特許第6013165号(P6013165)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013165
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】マッサージ椅子
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20161011BHJP
   A61H 15/00 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   A61H7/00 323H
   A61H15/00 350A
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-269909(P2012-269909)
(22)【出願日】2012年12月11日
(65)【公開番号】特開2014-113340(P2014-113340A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2015年8月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000136491
【氏名又は名称】株式会社フジ医療器
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(72)【発明者】
【氏名】古谷 毅
【審査官】 武内 大志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−188055(JP,A)
【文献】 特開2012−070787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00−15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腰掛を可能とする座部と、後方へ傾動可能な背もたれ部と、腕に対して施療する左右両側の腕施療部とを備えたマッサージ椅子であって、
基台フレームと、前記基台フレームの左右両側の上端部に、前記座部の骨組みとなる座フレームを前後動可能に支持する座レール部と、前記腕施療部の骨組みとなる腕支持体を前後動可能に支持する腕レール部とを備え、
前記座フレームと前記腕支持体との間に、上端と下端を有する傾動杆と、該傾動杆の上端に回転可能に連結された上部連結杆と、前記傾動杆の下端に回転可能に連結された下部連結杆を有し、前記背もたれ部の後方への傾動に伴って前記座フレームが前方へ移動するときに、前記座フレームの前方への動きを前記腕支持体の後方への動きに変換する連動機構を備えた
マッサージ椅子。
【請求項2】
前記傾動杆が、前記基台フレームの上端部または上端部近傍に枢支され
請求項1に記載のマッサージ椅子。
【請求項3】
前記座レール部が前記座フレームを走行可能とする左右方向に開口した走行溝を有する形状であるとともに、
前記腕レール部が、前記腕支持体を走行可能とする上面に開口した走行溝を有する形状であり、前記座レール部の上に積層状態で形成された
請求項1または請求項2に記載のマッサージ椅子。
【請求項4】
前記座フレームが、座フレームを前後動させる駆動手段を備えるとともに、
前記座フレームに、前記背もたれ部の骨組みとなる背フレームが枢着された
請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載のマッサージ椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、着座姿勢の人体にマッサージを行うマッサージ椅子に関し、より詳しくは、人体の腕に対するマッサージが背もたれを倒しても良好に行えるようなマッサージ椅子に関する。
【0002】
前記「腕」の語について、この発明では、手首よりも先の「手」を含む意味で用いる。
【背景技術】
【0003】
人体の腕にマッサージを行うマッサージ椅子としては、例えば下記特許文献1に記載のものがある。
【0004】
このマッサージ椅子は、背もたれを後方へ倒したときに人体の両肩が後方へ移動するのに伴って腕も後方へ移動してしまい、腕に対する施療が所望の正しい位置で行えなくなる問題点に着目したもので、背もたれ部の起倒動作に従って腕施療部が追従するように構成されている。つまり腕施療部は、マッサージ椅子の基台の左右両側に位置する起立壁の上を後方に移動できるように、背もたれ部とリンクして装着されている。
【0005】
腕施療部は背もたれ部の後方への傾動に従って後方へ移動するので、腕部に対する施療位置のずれはないようにも思える。
