(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る電子写真機器用導電性組成物(本組成物)は、(a)ゴムポリマー、(b)過酸化物架橋剤、(c)マレイミド化合物、(d)ジスルフィド化合物、を含有するものからなる。
【0013】
(a)ゴムポリマーは、ゴムそのものがイオン導電性を示すイオン導電性ゴムであっても良いし、ゴムそのものはイオン導電性を示さないが、イオン導電剤を配合することによりイオン導電性を示すイオン導電剤含有ゴムであっても良い。これらは1種または2種以上混合されていても良い。また、導電性部材として求められる導電性を有利に発現させるために、カーボンブラックなどの電子導電剤を配合したゴムであってもよい。
【0014】
ゴムそのものがイオン導電性を示すイオン導電性ゴムとしては、ヒドリンゴム、ニトリルゴム(NBR)、エポキシ化天然ゴムなどが挙げられる。これらのゴムポリマーは、ゴムとしては体積抵抗率が比較的低いことから、これらのゴムポリマーを主材料として本組成物中に含有することにより、導電性部材として求められる導電性を有利に発現させることができる。
【0015】
イオン導電剤含有ゴムあるいは電子導電剤を配合したゴムのベースゴムとしては、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、天然ゴム(NR)、シリコーンゴム(Q)、クロロプレンゴム(CR)、イソプレンゴム(IR)などが挙げられる。
【0016】
ヒドリンゴムとしては、エピクロルヒドリンの単独重合体(CO)、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド二元共重合体(ECO)、エピクロルヒドリン−アリルグリシジルエーテル二元共重合体(GCO)、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体(GECO)などを挙げることができる。
【0017】
ヒドリンゴムのうち、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド二元共重合体(ECO)は、エピクロルヒドリンの単独重合体(CO)よりも低抵抗体が得られやすい点で好ましい。また、エピクロルヒドリン−アリルグリシジルエーテル二元共重合体(GCO)、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体(GECO)は、二重結合を有するため、耐ヘタリ性を向上できる点で好ましい。
【0018】
(b)過酸化物架橋剤としては、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、ケトンパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、ジアシルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイドなどの従来より公知の過酸化物架橋剤が挙げられる。これらのうち、蓄熱貯蔵試験(BAM式:SADT)における分解温度が60℃以上で、1分間半減期温度が150℃以上のものが、より好ましい。このような、より好ましい過酸化物架橋剤としては、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステルなどが挙げられる。
【0019】
(c)マレイミド化合物は、マレイミド構造を有する化合物であればよく、マレイミド構造を分子中に1つ有するもの、マレイミド構造を分子中に2つ有するもの、マレイミド構造を分子中に3つ以上有するものなどが挙げられる。より具体的には、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン、m−フェニレンビスマレイミド、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン、4,4’−ビスマレイミドジフェニルエーテル、1−メチル−4−マレイミドベンゼン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’−ビスマレイミドジフェニルスルホン、1,6−ビスマレイミド−2,2,4−トリメチルヘキサン、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼンなどが挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。これらのうちでは、ラジカルとの反応性が高く添加量を抑制できるなどの観点から、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン、m−フェニレンビスマレイミドなどがより好ましい。
【0020】
