(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記良否判定手段は、前記配列方向に向かって前記輝度累積値が連続して前記第1のしきい値よりも大きい範囲において、前記輝度累積値の最大値と最小値の差分が未はんだ判定しきい値より大きい場合、前記複数の実装部が未はんだであると判定する、
請求項1に記載の基板検査装置。
前記検査領域は、前記配列方向の大きさが、前記複数の実装部の配列領域に前記複数の実装部の間隔を加えた大きさであり、前記検査領域の前記配列方向に対し垂直方向の大きさが、前記複数の実装部の前記垂直方向の大きさである、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の基板検査装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して実施の形態1について説明する。
図1は、本実施の形態に係る基板検査装置1の構成を示している。
【0014】
図1に示すように、基板検査装置1は、基板撮影部100及び制御部200を備えている。基板検査装置1は、検査対象である被検査基板130の基板面130aを撮影し、基板面130aの画像に基づいて、基板面130a上の実装状態等の良否を検査する。例えば、基板検査装置1は、異物の付着を検査する異物検査、実装部品の欠品を検査する欠品検査、半田付け状態を検査する半田付け検査等を行う。例えば、基板面130aには被検査対象であるコネクタピンが配置(実装)されており、基板検査装置1は、コネクタピンの短絡状態や未はんだ状態を検査する。
【0015】
基板撮影部100は、カメラアレイユニット110及び低角照射ユニット120を備えている。被検査基板130の検査を行う場合、被検査基板130の基板面130aがカメラアレイユニット110と対向するようにステージ等に被検査基板130を固定し、低角照射ユニット120が、被検査基板130の基板面130aを低い角度で照射し、カメラアレイユニット110が、照射された基板面130aを撮影する。
図1では、被検査基板130の上面を被検査対象として、被検査基板130の上面側に基板撮影部100を配置し被検査基板130の上面を撮影しているが、被検査基板130の下面を被検査対象としてもよい。被検査基板130の上面及び下面を被検査対象として、被検査基板130の上面側及び下面側にそれぞれ基板撮影部100を配置し、被検査基板130の上面及び下面を撮影し、上面及び下面の検査を同時に行ってもよい。
【0016】
カメラアレイユニット110は、基板検査装置1に固定されており、上面視で略長方形の板状部材から構成されている。また、カメラアレイユニット110は、アレイ状に配列された複数のカメラモジュール111と、カメラモジュール111の間の領域等に配置された複数のLED(高角LED)112を備えている。被検査基板130に対向する下面側が撮影を行う撮影面となるようにカメラモジュール111が配置され、下面側が光を出射する出射面となるようにLED112が配置されている。なお、カメラアレイユニット110を撮像手段と称してもよいし、カメラモジュール111を撮像手段、LED112を照射手段と称してもよい。
【0017】
低角照明ユニット120は、カメラアレイユニット110に固定されており、カメラアレイユニット110の外周を囲む、略長方形の四辺に対応したフレーム状部材から構成されている。また、低角照明ユニット120は、内周面に複数のLED(低角LED)121を備えている。低角照明ユニット120は、カメラアレイユニット110と被検査基板130の間に固定される。このため、LED121は、LED112よりも低い位置から低い角度(照射角)で被検査基板130へ光を照射する。すわなち、低角照明ユニット120の複数のLED121とカメラアレイユニット110の複数のLED112の複数の角度(位置)から被検査基板130の基板面130aの全体を照射し、複数のカメラモジュール111により基板面130aの全体を撮影する。例えば、カメラアレイユニット110のLED112が第1の照射手段であり、低角照明ユニット120のLED121が第2の照射手段である。
【0018】
制御部200は、カメラアレイユニット110及び低角照明ユニット120に接続されたLED照明コントローラ210、カメラアレイユニット110及びLED照明コントローラ210に接続された画像処理パソコン220、画像処理パソコン(パーソナルコンピュータ)220に接続されたPLC(プログラマブルコントローラ)230を備えている。なお、LED照明コントローラ210、画像処理パソコン220及びPLC230は、別々の装置であってもよいし、1つ以上の任意の数の装置であってもよい。
【0019】
LED照明コントローラ210は、画像処理パソコン220からの指示にしたがって、カメラアレイユニット110のLED112及び低角照明ユニット120のLED121の電流を制御し、LED112及びLED121の発光輝度(光度)を制御する。
【0020】
画像処理パソコン220は、サブコントローラであり、カメラアレイユニット110のカメラモジュール111の動作の制御、LED照明コントローラ210を介してカメラアレイユニット110のLED112及び低角照明ユニット120のLED121の動作を制御する。画像処理パソコン220は、カメラアレイユニット110が撮影した被検査基板130の基板面130aの画像を取得し、取得した画像に基づいて検査対象の良否判定を行う。すなわち、画像処理パソコン220は、基板面130aの画像を解析し、異物検査、欠品検査、半田付け状態検査等を行う。
【0021】
