(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ユーザ情報取得部は、表示画面上に、前記ユーザ体感品質の推定値を示す情報と、当該ユーザ体感品質の推定値に対するユーザからのユーザ情報を入力するための操作方法とを表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信端末。
前記ユーザ情報取得部は、所定の期間において有意なユーザ情報が得られない場合に、前記品質対応関係データに基づいたユーザ体感品質の推定値とは異なるユーザ体感品質をユーザに提示する、
ことを特徴とする請求項3に記載の通信端末。
前記体感品質補正部は、前記状態推定部による推定結果に基づいて、ユーザ又は自通信端末の状態が、定常状態であると判断されるときは前記品質対応関係データの補正を行い、非定常状態であると判断されるときは前記品質対応関係データの補正を行わない、
ことを特徴とする請求項5に記載の通信端末。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来技術において、特許文献1および非特許文献1ではアンケート参加者の募集にかかるコストの負担が大きい点、特許文献2ではユーザ体感品質が取得されない点、特許文献3,4,5では体感品質推定モデルや所要ユーザ体感品質の変更のために再度測定が必要でありコストの負担が大きい点、などの問題がある。
【0007】
このため、通信ネットワークシステムを利用するユーザ毎にユーザ体感品質が異なる点、ユーザの利用状況によってユーザ体感品質が異なる点、それらのユーザ体感品質が利用経験と共に変化する点を考慮し、ユーザにかける負担を少なくして、各ユーザのユーザ体感品質をインサービスで簡易に精度よく収集することが課題となっている。
【0008】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、各ユーザのユーザ体感品質をインサービスで簡易に精度よく収集することができる通信端末、品質管理システムおよびコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明に係る通信端末は、アプリケーションの通信データを観測して通信品質を測定する客観品質測定部と、通信品質とユーザ体感品質との対応関係を示す品質対応関係データを用いて、前記客観品質測定部が測定した通信品質に対応するユーザ体感品質を推定する体感品質推定部と、前記体感品質推定部が推定したユーザ体感品質を表す体感品質推定データを記憶する体感品質記憶部と、前記体感品質推定データに基づいてユーザ体感品質をユーザに提示し、当該ユーザ体感品質に対するユーザからのユーザ情報を取得するユーザ情報取得部と、前記取得されたユーザ情報と該ユーザ情報に該当する前記体感品質推定データとに基づいて、前記品質対応関係データを補正する体感品質補正部と、前記体感品質推定データを自通信端末の識別情報と共に品質管理サーバへ送信する体感品質送信部と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る通信端末において、前記ユーザ情報取得部は、表示画面上に、前記ユーザ体感品質の推定値を示す情報と、当該ユーザ体感品質の推定値に対するユーザからのユーザ情報を入力するための操作方法とを表示させる、ことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る通信端末において、前記ユーザ情報取得部は、前記体感品質推定データが示すユーザ体感品質の推定値に対し、所定のずれ幅を持って、ユーザに提示するユーザ体感品質を決定し、前記体感品質補正部は、前記取得されたユーザ情報と該ユーザ情報に該当する前記体感品質推定データ及び前記ユーザに提示されたユーザ体感品質に基づいて、前記品質対応関係データを補正する、ことを特徴とする。
【0012】
本発明に係る通信端末において、前記ユーザ情報取得部は、所定の期間において有意なユーザ情報が得られない場合に、前記品質対応関係データに基づいたユーザ体感品質の推定値とは異なるユーザ体感品質をユーザに提示する、ことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る通信端末においては、ユーザ又は自通信端末がどのような状態にあるのかを推定する状態推定部を備え、前記体感品質補正部は、前記状態推定部による推定結果に基づいて、前記品質対応関係データを補正するか否かを判断する、ことを特徴とする。
