特許第6013267号(P6013267)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6013267情報処理用スライド移動体装置のギヤ噛合円滑化機構
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013267
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】情報処理用スライド移動体装置のギヤ噛合円滑化機構
(51)【国際特許分類】
   F16H 19/04 20060101AFI20161011BHJP
   B43L 1/04 20060101ALI20161011BHJP
   F16C 29/04 20060101ALI20161011BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   F16H19/04 D
   B43L1/04 G
   B43L1/04 H
   F16C29/04
   G09F9/00 351
   G09F9/00 312
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-101727(P2013-101727)
(22)【出願日】2013年5月13日
(65)【公開番号】特開2014-222089(P2014-222089A)
(43)【公開日】2014年11月27日
【審査請求日】2015年10月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226183
【氏名又は名称】日学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080528
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 冨士男
(74)【代理人】
【識別番号】100073601
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 和男
(72)【発明者】
【氏名】吉田 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】林下 雅浩
(72)【発明者】
【氏名】赤堀 真弘
(72)【発明者】
【氏名】若松 雅通
(72)【発明者】
【氏名】青木 崇
【審査官】 塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−101405(JP,A)
【文献】 特開2008−297861(JP,A)
【文献】 実開昭63−002938(JP,U)
【文献】 特開2002−327822(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 19/04
B43L 1/04
F16C 29/04
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部材に取り付けたレール及びこのレールの端部位置にラックを備えるスライド支持機構と、前記レールに案内されつつ回転する回転体を具備するスライド案内体と、スライド案内体により支持したロータリーダンパーに取り付けられ前記ラックに噛合させるピニオンとを一体的に備え、前記スライド支持機構により支持されつつスライドする情報処理用スライド移動体と、を有する情報処理用スライド移動体装置のギヤ噛合円滑化機構であって、
前記ギヤ噛合円滑化機構は、前記ラックにおけるラックギヤのうち端部のラックギヤのギヤ列外側位置に配置した接触ピンユニットを有し、
この接触ピンユニットを、バネ力により付勢された接触ピンの先端をラックギヤと同方向に突出させ、前記スライド移動体のラック方向へのスライドに伴って前記ピニオンの一つのピニオンギヤが前記ラックにおける端部のラックギヤに接近したとき、一つのピニオンギヤの隣のピニオンギヤであってピニオン進行方向手前のピニオンギヤを前記接触ピンの先端に弾性衝突させて、前記隣のピニオンギヤを微小回転させ、前記一つのピニオンギヤと前記ラックにおける端部のラックギヤとの歯先同士の衝突を回避しつつ前記ピニオンをラックに円滑に噛合させる構成としたこと、
を特徴とするスライド移動体装置のギヤ噛合円滑化機構。
【請求項2】
固定部材に取り付けたレール及びこのレールの端部位置にラックを備えるスライド支持機構と、前記レールに案内されつつ回転する回転体を具備するスライド案内体と、スライド案内体により支持したロータリーダンパーに取り付けられ前記ラックに噛合させるピニオンとを一体的に備え、前記スライド支持機構により支持されつつスライドする情報処理用スライド移動体と、を有する情報処理用スライド移動体装置のギヤ噛合円滑化機構であって、
前記ギヤ噛合円滑化機構は、前記ラックにおけるラックギヤのうち端部のラックギヤのギヤ列外側位置に配置した接触ピンユニットを有し、
