(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
種類毎に複数のゾーンに区分けされた商品を、上流ゾーンから下流ゾーンへ搬送されるケースへ、注文に応じて順次投入するピッキングシステムを用い、上記ゾーンのうちの最上流である第一ゾーンにて、商品の投入作業負荷が最も大きな商品群を配してマルチピッキング又はシングルピッキングを行う集品方法であって、
それぞれのケースに固有のケースIDを付与するステップ、
上記第一ゾーンでピッキングしたケースへ商品を投入する際に、上記注文ごとに固有の注文IDと、上記ケースIDとを関連付けて注文処理テーブルに記録させるステップ、
上記第一ゾーンでピッキングされなかったケースについて、次に下流のゾーンである第二ゾーンの手前で、当該ケースの上記ケースIDと、上記第一ゾーンの商品を含まない注文の注文IDとを関連付けて上記注文処理テーブルに記録させるステップ、
上記第一ゾーンでのピッキングの有無に関わりなく全てのケースについて、より下流のゾーンへ搬送し、当該ケースIDに関連付けられた上記注文IDの注文に含まれる商品が用意された各々のゾーンにて、当該商品を投入するステップ、
を行う、集品方法。
【背景技術】
【0002】
倉庫を抱えた配送センターのように、多数の商品が保管された倉庫内で、配送する商品をピッキング(仕分け)して、配送先ごとのケースに梱包していくシステムでは、出荷指示に基づいて物品を保管場所から取り出すオーダーピッキング作業を効率的に行うために様々な形態が検討されている。主に、デジタルピッキング、シングルピッキング(摘み取り方式)、マルチピッキング(種まき方式)などといった形態がある(非特許文献1)。
【0003】
デジタルピッキングでは、単一の商品についてピッキングすべき個数を表示する表示器を取り付け、その表示された個数の当該商品をケースに投入する。多くの注文に含まれる商品であって、個数が注文ごとに異なる商品のピッキングに向いている。
【0004】
シングルピッキング(摘み取り方式)では、作業者が倉庫内を移動して注文に応じて指示された商品を集めてケースに投入する。多種多様な商品を出荷する場合であって、個々の商品ではデジタルピッキングを行うほどの頻度では注文がされない商品群のピッキングに向いている。
【0005】
マルチピッキング(種まき方式)では、予め注文頻度が高い商品をピッキングして、投入作業を行う場に集めておき、ケースへの投入段階で出荷先ごとに分ける。ピッキングを行って作業場へ集める収集作業者と、投入作業の場で投入を行う投入作業者とを分けることができるため、多種の商品が広範に配置されていても収集作業者を増やすことで作業能力を増強させやすい。ただし、投入作業のための場が必要であり、収集作業が早く済んでも、投入に時間がかかる場合がある。
【0006】
さらに、多種多様な商品を有するオーダーピッキングの現場においては、これらの形態の異なるピッキング作業ゾーンを複数箇所設け、搬送コンベアに載せられたケースに対して、次々と商品を投入していくことで、商品の注文に適したピッキングを行うようにする。
【0007】
例えば、特許文献1には、高頻度で投入される商品を順に投下していく高頻度アイテムゾーンを通過したコンベアが、その後に低頻度で投入される商品を投入していく低頻度アイテムゾーンに到達するピッキングシステムが記載されている。このピッキングシステムでは、低頻度アイテムゾーンでの投入作業によって高頻度アイテムゾーンでの作業が滞るという事態を防ぐことができる。
【0008】
また、ピッキングシステムにおけるケースと投入する商品との管理としては、ケースを特定する番号と個々の注文に対応する商品名及び商品個数とを記載した予定ラベルを貼るとともに、個々の投入する商品に付した物品情報を実績ラベルに記録して、ケースに商品を投入する時にその実績ラベルをケースに貼り付ける検品方法が提案されている(特許文献2)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に記載のピッキングシステムのように、単純に作業負荷が高い商品投入ゾーンの後に作業負荷が低い商品投入ゾーンを持ってこようとしても、ピッキングを行うべき多種の商品から選択的に集める注文が多数を占めるケースには対応しにくかった。デジタルピッキングの場合はそこまで作業が停滞する可能性は低いが、マルチピッキングやシングルピッキングを行うゾーンを下流に持ってくると、それらの商品や投入の作業が滞ったときにピッキングをするためのケースを搬送するコンベアが停滞して、それよりも上流の流れが全て止まることがあるためである。
【0012】
これに対して、投入作業負荷が高いピッキングを行うゾーンを単純に上流に配すると、当該ゾーンでの処理が滞ることで、下流のゾーンで処理能力に余力があっても、そのゾーンでのピッキングを必要としないケースまで搬送が滞ることになってしまった。搬送コンベアを分岐させて、個々のゾーンで投入する商品が無いケースがピッキング作業を行うルートを回避するようにすれば、ある程度処理を効率化させることは出来る。しかし、作業が滞りすぎると、その直前の分岐にまで停滞したケースが溜まって、結局は分岐前の搬送コンベアまで止まってしまうことになる。
【0013】
また、特許文献2に記載の検品方法のように、予め個々のケースと注文とが結びついていると、そのケースが流れてきた順番でしかピッキング作業を行うことができない。このため、シングルピッキングでは当然に作業は停滞しうるし、本来ならば商品の収集を投入作業とは独立して行うことができるマルチピッキングにおいても、収集が完了しているにも拘わらず投入すべきケースが順番待ちをしているために投下できないという問題が起きるケースがあり、分業可能なマルチピッキングの利点を十分に活用することが出来なかった。
【0014】
そこでこの発明は、ピッキング工程を含む商品の収集作業において、特に時間のかかるマルチピッキング工程やシングルピッキング工程での停滞が、当該ピッキング工程での商品投下を必要としない注文の処理に与える影響を抑制し、より効率良く商品をピッキングできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明は、種類毎に複数のゾーンに区分けされた商品を、上流ゾーンから下流ゾーンへ搬送されるケースへ、注文に応じて順次投入するピッキングシステムを用い、上記ゾーンのうちの最上流である第一ゾーンにて、商品の投入作業負荷が最も大きな商品群を配してマルチピッキング又はシングルピッキングを行うように配し、
