特許第6013207号(P6013207)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013207
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】携帯電子機器およびスキャン方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/16 20060101AFI20161011BHJP
   H04N 5/44 20110101ALI20161011BHJP
【FI】
   H04B1/16 Z
   H04N5/44 J
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-10235(P2013-10235)
(22)【出願日】2013年1月23日
(65)【公開番号】特開2014-143529(P2014-143529A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2015年10月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】花▲崎▼ 光男
【審査官】 野元 久道
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−165861(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/16
H04N 5/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送電波を受信するチューナー部と、
前記チューナー部を用いて物理チャンネルをスキャンしたスキャン結果を記憶する記憶部と、
現在地に対応する地域で放送に用いられている物理チャンネルをスキャンするときに、前記スキャン結果に基づいて、前回のスキャンが成功した物理チャンネルのスキャンを省略する制御部と
を備え
前記制御部は、現在地に対応する地域で放送に用いられている物理チャンネルをスキャンするときに、まず、選局のための番号と対応付けて前記記憶部に記憶されている物理チャンネルをスキャンし、スキャンが失敗した物理チャンネルがなければ、他の物理チャンネルのスキャンを行わない携帯電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、現在地に対応する地域で放送に用いられている物理チャンネルをスキャンするときに、前記スキャン結果に基づいて、前回のスキャンが成功してからの経過時間が所定期間内の物理チャンネルのスキャンを省略する請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、前記選局のための番号と対応付けて前記記憶部に記憶されている物理チャンネルのスキャンに失敗した場合に、前回のスキャンを実行してからの経過時間が所定期間よりも長い物理チャンネルをスキャンする請求項1又は請求項2に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
放送電波を受信するチューナー部を有する携帯電子機器によるスキャン方法であって、
前記チューナー部を用いて物理チャンネルをスキャンしたスキャン結果を記憶部に記憶するステップと、
現在地に対応する地域で放送に用いられている物理チャンネルをスキャンするときに、前記スキャン結果に基づいて、前回のスキャンが成功した物理チャンネルのスキャンを省略し、まず、選局のための番号と対応付けて前記記憶部に記憶されている物理チャンネルをスキャンし、スキャンが失敗した物理チャンネルがなければ、他の物理チャンネルのスキャンを行わないステップと
を含むスキャン方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、携帯電子機器およびスキャン方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等の携帯電子機器には、テレビ、ラジオ等の放送を再生する機能を有するものがある。このような携帯電子機器は、視聴可能なチャンネルを利用者が選択できるようにするために、放送信号を全周波数でスキャンした結果に基づいて、どのチャンネルが視聴可能であるかを判定する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−013945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
