(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、車両用のワイパの一実施の形態を
図1〜
図14に従って説明する。
図1に示すように、車両用のワイパ1は、自動車の払拭面としてのフロントガラスに付着した雨滴等を払拭するためのものであって、ワイパアーム2と、該ワイパアーム2に連結されるワイパブレード3とから構成されている。ワイパアーム2は、その基端部がワイパモータ(図示略)の駆動力にて所定角度で往復回動されるピボット軸(図示略)に固定され、該ピボット軸の往復回動に伴って往復揺動運動を行う。尚、このワイパアーム2は、図示しない付勢機構により、その先端連結部4がフロントガラス(払拭面)側に付勢される。そして、ワイパアーム2の先端連結部4には、ワイパブレード3が連結される。
【0018】
図2〜
図4に示すように、ワイパブレード3は、払拭面(フロントガラス)を払拭するための払拭部11aを有した長尺状のブレードラバー11と、ブレードラバー11の長手方向に沿って設けられ該ブレードラバー11に剛性と弾性を付与するための板ばね状のバッキング12とを備える。本実施の形態のブレードラバー11は、
図3に示すように、長手方向直交方向断面が略長方形の基部11bと、該基部11bの幅方向中央から下方に延びる括れ部11cと、該括れ部11cから更に下方に延びる前記払拭部11aとを有する。又、本実施の形態のバッキング12は、
図2及び
図3に示すように、ワイパブレード3に1本のみ設けられるものであって、その長手方向の中央にバッキング係合部12aが形成されている。バッキング係合部12aは、バッキング12の幅方向の両側が幅方向中央側に切り欠かれた形状に形成されている。
【0019】
又、
図3に示すように、ワイパブレード3は、ブレードラバー11及びバッキング12の長手方向中央部におけるブレードラバー11の基部11b及びバッキング12の周囲を包囲してそれらの長手方向直交方向の移動を規制して保持するレバー保持部13aを有したホルダ本体としての連結レバー13を備える。
【0020】
詳しくは、連結レバー13は、硬質の樹脂材よりなり、
図2〜
図4、及び
図5(a),(b)に示すように、略直方体形状のレバー本体部13bと、
図3及び
図5(b)に示すように、該レバー本体部13bの下端面における幅方向両側から下方に延びてさらに幅方向内側に延びた腕状の前記レバー保持部13aとを有する。本実施の形態のレバー保持部13aは、
図3に示すように、ブレードラバー11の基部11bにおける上端面にバッキング12を当接させた(載置した)状態で、該基部11b及びバッキング12を包囲する構成とされている。
【0021】
又、
図2〜
図4、及び
図5(a)に示すように、レバー本体部13bにおける長手方向一端側には、上方から前記レバー保持部13aまで連通するように貫通した上下貫通部13cが形成されている。上下貫通部13cは、上下方向から見て略4角形に形成されている。又、上下貫通部13cの下端部は、
図4に示すように、その長手方向の間隔が小さくされ、後述するサポートパーツ14(
図2参照)を収容するためのパーツ収容部13dとされている。
【0022】
又、レバー本体部13bにおける長手方向一端側(上下貫通部13cと対応した位置)には、
図2〜
図4、及び
図5(a),(b)に示すように、その両側面(幅方向の側面)と直交する方向に貫通した軸挿通孔13eが形成されている。即ち、この軸挿通孔13eは、外部と前記上下貫通部13c(前記パーツ収容部13d)とを連通するように、言い換えると、前記上下貫通部13cの幅方向の内側面から外部に抜けるように形成されている。
【0023】
又、
図2及び
図5(a),(b)に示すように、レバー本体部13bの両側面における略中央には、上下方向に延びる、詳しくは前記軸挿通孔13eの軸中心(回動軸中心)と同心の円弧に沿って延びる案内溝13fが形成されている。
【0024】
又、
図5(a),(b)に示すように、レバー本体部13bの両側面における長手方向他端部には、上下方向に延びる抜け止め壁部13gが突出して形成されている。又、レバー本体部13bの上面における長手方向他端部には、