それぞれのケースに固有のケースIDを付与するステップ、
上記第一ゾーンでピッキングしたケースへ投入する際に、上記注文ごとに固有の注文IDと、上記ケースIDとを関連付けて注文処理テーブルに記録させるステップ、
上記第一ゾーンでピッキングされなかったケースについて、次に下流のゾーンである第二ゾーンの手前で、当該ケースの上記ケースIDと、上記第一ゾーンの商品を含まない注文の注文IDとを関連付けて上記注文処理テーブルに記録させるステップ、
上記第一ゾーンでのピッキングの有無に関わりなく全てのケースについて、より下流のゾーンへ搬送し、当該ケースIDに関連付けられた上記注文IDの注文に含まれる商品が用意された各々のゾーンにて、当該商品を投入するステップを実行する集品方法により、上記の課題を解決したのである。
【0016】
すなわちその特徴は、第一ゾーンに入る前の時点では、ケースにはケースIDが付与されているのみで、注文とは結びついていない点にあり、第一ゾーンで商品をケースに投入する際に注文と関連付け、第一ゾーンで投入する商品を含まない注文は、別途、第一ゾーンで関連付けられなかったケースと関連付けることで実現される。もし従来のように、最初の作業を開始する時点でケースIDに予め注文が関連付けられていると、来たケースに関連付けられた注文から順番に処理することになり、第一ゾーンにおける収集作業がケースの到着順に拘束されることとなる。しかも、ケースの到着を待ってから作業を開始しなければ、ケースが来ない注文を仮にまとめた一群の商品が投入作業場を埋めることになってしまう。しかし、この発明のように、初期段階で注文とケースとを関連付けずに第一ゾーンでの投入に合わせて関連付けをし、かつ残りを別途関連付けすることで、これらの問題は全て解決する。
【0017】
ここで、投入作業負荷とは、待機時間、投入時間、その他の作業時間を含めた実質的に必要とする時間により構成される、集品工程の進行に対する負荷となる時間のことである。マルチピッキングにおいて基本的には、投入作業への収集を待つ時間又はケースの到着を待つ時間と、ケースに商品を入れる時間と、入れた後でケースIDを読み取って関連付けを行うようにコンピュータシステムへ送信させる時間とがこの投入作業負荷となる。シングルピッキングにおいて基本的には、指示された注文の商品を捜索収集する時間又はケースの到着を待つ時間と、ケースに商品を入れる時間と、入れた後でケースIDを読み取って関連付けを行うようにコンピュータシステムへ送信させる時間とがこの投入作業負荷となる。この発明では、ケースを用意してコンベアへの搬送を開始する時点で、ケースに注文(注文ID)を関連付けずにケースIDを付与しただけであるので、第一ゾーンで投入作業を行おうとするときにコンベアで搬送されてきたケースのサイズさえ統一されていれば、ケースを区別することなく取り上げて即座に商品を投入することができ、ケースの到着を待つ時間はほぼゼロにすることができる。また、マルチピッキングやシングルピッキングで最も時間のかかる収集作業に対して収集作業者を増員して効率良く収集しておき、投入作業者の手元に常に用意できるようにすれば、商品の収集を待つ時間はほぼゼロにすることが可能である。すなわち、いずれの待ち時間も十分にゼロに近づけることができる。それでもなお投入量が多くなって投入作業工程が滞った場合でも、そこで使われなかったケースは第一ゾーンでの商品投入を必要としない注文と結びつければよいので、ケースの進行を停留させることなく、下流の工程へケースを送りこんでよい。従って、下流の作業能力が余剰となる状況に陥りにくくなる。
【0018】
このような集品方法を実現する集品システムの基本的な構成は次のようになる。
用いるコンピュータシステムは、データベースとして少なくとも、注文を識別する注文IDとその注文された商品の種類及び個数を含む注文内容とを記録する注文テーブル、及び上記注文IDと個々の上記ケースに固有のケースIDとを関連付ける注文処理テーブルを有する。
倉庫などの実作業空間には、上記搬送コンベアに沿って、上記ケースIDを読み取る読取手段が設けられて商品を上記ケースに投入可能であるゾーンを複数設け、種類毎に複数のゾーンに区分けされて商品を保管する。そのうちの最上流のゾーンである第一ゾーンには、商品の投入作業負荷が最も大きな商品群を配してピッキングを行う環境を配する。この第一ゾーンでは、上記の読取手段を設けるとともに、上記第一ゾーンにて投入する商品を含む上記注文IDとその商品を投入するケースのケースIDとを注文処理テーブルで関連付け可能に上記コンピュータシステムへ送信する関連付送信手段を設ける。そして、第一ゾーンにて商品投入後のケースを、上記第一ゾーンでの商品投入を行わないケースを搬送する搬送コンベアと合流させる合流点を、第一ゾーンの次のゾーンである第二ゾーンよりも上流に位置させる。また一方で、上記第一ゾーンで使用されなかったケースに対しては、上記第二ゾーンよりも上流に、上記読取手段と、当該読取手段により読み取ったケースIDを上記コンピュータシステムへ送信するケースID送信手段とを設ける。これら送信手段により送信されたデータに対して動作するプログラムとして、上記コンピュータシステムは、次の機能を実行する。すなわち、上記関連付送信手段からケースID及び注文IDを受信すると、当該ケースID及び当該注文IDを上記注文処理テーブルに関連付けて記録する第一ゾーン関連付機能を実行する。また、上記ケースID送信手段からケースIDを受信すると、当該ケースIDが上記注文処理テーブルにおいて第一ゾーンで関連づけがされていないケースIDであれば、当該ケースIDと、第一ゾーンにおいて投入すべき商品を含まずかつ未だ関連付けがされていない注文の注文IDとを上記注文処理テーブルへ関連付けて記録する未決ID関連付機能を実行する。
【0019】