この接触ピンユニットを、前記ラックに対するねじ込み式で、先端をラックギヤと同方向に突出させた接触ピンを押しバネにより付勢し、調整ネジによりバネ力を調整して接触ピンの突出寸法を調整可能とし、前記スライド移動体のラック方向へのスライドに伴って前記ピニオンの一つのピニオンギヤが前記ラックにおける端部のラックギヤに接近したとき、一つのピニオンギヤの隣のピニオンギヤであってピニオン進行方向手前のピニオンギヤを前記接触ピンの先端に弾性衝突させ、弾性衝突に伴う衝撃力を前記隣のピニオンギヤに付与して微小な回転力を付与して、前記ピニオンを微小回転させ、前記一つのピニオンギヤと前記ラックにおける端部のラックギヤとの歯先同士の衝突を回避しつつ前記ピニオンをラックに円滑に噛合させる構成としたこと、
を特徴とする情報処理用スライド移動体装置のギヤ噛合円滑化機構。
【請求項3】
固定部材に取り付けたレール及びこのレールの端部位置にラックを備えるスライド支持機構と、前記レールに案内されつつ回転する回転体を具備するスライド案内体と、スライド案内体により支持したロータリーダンパーに取り付けられ前記ラックに噛合させるピニオンとを一体的に備え、前記スライド支持機構により支持されつつスライドする情報処理用スライド移動体と、を有する情報処理用スライド移動体装置のギヤ噛合円滑化機構であって、
前記ギヤ噛合円滑化機構は、前記ラックにおけるラックギヤのうち端部のラックギヤのギヤ列外側位置に配置した接触ピンユニットを有し、
この接触ピンユニットを、前記ラックに対する掘り込み式で、先端をラックギヤと同方向に突出させた接触ピンと、接触ピンを付勢する押しバネとを備え、前記スライド移動体のラック方向へのスライドに伴って前記ピニオンの一つのピニオンギヤが前記ラックにおける端部のラックギヤに接近したとき、一つのピニオンギヤの隣のピニオンギヤであってピニオン進行方向手前のピニオンギヤを前記接触ピンの先端に弾性衝突させ、弾性衝突に伴う衝撃力を前記隣のピニオンギヤに付与して微小な回転力を付与して、前記ピニオンを微小回転させ、前記一つのピニオンギヤと前記ラックにおける端部のラックギヤとの歯先同士の衝突を回避しつつ前記ピニオンをラックに円滑に噛合させる構成としたこと、
を特徴とする情報処理用スライド移動体装置のギヤ噛合円滑化機構。
【請求項4】
固定部材に取り付けたレール及びこのレールの端部位置にラックを備えるスライド支持機構と、前記レールに案内されつつ回転する回転体を具備するスライド案内体と、スライド案内体により支持したロータリーダンパーに取り付けられ前記ラックに噛合させるピニオンとを一体的に備え、前記スライド支持機構により支持されつつスライドする情報処理用スライド移動体と、を有する情報処理用スライド移動体装置のギヤ噛合円滑化機構であって、
前記ギヤ噛合円滑化機構は、前記ラックにおけるラックギヤのうち端部のラックギヤのギヤ列外側位置に配置した接触ピンユニットを有し、
この接触ピンユニットを、
ねじ込み式で先端をラックギヤと同方向に突出させた接触ピンと、この接触ピンを付勢する押しバネとを備え、前記スライド移動体のラック方向へのスライドに伴って前記ピニオンの一つのピニオンギヤが前記ラックにおける端部のラックギヤに接近したとき、一つのピニオンギヤの隣のピニオンギヤであってピニオン進行方向手前のピニオンギヤを前記接触ピンの先端に弾性衝突させ、弾性衝突に伴う衝撃力を前記隣のピニオンギヤに付与して微小な回転力を付与して、前記ピニオンを微小回転させ、前記一つのピニオンギヤと前記ラックにおける端部のラックギヤとの歯先同士の衝突を回避しつつ前記ピニオンをラックに円滑に噛合させる構成で、汎用されているピン型プランジャタイプの接触ピンユニットにより構成したこと、
を特徴とする情報処理用スライド移動体装置のギヤ噛合円滑化機構。
【請求項5】
前記スライド支持機構における固定部材に取り付けたレール及びこのレールの一部に配置したラックは、横方向に配置され、横方向にスライドする前記情報処理用スライド移動体は、大型画像表示モニタ、電子黒板、インタラクティブボード、スライド式黒板のうちから選定される直方体状物体からなることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の情報処理用スライド移動体装置のギヤ噛合円滑化機構。
【請求項6】
前記スライド支持機構における固定部材に取り付けたレール及びこのレールの一部に配置したラックは、縦方向に配置され、縦方向にスライドする前記情報処理用スライド移動体は、大型画像表示モニタ、電子黒板、インタラクティブボード、スライド式黒板のうちから選定される直方体状物体からなることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の情報処理用スライド移動体装置のギヤ噛合円滑化機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理用スライド移動体装置におけるギヤ噛合円滑化機構に関するものであり、詳しくは、壁面等に設置された黒板等の前面に重なるように移動して使用する重量の重い大型のスライドボードをはじめとする情報処理用スライド移動体装置のギヤ噛合円滑化機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、教室、会議室、事務室などの壁面には、黒板やホワイトボードなどの筆記用ボードが固定状態で取り付けられて使用されている。
