(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記切り込み加工工程は、円盤の外周に等間隔に配した切り込み刃を前記第1基材シートと前記第2基材シートとを合わせた前記未塗工領域を挟んで受け部材に押し当て行う請求項1または2に記載の発熱体の製造方法。
前記切り込み加工工程において、前記切り込み刃を前記受け部材に押し当てることで、前記切り込み刃が当たっている部分の前記第1基材シートを前記第2基材シート内に押し込めるとともに、前記第1基材シートを押し込めた部分の前記第2基材シートが前記第1基材シート側とは反対側に押し出され、前記切り込み刃によって押し出された部分の前記第1基材シートと前記第2基材シートとが機械的に接合される請求項3に記載の発熱体の製造方法。
前記裁断工程後に、支持面が鉛直方向下方を向いている状態の無端ベルトに前記毎葉の複数枚の発熱体を支持するとともに、前記無端ベルトが周回して前記毎葉の複数枚の発熱体を搬送する工程を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の発熱体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係る発熱体の製造方法の好ましい一実施形態について、
図1および
図2を参照しながら、以下に説明する。
まず、発熱体の製造方法を実施するのに好適な発熱体の製造装置の要部を、
図1および
図2を参照しながら説明する。
【0009】
図1および
図2に示すように、発熱体の製造装置(以下、略して製造装置ということもある。)20は、塗工部30、電解質添加部40、貼り合わせ部50、スリット、切り込み加工部60、第1裁断部70、リピッチ部80、排出部90(フライトコンベア91)、被覆部100を備えている。
【0010】
図示しない調整装置によって予め調整された塗料32は、図示しない送液ポンプによって塗工部30に供給される。
本実施の形態では、塗工部30において、原反ロール1Aから繰り出された長手方向に沿って搬送される長尺帯体の第1基材シート1上に塗料32を塗工して発熱体層3を塗工する(塗工工程)。
塗工部
30は塗料32を塗工するダイコータ31を備えている。また、ダイコータ31の塗料吐出口に対向する位置に、原反ロール1Aから繰り出された長尺帯体の第1基材シート1が、コンベア33によって搬送され、その一方の面に、ダイコータ31によって、塗料32が塗工され、該一面に発熱体層3としての塗料層2が配される。このとき、第1基材シート1の側縁部、すなわち、第1基材シート1の幅方向(長手方向と直交する方向)両縁に未塗工領域1aが形成されるように塗料32を塗工して塗料層2を形成する。すなわち、第1基材シート1の幅方向両縁は、塗料32を塗工しない。未塗工領域1aは、第1基材シート1の両側縁部のうちのどちらか一方にのみ形成しても良く、第1基材シート1の両側縁部に形成するのがより好ましい。
第1基材シート1の両側縁部に未塗工領域1aを形成した場合、未塗工領域1aの幅方向の幅dは、第1基材シート1の幅W、塗料層2の幅wとすると、d=(W−w)/2となる。幅dは、切り込みを入れる幅を確保する観点から、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上、さらに好ましくは3mm以上とする。そして製造される発熱体の発熱効率という観点から、好ましくは15mm以下、より好ましくは10mm以下、さらに好ましくは5mm以下とする。具体的には、好ましくは1mm以上15mm以下、より好ましくは2mm以上10mm以下、さらに好ましくは3mm以上5mm以下とする。
【0011】
塗料層2中の水分の一部が第1基材シート1に吸収されるので、塗料層2の含水率は、塗料32中の含水率よりも低下する。その結果、塗料層2の流動性が低下する。
塗料32の塗工方法としては、各種公知の塗工方法を特に制限無く用いることができる。例えばロール塗布、ダイコーティング、スクリーン印刷、ロールグラビア、ナイフコーティング、カーテンコーター等などが用いられる。塗布の簡易性、塗布量の制御のし易さ、塗工膜厚の均一性の観点からダイコーティングが好ましい。
【0012】
電解質添加部40において、電解質41を散布する。電解質41にはその紛体を用いる。また、塗工後の第1基材シート1は、コンベア33によって、塗工部30から電解質添加部40に搬送され、その第1基材シート1の塗工面に向かって、電解質41が塗料層2に散布され、発熱体層3となる。このときの電解質41の散布幅weは、塗料層2の幅wよりも狭く、通常、1mm以上10mm以下程度に狭く散布する。また、電解質41が散布されない領域の幅は幅方向両側で均等とすることが好ましい。
電解質41の添加によって、発熱体層3中に発熱に好適な電解質濃度を確保することができるとともに、紛体の電解質41は、塗料層2と第1基材シート1に含まれる水分によって、溶解される。さらに第2基材シート4を発熱体層3側に接着するように供給し、貼り合わせ部
50に送る。なお、電解質
41は水溶液であってもよい。
これにより、第2基材シート4に発熱体層3中の水分が吸収保持され、発熱体層3の水分率および電解質濃度が好適になる。
【0013】
本実施の形態では、貼り合わせ部
50において、発熱体層3を挟んで第1基材シート1と第2基材シート4とを貼り合わせる(貼り合わせ工程)。
貼り合わせ部50は、コンベア33とそれに対向するニップロール51と間に挟むことによって、第1基材シート1上に作製された発熱体層3を第1基材シート1と第2基材シート4に貼り合わせる。この時の圧力は、発熱体層3が両シートに貼り合わされるように、4.5MPa以上、好ましくは5.5MPa以上、さらに好ましくは6MPa以上であり、そして未塗工領域1aを保つという観点から、15MPa以下、好ましくは13MPa以下、さらに好ましくは10MPa以下である。具体的には、4.5MPa以上15MPa以下、好ましくは5.5MPa以上13MPa以下、さらに好ましくは6MPa以上10MPa以下である。貼り合わせ部50で発熱体層3を介して第2基材シート4を貼り合わせた第1基材シート1は、スリット、切り込み加工部60に送られる。
【0014】