【0006】
しかし、背もたれ部が後方へ傾いたときの人体の肩の移動距離は比較的長く動きは直線的ではないので、腕施療部のみを基台の起立壁の上で移動させる構成では、追従が不十分であって、施療位置のずれを十分に解消できるとは言いにくい面があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−178491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、この発明は、背もたれ部の後方への傾動に対して腕施療部が十分に追従できるようにして、腕に対する施療位置のずれを極力抑えられるようにすることを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのための手段は、腰掛を可能とする座部と、後方へ傾動可能な背もたれ部と、腕に対して施療する左右両側の腕施療部とを備えたマッサージ椅子であって、基台フレームと、前記基台フレームの左右両側の上端部に、前記座部の骨組みとなる座フレームを前後動可能に支持する座レール部と、前記腕施療部の骨組みとなる腕支持体を前後動可能に支持する腕レール部とを備え、前記座フレームと前記腕支持体との間に、上端と下端を有する傾動杆と、該傾動杆の上端に回転可能に連結された上部連結杆と、前記傾動杆の下端に回転可能に連結された下部連結杆を有し、前記背もたれ部の後方への傾動に伴って前記座フレームが前方へ移動するときに、前記座フレームの前方への動きを前記腕支持体の後方への動きに変換する連動機構を備えたマッサージ椅子である。
【0010】
この構成では、背もたれ部の後方への傾動に伴って座部を構成する座フレームが座レール部に沿って前方へ移動して、背もたれ部を倒したときの腕の位置と背もたれ部を倒さないときの腕の位置のずれ幅を小さくする。同時に、連動機構が、前方に移動する座フレームの動きを、腕施療部を構成する腕支持体の後方への動きに変換して、腕施療部を腕レール部に沿って後方へ移動する。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、背もたれ部の後方への傾動に伴って前方へ移動する座部と、前方へ移動する座部の動きを腕施療部の後方への動きに変換する連動機構を備えたので、背もたれ部を倒したときと倒さないときの腕位置のずれ幅を小さくできる上に、その小さな位置ずれは、連動機構を介しての腕施療部の後方への移動で補う。腕施療部に対する腕の位置ずれを、腕施療部のみの移動で解消する場合に比して、背もたれ部の後方への傾動に腕施療部を十分に追従させることができる。しかも腕施療部に必要な移動距離は短いので、連動機構は簡素に構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】マッサージ椅子の内部構造の要部を示す斜視図。
図2】マッサージ椅子の斜視図。
図3】マッサージ椅子の内部構造の概略を示す側面図。
図4】背もたれ部を倒した状態のマッサージ椅子の内部構造の概略を示す側面図。
図5】マッサージ椅子の内部構造のうちの要部の動作を示す側面図。
図6】マッサージ椅子の内部構造のうち脚施療部部分の概略構造の概略を示す側面図。
図7】他の例に係るマッサージ椅子の内部構造の概略を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
図1は、マッサージ椅子11の内部構造の要部を示す斜視図であり、このマッサージ椅子11は図2に示したように、基台12と、腰掛を可能とする座部13と、座部13の後端位置において後方へ傾動可能な背もたれ部14と、座部13の前端位置において跳ね上げ可能な脚施療部15と、基台12の左右両側の壁部12a上端において腕に対して施療する腕施療部16とを備えている。
【0014】
前記基台12は、図1に示したような基台フレーム21を骨組みとして内蔵し、前記座部13と前記背もたれ部14と前記腕施療部16を支えている。
【0015】
基台フレーム21は、角型鋼管を組んで構成され、前後方向にのびる左右両側の2本の基底材22と、これら基底材22の上に立設される複数本ずつの垂直材23と、これら垂直材23の下端部間に左右方向に延びるように架け渡される横架材24とを有する。垂直材23部分が、マッサージ椅子11の左右両側の前記壁部12aに対応する部分である。
【0016】
複数本の垂直材23は、図1図3に示したようにマッサージ椅子11の前方のものほど長く形成され、複数本の垂直材23の上端位置を直線でつなぐと、その直線が後方ほど低く傾くように配設されている。これらの垂直材23の上に、前記座部13と腕施療部16が移動可能に支持される。