【0003】
そして、このような施設においては、黒板等のアナログの筆記用ボードに加えて、近年では各種の機能を備えた電子黒板や、プロジェクタスクリーン機能を備えたインタラクティブボード、更には液晶パネル等を組み込んだ大型画像表示モニタ等の薄型直方体状形態からなる情報処理用スライド移動体等も兼用して使用されるようになっている。
【0004】
これら電子黒板やインタラクティブボード等は、通常は移動自在なスタンドに設置されているが、縦横とも1メートル程もしくはそれ以上の大きさで重量も大きいことから万が一転倒した場合に危険であり、またその脚部が広い設置面積を要することから収納・移動・設置のいずれの状態においても不便さを有している。
【0005】
そこで、壁面に設置されている既存の黒板等の筆記用ボードに、スライド支持用のレール機構、減速用のラックピニオン機構等を含むスライド支持機構を組み込んで上述したような直方体状形態を呈する情報処理用スライド移動体を、移動自在(スライド自在)に支持しつつ利用に供するという解決策が案出されている。
【0006】
図16図17は、従来の情報処理用スライド移動体101用のレール機構、ラックピニオン機構等を含むスライド支持機構111の一部を拡大して概略的に示すものである。
【0007】
前記スライド支持機構111は、スライド支持用のレール112と、このレール112の一部(レール112の端部)に取り付けた減速用のラックピニオン機構を構成するラック113とを、図示しない固定部材に取り付けるとともに、情報処理用スライド移動体101側にレール112に案内されつつスライドする移動部材102を取り付け、移動部材102側に前記レール112に回転接触するローラ103と、ロータリーダンパー104を配置し、このロータリーダンパー104には前記ラック113のラックギヤ113aに噛合するピニオンギヤ105aを備えたピニオン105を取り付けている。
【0008】
そして、前記ローラ103をレール112面に接触させて回転させることにより情報処理用スライド移動体101をレール112と同方向にスライドさせるとともに、前記ピニオンギヤ105とラックギヤ113aとの噛合により情報処理用スライド移動体101がレール112の端部側にスライドしたときロータリーダンパー104により制動機能を発揮させるように構成している。
【0009】
このような従来のスライド支持機構111の場合、図17に示すように、ピニオン105が一度ラック113から離れ、再度ラックギヤ113aにピニオンギヤ105aが噛合し始めるとき、ラックギヤ113aの山と、ピニオンギヤ105aの山とが激しくぶつかる場合があり、ラックギヤ113a又はピニオンギヤ105aの歯欠けが生じてしまうという不都合が生じるという問題があった。
【0010】
上述したラックギヤ113a又はピニオンギヤ105aの歯欠けの発生は、前記情報処理用スライド移動体101が特に70インチ〜100インチというような大重量の大型画像表示モニタである場合に顕著となる。
【0011】
また、従来においては、図18に示すように、上述したような不都合を回避すべく、前記ラック113の端部に例えば噛み合い補助用の波形状に形成した板バネ114をラックギヤ113aの側方に向けて突出配置して、ピニオン105が一度ラック113から離れ、再度ラックギヤ113aにピニオンギヤ105aが噛合し始めるときの衝突力を緩和するという構成も採用されている。
【0012】
しかし、このような板バネ114を付加した構成の場合、板バネ114は耐久性が十分でないこと、衝突力により変形してしまい緩和効果が低下してしまうこと、板バネ114のバネ力調整ができないこと等の理由で、ラックギヤ113a又はピニオンギヤ105aの歯欠け防止機能を長期にわたって十分に発揮させることは困難であった。
【0013】
特許文献1には、本発明に関連する技術として、筆記ボード支持フレームのスライドガイドに、筆記ボードが移動自在に設置された移動式筆記ボードであって、筆記ボードのスライドガイド側の端部に、ローラ受け体、ローラを備えるローラアーム、ローラアームの回動位置を規制するスプリング等を有する構成とした筆記ボードのスライド動作を緩衝する緩衝装置を備える構成からなる考案が開示されている。
【0014】
しかし、従来においては、この考案を含め、スライド支持用のレール機構、制動用のラックピニオン機構を含むスライド支持機構により大重量のスライドボードを一定範囲でスライド可能に支持する構成で、かつ、ラックギヤ又はピニオンギヤの歯欠け防止を実現したような提案は見当たらない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】登録実用新案第3172931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明が解決しようとする問題点は、既存の固定配置の黒板等に、スライド支持用のレール機構、制動用のラックピニオン機構を含むスライド支持機構を組み込み、このスライド支持機構により情報処理用スライド移動体をスライド可