特許第6013206号(P6013206)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013206
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】二重窓及び連結部材
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/18 20060101AFI20161011BHJP
   E06B 7/14 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   E06B1/18 G
   E06B7/14
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-7225(P2013-7225)
(22)【出願日】2013年1月18日
(65)【公開番号】特開2014-136942(P2014-136942A)
(43)【公開日】2014年7月28日
【審査請求日】2015年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】本間 卓
(72)【発明者】
【氏名】須藤 良平
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−321351(JP,A)
【文献】 特開平07−224577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00−1/70
E06B 7/00−7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外側に配置される外窓枠及び室内側に配置される内窓枠を備えた二重窓であって、
前記外窓枠が形成する外開口と前記内窓枠が形成する内開口との外周側にて前記外窓枠と前記内窓枠との間を四周にて止水するシール材と、
前記シール材の外周側にて、前記外窓枠と前記内窓枠とを連結する連結部材と、
を備え、
前記連結部材は、前記内窓枠に仮固定される仮固定部と、
前記内窓枠に対して前記外窓枠を位置決めする位置決め部と、
前記外窓枠に螺合されるねじを前記内窓枠とともに貫通されるべく見込み方向に案内する案内部と、
を有し
前記案内部は、前記連結部材が前記内窓枠に仮固定された状態にて、前記内窓枠の室外側に位置し前記ねじが貫通される外貫通孔を有する室外側部位と、前記内窓枠の室内側に位置し前記ねじが貫通される内貫通孔を有する室内側部位と、を有し、
前記外貫通孔と前記内貫通孔とは、前記内窓枠に形成されて前記ねじが貫通される枠貫通孔を介して連通していることを特徴とする二重窓。
【請求項2】
請求項1に記載の二重窓であって、
前記位置決め部は、前記連結部材が前記内窓枠に仮固定された状態にて、前記外窓枠側に突出される突出片であり、
前記突出片に前記外窓枠の外周縁が当接されて前記外窓枠が位置決めされることを特徴とする二重窓。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の二重窓であって、
前記外窓枠はアルミニウム製であり、
前記連結部材は熱伝導性が低い材質であり、前記外貫通孔及び前記内貫通孔は前記枠貫通孔より孔径が小さいことを特徴とすることを特徴とする二重窓。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の二重窓であって、
前記室外側部位及び前記室内側部位のうちの一方は、他方に設けられた被係合部と係合する係合部を有し、
前記係合部が前記内窓枠を貫通して前記被係合部と係合することにより仮固定されることを特徴とする二重窓。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の二重窓であって、
前記連結部材及び前記内窓枠のうちの一方は、他方に設けられた被係合部と係合する係合部を有し、
前記係合部が前記被係合部と係合することにより仮固定されることを特徴とする二重窓。
【請求項6】
請求項1乃至請求項のいずれかに記載の二重窓であって、
前記内窓枠は、前記シール材を室外側に臨ませて保持するシール保持部を有し、
前記外窓枠は、前記シール材と対向して当接される外壁部を有し、
前記外壁部は、当該外壁部を貫通し室内側に突出するように嵌め込まれ、前記外壁部より室内側に至った水を前記外壁部より室外側に導く引導部材を有し、
前記連結部材が前記内窓枠に仮固定された状態にて、前記シール材及び前記シール保持部が前記引導部材に当接されて前記外窓枠が位置決めされることを特徴とする二重窓。
【請求項7】
請求項に記載の二重窓であって、
前記内窓枠は、前記内開口を閉塞可能な室内側障子を案内する室内レールと、
前記室内レールから室外側に向かって下方に傾斜しつつ延出されて前記シール保持部に至る傾斜面部と、
前記傾斜面部と前記シール保持部との境界に、前記外壁部と対向する内壁部と、
を有し、
前記内壁部の前記引導部材と対向する部位には、前記内壁部の室外側と室内側とを連通する連通孔が設けられていることを特徴とする二重窓。
【請求項8】
室外側に配置される外窓枠が形成する外開口と室内側に配置される内窓枠が形成する内開口との外周側にて前記外窓枠と前記内窓枠との間を四周にて止水するシール材の外周側にて、前記外窓枠と前記内窓枠とを連結する連結部材であって、
前記内窓枠に仮固定される仮固定部と、
前記内窓枠に対して前記外窓枠を位置決めする位置決め部と、
