(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013225
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】表皮一体発泡成形品の成形装置及びそれを用いた表皮一体発泡成形品の成形方法
(51)【国際特許分類】
B29C 39/30 20060101AFI20161011BHJP
B29C 39/10 20060101ALI20161011BHJP
B29K 105/04 20060101ALN20161011BHJP
B29L 31/58 20060101ALN20161011BHJP
【FI】
B29C39/30
B29C39/10
B29K105:04
B29L31:58
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-30995(P2013-30995)
(22)【出願日】2013年2月20日
(65)【公開番号】特開2014-159127(P2014-159127A)
(43)【公開日】2014年9月4日
【審査請求日】2015年9月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】390026538
【氏名又は名称】ダイキョーニシカワ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】富永 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】山田 陽介
【審査官】
長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−153103(JP,A)
【文献】
特開2009−034954(JP,A)
【文献】
特開2013−000929(JP,A)
【文献】
特開2005−205801(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 39/00−39/44
B29K 105/04
B29L 31/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口(3a)を有する基材(3)と、該基材(3)の開口(3a)に対応する有底の凹部(5a)が形成された樹脂製の表皮(5)との間に発泡樹脂層(7)を一体に成形し、かつ上記基材(3)、表皮(5)及び発泡樹脂層(7)からなる表皮一体発泡成形品(1)に上記表皮(5)の凹部(5a)の底(5b)を切除して開口(5c)を形成する表皮一体発泡成形品の成形装置であって、
上記基材(3)を保持する第1成形型(23)と、上記表皮(5)を保持する第2成形型(25)とを備え、
上記第2成形型(25)側には、
上記表皮(5)の凹部(5a)の底(5b)を保持し、型締め状態で該表皮(5)を上記基材(3)の開口(3a)縁部に当接させるインナブロック(39)と、
該インナブロック(39)を取り囲むトリム刃(41)を有し該トリム刃(41)の外側面(41a)が上記表皮(5)の凹部(5a)側面部を保持する刃物ブロック(35)と、
該刃物ブロック(35)を上記第1成形型(23)に向かって進出させて上記表皮(5)の凹部(5a)の底(5b)を切除する進出手段(33)とが設けられていることを特徴とする表皮一体発泡成形品の成形装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表皮一体発泡成形品の成形装置において、
上記第2成形型(25)側には、
上記インナブロック(39)及び上記刃物ブロック(35)を支持し、該刃物ブロック(35)と連続して上記表皮(5)の凹部(5a)側面部を保持するベースブロック(31)と、
該ベースブロック(31)を表皮一体発泡成形品(1)成形後の脱型に備えて上記第2成形型(25)に対して第1成形型(23)とは反対側に向かって後退させる後退手段(29)とがさらに設けられていることを特徴とする表皮一体発泡成形品の成形装置。
【請求項3】
請求項1に記載の表皮一体発泡成形品の成形装置を用いた表皮一体発泡成形品の成形方法であって、
上記第1成形型(23)に上記基材(3)を保持し且つ上記第2成形型(25)に上記表皮(5)を保持した状態で成形装置(21)を型締めして、上記インナブロック(39)で上記表皮(5)の凹部(5a)の底(5b)を保持するとともに該表皮(5)を上記基材(3)の開口(3a)縁部に当接させ、
次いで、上記基材(3)と表皮(5)との間に発泡樹脂を射出して発泡樹脂層(7)を一体に成形し、