能に支持する情報処理用スライド移動体装置において、ラックギヤ又はピニオンギヤの歯欠け防止機能を長期にわたって十分に発揮させることができるような重量の重い大型のスライドボードをはじめとする情報処理用スライド移動体装置のギヤ噛合円滑化機構が存在しない点である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の情報処理用スライド移動体装置のギヤ噛合円滑化機構は、固定部材に取り付けたレール及びこのレールの端部位置にラックを備えるスライド支持機構と、前記レールに案内されつつ回転する回転体を具備するスライド案内体と、スライド案内体により支持したロータリーダンパーに取り付けられ前記ラックに噛合させるピニオンとを一体的に備え、前記スライド支持機構により支持されつつスライドする情報処理用スライド移動体と、を有する情報処理用スライド移動体装置のギヤ噛合円滑化機構であって、前記ギヤ噛合円滑化機構は、前記ラックにおけるラックギヤのうち端部のラックギヤのギヤ列外側位置に配置した接触ピンユニットを有し、この接触ピンユニットを、バネ力により付勢された接触ピンの先端をラックギヤと同方向に突出させ、前記スライド移動体のラック方向へのスライドに伴って前記ピニオンの一つのピニオンギヤが前記ラックにおける端部のラックギヤに接近したとき、一つのピニオンギヤの隣のピニオンギヤであってピニオン進行方向手前のピニオンギヤを前記接触ピンの先端に弾性衝突させて、前記隣のピニオンギヤを微小回転させ、前記一つのピニオンギヤと前記ラックにおける端部のラックギヤとの歯先同士の衝突を回避しつつ前記ピニオンをラックに円滑に噛合させる構成としたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の発明によれば、レール機構、制動用のラックピニオン機構を含む情報処理用スライド移動体装置におけるラックギヤ又はピニオンギヤの歯欠け防止機能を長期にわたって十分に発揮させることができる重量の重い大型のスライドボードをはじめとする情報処理用スライド移動体装置のギヤ噛合円滑化機構を実現し提供することができる。
【0019】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明と同様な効果を奏し、更に、接触ピンの突出量の調整によって、ラックギヤ又はピニオンギヤの歯欠け防止機能の最適化を図り、また、様々なピニオンの回転抵抗に対応できる効果を奏する情報処理用スライド移動体装置のギヤ噛合円滑化機構を実現し提供することができる。
【0020】
請求項3記載の発明によれば、接触ピンユニットを、ラックに対する掘り込み式で、先端をラックギヤと同方向に突出させた接触ピンと、接触ピンを付勢する押しバネとを備える構成として、ラックギヤ又はピニオンギヤの歯欠け防止機能を長期にわたって十分に発揮させることができる重量の重い大型のスライドボードをはじめとする情報処理用スライド移動体装置のギヤ噛合円滑化機構を実現し提供することができる。
【0021】
請求項4記載の発明によれば、汎用されているピン型プランジャタイプの接触ピンユニットを採用した構成の基に、ラックギヤ又はピニオンギヤの歯欠け防止機能を長期にわたって十分に発揮させることができる汎用性に優れた重量の重い大型のスライドボードをはじめとする情報処理用スライド移動体装置のギヤ噛合円滑化機構を実現し提供することができる。
【0022】
請求項5記載の発明によれば、大型画像表示モニタ、電子黒板、インタラクティブボード、スライド式黒板のうちから選定される情報処理用スライド移動体を横方向にスライドさせる構成で、ラックギヤ又はピニオンギヤの歯欠け防止機能を長期にわたって十分に発揮させることができる重量の重い大型のスライドボードをはじめとする情報処理用スライド移動体装置のギヤ噛合円滑化機構を実現し提供することができる。
【0023】
請求項6記載の発明によれば、大型画像表示モニタ、電子黒板、インタラクティブボード、スライド式黒板のうちから選定される情報処理用スライド移動体を縦方向にスライドさせる構成で、ラックギヤ又はピニオンギヤの歯欠け防止機能を長期にわたって十分に発揮させることができる重量の重い大型のスライドボードをはじめとする情報処理用スライド移動体装置のギヤ噛合円滑化機構を実現し提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は本発明の実施例1に係るギヤ噛合円滑化機構を含む情報処理用スライド移動体装置の概略斜視図である。
図2図2は本実施例1に係るギヤ噛合円滑化機構を含む情報処理用スライド移動体装置の概略正面図である。
図3図3は本実施例1に係るギヤ噛合円滑化機構を含む情報処理用スライド移動体装置の概略斜視図である。
図4図4は本実施例1に係るギヤ噛合円滑化機構を含む情報処理用スライド移動体装置におけるスライド支持機構の部分拡大側面図である。
図5図5は本実施例1に係るギヤ噛合円滑化機構を含む情報処理用スライド移動体装置におけるスライド支持機構のラック端部にバネ調整式で組み込んだ接触ピンユニットの一例を示す概略断面図である。