前記外窓枠に螺合されるねじを前記内窓枠とともに貫通されるべく見込み方向に案内する案内部と、
を有し、
前記案内部は、前記連結部材が前記内窓枠に仮固定された状態にて、前記内窓枠の室外側に位置し前記ねじが貫通される外貫通孔を有する室外側部位と、前記内窓枠の室内側に位置し前記ねじが貫通される内貫通孔を有する室内側部位と、を有し、
前記外貫通孔と前記内貫通孔とは、前記内窓枠に形成されて前記ねじが貫通される枠貫通孔を介して連通していることを特徴とする連結部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室外側に配置される外窓枠及び室内側に配置される内窓枠を備えた二重窓及び外窓枠と内窓枠とを連結する連結部材に関する。
【背景技術】
【0002】
室外側に配置される外窓枠及び室内側に配置される内窓枠を備えた二重窓及び外窓枠と内窓枠とを連結する連結部材としては、内側窓枠の各枠と、外側窓枠の各枠との間に連結部材を介し、内側窓枠の内周側から外側窓枠の外周側に向かって貫通するビスにて内側窓枠と外側窓枠とを連結する二重窓枠の連結構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。この二重窓枠は、外側窓枠の室内側の部位と、内側窓枠の室外側の部位とがそれぞれ連結孔を有し、ビスが螺合されることにより外側窓枠の連結孔に係合される係合部を有する連結部材に、内側窓枠の連結孔に連通されて連結部材に螺合されるビスが螺合されることにより外側窓枠と内側窓枠とが連結されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−224577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような二重窓枠の連結構造は、内側窓枠と外側窓枠とが上下方向または左右方向に重なるように配置しなければならないため、内側窓枠及び外側窓枠の見込み方向の幅が広くなり、重量が嵩むとともにコストも高くなる。また、ビスを螺合して係合部が係合するまでは、外側窓枠、内側窓枠、及び、連結部材は、互いに位置決めされていないので、外側窓枠、内側窓枠、及び、連結部材の位置がずれないように保持しつつビス止めしなければならず、組立時における位置決め精度の確保が難しく、その作業が煩雑であり施工性が悪いという課題がある。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、軽量化を図りつつも容易に位置決めして外窓枠と内窓枠とを連結することが可能な二重窓及び連結部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために本発明の二重窓は、室外側に配置される外窓枠及び室内側に配置される内窓枠を備えた二重窓であって、前記外窓枠が形成する外開口と前記内窓枠が形成する内開口との外周側にて前記外窓枠と前記内窓枠との間を四周にて止水するシール材と、前記シール材の外周側にて、前記外窓枠と前記内窓枠とを連結する連結部材と、を備え、前記連結部材は、前記内窓枠に仮固定される仮固定部と、前記内窓枠に対して前記外窓枠を位置決めする位置決め部と、前記外窓枠に螺合されるねじを前記内窓枠とともに貫通されるべく見込み方向に案内する案内部と、を有し、前記案内部は、前記連結部材が前記内窓枠に仮固定された状態にて、前記内窓枠の室外側に位置し前記ねじが貫通される外貫通孔を有する室外側部位と、前記内窓枠の室内側に位置し前記ねじが貫通される内貫通孔を有する室内側部位と、を有し、前記外貫通孔と前記内貫通孔とは、前記内窓枠に形成されて前記ねじが貫通される枠貫通孔を介して連通していることを特徴とする二重窓である。
【0007】
このような二重窓によれば、外窓枠と内窓枠とを連結する連結部材が、仮固定部と、位置決め部と、案内部とを有しているので、連結部材が内窓枠に仮固定されると、内窓枠側に外窓枠を位置決めするための位置決め部が備えられ、位置決め部により位置決めされた外窓枠に対し、案内部により案内させてねじを螺合することにより、内窓枠と外窓枠とを位置決めした状態にて容易に連結することが可能である。また、連結部材は内窓枠に仮固定されるので、内窓枠と外窓枠とを連結する際に、連結部材を支えつつねじ止めする必要はない。このため、より精度良く容易に連結することが可能である。
【0008】
また、外窓枠と内窓枠とを連結するねじは案内部により見込み方向に案内されるので、外窓枠と内窓枠とは見込み方向において対向する部位を有していればよい。このため、外窓枠と内窓枠とに、上下方向に重なる部位を備える必要がないため、上下方向にねじを進入させて連結する場合より外窓枠及び内窓枠を小さくすることが可能であり、もって二重窓の軽量化を図ることが可能である。
このため、軽量化を図りつつも容易に位置決めして外窓枠と内窓枠とを連結することが可能な二重窓を提供することが可能である。
さらに、外窓枠の外開口と内窓枠の内開口との外周側に設けられたシール材の外周側にて、外窓枠と内窓枠とを見付け方向に案内されるねじにて連結するので、ねじを締め込むことによりシール材を圧縮して、より密着させることが可能である。このため、外窓枠と内窓枠との間をより確実に止水することが可能である。
また、連結部材が内窓枠に仮固定された状態で、案内部の内窓枠の室外側に位置する室外側部位の外貫通孔と、内窓枠の室内側に位置する室内側部位の内貫通孔とが、内窓枠の枠貫通孔を介して連通しているので、内貫通孔、枠貫通孔、外貫通孔を貫通させたねじを外窓枠に螺合することにより、外窓枠と内窓枠とを確実に連結することが可能である。