本実施の形態では、スリット、切り込み加工部60において、未塗工領域1aに切り込みを複数形成して第1基材シート1と前記第2基材シート4とを接合する切り込み加工工程を行う。
スリット、切り込み加工部60は、第1基材シート1の長手方向、すなわち第1基材シート1の搬送方向に、切り込み5(ミシン目)とスリット6を作製するものである。切り込み5は未塗工領域1aに配される。スリット6は、発熱体層3を幅方向に2分する位置に配される。また切り込み5の第1基材シート1の長手方向における間隔は、切り込み5によるシート同士の接合力が変化しないように、等間隔であることが好ましい。このような等間隔の切り込み5はミシン目で作製されてもよい。
【0015】
次に、切り込み加工(ミシン目加工)の切り込みについて
図2を参照して説明する。
切り込み加工に用いる切り込み刃(図示せず)は、詳細は後述するが、円盤の外周に連続した刃が配されたスリッター刃に、等間隔に隙間を作り、円盤の外周に等間隔にスリッター刃を残すことで切り込み刃を作製したものである。
この切り込み刃を用いて、第1基材シート1と第2基材シート4を合わせた未塗工領域1aに切り込み5を作製するには、円盤を回転させながら第1基材シート1側から切り込みを、未塗工領域1aを挟んで受け部材としてのアンビルロール62に押し当てる。これによって、切り込み刃が当たっている部分の第1基材シート1を第2基材シート4内に押し込めるとともに、第1基材シート1を押し込めた部分の第2基材シート4が第1基材シート1側とは反対側に押し出され、切り込み刃によって押し出された部分の第1基材シート1と第2基材シート4が機械的に接合される。このとき、第1基材シート1は切り込み刃によって直接押されるが、第2基材シート4は第1基板シート1を介して押される。このため、切り込み刃によって第2基材シート4が第1基材シート1よりも広く広げられるので、その広げられた部分が戻ろうとする力は第2基材シート4の方が強くなる。この第2基材シート4の戻ろうとする力が第1基材シート1の戻ろうとする力を上回るので、第1基材シート1と第2基材シート4とが接合される。したがって、機械的に接合とは、シート同士が接触することによる摩擦力で接合することを意味する。なお、その接合には繊維同士が絡み合うことによる接合も含まれてもよい。
したがって、第1基材シート1と第2基材シート4を合わせた未塗工領域1aに切り込み5によって接合されていれば、切り込み刃によって貫通孔が開いていても開いていなくとも、どちらでもよい。
また、幅方向中央部をスリッター刃210によって、第2基材シート4、発熱体層3および第1基材シート1を併せて切断する。
【0016】
切り込み刃が回転しているので、切り込み刃の各刃が順に第1基材シート1に押し当てられて、各刃に対応して第1基材シート1と第2基材シート4を合わせた未塗工領域1aに等間隔に切り込み5が作製される。
本実施形態においては、発熱体の柔軟性向上の目的で、発熱体層塗工領域(発熱体層3)に切り込み5を設けても構わない。切り込み5の間隔は、等間隔であっても、間隔が規則的に狭くなったり広くなったりしたものでもよい。また切り込み5は、発熱体層3に作製されるもので、切り込み5の作製方法は刃の押し当てる深さを調整した以外上記と同様であり、切り込み刃が発熱体層3に押し当てられることで、発熱体層3に切り込み5が作製される。
さらにスリット6は、円盤の外周に連続した刃が配された刃210によって切られることで作製される。
【0017】
本実施の形態では、ミシン目形状の切り込み、すなわち、複数の切り込み5の配列方向と各々の切り込み5自身の延びる方向とが一致するように切り込み加工が形成されている。また切り込み5の形状は、第1基材シート1と前記第2基材シート4とを接合するものであれば、他の形状であっても構わない。例えば、第1基材シート1の長手方向と直交する方向に延びる切り込みが長手方向に並んで配列する切り込み形状であっても構わない。非塗工領域1a内に切り込みを形成するという観点から、複数の切り込みの配列方向と各々の切り込み自身の延びる方向とが一致する切り込み形状が好ましい。
【0018】
上記切り込み5を作製する切り込み刃200は、一例として、
図3に示すように、円盤201の外周に連続した刃が配されたスリッターの刃202に、等間隔に隙間203を作り、円盤201の外周に等間隔にスリッターの刃202を残すことで切り込みの刃204を作製したものである。切り込みの刃204の厚み方向の断面形状は、先端に丸みを有する三角形であり、好ましくは先端に丸みを有する2等辺三角形である。先端の丸み半径Rは、シートへの刺さり易さから、好ましくは1mm以下、より好ましくは0.5mm以下、さらに好ましくは0.3mm以下である。また、厚み方向の断面の刃先の角度θは、第1基材シート1と第2基材シート4との接合性の観点から、好ましくは5°以上、より好ましくは10°以上、さらに好ましくは15°以上であり、そして好ましくは60°以下、より好ましくは50°以下、さらに好ましくは45°以下である。切り込みの刃204の厚みtは、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下、さらに好ましくは3mm以下である。さらに切り込みの刃204の周方向の長さLは、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上、さらに好ましくは3mm以上であり、そして好ましくは15mm以下、より好ましくは10mm以下、さらに好ましくは5mm以下である。また、切り込みの刃204の周方向の間隔dc(隙間203の周方向の長さ)は、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.5mm以上、さらに好ましくは1mm以上であり、そして好ましくは15mm以下、より好ましくは10mm以下、さらに好ましくは3mm以下である。
切り込み刃200は、好ましい一例として、先端の丸み半径Rが0.1mm、刃先の角度θが45°の2等辺三角形で、切り込みの刃204の厚みtが2.1mm、刃の周方向の長さLが3mmで間隔dcが1mmである。
【0019】