(d)ジスルフィド化合物は、ジスルフィド構造(−S−S−)を有する化合物であればよく、チウラムジスルフィド、チアジルジスルフィド、モルホリンジスルフィド、アルキルジスルフィドなどの化合物が挙げられる。これらのうちでは、(b)過酸化物架橋剤から発生するラジカルとの反応性に優れるなどの観点から、チウラムジスルフィド、チアジルジスルフィド、モルホリンジスルフィドが好ましい。
【0021】
具体的には、チウラムジスルフィドとしては、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィドなどが挙げられる。モルホリンジスルフィドとしては、4,4’−ジチオ−ビス−ジモルホリン、2−(4−モルホリンジチオ)ベンゾチアゾールなどが挙げられる。チアジルジスルフィドとしては、ジベンゾチアジルジスルフィドなどが挙げられる。
【0022】
(d)ジスルフィド化合物としては、常温で分解しにくくスコーチ性に優れるなどの観点から、分子量の比較的大きいものが好ましい。具体的には、分子量が600以上のものが好ましい。このような高分子量のジスルフィド化合物としては、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィドなどが挙げられる。
【0023】
そして、本組成物によれば、(a)ゴムポリマー、(b)過酸化物架橋剤、(c)マレイミド化合物、(d)ジスルフィド化合物、を含有することで、優れた耐ヘタリ性と低硬度を両立できるとともに、硬度のばらつきが抑えられる。
【0024】
優れた耐ヘタリ性は、(c)マレイミド化合物を介して(a)ゴムポリマーのポリマー鎖同士を架橋する架橋構造や(d)ジスルフィド化合物から発生したスルフィド化合物を介して(a)ゴムポリマーのポリマー鎖同士を架橋する架橋構造がポリマー鎖間に組み込まれることで得られる。この場合、(b)過酸化物架橋剤から発生したラジカルにより(a)ゴムポリマーのポリマー鎖同士を直接架橋する架橋構造がポリマー鎖間に組み込まれていてもよいし、組み込まれていなくてもよい。
【0025】
ただし、(b)過酸化物架橋剤から発生したラジカルにより(a)ゴムポリマーのポリマー鎖同士を直接架橋する架橋構造がポリマー鎖間に組み込まれると、ポリマー鎖同士の結合距離が短くなって硬度が高くなる傾向があるため、このような架橋構造は極力組み込まれないほうが好ましい。つまり、低硬度であることを満足する観点からいうと、(c)マレイミド化合物を介する架橋構造と(d)ジスルフィド化合物のスルフィド化合物を介する架橋構造を主とすることが好ましい。より好ましくは、架橋構造がこれら2種類の架橋構造のみからなる場合である。マレイミド化合物やスルフィド化合物を介すことによってポリマー鎖同士の結合距離が適度に広げられるため、硬度の上昇を抑えて低硬度を維持できる。また、(a)ゴムポリマーのポリマー鎖同士が直接架橋(結合)する構造に対し、マレイミド化合物やスルフィド化合物を介す架橋構造は、マレイミド化合物やスルフィド化合物を介すことによって架橋構造に柔軟性が得られ、破断強度や伸びがより優れる。
【0026】
硬度のばらつきが抑えられる理由は、(b)過酸化物架橋剤から発生したラジカルにより(a)ゴムポリマーのポリマー鎖同士を直接架橋する架橋反応の割合が少ないためであると推察される。つまり、(b)過酸化物架橋剤は(c)マレイミド化合物を活性化させたり(d)ジスルフィド化合物からスルフィド化合物を発生させたりするラジカル発生剤(反応開始剤)的に使用され、(a)ゴムポリマーの架橋反応が主に(c)マレイミド化合物や(d)ジスルフィド化合物のスルフィド化合物により生じているためであると推察される。
【0027】
(c)マレイミド化合物が(b)過酸化物架橋剤から発生したラジカルにより活性化されると、(c)マレイミド化合物を介した架橋反応が進行する。しかしながら、このラジカルによる(c)マレイミド化合物の活性化は、ラジカルがある程度多くならないと起こらない。そうすると、架橋初期には(c)マレイミド化合物の活性化に用いられないラジカルが存在する。架橋初期における(c)マレイミド化合物の活性化に用いられないラジカルは、(d)ジスルフィド化合物との反応に用いられ、(d)ジスルフィド化合物からスルフィド化合物(ラジカル)を発生させる。これにより、架橋初期において、(b)過酸化物架橋剤から発生したラジカルにより(a)ゴムポリマーのポリマー鎖同士を直接架橋する架橋反応自体が抑えられる。この点において、(d)ジスルフィド化合物を配合することに技術的意義がある。
【0028】
(a)ゴムポリマーに対し、(b)過酸化物架橋剤と(c)マレイミド化合物のみ配合し、(d)ジスルフィド化合物を配合しない場合には、架橋初期において、(b)過酸化物架橋剤から発生したラジカルにより(a)ゴムポリマーのポリマー鎖同士を直接架橋する架橋反応が抑えられない。このラジカルによる架橋反応は、空気(酸素)に触れない部分では阻害されないが空気(酸素)に触れる部分では阻害されるため、硬度のばらつきを生じさせる。