PLC230は、メインコントローラであり、画像処理パソコン220の検査動作に必要な制御を行う。PLC330は、検査パラメータ等を記憶し、検査パラメータ等の必要な情報を画像処理パソコン220へ通知し、検査開始を指示する。
【0022】
図2は、本実施の形態に係るカメラアレイユニット110の構成を示している。
図2に示すように、カメラアレイユニット110は、撮像素子310、FPGA(Field Programmable Gate Array)320、調停マイコン330を備えている。
【0023】
撮像素子310はカメラモジュール111ごとに配置されている。撮像素子310は、画像を撮像(撮影)するCMOSカメラ等であり、感光部311及び画像メモリ312を備えている。感光部311は、CMOSセンサ等であり、レンズを介して受光する光を光電変換し画像信号(画像データ)を生成する。画像メモリ312は、感光部311が生成した画像信号(画像データ)を記憶する。画像メモリ312は、シャッター指示に応じて、感光部311の画像信号を取り込んで記憶し、画像要求に応じて、記憶している画像信号を出力する。
【0024】
調停マイコン330は、画像処理パソコン220とFPGA320の信号の入出力タイミングを調停する。FPGA320は、調停マイコン330を介して画像処理パソコン220から信号が入力される。FPGA320は、入力された指示等の信号に応じて、シャッター指示、画像要求を撮像素子310の画像メモリ312へ出力し、また、画像メモリ312から画像信号を取得し、取得した画像信号を画像処理パソコン220へ出力する。FPGA320は、撮像素子310ごとに設けてもよいし、全ての撮像素子310に対して1つのFPGA320を設けてもよい。例えば、FPGA320は、全てのカメラモジュール111の撮像素子310からそれぞれ画像信号を取得し、取得した複数の画像信号を画像処理パソコン220へ出力する。
【0025】
図3A〜
図3Dは、本実施の形態に係る基板撮影部100の具体的な構成を示している。
図3Aは、基板撮影部100の上面図であり、
図3Bは、基板撮影部100の長手方向側面図であり、
図3Cは、基板撮影部100の短手方向側面図であり、
図3Dは、基板撮影部100の下面図である。
【0026】
図3A〜
図3Dに示すように、基板撮影部100は、カメラアレイユニット110及び低角照明ユニット120を備え、さらに、カメラアレイユニット110を固定支持するカメラアレイ取付ベース140を備えている。
【0027】
カメラアレイ取付ベース140は、カメラアレイユニット110と同様に略長方形の板状部材である。カメラアレイ取付ベース140は、カメラアレイユニット110を固定支持するために、カメラアレイユニット110よりもサイズが大きい。カメラアレイ取付ベース140は、不図示の支持部を介して基板検査装置1の筐体に固定されている。また、カメラアレイユニット110は、ネジ(ボルト、ナット)等の固定部材140aによりカメラアレイ取付ベース140に固定されている。これにより、カメラアレイユニット110はカメラアレイ取付ベース140を介して基板検査装置1に確実に固定されている。例えば、カメラアレイユニット110の周辺部の8箇所で固定部材140aを介して固定されている。
【0028】
カメラアレイユニット110には、複数のカメラモジュール111がアレイ状(マトリクス状)に2次元に配列されている。例えば、縦(短手方向)10個×横(長手方向)10個で合計100個のカメラモジュール111が配列されている。さらに、カメラモジュール111の周辺領域に複数のLED112が配列されている。例えば、LED112が縦(短手方向)21個×横(長手方向)21個配列され、もしくは、LED112が縦(短手方向)11個×横(長手方向)11個配列されている。複数のカメラモジュール111の配置領域(アレイ領域)の外周部では、縦21個×横21個のLED112を配置し、その他の部分では縦11個×横11個のLED112を配置することで、外周部の発光輝度を高めている。
【0029】
カメラアレイユニット110は、カメラモジュール111を配置(実装)するカメラ基板401、LED112を配置(実装)するLED基板402、LED112の光を拡散させる拡散板403、カメラアレイユニット110の外周を覆うアルミボディ410を備えている。カメラ基板401の上面側に固定部材140aが締結等されてカメラアレイ取付ベース140に固定されている。カメラ基板401の下面側にアルミボディ410が固定され、アルミボディ410の下側にLED基板402が固定され、LED基板402の下側に拡散板403が固定されている。
【0030】
カメラ基板401、LED基板402及び拡散板403は、略長方形状である。LED基板402及び拡散板403は、略同じサイズであり、カメラモジュール111及びLED112の配置領域に応じたサイズである。カメラ基板401は、カメラモジュール111及びLED112に加えて、FPGA320や調停マイコン330、外部インタフェース等を実装するため、LED基板402及び拡散板403よりもサイズが大きい。
【0031】
拡散板403は、ネジ等の固定部材403aによりLED基板402に固定されている。例えば、拡散板403の周辺部及び中央部の14箇所で固定部材403aを介して固定されている。同様に、LED基板402は、固定部材によりアルミボディ410に固定されている。
【0032】