【0014】
本発明に係る通信端末において、前記体感品質補正部は、前記状態推定部による推定結果に基づいて、ユーザ又は自通信端末の状態が、定常状態であると判断されるときは前記品質対応関係データの補正を行い、非定常状態であると判断されるときは前記品質対応関係データの補正を行わない、ことを特徴とする。
【0015】
本発明に係る通信端末においては、ユーザ又は通信端末の状態の分類毎に品質対応関係データを設け、前記体感品質補正部は、前記取得されたユーザ情報を用いて、該ユーザ情報の取得時のユーザ又は通信端末の状態の分類に対応する品質対応関係データを補正する、ことを特徴とする。
【0016】
本発明に係る品質管理システムは、前述のいずれかの通信端末と、通信回線を介して前記通信端末から体感品質推定データを受信し、前記通信端末毎に体感品質推定データを管理する品質管理サーバと、を備えたことを特徴とする。
【0017】
本発明に係るコンピュータプログラムは、アプリケーションの通信データを観測して通信品質を測定する客観品質測定ステップと、通信品質とユーザ体感品質との対応関係を示す品質対応関係データを用いて、前記客観品質測定
ステップが測定した通信品質に対応するユーザ体感品質を推定する体感品質推定ステップと、前記体感品質推定
ステップが推定したユーザ体感品質を表す体感品質推定データを記憶部に記憶する体感品質記憶ステップと、前記体感品質推定データに基づいてユーザ体感品質をユーザに提示し、当該ユーザ体感品質に対するユーザからのユーザ情報を取得するユーザ情報取得ステップと、前記取得されたユーザ情報と該ユーザ情報に該当する前記体感品質推定データとに基づいて、前記品質対応関係データを補正する体感品質補正ステップと、前記体感品質推定データを自通信端末の識別情報と共に品質管理サーバへ送信する体感品質送信ステップと、をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、各ユーザのユーザ体感品質をインサービスで簡易に精度よく収集することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0021】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る品質管理システムの概略構成図である。
図1において、ユーザ端末1は、ユーザ100によって使用される通信端末である。
図1の例では、ユーザ端末1は、移動端末であり、例えば、携帯電話機、スマートホン、ノート型パーソナルコンピュータなどである。ユーザ端末1は、移動通信システムの基地局2と無線接続することによってデータ通信を行うことができる。
【0022】
基地局2及び品質管理サーバ4は、インターネット等のネットワーク3に接続される。品質管理サーバ4は、各ユーザ端末1から、各ユーザ端末1のユーザ100が体感する通信品質の推定値を表す体感品質推定データを受信する。あるユーザ端末1から受信する体感品質推定データは、当該ユーザ端末1を使用しているユーザ100のユーザ体感品質の推定値を表す。
【0023】
図2は、第1実施形態に係るユーザ端末1の構成例である。
図2において、ユーザ端末1は、操作部11、表示部12、通信部13、アプリケーション実行部14、客観品質測定部15、体感品質推定部16、体感品質記憶部17、体感品質補正部18、体感品質送信部19及びユーザ情報取得部20を備える。
【0024】
操作部11は、キーボード、マウス等の入力装置を有する。ユーザ100は、操作部17により、データを入力したり、表示部12の表示画面上の操作箇所を操作したりすることができる。
【0025】
表示部12は、液晶表示装置等の表示装置を有し、テキストや画像などを表示することができる。
【0026】
通信部13は、基地局2と無線接続することによってデータ通信を行う。通信部13は、例えば品質管理サーバ4との間でデータを送受することができる。
【0027】