その後、上記進出手段(33)によって上記刃物ブロック(35)を第1成形型(23)に向かって進出させ、上記トリム刃(41)で上記表皮(5)の凹部(5a)の底(5b)を切除することを特徴とする表皮一体発泡成形品の成形方法。
【請求項4】
請求項2に記載の表皮一体発泡成形品の成形装置を用いた表皮一体発泡成形品の成形方法であって、
上記第1成形型(23)に上記基材(3)を保持し且つ上記第2成形型(25)に上記表皮(5)を保持した状態で成形装置(21)を型締めして、上記インナブロック(39)で上記表皮(5)の凹部(5a)の底(5b)を保持するとともに該表皮(5)を上記基材(3)の開口(3a)縁部に当接させ、
次いで、上記基材(3)と表皮(5)との間に発泡樹脂を射出して発泡樹脂層(7)を一体に成形し、
その後、上記進出手段(33)によって上記刃物ブロック(35)を第1成形型(23)に向かって進出させ、上記トリム刃(41)で上記表皮(5)の凹部(5a)の底(5b)を切除し、
しかる後、上記成形装置(21)の型開き後又は直前に、上記後退手段(29)によって上記ベースブロック(31)を第2成形型(25)に対して第1成形型(23)とは反対側に後退させることを特徴とする表皮一体発泡成形品の成形方法。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の表皮一体発泡成形品の成形方法において、
上記基材(3)の上記開口(3a)の外周縁部には、上記表皮(5)に向かって突出する突条部(3b)が形成され、
上記成形装置(21)の型締め状態で、上記突条部(3b)が上記表皮(5)に圧接することを特徴とする表皮一体発泡成形品の成形方法。
【請求項6】
請求項5に記載の表皮一体発泡成形品の成形方法において、
上記突条部(3b)は、断面三角形状をなし、開口(3a)とは反対側に傾斜面(3d)を有し、
上記進出手段(33)によって進出させた上記刃物ブロック(35)の上記トリム刃(41)先端を上記突条部(3b)の傾斜面(3d)に当接させることを特徴とする表皮一体発泡成形品の成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用インストルメントパネル等のように底にエア吹出口等の開口が形成された凹部を有する表皮一体発泡成形品の当該開口を形成する成形装置及びそれを用いた表皮一体発泡成形品の成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表皮一体発泡成形品の成形型内で表皮一体発泡成形品の凹部の底に開口を形成する成形装置として、例えば特許文献1,2に開示されているものがある。
【0003】
特許文献1には、底に向かって刃を進出させて基材、発泡樹脂層及び表皮の3層をまとめて切除し、開口を形成する成形装置が開示されている。
【0004】
特許文献2には、底に開口が形成された凹部を有する基材がセットされた下型と表皮がセットされた上型とを型閉じして基材と表皮との間に発泡樹脂を充填し、その後、表皮の上記開口の内側に対応する領域である押切予定部分に下型の押切具を押し当てて当該押切具を上方に押し上げ、押切予定部分を上型の当て板に当接させて押切具と当て板とで表皮の押切予定部分を挟持し、さらに上方に押し上げて押切予定部分をちぎり取り、開口を形成する成形装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−337740号公報(段落0019欄及び0020欄、
図1及び
図5)
【特許文献2】特許第3628979号公報(段落0024欄乃至0029欄、
図1乃至
図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の成形装置は、堅い基材も切除するので、刃を進出させるのに相当の力を要する。そのため、刃の進出手段が比較的大型となる。また、刃の消耗が激しく刃の交換等に経費がかさむ。上述の如く基材が堅いため、基材の切り口を精度良く形成し難く、開口に配設される他部品との係合部の精度が確保されないおそれがある。さらに、切除された基材が無駄となる。
【0007】
また、特許文献2の成形装置は、基材を切除しないため、基材が無駄とならないものの、押切予定部分が基材の開口よりも内側に位置するため、凹部に対して開口が狭くなる。
【0008】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、開口を形成するための切除手段の構造を単純化しつつ、他部品との係合部の精度を向上させ且つ凹部に対する開口面積を最大限確保することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、表皮を切除する刃物ブロックの構造を工夫したものである。