【0029】
(c)マレイミド化合物がラジカルにより活性化される段階である架橋中期から架橋後期には、(b)過酸化物架橋剤から発生したラジカルは(c)マレイミド化合物の活性化と(d)ジスルフィド化合物との反応に用いられ、(c)マレイミド化合物を介した架橋反応と(d)ジスルフィド化合物のスルフィド化合物を介した架橋反応が進行する。これにより、架橋中期から架橋後期において、(b)過酸化物架橋剤から発生したラジカルにより(a)ゴムポリマーのポリマー鎖同士を直接架橋する架橋反応自体が抑えられる。
【0030】
(a)ゴムポリマーに対し、(b)過酸化物架橋剤と(d)ジスルフィド化合物のみ配合し、(c)マレイミド化合物を配合しない場合には、架橋中期から架橋後期において、(b)過酸化物架橋剤から発生したラジカルにより(a)ゴムポリマーのポリマー鎖同士を直接架橋する架橋反応が抑えられない。これにより、硬度のばらつきを生じさせる。
【0031】
(b)過酸化物架橋剤の含有量は、(a)ゴムポリマー100質量部に対して、0.3〜4.0質量部の範囲内であることが好ましい。この含有量が0.3質量部以上であると、(a)ゴムポリマーの架橋が十分に進行し、耐ヘタリ性をより優れたものにできる。この含有量が4.0質量部以下であると、硬度をより低く抑えることができる。
【0032】
(c)マレイミド化合物の含有量は、(a)ゴムポリマー100質量部に対して、0.5〜8.0質量部の範囲内であることが好ましい。この含有量が0.5質量部以上であると、破断強度をより高くできる。この含有量が8.0質量部以下であると、硬度をより低く抑えることができる。
【0033】
(d)ジスルフィド化合物の含有量は、(a)ゴムポリマー100質量部に対して、0.2〜5.0質量部の範囲内であることが好ましい。この含有量が0.2質量部以上であると、架橋初期において(b)過酸化物架橋剤から発生したラジカルにより(a)ゴムポリマーのポリマー鎖同士を直接架橋する架橋反応を抑える効果に優れる。また、破断伸びをより優れたものにできる。この含有量が5.0質量部以下であると、耐ヘタリ性をより優れたものにできる。
【0034】
本組成物においては、要求される導電特性に応じて、ゴムそのものがイオン導電性を示すゴムポリマーに対しても、さらにイオン導電剤を含有しても良い。さらにイオン導電剤を含有していると、電気抵抗の調整が図りやすい。また、比較的、抵抗ムラが発生しにくい。
【0035】
イオン導電剤としては、電子写真機器分野で使用されるものであれば特に限定されるものではないが、好ましいものとしては、第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩、過塩素酸塩、ホウ酸塩、界面活性剤などを挙げることができる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0036】
第四級アンモニウム塩あるいは第四級ホスホニウム塩としては、例えば、炭素数1〜18程度のアルキル基またはアリール基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、フェニル基、キシリル基など)を1種または2種以上有するものであって、ハロゲンイオン、ClO
4−、BF
4−、SO
42−、HSO
4−、C
2H
5SO
4−、CF
3COO
−、CF
3SO
3−、(CF
3SO
2)
2N
−、PF
6−、(CF
3CF
2SO
2)
2N
−、CF
3(CF
2)
3SO
3−、(CF
3SO
2)
3C
−、CF
3(CF
2)
2COO
−などの陰イオンを含むものを示すことができる。
【0037】
ホウ酸塩としては、例えば、炭素数1〜18程度のアルキル基またはアリール基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、フェニル基、キシリル基など)を1種または2種以上有するものであって、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオンなどのアルカリ金属イオンもしくはアルカリ土類金属イオンを含むものを示すことができる。
【0038】
より具体的には、例えば、トリブチルエチルアンモニウムエチル硫酸塩、テトラブチルアンモニウムハライド(クロライド、ブロマイド、ヨーダイド)、テトラブチルアンモニウムパークロレート等の第四級アンモニウム塩、トリブチルメチルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等の第四級ホスホニウム塩、過塩素酸リチウム、過塩素酸カリウムなどの過塩素酸塩、有機ホウ素錯体などを挙げることができる。
【0039】