この発明にかかる集品システムは、サイズや材質などの異なる複数種類のケースが混在する場合でも適用可能である。この場合、その日又はそのシフトで作業すべき一群の注文の全てについて、予め必要とするケースのサイズを算出しておき、そのうちの一の種類のケースを使用する注文をまず一括して作業を開始するのに合わせて、当該種類のケースのみを搬送コンベアに流すようにする。これにより、その時点で搬送コンベアには単一種類のケースしか流れず、第一ゾーンではどのケースを取得して投入作業をしてもよいということになり、まず一括して取り扱うこととなった当該種類に適した注文群の中から、どの注文からでも処理することができる。一のケースに適した注文群についてのピッキング作業が終わったら、次に、他の一のケースに適した注文群についてのピッキング作業を、当該サイズのケースを搬送コンベアに流して開始する。これを順次行うことで、種類の異なるケースを用いる場合でも、本願発明の効果を十分に発揮させてピッキングを効率良く行うことが出来る。
【発明の効果】
【0020】
この発明により、マルチピッキングやシングルピッキングを含む集品作業において、当該ピッキング作業そのものを効率化することができるとともに、最上流に配したゾーンにおける投入作業の停滞が下流のゾーンに波及することを抑制し、集品作業工程全体の稼働率を上げることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明について具体的な実施形態例とともに説明する。この発明は集品システムを用いた集品方法であり、その集品工程のフロー例の概要を
図1に示す。
【0023】
まずC01の製函ゾーンでは、使用するケースを製函し、搬送コンベアにて下流へと搬送する。この段階では用意したケースには個々のケースを識別するためのケースIDが付与されているが、本発明で処理すべき注文との間にはまだ関連付けがされていない。なおケースとして、基本的には組み立てて上方のみ開放した段ボール箱を主に想定して以下の説明を行うが、実用上はこれに限定されず、プラスチックケースやプラスチックパレット、或いは袋であっても、その中、又はその上に商品を適切に投入、搭載できるものであれば使用可能である。ただし、段ボール箱を用いると、投入したまま最終段階でそのまま封凾して発送できるので扱いやすい。
【0024】
搬送コンベアで移送される下流には、マルチピッキング、シングルピッキング、デジタルピッキングのいずれか、或いはそれらを複合的に行うように、種類毎に商品が区分けされたゾーンが複数存在する。ただし、そのうちの最も上流、すなわち製函ゾーンのすぐ下流のゾーンである第一ゾーン(C11〜C14)では、マルチピッキング又はシングルピッキングのうち、ゾーンとしての投入作業負荷が最も大きいものを配する。すなわち搬送コンベアからケースを処理の進行に合わせて取得し(C11)、マルチピッキング又はシングルピッキングにより集められた商品を投入してそのケースと注文を関連付ける(C12)。その後、取得して商品を投入したケースと取得されなかったケースとを合流させ(C13)、取得されなかったケースとC12での商品の投入が無い注文とを関連付ける(C14)。ただし、C13とC14は順番が逆でもよい。その場合、後述するようにケースIDの読み取り工程が一つ増える。
【0025】
第一ゾーンより後には、シングルピッキング、デジタルピッキング、マルチピッキングのいずれかであって、第一ゾーンで行うピッキング工程よりも投入作業負荷が小さいものが配される。以下に示す実施形態では、仮に、第一ゾーン(C11〜C14)でマルチピッキング、第二ゾーン(C21〜C24)でデジタルピッキング、第三ゾーン(C31〜C34)でシングルピッキング、第四ゾーン(C41〜C45)で再びデジタルピッキングを行う例を示すが、ゾーン分けの個数や配置はこれに限られるものではなく、多種多様な形態での実施が可能である。第二ゾーン以降はいずれのゾーンでも、ゾーンの入口の段階で搬送されてきたケースのケースIDを読み取り、コンピュータシステムに問い合わせて、そのゾーンで投入すべき商品があるケースであれば当該ゾーンで投入するルートへ向かわせ、そうでなければ当該ゾーンで作業させずにショートカットするルートへ向かわせる分岐点225(C21,C32,C42)を有し、投入後は合流点226で再び合流する。それらの投入作業ゾーンの後は、納品書やラベルを作成したり、封凾などを行って出荷させる梱包ゾーンが配される(C99)。
【0026】
この集品システムでケースや注文、商品を管理し、システムの各所からの問い合わせに応答するコンピュータシステム101の機能構成を、
図2を用いて説明する。コンピュータシステム101はデータベースとして、少なくとも次のような内容を構成する注文テーブル111と、注文処理テーブル112と、ロケーションテーブル113とを有する。
【0027】
上記の注文テーブル111とは、集品して発送すべき注文を管理するためのテーブルであり、個々の注文を識別する注文IDと、当該注文が要求する商品を識別する商品の種類毎に固有の商品IDと、当該注文が要求する個々の商品の個数とを最低限含む。この注文テーブル111を、注文IDを引数として参照することで、当該注文に含まれる商品の商品IDとその個数を求めることができる。
【0028】
上記の注文処理テーブル112とは、注文IDとケースIDとの関連付けを最低限含む。すなわち、後述するようにC12で送信される、当該ケースに投入される商品を有する注文に対応した注文IDとケースIDとを、関連付けて登録する。また、C14の工程でコンピュータシステム101に送信されるケースIDについて、C12で投入すべき商品を含まない注文に対応する注文IDと当該ケースIDとを、関連付けて登録する。注文IDとケースIDとは基本的には一対一である。ただし、一つの注文に含まれる商品が例外的に多い場合は、一つの注文に複数のケースを用いる場合があるため、例外的に一の注文IDに対して複数のケースIDを関連付けることを許容してもよい。逆に、一つのケースに複数の注文の商品を纏めて投入すると商品管理上混乱しやすいため、一のケースIDは、一つの注文IDとのみ関連付けられていると好ましい。このため、商品が一つのケースに入りきらない場合には注文を分割してもよい。
【0029】
なお、上記の注文テーブル111と注文処理テーブル112とは、一体のテーブルとして構成されてもよい。例えば、注文テーブル111の構成を基礎とし注文IDを主キーとするテーブルが、ケースIDの項目も有するという構成でもよい。
【0030】
上記のロケーションテーブル113とは、個々の商品IDについて、その商品が保管されている所在地を識別する所在情報を含む。ここで所在地を識別する所在情報とは、例えば上流から数えたゾーンの番号や、そのゾーンの中に複数設けられたデジタルピッキングを行う作業区域の番号などである。