【0017】
座部13の支持は、前記垂直材23の上端に固定した座レール部25に対して行われ、腕施療部16の支持は座レール部25の上に積層状態で形成された腕レール部26に対して行われる。
【0018】
座レール部25は、角型鋼管で構成され、左右両側面に開口した走行溝25aを内部に有する。走行溝25aの開口25bは、座レール部25の前端位置から、座部13を支持するのに必要な後方の適宜位置までにのびる長溝状である。開口25bの幅は、座レール部25の幅よりも狭い。
【0019】
腕レール部26は、プレス加工した金属板で構成され、上面に開口した走行溝26aを有する。腕レール部26の底板26bは座レール部25の上面に重合するように平面状で、両側板26cは前方部分においては底板26bから一定の高さに設定され、後方部分においては底板26bから離れる方向、つまり走行溝26aが順次深くなるように傾けて高く設定されている。腕レール部26の走行溝26aは、先端において開放され、後端は閉塞され、上面の開口26dは全体が開放された状態である。
【0020】
座レール部25と腕レール部26の外側面には、複数個の補強部材27が設けられ、座レール25の開口幅の保持と、座レール部25及び腕レール部26の固定がなされている。補強部材27は、座レール部25と腕レール部26に直交するように装着されるものであるが、補強部材27における座レール部25の開口25bに対応する部分は、座レール部25の側面から浮かせて成形され、座レール部25の側面との間に隙間28が形成されている。
【0021】
前記座部13は、骨組みとなる座フレーム31を備え、この座フレーム31は、図4図5に示したように、前記座レール部25間に、前記背もたれ部14の後方への傾動に伴って前方へ移動可能に支持されている。座フレーム31は、左右の前記座レール部25の走行溝25a内を走行する走行体32と、これらの走行体32間の前端部と後端部に設けられた横架体33,34とを有する。
【0022】
走行体32は、細長い長方形状の2枚の走行板32aと、これらの間に設けられた複数の走行輪32bで構成されている。すなわち、走行板32aは平板状で、前記座レール部25の幅方向で面同士を対向させた状態で隙間をあけて平行に配設され、これら走行板32aの間に走行輪32bが、走行板32aの下端から一部を突出させた状態で回転可能に保持された構造である。この走行体32は、前記座レール部25の外側面の開口25b部分に形成した前記隙間28を移動する規制板32cを一体に備えている(図3参照)。
【0023】
前記横架体33,34のうち前端部の横架体33は、前記走行板32aに両端が固定された角型鋼管からなる横架部材33aと、この横架部材33aの上面に、後方に向けて張り出するように設けられた横架板33bと、横架部材33aの両端部に設けられた脚支持体連結部33cと、横架部材33aの中間部に並べて設けられた2個の駆動体連結部33d,33eとを有する。
【0024】
前記横架体33,34のうち後端部の横架体34は、角型鋼管からなる短筒状の固定部34aと、この固定部34aに回転不可に一体化され走行体32と直交する方向のうち下方に向けて延びる垂下部34bと、これらの垂下部34bの下端同士を一体に連結する横架部34cとを有する。前記垂下部34bの上端には、上方に向けて若干延びる延設部34dが形成され、この延設部34dの先端部には、前記背もたれ部14を回転可能に連結する回転軸部34eが左右方向内方に向けて突設されている。回転軸部34eの形成位置は、着座する人体の中央、より具体的には下腹部における前後方向の中央の近傍に対応するように設定されている。
【0025】
このような座フレーム31の上に、人体の臀部と大腿部を支えるのにさらに必要な適宜の部材が、適宜のマッサージ手段と共に装着される。マッサージ手段は、エアバッグや揉み玉等の適宜の部材で構成される。以下同様である。
【0026】
前記駆動体連結部33d,33eのうちの一方の駆動体連結部33dは、前記背もたれ部14を傾動させるための駆動手段としてのリクライニング用伸縮機構17の一端が回転可能に連結されるリクライニング用連結部33dである。リクライニング用伸縮機構17の他端は、前記基台フレーム21に対して回転可能に連結されている。
【0027】
他方の駆動体連結部33eは、前記脚施療部15を連結する脚上げ用連結部33eである。
【0028】
前記背もたれ部14は、図3に示したように、骨組みとしての背フレーム41や、必要なマッサージ手段等の必要な部材を有している。背フレーム41は、下部における前方側に枢着部42を有し、この枢着部42が前記座フレーム31の回転軸部34eに連結され、背フレーム41は座フレーム31に挟まれたように保持されている。
