのシリンダロッドを引き込むことによりクランプフレームをドラム缶1の底部に当接させ、さらにドラム缶1をローラコンベア11上から引き上げて上部開口部をシュート12の大径開口部に当接させ、クランプフレームとシュート12との間にドラム缶1を挟み込むことによって保持部13に保持する。これにより、ドラム缶1は昇降の下降位置に配置されるとともに、ドラム缶1の開口部はシュート12によってシールされて密閉される。
【0036】
こうしてドラム缶1が保持部13に保持されたなら、反転昇降機構14の回転駆動手段18Dによりピニオンギヤ18Cを回転駆動して、シュート12と一体にドラム缶1を上昇させるとともに、上記下降位置においては下向きとされたドラム缶1の底部を、この昇降の上昇位置においては上向きとなるようにドラム缶1を反転させる。すなわち、ピニオンギヤ18Cを回転駆動することにより、このピニオンギヤ18Cが噛み合わされたラック17Bに沿って反転昇降機構14の昇降部18を上昇させるとともに、ピニオンギヤ18Cの回転軸18Aに固定された保持部13を、
図7および
図8に示すように図中時計回りに回転させてドラム缶1を上下反転させる。
【0037】
このとき、本実施形態の投入装置において上記フレキシブルホース16は、その断面がなす中心線が回転軸18Aの回転軸線方向に見て、下降位置においてはこの回転軸線を中心線としたピニオンギヤ18Cのピッチ円に沿った半円弧を描いて、シュート12の投入口12Aから上向きに延びた後に下向きに延びてホッパー15の供給口15Aに連結されており、また反転昇降機構14の保持部13はピニオンギヤ18Cがラック17Bと噛み合うことによって、下降位置における上記円弧の中心線と平行に上昇する上記回転軸線回りに回転させられてドラム缶1を反転させる。
【0038】
従って、反転昇降機構14によってドラム缶1をシュート12と一体に上昇、反転させると、フレキシブルホース16は
図7および
図8に示すように上記ピッチ円に沿った円弧から巻き解かれるようにして、投入口12A側では曲率を一定に維持しつつ、供給口15A側では直線状に延びるように真直することになる。また、後述するようにドラム缶1およびシュート12を降下させる際には、これとは逆にフレキシブルホース16は上記ピッチ円に沿った円弧に巻き戻されるようにして、投入口12A側から湾曲させられる。
【0039】
このようにドラム缶1およびシュート12を上昇、反転させることにより、
図8に示すようにシュート12の投入口12Aはホッパー15の供給口15Aよりも上方に位置してドラム缶1の開口部とともに下向きとなり、ドラム缶1内に収容された粉体は投入口12Aからフレキシブルホース16を介して落下して供給口15Aからホッパー15内に投入される。
【0040】
ドラム缶1内の粉体を全量投入するには、
図8(b)に示すようにドラム缶1、投入口12A、フレキシブルホース16、および供給口15Aの中心線が一直線となるように反転させてフレキシブルホース16を真っ直ぐに伸長させればよい。また、このように中心線を一直線となるまで反転させずに、例えば
図8(a)に示すようにドラム缶1および投入口12Aの中心線が任意の傾斜角のところで回転駆動手段18Dによる回転軸18Aの回転を減速あるいは停止することにより、粉体投入量を制御することも可能である。このときの粉体投入量は、ホッパー15に設けられたロードセル15Fによって測定可能である。
【0041】
なお、ドラム缶1内やシュート12内に付着等によって残存した粉体をも十分にホッパー15に投入するには、シュート12のバイブレータ12Bやホッパー15のノッカー、エアブラスターを作動させればよい。さらに、粉体がホッパー15に投入されている間、均し機構15Dによって粉体の上面を水平に均すことにより、ホッパー15内において供給口15A側に粉体が偏って堆積するのを防ぐことができ、フレキシブルホース16内にまで粉体が充満してホッパー15への粉体の投入が妨げられるのを防ぐことができる。
【0042】
こうして粉体がホッパー15に投入されたなら、回転駆動手段18Dによってピニオンギヤ18Cを上記とは逆回転することにより、保持部13に保持されたドラム缶1をシュート12と一体に降下させるとともにドラム缶1の底部が下向きとなるように反転させ、
図6に示した下降位置に戻す。次いで、クランパー13Bのシリンダーロッドを伸長させることによってドラム缶1をシュート12から外して降ろし、