図5(a)に示すように、前記抜け止め壁部13gの上端を繋ぐように幅方向に延びる上壁部13hが突出して形成されている。
【0025】
又、レバー本体部13bの両側面における下端部には、
図5(a)に示すように、前記抜け止め壁部13gの下端から長手方向一端側まで延びる下壁部13iが突出して形成されている。又、下壁部13iの長手方向一端側端部には、
図5(a)に示すように、前記軸挿通孔13eの軸中心(回動軸中心)と同心の円弧凹状に形成された対向面13jが形成されている。
【0026】
図4及び
図5(a)に示すように、又、レバー本体部13bの上面における略中央には、逃がし溝13kが形成されている。
又、
図1、
図2及び
図9に示すように、連結レバー13には、レバー本体部13bにおける長手方向一端側から長手方向先端に延びるとともに、後述するケース15のフィン部16に滑らかに繋がる形状の湾曲連結部13lが形成されている。
【0027】
このように構成された連結レバー13は、バッキング12との長手方向の移動が規制されて組み付けられる。詳しくは、まず連結レバー13のレバー保持部13a内に、バッキング12が長手方向に沿って挿入され、前記パーツ収容部13d(
図3及び
図4参照)と前記バッキング係合部12a(
図2参照)の長手方向の位置が一致するように、長手方向の位置決めがなされる。そして、サポートパーツ14が、上方から上下貫通部13cを通されてパーツ収容部13dに嵌め込まれて(落とされて)、バッキング12(バッキング係合部12a)及び連結レバー13(パーツ収容部13d)と長手方向に係合するように組み付けられることで、連結レバー13とバッキング12とは長手方向の移動が規制(長手方向に位置決め)される。尚、本実施の形態のサポートパーツ14は、
図3に示すように、長手方向から見て幅方向に延びる中央部14aと、該中央部14aの両端から下方に延びる一対の腕部14bとを有し、その中央部14aがパーツ収容部13d内に没入してパーツ収容部13dと長手方向に係合するとともに、各腕部14bがそれぞれバッキング係合部12aと長手方向に係合する構成となっている。
【0028】
そして、連結レバー13には、前記ワイパアーム2に連結される連結部材としてのクリップ17がその両側面と直交する回動軸中心(前記ブレードラバー11の幅方向に沿った軸中心であって、前記軸挿通孔13eの軸中心)に回動可能に組み付けられる。
【0029】
図2に示すように、クリップ17は、樹脂製であり、前記回動軸中心(前記軸挿通孔13eの軸中心)と対応した位置から組み付け状態で前記レバー本体部13bの両側面に沿って長手方向基端側に延びる一対の側壁17aと、それら一対の側壁17aの上端を繋ぐとともにレバー本体部13bの上面に沿って延びる上壁17bとを有する。
【0030】
このクリップ17の一対の側壁17aにおける内側面には、
図2及び
図3に示すように、前記軸挿通孔13eに挿入されることでクリップ17を回動可能に支持する支持軸17cが形成されている。そして、この支持軸17cは、
図3に示すように、前記上下貫通部13c内に突出する長さに設定され、その先端部が前記パーツ収容部13dに嵌め込まれたサポートパーツ14の上面と当接して該サポートパーツ14の上方への抜けを規制するための抜け規制部17eとされている。尚、本実施の形態では、前記軸挿通孔13eと支持軸17cとが回動連結部を構成している。
【0031】
又、
図2、
図6〜
図8に示すように、クリップ17の一対の側壁17aにおける外側面には、それぞれ係合凸部17fが形成されている。係合凸部17fは、側壁17aの長手方向一端側端部(支持軸17cの裏側)に形成されている。又、係合凸部17fは、側壁17aにおける上下方向の中央に形成されている。又、係合凸部17fは、上下の端面が長手方向に略沿って形成され、その下端面における長手方向他端部のみ他端側に向かうほど上方に湾曲した曲面とされている。
【0032】
又、