イオン導電剤の含有量としては、ゴムそのものがイオン導電性を示すゴムポリマー100質量部に対して、0.1〜5質量部の範囲内であることが好ましい。より好ましくは0.2〜3質量部の範囲内、さらに好ましくは0.3〜2質量部の範囲内である。
【0040】
また、イオン導電剤含有ゴム中におけるイオン導電剤の含有量としては、ベースゴム100質量部に対して、0.1〜5質量部の範囲内であることが好ましい。より好ましくは0.2〜3質量部の範囲内、さらに好ましくは0.3〜2質量部の範囲内である。
【0041】
本組成物においては、必要に応じて、カーボンブラックなどの電子導電剤、滑剤、老化防止剤、光安定剤、粘度調整剤、加工助剤、難燃剤、可塑剤、発泡剤、充填剤、分散剤、消泡剤、顔料、離型剤などの各種添加剤を1種または2種以上含有していても良い。
【0042】
本組成物は、(a)ゴムポリマーを含む導電性ゴム組成物であり、電子写真方式を採用する複写機、プリンター、ファクシミリなどの電子写真機器の内部に組み込まれる帯電ロール、現像ロール、転写ロール、トナー供給ロールなどのロール状の導電性部材(導電性ロール)や、転写ベルトなどのベルト状の導電性部材などの導電性部材の基材(ベース材)を形成する材料として好適に用いることができる。本組成物を所定の形状に成形し、これを架橋処理することにより、電子写真機器用導電性部材の基材が得られる。
【0043】
電子写真機器用導電性部材としては、上述するように、電子写真機器に用いられる帯電ロール、現像ロール、転写ロール、トナー供給ロールなどのロール状の導電性部材(導電性ロール)や、電子写真機器に用いられる転写ベルトなどのベルト状の導電性部材(導電性ベルト)などを挙げることができる。特に、帯電ロールに対する感光ドラム、現像ロールに対する現像ブレードなどのように一定の荷重で圧接された状態で使用される導電性ロールに好適である。
【0044】
図1および
図2に、本発明に係る電子写真機器用導電性部材としての導電性ロールの一例を示す。
図1および
図2は、本発明に係る導電性ロールの一例を示す周方向断面図である。
【0045】
図1に示す導電性ロール10は、軸体12の外周に、基層14と、表層16とがこの順に積層された積層構造を有している。一方、
図2に示す導電性ロール10は、軸体12の外周に、基層14と、中間層18と、表層16とがこの順に積層された積層構造を有している。なお、導電性ロールの構成としては、
図1および
図2に示す構成に特に限定されるものではない。
【0046】
本組成物は、導電性ロール10の基層14を形成する材料として好適に用いられる。基層14は、軸体12をロール成形金型の中空部に同軸的に設置し、本組成物を注入して、加熱・硬化させた後、脱型する方法(注入法)、あるいは、軸体12の表面に本組成物を押出成形する方法(押出法)などにより、形成できる。
【0047】
基層14の厚みは、特に限定されるものではないが、好ましくは、0.1〜10mm、より好ましくは、1〜5mmの範囲内である。また、基層14の体積抵抗率は、好ましくは、10
2〜5×10
7Ω・cm、より好ましくは、10
3〜3×10
7Ω・cm、さらに好ましくは、10
4〜1×10
7Ω・cmの範囲内である。
【0048】
軸体12は、導電性を有するものであれば特に限定されない。具体的には、鉄、ステンレス、アルミニウムなどの金属製の中実体、中空体からなる芯金などを例示することができる。軸体12の表面には、必要に応じて、接着剤、プライマーなどを塗布しても良い。接着剤、プライマーなどには、必要に応じて導電化を行なっても良い。
【0049】
表層16は、ロール表面の保護層などとして機能し得る。表層16を形成する主材料としては、特に限定されるものではなく、例えば、ウレタン樹脂、ポリアミド、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、ブチラール樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素ゴム、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル変性シリコーン樹脂、シリコーン変性アクリル樹脂、フッ素変性アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのメタアクリル樹脂、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、変性ポリフェニレンオキサイド(変性ポリフェニレンエーテル)、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアリレート、ポリアリルエーテルニトリル、ニトリルゴム、ウレタンゴム、これらを架橋した樹脂などを例示することができる。これらは1種または2種以上混合されていても良い。とりわけ、耐摩耗性に優れるなどの観点から、架橋ウレタン樹脂、アクリル樹脂、アクリル変性シリコーン樹脂、フッ素変性アクリル樹脂、ウレタンゴム、ポリアミドなどを好適に用いることができる。