【0029】
背フレーム41の枢着部42よりも上方には、支持用枢着部43が形成され、この支持用枢着部43には支持杆44が回転可能に連結されている。支持杆44の下端は、前記基台フレーム21における後端の垂直材23の上端部に回転可能に取り付けられる。
【0030】
前記脚施療部15は、骨組みとしての脚フレーム51や、必要なマッサージ手段等の必要な部材を有している。脚フレーム51は、側面視略L字状に形成され、上端の左右両側に枢着部52を有しており、この枢着部52が前記座フレーム31の脚支持体連結部33cに回転可能に連結される。
【0031】
この脚フレーム51を跳ね上げるように回転させる駆動手段は、座部13の前端部に設けられた前記脚上げ用連結部33eに一端が取り付けられる脚上げ用伸縮機構18である。脚上げ用伸縮機構18の他端は、図6に示したように、前記座部13の後端部に設けられた垂下部34bの下端の横架部34cに回転可能に固定されている。つまり、背もたれ部14の後方への傾斜に伴って前方へ移動する座部13に設けられた駆動手段(脚上げ用伸縮機構18)で、脚施療部15の回転を行う構造である。
【0032】
脚上げ用伸縮機構18の先端には、一端が座フレーム31の下端に枢着された押上部材18aが回転可能に設けられ、この押上部材18aの他端には回転ローラ18bが設けられている。つまり、脚上げ用伸縮機構18が駆動してのびると、図4図5に示したように、押上部材18aが座フレーム31に対する枢着部分18cを軸に回転しながら回転ローラ18bで脚フレーム51の裏面を押して、脚フレーム51を跳ね上げ方向に回転する。
【0033】
前記腕施療部16は、骨組みとしての腕支持体61と必要なマッサージ手段等の必要な部材を有している。腕支持体61は、前記腕レール部26の走行溝26a内を走行する板状の走行体62と、この走行体62の上端に設けられた縦断面略U字状をなす腕のせ部63を有する。前記走行体62は、下端が腕レール部26の底に対応して傾斜しており、上端の腕のせ部63を略水平に支持する。
【0034】
走行体62のうち腕レール部26に収まる部分には、図5に示したように腕レール部26の底の傾斜と同じ傾きでのびる長穴62aが形成されており、この長穴62aに腕レール部26に左右に貫通させた抜け止めピン62bを挿通して、走行体62の前後動範囲を規制している。
【0035】
走行体62の前端部には、短い上部連結杆64aが回転可能に枢着されている。この上部連結杆64aは、前記背もたれ部14の後方への傾動に伴って前記座フレーム31が前方へ移動するときに、座フレーム31の前方への動きを腕支持体61の後方への動きに変換する連動機構64の一部を構成するものである。
【0036】
前記上部連結杆64aは、前記基台フレーム21の上端部に位置する腕レール部26の前側部分に中間部が枢着された傾動杆64bの上端に回転可能に連結されている。傾動杆64bの下端には、下部連結杆64cの一端が回転可能に枢着され、下端連結杆64cの他端は、前記座フレーム31の垂下部34bに対して回転可能に連結される。図3図4図5中、64dは、傾動杆64bの枢着部である。
【0037】
連動機構64の各部の寸法形状は、座フレーム31を前方に移動させたときに、腕支持体61が所望の距離だけ後方に移動するように設定されている。
【0038】
このように構成されたマッサージ椅子11では、座部13が後方に位置するようにリクライニング用伸縮機構17を駆動制御したときには、図5に実線で示したように背もたれ部14(背フレーム41)が起きた状態であって、着座した人体は、腕を腕施療部16(腕支持体61)にのせて、リラックスした姿勢でマッサージを受けることができる。
【0039】
背もたれ部14を後方へ倒した姿勢でマッサージを受けたい場合には、リクライニング用伸縮機構17を駆動して、座部13を前方に移動する。この移動に従って背もたれ部14は後方に倒れ、人体を支持する。このとき、座部13が前方に移動するので、着座姿勢の人体の中心と背もたれ部の回転中心が近いことと相まって、人体の腕の後方への変位量(位置ずれ幅)を抑えることができる。この結果、腕施療部16の位置からの腕の位置ずれが小さくなる。この小さな位置ずれは、座部13が前方に移動してすることによって下部連結杆64cが傾動杆64bの下端を前方に押し、傾動杆64bが枢着部64dを中心に回動するのに起因して傾動杆64bの上端が後方に倒れることによって、上部連結杆64aで腕施療部16(腕支持体61)を後退させることで吸収する。
【0040】