本実施の形態の切り込み加工工程においては、後述する裁断工程において形成される毎葉の各発熱体11に複数の切り込みが形成されるように切り込み加工することが好ましい。切り込み数は、発熱体11の長さや切り込みの長さによって変わってくる。例えば長さが49mmの発熱体11に対し、長さが3mmの切り込みを配した場合、各々の発熱体11の1つの側縁部に並んで形成される切込みの数は、好ましくは5以上、より好ましくは10以上、特に好ましくは12以上である。切り込み数が多くなるほど張り合わせ効果が高まるので、切り込み数に特に上限はないが、切り込みから切れないようするために、上記のように間隔dcも規定される。
また、切り込み長さの合計長さは、発熱体長さの好ましくは50%以上、より好ましくは65%以上、そして好ましくは90%以下、より好ましくは85%以下とする。また切り込みを等間隔で配したときの、切り込みと逃げ(切り込みと切り込みの間)との比は1:1〜10:1、より好ましくは2:1〜5:1とする。
【0020】
このようにして、
図1および
図2に示すように、連続長尺物からなる発熱体連続体10を作製する。その後、発熱体連続体10を第1裁断部70において、長手方向と交差する方向(幅方向)にわたって裁断する(裁断工程)。第1裁断部70は、周面にカッターの刃71を有するロータリーダイカッター72とアンビルロール73とを備えている。ロータリーダイカッター72とアンビルロール73との間を発熱体連続体10が通過することで裁断され、毎葉の複数枚の発熱体11が得られる。裁断された発熱体11は、リピッチ部80へ移送され、コンベア81で受け取る。
【0021】
発熱体連続体10の裁断は、発熱体連続体10の幅方向に行われる。例えば発熱体連続体10の幅方向にわたって直線的に行なうことができる。または、裁断線が曲線を描くように裁断を行なうことができる。
【0022】
毎葉となった発熱体11は、リピッチ部80に配置されたコンベア81の搬送ベルト
82上に載置される。搬送ベルト
82の搬送速度は、第1裁断部70に設置されたアンビルローラ73の周速よりも速くなっている。その結果、搬送方向において前後隣り合う発熱体11間の距離が広がり、発熱体10は所定の距離を置いて再配置される。
通常、コンベア81では、発熱体11をコンベア81側に吸引しながら搬送している。次のフライトコンベア91における発熱体11の搬送において、フライトコンベア91前段における発熱体11の落下を防ぐために、コンベア81の後段の吸引を停止してもよい。また、上記コンベア81では、発熱体11の幅方向の間隔も拡幅される。
このようなリピッチの機構としては従来公知のものを特に制限なく用いることができる。なお、搬送方向の前後とは搬送方向の上流側と下流側の意味である。
【0023】
リピッチされ幅方向に拡幅された発熱体11は、排出部90に搬送される。排出部90にはフライトコンベア91が備えられている。
フライトコンベア91は、回転軸が互いに平行になるように配置されている複数のローラと、各ローラ92間に架け渡された無端ベルト93とを有している。無端ベルト93は、
図1中、矢印方向に周回するようになされている。無端ベルト93の周回軌道は、その一部に、被搬送物の支持面が鉛直方向下方を向く部位93aを有している。発熱体11は、この部位93aを搬送される。つまり発熱体10は吊り下げられた状態で搬送される。このような状態での搬送を実現するために、下方を向く部位93aの位置には、周回軌道の内部にサクションボックス94が設置されている。また、無端ベルト93には図示しない透孔が設けられている。これによって、サクションボックス94を起動することで、該透孔を通じて周回軌道の外部から内部へ向けて空気が吸引されるように構成されている。この吸引によって、被搬送物である発熱体11は、無端ベルト93の支持面に吸引支持された状態で前記部位93aを搬送される。
【0024】
発熱体11をつり下げた状態で搬送することは、フライトコンベア91を欠陥品の排出装置として用いる場合に有利である。詳細には、フライトコンベア91よりも上流のいずれかの位置に欠陥検出用のセンサ(図示せず)を配置しておく。そして該センサによって発熱体10の欠陥を検出する。前記部位93aには排出ポイントを設けておき、検出された欠陥品がフライトコンベアにおける前記排出ポイントに到達したら、当該排出ポイントにおけるサクションボックス
94による空気の吸引を吹き出しに切り替える。これによって欠陥品を落下させることができ、製造ラインから容易に排出することができる。
サクションボックス94の吸引力は、発熱体11を落下させないために、好ましくは50Pa以上、より好ましくは100Pa以上、さらに好ましは200Pa以上である。そして発熱体11がコンベアベルトに張り付き、巻き上げさせないという観点から、好ましくは10kPa以下、より好ましくは8.0kPa以下、さらに好ましは6.0kPa以下である。具体的には、好ましくは50Pa以上10kPa以下、より好ましくは100Pa〜8.0kPa、さらに好ましは200Pa〜6.0kPaである。
また、発熱体11が小さいので、コンベア81とコンベア101同士の受け渡しでは不安定な受け渡しとなるところ、フライトコンベア91を介して発熱体11をコンベア81からコンベア101に安定して受け渡すことができる。
【0025】
フライトコンベア91で搬送される際に、第1基材シート1と第2基材シート4を合わせた未塗工領域1aに切り込み5が施されていることから、たとえ第2基材シート4から発熱体層3が剥離しても、切り込み5によって第2基材シート4に接合している第1基材シート1に支えられ、発熱体層3および第1基材シート1の脱落を抑制することができる。また発熱体層3から第1基材シート1が剥離しても、同様にして、第1基材シート1が第2基材シート4に接合されているので、基材シート1の脱落を抑制することができる。
【0026】
排出部90を通過してきた発熱体11は、被覆部100のコンベア101に受け渡される。被覆部100は、第1被覆シート12と第2被覆シート13によって発熱体11全体を被覆する。
第1被覆シート12は、発熱体11の発熱体層3が配されている側に配されて発熱体11を被覆する。他方、第2被覆シート13は、被覆部100が備えるコンベア101によって供給される。そして、フライトコンベア91によって、コンベア101上の第2被覆シート13上に発熱体11が配され、この発熱体11の発熱体層3が配されていない側を第2被覆シート13で被覆する。そして、第1被覆シート12および第2被覆シート13による被覆状態を保ちつつ、コンベア101により、被覆された発熱体11を