携帯電子機器は、利用者と共に移動するため、視聴可能なチャンネルがしばしば変化する。このため、携帯電子機器は、移動した地域に応じて視聴可能なチャンネルを設定し直すことを求められることがあるが、その度に放送信号を全周波数でスキャンすると、処理に時間がかかる上に電力が大きく消費されてしまう。このような理由から、視聴可能なチャンネルの設定を効率的に行うことができる携帯電子機器およびスキャン方法に関するニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの態様に係る携帯電子機器は、チューナー部と、記憶部と、制御部とを備える。チューナー部は、放送電波を受信する。記憶部は、チューナー部を用いて物理チャンネルをスキャンしたスキャン結果を記憶する。制御部は、現在地に対応する地域で放送に用いられている物理チャンネルをスキャンするときに、前記スキャン結果に基づいて、前回のスキャンが成功した物理チャンネルのスキャンを省略する。
【0006】
1つの態様に係るスキャン方法は、放送電波を受信するチューナー部を有する携帯電子機器によるスキャン方法である。このスキャン方法は、前記チューナー部を用いて物理チャンネルをスキャンしたスキャン結果を記憶部に記憶するステップと、現在地に対応する地域で放送に用いられている物理チャンネルをスキャンするときに、前記スキャン結果に基づいて、前回のスキャンが成功した物理チャンネルのスキャンを省略するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、携帯電子機器のブロック図である。
図2図2は、プリセットデータの例を示す図である。
図3図3は、初期状態でのスキャン処理が完了した後のスキャンデータの例を示す図である。
図4図4は、プリセットデータに基づいて更新されたチャンネルデータの例を示す図である。
図5図5は、初期状態でのスキャンが完了した後のスキャンデータの他の例を示す図である。
図6図6は、残りの物理チャンネルのスキャン処理が完了した後のスキャンデータの例を示す図である。
図7図7は、検出結果に基づいて更新されたチャンネルデータの例を示す図である。
図8図8は、再スキャン処理が完了した後のスキャンデータの例を示す図である。
図9図9は、変化が検出されたチャンネルを通知する画面の例を示す図である。
図10図10は、初期状態における携帯電子機器の動作を示すフローチャートである。
図11図11は、再スキャン処理における携帯電子機器の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明を実施するための実施形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0009】
図1を参照しながら、実施形態に係る携帯電子機器10の構成について説明する。図1は、携帯電子機器10のブロック図である。携帯電子機器10は、例えば、携帯電話機である。図1に示すように、携帯電子機器10は、表示部11と、操作部12と、通信部13と、チューナー部14と、記憶部15と、制御部16とを含む。
【0010】
表示部11は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機ELパネルディスプレイ(OELD:Organic Electro−Luminescence Display)、又は無機ELパネルディスプレイ(IELD:Inorganic Electro−Luminescence Display)等の表示デバイスを備える。表示部11は、文字、画像、記号、及び図形等を含む画面を表示する。
【0011】
操作部12は、利用者の操作を受け付ける。操作部12は、操作を受け付けるために、ボタン、キー、タッチスクリーン等の入力デバイスを備える。操作部12は、タッチスクリーンディスプレイのように、表示部11と一体に形成されていてもよい。
【0012】
通信部13は、無線により通信する。通信部13、例えば、2G、3G、4G等のセルラーフォンの通信をサポートする。通信部13は、複数の通信方式をサポートしてもよい。通信部13は、IEEE802.11、Bluetooth(登録商標)等の近距離での通信方式をサポートしてもよい。