【0031】
第一ゾーンでは、マルチピッキング(C12)を行って収集した商品をケースに投入する際に、当該ケースIDを読み取り、投入した商品を指定した注文の注文IDとともにコンピュータシステム101へ送信する関連付送信手段(後述)が設けてある。なお、ここではマルチピッキングを例にしているが、投入作業負荷が高い工程であればシングルピッキングでもよい。コンピュータシステム101は、この関連付送信手段からケースID及び注文IDを受信すると、当該ケースID及び当該注文IDを上記注文処理テーブルに関連付けて記録する第一ゾーン関連付機能121を実行する。これにより、第一ゾーンで商品が投入されたケースは、その商品を指定した注文と紐付けされる。ここで紐付けされる注文は、当然に、投入すべき商品の少なくとも一部が第一ゾーンに保管されている注文となる。
【0032】
また、第一ゾーンで商品を投入されなかったケース、すなわちC11のケースピッキングで用いられなかったケースについては別途関連付けが行われる。第二ゾーンの前に設けられた読取手段で、搬送コンベアを搬送されるケースのケースIDが読み取られると、そのケースIDは、併設されたケースID送信手段によりコンピュータシステム101へ送信される。このケースID送信手段からケースIDを受信したコンピュータシステム101は、次のような一連の動作からなる未決ID関連付機能122を実行する。すなわち、まず注文処理テーブル112を参照して、当該ケースIDが上記注文処理テーブル112において第一ゾーンで既に関連付けがされたケースIDであるか否かを調べる。未だ関連付けがされていないケースIDであれば、注文処理テーブル112に未だ関連付けがされていない注文IDのうち、その注文に含まれる商品の保管ゾーンに第一ゾーンが含まれていない注文IDを、注文テーブル111及びロケーションテーブル113を参照して抽出する。そのうちの一つの注文IDを、当該ケースIDと関連付けて注文処理テーブル112に記録する。これにより、第一ゾーンで投入する商品の無い注文について、C12のマルチピッキング作業の遅滞に拘わらず、注文処理テーブル112への関連付けを行うことが出来る。
【0033】
さらに、上記搬送コンベア上の分岐点では、そのゾーン又は当該作業区域に入れるべき商品を含むケースのみを当該ゾーン、又は当該作業区域に向け、そうでないケースをショートカットさせる。この判別のため、分岐点の前でケースのケースIDを読み取り(C14,C31,C41等)、コンピュータシステム101に送信して問い合わせる。コンピュータシステム101は、読み取ったケースIDを引数として注文ゾーン確認機能125を実行する。すなわち、注文処理テーブル112を参照してケースIDから注文IDを求め、注文テーブル111を参照して注文IDに含まれる商品IDを求め、ロケーションテーブル113を参照してその商品が保管されている所在情報を得て、分岐点(C21,C32,C42等)の動作機構へと送信させる。
【0034】
なお、このようなコンピュータシステム101は、ハードウェアとして当然にプログラムを実行する演算装置、テーブルを記録する記憶装置、搬送コンベアに沿って設けられた各所の手段と相互に通信可能な通信インターフェースを有する。前記記憶装置の中には上記の注文テーブル111、注文処理テーブル112、ロケーションテーブル113に対応する内容のデータベースを含む。ただし、これらは単一のサーバの中に全て格納されている必要はなく、複数のサーバにテーブルが分散していて、相互に通信することで一体のシステムとして作用し、複数の演算装置によって上記の第一ゾーン関連付機能121、未決ID関連付機能122、注文ゾーン確認機能125を実行するものであってもよい。
【0035】
また、上記の注文テーブル111若しくは注文処理テーブル112,又はこれらを含む一体のテーブルは、それぞれの注文IDごとに、後述する注文ゾーン確認機能125がロケーションテーブル113を参照して求められる個々の商品の所在についての項目を有してもよい。すなわち、一連の注文についての投入作業を開始する前に、注文IDに含まれる個々の商品について、ロケーションテーブル113の情報から、それらがどのゾーン、又はそのゾーンの中のさらに細分化された作業区域にあるかをまとめて記録する保管箇所フラグ登録機能を実行しておく。このような形態とすると、後述する分岐点225で分岐させるにあたって、直前の読取手段221で読み取られたケースIDから、次のゾーン又は作業区域にて投入すべき商品があるものだけを、投入作業を行う搬送コンベアのラインへ向かわせる際に、毎回ロケーションテーブル113まで参照する必要がなくなり、各注文IDに関するレコードのうち当該ゾーン又は作業区域の項目を参照するだけで、当該項目に商品を含むフラグを有する注文だけを向かわせればよく、速やかな判断が可能となる。また、上記の未決ID関連付機能122を実行する際に、第一ゾーンに商品が含まれる注文か否かを判別する際にも、ロケーションテーブル113を参照することなく、個々の注文IDについての第一ゾーンについての項目を参照するだけで、対象となる注文か否かを判別できる。
【0036】
なお、簡略化した形態として、それぞれの商品IDがゾーンの番号や作業区域の番号をそのまま含むようにしてもよい。又は、商品IDの一部又は全部を何らかの変換式に代入することで、その商品が存在するゾーンの番号や作業区域の番号が、判別可能にするように設定してもよい。このようにしておけば、判別の際にロケーションテーブル113をケースごとにいちいち参照する必要がなく、注文テーブル111若しくは注文処理テーブル112,又はこれらを含む一体のテーブルに登録されている商品IDを調べるだけで、次のゾーン又は作業区域に商品があるか否かを判別することができる。
【0037】
さらに、上記の注文テーブル111若しくは注文処理テーブル112,又はこれらを含む一体のテーブルは、個々のゾーンや作業区域ごとの商品について、又は商品IDごとに、ケースへの投入が完了したか否かを判別する項目を有していてもよい。この項目への登録は、後述する投入登録機能128によって行われる。この項目により、投入作業が完了しているか否かの調査、判別が容易になる。
【0038】
次に、