図2に示した封止部110に搬送する。
【0027】
封止部110は、周面に等間隔にかつ幅方向に平行にシール凸部(図示せず)を有する第1ロール112と、同じく周面に等間隔にかつ幅方向に平行にシール凸部(図示せず)を有する第2ロール112とを備えている。第1、第2ロール111、112は、その軸方向が平行になるように、かつ両ロールのシール凸部が互いに当接し、かつ第1、第2ロール111、112間に所定のクリアランスが生じるような位置関係で配置されている。
封止部110では、発熱体11の一方の面側から供給される第1被覆シート12と他方の面側から供給される第2被覆シート13が、シール凸部によって接合される。この接合は、熱融着、熱圧着、超音波接合、接着剤による接着等が挙げられ、発熱体11を取り囲むように連続した気密接合であっても、発熱体11を取り囲む不連続接合であってもよい。
【0028】
封止部110で各発熱体11が第1被覆シート12および第2被覆シート13に連続的に被覆されて、複数の発熱具が一方向に連結された状態の発熱具連続体14が得られる。第1被覆シート12および第2被覆シート13は、例えば、特開2012−000344号公報、特開2012−000345号公報等に記載されたものと同様なものを用いることができる。第2裁断部(図示せず)において、発熱具連続体14を、隣り合う発熱体11間において幅方向にわたって裁断する。第2裁断部は、ロータリーダイカッターとそれに対向するアンビルロールとを備えている。両部材間を発熱具連続体14が通過することで裁断が行なわれ、それによって目的とする発熱具(図示せず)が得られる。
【0029】
このようにして、この発熱具は、次工程(図示せず)において、酸素バリア性を有する包装袋内に密封収容される。
【0030】
次に、上記塗料32の原料について詳細に説明する。
被酸化性金属として、鉄、アルミニウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム、カルシウム等の粉末が挙げられる。好ましくは鉄の粉末が用いられる。
鉄粉の粒径は、鉄粉の酸化反応が効率的に行われるという観点から、好ましくは0.1μm以上300μm以下であり、より好ましくは0.1μm以上200μm以下であり、さらに好ましくは0.1μm以上150μm以下である。また、鉄粉中に、好ましくは粒径が0.1μm以上300μm以下のもの、より好ましくは0.1以上200μm以下のもの、さらに好ましくは0.1μm以上150μm以下のものを50質量%以上含有する。本明細書において、「粒径」は、動的光散乱法、レーザー回折法等により測定される平均粒径をいい、例えば、島津社製粒度分布測定装置で測定される平均粒径である。
【0031】
反応促進剤は、水分保持剤として作用する他に、被酸化性金属への酸素保持剤および酸素供給剤の少なくとも一方の機能も有しているものを用いる。例えば、活性炭、カーボンブラック、アセチレンブラック、黒鉛、ゼオライト、パーライト、バーミキュライト、シリカ等が挙げられる。少量の添加部数でも効率的に水を保持できるという観点から好ましくは活性炭を用いる。
【0032】
増粘剤には、例えば、グアガム、キサンタンガム、ローストビーンガム、カラギーナン、寒天、ヒドロキシメチルセルロース等が挙げられる。様々な環境化で安定であるという観点から好ましくはキサンタンガムを用いる。
【0033】
また、電解質には、被酸化性金属の粒子の表面に形成された酸化物の溶解が可能なものが用いられる。その一例として、アルカリ金属、アルカリ土類金属または遷移金属のそれぞれの、硫酸塩、炭酸塩、塩化物もしくは水酸化物等が挙げられる。これらの中でも、導電性、化学的安定性、生産コストに優れる点からアルカリ金属、アルカリ土類金属または遷移金属の塩化物が挙げられる。特に、塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属の塩化物、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等のアルカリ土類金属の塩化物、塩化第一鉄、塩化第二鉄等が挙げられる。
【0034】
上記原料の配合量は、例えば、被酸化性金属の粒子100部に対して、反応促進剤は、1部以上20部以下、好ましくは1部以上18部以下、さらに好ましくは2部以上14部以下を含む。水は、25部以上85部以下、好ましくは30部以上80部以下、さらに好ましくは35部以上75部以下を含む。また増粘剤を配合する場合には、0.05部以上10部以下、好ましくは0.07部以上8部以下、さらに好ましくは0.1部以上5部以下を含ませる。さらに界面活性剤を配合する場合には、0.1部以上15部以下、好ましくは0.15部以上12部以下、さらに好ましくは0.2部以上10部以下を含ませる。
また、水は、塗料の全体の質量を100%とすると、18質量%以上48質量%以下、好ましくは20質量%以上45質量%以下、さらに好ましくは23質量%以上43質量%以下含ませる。
塗料の粘度は23℃、50RHの大気雰囲気中で0.5Pa・s以上30Pa・s以下、好ましくは0.75以上25Pa・s以下、さらに好ましくは1以上15Pa・s以下とする。粘度の測定には、B型粘度計 4号ローター(東京計器製)を用いた。
【0035】
発熱体層3中の被酸化性金属の量は、坪量で表して100g/m
2以上3000g/m
2以下、特に200g/m
2以上1500g/m
2以下であることが、十分な発熱量を確保する観点から好ましい。
発熱体層3中の反応促進剤の量は、4g/m
2以上80g/m
2以下、特に8g/m
2以上50g/m
2以下であることが、長時間にわたり安定な発熱を維持する観点から好ましい。
同様の理由によって、発熱体層3中の電解質の量は、4g/m
2以上40g/m
2以下、特に5g/m
2以上30g/m
2以下であることが好ましい。
なお、これらの坪量は、基材シート1に発熱体層3を片面に1層形成した場合での値である。また、発熱体11の具体的な用途に合わせ、坪量は適宜調整される。
【0036】
電解質の添加量(固形分換算)は、前述した塗工工程における被酸化性金属の粒子の同一面積当たりの添加量100部に対して、0.5部以上15部以下、好ましくは0.75部以上12部以下、さらに好ましくは1部以上10部以下であることが好ましい。