図6に示すように、クリップ17の前記上壁17bにおける前記回動軸中心側の端部(支持軸17c側端部であって長手方向一端側端部)には、自身の回動を許容するための切り欠き17gが形成されている。即ち、クリップ17の一対の側壁17aは、
図2に示すように、前記支持軸17cよりも長手方向一端側にも僅かに延びているため、その部分にも上壁があると、その上壁が回動時にレバー本体部13bの上面に衝突する方向に回動することになるが、その上面に凹部を形成することなく、回動が許容されるように切り欠き17gが形成されている。
【0033】
又、
図7及び
図8に示すように、クリップ17の両側壁17aにおける下端面には、前記回動軸中心(支持軸17c及び軸挿通孔13eの軸中心)を中心とした円弧面17hが形成されている。この円弧面17hは、
図8に示すように、前記連結レバー13の前記対向面13jと対向するように設定されている。尚、本実施の形態の円弧面17hは、初期状態(組み付けた直後の状態)で前記対向面13jと僅かな隙間を有して対向するように設定され、回動連結部(軸挿通孔13eと支持軸17c)で摩耗が生じた際に対向面13jと摺接するように設定されている。
【0034】
又、クリップ17の両側壁17aにおける前記回動軸中心(支持軸17c)から長手方向他端側に離間した位置の下端面は、
図7及び
図8に示すように、前記回動軸中心と対応した位置の下端面(即ち円弧面17h)より位置が高い上方下端面17iとされている。即ち、本実施の形態のクリップ17における両側壁17aの下端面は、回動軸中心(支持軸17c)の下方部分のみが上方下端面17iより円弧凸状に突出した円弧面17hとされている。
【0035】
又、
図8に示すように、クリップ17の両側壁17aの長手方向他端部は、前記連結レバー13に組み付けられた状態で、前記抜け止め壁部13gとの長手方向の間に上下方向に沿って延びる隙間Sが生じるように設定されている。
【0036】
又、
図7に示すように、クリップ17の両側壁17aにおける内側面には、前記案内溝13f(
図5参照)に嵌る案内凸部17jが形成されている。この案内凸部17jは、前記案内溝13fに嵌った状態で該案内溝13fに案内されつつ案内溝13fの上下方向の終端位置に応じて連結レバー13に対するクリップ17のそれ以上の回動を規制するためのものである。
【0037】
又、
図2に示すように、クリップ17には、ワイパアーム2に設けられた後述する係止孔4eに嵌りワイパアーム2の着脱方向(ブレードラバー11等の長手方向)に係合する押下可能な係止凸部17kが形成されている。詳述すると、クリップ17は、ワイパアーム2の着脱方向(ブレードラバー11等の長手方向)とは異なる方向(本実施形態の弾性片部17lはワイパブレード3の幅方向、より詳しくは、ワイパブレード3の長手方向と直交する方向)に延びて先端部に前記係止凸部17kが接続された弾性片部17lと、ワイパアーム2の抜け方向(
図4中、右方向)への係止凸部17kの移動を規制する規制部17mとを有する。
【0038】
本実施形態の弾性片部17lでは、その基端部、より詳しくは弾性片部17lと側壁17aとの接続部位が、弾性片部17lの撓み軸Z(
図11参照)となり、その撓み軸Zはワイパアーム2(先端連結部4)の着脱方向に沿うように形成されている。そして、弾性片部17lは、その基端部が側壁17aの上下方向中間部に接続され、まず側壁17aに沿って上方に延び、側壁17aと上壁17bとの境界部分に折曲部17nを有して折曲部17nから上壁17bに沿って該上壁17bの幅方向中間部まで延び、その先端部に係止凸部17kが接続され、係止凸部17kは上壁17bから上方に突出するように設けられている。尚、本実施形態の係止凸部17kは上方から見てほぼ正方形に形成されている。又、本実施形態の弾性片部17lは、その全体が、係止凸部17kの前記着脱方向(ブレードラバー11等の長手方向)の寸法よりも小さい寸法の狭部とされている。
【0039】
又、本実施形態の係止凸部17k及び弾性片部17lは、上壁17b及び側壁17aの同一平面上にスリット17pにて区画されて形成されるものであり、前記規制部17mは、係止凸部17kと対応した上壁17bのスリット側端面にて構成されている。又、係止凸部17kは、連結レバー13の前記逃がし溝13k(