【0009】
かかる二重窓であって、前記位置決め部は、前記連結部材が前記内窓枠に仮固定された状態にて、前記外窓枠側に突出される突出片であり、前記突出片に前記外窓枠の外周縁が当接されて前記外窓枠が位置決めされることが望ましい。
このような二重窓によれば、連結部材が内窓枠に仮固定された状態で外窓枠側に突出する、連結部材が有する突出片に、外窓枠の外周縁を当接するだけで、内窓枠に対して外窓枠を容易に位置決めすることが可能である。
【0011】
かかる二重窓であって、前記外窓枠はアルミニウム製であり、前記連結部材は熱伝導性が低い材質であり、前記外貫通孔及び前記内貫通孔は前記枠貫通孔より孔径が小さいことを特徴とすることが望ましい。
このような二重窓によれば、熱伝導性が低い材質でなる連結部材の外貫通孔及び内貫通孔がアルミニウム製の外窓枠の枠貫通孔の孔径より小さいので、ねじは枠貫通孔に接触しないため、ねじを介して外窓枠と内窓枠との間にて熱が伝達され難い。このため、断熱性に優れた二重窓を提供することが可能である。
【0012】
かかる二重窓であって、前記室外側部位及び前記室内側部位のうちの一方は、他方に設けられた被係合部と係合する係合部を有し、前記係合部が前記内窓枠を貫通して前記被係合部と係合することにより仮固定されることが望ましい。
このような二重窓によれば、室外側部位及び室内側部位のうちの一方に設けられた係合部を、内窓枠を貫通させて他方に設けられた被係合部と係合するだけで、内窓枠に連結部材を容易にかつ確実に仮固定することが可能である。
【0013】
かかる二重窓であって、前記連結部材及び前記内窓枠のうちの一方は、他方に設けられた被係合部と係合する係合部を有し、前記係合部が前記被係合部と係合することにより仮固定されることとしてもよい。
このような二重窓によれば、連結部材及び内窓枠のうちの一方に設けられた係合部と、他方に設けられた被係合部とを係合するだけで、内窓枠に連結部材をより容易にかつ確実に仮固定することが可能である。
【0014】
かかる二重窓であって、前記内窓枠は、前記シール材を室外側に臨ませて保持するシール保持部を有し、前記外窓枠は、前記シール材と対向して当接される外壁部を有し、前記外壁部は、当該外壁部を貫通し室内側に突出するように嵌め込まれ、前記外壁部より室内側に至った水を前記外壁部より室外側に導く引導部材を有し、前記連結部材が前記内窓枠に仮固定された状態にて、前記シール材及び前記シール保持部が前記引導部材に当接されて前記外窓枠が位置決めされることが望ましい。
このような二重窓によれば、連結部材が内窓枠に仮固定された状態にて、内窓枠が有するシール材及びシール保持部が、外窓枠を貫通して室内側に突出するように嵌め込まれた引導部材に当接されて外窓枠が位置決めされるので、より容易に位置決めすることが可能である。
また、シール材と対向して当接される外壁部より室内側に至った水を前記外壁部より室外側に導く引導部材は、外壁部を貫通し室内側に突出するように嵌め込まれ、位置決めされた際には、シール材及びシール保持部に当接されるので、外壁部より室内側に至った水を外壁部より室外側に導いて排出することが可能である。
【0015】
かかる二重窓であって、前記内窓枠は、前記内開口を閉塞可能な室内側障子を案内する室内レールと、室内レールから室外側に向かって下方に傾斜しつつ延出されて前記シール保持部に至る傾斜面部と、前記傾斜面部と前記シール保持部との境界に、前記外壁部と対向する内壁部と、を有し、前記内壁部の前記引導部材と対向する部位には、前記内壁部の室外側と室内側とを連通する連通孔が設けられていることが望ましい。
このような二重窓によれば、室内側障子を案内する室内レールから室外側に向かって下方に傾斜しつつ延出されてシール保持部に至る傾斜面部とシール保持部との境界に設けられ、外壁部と対向する内壁部には、引導部材と対向する部位に内壁部の室外側と室内側とを連通する連通孔が設けられているので、室内側障子よりも室外側にて生じた水を、傾斜面部の傾斜により内壁部側に移動させ、内壁部の連通孔から引導部材を介して外壁部より室外側に排出することが可能である。
【0016】
また、室外側に配置される外窓枠が形成する外開口と室内側に配置される内窓枠が形成する内開口との外周側にて前記外窓枠と前記内窓枠との間を四周にて止水するシール材の外周側にて、前記外窓枠と前記内窓枠とを連結する連結部材であって、前記内窓枠に仮固定される仮固定部と、前記内窓枠に対して前記外窓枠を位置決めする位置決め部と、前記外窓枠に螺合されるねじを前記内窓枠とともに貫通されるべく見込み方向に案内する案内部と、を有し、前記案内部は、前記連結部材が前記内窓枠に仮固定された状態にて、前記内窓枠の室外側に位置し前記ねじが貫通される外貫通孔を有する室外側部位と、前記内窓枠の室内側に位置し前記ねじが貫通される内貫通孔を有する室内側部位と、を有し、前記外貫通孔と前記内貫通孔とは、前記内窓枠に形成されて前記ねじが貫通される枠貫通孔を介して連通していることを特徴とする連結部材である。
このような連結部材によれば、仮固定部と、位置決め部とを有しているので、内窓枠に仮固定されると、内窓枠側に外窓枠の位置決め部を備えることが可能である。さらに、連結部材は案内部を有しているので、位置決め部により位置決めされた外窓枠に対し、案内部により案内させてねじを螺合することにより、内窓枠と外窓枠とを位置決めした状態にて容易に連結することが可能である。また、連結部材は内窓枠に仮固定されるので、内窓枠と外窓枠とを連結する際に、連結部材を支えつつねじ止めする必要はない。このため、より容易に連結することが可能な連結部材を提供することが可能である。