背もたれ部14の後方への傾動に伴って前方へ移動する座部13と、前方へ移動する座部13の動きを腕施療部16の後方への動きに変換する連動機構64を備えたので、腕施療部16に対する腕の位置ずれを、腕施療部16のみの移動で解消する場合に比して、背もたれ部14の後方への傾斜に腕施療部16を十分に追従させることができる。
【0041】
背もたれ部14を起こすときには、リクライニング用伸縮機構17を駆動して座部13を後方に移動すると、背もたれ部14が起きるとともに、連動機構64が腕施療部16を積極的に前方に引っ張る。つまり、連動機構64は、背もたれ部を倒すときのみではなく起こすときにも作動して腕施療部16を積極的に引っ張るので、背もたれ部14を起こした元の状態に戻す動作が円滑で、心地よいマッサージに貢献する。
【0042】
前記座レール部25と腕レール部26は、上下に重ねるように構成し、座レール部25には左右方向に開口した走行溝25a、腕レール部26には上方に開口した走行溝26aを備えたので、連動機構64は、座レール部25と腕レール部26の内側面に沿った位置に備えて簡素な構成とすることができる。
【0043】
前記連動機構64は、傾動杆64bと2本の連結杆(上部連結杆64aおよび下部連結杆64c)で構成したので、部品点数を少なくすることができ、腕施療部の後退距離の設定などの調整も簡単である。
【0044】
背もたれ部14は座部13によって前方に引っ張られながら回転して倒れるので、リクライニングのための駆動手段は一つでよく、部品点数を低減できる。背もたれ部14を後方に倒したときの突出長さを抑えることもでき、この場合にはマッサージ椅子11の後方に確保する空間は狭くてもよく、スペースの有効利用が図れる。換言すれば、マッサージ椅子11の後方の設置スペースを小さくすることができる。
【0045】
脚施療部15の回転を行う脚上げ用伸縮機構18は前後方向に移動する座部13に設けられているので、脚施療部15の回転動作は、座部13の前後位置に関わらず円滑に行え、制御も容易である。
【0046】
以下、他の例について説明する。この説明において、先の構成と同一又は同等の部位については同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0047】
図7は他の例に係るマッサージ椅子11を示す概略構造の側面図であり、このマッサージ椅子11は、背フレーム41の後方への傾動を座フレーム31の前方への移動とは別に行った例である。すなわち、背フレーム41には背フレーム41を傾けるための駆動手段としてのリクライニング用伸縮機構17の一端が直接連結されている。
【0048】
座フレーム31は、駆動手段を有しないが、着座した状態の人体Aが、背フレーム41を後方に傾けたときに前方にずれようとするので、このときの荷重によって、座フレーム31は背フレーム41の後方への傾動に伴って前方に移動することになる。背フレーム41を起こしたときに座フレーム31が円滑に戻るように、座レール25内には座フレーム31を後方に向けて付勢する付勢手段としてのばね25cが備えられている。
【0049】
このように構成されたマッサージ椅子11でも、前述と同様の作用効果を達成する。
【0050】
このほか、図示は省略するが、背フレーム41を傾動させるための駆動手段に加えて、座フレーム31を前方に移動するための駆動手段を備えて、これらを制御の上で連動させてもよい。
【0051】
また、図示は省略するが、背もたれ部14の後方への傾動に伴って座フレーム31を前方へ移動可能にした構成について、座フレーム31にリクライニング用伸縮機構17を連結した例を示したが、背フレーム41にリクライニング用伸縮機構を連結した構成にしてもよい。
【0052】
この発明の構成と、前記一形態の構成との対応において、
この発明の連結杆は、前記上部連結杆64a、下部連結杆64cに対応し、
この発明の座フレームを前後動させる駆動手段は、前記リクライニング用伸縮機構17に対応するも、
この発明は前記の構成のみに限定されるものではなく、その他の構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0053】
11…マッサージ椅子
13…座部
14…背もたれ部
16…腕施療部
17…リクライニング用伸縮機構
21…基台フレーム
25…座レール部
25a…走行溝
25b…開口
26…腕レール部
26a…走行溝
26d…開口
31…座フレーム
41…背フレーム
61…腕支持体
64…連動機構
64a…上部連結杆
64b…傾動杆
64c…下部連結杆
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7