【0010】
具体的には、本発明は、開口を有する基材と、該基材の開口に対応する有底の凹部が形成された樹脂製の表皮との間に発泡樹脂層を一体に成形し、かつ上記基材、表皮及び発泡樹脂層からなる表皮一体発泡成形品に上記表皮の凹部の底を切除して開口を形成する表皮一体発泡成形品の成形装置を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0011】
すなわち、第1の発明は、上記基材を保持する第1成形型と、上記表皮を保持する第2成形型とを備え、上記第2成形型側には、上記表皮の凹部の底を保持し、型締め状態で該表皮を上記基材の開口縁部に当接させるインナブロックと、該インナブロックを取り囲むトリム刃を有し該トリム刃の外側面が上記表皮の凹部側面部を保持する刃物ブロックと、該刃物ブロックを上記第1成形型に向かって進出させて上記表皮の凹部の底を切除する進出手段とが設けられていることを特徴とする。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、上記第2成形型側には、上記インナブロック及び上記刃物ブロックを支持し、該刃物ブロックと連続して上記表皮の凹部側面部を保持するベースブロックと、該ベースブロックを表皮一体発泡成形品成形後の脱型に備えて上記第2成形型に対して
第1成形型とは反対側に向かって後退させる後退手段とがさらに設けられていることを特徴とする。
【0013】
第3の発明は、第1の発明に係る表皮一体発泡成形品の成形装置を用いた表皮一体発泡成形品の成形方法であって、上記第1成形型に上記基材を保持し且つ上記第2成形型に上記表皮を保持した状態で成形装置を型締めして、上記インナブロックで上記表皮の凹部の底を保持するとともに該表皮を上記基材の開口縁部に当接させ、次いで、上記基材と表皮との間に発泡樹脂を射出して発泡樹脂層を一体に成形し、その後、上記進出手段によって上記刃物ブロックを第1成形型に向かって進出させ、上記トリム刃で上記表皮の凹部の底を切除することを特徴とする。
【0014】
第4の発明は、第2の発明に係る表皮一体発泡成形品の成形装置を用いた表皮一体発泡成形品の成形方法であって、上記第1成形型に上記基材を保持し且つ上記第2成形型に上記表皮を保持した状態で成形装置を型締めして、上記インナブロックで上記表皮の凹部の底を保持するとともに該表皮を上記基材の開口縁部に当接させ、次いで、上記基材と表皮との間に発泡樹脂を射出して発泡樹脂層を一体に成形し、その後、上記進出手段によって上記刃物ブロックを第1成形型に向かって進出させ、上記トリム刃で上記表皮の凹部の底を切除し、しかる後、上記成形装置の型開き後又は直前に、上記後退手段によって上記ベースブロックを第2成形型に対して
第1成形型とは反対側に後退させることを特徴とする。
【0015】
第5の発明は、第3又は第4の発明において、上記基材の上記開口の外周縁部には、上記表皮に向かって突出する突条部が形成され、上記成形装置の型締め状態で、上記突条部が上記表皮に圧接することを特徴とする。
【0016】
第6の発明は、第5の発明において、上記突条部は、断面三角形状をなして、
開口とは反対側に傾斜面を有し、上記進出手段によって進出させた上記刃物ブロックの上記トリム刃先端を上記突条部の傾斜面に当接させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
第1,3の発明によれば、トリム刃が表皮のみを切除するので、進出手段は比較的小さい力で刃物ブロックを進出させることができる。またトリム刃の消耗が少なく成形装置の耐久性が向上する。さらに、型締め状態でインナブロックが表皮を基材の開口縁部に当接させ、トリム刃が該開口縁部に当接する表皮を切除するので、基材がトリム刃の当て物となるので、当て物を別途設ける必要がない。このように、進出手段を大型化する必要がなく、また、当て物を別途設ける必要がないので、切除手段を簡単化することができる。
【0018】
また、第1の発明によれば、刃物ブロックが表皮の凹部側面部を保持しながら上述の如くトリム刃が表皮の基材開口縁部に対応する部分を切除するので、表皮の開口を基材の開口よりも広く形成することができる。したがって、凹部に対する開口面積を最大限確保することができる。
【0019】
さらに、第1の発明によれば、予め基材に開口が設けられていてトリム刃で基材を切除しなくて済むので、基材の開口縁部に切断による乱れがなく、他部品との係合部の精度を向上させることができる。
【0020】