図6図6は本実施例1に係るギヤ噛合円滑化機構を含む情報処理用スライド移動体装置におけるスライド支持機構のラック端部にバネ調整式で組み込んだ接触ピンユニットの一例を示す概略平面図である。
図7図7は本実施例1に係るギヤ噛合円滑化機構を含む情報処理用スライド移動体装置におけるスライド支持機構のラック端部にバネ調整式で組み込んだ接触ピンユニットの一例を示す概略分解図である。
図8図8は本実施例1に係るギヤ噛合円滑化機構を含む情報処理用スライド移動体装置におけるスライド支持機構のラック端部にバネ調整式で組み込んだ接触ピンユニットの一例のギヤ噛合円滑化動作を示す拡大説明図である。
図9図9は本実施例1に係るギヤ噛合円滑化機構を含む情報処理用スライド移動体装置におけるスライド支持機構のラック端部に掘り込み式で組み込んだ接触ピンユニットの他例を示す概略断面図である。
図10図10は本実施例1に係るギヤ噛合円滑化機構を含む情報処理用スライド移動体装置におけるスライド支持機構のラック端部に掘り込み式で組み込んだ接触ピンユニットの他例を示す概略平面図である。
図11図11は本実施例1に係るギヤ噛合円滑化機構を含む情報処理用スライド移動体装置におけるスライド支持機構のラック端部に掘り込み式で組み込んだ接触ピンユニットの他例を示す概略分解図である。
図12図12は本実施例1に係るギヤ噛合円滑化機構を含む情報処理用スライド移動体装置におけるスライド支持機構のラック端部に組み込んだ更に別の例であるピン型プランジャタイプの接触ピンユニットを示す概略断面図である。
図13図13は本実施例1に係るギヤ噛合円滑化機構を含む情報処理用スライド移動体装置におけるスライド支持機構のラック端部に組み込んだ更に別の例であるピン型プランジャタイプの接触ピンユニットを示す概略平面図である。
図14図14は本実施例1に係るギヤ噛合円滑化機構を含む情報処理用スライド移動体装置におけるスライド支持機構のラック端部に組み込んだ更に別の例であるピン型プランジャタイプの接触ピンユニットを示す概略分解図である。
図15図15は本発明の実施例2に係るギヤ噛合円滑化機構を含む情報処理用スライド移動体装置の概略斜視図である。
図16図16は従来のレール機構、ラックピニオン機構を含むスライド移動体装置の概略部分説明図である。
図17図17図16に示すスライド移動体装置のギヤ噛合動作を示す拡大説明図である。
図18図18は従来の従来のレール機構、板バネ付きラックピニオン機構を含むスライド移動体装置の概略部分説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、レール機構、制動用のラックピニオン機構を含み、重量の重い大型のスライドボードをはじめとする情報処理用スライド移動体装置におけるラックギヤ又はピニオンギヤの歯欠け防止機能を長期にわたって十分に発揮させることができるギヤ噛合円滑化機構を提供するという目的を、固定部材に取り付けたレール及びこのレールの端部位置にラックを備えるスライド支持機構と、前記レールに案内されつつ回転する回転体を具備するスライド案内体と、スライド案内体により支持したロータリーダンパーに取り付けられ前記ラックに噛合させるピニオンとを一体的に備え、前記スライド支持機構により支持されつつスライドする情報処理用スライド移動体と、を有する情報処理用スライド移動体装置のギヤ噛合円滑化機構であって、前記ギヤ噛合円滑化機構は、前記ラックにおけるラックギヤのうち端部のラックギヤのギヤ列外側位置に配置した接触ピンユニットを有し、この接触ピンユニットを、前記ラックに対するねじ込み式で、先端をラックギヤと同方向に突出させた接触ピンを押しバネにより付勢して、調整ネジによりバネ力を調整して接触ピンの突出寸法を調整可能とし、前記スライド移動体のラック方向へのスライドに伴って前記ピニオンの一つのピニオンギヤが前記ラックにおける端部のラックギヤに接近したとき、一つのピニオンギヤの隣のピニオンギヤであってピニオン進行方向手前のピニオンギヤを前記接触ピンの先端に弾性衝突させ、弾性衝突に伴う衝撃力を前記隣のピニオンギヤに付与して微小な回転力を付与して、前記ピニオンを微小回転させ、前記一つのピニオンギヤと前記ラックにおける端部のラックギヤとの歯先同士の衝突を回避しつつ前記ピニオンをラックに円滑に噛合させる構成により実現した。
【実施例】
【0026】
以下、本発明の実施例に係る情報処理用スライド移動体装置のギヤ噛合円滑化機構について図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
(実施例1)
まず、本発明の実施例1に係るギヤ噛合円滑化機構31を含む情報処理用スライド移動体装置1について、図1乃至図4を参照して詳述する。
本発明の実施例1に係るギヤ噛合円滑化機構31を含む情報処理用スライド移動体装置1は、図1乃至図3に示すように、垂直な壁面10に取り付けられた黒板やホワイトボード等の固定部材である筆記用ボード2に対して、その上辺と下辺に沿って並設状態にスライド支持機構を構成するレール3を固定配置し、更に、前記レール3の一部(レール3の両端部側の各一部分)に制動用のラック4を添着している。
【0028】