低角照明ユニット120は、LEDフレーム122を備え、LEDフレーム122の内周面にLED(LEDテープライト)121が貼り付けられている。LEDフレーム122は、カメラモジュール111を取り囲むように形成され、フレームの一端と他端が連結板124により連結されている。LEDフレーム122は、カメラモジュール111及びLED112の配置領域に合わせて、四角形もしくはその他の多角形状に曲折形成される。例えば、LEDフレーム122は、四角形の角部を斜めに折り曲げた八角形状である。角部を斜めとすることで、LED121の光をより均等に被検査基板130へ照射することができる。カメラモジュール111及びLED112の配置領域との距離が均等となるように、低角照明ユニット120の長手方向のサイズはLED基板402及び拡散板403と略同じであり、短手方向のサイズはLED基板402及び拡散板403よりも大きい。例えば、低角照明ユニット120の短手方向のサイズは、カメラアレイ取付ベース140と略同じサイズである。
【0033】
LEDフレーム122は、ブラケット123によりアルミボディ410に固定されている。LEDフレーム122の外周面にブラケット123の一端がネジ等により固定され、アルミボディ410の外周面にブラケット123の他端がネジ等により固定される。ブラケット123は、長方形に延びる板状の固定部材である。ブラケット123は、LEDフレーム122を安定して支持するため、LEDフレーム122の各長辺部にそれぞれ2箇所、合計4箇所の位置に固定される。
【0034】
LEDフレーム122の長辺部は、アルミボディ410よりもサイズ(幅)が大きいため、ブラケット123は、LEDフレーム122とアルミボディ410のサイズに合わせて折れ曲がっている。ブラケット123は、LEDフレーム122の外周の位置から垂直方向にアルミボディ410へ向かって延び、アルミボディ410の近傍で水平方向に内側へ折れ曲がり、さらに、アルミボディ410の外周の位置で垂直方向に折れ曲がって延びている。
【0035】
図4は、本実施の形態に係るカメラアレイユニット110の拡大側面図である。
図4に示すように、
図3A〜
図3Dと同様、カメラアレイユニット110は、カメラ基板401、LED基板402、拡散板403、アルミボディ410を備えている。また、カメラモジュール111は、撮像素子(CMOSセンサ)310、レンズ313、レンズを収容するレンズボディ314を備えている。
【0036】
カメラ基板401の下面側(カメラ基板401上ともいえる)に撮像素子310が実装されている。撮像素子310は、画像の歪みが生じないための精度を満たしていることが好ましい。また、アルミボディ410は、カメラ基板401の下面側に、ネジ等の固定部材410aにより固定されている。
【0037】
LED基板402の下面側(LED基板402上ともいえる)にLED112が実装されている。LED基板402は、アルミボディ410の下面側に、連結ネジ等の固定部材402aにより固定されている。拡散板403は、LED基板402の下面側に、連結ネジ等の固定部材403aにより固定されている。固定部材402a及び固定部材403aは同じ位置でLED基板402及び拡散板403を固定し、互いに連結されることで、LED基板402及び拡散板403をアルミボディ410に固定している。拡散板403を配置することで、LED112が撮影した画像に写り込むことを防ぐことができる。
【0038】
レンズボディ314は、カメラ基板401と拡散板403の間の位置に配置され、例えば、レンズボディ314の光を受光する開口部が拡散板403の位置となるように配置されている。レンズボディ314では、拡散板403の近傍にレンズ313が配置されている。LED112及びレンズ313の位置は、撮影した画像に影が生じないための条件を満たすことが好ましい。
【0039】
図5は、本実施の形態に係る基板検査装置の光学系の動作原理を示している。
図5に示すように、カメラ基板401上にカメラモジュール111が表面実装され、LED基板402上にLED112が表面実装されている。これにより、高集積化と低コスト化を両立することができる。
【0040】
LED112は高輝度LEDであり、LED112の表面が拡散キャップ112aにより覆われている。拡散キャップ112aにより、LEDを高輝度拡散LEDとし、拡散板403の手前の段階で、LED112の光を拡散させ、直進性を弱めている。
【0041】
拡散板403は、高分子ポリマー拡散板である。拡散板403により、LED112の光をさらに拡散させ、LED112の光の直進性をさらに弱めている。拡散板403により光を拡散させることで、カメラモジュール111の撮影範囲の大部分の領域に光を照射できる。さらに、本実施の形態では、低角照明ユニット120のLED121(サイド照明)を配置している。LED121を配置することで、被検査基板130の周辺部から中央部へ向かって光を照射し、被検査基板130の全体を明るくすることができる。高角のLED112及び低角のLED121により、被検査基板130上に付着している異物131を明るくすることができるため、異物131を精度よく検出することができ、また、コネクタピン等その他の検査対象についても精度良く検査を行うことができる。
【0042】
このように、複数のLED112及びLED121により被検査基板130へ光を照射し、複数のカメラモジュール111により被検査基板130を撮影し、精度よく検査を行うためには、以下のような要素を考慮・検討し、基板検査装置1の光学系を設計することが好ましい。
【0043】
図6は、カメラモジュール111の間隔、カメラ基板401と被検査基板130の距離、カメラモジュール111の焦点の関係を示している。例えば、カメラモジュール111の間隔を32.40mm、カメラ基板401と被検査基板130の距離を150.00mmとすると、カメラモジュール111の焦点に対し、1つ隣のカメラモジュール111との角度は12.57°、2つ隣のカメラモジュール111との角度は26.42°となる。この位置関係及び角度を考慮し、LED112及びLED121の照射位置及び照射光量等を設定する。
【0044】