図5に示したようにローラコンベア11上の上記搬送位置に裁置する。
【0043】
このとき、ドラム缶1内やシュート12内に僅かな粉体が浮遊して残存していると、これがドラム缶1とシュート12との間隙部分から漏れ出るおそれがある。そこで、このような場合には、上述したように集塵機構19のアーム19Aによって集塵フード19Bを上記間隙部分に挿入してドラム缶1とシュート12の開口部を密閉し、次いで集塵機を駆動することによってドラム缶1およびシュート12内を吸引して集塵管から集塵すればよい。こうして内部が集塵されたドラム缶1は、集塵フード19Bが外された後にローラコンベア11によって払い出されて搬送コンベア3に戻され、蓋脱着装置2によって蓋1Aが取り付けられて排出される。
【0044】
このように、上記構成の粉体の投入装置および投入方法によれば、粉体の収容容器であるドラム缶1の開口部を密閉して被覆するシュート12の投入口12Aと、粉体が移し替えられる他の容器であるホッパー15の供給口15Aとがフレキシブルホース16によって連結されており、反転昇降機構14によってドラム缶1をシュート12と一体に上昇、反転させて粉体を投入するときに、粉体はこのフレキシブルホース16を介してホッパー15に投入される。
【0045】
このため、ドラム缶1内の粉体が一気に投入口12Aからフレキシブルホース16を通ってホッパー15内に流れ込んでも、投入装置の周辺に粉塵が飛散することはなく、周囲の環境が汚染されるのを防いでクリーン化を図ることができる。また、こうしてホッパー15に移し替えられるべき粉体が粉塵として飛散することがないため、ホッパー15への粉体投入量が減少するのも抑制することができ、効率的な粉体の移し替えを行うことができる。なお、上記実施形態において集塵機構19により集塵されるのは、粉体投入後のドラム缶1内やシュート12内に浮遊する粉体であるので、その量は僅かであり、またホッパー15への粉体投入量に与える影響も少ない。
【0046】
さらに、吸引投入式の投入装置および投入方法のように空気輸送によって粉体が高速で移送されることがないので、摩耗や接触によるがコンタミネーションのおそれが少なく、しかも粉体を空気に触れさせたくなような場合でも対応可能である。また、本実施形態の投入装置では、ドラム缶1の投入装置への搬送から反転、昇降による粉体の投入、および粉体投入後のドラム缶1の払い出しまでを自動化することができる。
【0047】
一方、上述のように本実施形態においてフレキシブルホース16は、ドラム缶1およびシュート12が下降位置にあるときには、円弧を描いてシュート12の投入口12Aから上向きに延びた後に下向きに延びてホッパー15の供給口15Aに連結されており、反転昇降機構14によって上昇位置に向かうに従い、
図7および
図8に示したように投入口12A側では上記円弧の曲率を一定に維持しつつ供給口15A側では直線状に延びるように真直させられる。また、上昇位置から下降位置に降下する際にも、フレキシブルホース16は投入口12A側から一定の上記曲率の円弧を描きつつ湾曲させられる。
【0048】
そして、この円弧の半径は、フレキシブルホース16の上記許容半径以上であるので、昇降、反転を繰り返してもフレキシブルホース16に無理な外力が加わることが無く、長期に亙ってフレキシブルホース16の破損を防ぐことができるとともに、破損による粉体へのコンタミネーションも防止することができる。また、このようにフレキシブルホース16は許容半径以上の曲率半径で湾曲させられるため、円筒部に皺や弛みが生じることがなくて円筒部の内周面を平滑に維持することができるので、粉体をスムーズに投入することが可能となるという利点も得られる。
【0049】
さらに、本実施形態では、このようにドラム缶1およびシュート12を上昇、反転させる際にフレキシブルホース16を投入口12A側で一定の曲率を維持しつつ供給口15A側で直線状に真直させ、また下降させる際には逆に投入口12A側から一定の曲率の円弧を描きつつ湾曲させるのに、反転昇降機構14の保持部13を、下降位置におけるフレキシブルホース16の円弧の中心線に平行に昇降する回転軸18Aの回転軸線回りに回転させながら昇降させることにより、フレキシブルホース16が連結されたシュート12と一体に保持したドラム缶1を反転、昇降するようにしている。
【0050】