前記筆記用ボード2の表面側には、この筆記用ボード2と平行配置に、かつ、間隔を隔て四角板状のフレーム5を配置するとともに、更にフレーム5の表面側に例えば大型画像表示モニタのような薄型直方体状の情報処理用スライド移動体6を固定配置している。
【0029】
そして、前記フレーム5の上端両隅部から筆記用ボード2側に突出する状態で一対のスライド案内体7を設けて、スライド案内体7を前記レール3にスライド可能に係合させることで、前記フレーム5及び情報処理用スライド移動体6を前記筆記用ボード2の表面側の領域で図1に示す矢印a、b方向にスライド移動可能としている。
【0030】
特に、前記フレーム5及び情報処理用スライド移動体6を、前記筆記用ボード2の表面全てが表出するようにb方向(横方向)にスライドさせることで、前記筆記用ボード2の表面の筆記エリア全体を使用可能とするようにしている。
【0031】
前記フレーム5と壁面10とわたって、このフレーム5の左右の横移動範囲を規制する無伸縮で可撓性を有するクローラー8を取り付けている。
【0032】
次に、前記スライド案内体7について図4を参照して詳細に説明する。
【0033】
前記スライド案内体7は、図4に示すように、一片をフレーム枠5aに固定し、他片をレール3側に突出させた支持片11と、この支持片11の突出端側に水平配置したローラ支持片12と、ローラ支持片12から垂直下方に垂下した垂下片13とを有し、前記ローラ支持片12により前記レール3のレール面に回転接触させる所要数のローラ14を回転可能に支持し、前記垂下片13にロータリーダンパー15を水平配置に支持している。
【0034】
そして、このロータリーダンパー15の前記レール3側の突出端には、前記ラック4のラックギヤ4aに噛合するピニオンギヤ16aを備えたピニオン16を取り付けている。
【0035】
また、前記ラック4におけるラックギヤ4aのうち端部のラックギヤ4aのギヤ列外側位置には、詳細は後述するギヤ噛合円滑化機構31を構成する接触ピンユニット21を配置している。
【0036】
前記レール3におけるスライド案内体7のスライド範囲の末端領域であり、前記ラック4の末端領域の近傍位置には、例えばバネを利用したストッパ17を配置している。
ここで、前記ギヤ噛合円滑化機構31を構成する接触ピンユニット21について、図5乃至図8を参照して詳述する。
【0037】
前記ギヤ噛合円滑化機構31は、図5乃至図7に示すように、前記ラック4におけるラックギヤ4aのうち端部のラックギヤ4aのギヤ列外側位置に、ねじ込み式の接触ピンユニット21を配置することにより構成している。
【0038】
この接触ピンユニット21は、前記ラック4のギヤ列外側位置においてこのラック4を貫通するように設けられ内周に雌ネジ22aを設けた収納孔22と、外周に前記雌ネジ22aに螺合する雄ネジ23aを設け上端開口内部に受段部23bを設け、更に内周下部側に調整ネジ26用の雌ネジ23cを設けた接触ピン収納筒体23と、接触ピン収納筒体23の上端開口部分から球面状の先端24aをラックギヤ4aと同方向に突出させるとともに下端側にストッパ突部24bを設けた接触ピン24と、前記接触ピン収納筒体23内に収納され、前記接触ピン24を突出側に付勢する例えばコイルバネからなる押しバネ25と、前記雌ネジ23cに螺合させる調整ネジ26と、を具備している。
【0039】
すなわち、前記接触ピンユニット21は、先端をラックギヤ4aと同方向に突出させた接触ピン24を押しバネ25により突出側に付勢するとともに、調整ネジ26の接触ピン収納筒体23に設けた雌ネジ23cに対するねじ込み位置を調整することで、接触ピン24に対する付勢力、すなわち、接触ピン24のラック4の上面からの突出量を調整することが可能な構成としている。
【0040】
また、前記接触ピンユニット21の垂直方向中心位置と、ラック4の端部のラックギヤ4aの垂直方向中心位置との寸法dは、図8に示すピニオン16における隣のピニオンギヤ16a2が接触ピン24に接触するとき、一つのピニオンギヤ16a1が円滑に端部のラックギヤ4aに噛み合う寸法に設定している。
【0041】
次に本実施例1に係るギヤ噛合円滑化機構31を含む情報処理用スライド移動体装置1の動作を、ギヤ噛合円滑化機構31の動作を主にし、図1図8を参照して詳述する。
【0042】
本実施例1に係るギヤ噛合円滑化機構31を含む情報処理用スライド移動体装置1において、前記情報処理用スライド移動体6及びフレーム5が図1に示す位置にあるとき、一方(図1において右側)のピニオン16は一方(図1において右側)のラック4から離れ、ピニオンギヤ16aとラックギヤ4aとの噛合は解除された状態にある。
【0043】
この状態から前記情報処理用スライド移動体6及びフレーム5を、例えば図1に示す矢印b方向へスライドさせると、前記ピニオン16の一つのピニオンギヤ16a1は、図8に示すように、ラック4の端部のラックギヤ4aに接近する。
【0044】
このとき、前記一つのピニオンギヤ16a1の隣のピニオンギヤ16a2であってピニオン進行方向手前のピニオンギヤ16a2を前記接触ピン24の先端に弾性衝突させ、この弾性衝突に伴う衝撃力を前記隣のピニオンギヤ16a2に付与して前記ピニオン16に微小な回転力(図8においては矢印で示す時計回り方向)を与える。