図1の実施形態における作業形態を詳細に説明する。まず、製函ゾーンZ00では、商品を投入するケースの用意や組み立てを行う。例えばケースとして段ボールを用いる場合には、天面を開放して投入可能な形態に組み立てて、搬送コンベア100に載せて搬送させていく。また、ケースとして、再利用可能なプラスチックコンテナや、トレイなどを用意して搬送コンベア100に載せてもこの発明は実行できる。ただし、いずれの形態であっても、この製函ゾーンZ00においてケースは固有のケースIDを付与されていることが必要である。そしてなおかつ、製函ゾーンZ00から搬送され始めた段階では、それらのケースIDはいずれの注文IDとも関連付けされていないことが必要である。
【0039】
このようなケースIDを付与するにあたっては、一次元バーコードや二次元バーコードといった形でケース表面に印刷され又は貼り付けされて光学的に読み取り可能なものが利用できる。この場合、後述する読取手段221には一般的なバーコードリーダーやカメラなどが使用できる。また、表面に所謂RFIDと呼ばれるICタグを埋め込んだり、貼り付けたりし、このICタグに固有のIDを近距離無線により読み取り可能なものでもよい。この場合、後述する読取手段221には一般的なRFIDのリーダが使用できる。
【0040】
次に、この実施形態における第一ゾーンでの処理について説明する。
図3は第一ゾーン(C11〜C14)の構成例であり、
図4はその作業のフローチャートである。まず(S101)、製函されたケースのうちの一部を、次のマルチピッキング(C12)の進行に合わせて、適宜投入する作業ラインへ移動させる(C11、S102)。ここで移動させる数は必ずしも厳密にマルチピッキング(C12)の進行速度に合わせる必要はなく、ある程度必要量を先読みしておき、バッファとして蓄えて置いてもよい。
【0041】
一方、それとは別に(S121)、第一ゾーンで商品を投入すべき注文を指示する表示手段220aが、棚102から商品を集めるマルチピッキングの収集作業者に提示される(S122)。なお、シングルピッキングの場合も基本的には同様に収集作業を進めることができる。この提示される情報は、コンピュータシステム101において、コンピュータシステム101の注文テーブル111にアクセスして個々の注文に含まれる第一ゾーンに該当する商品のIDや名称、及び個数を呼び出す注文商品呼出機能123が実行されることで得られる。具体的にそれらの情報を提示させるインターフェースとしては、随時更新される液晶画面などの表示装置を有する端末でもよいし、コンピュータシステム101に繋がるプリンタなどの出力装置であって紙媒体として出力するものでもよい。ただし紙媒体の場合、注文の内容とともに、その注文の注文IDを後述する関連付送信手段222を有する端末へ読み取らせるためのバーコードを記載しておくことが望ましい。また、液晶画面を有する端末等の場合、後述する関連付送信手段222へ注文IDを受け渡す送信機構を有していることが望ましい。
【0042】
上記の収集作業者は、いずれかの表示手段220aにより表示された個々の注文内容を見て、棚102内から、指定された種類及び個数の商品を収集して注文毎に一纏めにする(S123)。投入作業者は、個々の注文IDごとに一纏めにされた商品を、上記のS102で作業ラインへ移動されたケースへ順次投入する(S124)。その上で、読取手段221aにより投入したケースのケースIDを読み取る(S125)。読み取り終わったケースは、C11で移動されなかったケースを輸送する搬送コンベア100との合流点226へ導入され(C13、S126)、以後の搬送は一旦一本化される(S127)。なお、収集作業者が収集してきた商品をそのままケースに投入する投入作業者として作業してもシステム上は問題ないが、分担した方が、作業効率が高くなる場合が多い。
【0043】
一方、投入された注文の注文IDを表示手段220aから通信又はバーコードの読み取りなどにより受け取って(S131)、この注文IDと、先に読み取った注文IDとをまとめて、関連付送信手段222によりコンピュータシステム101へ送信する(S132)。コンピュータシステム101では、第一ゾーン関連付機能121を実行して、注文処理テーブル112に当該ケースIDと当該注文IDとを関連付けて登録する(S133)。また、併せて、当該商品を投入した旨を、注文テーブル111又は注文処理テーブル112の当該レコードに投入フラグとして登録する投入登録機能128を実行する(S156)。
【0044】
上記のS127で搬送を一本化した合流点より下流であって、第二ゾーンよりも上流の地点に読取手段221bが設けられており、通過するケースのケースIDを読み取る(C14、S128)。読み取り終わったケースは、そのまま第二ゾーンへと搬送される(S129)。
【0045】
上記読取手段221bで読み取ったケースIDは、接続されたケースID送信手段231aにより、コンピュータシステム101へ送信される(S141)。コンピュータシステム101では、次の一連の動作からなる未決ID関連付機能122を実行する(S142)。まず、送られたケースIDが、注文処理テーブル112に関連付けされているものか否か判断する(S151)。関連付けが既にされているのであれば(S151−Yes)、関連付けについての処理はそこで終了する(S157)。また関連付けがされていないケースIDであれば、そのケースは第一ゾーンでの商品の投入が不要である注文に用いることとなる。そのためにまず、注文テーブル111を検索して、投入すべき商品が第一ゾーンには無い注文を抽出する(S153)。このとき、注文テーブル111が保管ゾーンや作業区域についての情報を含んでいない場合は、その注文に含まれる個々の商品について、ロケーションテーブル113を参照して第一ゾーンに保管された商品を含んでいないものを抽出する。さらに、そうして抽出された注文IDについて、注文処理テーブル112に関連付けが無いものを抽出する(S154)。そうして抽出された注文IDのうちの一つについて、送信されてきたケースIDと関連付けて、注文処理テーブル112に関連付けを行い(S155)、投入登録機能128を実行して(S156)、関連付け処理は終了する(S157)。
【0046】
なお、上記のS153の際に、注文テーブル111に含まれるそれぞれの注文IDについてのレコードが、商品が含まれるゾーンや作業区域の項目を有しており、投入作業の開始前に予めロケーションテーブル113を参照して、当該項目に記録している場合は、ロケーションテーブル113を参照するまでもなく、第一ゾーンの商品を含む旨の項目がFalseであるレコードだけを抽出すればよい。