第2,4の発明によれば、トリム刃が表皮を切除し、後退手段がベースブロックを第2成形型に対して
第1成形型とは反対側に向かって後退させることで、トリム刃及び刃物ブロックの外側面が表皮一体発泡成形品の凹部から離れるので、該表皮一体発泡成形品を容易に脱型させることができる。
【0021】
第5の発明によれば、基材に形成された突条部が成形装置の型締め状態で表皮に圧接するため、基材と表皮との間に充填される溶融樹脂が該突条部によってシールされ、開口内にバリが発生しない。
【0022】
第6の発明によれば、トリム刃で表皮を切除する際に表皮側に突出する突条部の傾斜面に沿って表皮を切断するので、表皮と基材との間に圧縮可能な僅かな発泡樹脂層があり表皮をより簡単に切除することができる。また、基材の開口縁部が断面三角形状をなしているので、該開口縁部の強度を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態に係る成形装置を示す断面図である。
【
図2】基材及び表皮をセットする前の状態における成形装置を示す断面図である。
【
図3】刃物ブロックが進出した状態における成形装置を示す断面図である。
【
図4】型開き状態における第2成形型を示す断面図である。
【
図5】本発明の実施形態の変形例に係る成形装置を示す断面図である。
【
図6】インストルメントパネルを示す全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、この発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0025】
図6及び
図7は表皮一体発泡成形品としての車両用インストルメントパネル1を示し、
図7は
図6のA−A線矢視断面図である。上記インストルメントパネル1は、自動車の運転席前方に配置され、樹脂製の基材3、その表面側の樹脂製の表皮5、及び該基材3と該表皮5との間に挟まれた発泡樹脂層7の3層構造となっているパッド部9を備えている。上記パッド部9の上面部の両サイドには、略矩形状のサイドデミスターエア吹出口11が形成され、その車体後方に円形のサイドベントエア吹出口13が上記サイドデミスターエア吹出口11と上下に接近してそれぞれ形成されている。上記サイドベントエア吹出口13には、
図7に示すように、仮想線で示されたベントグリル15が装着される凹部17が形成されている。該凹部17は、車体前方に凹み、その底17aに開口3aが形成されている。上記基材3の該開口3a縁部には、表皮5に向かって突出する断面三角形状の突条部3bが形成されている。この突条部3bにより、上記開口3a縁部の強度を保持することができる。上記ベントグリル15は、この開口3a縁部に係止部15aが係止して装着される。上記サイドデミスターエア吹出口11にも、グリル(図示せず)が装着される略矩形状の凹部19が形成されている。なお、
図6では、サイドデミスターエア吹出口11及びサイドベントエア吹出口13に装着されるグリルを省略している。
【0026】
−インストルメントパネルの成形装置−
上記インストルメントパネル1は、
図1に示すように、成形装置21で成形される。
図1は、該成形装置21の上記サイドベントエア吹出口13を成形する部分を示す断面図である。上記成形装置21は、上記基材3を保持する上型である第1成形型23と、該第1成形型23と対向配置され、上記表皮5を保持する下型である第2成形型25とを備えている。
【0027】
上記第1成形型23は上記基材3の凹部3cに対応する円形の型凹部23aを有し、該型凹部23aは下方に開口している。該型凹部23aには、上記基材3の凹部3aが嵌め込まれる。
【0028】
上記第2成形型25は、上記第1成形型23の型凹部23aに対応する円形の貫通孔25aが形成されており、この貫通孔25aは、該型凹部23aに上下に連通して対応している。上記第2成形型25の下側には、上記貫通孔25aを覆うベースブロック保持フレーム27が固定され、該ベースブロック保持フレーム27の底部に貫通孔27aが形成されている。上記ベースブロック保持フレーム27には、第1シリンダ(後退手段)29が設置され、該第1シリンダ29のピストン29aが上記貫通孔27aを貫通し、該ピストン29aの先端が上記第2成形型25の貫通孔25a内に配設されたベースブロック31に連結されている。該ベースブロック31は、有底円筒状をなし、その凹部31aの底面には、第2シリンダ(進出手段)33が設置され、該第2シリンダ33のピストン33aがその上方に配設された刃物ブロック35と繋がっている。刃物ブロック35には、上下方向に貫通する貫通孔35aが形成されている。一方、上記ベースブロック31の凹部31aの底面には、上記第2シリンダ33を取り囲むように複数本の連結ロッド37が上方に向かって突設され、各連結ロッド37は、上記刃物ブロック35の貫通孔35aを貫通して該刃物ブロック35の上方に配設されたインナブロック39と繋がって、該インナブロック39を支持している。