【0050】
表層16には、導電性付与のため、カーボンブラック、グラファイト、c−TiO
2、c−ZnO、c−SnO
2(c−は、導電性を意味する。)、イオン導電剤(第四級アンモニウム塩、ホウ酸塩、界面活性剤など)などの従来より公知の導電剤を適宜添加することができる。また、必要に応じて、各種添加剤を適宜添加しても良い。
【0051】
中間層18は、抵抗調整層や、基層14と表層16との接着層などとして機能し得るものである。中間層18を形成する主材料としては、例えば、ヒドリンゴム(CO、ECO、COのAGE共重合体(GCO)、ECOのAGE共重合体(GECO))、エチレン−プロピレンゴム(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリノルボルネンゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、アクリルゴム(ACM)、クロロプレンゴム(CR)、ウレタンゴム、ウレタン系エラストマー、フッ素ゴム、天然ゴム(NR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR)、などを例示することができる。これらは1種または2種以上混合されていても良い。
【0052】
中間層18には、導電性付与のため、カーボンブラック、グラファイト、c−TiO
2、c−ZnO、c−SnO
2(c−は、導電性を意味する。)、イオン導電剤(第四級アンモニウム塩、ホウ酸塩、界面活性剤など)などの従来より公知の導電剤を適宜添加することができる。さらに、必要に応じて、発泡剤、架橋剤、架橋促進剤、軟化剤(オイル)等の添加剤を適宜添加しても良い。
【0053】
基層14の外周に中間層18を形成する場合には、基層14を形成した軸体12をロール成形金型の中空部に同軸的に設置し、中間層形成用組成物を注入して、加熱・硬化させた後、脱型する方法(注入法)、あるいは、基層14の表面に中間層形成用の組成物を押出成形する方法(押出法)などにより、形成できる。
【0054】
中間層18の厚みは、特に限定されるものではないが、好ましくは、0.001〜2mm、より好ましくは、0.01〜0.5mmの範囲内である。また、中間層18の体積抵抗率は、好ましくは、10
2〜5×10
7Ω・cm、より好ましくは、10
3〜3×10
7Ω・cm、さらに好ましくは、10
4〜1×10
7Ω・cmの範囲内である。
【0055】
表層16を形成するには、表層形成用組成物を用いる。表層形成用組成物は、上記主材料、導電剤、必要に応じて含有されるその他の添加剤を含有するものからなる。添加剤としては、滑剤、加硫促進剤、老化防止剤、光安定剤、粘度調整剤、加工助剤、難燃剤、可塑剤、発泡剤、充填剤、分散剤、消泡剤、顔料、離型剤などを挙げることができる。
【0056】
表層形成用組成物は、粘度を調整するなどの観点から、メチルエチルケトン、トルエン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン(MIBK)、THF、DMFなどの有機溶剤や、メタノール、エタノールなどの水溶性溶剤などの溶剤を適宜含んでいても良い。
【0057】
表層16は、基層14の外周、または、中間層18の外周に、表層形成用組成物を塗工するなどの方法により、形成できる。塗工方法としては、ロールコーティング法や、ディッピング法、スプレーコート法などの各種コーティング法を適用することができる。塗工された表層16には、必要に応じて、紫外線照射や熱処理を行なっても良い。
【0058】
表層16の厚みは、特に限定されるものではないが、好ましくは0.01〜100μmの範囲内、より好ましくは0.1〜20μmの範囲内、さらに好ましくは0.3〜10μmの範囲内である。表層16の体積抵抗率は、好ましくは、10
4〜10
9Ω・cm、より好ましくは、10
5〜10
8Ω・cm、さらに好ましくは、10
6〜10
7Ω・cmの範囲内である。
【実施例】
【0059】
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
【0060】
<導電性組成物の調製>
表1または表2に示す配合割合(単位は質量部)となるように各成分を秤量し、これらを攪拌機により撹拌、混合して、実施例、比較例に係る導電性組成物を調製した。
【0061】
<導電性ロールの作製>
(型成形による基層の形成)
成形金型に接着剤を塗布した芯金(直径6mm)をセットし、上記導電性組成物を注入し、180℃で30分加熱架橋した後、冷却、脱型して、芯金の外周に、厚み2mmの基層を形成した。
【0062】