【0017】
また、案内部は、外窓枠と内窓枠とを連結するねじを見込み方向に案内するので、外窓枠と内窓枠とは見込み方向において対向する部位を有していればねじを螺合することが可能である。このため、外窓枠と内窓枠とに、上下方向に重なる部位を備える必要がないため、上下方向にねじを進入させて連結する場合より外窓枠及び内窓枠を小さくすることが可能である。このため、軽量化を図ることが可能な連結部材を提供することが可能である。
このため、軽量化を図りつつも容易に位置決めして外窓枠と内窓枠とを連結することが可能な連結部材を提供することが可能である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、軽量化を図りつつも容易に位置決めして外窓枠と内窓枠とを連結することが可能な二重窓及び連結部材を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態に係る二重窓の外窓枠と内窓枠の斜視図である。
図2】本実施形態に係る二重窓を示す縦断面図である。
図3】本実施形態に係る二重窓を示す横断面図である。
図4】外窓枠と内窓枠の左側における連結部を示す横断面図である。
図5】連結部材による連結方法を示す斜視図である。
図6】連結部材を示す斜視面図である。
図7】仮固定された連結部材を示す横断面図である。
図8】下側の連結部を示す縦断面図である。
図9図9(a)は、引導部材を見付け方向から見た側面図、図9(b)は、図9(a)のA矢視図である。
図10】連結部材の第1変形例を示す斜視図である。
図11】連結部材の第2変形例を示す斜視図である。
図12図12(a)は、連結部材の第3変形例を示す斜視図であり、図12(b)は、連結部材の第3変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態に係る二重窓及び連結部材について図面を参照して説明する。
【0021】
本実施形態の二重窓1は、図1図3に示すように、室外側に配置される外窓3と室内側に配置される内窓5とを備えた二重窓1である。
【0022】
外窓3は、矩形状に枠組みされて外開口10aを形成するアルミニウム製の外窓枠10と、見付け方向に移動可能に外窓枠10に支持されて外開口10aを閉塞可能に構成された2枚の障子3aとを備えた引違いタイプの窓である。
【0023】
内窓5は、矩形状に枠組みされて内開口20aを形成する内窓枠20と、見付け方向に移動可能に内窓枠20に支持されて内開口20aを閉塞可能に構成された2枚の障子5aとを備えた引違いタイプの窓である。
【0024】
以下の説明においては、建物等に取り付けられた二重窓1を室内側から見たときに、上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向または見付け方向、室内外方向である奥行き方向を見込み方向として示す。また、二重窓1を構成する各部材については、外窓3及び内窓5の面内方向において外開口10a及び内開口20aの中央側を内周側、外開口10a及び内開口20aの外側を外周側として示し、外開口10a及び内開口20aの中央から面内方向において放射状に広がる方向を内外周方向として示す。
【0025】
外窓枠10と内窓枠20とは、それらの外周側において互いに対向する部位が、外窓枠10と内窓枠20の全周における複数の箇所にて合成樹脂製やゴム製などの熱伝導性が低い材質から成る連結部材30を用いてねじ止めされて連結されている。図1では隠れて見えない連結箇所があるが、本実施形態においては、上下にて各4箇所、左右にて各3箇所連結されている。
【0026】
図2図3に示すように、内窓枠20の最も室外側の壁部をなす内壁部21には、内開口20aの外周側に室外側に突出させて、合成樹脂や合成ゴムなどの熱伝導性が低い材質、例えば軟質の合成樹脂でなるシール材50が内開口20aを囲むように設けられている。そして、外窓枠10と内窓枠20とが連結された状態にて、シール材50が外窓枠10の最も室内側の壁部をなす外壁部11と内窓枠20とにより見込み方向に圧縮されて外窓枠10と内窓枠20との間が止水されている。
【0027】
外窓枠10の外壁部11と内窓枠20の内壁部21との連結構造は、四周において同様なので、外窓枠10と内窓枠20との連結構造については外開口10a及び内開口20aの左側に位置する外窓枠10の外壁部11と内窓枠20の内壁部21との連結部を例に挙げて説明する。
【0028】
図1に示すように、外窓枠10の外壁部11は、外開口10aの縁をなす部位が内周側の縁をなし、四周に設けられた各外窓枠10の外壁部11が、室内側に臨むほぼ同一平面をなすように平坦に形成されている。図2図3に示すように、外壁部11の外周側の外周縁には、室外側に向かって延出された外延出部12が設けられている。
【0029】
内窓枠20の内壁部21には、図4に示すように、内開口20aの縁となる内周側に、内外周方向に間隔を隔てて突出された内側突出部23aと外側突出部23bの先端が互いに対向する側に延出されシール材50が嵌合されるシール保持部としてのシール嵌合部23が設けられている。シール嵌合部23より外周側には、外周側に向かって室外側に位置するように傾斜部21aを有している。このため、外窓枠10と内窓枠20とが連結されるべく、外壁部11と内壁部21とが対向するように配置されると、内壁部21の傾斜部21aは外周側に向かって外壁部11との間隔が狭くなるように配置される。また、内壁部21の外周側となる先端には、室外側に延出された内延出部22が設けられている。