【0037】
第1基材シート1、第2基材シート4としては、例えば親水性繊維を含む繊維シートを用いることができる。この繊維シートには高吸収性ポリマーの粒子を含有させることもできる。高吸収性ポリマーとしては、水を吸収保持してヒドロゲルを形成することが可能な三次元架橋重合体を用いることができる。
【0038】
繊維シートからなる第1、第2基材シート1、4は例えば、(イ)高吸収性ポリマーの粒子と親水性繊維とが均一に混合した状態の1枚のシートであり得る。また第1、第2基材シート1、4は、(ロ)高吸収性ポリマーの粒子が、該基材シートの厚み方向略中央域に主として存在しており、かつ該基材シートの表面には該粒子が実質的に存在していない構造を有するワンプライのものでもあり得る。更に第1、第2基材シート1、4は、(ハ)親水性繊維を含む同一の又は異なる繊維シート間に、高吸収性ポリマーの粒子が配置された2枚の繊維シートの重ね合わせ体でもあり得る。これら種々の形態をとり得る基材シートのうち、発熱組成物の層の含水率のコントロールを容易に行い得る観点から、基材シートとして(ロ)の形態のものを用いることが好ましい。
【0039】
繊維シートからなる第1基材シート1、第2基材シート4に含まれる親水性繊維としては、天然繊維及び合成繊維のいずれをも用いることができる。第1、第2基材シート1、4の構成繊維として親水性繊維を用いることで、発熱組成物の層に含まれる被酸化性金属粉との間で水素結合が形成されやすくなり、発熱組成物の層の保形性が良好になるという利点がある。また、親水性繊維を用いることで、第1、第2基材シート1、4の吸水性ないし保水性が良好になり、発熱組成物の層の含水率をコントロールしやすくなるという利点もある。これらの観点から、親水性繊維としてはセルロース繊維を用いることが好ましい。セルロース繊維としては化学繊維(合成繊維)及び天然繊維を用いることができる。
セルロースの化学繊維としては、例えばレーヨン及びアセテートを用いることができる。一方、天然のセルロース繊維としては、各種の植物繊維、例えば木材パルプ、非木材パルプ、木綿、麻、麦藁、ヘンプ、ジュート、カポック、やし、いぐさ等を用いることができる。これらのセルロース繊維のうち、太い繊維を容易に入手できる等の観点から、木材パルプを用いることが好ましい。セルロース繊維として太い繊維を用いることは、基材シートの吸水性ないし保水性や、発熱層の保持性等の観点から有利である。
上述の各種の親水性繊維は、その繊維長が好ましくは0.5mm以上、より好ましくは0.8mm以上であり、また、好ましくは6mm以下、より好ましくは4mm以下であることが、湿式法又は乾式法での基材シートの製造が容易である点から好ましい。
【0040】
第1、第2基材シート1、4には、上述の親水性繊維に加え、必要に応じて熱融着性繊維を配合してもよい。この繊維の配合によって、湿潤状態での基材シートの強度を高めることができる。熱融着性繊維の配合量は、基材シートにおける繊維の全量に対して好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
【0041】
繊維シートからなる第1基材シート1、第2基材シート4の少なくともいずれかには、上述のとおり高吸収性ポリマーの粒子が含まれていてもよい。前記の実施形態においては、第2基材シート4に高吸収性ポリマーの粒子が含まれ、第1基材シート1には高吸収性ポリマーが含まれないことが好ましい。第2基材シート4における高吸収性ポリマーの粒子の存在位置については先に述べたとおりである。
【0042】
高吸収性ポリマーとしては、自重の20倍以上の液体を吸収・保持できかつゲル化し得るヒドロゲル材料を用いることが好ましい。粒子の形状は、球状、塊状、ブドウ房状、繊維状等であり得る。粒子の粒径は、好ましくは1μm以上、より好ましくは10μm以上であり、また、好ましくは1000μm以下、より好ましくは500μm以下である。高吸収性ポリマーの具体例としては、デンプン、架橋カルボキシルメチル化セルロース、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合体又は共重合体等、ポリアクリル酸及びその塩並びにポリアクリル酸塩グラフト重合体などが挙げられる。高吸収性ポリマーの粒子は、基材シートに含まれる繊維材料に接合されていることが好ましい。接合には、例えば高吸収性ポリマーの粒子を湿潤させることで生ずる粘性を利用することができる。また、繊維材料からなるウェブに対し、重合性モノマーおよび該モノマーの重合進行物のいずれか一方または両方を含有する液状体を付着させ、重合させて形成した高吸収性ポリマーの粒子を用いたものでもよい。この高吸収性ポリマーの粒子は、繊維材料に接合された状態になっている。
【0043】
各基材シートに占める高吸収性ポリマーの割合は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上であり、また、好ましくは70質量%以下、より好ましくは55質量%以下であることが、基材シートの吸水性ないし保水性を好適なものとする観点及び発熱層の含水率のコントロールの観点から好ましい。なお、この割合は、基材シート上に発熱体層3が形成される前の乾燥状態にある該基材シートについて測定された値である。
第1基材シート1、第2基材シート4は、その坪量が好ましくは10g/m
2以上より好ましくは20g/m
2以上であり、また、好ましくは200g/m
2以下、より好ましくは160g/m
2以下である。第1、第2基材シート1、4の坪量をこの範囲内に設定することで、湿潤状態における第1、第2基材シート1、4の強度を十分に確保することができ、また第1、第2基材シート1、4の吸水性ないし保水性を好適なものとすることができる。一方、第1、第2基材シート1、4に含まれる高吸収性ポリマーの坪量は、好ましくは5g/m
2より好ましくは10g/m
2以上であり、また、好ましくは150g/m
2以下、より好ましくは100g/m
2以下である。高吸収性ポリマーの坪量をこの範囲内に設定することで、第1、第2基材シート1、4の吸水性ないし保水性を一層好適なものとすることができる。また、発熱層の含水率を一層コントロールしやすくなる。これらの坪量は、第1、第2基材シート1、4上に発熱組成物の層が形成される前の乾燥状態にある該第1、第2基材シート1、4について測定された値である。