【0045】
なお、ピニオンギヤ16a2が前記接触ピン24の先端に弾性衝突するとき、接触ピン24のバネ力に抗して図8において下方に逃げるため、衝撃力は小さいものであり騒音等も発生することはない。
【0046】
これにより、前記一つのピニオンギヤ16a1の歯先と、端部のラックギヤ4aの歯先との直接衝突は回避され、前記一つのピニオンギヤ16a1のピニオン進行方向先方側の歯底部分がラック4の端部のラックギヤ4aの歯に円滑に噛合する状態にとなる。
【0047】
これ以降はピニオン16の矢印b方向への進行に伴い、ピニオン16の各ピニオンギヤ16aがラック4の各ラックギヤ4aに順に、かつ、円滑に噛合する状態の基に前記情報処理用スライド移動体6及びフレーム5はレールの端部側にスライドする。
【0048】
同時に、前記ロータリーダンパー15による制動力が働き、前記情報処理用スライド移動体6及びフレーム5は緩やかに減速しつつ停止する。
【0049】
上述したように、本実施例1に係る情報処理用スライド移動体装置1のギヤ噛合円滑化機構31によれば、前記情報処理用スライド移動体6及びフレーム5をスライドさせ、ピニオン16をラック4に噛合させるとき、一つのピニオンギヤ16a1とラック4における端部のラックギヤ4aとの歯先同士の衝突を回避しつつ前記ピニオン16をラック4に円滑に噛合させることができ、特に前記情報処理用スライド移動体6が大重量の大型画像表示モニタ等である場合においても、ラックギヤ4a又はピニオンギヤ16aの歯欠け防止機能を長期にわたって十分に発揮させることができる。
【0050】
また、前記接触ピンユニット21は、前記調整ネジ26のねじ込み位置を調整することで、接触ピン24に対する付勢力、すなわち、接触ピン24のラック4の上面からの突出量を調整可能としているので、接触ピン24の突出量の調整によって、上述したギヤ噛合円滑化機構31によるラックギヤ4a又はピニオンギヤ16aの歯欠け防止機能の最適化を図ることもできる。
【0051】
更に、前記接触ピン24を金属製とし、前記押しバネ25を使用することで、板バネを使用する場合よりも繰り返し耐久性能に優れる利点もある。
更にまた、前記調整ネジ26を設けることで、様々なピニオン16の回転抵抗に対応できる効果も発揮する。
【0052】
次に、図9乃至図11を参照して、前記ギヤ噛合円滑化機構31の他例について説明する。
図9乃至図11に示すギヤ噛合円滑化機構31Aは、前記接触ピンユニット21に替えて、前記ラック4におけるラックギヤ4aのうち端部のラックギヤ4aのギヤ列外側位置に、掘り込み式の接触ピンユニット21Aを配置することにより構成している。
【0053】
なお、この接触ピンユニット21Aにおいて、図5乃至図7に示す接触ピンユニット21の場合と同一の要素には同一の符号を付して示す。
【0054】
この接触ピンユニット21Aは、前記ラック4のギヤ列外側位置においてこのラック4を貫通するように設けられるとともに、上部開口孔41aの下側に段部41bを設け下部側に雌ネジ41cを設けた掘り込み式の収納孔41と、球面状の先端42aを上部開口孔41aからラックギヤ4aと同方向に突出させるとともに、下端側に前記段部41bに当接させるストッパ突部42bを設けた接触ピン42と、前記収納孔41内に収納され、前記接触ピン42を突出側に付勢する例えばコイルバネからなる押しバネ43と、前記収納孔41内の下部において前記収納孔41の雌ネジ41cに螺合され、押しバネ43を収納孔41内に封止してこの押しバネ43による一定のバネ力を前記接触ピン42に作用させる止めネジ44と、を具備している。
【0055】
すなわち、前記接触ピンユニット21Aは、先端をラックギヤ4aと同じ方向に突出させた接触ピン42を押しバネ43により突出側に一定のバネ力で付勢する構成となっている。
図9乃至図11に示す接触ピンユニット21Aを採用したギヤ噛合円滑化機構31によっても、接触ピン42の突出量調整の点を除いて既述した接触ピンユニット21を採用したギヤ噛合円滑化機構31の場合と同様な作用、効果を発揮させ、特に前記情報処理用スライド移動体6が大重量の大型画像表示モニタ等である場合においても、ラックギヤ4a又はピニオンギヤ16aの歯欠け防止機能を長期にわたって十分に発揮させることができる。
【0056】
次に、図12乃至図14を参照して前記ギヤ噛合円滑化機構31の更に別の例について説明する。
【0057】
図12乃至図14に示すギヤ噛合円滑化機構31Bは、前記接触ピンユニット21に替えて、前記ラック4におけるラックギヤ4aのうち端部のラックギヤ4aのギヤ列外側位置に、ねじ込み式で、汎用されているピン型プランジャタイプの接触ピンユニット21Bを配置することにより構成している。
【0058】
なお、この接触ピンユニット21Bにおいて、図5乃至図7に示す接触ピンユニット21の場合と同一の要素には同一の符号を付して示す。
【0059】