【0047】
また、コンピュータシステム101では、この関連付け処理と併せて、次の第二ゾーンで投入すべき商品を含む注文に対応するケースのみを判別して第二ゾーンの作業区域へ分岐させるために、注文ゾーン確認機能125を実行する(S160)。この第二ゾーンに関する処理を
図5,6に示す。
図5は第二ゾーンの構成図であり、
図6はその作業のフローチャートである。すなわち、上記の読取手段221bで読み取りケースID送信手段231aから送信されたケースIDについて、注文処理テーブル112を参照してそこに投入される注文の注文IDを求め、注文テーブル111を参照してその注文IDに含まれる商品を求め、ロケーションテーブル113を参照してそれらの商品の中に第二ゾーンに保管されている商品があるか否かを求める(S161)。第二ゾーンに保管されている商品が当該ケースの注文に含まれているのであれば、次の第二ゾーンで当該ケースが分岐点225aに到達するタイミングに合わせて当該ケースを作業ラインへ向かわせる指示を送信する分岐指示機能126を実行する(C21、S162)。
【0048】
上記の指示を受けて、第二ゾーンでデジタルピッキングを行う処理について説明する(S201)。搬送コンベア100に載せられて第二ゾーンに到達したケースは、先の第一ゾーンでケースIDを予め読み取られており、分岐点225aに到着したタイミングで、コンピュータシステム101の分岐指示機能126から送信された、第二ゾーンでの投入作業を行う作業ラインへ当該ケースを向かわせるか否かの指示を実行する(C21、S202)。ここで、作業ラインに向かわない、すなわち、第二ゾーンで投入すべき商品の無い注文に関連付けられたケースは、次の第三ゾーンへとショートカットされる(S202−No,S233)。なお、分岐点225での具体的な分岐の手法には、レールの向きの変更や、別ラインへの押出など、既知の手法が使用できる。
【0049】
作業エリアに入ったケースは、改めて読取手段221bでケースIDを読み取られる(S211)。読み取られたケースIDは、ケースID送信手段231によりコンピュータシステム101に送られる(S212)。ただし、このケースID送信手段231は、それぞれがIDを有しており、作業場のどこに設置されたケースID送信手段231から送信されたデータであるかを識別可能となっている。コンピュータシステム101は、ここで設置されているケースID送信手段231から送信されたケースIDを受信したら、注文ゾーン確認機能125を実行して、第二ゾーン内に複数あるデジタルピッキングによる投入作業エリアのうち、次の作業区域の商品を含むか否かを確認する(S213)。該当すれば、分岐指示機能126が実行され、当該ケースを、デジタルピッキングを行う作業区域へと向ける(S215−Yes)。該当しなければショートカットして次の合流点まで搬送された後(S230)、次の作業区域があるならば上記と同様の読取手段221bによる判断を行う(S231−Yes、S211〜)。次の作業区域が無いのならば、第二ゾーンをショートカットしたケースの搬送コンベアと合流し(S232)、次の第三ゾーンへ搬送される(S233)。
【0050】
一方、当該作業区域で投入すべき商品があるならば(S215−Yes)、分岐点225bからデジタルピッキングの作業区域へケースが搬送される。ここでは、投入作業の進行により待機時間が生じるため、投入開始前にケースを停留しておくスペースを用意しておくことが望ましい。投入にあたっては、まず投入するべきケースに対して直接に読取手段221dでケースIDを読み取る(S221)。上記と同様に、このケースIDをケースID送信手段231によりコンピュータシステム101へ送信する(S222)。コンピュータシステム101は、この作業区域で投入する単一の商品が、当該ケースの注文において幾つ指定されているかを、注文処理テーブル112及び注文テーブル111を参照して呼び出すデジタル指示機能127を実行し(S224)、得られた値を該当する投入作業場に設けられたデジタル表示手段236へ送信する。このデジタル表示手段236とは、基本的には投入個数をデジタル表示できる表示機能を持った装置である。投入作業者は、デジタル表示手段236に表示された個数を目視などで確認し(S225)、指定された個数の当該商品をケースに投入する(S226)。投入作業者は投入が終わったら、デジタル表示手段236に併設された通知ボタンである完了通知手段237を押下して、指示された商品の投入が完了した旨をコンピュータシステム101へ通知する(S227)。完了の旨を受信したコンピュータシステム101では、注文テーブル111又は注文処理テーブル112における当該ケースID又は当該注文IDのレコードについて、当該商品の投入完了を示すフラグを追加するとよい。投入が終わったケースは、この作業区域での投入が無かったケースを運ぶ搬送コンベア100と、合流点226cで一旦合流する(S230)。合流した後、さらに別の商品についてシングルピッキングを行う作業区域が有る場合には(S231−Yes)、上記のS211のチェックから一連の投入作業(C22〜C23)を行う。その作業区域が第二ゾーンにおける最後の作業区域であれば、第二ゾーンをショートカットした搬送コンベア100と、合流点226bで合流して(C24、S232)、第三ゾーンへと移送される。
【0051】
続く第三ゾーンでは、シングルピッキングを行う例について
図7,8を用いて説明する。
図7は第三ゾーンの構成図であり、
図8はその作業のフローチャートである。第三ゾーンの入口でまずケースIDを読取手段221eで読み取り(C31、S302)、ケースID送信手段231がコンピュータシステム101へ送信する(S303)。コンピュータシステム101では、注文ゾーン確認機能125を実行し、当該ケースIDに関連付けられた注文IDに含まれる商品の中に第三ゾーンで保管されているものが有るか否かを判断する(S304)。第三ゾーンで保管されている商品を含むのであれば、分岐指示機能126を実行して、分岐点225cで分岐して、投入を行う作業ラインへ向かわせる(C32、S311−Yes)。第三ゾーンで保管されている商品を含まないのであれば、第三ゾーンをショートカットして合流点まで搬送される(S311−No)。