【0029】
上記インナブロック39は、上記型凹部23aの底23bと略同一形状の上面を有する略平板状をなしている。
【0030】
上記刃物ブロック35は、上記インナブロック39を下側から覆うように凹状をなし、その外周縁全体に亘ってトリム刃41が上方に突出して上記インナブロック39を取り囲んでいる。上記刃物ブロック35の外周縁部は、上記インナブロック39下面の外周縁部に沿って外側に向かって上方に傾斜している。また、上記トリム刃41の外周面41aは、上記型凹部23aの内側面と対向し、かつ該内側面に沿うように内側に向かって上方に傾斜している。
【0031】
上記ベースブロック31は、上記第1シリンダ29のピストン29aが進出した状態で、上端部が上記第2成形型25の貫通孔25aから上方に突出し、この状態で、上記凹部31aを形成する筒壁部31bの外周面上端部31cは、上記第2成形型25の上面25bと連続する湾曲面を形成している。該湾曲面は、上記型凹部23aの内側面と対向し、かつ該内側面に沿うように内側に向かって上方に傾斜し、上記刃物ブロック35の外周面41aと連続している。
【0032】
そして、
図2に示すように、型開き状態で、上記第1シリンダ29が上記ベースブロック31を進出させ、かつ上記第2シリンダ33が上記刃物ブロック35を後退させた状態で、上記表皮5が上記第2成形装置25にセットされると、上記インナブロック39が上記表皮5の凹部5aの底5bを保持するとともに、上記刃物ブロック35及びトリム刃41の外側面35b,41aが上記凹部5aの側面部を保持する。
【0033】
さらに、
図1に示すように、型閉じ状態で、上記第1成形型23にセットされた上記基材3と上記第2成形型25にセットされた上記表皮5との間に発泡樹脂が充填されるキャビティ43が形成される。この状態で、上記トリム刃41の先端は、上記基材3の開口3a縁部に対応するように配置される。そして、上記キャビティ43に発泡樹脂が充填されて硬化し、上記発泡樹脂層7が形成された後、
図3に示すように、上記第2シリンダ33が上記刃物ブロック35を上記第1成形型23に向かって進出させて上記表皮5の凹部5aの底5bを切除して、開口5cを形成する。このとき、上記トリム刃41の先端は、上記基材3の突条部3bの傾斜面3dに沿って上記表皮5を切除する。このため、表皮と基材との間に圧縮可能な僅かな発泡樹脂層があるので上記表皮5をより簡単に切除することができる。
【0034】
さらにまた、上記表皮5に開口5cが形成されると、型開きし、その後、
図4に示すように、上記第1シリンダ29が上記ベースブロック31を上記第2成形型25に対して
第1成形型23とは反対側に向かって後退させる。これにより、上記刃物ブロック35及びトリム刃41の外側面35b,41aが上記インストルメントパネル1の凹部17から離れるので、該インストルメントパネル1を容易に脱型させることができる。
【0035】
−インストルメントパネルの成形方法−
次に、成形装置21を用いてインストルメントパネル1を成形する方法について
図1乃至
図4を参照して説明する。
【0036】
先ず、
図2に示すように、成形装置21を型開きし、第2シリンダ33で刃物ブロック35を後退させた状態で、第1シリンダ29によってベースブロック31を進出させる。この状態で、底3bに開口3aが形成された凹部3cを有する基材3を、該凹部3cが型凹部23aに嵌まるように第1成形型23にセットし、また、基材3の凹部3cに対応する凹部5aを有する表皮5を第2成形型25にセットする。このとき、凹部5aの底5bがインナブロック39によって保持され、凹部5aの側面部が刃物ブロック35及びトリム刃41の外側面35b,41aに保持され、さらに、凹部5aの開口端がベースブロック31の筒壁部31bの上端部31cに保持される。
【0037】
次に、
図1に示すように、成形装置21を型閉じし、基材3と表皮5との間にキャビティ43を形成して型締めする。このとき、インナブロック39が表皮5の凹部5aの底5bを上方に押し付けて基材3の開口3a縁部に当接させて、基材3の突条部3bが表皮5に圧接される。
【0038】
次いで、キャビティ43内に発泡樹脂を射出充填して発泡樹脂層7を一体に成形する。このとき、上述の如く突条部3bが表皮5に圧接されているので、キャビティ43内の発泡樹脂が突条部3bによってシールされる。
【0039】