【0013】
チューナー部14は、放送電波を受信する。チューナー部14が受信する電波は、テレビの電波であってもよいし、ラジオの電波であってもよい。放送に用いられる電波の周波数帯は、複数の物理チャンネルに分割されている。放送業者は、割り当てられた物理チャンネルを用いて放送区域内に放送電波を送信する。放送区域内であっても障害物の存在等のために放送電波がうまく届かない場所には、放送業者の物理チャンネルと異なる物理チャンネルを用いて放送電波が中継されることもある。
【0014】
記憶部15は、プログラム及びデータを記憶する。記憶部15は、制御部16の処理結果を一時的に記憶する作業領域としても利用される。記憶部15は、半導体記憶媒体、及び磁気記憶媒体等の任意の非一過的(non−transitory)な記憶媒体を含んでよい。記憶部15は、複数の種類の記憶媒体を含んでよい。記憶部15は、メモリカード、光ディスク、又は光磁気ディスク等の可搬の非一過的な記憶媒体と、記憶媒体の読み取り装置との組み合わせを含んでよい。記憶部15は、RAM(Random Access Memory)等の一時的な記憶領域として利用される記憶デバイスを含んでよい。
【0015】
記憶部15に記憶されるプログラムは、再生プログラム15aを含む。記憶部15に記憶されるデータは、プリセットデータ15bと、スキャンデータ15cと、チャンネルデータ15dとを含む。
【0016】
再生プログラム15aは、チューナー部14によって受信された放送電波を再生する機能を提供する。放送電波がテレビの電波の場合、画像及び音が再生される。放送電波がラジオの電波の場合、音が再生される。再生プログラム15aは、さらに、視聴可能なチャンネルを設定する機能と、設定したチャンネルの中から再生するチャンネルを利用者に選択させる機能とを提供する。視聴可能なチャンネルを設定する機能の詳細については、後述する。
【0017】
プリセットデータ15bには、視聴可能なチャンネルとして知られているチャンネルに関する情報が地域毎に予め格納される。プリセットデータ15bに格納されている情報に基づいて現在地で視聴可能なチャンネルを再生しようとしても、再生ができないことがある。このような状況は、例えば、何らかの障害のために放送電波が適正に受信できない場合、放送業者へ割り当てられた物理チャンネルが変更された場合等に生じる。
【0018】
スキャンデータ15cには、視聴可能であるか否かを判定するために、チューナー部14を用いて物理チャンネルをスキャンした結果が地域毎に格納される。チャンネルデータ15dには、視聴可能と判定された物理チャンネルに関する情報が地域毎に後納される。チャンネルデータ15dは、利用者に視聴するチャンネルを選択させるときに利用される。
【0019】
制御部16は、携帯電子機器10を統括的に制御する。制御部16は、携帯電子機器10がその機能を発揮するための各種制御を行う。制御部16は、演算処理装置を有する。演算処理装置は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、SoC(System−on−a−chip)、MCU(Micro Control Unit)、又はFPGA(Field−Programmable Gate Array)である。
【0020】
制御部16は、記憶部15に記憶されているプログラムを演算処理装置を用いて実行することによって各種の制御を実現する。例えば、制御部16は、再生プログラム15aを実行することによって、放送電波の再生に関連する各種の制御を実現する。放送電波の再生に関連する制御には、視聴可能なチャンネルを設定する機能に基づく制御が含まれる。
【0021】
図2から図9を参照しながら、視聴可能なチャンネルを設定する機能の詳細について説明する。図2は、プリセットデータ15bの例を示す図である。図2に示すように、プリセットデータ15bは、地域、物理チャンネル、業者ID、業者名、ユーザチャンネルといった項目を有する。プリセットデータ15bは、地域毎に、物理チャンネル、業者ID、業者名、及びユーザチャンネルの項目の値の組み合わせを複数格納できるように構成される。
【0022】