アプリケーション実行部14はアプリケーションを実行する。アプリケーションは、通信部13によりデータを受信したり送信したりする。
【0028】
客観品質測定部15は、アプリケーションの通信データを観測して通信品質を測定する。この通信品質は、ユーザの主観が入らない客観的な品質(以下、客観品質と称する)である。具体的には、客観品質測定部15は、アプリケーションが送受するパケットのヘッダ情報を観測して、例えば通信待ち時間(例えばコンテンツのダウンロードに要する時間)や通信速度などの客観品質を測定する。なお、測定対象のアプリケーションとしては、全アプリケーションであってもよく、又は、品質管理サーバ4から指示されたアプリケーションのみであってもよい。
【0029】
体感品質推定部16は、客観品質とユーザ体感品質との対応関係を示す品質対応関係データを用いて、客観品質測定部15が測定した客観品質の測定値に対応するユーザ体感品質を推定する。品質対応関係データは予め定義されて体感品質記憶部17に格納される。例えば、通信待ち時間からユーザ体感品質を推定する品質対応関係データが予め定義される。又は、通信速度からユーザ体感品質を推定する品質対応関係データが予め定義される。ユーザ体感品質は、例えば、「良い」又は「悪い」の2段階で表される。又は、ユーザ体感品質は、「良い」から「悪い」までが3段階以上の多段階で表される。
【0030】
又、品質対応関係データは、複数が準備されていてもよい。例えばユーザ種別毎に品質対応関係データが準備されており、ユーザ100に該当するユーザ種別の品質対応関係データを使用するようにしてもよい。又は、複数の品質対応関係データの中から、任意の品質対応関係データを選択して(例えば無作為に品質対応関係データを選択して)使用するようにしてもよい。
【0031】
図3は、第1実施形態に係る品質対応関係データの構成例である。
図3の品質対応関係データは、通信待ち時間(客観品質)とユーザ体感品質との対応関係を示す。
図3において、通信待ち時間が、T1時間まではユーザ体感品質が「良い」であり、T1からT2時間まではユーザ体感品質が「普通」であり、T2時間を越えるとユーザ体感品質が「悪い」である。但し、T1<T2である。体感品質推定部16は、
図3中の波形データWに基づいて、通信待ち時間の測定値に対応するユーザ体感品質を取得する。体感品質推定部16は、該取得したユーザ体感品質を体感品質推定データとして体感品質記憶部17に格納する。
【0032】
体感品質記憶部17は、ユーザ体感品質推定部16が推定したユーザ体感品質を表す体感品質推定データなどを記憶する。体感品質記憶部17は、測定対象のアプリケーションの識別情報と体感品質推定データとこの体感品質推定データの記録時刻とを関連付けて格納する。
【0033】
ユーザ情報取得部20は、体感品質推定データに基づいてユーザ体感品質の推定値をユーザ100に提示し、当該ユーザ体感品質の推定値に対するユーザ100からの情報を取得する。
【0034】
ここで、ユーザ情報取得部20の動作を具体的に説明する。まず、ユーザ情報取得部20は、体感品質記憶部17から体感品質推定データを読み出し、該体感品質推定データに基づいて表示画面上にユーザ体感品質の推定値を示す情報を表示させる。このとき、表示画面上には、ユーザ体感品質の推定値を示す情報と、当該ユーザ体感品質の推定値に対するユーザ100からの情報を入力するための操作方法を表示させる。該操作方法としては、例えば、ユーザ体感品質の推定値を良い方に変更する場合の操作キーと、ユーザ体感品質の推定値を悪い方に変更する場合の操作キーと、を指定する。又は、表示部12の表示画面がタッチパネル画面である場合には、該操作キーを表示させてもよい。
【0035】
図4は、第1実施形態に係る表示画面200の構成例である。
図4の例では、表示部12の表示画面がタッチパネル画面である。また、
図4の例では、ユーザ100がユーザ端末1を用いてコンテンツをダウンロードした場合である。
図4において、表示画面200には、ユーザ体感品質の推定値を示すメッセージMの一例である「ダウンロード速度は“普通”でしたね。」と、ユーザ体感品質の推定値を良い方に変更する場合の操作キー201としての画像の一例である「+」と、ユーザ体感品質の推定値を悪い方に変更する場合の操作キー202としての画像の一例である「−」と、が表示されている。