図7は、使用するLEDの例である。例えば、LED112及びLED121には、日亜化学製の高輝度LEDであるNSSW064を使用する。NSSW064を、縦27.48mm、横38.40mm(間隔1.00mm含む)の領域に配置する。このようなLEDのパラメータを考慮して、LED112及びLED121の照射位置及び照射光量等を設定する。
【0045】
図8及び
図9は、LEDの指向特性を示し、LEDの放射角度/焦点からの距離に対する光度分布を示している。LEDの光は、放射角度が広がるにしたがって、すなわち、焦点から離れるにしたがって、光度が弱まる。このようなLEDのパラメータを考慮して、LED112及びLED121の照射位置及び照射光量等を設定する。特に、LEDの光は直進性が強いため、放射角度0°付近、すなわち、焦点付近では、撮影する画像にハレーションが生じないように設定する。
【0046】
図10及び
図11は、カメラアレイユニット110のカメラモジュール111とLED112の配置関係、光度分布を示している。例えば、拡散光の光度を重ね合わせたとき、光度むらができる限り小さくなるように、LEDを選定することが好ましい。また、個々のカメラモジュール111のカメラ(撮像素子310)の撮像範囲には、ばらつきがあるため、撮像範囲が重複する領域を設け、盲点(撮影もれ)の無いようにカメラを配置することが好ましい。さらに、個々のカメラの撮像範囲のばらつきを検出するため、矯正板を作り、基板検査装置出荷前に補正を行い、定期点検を実施することが好ましい。また、撮像素子310には、カラーカメラを使用し、R(赤)とG(緑)フレームのみ使用し、B(青)フレームは無視してもよい。
【0047】
図12は、低角照明ユニット120のLED121による効果を示している。カメラアレイユニット110のLED112は、被検査基板130から離れた位置に配置され、被検査基板130に対して高角に光を照射する。このため、被検査基板130上の突起132の形状によって、高い角度からのLED112の光が低い角度に反射されることとなり、カメラアレイユニット110の撮像素子310に反射光が届きにくいため、突起132を検出することが困難である。本実施の形態では、低角照明ユニット120のLED121を、被検査基板130の近い位置に配置し、被検査基板130に対して低角に光を照射する。これにより、被検査基板130上の突起132は、低い角度からのLED121の光を、高い角度に反射することとなり、カメラアレイユニット110の撮像素子310に反射光が届きやすくなるため、突起132を容易に検出することができる。
【0048】
以上のような本実施の形態の効果について説明する。特許文献1などの従来の基板検査装置では、カメラを移動して被検査対象を撮影することで検査を行っていた。このため、上記のように検査のサイクルタイムに無駄が生じ検査速度が遅くなるという問題がある。
【0049】
また、従来の基板検査装置では、カメラを移動するためのアクチュエータが必要になり、また、安全を確保するための装置が必要である。このため、基板検査装置のコストが高くなってしまい、また、設備筐体が大きくなってしまう。さらに、基板の両面を同時に検査することが困難である。
【0050】
そこで、本実施の形態では、複数のカメラをアレイ状に配列したカメラアレイにより、基板を撮影し検査を行うこととした。これにより、従来技術のようにカメラを移動させる必要がなく、画像取得速度が速くなるため、検査速度を向上し、効率よく検査を行うことができる。また、カメラを移動させるためのアクチュエータが不要であるため、コストを低減し、設備筐体も小さくすることができる。さらに、設備が小さいため、基板の両面を同時に検査することも可能である。
【0051】
また、カメラアレイだけでは、高い角度からの落射照明のみになるため、基板上の突起物等の検出力が不足するという問題がある。このため、本実施の形態では、複数カメラを固定したプリント基板検査装置で、基板上に付着した異物や、実装部品の脱落、はんだ付けの不具合を検出するために最適な照明構造を提案する。具体的には、複数カメラ間にLEDを配置し、さらに、複数カメラを囲む外周LED(低角LED)を配置することで、基板を明るくし照射し、基板上の突起物等の検出を可能にする。
【0052】
(実施の形態2)
以下、図面を参照して実施の形態2について説明する。本実施の形態では、実施の形態1の基板検査装置1を用いた基板検査方法について説明する。基板検査装置1における基板撮影部100等の構成については、実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
【0053】
図13は、本実施の形態に係る画像処理パソコン220の機能ブロックを示している。
図13に示すように、画像処理パソコン220は、画像データ受信部221、検査画像生成部222、検査領域探索部223、良否判定部224、CADデータ記憶部225を備えている。例えば、画像処理パソコン220は、一般的なコンピュータ装置から構成される。画像処理パソコン220は、中央処理装置(CPU)、メモリやハードディスク装置等の記憶装置、キーボード等の入力装置、液晶ディスプレイ等の表示装置、カメラアレイユニット110及びPLC230に接続するインタフェース部等を含んでいる。記憶装置には、本実施の形態に係る基板検査処理を実行するための基板検査プログラムが記憶され、このプログラムをCPUが実行することで、各機能ブロックが実現される。なお、画像処理パソコン220は、単一のコンピュータに限らず、複数のコンピュータによって構成することも可能である。
【0054】