【0030】
シール嵌合部23にはシール材50が、シール嵌合部23より室外側に突出するように取り付けられている。また、シール嵌合部23に嵌合されたシール材50は、シール嵌合部23における内側突出部23aの内周側に臨む面23cと、嵌合されたシール材50の内周側に臨む面50aとが、ほぼ段差なく繋がるようにシール嵌合部23に嵌合されている。
【0031】
内窓枠20のシール嵌合部23より外周側には、図5に示すように、連結部材30を設ける位置に、各連結部材30に対して、内窓枠20の長手方向に沿って並べられた2つの枠貫通孔24が設けられている。内壁部21に設けられた2つの枠貫通孔24を利用して連結部材30が仮固定可能に構成されている。
【0032】
連結部材30は、図6図7に示すように、内壁部21に仮固定された状態にて、内壁部21の室外側に位置する室外側部位31と、内壁部21の室内側に位置する室内側部位35と、を有している。
【0033】
室外側部位31には、内窓枠20の内延出部22が挿入されるスリット31aが設けられており、スリット31aより内周側に位置して内壁部21の室外側に臨む面に当接される内壁当接部32と、スリット31aより外周側に位置する周壁部33とが、室外側にて繋がったブロック状をなしている。内壁当接部32は、周壁部33より内外周方向の幅が広く形成されている。
【0034】
ブロック状をなす室外側部位31の室外側の面31bは、内壁当接部32側が外壁部11に当接されるべく平坦に形成されており、スリット31a及び周壁部33をなす部位の室外側に、室外方向に突出する突出片34が設けられている。この突出片34は、外窓枠10と内窓枠20と連結する際に、外窓枠10に設けられた外延出部12が当接されて、内窓枠20に対して位置決めされる位置決め部をなしている。
【0035】
周壁部33は、その先端部が室内側に向かって肉厚が薄くなるように形成されており室内側部位35と繋がって一体をなしている。
【0036】
室内側部位35は、平板状をなす本体部36と、本体部36の表面とほぼ直交する方向に突出されて、先端にフック部37aが設けられた係合片37が設けられている。
【0037】
本体部36の室外側部位31と繋がっている部位は、室外側部位31に向かって肉厚が薄くなるように形成されている。このため、室外側部位31と室内側部位35とは、境界部分が薄肉状をなしており、薄肉状の境界部分が弾性変形することにより、互いに隣り合う位置から互いに重なり合う位置まで屈曲可能に形成されている。連結部材30は、室外側部位31と室内側部位35とが内窓枠20を介して重なり合う状態にて、内窓枠20の長手方向における幅が内外周方向の幅より長い形状をなしている。
【0038】
室内側部位35の本体部36に設けられた係合片37は、連結部材30の長手方向において一方側に偏った位置に設けられており、他方側に偏った位置には本体部36を貫通する内貫通孔36aが設けられている。
【0039】
また、室外側部位31には、室外側部位31と室内側部位35とが内窓枠20を介して重なり合う状態にて、内貫通孔36aと重なる位置に、内壁当接部32を貫通する外貫通孔32aが設けられており、係合片37と対向する位置には、係合片37が挿入される挿入孔32bが設けられている。挿入孔32bの室内側の縁は、室内側に突出された突出縁部32cが設けられており、その外径は、内壁部21に設けられた2つの枠貫通孔24の一方の内径より僅かに小さく形成されており、突出縁部32cを一方の枠貫通孔24に挿入することにより、連結部材30が内窓枠20に対して位置決めされるように構成されている。
【0040】
また、挿入孔32bは、図7に示すように、室内側の径が室外側の径より狭く形成されて段部32dが設けられており、挿入孔32b内に挿入された係合片37のフック部37aが段部32dに係止されて連結部材30が仮固定されるように構成されている。そして、連結部材30が内窓枠20に仮固定された状態にて、室外側部位31の外貫通孔32a、室内側部位35の内貫通孔36a、及び、内窓枠20の枠貫通孔24が見込み方向において重なり合って貫通するように構成されている。
【0041】
外窓枠10と内窓枠20とを連結する場合には、図5に示すように、まず、内窓枠20に設けられた、1箇所につき2つの枠貫通孔24が設けられている連結部材30の取付箇所(連結箇所)において、一方の枠貫通孔24に、連結部材30の突出縁部32cを挿入するとともに、スリット31aに内延出部22を挿入して内窓枠20の室外側に連結部材30の室外側部位31を配置する。
【0042】
次に、室外側部位31と室内側部位35との境界部分を屈曲させつつ室外側部位31と室内側部位35とを内窓枠20を介して重ね合わせるとともに、係合片37を突出縁部32cが挿入されている枠貫通孔24及び挿入孔32bに挿入しフック部37aを段部32dに係合させて連結部材30を内窓枠20に仮固定する。このように、内窓枠20が有する連結部材30の取付箇所に各々連結部材30を仮固定する。ここで、係合片37が係合部に相当し、挿入孔32b及び段部32dが被係合部に相当し、係合片37、挿入孔32b及び段部32dが仮固定部に相当する。
【0043】
内窓枠20の全周において設けられている連結部材30の取付箇所に連結部材30を仮固定すると、各連結部材30が有する突出片34が室外側に向かって突出して配置される。