図2及び
図4参照)と対応した位置に形成され、該逃がし溝13kによって、組み付けられた状態(
図4及び
図6参照)での押下が許容されることになる。
【0040】
又、
図1及び
図2に示すように、ワイパブレード3は、連結レバー13(レバー保持部13a)の長手方向両側におけるブレードラバー11の基部11b及びバッキング12の周囲を包囲してそれらの長手方向直交方向の移動を規制して保持するケース保持部15a(
図2参照)をそれぞれ有した一対のケース15を備えている。
【0041】
ケース15は、軟質の(可撓性を有する)樹脂材よりなり、そのケース保持部15aの形状は、前記レバー保持部13aと同様の形状とされている。即ち、レバー保持部13aと各ケース保持部15aとは、組み付けられた状態で長手方向に連なって、ブレードラバー11の基部11b及びバッキング12をその長手方向全体に亘って包囲(収容)する構成とされている。
【0042】
又、ケース15の上面には、ゴム材又はエラストマー材よりなり、走行風を払拭面側への押圧力に変換するためのフィン部16がニ色成形により設けられている。具体的には、フィン部16は、ワイパブレード3の停止位置において車両後方側に向かうほど(払拭面から)高くなる湾曲面を有した形状に形成されている。そして、連結レバー13の前記湾曲連結部13lは、
図2及び
図9に示すように、略直方体形状のレバー本体部13bからフィン部16側に向かって徐々に前記湾曲面と対応した形状となるように形成されている。
【0043】
又、本実施の形態では、前記湾曲連結部13lと対応した側のケース15(フィン部16含む)と連結レバー13(湾曲連結部13l)との連結部分は、互いの上端面が面一となるように設定、言い換えれば、両者の連結部分の形状が連続的に移行するように形成されている。又、そのケース15(フィン部16含む)には、
図2及び
図9に示すように、前記連結レバー13(その湾曲連結部13l)にて上面が覆われるように長手方向に延びる段差部15bが形成されている。
【0044】
又、ワイパブレード3は、
図1に示すように、バッキング12の長手方向両端に固定されて、該バッキング12の長手方向端部と、ケース15(フィン部16含む)の長手方向端部と、ブレードラバー11の基部11bにおける長手方向端部とを覆うキャップ18を備えている。
【0045】
上記のように構成されたワイパブレード3は、そのクリップ17がワイパアーム2の先端連結部4に連結固定される。
図2及び
図10に示すように、ワイパアーム2の先端連結部4には、前記クリップ17の(上壁17bの)上面を略覆う上被覆壁4aとクリップ17の(両側壁17aの)外側面を略覆う両側被覆壁4bが形成されている。そして、両側被覆壁4bには、
図2に示すように、クリップ17と長手方向に沿って組み付けられることでクリップ17の前記係合凸部17fと上下方向に係合する係合凹部4cが形成されている。この係合凹部4cは、両側被覆壁4bにおける上下方向の中央部分に、長手方向先端側(一端側)が開口するように形成され、該開口から係合凸部17fが長手方向に(
図11に示す状態から
図8に示す状態に)挿入されて組み付けられることで該係合凸部17fと上下方向に係合されることになる。
【0046】
又、
図10に示すように、先端連結部4の両側被覆壁4bの内側面には、互いに幅方向中央側に突出する突起4dが打ち出し形成されている。この突起4dは、
図11に示すように、前記係合凹部4cが前記係合凸部17fと係合しない長手方向の位置に先端連結部4がある状態で、連結レバー13の前記抜け止め壁部13gと長手方向に当接するように形成されている(2点鎖線の状態)。ここで、
図12に示すように、本実施形態の前記抜け止め壁部13gは、ブレードラバー11の払拭部11aがフロントガラスに押圧接触した払拭可能状態でのクリップ17の連結レバー13に対する回動可能範囲である払拭時回動範囲X1の全域で突起4dと前記長手方向に当接可能に形成されている。更には、