画像データ受信部221は、カメラアレイユニット110が撮影した被検査基板130の画像データを受信する。カメラアレイユニット110の複数のカメラモジュール111が撮影した複数の画像データを受信する。検査画像生成部222は、画像データ受信部221が生成した複数の画像データに基づいて、被検査基板130を検査するための検査画像(再構成画像)を生成する。すなわち、検査画像生成部222は、複数の画像データを合成して、被検査基板130の基板面130a全体の画像を再構成する。
【0055】
検査領域探索部223は、検査画像生成部222が生成した検査画像から、コネクタピン等の被検査対象を含む検査領域を探索する。CADデータ記憶部225は、コネクタピン等を実装する位置情報を含むCADデータ(実装情報)を記憶する。検査領域探索部223は、CADデータ記憶部225に記憶されているCADデータを参照し、CADデータの位置情報に基づいて、検査を行うための検査領域を特定する。良否判定部224は、検査領域探索部223が探索した検査領域の画像パターンを解析し、被検査対象の良否を判定する。
【0056】
図14は、本実施の形態に係る検査方法の概要を示している。この検査方法は、本実施の形態に係る基板検査装置1で実行される基板検査処理であり、特に、基板検査処理に含まれるコネクタピン間ショート検査処理(コネクタピン間ショート検査方法)の概要を示している。本実施の形態に係るコネクタピン間ショート検査処理では、フラックス残渣に影響されずに、コネクタピン間ショートとコネクタ部の未はんだ(ヌレ不良含む)を検出可能とする。なお、ここでは被検査対象をコネクタピン(実装部)とし、コネクタピンのショート状態(短絡状態)及び未はんだ状態を検査するが、その他の実装部の実装状態を検査してもよい。
【0057】
図14に示すように、まず、画像データ受信部221は、カメラアレイユニット110から複数の画像データを受信する(S101)。基板検査装置1が被検査基板130の検査を開始すると、被検査基板130が基板撮影部100の下方に配置される。配置された被検査基板130の基板面130aに対し、カメラアレイユニット110のLED112および低角照明ユニット120のLED121から光を照射し、照射された基板面130aをカメラアレイユニット110の複数のカメラモジュール111により撮影し、画像データ受信部221が、カメラアレイユニット110から複数の画像データを受信する。
【0058】
続いて、検査画像生成部222は、受信した画像データに基づいて検査画像を生成する(S102)。被検査基板130の基板面130aの検査を行うため、受信した複数の画像データを再構成し、基板面130aの検査画像を生成する。また、検査画像生成部222は、検査画像から、本実施の形態の検査方法に適した加工画像を生成する。例えば、画像データの位置(i,j)でのB層輝度(青色成分)をB(i,j)、G層輝度(緑色成分)をG(i,j)、R層輝度(赤色成分)をR(i,j)とするとき、[256×{1−B(i,j)/R(i,j)}の反転]×G(i,j)を加工画像とする。
【0059】
続いて、検査領域探索部223は、生成した加工画像(検査画像)の中から、コネクタピン間ショート検査を行うためのコネクタピン領域(コネクタピン間ショート検出領域)を探索する(S103)。検査領域探索部223は、CADデータ記憶部225のCADデータからコネクタピン(ICピン)の並び位置を計算する。
【0060】
ここでは、
図15に示すようなX座標方向に配列されたコネクタピン501(501−1〜501−n)を含むコネクタピン間ショート検出領域500の検出の例について説明する。具体的には、下記の条件1に基づき、加工画像の中からコネクタピン間ショート検出領域500の画像を切り出す。なお、コネクタピンを電極と称する場合がある。
(電極位置X座標 または Y座標が同じ)かつ(電極IDが連番)かつ(隣接ピンの電極位置Y座標 または X座標間の距離がしきい値Dcnth以下) ・・・ (条件1)
【0061】
上記の条件1を満たしている電極データの組を、「コネクタピン501の並び」として定義する。ここでは、複数の電極位置Y座標が同じであるとして、下記の式1によりコネクタピン間ピッチを計算する。
(コネクタピン間ピッチ)=(1番目の電極位置X座標)−(2番目の電極位置X座標) ・・・(式1)
【0062】
すなわち、
図15ではコネクタピン501−1(1番目の電極)とコネクタピン501−2(2番目の電極)のX座標の差分からコネクタピン間ピッチを計算する。なお、1番目及び2番目以外のコネクタピン501の座標からコネクタピン間ピッチを計算してもよいし、2以上のコネクタピン間ピッチの平均を用いてもよい。
【0063】
さらに、下記の式2、式3によりXlcntmp、Ylcntmpを計算する。
図15に示すようにXlcntmp、Ylcntmpは、正式な領域サイズを計算するための仮の領域サイズである。なお、穴径は、コネクタピン(電極)の直径である。
Xlcntmp=(最後の電極位置X座標)−(1番目の電極位置X座標)+(穴径) ・・・(式2)
Ylcntmp=(穴径) ・・・(式3)
【0064】
これにより、下記の式4〜式7のように、Xcn、Ycn、Xlcn、Ylcnを求める。
図15に示すようにXcn、Ycnはコネクタピン間ショート検出領域500の中心座標であり、Xlcn、Ylcnはコネクタピン間ショート検出領域500のサイズである。
Xcn={(1番目の電極位置X座標)+(最後の電極位置X座標)}/2 ・・・(式4)
Ycn=(1番目の電極位置Y)+(穴径)/2 ・・・(式5)
Xlcn=Xlcntemp+(コネクタピン間ピッチ) ・・・(式6)
Ylcn=Ylcntemp ・・・(式7)
【0065】