地域の項目には、地域を識別するための値が設定される。物理チャンネルの項目には、物理チャンネルを識別するための番号が設定される。本実施例では、20から44の番号で識別される25個の物理チャンネルが利用可能であるものと想定する。業者IDの項目には、物理チャンネルを割り当てられている放送業者のIDが設定される。放送業者のIDは、放送業者が送信する放送電波にも含まれる。業者名の項目には、放送業者の名称が設定される。ユーザチャンネルの項目には、利用者がチャンネルを選択するために用いる番号(選局のための番号)が設定される。本実施例では、1から10の番号が、チャンネルを選択するために用いられるものと想定する。
【0023】
図2に示す例は、東京には、それぞれ、20、24、28、32、36、40の物理チャンネルが割り当てられた6社の放送業者があることを示している。さらに、図2に示す例は、大阪には、それぞれ、22、26、30、34、38、42の物理チャンネルが割り当てられた6社の放送業者があることを示している。
【0024】
図2の例に示すように、それぞれの地域において、全ての物理チャンネルのうち、一部の物理チャンネルのみが放送業者に割り当てられている。さらに、放送業者に割り当てられている物理チャンネルは、地域によって異なる。このため、利用者に視聴するチャンネルを効率的に選択させるためには、現在地でサービスしている放送業者に割り当てられている物理チャンネルを把握しておくことが求められる。
【0025】
放送業者に割り当てられている物理チャンネルを把握するために、プリセットデータ15bをそのまま利用することも考えられるが、上述したように、電波障害の対策のための中継により地域内でも異なる物理チャンネルを用いて放送電波が送られる場所がある。さらに、地域の境界では、複数の地域の放送を再生することが好ましい場合もある。このため、実際に物理チャンネルをスキャンすることによって、現在地で放送を視聴可能な物理チャンネルを把握することが求められる。
【0026】
放送を視聴可能な物理チャンネルを把握するスキャン処理が初期状態で実行される場合、携帯電子機器10は、現在地に対応する地域の放送業者に割り当てられている物理チャンネルの番号をプリセットデータ15bから取得する。
【0027】
初期状態とは、チャンネルデータ15dにおいて、視聴可能と判定された物理チャンネルに関する情報が、現在地に対応する地域に設定されてない状態、すなわち、現在地で実際に視聴可能な物理チャンネルが不明な状態である。現在地は、利用者によって指定されてもよいし、GPS(Global Positioning System)、通信部13と無線回線で接続されている基地局等に基づいて携帯電子機器10によって検出されてもよい。
【0028】
携帯電子機器10は、全ての物理チャンネルのうちプリセットデータ15bから取得した番号に対応する物理チャンネルをスキャンする。スキャンの結果は、スキャンデータ15cに記録される。スキャンに失敗した物理チャンネルの数が閾値以下の場合、携帯電子機器10は、プリセットデータ15bに基づいてチャンネルデータ15dを更新する。
【0029】
閾値は、一時的な理由によりスキャンが失敗する可能性がある物理チャンネルの数に設定される。地域内で放送業者に割り当てられている物理チャンネルの数が6個の場合、閾値は、例えば、1又は2に設定される。本実施例では、閾値は、2に設定されているものとする。
【0030】
初期状態でのスキャンが成功したか否かは、物理チャンネルで放送電波を受信できたか否かだけでなく、期待される放送業者のIDが放送電波に含まれるか否かに基づいても判定される。すなわち、物理チャンネルで放送電波を受信できても、その放送電波に含まれる放送業者のIDが期待される放送業者のIDではない場合には、スキャンは失敗したと判定される。初期状態でのスキャンでは、期待される放送業者のIDは、物理チャンネルの番号と対応付けてプリセットデータ15bに設定されている放送業者のIDである。
【0031】
図3は、初期状態でのスキャン処理が完了した後のスキャンデータ15cの例を示す図である。図3に示すように、スキャンデータ15cは、地域、物理チャンネル、スキャン日時、スキャン結果、業者IDといった項目を有する。スキャンデータ15cは、地域毎に、物理チャンネル、スキャン日時、スキャン結果、及び業者IDの項目の値の組み合わせを複数格納できるように構成される。
【0032】
地域の項目には、地域を識別するための値が設定される。物理チャンネルの項目には、物理チャンネルを識別するための番号が設定される。スキャン日時の項目には、物理チャンネルを最後にスキャンした日時が設定される。スキャン結果の項目には、最後に実行されたスキャンが成功したか失敗したかを示す値が設定される。業者IDの項目には、スキャンが成功した物理チャンネルの放送電波に含まれる放送業者のIDが設定される。