【0044】
第1基材シート1、第2基材シート4のどちらか一方に高吸収性ポリマーを含有するシートを用いる場合、その高吸収性ポリマーを含有するシートの方を、フライトコンベア91の支持面に吸引支持して搬送することが好ましい。発熱体層3中の水分は、高吸収性ポリマーを含有しないシートよりも高吸収性ポリマーを含有するシート側に吸水されやすいため、重くなる傾向にある。したがって、高吸収性ポリマーを含有するシートを吸引支持した方が、フライトコンベア91による搬送中の剥離がより抑制されるからである。
【0045】
また、第1基材シート1、第2基材シート4のどちらか一方に、フィルムや不織布、紙を用いることもできる。例えば、合成樹脂フィルム、不織布等の繊維シートを用いることができる。合成樹脂フィルムの高分子材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、ポリ塩化ビニルなどを用いることができ、不織布に関しても、同材料の合成繊維を用いることができる。
【0046】
塗料32の塗工は、最終的に得られる発熱体11が所望の発熱を発現させ得る観点から、発熱体11の含水率が好ましくは5質量%以上40質量%以下、より好ましくは7.5質量%以上〜30質量%以下、さらに好ましくは10質量%以上〜25質量%以下となるように、行うことが好ましい。発熱体11の含水率を上記の範囲にするためには、貼り合わせ工程におけるニップ圧を調整することで実現することができる。具体的には、ニップ圧を上げることで、基材シート側に水分を強制的に移行させ発熱体11の含水率を低下させることができる。
このような含水率を得るには、第1基材シート1、第2基材シート4および発熱体層3を含めたシート全体の含水率は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上とし、そして好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下とする。具体的には、好ましくは20質量%以上60質量%以下、より好ましくは25質量%以上50質量%以下、さらに好ましくは30質量%以上40質量%以下とする。
【0047】
第1基材シート1、第2基材シート4および発熱体層3を含めたシート全体の含水率は、窒素環境下で、該シート全体の質量を測定し、その後、真空状態の105℃の温度の乾燥炉に2時間入れて水分を取り除き、再度、質量を測定し、差分の質量を水分量として含水量を算出する。
なお、上述の発熱体の含水率は、第1基材シート1に発熱体層3を1層形成した場合での値であるが、第1基材シート1の各面に発熱体層3を形成した場合でも上述の範囲を満たすことが好ましい。
発熱体層3の含水率は、窒素環境下で発熱体層3のみを基材シートから剥離し、その質量を測定し、その後、真空状態の105℃の温度の乾燥炉に2時間入れて水分を取り除き、再度、質量を測定し、差分の質量を水分量として含水量を算出する。
【0048】
また、塗料32の塗工坪量は、好ましくは150g/m
2以上、より好ましくは200g/m
2以上、さらに好ましくは300g/m
2以上とし、そして好ましくは4600g/m
2以下、より好ましくは3000g/m
2以下、さらに好ましくは2200g/m
2以下とする。具体的には、好ましくは150g/m
2以上4600g/m
2以下、より好ましくは200g/m
2以上3000g/m
2以下、さらに好ましくは300g/m
2以上2200g/m
2以下とする。
【0049】
このようにして製造された発熱具は、人体に直接適用されるか、または衣類に適用されて、人体の加温に好適に用いられる。人体における適用部位としては例えば肩、首、目、腰、肘、膝、太腿、下腿、腹、下腹部、手、足裏などが挙げられる。また、人体のほかに、各種の物品に適用されてその加温や保温等にも好適に用いられる。
また、上記発熱体11は、発熱具14の発熱部に用いられる他、他の構成の発熱具や、他の用途に用いることもできる。人体の加温に用いる場合には、水蒸気が発生する第1被覆シート12を肌側(人体側)に向けて適用する。
【0050】
上述した実施形態および実施態様に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0051】
<1>長手方向に沿って搬送される長尺帯体の第1基材シート上に該第1基材シートの側縁部に未塗工領域が形成されるように発熱体層を塗工する塗工工程と、
前記発熱体層を挟んで前記第1基材シートと第2基材シートとを貼り合わせる貼り合わせ工程と、
貼り合わされた前記第1基材シートを前記長手方向と交差する方向にわたり裁断して、列状に配置された毎葉の複数枚の発熱体を形成する裁断工程と、
を有する発熱体の製造方法であって、
前記毎葉の複数枚の発熱体それぞれに複数の切り込みが形成されるように、前記貼り合わせ工程後に前記未塗工領域に切り込みを複数形成して前記第1基材シートと前記第2基材シートとを接合する切り込み加工工程を有する発熱体の製造方法。
<2>複数の前記切り込みが前記第1基材シートの前記長手方向に並んで配されている<1>に記載の発熱体の製造方法。
<3>前記未塗工領域の前記長手方向と交差する方向の幅は、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上、さらに好ましくは3mm以上であり、好ましくは15mm以下、より好ましくは10mm以下、さらに好ましくは5mm以下である<1>または<2>に記載の発熱体の製造方法。
<4>前記貼り合わせ工程において、1対の対向するニップロール間を通過させることで第1基材シートと第2基材シートとを貼りあわせる<1>から<3>のいずれか1に記載の発熱体の製造方法。
<5>前記ニップロールのニップ圧が、4.5MPa以上、好ましくは5.5MPa以上、さらに好ましくは6MPa以上であり、15MPa以下、好ましくは13MPa以下、さらに好ましくは10MPa以下である<4>に記載の発熱体の製造方法。
<6>前記切り込み加工工程において、貼り合わされた第1基材シートおよび第2基材シートを、前記長手方向と直交する方向にスリットを形成して2分割にする<1>から<5>のいずれか1に記載の発熱体の製造方法。