すなわち、コネクタピン間ショート検出領域500は、コネクタピン501が並ぶX方向の領域サイズXlcnを、複数のコネクタピン501のX方向の配置領域サイズ(Xlcntmp)にマージンとしてコネクタピン間ピッチを加えたサイズとし、コネクタピン501が並ぶ方向と垂直なY方向の領域サイズYlcnを、コネクタピン501のY方向のサイズとする。
【0066】
続いて、良否判定部224は、検出したコネクタピン間ショート検出領域の画像を解析し、コネクタピン間ショートおよび未はんだを検出する(S104)。ここでは、
図15と同様、
図16に示すようなX座標方向に延びるコネクタピン間ショート検出領域500の検査の例について説明する。
【0067】
具体的には、コネクタピン間ショート検出領域500内部の画像を取り込み、コネクタピン501が形成されている(生えている)方向の輝度累積値を計算する。
図16(a)の例では、コネクタピン間ショート検出領域500がX座標方向に延びているため(X方向にコネクタピンが配列されているため)、Y座標方向に向かって輝度を積算し累積値(積算値)を求める。
【0068】
そして、
図16(b)および(c)のように、算出した輝度累積値と上しきい値および下しきい値とを比較する。上しきい値及び下しきい値は、コネクタピンの短絡状態を判定するための短絡判定しきい値である。コネクタピン間ショート検出領域500では、輝度累積値が、(ここではX方向に向かって)上しきい値を連続で超えることと、下しきい値を連続で下回ることが、サイクリックに繰り返すことによりコネクタピン間ショートの有無を判定する。すなわち、下記の条件2と条件3をサイクリックに繰り返し、一回も外れないことが条件となる。
(上しきい値を超えている)かつ(上しきい値を連続して超えた回数が、Thcn1回以上Thch2回以下) ・・・(条件2)
(下しきい値を下回っている)かつ(下しきい値を連続して下回った回数が、Tlcn1回以上Tlcn2回以下) ・・・(条件3)
【0069】
条件2および条件3を満たす場合、コネクタピン間ショートは発生していないものとし、条件2または条件3を満たさない場合、コネクタピン間ショートが発生しているものとする。すなわち、輝度累積値が連続して上しきい値よりも大きい範囲が、第1の範囲内(Thcn1回以上Thch2回以下の範囲)に含まれない場合、及び、輝度累積値が連続して下しきい値よりも小さい範囲が、第2の範囲内(Tlcn1回以上Tlcn2回以下の範囲)に含まれない場合、コネクタピンがショートしていると判定する。例えば、
図16(b)では、輝度累積値が、一定の範囲で上しきい値を連続で超え、かつ、一定の範囲で下しきい値を連続で下回っているため、コネクタピン間ショートは発生していないと判断する。
図16(c)では、一定の範囲で上しきい値を連続で超えているが、一定の範囲で下しきい値を連続で下回っていないため、コネクタピン間ショートが発生していると判断する。
【0070】
また、条件2を満たす間の輝度累積値の最大値をIchmax、輝度累積値の最小値をIchminとして、下記の条件4に基づき未はんだを検出する。Ichdifth(Δthreshold)は、コネクタピンの未はんだ状態を判定するための未はんだ判定しきい値である。
Δthreshold=Ichdifth≦Ichdif=Ichmax−Ichmin ・・・(条件4)
【0071】
条件4を満たす場合、すなわち、輝度累積値の最大値と最小値の差分がしきい値よりも大きい(しきい値以上)場合、未はんだが発生していると判定し、条件4を満たさない場合、すなわち、輝度累積値の最大値と最小値の差分がしきい値よりも小さい場合、未はんだは発生していないものと判定する。
【0072】
なお、一時的な値の低下防止アルゴリズムとして、下しきい値を一時的に下回っても、Thcne回以内に上しきい値を超えた場合、下しきい値を超えたことを無視してもよい。この場合、一時的に下しきい値を下回ってから、上しきい値を再度超えるまでのカウント数は、上しきい値を連続して超えた回数に通算する。
【0074】
まず、検査領域探索部223は、CADデータのコネクタピン501の並び位置が、上記の条件1を満たすか否か判定する(S201)。条件1を満たさない場合、検査対象外のため処理を終了する。
【0075】
S201において、条件1を満たす場合、検査領域探索部223は、複数のコネクタピン501の電極Y座標が同じか否か(S202)、複数のコネクタピン501の電極X座標が同じか否か(S203)を判定する。S202において、複数のコネクタピン501の電極Y座標が異なり、かつ、S203において、複数のコネクタピン501の電極X座標も異なる場合、データが異常であるため処理を終了する(S204)。
【0076】
S202において、複数のコネクタピン501の電極Y座標が同じ場合、上記の式1〜式7により、X座標方向に延びるコネクタピン間ショート検出領域500を特定する。すなわち、検査領域探索部223は、上記の式1よりX座標方向のコネクタピン間ピッチを計算し(S205)、上記の式2、式3より仮領域サイズXlcntmp、Ylcntmpを計算し(S206)、上記の式4〜式7よりコネクタピン間ショート検出領域500の中心座標Xcn、Ycn、領域サイズXlcn、Ylcnを計算する(S207)。
【0077】
続いて、良否判定部224は、コネクタピン間ショート検出領域500のY座標方向の輝度累積値を計算する(S208)。計算した輝度累積値を用いて、XcnからX座標方向に探索を開始する(S209)。探索を行うために、まず、輝度累積値の最大値Ichmax=∞、輝度累積値の最小値Ichmin=−∞に初期化する(S210)。
【0078】
続いて、良否判定部224は、探索範囲のX座標がXcn+Xlcn以下か否か判定する(S211)。S211において、探索範囲のX座標がXcn+Xlcn以下である場合、良否判定部224は、輝度累積値が上しきい値を超えているか否か判定する(S212)。S212において、輝度累積値が上しきい値を超えている場合、輝度累積値の最大値Ichmaxと最小値Ichminを更新し(S213)、S211以下の処理を繰り返す。