【0044】
次に、内窓枠20に仮固定された連結部材30の各突出片34に、外窓枠10の外延出部12を当接させて、外窓枠10を内窓枠20に対して位置決めし、外窓枠10と内窓枠20とが見込み方向において重なり合うように配置する。このとき、内窓枠20に設けられたシール材50が外開口10a及び内開口20aの外周側にて外窓枠10と内窓枠20との間に配置される。
【0045】
次に、仮固定されて重なり合う、室外側部位31の外貫通孔32a、室内側部位35の内貫通孔36a、及び、内窓枠20の枠貫通孔24に、内貫通孔36a側からねじ51を進入させて外窓枠10の外壁部11に螺合させて締め込むことにより外窓枠10と内窓枠20とが連結(本固定)される。このとき、内窓枠20に設けられたシール材50が外窓枠10と内窓枠20とに圧縮される。特に、内壁部21は、シール材50から離れる方向に向かって外壁部11との間隔が狭くなる傾斜部21aを有しているので、ねじ51を締め込むことによりシール材50がより圧縮されるように構成されている。ここで、室外側部位31の外貫通孔32aと室内側部位35の内貫通孔36aとが、外窓枠10に螺合されるねじ51を内窓枠20とともに貫通されるべく見込み方向に案内する案内部に相当する。
【0046】
また、枠貫通孔24の内径は、外貫通孔32a及び内貫通孔36aの内径より大きく形成されており、内部に進入するねじ51が内窓枠20に接触しないように構成されている。
【0047】
本二重窓1は、外窓枠10と内窓枠20とが連結された状態にて、室外側の引違い障子3aと室内側の引違い障子5aとの間に生じた、例えば結露水が室外側に排出されるように構成されている。
【0048】
下側の外窓枠10の外壁部11及び内窓枠20の内壁部21は、図8に示すように、シール嵌合部23より内周側、すなわち上方に延出されている。
【0049】
下側の内窓枠20は、図1図2に示すように、室内側の引違い障子5aを見付け方向に案内する室内レール25の部位、すなわち室内側の引違い障子5aの下方に、位置する内窓枠20に至った結露水等の水が室内レール25より室外側に導かれ、室内レール25が形成されている部位より一段低く形成され室外側に向かって緩やかに下方に傾斜する傾斜面部としての傾斜凹部26を有しており、傾斜凹部26の底面26aの室外側の縁が内壁部21と繋がっている。すなわち、図8に示すように、傾斜凹部26とシール嵌合部23とは内壁部21を挟んで反対側に設けられている。
【0050】
そして、傾斜凹部26の底面26aとシール嵌合部23における内側突出部23aの内周側に臨む面23cとは同じ高さに形成されており、内壁部21の見付け方向における両端部側には室内側と室外側とを連通する内壁連通孔21bが形成されている。このため、傾斜凹部26の底面26aとシール嵌合部23における内側突出部23aの内周側に臨む面23cとが内壁連通孔21bを介して段差なく繋がるように形成されている。
【0051】
また、シール嵌合部23における内側突出部23aの内周側に臨む面23cには、見付け方向に沿って僅かに窪む溝23dが形成されており、溝23dにより見付方向に生じた結露水等の水を引水し後述の引導部材55に、より確実に導いている。
【0052】
下側の外窓枠10には、外窓枠10と内窓枠20とが連結された状態にて、内窓枠20の内壁連通孔21bと対向する位置に室内側と室外側とを連通する外壁連通孔11aが形成されている。外壁連通孔11aの室外側には、室外側に設けられ外壁部11と見込み方向に間隔を隔てて対面する、室外側の引違い障子3aを見付け方向に案内する外レール13と外壁部11とを繋いで、ほぼ水平面を形成する水平面部14が、外壁連通孔11aより僅かに低い位置に形成されている。
【0053】
外壁連通孔11aには、室内側に突出させて、シール材50及びシール嵌合部23上に至った水を、外壁部11の室外側に導く引導部材55が嵌合されている。引導部材55は、合成樹脂製のカバー材56と、フェルトなどの吸水性を有する吸水材57とを有している。
【0054】
カバー材56は、図9(a)、図9(b)に示すように、外壁連通孔11aに室外側にて係合される爪部56aと、外壁連通孔11aに嵌合されて室内側に突出し外窓枠10と内窓枠20とが連結された状態にて、シール材50の内周側に臨む面50aと上下方向に間隔を隔てて配置されるカバー本体56bと、カバー本体56bの室内側の端部に垂設され、外壁部11と見込み方向に間隔を隔てて配置される垂設壁部56cとを有している。
【0055】
外窓枠10と内窓枠20とが連結された状態にて、図8に示すように、垂設壁部56cの室内側の面56dは、内壁連通孔21bが設けられた内壁部21と見込み方向に間隔が隔てられており、内壁部21の室内側から室外側に至る水の経路が確保されている。また、垂設壁部56cの下端は、シール嵌合部23を形成する内側突出部23aの内周側に臨む面23cに当接されるように構成されている。そして、カバー材56におけるカバー本体56bの下方及び垂設壁部56cの室外側に設けられた空間に、吸水材57が設けられ、吸水材57の下面はシール材50の内周側に臨む面50aに当接されている。
【0056】
また、カバー材56の見付け方向における両端部は開放されており、シール材50の内周側に臨む面50aに至った水が、吸水材57に吸収され、吸水材57を介して外壁連通孔11aから外壁部11の室外側に排出されるように構成されている。このため、外窓枠10が内窓枠20に仮固定された連結部材30の突出片34にて位置決めされる際には、外窓枠10に設けられた引導部材55の垂設壁部56cの下端及び吸水材57の下面がシール嵌合部23を形成する内側突出部23aの内周側に臨む面23c及びシール材50の内周側に臨む面50aに当接されるように外窓枠10が位置決めされるように構成されている。