この接触ピンユニット21Bは、前記ラック4のギヤ列外側位置においてこのラック4を貫通するように設けられるとともに、内周に雌ネジ51aを有する収納孔51と、外周に前記雌ネジ51aに螺合する雄ネジ52aを設けた円筒状のプランジャ本体52と、このプランジャ本体52内に収納した接触ピン53と、前記プランジャ本体52内に収納され、前記接触ピン53を突出側に付勢する例えばコイルバネからなる押しバネ54と、前記プランジャ本体52の下部に螺合され、押しバネ54を収納孔51内に封止してこの押しバネ54による一定のバネ力を前記接触ピン53に作用させる止めネジ55と、を具備している。
【0060】
すなわち、前記接触ピンユニット21Bは、先端をラックギヤ4aと同じ方向に突出させた接触ピン53を押しバネ54により突出側に一定のバネ力で付勢する構成としている。
【0061】
図12乃至図14に示す接触ピンユニット21Bを採用したギヤ噛合円滑化機構31によっても、接触ピン53の突出量調整の点を除いて既述した接触ピンユニット21を採用したギヤ噛合円滑化機構31の場合と同様な作用効果を発揮させ、特に前記情報処理用スライド移動体6が大重量の大型画像表示モニタ等である場合においても、ラックギヤ4a又はピニオンギヤ16aの歯欠け防止機能を長期にわたって十分に発揮させることができる。
【0062】
前記情報処理用スライド移動体6としては、大型画像表示モニタの他、電子黒板、インタラクティブボード、更には、スライド式黒板等のうちから選定することができる。
【0063】
(実施例2)
次に、本発明の実施例2に係るギヤ噛合円滑化機構31を含む情報処理用スライド移動体装置1Aについて、図15を参照して詳述する。なお、図15は、情報処理用スライド移動体装置1Aの概略構成を示すものである。
【0064】
図15に示す情報処理用スライド移動体装置1Aは、縦長四角形状の枠体61の垂直な両側片62、62に、各々二枚重ね合わせ式で、個別に上下する情報処理用スライド移動体6として機能するスライド式黒板71、71用の片側2列構造のレール72、72を配置するとともに、二枚重ね合わせ式のスライド式黒板71、71用のレール72、72のうち、図15において手前のレール72の下部に、下げ用のラック73を添着し、後側のレール72の上下方向より少し上の位置に下げ用のラック73を添着した構成としている。
【0065】
また、二枚重ね合わせ式のスライド式黒板71、71のうちの図15において手前のスライド式黒板71の側部に、既述した場合と同様な構成からなるスライド案内体7及びギヤ噛合円滑化機構31を配置している。
【0066】
なお、後側のスライド式黒板71に配置したギヤ噛合円滑化機構31については図示省略する。
【0067】
このような構成の情報処理用スライド移動体装置1Aのギヤ噛合円滑化機構31によっても、手前のスライド式黒板71を図15において下側にスライドさせるとき、及び、後側のスライド式黒板71を図15において上側にスライドさせるとき、各々既述した場合と同様、前記ギヤ噛合円滑化機構31によって、ラックギヤ4a又はピニオンギヤ16aの歯欠け防止機能を長期にわたって十分に発揮させることができ、実施例1の場合と同様な効果を発揮させることができる。
【0068】
また、本実施例2の場合も、既述したギヤ噛合円滑化機構31A、31Bを採用した構成とすることも勿論可能であり、各々既述した場合と同様な効果を発揮させることができる。
【0069】
前記情報処理用スライド移動体6としては、スライド式黒板71の他、実施例1と同様な大型画像表示モニタ、電子黒板、インタラクティブボード等のうちから選定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、上述した場合の他、重量物体を一定範囲でスライド移動させる産業機械や自動ドア、引戸等の建具用の制動装置に組み込んで広範に利用可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 情報処理用スライド移動体装置
1A 情報処理用スライド移動体装置
2 筆記用ボード
3 レール
4 ラック
4a ラックギヤ
5 フレーム
5a フレーム枠
6 情報処理用スライド移動体
7 スライド案内体
8 クローラー
10 壁面
11 支持片
12 ローラ支持片
13 垂下片
14 ローラ
15 ロータリーダンパー
16 ピニオン
16a ピニオンギヤ
16a1ピニオンギヤ
16a2ピニオンギヤ
17 ストッパ
21 接触ピンユニット
21A 接触ピンユニット
21B 接触ピンユニット
22 収納孔
22a 雌ネジ
23 接触ピン収納筒体
23a 雄ネジ
23b 受段部
23c 雌ネジ
24 接触ピン
24a 先端
24b ストッパ突部
25 押しバネ
26 調整ネジ
31 ギヤ噛合円滑化機構
31A ギヤ噛合円滑化機構
31B ギヤ噛合円滑化機構
41 収納孔
41a 上部開口孔
41b 段部
41c 雌ネジ
42 接触ピン
42a 先端
42b ストッパ突部
43 押しバネ
44 止めネジ
51 収納孔
51a 雌ネジ
52 プランジャ本体
52a 雄ネジ
53 接触ピン
54 押しバネ
55 止めネジ
61 枠体
62 側片
71 スライド式黒板
72 レール
73 ラック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18