【0079】
S212において、輝度累積値が上しきい値以下の場合、良否判定部224は、上記の条件2を満たすか否か判定する(S214)。すなわち、良否判定部224は、上しきい値を連続して超えた回数が、Thcn1回以上Thcn2回以下であるか否か判定する。
【0080】
S212において、条件2を満たす場合、すなわち、上しきい値を連続して超えた回数が、Thcn1回以上Thcn2回以下の場合、良否判定部224は、探索範囲のX座標がXcn+Xlcn以下であるか否か判定する(S215)。
【0081】
S215において、探索範囲のX座標がXcn+Xlcn以下である場合、良否判定部224は、上記の条件4を満たすか否か判定する(S216)。すなわち、良否判定部224は、Ichdif=Ichmax−Ichminを計算し、Ichdifth≦Ichdifを満たすか否か判定する。
【0082】
S216において、条件4を満たさない場合、すなわち、IchdifがIchdifthより小さい場合、良否判定部224は、輝度累積値が下しきい値を下回っているか否か判定する(S217)。
【0083】
S217において、輝度累積値が下しきい値を下回っている場合、S215以下の処理を繰り返す。また、S217において、輝度累積値が下しきい値以上の場合、良否判定部224は、上記の条件3を満たすか否か判定する。すなわち、良否判定部224は、下しきい値を連続して下回った回数が、Tlcn1回以上Tlcn2回以下であるか否か判定する(S218)。S218において、条件3を満たす場合、すなわち、下しきい値を連続して下回った回数が、Tlcn1回以上Tlcn2回以下である場合、S211以下の処理を繰り返す。
【0084】
S211、または、S215において、探索範囲のX座標がXcn+Xlcnを超えている場合、良否判定部224は、コネクタピン間ショート検出領域500で検出されたコネクタピンピン数が所定数に一致しているか否か判定する(S219)。S219において、検出されたコネクタピン数が所定数に一致している場合、検査OKと判定し(S220)、次の検査が行われる。
【0085】
S214において、条件2を満たさない場合、すなわち、上しきい値を連続して超えた回数が、Thcn1回以上Thcn2回以下ではない場合、または、S216において、条件4を満たす場合、すなわち、IchdifがIchdifth以上である場合、または、S218において、条件3を満たさない場合、すなわち、下しきい値を連続して下回った回数が、Tlcn1回以上Tlcn2回以下ではない場合、または、S219において、検出されたコネクタピン数が所定数に一致していない場合、良否判定部224は、検査NGと判定し(S221)、次の検査が行われる。
【0086】
S202において、複数のコネクタピン501の電極Y座標が異なり、かつ、S203において、複数のコネクタピン501の電極X座標が同じ場合、Y座標方向に延びるコネクタピン間ショート検出領域500を特定する。すなわち、検査領域探索部223は、下記の式8によりY座標方向のコネクタピン間ピッチを計算する(S222)。
(コネクタピン間ピッチ)=(1番目の電極位置Y座標)−(2番目の電極位置Y座標) ・・・(式8)
【0087】
続いて、検査領域探索部223は、下記の式9、式10より仮領域サイズXlcntmp、Ylcntmpを計算する(S223)。
Xlcntmp=(穴径) ・・・(式9)
Ylcntmp=(最後の電極位置Y座標)−(1番目の電極位置Y座標)+(穴径) ・・・(式10)
【0088】
続いて、検査領域探索部223は、下記の式11〜式14よりコネクタピン間ショート検出領域500の中心座標Xcn、Ycn、領域サイズXlcn、Ylcnを計算する(S224)。
Xcn=(1番目の電極位置Y座標)+(穴径)/2 ・・・(式11)
Ycn={(1番目の電極位置X座標)+(最後の電極位置X座標)}/2 ・・・(式12)
Xlcn=Xlcntemp ・・・(式13)
Ylcn=Ylcntemp+(コネクタピン間ピッチ) ・・・(式14)
【0089】
続いて、良否判定部224は、コネクタピン間ショート検出領域500のX座標方向の輝度累積値を計算する(S225)。計算した輝度累積値を用いて、YcnからY座標方向に探索を開始する(S226)。探索を行うために、まず、輝度累積値の最大値Ichmax=∞、輝度累積値の最小値Ichmin=−∞に初期化する(S227)。
【0090】
続いて、良否判定部224は、探索範囲のY座標がYcn+Ylcn以下か否か判定する(S228)。S228において、探索範囲のY座標がYcn+Ylcn以下である場合、良否判定部224は、輝度累積値が上しきい値を超えているか否か判定する(S229)。S229において、輝度累積値が上しきい値を超えている場合、輝度累積値の最大値Ichmaxと最小値Ichminを更新し(S230)。S228以下の処理を繰り返す。
【0091】
S229において、輝度累積値が上しきい値以下の場合、良否判定部224は、上記の条件2を満たすか否か判定する(S231)。すなわち、上しきい値を連続して超えた回数が、Thcn1回以上Thcn2回以下であるか否か判定する。
【0092】
S213において、条件2を満たす場合、すなわち、上しきい値を連続して超えた回数が、Thcn1回以上Thcn2回以下の場合、良否判定部224は、探索範囲のY座標がYcn+Ylcn以下であるか否か判定する(S232)。
【0093】