【0057】
下側の内窓枠20が有する傾斜凹部26には、上方から外壁部11の室内側の領域を覆う下枠カバー部材60が設けられている。
【0058】
本実施形態の二重窓1によれば、外窓枠10と内窓枠20とを連結する連結部材30が、仮固定部としての係合片37、挿入孔32b、及び、段部32dと、位置決め部としての突出片34と、案内部としての外貫通孔32a及び内貫通孔36aとを有しているので、連結部材30が内窓枠20に仮固定されると、内窓枠20側に外窓枠10を位置決め可能な突出片34が備えられ、突出片34により位置決めされた外窓枠10に対し、外貫通孔32a及び内貫通孔36aにより案内させてねじ51を螺合することにより、外窓枠10と内窓枠20とを位置決めした状態にて容易に連結することが可能である。
【0059】
また、連結部材30は内窓枠20に仮固定されるので、外窓枠10と内窓枠20とを連結する際に、連結部材30を支えつつねじ止めする必要はない。このため、より精度良く容易に連結することが可能である。
【0060】
また、外窓枠10と内窓枠20とを連結するねじ51は見込み方向に案内されるので、外窓枠10と内窓枠20とは見込み方向において対向する部位を有していればよい。このため、上下方向に重なる部位を必要としないので、上下方向にねじを進入させて連結する場合より外窓枠10及び内窓枠20を小さくすることが可能であり、軽量化を図ることが可能である。
【0061】
このため、軽量化を図りつつ容易に位置決めして外窓枠10と内窓枠20とを連結することが可能な二重窓1を提供することが可能である。
【0062】
さらに、外窓枠10の外開口10aと内窓枠20の内開口20aとの外周側に設けられたシール材50の外周側にて、見付け方向に案内されるねじ51にて外窓枠10と内窓枠20とを連結するので、ねじ51を締め込むことによりシール材50を圧縮して、より密着させることが可能である。このため、外窓枠10と内窓枠20との間をより確実に止水することが可能である。
【0063】
また、連結部材30が内窓枠20に仮固定された状態で外窓枠10側に突出片34が突出するので、連結部材30が有する突出片34に、外窓枠10の外延出部12を当接するだけで、内窓枠20に対して外窓枠10を容易に位置決めすることが可能である。
【0064】
また、連結部材30が内窓枠20に仮固定された状態で、内窓枠20の室外側に位置する室外側部位31の外貫通孔32aと、内窓枠20の室内側に位置する室内側部位35の内貫通孔36aとが、内窓枠20の枠貫通孔24を介して連通しているので、内貫通孔36a、枠貫通孔24、外貫通孔32aを貫通させたねじ51を外窓枠10に螺合することにより、外窓枠10と内窓枠20とを確実に連結することが可能である。
【0065】
また、合成樹脂製の連結部材30の外貫通孔32a及び内貫通孔36aがアルミニウム製の外窓枠10の枠貫通孔24の孔径より小さいので、ねじ51を介して外窓枠10と内窓枠20との間にて熱が伝達されにくい。また、外窓枠10と内窓枠20との間を止水するシール材50も合成樹脂等の熱伝導性が低い材質なので、外窓枠10と内窓枠20との間にて熱が伝達されにくい。このため、単に連結された二重窓でなく、断熱性に優れた二重窓1を提供することが可能である。
【0066】
また、室内側部位35に設けられた係合片37を、内窓枠20を貫通させて室外側部位31に設けられた挿入孔32b及び段部32dと係合するだけで、内窓枠20に連結部材30を容易にかつ確実に仮固定することが可能である。
【0067】
また、連結部材30が内窓枠20に仮固定された状態にて、内窓枠20が有するシール材50及びシール嵌合部23が、外窓枠10を貫通して室内側に突出するように嵌め込まれた引導部材55に当接されて外窓枠10が位置決めされるので、より容易に位置決めすることが可能である。
【0068】
また、シール材50と対向して当接される外壁部11より室内側に至った水を、外壁部11より室外側に導く引導部材55は、外壁部11を貫通し室内側に突出するように嵌め込まれ、突出片34により位置決めされた際には、シール材50及びシール嵌合部23に当接されるので、外壁部11より室内側に至った水をシール材50と外壁部11とが当接されている部位に留めることなく、外壁部11より室外側に導いて排出することが可能である。
【0069】
また、室内側の引違い障子5aを案内する室内レール25から室外側に向かって下方に傾斜しつつ延出されてシール嵌合部23に至る傾斜凹部26とシール嵌合部23との境界をなし、外壁部11と対向する内壁部21には、引導部材55と対向する部位に内壁部21の室外側と室内側とを連通する内壁連通孔21bが設けられているので、室内側の引違い障子5aよりも室外側にて生じた水を、傾斜凹部26の傾斜により内壁部21側に移動させ、内壁部21の内壁連通孔21bから引導部材55を介して外壁部11より室外側に排出することが可能である。
【0070】