【0052】
上記の作業ラインへ向けられたケースを搬送コンベア100から引き上げ、シングルピッキングを行うにあたり(C33)、順次、収集作業者が有する読取表示手段228でケースIDを読み取る(S312)。この読取表示手段228は、ケースIDを読み取るバーコードリーダーなどの機能と、上記のケースID送信手段と同様にケースIDを、所属場所である第三ゾーンを識別可能である情報とともにコンピュータシステム101へ送信する機能と、コンピュータシステム101から送信された投入すべき商品の種類及び個数を受信する機能と、その受信した情報を表示する機能と、投入完了した旨をコンピュータシステム101へ送信する機能を有するものである。具体的には、商品が陳列された棚の中を移動しながら参照可能とするために、無線LANによる送受信機能によってコンピュータシステム101と相互に通信できるものであると好ましい。この読取表示手段228により、読み取ったケースIDをコンピュータシステム101へ送信する(S315)。コンピュータシステム101では注文処理テーブル112を参照してケースIDから注文IDを求め、注文テーブル111を参照して含まれる商品を求め、ロケーションテーブル113を参照して、第三ゾーンでシングルピッキングすべき商品の名称又はIDと個数を求めて、当該読取表示手段228へその情報を返送する商品指示機能129を実行する(S314)。
【0053】
この情報を受け取った読取表示手段228には、商品の種類又はIDと個数が表示されるので(S315)、投入作業者はこれを見ながら棚から商品を収集して、ケースに投入する(S316)。投入が終わったら、投入作業者はその旨をコンピュータシステム101へ通知し(S317)、コンピュータシステム101は注文テーブル111又は注文処理テーブル112の該当するIDのレコードに、第三ゾーンに存在する商品の投入が終わった旨のフラグを追加する(S318)。投入が終わったケースは搬送コンベア100へ戻して、第三ゾーンをショートカットしたケースを搬送する搬送コンベア100と合流点226eで合流させる(S321)。合流後は第四ゾーンへ向かう(S322)。
【0054】
続く第四ゾーンでは、デジタルピッキングを行う。この例の構成図を
図9に、フローチャートを
図10に示す。この構成はすなわち、第二ゾーンの開始時点において、当該ゾーンの入口の分岐点225での分岐を判断するための専用の読取手段221eを設けた例である。読取手段221eでケースIDを読み取り(S402)、ケースID送信手段231によりケースIDを送信し(S403)、それを受信したコンピュータシステム101が注文ゾーン確認機能125を実行して、第四ゾーンに該当する商品を含む注文に対応するケースであれば、分岐指示機能126により分岐点225dに指示を出す。その後の分岐(C42)から合流(C44)までのステップ(S411〜S433)は、上記の第二ゾーンにおけるステップ(S211〜S233)に対応するものである。
【0055】
全てのゾーンでの投入作業が終わったケースは、出荷ゾーン(Z99)へ運ばれ、内容物の最終確認や梱包などの作業を経て出荷される。
【0056】
なお、上記の形態では、第一ゾーンの合流点226aよりも下流に、未決ID関連付機能122のためのケースIDを送信する読取手段221bを設け、ここで読み取ったケースIDにより第二ゾーンの分岐点225aでの移送判断を行っているが、第四ゾーンのような形態での実施も可能である。すなわち、未決ID関連付機能122を実行するためのケースIDの読取手段を、合流点226aよりも上流に設けるとともに、合流点226aより下流に、別途、分岐点225aでの分岐判断を注文ゾーン確認機能125に実行させるための読取手段221ax(図示せず)を設ける。別途設けると、未決ID関連付機能122との並列処理にならないため、遅延が起こりにくくなるが、読取手段とケースID送信手段を設ける個数が増えるため、設備負担がやや上がる。
【0057】
上記の実施形態は、使用するケースの種類が一種類である場合に、ケースの種類を考慮することなく実行可能である。ケースを複数種類使用する実施形態では、次のような前提作業が必要となる。
【0058】
まず、最適なケースの大きさを判別するために、各々の商品について一個あたりの占有データを記録したテーブルを用意する。ここで占有データとは、占有体積でもよいし、最大長のような長さでもよいし、縦横高さの長さを三次元について記録するものでもよい。ただし、物理的にケースへ入れられるか否かの判断をするため、少なくとも最大長を含むことが望ましい。野菜などの長さが一定しない商品の場合は、標準値を定めておくとよい。このテーブルは商品IDと占有データとからなる新たな商品体積テーブルとして別個のテーブルを用意しても良いし、商品についての情報を有するロケーションテーブル113に、商品一個あたりの占有データの項目を追加してもよい。
【0059】
上記の占有データの値が、体積や最大長のような一次元の値であれば数値を単純比較すればよいので高速で判断できる。ただし体積だけでは、特に長い部位を有する商品がある場合には判断しきれなくなる場合があるため、体積と最大長とを両方記録しておいても良い、また、広い占有面積を有する商品や、特に長い部位を有する棒状の商品などが混在する場合には、縦横高さを揃えて記録しておき、詳細に判断を行えるようにした方が、より適切なケース種類の判断が可能となる。
【0060】
また、用意するケースの種類と、その容積を記録したケーステーブル117を用意する。このテーブルは通常の作業においては参照されるのみで変更されないテーブルである。このケーステーブルの容積値は、立方メートルや立方センチメートルといった一つの値でもよいが、縦横高さのそれぞれの長さを三次元的に記録して形状まで判断できるようにして、商品の最大長と比較できると好ましい。すなわち、上記の占有体積の記録にあたって、いずれを採用するかに応じて選択するとよい。なお、占有データが最大長のみである場合には、ケーステーブルには三次元的なデータを記録しておくことが望ましい。
【0061】
さらに、ケースに冷凍向けや冷蔵向けといった特殊用のものが含まれる場合には、上記のケーステーブルにそのためのフラグを用意するとともに、上記の商品体積テーブルやロケーションテーブル113に、その商品がどの種類のケースに収納すべきかの項目を追加する。このような特殊用のフラグとしては、他に、割れ物が含まれる場合に衝撃吸収型のケースを用いたりする場合などが挙げられる。