図13に示すように、本実施形態の前記抜け止め壁部13gは、払拭部11aがフロントガラスに押圧接触されていない非払拭状態でのクリップ17の連結レバー13に対する回動可能範囲である非払拭時回動範囲X2の全域で突起4dと前記長手方向に当接可能に形成されている。尚、
図12は、前記払拭可能状態でクリップ17が最大に回動した状態を図示している。又、
図13は、前記非払拭状態(例えば、所謂ロックバック状態)でクリップ17が最大に回動した状態(前記案内凸部17jが前記案内溝13fの上方の終端位置に当接した状態)を図示している。
【0047】
即ち、突起4dは、クリップ17に先端連結部4が組み付けられた状態(
図8参照)からクリップ17に対して先端連結部4を長手方向(抜け方向)に相対移動させた際(
図11参照)に抜け止め壁部13gと長手方向に当接して、それ以上の長手方向の相対移動(抜け)を規制するように設けられている。又、ワイパ1が車両に取り付けられ払拭部11aがフロントガラスに押圧接触した状態では、フロントガラス(湾曲面)に沿ってクリップ17の回動角度が変化するが、その払拭時回動範囲X1(
図12参照)では突起4dと抜け止め壁部13gが前記長手方向に当接することで、それ以上の長手方向の相対移動(抜け)は規制されるように設定されている。更に、本実施形態では、例えば、所謂ロックバック状態でクリップ17の回動角度が変化しても、その非払拭時回動範囲X2(
図13参照)では突起4dと抜け止め壁部13gが前記長手方向に当接することで、それ以上の長手方向の相対移動(抜け)は規制されるように設定されている。又、突起4dは、抜け止め壁部13gと長手方向に当接した状態(
図11〜
図13参照)では、抜け止め壁部13gに沿って上下方向の移動が許容(
図11では、抜け止め壁部13gとクリップ17の両側壁17aの長手方向他端部との間の上下方向に沿って延びる隙間Sを通って上下方向の移動が許容)されるように設けられている。尚、
図11〜
図13では、係止凸部17kをそのまま図示しているが、実際は、例えば係止凸部17kが破損した状態や押下された状態を想定した図である。
【0048】
これにより、組み付ける際は、クリップ17に対して先端連結部4をまず下方に相対移動させた後、先端連結部4を長手方向に相対移動させて(係合凹部4cを係合凸部17fに係合させて)組み付けることになる。又、逆に、取り外す際は、クリップ17に対して先端連結部4をまず長手方向に相対移動させ(係合凹部4cを係合凸部17fから外し)た後、先端連結部4を上方に相対移動させて取り外すことになる。
【0049】
又、
図8に示すように、突起4dは、クリップ17に先端連結部4が組み付けられた状態で、クリップ17の前記上方下端面17iと当接する位置に形成されている。
又、突起4dは、クリップ17に先端連結部4が組み付けられた状態で、前記案内凸部17j(
図7参照)の下端と当接する位置に形成され、前記案内溝13f(
図5参照)の下方の終端と当接することで連結レバー13に対するクリップ17及び先端連結部4の一方の回動を規制するように設けられている。即ち、突起4dは、クリップ17に先端連結部4が組み付けられた状態では、前記案内凸部17jと一体的となり剛性を互いに高め合いつつ、前記一方の回動を規制するように設けられている。
【0050】
又、
図2、
図4、及び
図10に示すように、先端連結部4の上被覆壁4aには、クリップ17に組み付けられた状態(
図8参照)であって前記係止凸部17kが押下されていない状態で該係止凸部17kが嵌合されて該係止凸部17kと着脱方向(長手方向)に係合する係止孔4eが形成されている。これにより、係止凸部17kに何らかの外力が加わらなければ、先端連結部4とクリップ17とが長手方向に相対移動、すなわち、ワイパアーム2とワイパブレード3との連結が外れてしまうことが防止されている。
【0051】
又、
図3に示すように、先端連結部4の両側被覆壁4bには、上下方向に前記バッキング12と一致する位置まで下方に延びたラップ部4fが形成されている。