【0033】
図3に示す例は、東京でスキャンが行われ、プリセットデータ15bから取得した番号に対応する6個の物理チャンネルのうち、32の番号で識別される物理チャンネルを除いた5個の物理チャンネルのスキャンが成功したことを示している。
【0034】
図4は、プリセットデータ15bに基づいて更新されたチャンネルデータ15dの例を示す図である。図4に示すように、チャンネルデータ15dは、地域、ユーザチャンネル、物理チャンネル、業者ID、業者名といった項目を有する。チャンネルデータ15dは、地域毎に、ユーザチャンネル、物理チャンネル、業者ID、及び業者名の項目の値の組み合わせを複数格納できるように構成される。
【0035】
地域の項目には、地域を識別するための値が設定される。ユーザチャンネルの項目には、利用者がチャンネルを選択するために用いる番号が設定される。物理チャンネルの項目には、物理チャンネルを識別するための番号が設定される。業者IDの項目には、物理チャンネルを割り当てられている放送業者のIDが設定される。業者名の項目には、放送業者の名称が設定される。
【0036】
図4に示す例では、東京の放送業者に割り当てられている物理チャンネルの番号と対応付けて、同じ番号が物理チャンネルの項目に設定されているプリセットデータ15bの行の対応する項目の値が設定されるように、チャンネルデータ15dが更新されている。初期状態でのスキャンに失敗した物理チャンネルの数が閾値以下の場合、図4に示す例のように、プリセットデータ15bに基づいてチャンネルデータ15dが更新される。放送電波に業者の名称が含まれる場合、業者名の項目には、放送電波に含まれる名称を設定してもよい。
【0037】
携帯電子機器10は、放送電波の再生中に番号を指定する選局操作を受け付けると、指定された番号がユーザチャンネルの項目に設定されている行を、チャンネルデータ15dの現在地に対応する地域の行の中から特定する。そして、携帯電子機器10は、再生する放送電波の物理チャンネルを、特定した行の物理チャンネルの項目に設定されている番号によって識別される物理チャンネルへ切り替える。
【0038】
このように、携帯電子機器10は、初期状態では、まず、全ての物理チャンネルのうちプリセットデータ15bから取得した番号に対応する物理チャンネルがスキャンされる。このように、スキャンが成功する可能性が高い物理チャンネルを先にスキャンすることで、全ての物理チャンネルをスキャンしなくても、プリセットデータ15bに格納されている情報が有効かを判定することができる。この結果、処理に要する時間を短縮し、電力の消費を低減できる。
【0039】
さらに、携帯電子機器10は、取得した番号に対応する全ての物理チャンネルのスキャンが成功した場合だけでなく、スキャンが失敗した物理チャンネルの数が閾値以下の場合にも、他の物理チャンネルをスキャンせずに、プリセットデータ15bに基づいてチャンネルデータ15dを更新する。このため、一時的な理由によりスキャンが失敗した物理チャンネルがあっても、多くの場合において、処理に要する時間を短縮し、電力の消費を低減できる。
【0040】
その後、携帯電子機器10の利用者が大阪に移動し、放送を視聴可能な物理チャンネルを把握するスキャン処理が、大阪において初期状態で実行されたものとする。さらに、大阪では、22の番号で識別される物理チャンネルを割り当てられている放送業者を除いて、放送業者に割り当てられている物理チャンネルが変更されているものとする。
【0041】
図5は、初期状態でのスキャンが完了した後のスキャンデータ15cの他の例を示す図である。図5の例に示すように、スキャン処理が大阪において初期状態で実行された場合、物理チャンネルの割り当てが変更されているために、22の番号で識別される物理チャンネルを除いた5個の物理チャンネルのスキャンが失敗する。
【0042】
このようにスキャンが失敗した物理チャンネルの数が閾値よりも多い場合、一時的ではない理由のためにスキャンが失敗している可能性が高い。このため、携帯電子機器10は、プリセットデータ15bから取得した番号に対応する物理チャンネルのうち、スキャンが失敗した物理チャンネルの数が閾値よりも多い場合には、残りの物理チャンネルのスキャン処理を実行する。残りの物理チャンネルのスキャン処理では、スキャンが成功したか否かは、物理チャンネルで放送電波を受信できたか否かに基づいて判定される。