より具体的に、本実施形態における反転昇降機構14では、上記回転軸18Aは、フレーム17に設けられたラック17Bに噛み合わされるピニオンギヤ18Cの回転軸18Aとされるとともに、保持部13もこの回転軸18Aに固定されている。また、下降位置においてフレキシブルホース16がなす円弧は、回転軸18Aの回転軸線方向に見て上記ピニオンギヤ18Cのピッチ円に沿ったものとされている。
【0051】
このため、保持部13を上昇させると、フレキシブルホース16は供給口15A側で上記ピッチ円に沿った円弧から巻き解かれるように真直する一方で投入口12A側では一定の曲率の湾曲が維持される。また、逆に保持部13を降下させると、フレキシブルホース16は投入口12A側から上記ピッチ円に沿った円弧状に湾曲させられるので、フレキシブルホース16に曲率の大きな部分が生じるのを防いで、より確実に破損を防止することができる。
【0052】
さらにまた、本実施形態では、このようにラック17Bに噛み合わされたピニオンギヤ18Cが回転軸18Aの回転軸線回りに回転して昇降するのに伴い、この回転軸18Aに固定された保持部13も回転、昇降してシュート12と一体にドラム缶1を反転、昇降させる。従って、こうしてドラム缶1を反転、昇降するための回転駆動手段18Dを、
図2ないし
図4に示したように1つとすることもできるので、経済的でもある。
【0053】
ただし、本実施形態では、このようにドラム缶1の反転、昇降を、ラック17Bに噛み合わされたピニオンギヤ18Cを回転させることによって1つの回転駆動手段18Dで行うようにしているが、
図10に示す反転昇降機構14の変形例のように、ドラム缶1を回転させて反転させる回転駆動手段18Dとは別に、シュート12と一体にドラム缶1を昇降させる昇降機構20を設けてもよい。
【0054】
すなわち、この昇降機構20においては、フレーム17の支柱17A上部に上記回転軸18Aと平行に延びる回転軸20Aが設けられて、この回転軸20Aの両端部に巻き取りドラム20Bが一体に回転可能に取り付けられ、これらの巻き取りドラム20Bに巻き掛けられたワイヤー等の昇降線材20Cに昇降部18の昇降部材が連結されて吊り下げられている。なお、回転軸18Aにはピニオンギヤ18Cは設けられておらず、ラック17Bも備えられていない。
【0055】
そして、回転駆動手段18Dによってドラム缶1を回転させつつ、この回転駆動手段18Dとは別の回転駆動手段20Dによって回転軸20Aを回転させることにより、昇降線材20Cが巻き取りドラム20Bに巻き取られるときには、
図10(a)〜(c)の順に示すように底部が上向きとなるようにドラム缶1が反転されながら昇降部18が上昇させられる。また、逆に昇降線材20Cが巻き取りドラム20Bから巻き解かれるときには、
図10(c)〜(a)の順に底部が下向きとなるようにドラム缶1が反転されながら昇降部18が降下する。
【0056】
このような変形例の反転昇降機構14においても、回転駆動手段18Dによるドラム缶1およびシュート12の反転と、昇降機構20の回転駆動手段20Dによる昇降部18の昇降とを同期させることにより、
図1ないし
図9に示した実施形態と同様にドラム缶1が上昇位置に向かうに従いシュート12の投入口12A側では一定の曲率を維持しつつホッパー15の供給口15A側では直線状に延びるように真直させることができる。また、個々の回転駆動手段18D、20Dは動力の小さいものとすることもできる。
【0057】
さらにまた、上記実施形態の投入装置には、上記下降位置において粉体投入後のドラム缶1の開口部とシュート12との間を密閉するように介装される集塵フード19Bを有してドラム缶1内とシュート12内を吸引、集塵する集塵機構19がさらに備えられているので、粉体投入後にドラム缶1からシュート12が離れたときにこれらドラム缶1内やシュート12内に浮遊した粉体が漏れ出るのを防ぐことができる。従って、投入装置の周辺環境の一層のクリーン化を図ることができる。
【0058】
なお、上記実施形態では、シュート12が円錐台面状の漏斗形とされて、ドラム缶1の上部開口部を密封して被覆したときにドラム缶1と投入口12Aの中心線が一致するようにされているが、シュート12は大径開口部と小径開口部の中心線が偏心して片方に傾斜した円錐台面状とされていてもよく、この場合にはドラム缶1と投入口12Aの中心線も偏心することになる。また、本実施形態では、粉体が移し替えられる他の容器がホッパー15とされているが、タンクやミキサー、フィーダー等の他の種の密閉可能な容器であってもよく、さらに粉体の収容容器もドラム缶1のような円筒状のものに限定されない。