次に、上記のように構成されたワイパ1の作用について説明する。
【0052】
上記ワイパ1では、ワイパアーム2とその先端連結部4に固定されたクリップ17に対して(クリップ17を除く)ワイパブレード3が回動可能とされる。そして、ワイパアーム2の先端連結部4が図示しない付勢機構によりフロントガラス(払拭面)側に付勢されることで、その付勢力がクリップ17、連結レバー13、バッキング12を介してブレードラバー11に伝達されて、ブレードラバーの払拭部11aが長手方向全長に亘ってフロントガラス(払拭面)に押圧接触される。又、走行時には、フィン部16にて走行風がフロントガラス(払拭面)側への押圧力に変換されて、ブレードラバーの払拭部11aがフロントガラス(払拭面)に押圧接触される。これらのことから、ワイパアーム2がピボット軸中心に往復回動されると、良好な払拭動作が行われる。
【0053】
次に、上記実施の形態の特徴的な効果を以下に記載する。
(1)クリップ17は、ワイパアーム2の着脱方向(ワイパブレード3の長手方向)とは異なる方向(本実施形態では直交方向)に延びて先端部に係止凸部17kが設けられる弾性片部17lを有するため、ワイパアーム2の抜け方向へ力が作用しても弾性片部17lの撓みは係止凸部17kと係止孔4eとの係合を解除する方向には生じない。これにより、ワイパアーム2とワイパブレード3との連結が不用意には外れ難く、その連結をより強固なものとすることができる。しかも、クリップ17は、ワイパアーム2の抜け方向への係止凸部17kの移動を規制する規制部17mを有するため、係止凸部17kにワイパアーム2の抜け方向の力が掛かっても、
図14に示すように、規制部17mによって同方向に係止凸部17kが移動することは規制される。即ち、クリップ17は、係止凸部17kにワイパアーム2の抜け方向の力が掛かると、弾性片部17lが撓んで係止凸部17kが前記抜け方向に移動しようとするがその力は規制部17mにて受け止められて係止凸部17kの移動が規制される。よって、ワイパアーム2とワイパブレード3との連結を強固なものとしながらも弾性片部17lを撓み易くして係止凸部17kを作業者が押下し易くすることができ、作業者による装着時や取外し時の作業性を向上させることができる。
【0054】
(2)弾性片部17lは、その全体が、係止凸部17kの前記着脱方向(ブレードラバー11等の長手方向)の寸法よりも小さい寸法の狭部とされるため、係止凸部17kの寸法を確保して例えば作業者が指等により押下し易い構成としながらも弾性片部17lを撓み易くすることができる。
【0055】
(3)係止凸部17kは、クリップ17の上壁17bから上方に突出するように設けられ、弾性片部17lは、その先端部が係止凸部17kに接続され基端部がクリップ17の側壁17aの上下方向中間部に接続されるため、例えば、弾性片部の基端部(撓み軸Zとなる接続部位)が上壁に設けられるような構成に比べて、弾性片部17lの長さを容易に長く確保することができる。これにより、例えば、弾性片部17lを容易に撓み易くすることができる。よって、作業者が係止凸部17kをより押下し易くなり、作業者による装着時や取外し時の作業性をより向上させることができる。
【0056】
(4)弾性片部17lは、クリップ17の上壁17bと側壁17aとの境界部分に折曲部17nを有するため、弾性片部17lの基端部の撓み軸Zで撓むだけでなくその折曲部17nを軸中心としても撓み易くなり、作業者が係止凸部17kをより押下し易くなり、作業者による装着時や取外し時の作業性をより向上させることができる。
【0057】
(5)係止凸部17k及び弾性片部17lは、クリップ17の上壁17b及び側壁17aの同一平面上にスリット17pにて区画されて形成されるものであり、規制部17mは、係止凸部17kと対応した上壁17bのスリット側端面であるため、スリット17pの形状を設定するだけでそれら(弾性片部17lや規制部17m)を容易に一体成形することかできる。又、弾性片部17l及び係止凸部17kに対する規制部17m(スリット側端面)の位置関係(それらの間隔等)を容易に高精度に製造することができる。よって、安定した品質のクリップ17を安価に製造することができる。なお、スリット17pの幅は、係止凸部17kの押下操作でスリット側端面と干渉しない程度に極力狭いことが好ましい。