S232において、探索範囲のY座標がYcn+Ylcn以下である場合、良否判定部224は、上記の条件4を満たすか否か判定する(S233)。すなわち、良否判定部224は、Ichdif=Ichmax−Ichminを計算し、Ichdifth≦Ichdifを満たすか否か判定する。
【0094】
S233において、条件4を満たさない場合、すなわち、IchdifがIchdifthより小さい場合、良否判定部224は、輝度累積値が下しきい値を下回っているか否か判定する(S234)。
【0095】
S234において、輝度累積値が下しきい値を下回っている場合、S232以下の処理を繰り返す。また、S234において、輝度累積値が下しきい値以上の場合、良否判定部224は、上記の条件3を満たすか否か判定する。すなわち、良否判定部224は、下しきい値を連続して下回った回数が、Tlcn1回以上Tlcn2回以下であるか否か判定する(S235)。S235において、条件3を満たす場合、すなわち、下しきい値を連続して下回った回数が、Tlcn1回以上Tlcn2回以下である場合、S228以下の処理を繰り返す。
【0096】
S228、または、S232において、探索範囲のY座標がYcn+Ylcnを超えている場合、良否判定部224は、コネクタピン間ショート検出領域500で検出されたコネクタピン数が所定数に一致しているか否か判定する(S219)。S219において、検出されたコネクタピン数が所定数に一致している場合、検査OKと判定し(S220)、次の検査が行われる。
【0097】
S231において、条件2を満たさない場合、すなわち、上しきい値を連続して超えた回数が、Thcn1回以上Thcn2回以下ではない場合、または、S233において、条件4を満たす場合、すなわち、IchdifがIchdifth以上である場合、または、S235において、条件3を満たさない場合、すなわち、下しきい値を連続して下回った回数が、Tlcn1回以上Tlcn2回以下ではない場合、良否判定部224は、検査NGと判定し(S221)、次の検査が行われる。
【0098】
図18は、本実施の形態に係る検査方法によりコネクタピン間ショート検査を行った結果の例である。
図18(a)は、探索したコネクタピン間ショート検出領域500を示し、
図18(b)は、コネクタピン間ショート検出領域500の輝度累積値を示している。
【0099】
図18(a)では、ハッチングの濃さが輝度の高さを示している。ここでは、[{B(i,j)/R(i,j)×256}の反転]×R(i,j)を加工画像として、コネクタピン間ショート検出領域500を探索している。これにより、基板レジストの緑色が消え、金属色のみを残すことができる。
【0100】
図18(b)では、
図18(a)の輝度に応じた輝度累積値が示されている。
図18(b)のP1では、コネクタピン501の間がショートしており、輝度累積値が連続して高くなっている。この場合、上記のように上しきい値を連続して超える範囲が長くなることから、コネクタピン501間のショートを検出することができる。また、
図18(b)のP2のように、輝度累積値が上昇してから(上しきい値を超えてから)、下降するまで(下しきい値を下回るまで)の範囲により、コネクタピン501の幅を求めることができる。さらに、
図18(b)のP3のように、輝度累積値が下降してから(下しきい値を下回ってから)、上昇するまで(上しきい値を超えるまで)の範囲により、コネクタピン501間の距離(間隔)を求めることができる。
【0101】
図18(a)及び(b)のように、本実施の形態では、下地画像の作成に緑光を使用しないので、ソルダーレジストが抹消できる。ソルダーレジストを抹消した上に緑光を掛け合わせることで、ソルダーレジストの影響を抹消した上で、はんだフィット部分からの反射光が最も多い緑光を使用し、精度良くコネクタピンの検査を行うことができる。
【0102】
以上のような本実施の形態について説明する。特許文献1などの従来の基板検査装置では、検査したいコネクタピン間の上にカメラを移動して撮影することで検査を行っていた。このため、上記のように検査のサイクルタイムに無駄が生じ検査速度が遅くなるという問題がある。
【0103】
また、従来の基板検査装置では、カメラを移動させるためのアクチュエータが必要になり、また、安全を確保するための装置が必要である。このため、基板検査装置のコストが高くなってしまい、また、設備筐体が大きくなってしまう。さらに、基板の両面を同時に検査することが困難である。
【0104】
そこで、本実施の形態では、複数のカメラをアレイ状に配列したカメラアレイにより、基板を撮影し検査を行うこととした。これにより、実施の形態1と同様に、検査速度を向上し、効率よく検査を行うことができる。また、コストを低減し、設備筐体も小さくすることができる。さらに、設備が小さいため、基板の両面を同時に検査することも可能である。
【0105】
また、従来の基板装置では、1枚の画像にコネクタ全体が入りきらない場合、2分割処理する等の特別な措置が必要となる。本実施の形態では、カメラアレイが1度に撮影した複数の画像を再構成するのみで基板全体の画像を得ることができるため、特別な措置を必要とすることなく、コネクタ全体を検査することができる。また、本実施の形態では、統計値から算出した閾値を利用した計算方法を用いて、良否判定を行うことにより、検査速度をさらに速くすることができる。
【0106】
また、従来の基板検査装置では、多段に配置した照明を切り替えて照射し、光沢が移動することにより、フラックス残渣を検知する方法が使われていた。本実施の形態では、複数のカメラを固定配置する画像検査装置で、被検査基板の上に配置した平面照明だけでも、色情報の検知によってフラックス残渣を除去し、検査を行うことができる。
【0107】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。