<7>前記切り込み加工工程において、塗工された前記発熱体層に切り込みを設ける<1>から<6>のいずれか1に記載の発熱体の製造方法。
<8>前記切り込み加工工程において、円盤の外周に等間隔に配した切り込み刃を前記第1基材シートと前記第2基材シートとを合わせた前記未塗工領域を挟んで受け部材に押し当てることで前記未塗工領域に切り込みを複数形成する<1>から<7>のいずれか1に記載の発熱体の製造方法。
<9>前記切り込み加工において、前記切り込み刃を受け部材に押し当てることで、前記切り込み刃が当たっている部分の前記第1基材シートを前記第2基材シート内に押し込めるとともに、前記第1基材シートを押し込めた部分の前記第2基材シートが前記第1基材シート側とは反対側に押し出され、前記切り込み刃によって押し出された部分の前記第1基材シートと前記第2基材シートとが機械的に接合される<8>に記載の発熱体の製造方法。
<10>前記受け部材はアンビルロールである<8>又は<9>に記載の発熱体の製造方法。
<11>前記切り込み刃は、円盤の外周に連続した刃が配されたスリッターの刃に、等間隔に隙間を作り、円盤の外周に等間隔にスリッターの刃を残すことで切り込みの刃を作製したものである<8>から<10>のいずれか1に記載の発熱体の製造方法。
<12>前記切り込みの刃の厚み方向の断面形状は、先端に丸みを有する三角形であり、好ましくは先端に丸みを有する2等辺三角形である。先端の丸み半径Rは、シートへの刺さり易さから、好ましくは1mm以下、より好ましくは0.5mm以下、さらに好ましくは0.3mm以下である<8>から<11>のいずれか1に記載の発熱体の製造方法。
<13>前記切り込みの刃の厚み方向の断面の刃先の角度θは、好ましくは5°以上、より好ましくは10°以上、さらに好ましくは15°以上であり、そして好ましくは60°以下、より好ましくは50°以下、さらに好ましくは45°以下である<8>から<12>のいずれかに記載の発熱体の製造方法。
<14>前記切り込みの刃の厚みtは、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下、さらに好ましくは3mm以下である<8>から<13>のいずれか1に記載の発熱体の製造方法。
<15>前記切り込みの刃の周方向の長さLは、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上、さらに好ましくは3mm以上であり、そして好ましくは15mm以下、より好ましくは10mm以下、さらに好ましくは5mm以下である<8>から<14>のいずれか1に記載の発熱体の製造方法。
<16>前記切り込みの刃の周方向の間隔dcは、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.5mm以上、さらに好ましくは1mm以上であり、そして好ましくは15mm以下、より好ましくは10mm以下、さらに好ましくは3mm以下である<8>から<15>のいずれか1に記載の発熱体の製造方法。
<17>前記裁断工程において形成される前記毎葉の複数枚の発熱体それぞれに複数の切り込みを形成する<1>から<16>のいずれか1に記載の発熱体の製造方法。
<18>前記発熱体の1つの側縁部に並んで形成される切り込みの数は、好ましくは5以上、より好ましくは10以上、特に好ましくは12以上である<1>から<17>のいずれか1に記載の発熱体の製造方法。
<19>前記切り込みの長さの合計長さは、発熱体長さの好ましくは50%以上、より好ましくは65%以上、そして好ましくは90%以下、より好ましくは85%以下である<17>または<18>に記載の発熱体の製造方法。
<20>前記切り込みを等間隔で配したときの、切り込みと逃げとの比は1:1〜10:1、より好ましくは2:1〜5:1である<17>から<19>のいずれか1に記載の発熱体の製造方法。
<21>前記未塗工領域は、前記第1基材シートの両側縁部に形成される<1>から<20>のいずれか1に記載の発熱体の製造方法。
<22>前記切り込みはミシン目形状である<1>から<21>のいずれか1に記載の発熱体の製造方法。
<23>前記裁断工程後に、支持面が鉛直方向下方を向いている状態の無端ベルトに前記毎葉の複数枚の発熱体を支持するとともに、前記無端ベルトが周回して前記毎葉の複数枚の発熱体を搬送する工程を有する<1>から<22>のいずれか1に記載の発熱体の製造方法。
<24>前記無端ベルトに設けられた透孔から吸引して前記発熱体を支持する<23>に記載の発熱体の製造方法。
<25>前記発熱体を吸引する吸引力が、好ましくは50Pa以上、より好ましくは100Pa以上、さらに好ましは200Pa以上であり、好ましくは10kPa以下、より好ましくは8.0kPa以下、さらに好ましは6.0kPa以下である<24>に記載の発熱体の製造方法。
<26>前記発熱体層は被酸化性金属を含有する<1>から<25>のいずれか1に記載の発熱体の製造方法。
<27>前記被酸化金属は鉄粉である<26>に記載の発熱体の製造方法。
<28>前記鉄粉の平均粒径は、0.1μm以上300μm以下であり、より好ましくは0.1μm以上200μm以下であり、さらに好ましくは0.1μm以上150μm以下である<27>に記載の発熱体の製造方法。
<29>前記鉄粉の平均粒径は、好ましくは粒径が0.1μm以上300μm以下のもの、より好ましくは0.1μm以上200μm以下のもの、さらに好ましくは0.1μm以上150μm以下のものを50質量%以上含有する<27>または<28>に記載の発熱体の製造方法。
<30>前記発熱体層は、前記第1基材シート上に塗料を塗工することで形成される<1>から<29>のいずれか1に記載の発熱体の製造方法。
<31>前記塗料は反応促進剤と被酸化性金属を含有し、前記反応促進剤は、前記被酸化性金属の粒子100部に対して、1部以上20部以下、好ましくは1部以上18部以下、さらに好ましくは2部以上14部以下である<26>または<29>に記載の発熱体の製造方法。
<32>前記反応促進剤は活性炭である<31>に記載の発熱体の製造方法。
<33>前記塗料は増粘剤を含有し、前記被酸化性金属の粒子100部に対して、0.05部以上10部以下、好ましくは0.07部以上8部以下、さらに好ましくは0.1部以上5部以下である<31>または<32>に記載の発熱体の製造方法。