【0043】
図6は、残りの物理チャンネルのスキャン処理が完了した後のスキャンデータ15cの例を示す図である。図6に示す例は、残りの物理チャンネルのスキャン処理において、5個の物理チャンネルのスキャンが成功したこと、すなわち、割り当てが変更された5個の物理チャンネルが検出されたことを示している。
【0044】
残りの物理チャンネルのスキャン処理において検出した物理アドレスがある場合、携帯電子機器10は、検出結果に基づいてチャンネルデータ15dを更新する。
【0045】
図7は、検出結果に基づいて更新されたチャンネルデータ15dの例を示す図である。残りの物理チャンネルのスキャン処理において、物理チャンネルのスキャンが成功した場合、携帯電子機器10は、その物理チャンネルの放送電波に含まれる放送業者のIDを取得する。そして、携帯電子機器10は、取得した放送業者のID及び現在地に対応する地域が設定されているプリセットデータ15bの行を特定し、特定した行の業者名及びユーザチャンネルの項目の値を取得する。携帯電子機器10は、こうして取得したID及び値が、スキャンが成功した物理チャンネルの番号と対応付けられるように、チャンネルデータ15dを更新する。放送電波に業者の名称が含まれる場合、業者名の項目には、放送電波に含まれる名称を設定してもよい。
【0046】
このように、残りの物理チャンネルのスキャン処理を実行することにより、プリセットデータ15bの設定とは異なる物理チャンネルを用いて放送が行われている場合でも、放送に用いられている物理チャンネルを検出することができる。
【0047】
なお、携帯電子機器10は、初期状態でのスキャンが失敗した物理チャンネルを、残りの物理チャンネルのスキャン処理でも見つけることができなかった場合、その物理チャンネルがプリセットデータ15bの設定通りに検出されたとみなしてチャンネルデータ15dを更新する。このような制御により、放送を適正に再生できる可能性が最も高い設定を行うことができる。
【0048】
その後、携帯電子機器10の利用者が東京に戻り、放送を視聴可能な物理チャンネルを把握する再スキャン処理が、東京において実行されたものとする。再スキャン処理とは、チャンネルデータ15dにおいて、視聴可能と判定された物理チャンネルに関する情報が現在地に対応する地域に設定されている状態、すなわち、現在地で実際に視聴可能な物理チャンネルが設定済みの状態で実行されるスキャン処理である。
【0049】
再スキャン処理では、携帯電子機器10は、チャンネルデータ15dから、現在地に対応する地域の情報のうち、視聴可能に設定されているチャンネルの情報を取得する。視聴可能に設定されているチャンネルとは、物理チャンネルの番号が、利用者がチャンネルを選択するために用いる番号と対応付けてチャンネルデータ15dに登録されているチャンネルである。
【0050】
そして、携帯電子機器10は、取得した情報に含まれる物理チャンネルの番号のうち、前回のスキャンが失敗している物理チャンネルの番号と、前回のスキャンからの経過時間が所定期間よりも長い物理チャンネルの番号とを選択する。前回のスキャンの結果と、前回のスキャンからの経過時間とは、スキャンデータ15cから取得される。
【0051】
そして、携帯電子機器10は、全ての物理チャンネルのうち、選択した番号に対応する物理チャンネルをスキャンする。いずれの物理チャンネルにおいてもスキャンが失敗しない場合、携帯電子機器10は、チャンネルデータ15dを更新せずに処理を終了する。
【0052】
所定期間は、目的に応じて設定される。所定期間をより長く設定することにより、再スキャン処理に要する時間が短縮される可能性をより高くすることができる。所定期間をより短く設定することにより、物理チャンネルの状況の変化をより早期に検出することができる。所定期間は、利用者によって変更されてもよい。
【0053】
再スキャン処理では、スキャンが成功したか否かは、物理チャンネルで放送電波を受信できたか否かだけでなく、期待される放送業者のIDが放送電波に含まれるか否かに基づいても判定される。すなわち、物理チャンネルで放送電波を受信できても、その放送電波に含まれる放送業者のIDが期待される放送業者のIDではない場合には、スキャンは失敗したと判定される。再スキャン処理では、期待される放送業者のIDは、現在地に対応する地域及び物理チャンネルの番号と対応付けてチャンネルデータ15dに設定されている放送業者のIDである。