<導電性ロールの作製>
(押出成形による基層の形成)
接着剤を塗布した芯金(直径6mm)と上記導電性組成物を用い、押出機にて押出成形し、オーブンにて180℃で30分加熱架橋して、芯金の外周に、厚み2mmの基層を形成した。
【0063】
この際、使用した各成分は、以下の通りである。
(ゴムポリマー)
・ヒドリンゴム[日本ゼオン社製、「Hydrin T3108」]
・ニトリルゴム(NBR)[JSR社製、「JSRN230SL」]
(過酸化物架橋剤)
・[日油社製、「パークミルD40」]
(マレイミド化合物)
・(c1)4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン[大和化成工業社製、「BMI1000H」]
・(c2)2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン[ケイ・アイ化成社製、「BMI−80」]
(ジスルフィド化合物)
・(d1)テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド[大内新興化学工業社製「ノクセラーTOT−N」]
・(d2)テトラエチルチウラムジスルフィド[大内新興化学工業社製「ノクセラーTET−G」]
・(d3)モルホリンジスルフィド[大内新興化学工業社製「バルノックR」]
・(d4)ジベンゾチアジルジスルフィド[大内新興化学工業社製「ノクセラーDM」]
(その他の添加剤)
・DHT4A[協和化学工業社製]
・酸化亜鉛2種[堺化学工業社製」]
・イオン導電剤:テトラブチルアンモニウムブロマイド[ライオン・アクゾ社製、「TBAB−100」]
・カーボンブラック:[ケッチェンブラックインターナショナル社製、「ケッチェンブラックEC300J」]
【0064】
各導電性組成物の架橋体について、物性(圧縮永久ひずみ、タイプA硬度、破断強度、破断伸び)を測定した。また、作製した各導電性ロールの基層について、硬度のばらつきを評価した。それぞれの測定方法あるいは評価方法は下記に示す通りである。
【0065】
(タイプA硬度(H3))
各導電性組成物を用いて180℃で20分間プレス架橋成形を行い、直径29mm、厚さ12.5mmのリング状サンプルを得た。得られたリング状サンプルについて、JIS K 6253のデュロメータ硬さ試験に準拠し、タイプAデュロメータを用いて測定した。
【0066】
(圧縮永久ひずみ)
各導電性組成物を用いて180℃で20分間プレス架橋成形を行い、直径29mm、厚さ12.5mmのリング状サンプルを得た。得られたリング状サンプルについて、JIS K 6262に準拠し、70℃、25%圧縮、22時間で測定した。
【0067】
(破断強度、破断伸び)
各導電性組成物を用いて180℃で20分間プレス架橋成形を行い、厚さ2mmのシート状サンプルを得た。得られたシート状サンプルについて、JIS K6251に準拠して、引張試験機(東洋精機製作所製、「AE−Fストログラフ」)を用い、破断時引張強度を測定した。また、破断時伸びを測定した。
【0068】
(型成形品の硬度のばらつき)
各導電性ロールの基層の軸方向端部より10mmの位置と軸方向中央部でのMD1硬度(表面)をそれぞれ測定し、硬度の差を算出した。
【0069】
(押出成形品の硬度のばらつき)
各導電性ロールの基層の表面と内部でのMD1硬度(表面)をそれぞれ測定し、硬度の差を算出した。基層内部の硬度の測定は、基層表面から深さ方向に10mm進んだ位置をフェザー刃でカットし、そのカット断面のMD1硬度を測定することにより行った。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
比較例1、4では、過酸化物架橋剤から発生したラジカルによりゴムポリマーのポリマー鎖同士を直接架橋しており、型成形品、押出成形品のいずれにおいても硬度のばらつきが大きい。また、破断強度、破断伸びにも劣っている。比較例2、5では、過酸化物架橋剤とマレイミド化合物を併用しているが、型成形品、押出成形品のいずれにおいても硬度のばらつきが大きい。また、硬度が高い。比較例3、6では、過酸化物架橋剤とジスルフィド化合物を併用しているが、型成形品、押出成形品のいずれにおいても硬度のばらつきが大きい。
【0073】
これに対し、実施例では、過酸化物架橋剤とマレイミド化合物とジスルフィド化合物を用いているため、型成形品、押出成形品のいずれにおいても硬度のばらつきが小さいことが確認できた。特に、マレイミド化合物とジスルフィド化合物の合計質量が過酸化物架橋剤の質量以上である場合には、その効果が特に優れている。また、実施例のものは、低硬度で耐ヘタリ性に優れるとともに、破断強度、破断伸びにも優れることが確認できた。
【0074】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。