<34>前記増粘剤はキサンタンガムであるである<33>に記載の発熱体の製造方法。
<35>前記塗料は界面活性剤を含有し、前記被酸化性金属の粒子100部に対して、0.1部以上〜15部以下、好ましくは0.15部以上12部以下、さらに好ましくは0.2部以上10部以下である<31>から<34>のいずれか1に記載の発熱体の製造方法。
<36>前記塗料は水を含有し、前記被酸化性金属の粒子100部に対して、25部以上85部以下、好ましくは30部以上80部以下、さらに好ましくは35部以上75部以下である<31>から<35>のいずれか1に記載の発熱体の製造方法。
<37>前記水は、塗料の全体の質量を100%とすると、18質量%以上48質量%以下、好ましくは20質量%以上45質量%以下、さらに好ましくは23質量%以上43質量%以下である<36>に記載の発熱体の製造方法。
<38>前記塗料の粘度は23℃、50RHの大気雰囲気中で0.5Pa・s以上30Pa・s以下、好ましくは0.75Pa・s以上25Pa・s以下、さらに好ましくは1Pa・s以上15Pa・s以下である<30>から<37>のいずれか1に記載の発熱体の製造方法。
<39>前記塗料の塗工坪量は、好ましくは150g/m
2以上、より好ましくは200g/m
2以上、さらに好ましくは300g/m
2以上とし、そして好ましくは4600g/m
2以下、より好ましくは3000g/m
2以下、さらに好ましくは2200g/m
2以下である<30>から<38>のいずれか1に記載の発熱体の製造方法。
<40>前記発熱体層は被酸化性金属を含有し、前記被酸化性金属の量は、100g/m
2以上3000g/m
2以下、特に200g/m
2以上〜1500g/m
2以下である<1>から<39>のいずれか1に記載の発熱体の製造方法。
<41>前記発熱体層は反応促進剤を含有し、前記反応促進剤の量は、4g/m
2以上80g/m
2以下、特に8g/m
2以上50g/m
2以下であるである<1>から<40>のいずれか1に記載の発熱体の製造方法。
<42>前記塗工工程後に、電解質を散布する工程を有する<1>から<41>のいずれか1に記載の発熱体の製造方法。
<43>前記発熱体層は電解質を含有し、前記電解質の量は、4g/m
2以上〜40g/m
2以下、特に5g/m
2以上30g/m
2以下である<1>から<42>のいずれか1に記載の発熱体の製造方法。
<44>前記電解質の添加量は固形分換算で、前記塗工工程における被酸化性金属の粒子の同一面積当たりの添加量100部に対して、0.5部以上15部以下、好ましくは0.75部以上12部以下、さらに好ましくは1部以上10部以下である<42>または<43>に記載の発熱体の製造方法。
<45>前記第1基材シートおよび前記第2基材シートの少なくともいずれかは、吸水性を有するシートである<1>から<44>のいずれか1に記載の発熱体の製造方法。
<46>前記第1基材シートおよび前記第2基材シートの少なくともいずれかは、吸水性ポリマー粒子を含有する<1>から<44>のいずれか1に記載の発熱体の製造方法。
<47>前記第1基材シートおよび前記第2基材シートの少なくともいずれかは、吸水性を有するシートであり、吸収性ポリマー粒子と繊維材料を含む繊維シートである<1>から<44>のいずれか1項に記載の発熱体の製造方法。
<48>前記吸収性ポリマー粒子の平均粒径は、好ましくは1μm以上、より好ましくは10μm以上であり、また、好ましくは1000μm以下、より好ましくは500μm以下である<46>または<47>に記載の発熱体の製造方法。
<49>前記第1基材シートおよび前記第2基材シートのそれぞれに占める前記吸収性ポリマー粒子の割合は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上であり、また、好ましくは70質量%以下、より好ましくは55質量%以下である<46>から<48>のいずれか1に記載の発熱体の製造方法。
<50>前記第1基材シートおよび前記第2基材シートは、それぞれの坪量が好ましくは10g/m
2以上、より好ましくは20g/m
2以上であり、また、好ましくは200g/m
2以下、より好ましくは160g/m
2以下である<1>から<49>のいずれか1に記載の発熱体の製造方法。
<51>前記第1基材材料シートおよび前記第2基材シートは、それぞれに含まれる吸収性ポリマーの坪量が、好ましくは5g/m
2以上、より好ましくは10g/m
2以上であり、また、好ましくは150g/m
2以下、より好ましくは100g/m
2以下である<1>から<50>のいずれか1に記載の発熱体の製造方法。
<52>最終的に得られる前記発熱体の含水率が好ましくは5質量%以上40質量%以下、より好ましくは7.5質量%以上30質量%以下、さらに好ましくは10質量%以上25質量%以下である<1>から<51>のいずれか1に記載の発熱体の製造方法。
<53>前記第1基材シート、前記第2基材シートおよび前記発熱体層を含めたシート全体の含水率は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上とし、そして好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である<1>から<52>のいずれか1に記載の発熱体の製造方法。
【0053】
表1に示したように、第1基材シート、第2基材シートの材質、貼り合わせ工程のニップ圧、切り込み加工の有無を変えて、
図1の製造装置を用いて発熱体の製造を行い、以下の評価を行った。
・脱落頻度:フライトコンベア搬送時に層間剥離が生じ脱落する頻度
・温熱特性:所定の温度以上を持続する持続時間を測定
A:42℃以上の温度が6時間以上維持
B:42℃以上の温度が5時間〜6時間維持
C:42℃以上の温度が4時間未満
B以上で良しと判断した。
実施例1から3は、搬送時の脱落がおこらず、温熱特性も良好であった。比較例1は全て脱落したため不良と判定した。比較例2、3は、温熱特性は良かったが、不良品率(脱落頻度)が高いため不良と判定した。比較例4は、脱落頻度は0%で良かったが、温熱特性が4時間未満であって持続時間が短過ぎたため不良と判定した。
これから判るように、切り込み加工を行った実施例1〜3の製造方法では、発熱体の温度特性を保ちながら、発熱体の層間剥離を抑制することができた。