【0058】
上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、規制部17mによる係止凸部17kの規制は、スリット側端面(規制部17m)に係止凸部17kが上方から見て点接触して当接する構成としたが、これに限定されず、規制部17mにて規制されたときの係止凸部17kの姿勢を考慮して係止凸部17kとスリット側端面(規制部17m)とが上方から見て線接触するように構成してもよい。
【0059】
例えば、
図15に示すように、規制されたときの係止凸部17kの姿勢(二点鎖線参照)を考慮して、スリット側端面に傾斜面を形成して規制部21を構成してもよい。また、例えば、上方から見て線接触するように、係止凸部17k側に傾斜面を形成してもよい。また、勿論、スリット側端面と係止凸部17kとに、上方から見て線接触するように互いに(小さい)傾斜面を形成してもよい。こうすることにより、規制時の応力が集中することを防止することができる。更に、前記傾斜面は、規制部にて規制されたときの係止凸部17kの姿勢を考慮して係止凸部17kとスリット側端面とが上下方向(板厚方向)にも線接触するように形成してもよい。こうすることにより、規制時の応力が集中することを更に防止することができる。
【0060】
・上記実施形態では、弾性片部17lは、その全体が、係止凸部17kの前記着脱方向(ブレードラバー11等の長手方向)の寸法よりも小さい寸法の狭部とされるとしたが、これに限定されず、例えば、狭部を弾性片部の一部に設けてもよいし、狭部を有さない、即ち全体が係止凸部17kの前記着脱方向の寸法と同じ寸法の弾性片部としてもよい。
【0061】
・上記実施形態では、係止凸部17kは、クリップ17の上壁17bから上方に突出するように設けられ、弾性片部17lは、その基端部がクリップ17の側壁17aの上下方向中間部に設けられるとしたが、これに限定されず、弾性片部の基端部が上壁17bに設けられた構成としてもよい。尚、勿論、この場合、弾性片部は折曲部17nを有さないものとなる。
【0062】
・上記実施形態では、弾性片部17lはクリップ17の上壁17b及び側壁17aの同一平面上にスリット17pにて区画されて形成されるものであり、規制部17mは係止凸部17kと対応した上壁17bのスリット側端面であるとしたが、これに限定されず、例えば、弾性片部と規制部とをそれぞれ独立した自由端を有する片で構成してもよい。
【0063】
・上記実施形態では、係止凸部17kが弾性片部17lの先端部に接続されたものとしたが、これは弾性片部17lの先端でなく先端側であればよい。
・上記実施形態では、係止凸部17kは1つの弾性片部17lの先端部に接続された自由端に位置して設けられたものとしたが、これに限定されず、例えば、
図16に示すように、各側壁17aから延出形成された一対の弾性片部22の各先端部に係止凸部17kが接続される構成としてもよい。この場合、弾性片部22の少なくとも一部を側壁17aや上壁17bよりも薄肉として押下方向の撓みを容易とすることが好ましい。
【0064】
・上記実施形態では、弾性片部17lは、ワイパアーム2の着脱方向(ブレードラバー11等の長手方向)の直交方向に延びるものとしたが、これに限定されず、例えば、直交方向から傾斜した方向に延びる弾性片部や、直交方向から傾斜した方向に延びる部分を有する弾性片部に変更してもよい。
【0065】
・上記実施形態では、係止凸部17kは、クリップ17の上壁17bから上方に突出する構成としたが、これに限定されず、クリップ17の側壁17aから側方に突出する構成に変更してもよい。尚、勿論、この場合、ワイパアーム2(先端連結部4)の係止孔4eの位置も変更する必要がある。
【0066】
・上記実施形態では、ホルダ本体はブレードラバー11を直接保持する連結レバー13としたが、これに限定されず、間接的にブレードラバーを保持するホルダ本体に変更してもよい。