その後、
図3に示すように、第2シリンダ33によって刃物ブロック35を上方に進出させ、トリム刃41で表皮5の凹部5aの底5bを切除する。このとき、トリム刃41先端を突条部3bの
開口3aとは反対側の傾斜面3dに当接させる。そして、刃物ブロック35を下方に後退させる。切除された表皮5は、インナブロック39の上面に保持される。
【0040】
しかる後、成形されたインストルメントパネル1を第2成形型25に保持した状態で成形装置21を型開きし、第1シリンダ29によってベースブロック31を第2成形型25に対して下側に向かって後退させ、刃物ブロック35及びトリム刃41の外側面35b,41aをインストルメントパネル1の凹部17から離す。
【0041】
最後に、インストルメントパネル1を脱型し、インナブロック39上の表皮5を取り除く。
【0042】
このように、トリム刃41が表皮5のみを切除するので、第2シリンダ33が比較的小さい力で刃物ブロック35を進出させることができる。またトリム刃41の消耗が少なく成形装置の耐久性が向上する。さらに、型締め状態でインナブロック39が表皮5を基材3の開口3a縁部に当接させ、トリム刃41が該開口3a縁部に当接する表皮5を切除するので、基材3がトリム刃41の当て物となり、当て物を別途設ける必要がない。このように、刃物ブロック35を進出させる装置を大型化する必要がなく、また、当て物を別途設ける必要がないので、インストルメントパネル1の開口3aを形成するための切除手段を小型化することができる。
【0043】
また、刃物ブロック35及びトリム刃41が表皮5の凹部5aの側面部を保持しながら上述の如くトリム刃41が表皮5の基材3の開口3a縁部に対応する部分を切除するので、表皮5の開口5cを基材3の開口3aよりも広く形成することができる。したがって、凹部17に対する開口面積を最大限確保することができる。
【0044】
さらに、予め基材3に開口3aが設けられていてトリム刃41で基材3を切除しなくて済むので、開口3aの縁部に切断による乱れがなく、ベントグリル15との係合部の精度を向上させることができる。
【0045】
なお、上記の実施形態では、型開き後にベースブロック31を後退させているが、型開き直前にベースブロック31を後退させてもよい。
【0046】
(実施形態の変形例)
図5は上記成形装置21の上記サイドデミスターエア吹出口11を成形する箇所の断面を示す図である。本変形例に係る成形装置21では、ベースブロック31の筒壁部31bの外側面31cがサイドデミスターエア吹出口11の凹部19の形状に合わせて階段状となっており、トリム刃41が該筒壁部31bの内側に配設されている。
【0047】
上記ベースブロック31は、有底の円筒状をなし、筒壁部31bの中央部から上端部に亘る部分が上記貫通孔25aに貫入し、下端部が該貫通孔25aよりも外側に張り出している。該筒壁部31bの外周面31c上端部は、上記凹部19の周壁部に合わせて階段状となっている。また、上記筒壁部31bの内周面は、鉛直に延びている。さらに、上記トリム刃41は、上記ベースブロック31に嵌まり込んでおり、その外周面41aは、上記筒壁部31bの内周面に沿って鉛直に延びている。
【0048】
このように、ベースブロック31及びトリム刃41の外周面の形状を変形することにより、インストルメントパネル1に様々な形状の開口を形成することができる。
【0049】
なお、上記の実施形態では、表皮一体発泡成形品として車両用インストルメントパネルについて説明したが、これに限定されず、例えばドアトリムであってもよい。
【0050】
また、上記の実施形態では、基材3に凹部3cが設けられているが、これに限定されず、基材3の平坦部に開口3aが予め形成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
この発明は、基材、表皮及び発泡樹脂層からなる表皮一体発泡成形品に表皮の凹部の底を切除して開口を形成する表皮一体発泡成形品の成形装置及び該表皮一体発泡成形品の成形方法について有用であり、特に装置サイズを抑制しつつ、他部品との係合部の精度を向上させ且つ凹部に対する開口面積を最大限確保するのに適している。
【符号の説明】
【0052】
1 インストルメントパネル(表皮一体発泡成形品)
3 基材
3a 基材の開口
3b 突条部
3c 基材の凹部
3d 傾斜面
5 表皮
5a 表皮の凹部
5b 表皮の凹部の底
5c 開口
7 発泡樹脂層
21 成形装置
23 第1成形型
25 第2成形型
29 第1シリンダ(後退手段)
31 ベースブロック
33 第2シリンダ(進出手段)
35 刃物ブロック
39 インナブロック
41 トリム刃