【0054】
このように、再スキャン処理においては、まず、視聴可能に設定されているチャンネルが実際に視聴可能であるかが確認される。これにより、全ての物理チャンネルをスキャンすることなく、物理チャンネルの状況に変化があるか否かを確認することができる。この結果、処理に要する時間を短縮し、電力の消費を低減できる。
【0055】
さらに、携帯電子機器10は、視聴可能に設定されている物理チャンネルのうち、前回のスキャンが成功してからの経過時間が所定期間内の物理チャンネルのスキャンを省略する。このようなスキャンが成功する可能性が高い物理チャンネルのスキャンを省略することにより、処理に要する時間をさらに短縮し、電力の消費をさらに低減できる。
【0056】
図8は、再スキャン処理が完了した後のスキャンデータ15cの例を示す図である。図8に示す例は、再スキャン処理において、前回のスキャンが失敗していた物理チャンネル(32の番号で識別される物理チャンネル)のスキャンが成功したことを示している。
【0057】
選択した番号に対応する物理チャンネルのいずれかにおいてスキャンが失敗した場合、携帯電子機器10は、全ての物理チャンネルのうち、現在地に対応する地域における前回のスキャンからの経過時間が所定期間よりも長い物理チャンネルをスキャンする。このとき、スキャンが成功したか否かは、物理チャンネルで放送電波を受信できたか否かに基づいて判定される。このときの所定期間は、上記の選択した番号に対応する物理チャンネルのスキャンのときの所定期間と異なってもよい。
【0058】
このようにスキャンが最近行われており、状況が変化している可能性が低い物理チャンネルのスキャンを省略することにより、処理に要する時間を短縮し、電力の消費を低減できる。
【0059】
そして、携帯電子機器10は、スキャン結果に基づいて、必要に応じてチャンネルデータ15dを更新する。例えば、スキャンによって、ある放送業者の放送に用いられる物理チャンネルが変化していることが検出された場合、携帯電子機器10は、その変化をチャンネルデータ15dに反映する。
【0060】
放送に用いられる物理チャンネルが変化していることが検出された場合、携帯電子機器10は、変化を利用者に通知してもよい。例えば、携帯電子機器10は、図9に示すように、チャンネルの一覧を表示部11に表示する際に、変化が検出されたチャンネルにシンボル20を付加してもよい。
【0061】
図10及び図11を参照しながら、視聴可能なチャンネルを設定する機能に基づく携帯電子機器10の動作について説明する。
【0062】
図10は、初期状態における携帯電子機器10の動作を示すフローチャートである。放送業者に割り当てられている物理チャンネルを把握することを初期状態において求められると、携帯電子機器10の制御部16は、ステップS101として、現在地に対応する地域を判定する。そして、制御部16は、ステップS102として、プリセットデータ15bから、判定した地域の情報を取得する。
【0063】
制御部16は、ステップS103として、取得した情報に含まれる物理チャンネルをスキャンし、ステップS104として、スキャン結果をスキャンデータ15cに記録する。そして、制御部16は、ステップS105として、スキャンが失敗した物理チャンネルの数を閾値と比較する。
【0064】
スキャンが失敗した物理チャンネルの数が閾値以下の場合(ステップS106,Yes)、制御部16は、ステップS107に進む。制御部16は、ステップS107として、プリセットデータ15bに基づいてチャンネルデータ15dを更新する。
【0065】
スキャンが失敗した物理チャンネルの数が閾値より多い場合(ステップS106,No)、制御部16は、ステップS108に進む。制御部16は、ステップS108として、残りの未スキャンの物理チャンネルをスキャンし、ステップS109として、スキャン結果をスキャンデータ15cに記録する。そして、制御部16は、ステップS110として、現在地に対応する地域で放送を行っている放送業者としてプリセットデータ15bに登録されている放送業者のうち、検出できなかった放送業者があるかを判定する。
【0066】