【0036】
図4中のメッセージMの一例「ダウンロード速度は“普通”でしたね。」は、体感品質推定データがユーザ体感品質の推定値「普通」を示している場合である。体感品質推定データがユーザ体感品質の推定値「良い」を示している場合にはメッセージMとして「ダウンロード速度は“速かった”でしたね。」、体感品質推定データがユーザ体感品質の推定値「悪い」を示している場合にはメッセージMとして「ダウンロード速度は“遅かった”でしたね。」、とすればよい。
【0037】
ユーザ情報取得部20は、アプリケーション実行部14によるコンテンツのダウンロードの終了に伴って体感品質推定データが体感品質記憶部17に格納されると、該体感品質推定データを体感品質記憶部17から読み出し、該体感品質推定データに基づいて
図4に例示されるメッセージMを作成する。そして、ユーザ情報取得部20は、表示部12に対して、該メッセージMと、
図4に例示される操作キー201及び202とを表示画面200に表示させる。
【0038】
これにより、ユーザ100は、コンテンツのダウンロードの終了と共に表示画面200に表示されたメッセージMに対する応答を、操作キー201または202により簡単に入力することができる。例えば、メッセージ「ダウンロード速度は“普通”でしたね。」に対して、ユーザ100自身はダウンロード速度が速かったと感じた場合には、ユーザ100は、ユーザ体感品質の推定値を良い方に変更する場合の操作キー201「+」を操作する。一方、メッセージ「ダウンロード速度は“普通”でしたね。」に対して、ユーザ100自身はダウンロード速度が遅かったと感じた場合には、ユーザ100は、ユーザ体感品質の推定値を悪い方に変更する場合の操作キー202「−」を操作する。メッセージ「ダウンロード速度は“速かった”でしたね。」又はメッセージ「ダウンロード速度は“遅かった”でしたね。」に対しても、同様に、ユーザ100は自身のダウンロード速度に対する印象に応じて、操作キー201「+」又は操作キー202「−」を操作する。
【0039】
ユーザ情報取得部20は、その操作キー201「+」又は操作キー202「−」の操作結果を示す情報を表示部12から取得する。この操作キー201「+」又は操作キー202「−」の操作結果を示す情報は、ユーザ体感品質の推定値に対するユーザ100からの情報(ユーザ情報)である。ユーザ情報取得部20は、該ユーザ情報を体感品質補正部18へ出力する。
【0040】
体感品質補正部18は、ユーザ情報取得部20から入力されたユーザ情報と、該ユーザ情報に該当する体感品質記憶部17内の体感品質推定データとに基づいて、品質対応関係データを補正する。この補正は、ユーザ情報の取得毎に行ってもよく、又は、一定量のユーザ情報を取得する毎に行ってもよい。体感品質補正部18は、体感品質推定データで示されるユーザ体感品質の推定値に対する、ユーザ情報で示されるユーザ100自身の通信品質に対する印象に基づいて、品質対応関係データ(
図3中の波形W)を補正する。
【0041】
補正後の品質対応関係データは、体感品質記憶部17に格納され、これ以降、体感品質推定部16によって使用される。体感品質推定部16は、ユーザ情報取得部20によって取得されたユーザ情報に該当する体感品質推定データを、補正後の品質対応関係データに基づいて更新する。
【0042】
体感品質送信部19は、体感品質記憶部17に記憶されている体感品質推定データを、自ユーザ端末1の識別情報(端末ID)と共に、通信部13により品質管理サーバ4へ送信する。これにより、品質管理サーバ4は、端末ID毎に体感品質推定データを管理することができる。
【0043】
上述した第1実施形態によれば、ユーザ100が通信品質に対して持つ印象の時々の状況を、品質対応関係データに反映させることができる。この結果、ユーザ毎、且つ、各ユーザ100の利用経験に応じた品質対応関係データを作成することができるので、各ユーザ100に対するユーザ体感品質の推定精度を向上させることができる。また、インサービスにおいて、ユーザ100は表示画面上のメッセージMを見て直ぐに該メッセージMに対する応答を行うことができるので、ユーザ100にかける負担も少ない。
【0044】