また、本実施形態の連結部材30は、仮固定部としての係合片37、挿入孔32b、及び、段部32dと、位置決め部としての突出片34とを有しているので、内窓枠20に仮固定されると、内窓枠20側に外窓枠10の位置決め部を備えることが可能である。さらに、連結部材30は案内部としての外貫通孔32a及び内貫通孔36aを有しているので、突出片34により位置決めされた外窓枠10に対し、外貫通孔32a及び内貫通孔36aにより案内させてねじ51を螺合することにより、内窓枠20と外窓枠10とを位置決めした状態にて容易に連結することが可能である。また、連結部材30は内窓枠20に仮固定されるので、内窓枠20と外窓枠10とを連結する際に、連結部材30を支えつつねじ止めする必要はない。このため、より精度良く容易に連結することが可能な連結部材30を提供することが可能である。
【0071】
また、外貫通孔32a及び内貫通孔36aは、外窓枠10と内窓枠20とを連結するねじ51を見込み方向に案内するので、外窓枠10と内窓枠20とは見込み方向において対向する部位を有していればよい。このため、外窓枠10と内窓枠20とが上下方向に重なる部位を必要としないため、上下方向にねじを進入させて連結する場合より外窓枠10及び内窓枠20を小さくすることが可能である。このため、軽量化を図ることが可能な連結部材30を提供することが可能である。
【0072】
このため、軽量化を図りつつも容易に位置決めして外窓枠10と内窓枠20とを連結することが可能な連結部材30を提供することが可能である。
【0073】
本実施形態の連結部材30は、室内側部位35に設けられた、先端にフック部37aが設けられた係合片37が、室外側部位31に設けられた挿入孔32b内に挿入されて段部32dに係止されて連結部材30が仮固定される例について説明したが、これに限るものではない。たとえば、図10に示すように、室外側部位31に、室内側に突出された突出縁部32cと繋がり、先端にフック部38aが設けられた係合片38が設けられており、室内側部位35に係合片38が挿入される挿入孔36b及びが設けられており、挿入孔36bに挿入された係合片38のフック部38aが、本体部36から突出された挿入孔36bの縁部36cに係合して連結部材39が仮固定される構成であっても構わない。
【0074】
上記実施形態においては、仮固定部としての係合片37、挿入孔32b、及び、段部32dと、案内部としての外貫通孔32a、及び、内貫通孔36aとを、互いに異なる部位に設けた連結部材30について説明したが、これに限るものではない。例えば、図11に示すように、係合片71が挿入される挿入孔と外貫通孔とを共通にした共通孔72と内貫通孔73とが見込み方向に重なるように設けられた連結部材74であってもよい。この場合には、内貫通孔73の外側に係合片71を並べて配置し、共通孔72及び段部72aを係合片71に合わせて配置するとともに、枠貫通孔24を共通孔72に合わせて広げて設けておけばよい。このように構成することにより、連結部材74をより小さく安価に製造することが可能である。尚、この場合にも、室外側に突出させて位置決め部としての突出片74aが設けられている。
【0075】
また、上記実施形態においては、室外側部位31と室内側部位35とが境界部にて屈曲される例について説明したが、これに限るものではない。例えば、図12に示すように、室外側部位75と室内側部位76とが内窓枠20の肉厚より僅かに広く間隔を隔てて対向し一端が繋がった状態にて一体に形成された連結部材77であってもよい。
【0076】
この場合には、室外側部位75には、内窓枠20の長手方向に突出する係合突起75aを両側に設けておく。一方、内窓枠20の内延出部22には、連結部材77の室外側部位75に設けられた係合突起75aの幅より僅かに狭い切り欠き部22aを設けておく。そして、室外側部位75と室内側部位76との間に、内窓枠20の切り欠き部22aが設けられた部位を挿入しつつ係合突起75aを内延出部22の切り欠き部22aの縁22bに係合させることにより連結部材77が仮固定される構成であっても構わない。
【0077】
この場合には、係合突起75a、及び、切り欠き部22aの縁22bが仮固定部に相当する。また、この場合には、連結部材77に設けられた係合突起75aと、内窓枠20に設けられた被係合部としての切り欠き部22aの縁22bとを係合するだけで、内窓枠20に連結部材77をより容易にかつ確実に係合することが可能である。なお、この場合にも、室外側部位75に外貫通孔75b、室内側部位76に内貫通孔76a、及び、室外側に位置決め部としての突出片75cが設けられている。
【0078】
なお、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0079】
1 二重窓、5a 障子、10 外窓枠、10a 外開口、11 外壁部、
12 外延出部、20 内窓枠、20a 内開口、21 内壁部、
21b 内壁連通孔、22a 切り欠き部、22b 切り欠き部の縁、
23 シール嵌合部、23a 内側突出部、24 枠貫通孔、25 室内レール、
26 傾斜凹部、26a 底面、30 連結部材、31 室外側部位、
32a 外貫通孔、32b 挿入孔、32d 段部、34 突出片、35 室内側部位、
36a 内貫通孔、36b 挿入孔、37 係合片、37a フック部、38 係合片、
38a フック部、39 連結部材、50 シール材、51 ねじ、55 引導部材、
71 係合片、72 共通孔、72a 段部、73 内貫通孔、74 連結部材、
74a 突出片、75 室外側部位、75a 係合突起、75b 外貫通孔、
75c 突出片、76 室内側部位、76a 内貫通孔、77 連結部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12