【0062】
さらにまた、注文テーブル111若しくは注文処理テーブル112、又はそれらの複合テーブルには、それぞれの注文IDに含まれる商品の占有体積の合計値や最大長を記録する項目と、上記ケーステーブル117のレコードに対応したケース種別を記録する項目と、ケースの容積に対する個々の商品の占有体積の合計である容積率を記録する項目と
を設けるとよい。このうち占有体積や最大長は、後述する占有データ算出機能131を実行することにより各々の注文に含まれる商品の占有体積を合計したり、商品中の最大長を求めて、記録する。また上記のケース種別は、それら占有体積や最大長、さらには特殊用途の是非などを、上記ケーステーブル117の値と対比して、その注文に用いるべき最適なケースを決定するケース種判別機能132を実行して記録する。
【0063】
このような複数種類のケースを用いる場合の、コンピュータシステム101の構成例を
図11に示す。また、これを用いたピッキング作業の開始前に注文をソートするフロー例を
図12に示す。ここでは、注文テーブル111に商品の占有データと、ケース種別とを記録する項目を含み、ロケーションテーブル113が商品の占有データを含む実施形態を例に挙げる。
【0064】
まず(S501)、その日、又はそのシフトで作業すべき注文の全てを注文テーブル111に入力する(S502)。その上で、コンピュータシステム101は占有データ算出機能131を実行し、注文テーブル111に登録されているそれぞれの注文について、含まれる商品の全てについて、ロケーションテーブル113を参照して、占有体積の合計値と全商品中の最大長とを計算するバッチ処理を行う(S503)。
【0065】
次に、コンピュータシステム101はケース種判別機能132を実行して、注文テーブル111のそれぞれの注文について、占有体積の合計値をケーステーブル117の値と対比して、当該注文を投入可能な範囲で最適なケースの種別を求めて、注文テーブル111のケース種別の項目に書き込むバッチ処理を実行する(S504)。具体的には、まず当該注文に含まれる商品のうちの最大長を、縦横のいずれかが越えるケースの中で最も小さいものを選ぶ。次に、商品の体積合計と、当該ケースの容積とを比較し、容積率が閾値を越えるか否かを判断する。閾値を越えた場合には、投入困難と判断して、前記最大長の条件を満たすケースの中で、次に小さいものを選択して、容積率の条件を満たすか否かを同様に判断する。これを、条件を満たすケースが選択されるまで繰り返す。ただしこのとき、最大のケースを用いても当該注文に含まれる商品の全てを収容できないエラーとなることがある。この場合、当該注文を投入可能な単位で複数に分ける、注文の分割を行い、分割した注文について、上記の第一の実施形態で示すようなピッキング作業を別個に行えるようにするとよい。なお、上記の閾値は商品の性質にもよるが、60〜80%程度であれば概ね妥当な選択がされる。また、冷蔵や冷凍、割れ物などの区別がある場合には、それに適したケースの中で上記の判断を行う。
【0066】
次に、コンピュータシステム101はケース種ソート機能133を実行し(S505)、注文テーブル111をケース種別の項目でソートし、あるいは単一のケース種別についての注文を抽出する。以上の処理を、作業開始前に一括して行っておく。
【0067】
その上で、ケース種ソート機能133によってソート又は抽出された、それぞれのケースを用いる注文について、ケース種別ごとに、上記の第一の実施形態で記載されたようなピッキング作業を行う(S511〜S514)。すなわち、第1番目の種類のケースについて、製函ゾーンでケースの製函を行い、搬送コンベア100への搬送を開始する(S512)。このとき、当該ケース以外のケースは製函しない。そして、第一ゾーン関連付機能121及び未決ID関連付機能122で関連付けることとなる注文IDは、いずれも第1番目の種類のケースを用いる旨が注文テーブル111のケース種別の項目に登録されたものに限る。すなわち、当該ケースを用いることが確定している注文のみについて、ピッキング作業をまとめて行う(S513)。これにより、第一ゾーンにおけるケースピッキング(C11)においては、ケースの種類について迷うことなく、単一種のケースからマルチピッキング(C12)の進行に合わせた個数のケースを取得することができる。そして、第一番目の種類のケースについての製函、及びそのケースを用いる注文の投入作業が終了したら(S514)、次は第二番目の種類のケースについて、同様の処理を開始する(S511〜)。これを、ケース全種について順に行う(〜S521)。これにより、それぞれの種のケースの作業を行っているときは、搬送コンベア100を流れるケースの種類は単一であり、上記の第一の実施形態で記載のように、第一ゾーン関連付機能121及び未決ID関連付機能122で関連付けることとなる本発明をそのまま実行できる。
【0068】
また、
図12のピッキング作業前のバッチ処理群で、ロケーションテーブル113を参照して、注文テーブル111に含まれるそれぞれの商品の占有データを求める際(S503)に、他の処理を並列して行っても良い。例えば、占有データを求めると同時にそれぞれの商品が保管されている保管ゾーン及び作業区域についての情報も読み出し、注文テーブル111の注文IDごとに、各保管ゾーン及び各作業区域に商品が含まれるか否かのフラグを登録する、保管箇所フラグ登録機能を実行しておくと、各ゾーンの分岐点225の前に行う処理で、それぞれのケースを分岐させるか否かの判断を高速で行うことができる。なお、複数のケースを用いない場合でも、同様のバッチ処理による分岐判断の高速化が可能である。
【0069】
なお、図示しないが、コンピュータシステム101は各ゾーンに保管されている商品の種類ごとの総数を管理する在庫テーブルを有していると好ましい。これは、上記のロケーションテーブル113と一体になっていてもよい。その上で、上記のS502の注文が一通り入力された時点で、注文された全商品が投入可能なだけの在庫が存在しているか否かの判断を行った上で、上記の一連の作業を行うとよい。在庫不足の場合は、商品が足りない注文の処理を後回しにして、在庫を調達する注文作業を行う。