又、ユーザ端末1は、体感品質推定データ及び端末IDと共に、測定対象のアプリケーションの識別情報(アプリケーションID)を品質管理サーバ4へ送信してもよい。これにより、品質管理サーバ4は、端末ID毎に、アプリケーションID別の体感品質推定データを管理することができる。
【0045】
又、ユーザ端末1は、体感品質推定データ及び端末IDと共に、記録時刻を品質管理サーバ4へ送信してもよい。これにより、品質管理サーバ4は、端末ID毎に、記録時刻に基づいた時間帯別の体感品質推定データを管理することができる。
【0046】
又、ユーザ端末1は、体感品質推定データ及び端末IDと共に、測定対象のアプリケーションのアプリケーションID及び記録時刻を品質管理サーバ4へ送信してもよい。これにより、品質管理サーバ4は、端末ID毎に、アプリケーションID別の体感品質推定データを記録時刻に基づいた時間帯別に管理することができる。
【0047】
[第2実施形態]
第2実施形態は第1実施形態の変形例である。以下、第1実施形態と異なる点を主に説明する。
図5は、第2実施形態に係るユーザ体感品質提示値の決定方法の一実施例を示す説明図である。第2実施形態では、ユーザ情報取得部20は、体感品質推定データが示すユーザ体感品質の推定値に対し、所定のずれ幅を持って、ユーザ100に提示するユーザ体感品質提示値を決定する。
【0048】
図5において、通信待ち時間の測定値T3に対応するユーザ体感品質は「普通」である。ユーザ情報取得部20は、該ユーザ体感品質「普通」に対し、任意のずれ幅Pを持ってユーザ体感品質提示値を決定する。ずれ幅Pは、一定値であってもよく、又は、所定の範囲の値の中から任意に選択されてもよい。
【0049】
例えば、
図5において、通信待ち時間の測定値に対応する波形Wのユーザ体感品質の位置から、良い方または悪い方へずれ幅Pだけずらしたユーザ体感品質をユーザ体感品質提示値とする。ずらす方向は、予め定めてもよく、または、任意に選択されてもよい。例えば、通信待ち時間の測定値T3に対応する波形Wのユーザ体感品質「普通」の位置から悪い方へずれ幅Pだけずらした場合には、該ずらした位置に対応するユーザ体感品質「悪い」をユーザ体感品質提示値とする。
【0050】
ユーザ情報取得部20は、ユーザ体感品質提示値を体感品質記憶部17に格納する。そして、ユーザ情報取得部20は、ユーザ体感品質提示値に基づいて
図4に例示されるメッセージMを作成する。そして、ユーザ情報取得部20は、表示部12に対して、該メッセージMと、
図4に例示される操作キー201及び202とを表示画面200に表示させる。
【0051】
次いで、ユーザ情報取得部20は、その操作キー201「+」又は操作キー202「−」の操作結果を示すユーザ情報を表示部12から取得すると、該ユーザ情報を体感品質補正部18へ出力する。体感品質補正部18は、ユーザ情報取得部20から入力されたユーザ情報と、該ユーザ情報に該当する体感品質記憶部17内の体感品質推定データ及びユーザ体感品質提示値に基づいて、品質対応関係データを補正する。
【0052】
上述した第2実施形態によれば、品質対応関係データに対してずれを持ったユーザ体感品質をユーザ100に提示することにより、該ユーザ体感品質提示値に対するユーザ100からのユーザ情報およびずれの情報に基づいて品質対応関係データの補正を効果的に行うことができる。この理由を説明する。定常的に同程度の通信品質が得られる通信環境では、同じユーザ体感品質で変わらない可能性があるので、ユーザ100からの有意なユーザ情報を得難い。そこで、品質対応関係データに基づいたユーザ体感品質の推定値とは異なるユーザ体感品質提示値をユーザ100に提示することによりユーザ100のユーザ体感品質を変えることで、ユーザ100からの有意なユーザ情報を得ることが期待できるからである。これにより、ユーザ100が通信品質に対して持つ印象の時々の状況を積極的に取得できるようになる。
【0053】
なお、品質対応関係データに基づいたユーザ体感品質の推定値とは異なるユーザ体感品質提示値をユーザ100に提示するタイミングは、毎回であってもよく、または、所定の間隔を持ってでもよい。又は、所定の期間において有意なユーザ情報が得られない場合に、品質対応関係データに基づいたユーザ体感品質の推定値とは異なるユーザ体感品質提示値をユーザ100に提示してもよい。例えば、定常的に同程度の通信品質が得られる通信環境にあって同じユーザ体感品質で変わらない場合には、ユーザ100から有意なユーザ情報を得難いので、このような状態であると判断した場合に、質対応関係データに基づいたユーザ体感品質の推定値とは異なるユーザ体感品質提示値をユーザ100に提示することが挙げられる。