検出できなかった放送業者がある場合(ステップS111,Yes)、制御部16は、ステップS112に進む。制御部16は、ステップS112として、検出できなかった放送業者の物理チャンネルがプリセットデータ15bの通りに検出されたとみなす。そして、制御部16は、ステップS113として、検出結果に基づいてチャンネルデータ15dを更新する。
【0067】
検出できなかった放送業者がない場合(ステップS111,No)、制御部16は、ステップS113に進む。そして、制御部16は、ステップS113として、実際の検出結果に基づいてチャンネルデータ15dを更新する。
【0068】
図11は、再スキャン処理における携帯電子機器10の動作を示すフローチャートである。放送業者に割り当てられている物理チャンネルを把握することを初期状態でないとき求められると、携帯電子機器10の制御部16は、ステップS201として、現在地に対応する地域を判定する。そして、制御部16は、ステップS202として、チャンネルデータ15dから、現在地に対応する地域の情報のうち、視聴可能に設定されているチャンネルの情報を取得する。
【0069】
制御部16は、ステップS203として、取得した情報に含まれる物理チャンネルのうち、前回のスキャンが失敗している物理チャンネルと、前回のスキャンからの経過時間が所定期間よりも長い物理チャンネルとをスキャンする。制御部16は、ステップS204として、スキャン結果をスキャンデータ15cに記録する。そして、制御部16は、ステップS205として、スキャンが失敗した物理チャンネルがあるかを判定する。
【0070】
スキャンが失敗した物理チャンネルがない場合(ステップS206,No)、制御部16は、チャンネルデータ15dを更新しない。
【0071】
スキャンが失敗した物理チャンネルがある場合(ステップS206,Yes)、制御部16は、ステップS207に進む。制御部16は、ステップS207として、前回のスキャンからの経過時間が所定期間よりも長い物理チャンネルをスキャンし、ステップS208として、スキャン結果をスキャンデータ15cに記録する。そして、制御部16は、ステップS209として、現在地に対応する地域で放送を行っている放送業者としてプリセットデータ15bに登録されている放送業者のうち、検出できなかった放送業者があるかを判定する。
【0072】
検出できなかった放送業者がある場合(ステップS210,Yes)、制御部16は、ステップS211に進む。制御部16は、ステップS211として、検出できなかった放送業者の物理チャンネルがプリセットデータ15bの通りに検出されたとみなす。そして、制御部16は、ステップS212として、検出結果に基づいてチャンネルデータ15dを更新する。
【0073】
検出できなかった放送業者がない場合(ステップS210,No)、制御部16は、ステップS212に進む。そして、制御部16は、ステップS212として、実際の検出結果に基づいて、必要に応じてチャンネルデータ15dを更新する。
【0074】
本出願の開示する実施形態は、発明の要旨および範囲を逸脱しない範囲で変更することができる。さらに、本出願の開示する実施形態およびその変形例は、適宜組み合わせることができる。例えば、上記の実施形態は、以下のように変形してもよい。例えば、上記の実施形態において説明した装置およびプログラムの構成は、適宜、分散または集約してもよい。上記の実施形態において説明したプログラムは、通信によって他の装置からダウンロードされてもよい。
【0075】
上記の実施形態では、携帯電子機器の例として、携帯電話機について説明したが、添付の請求項に係る装置は、携帯電話機に限定されない。添付の請求項に係る装置は、例えば、スマートフォン、タブレット、携帯型パソコン、デジタルカメラ、メディアプレイヤ、電子書籍リーダ、ナビゲータ、又はゲーム機であってもよい。
【0076】
添付の請求項に係る技術を完全かつ明瞭に開示するために特徴的な実施形態に関し記載してきた。しかし、添付の請求項は、上記実施形態に限定されるべきものでなく、本明細書に示した基礎的事項の範囲内で当該技術分野の当業者が創作しうるすべての変形例および代替可能な構成を具現化するように構成されるべきである。
【符号の説明】
【0077】
10 携帯電子機器
11 表示部
12 操作部
13 通信部
14 チューナー部
15 記憶部
15a 再生プログラム
15b プリセットデータ
15c スキャンデータ
15d チャンネルデータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11