【0054】
[第3実施形態]
第2実施形態は第1実施形態の変形例である。以下、第1実施形態と異なる点を主に説明する。
図6は、第3実施形態に係るユーザ端末1の構成例である。
図6において、
図2の各部に対応する部分には同一の符号を付している。
図6に示す第3実施形態に係るユーザ端末1では、
図2の第1実施形態に対して、状態推定部30を追加している。
【0055】
状態推定部30は、ユーザ100又はユーザ端末1がどのような状態にあるのかを推定する。例えば、状態推定部30は、加速度センサーを有し、加速度センサーの出力信号に基づいて、ユーザ100が移動しているのか又は止まっているのかを判断する。又は、状態推定部30は、マイクロホンを有し、マイクロホンで入力された音声信号に基づいて、ユーザ100の状態(例えば、周りに人がいる、テレビ等を視聴中である、など)を判断する。又は、状態推定部30は、ユーザ100の生理現象を観測し、この観測データに基づいて、ユーザ100の状態(例えば、感情)を判断する。生理現象としては、例えば、視線、心拍数、発汗量などである。また、状態推定部30は、ユーザ端末1のCPU使用率やメモリ使用量、通信トラヒック量などを観測し、この観測データに基づいてユーザ端末1の動作状態を判断する。
【0056】
状態推定部30は、ユーザ100又はユーザ端末1の状態の推定結果を示す状態推定データを体感品質記憶部17に格納する。体感品質記憶部17は、状態推定データとこの状態推定データの記録時刻とを関連付けて格納する。
【0057】
体感品質補正部18は、体感品質記憶部17内の状態推定データとその記録時刻に基づいて、品質対応関係データを補正するか否かを判断する。例えば、ユーザ情報の取得時刻が状態推定データの記録時刻から所定期間内である場合において、ユーザ100又はユーザ端末1の状態が、定常状態であると判断されるときは補正を行い、非定常状態であると判断されるときは補正を行わない。
【0058】
また、ユーザ100又はユーザ端末1の状態を分類し、その分類毎に品質対応関係データを設けてもよい。この場合、状態推定データの記録時刻から所定期間内に取得されたユーザ情報は、当該状態推定データによるユーザ100又はユーザ端末1の状態の分類に対応する品質対応関係データの補正に使用する。
【0059】
上述した第3実施形態によれば、ユーザ100又はユーザ端末1の状態に応じて品質対応関係データの補正を行うことができる。これにより、品質対応関係データの精度を向上させることができる。
【0060】
なお、体感品質送信部19は、品質管理サーバ4へ体感品質推定データを送信する際に、該当する状態推定データも一緒に品質管理サーバ4へ送信してもよい。これにより、品質管理サーバ4は、端末ID毎に、ユーザ100又はユーザ端末1の状態別の体感品質推定データを管理することができる。
【0061】
また、第2実施形態と第3実施形態を組み合わせてもよい。
【0062】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、操作部11は、マイクロホンを有し、ユーザ100の音声を入力するようにしてもよい。そして、ユーザ情報取得部20は、操作部17から入力された音声信号に対して音声認識処理を行ってテキストデータを生成し、このテキストデータからユーザ情報を取得するようにしてもよい。
【0063】
又、上述の実施形態では、体感品質推定データを表示してユーザに通知したが、体感品質推定データが示すユーザ体感品質の推定値を音声出力してユーザに通知するようにしてもよい。
【0064】
また、上述したユーザ端末1を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disk)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0065】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。