特許第6013272号(P6013272)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013272
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】シールド掘進機
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/06 20060101AFI20161011BHJP
   E21D 9/08 20060101ALI20161011BHJP
   E21D 9/10 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   E21D9/06 301Z
   E21D9/08 Z
   E21D9/10 K
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-106887(P2013-106887)
(22)【出願日】2013年5月21日
(65)【公開番号】特開2014-227695(P2014-227695A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2015年11月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000174943
【氏名又は名称】三井住友建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】509355142
【氏名又は名称】ジャパントンネルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(72)【発明者】
【氏名】庄村 典生
(72)【発明者】
【氏名】矢野 安則
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 英史
(72)【発明者】
【氏名】戸崎 雅之
(72)【発明者】
【氏名】門田 克美
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 広幸
【審査官】 大熊 靖夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−253984(JP,A)
【文献】 特開2001−115796(JP,A)
【文献】 特開2012−132307(JP,A)
【文献】 特開2011−032799(JP,A)
【文献】 特開2003−013693(JP,A)
【文献】 特開2000−265781(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 1/00−9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略筒状の胴体と、該胴体の一端側にて該胴体の周方向に沿って複数配置されてなるローラーカッターと、を備え、該複数のローラーカッターをそれぞれの回転軸の回りに回転させると共に前記胴体の軸心(以下、“胴体軸心”とする)の回りに回転させることにより既設トンネルの外周の地山を掘削するシールド掘進機において、
前記複数のローラーカッターの内の一つのローラーカッターを“第1のローラーカッター”とし、該第1のローラーカッターの回転軸を“第1の回転軸”とし、他のローラーカッターを“第2のローラーカッター”とし、該第2のローラーカッターの回転軸を“第2の回転軸”とした場合に、
前記第1及び第2のローラーカッターの刃先部は、既設トンネルの裏込め材を掘削し得る位置に配置され、
前記第1の回転軸と前記胴体軸心とが為す角度が前記第2の回転軸と前記胴体軸心とが為す角度よりも小さくなるように設定され、
前記第2のローラーカッターの刃先部が前記第1のローラーカッターの刃先部よりもトンネル掘進方向の前方側に位置するように配置されてなる、
ことを特徴とするシールド掘進機。
【請求項2】
前記複数のローラーカッターの内の一つのローラーカッターであって前記第1のローラーカッター及び前記第2のローラーカッターでないローラーカッターを“第3のローラーカッター”とし、該ローラーカッターの回転軸を“第3の回転軸”とした場合に、
該第3のローラーカッターの刃先部は、既設トンネルの裏込め材を掘削し得る位置に配置され、
前記第2の回転軸と前記胴体軸心とが為す角度が前記第3の回転軸と前記胴体軸心とが為す角度よりも小さくなるように設定され、
前記第3のローラーカッターの刃先部が前記第2のローラーカッターの刃先部よりもトンネル掘進方向の前方側に位置するように配置されてなる、
ことを特徴とする請求項1に記載のシールド掘進機。
【請求項3】
前記第1のローラーカッターは前記胴体の周方向に沿って複数配置され、前記第2のローラーカッターは前記胴体の周方向に沿って複数配置された、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のシールド掘進機。
【請求項4】
前記複数の第1のローラーカッターは前記胴体の周方向に沿って略等間隔で配置され、前記複数の第2のローラーカッターは前記胴体の周方向に沿って略等間隔で配置された、
ことを特徴とする請求項3に記載のシールド掘進機。
【請求項5】
前記第1のローラーカッターの数は、前記第2のローラーカッターの数よりも多く設定された、
ことを特徴とする請求項3又は4に記載のシールド掘進機。
【請求項6】
前記第1のローラーカッターよりもトンネル掘進方向の後方側には、該第1のローラーカッターよりも前記胴体軸心の側に突出する研削ビットが配置され、該研削ビットは前記胴体の周方向に沿って複数配置されると共に前記胴体軸心の回りに回転駆動されるように構成された、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシールド掘進機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設トンネル(既設セグメント)の外周の地山を掘削するシールド掘進機に係り、詳しくは、ローラーカッターの配置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、老朽化したトンネルを撤去する装置としてシールド掘進機が使用されており、種々の構造のものが提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
図5は、シールド掘進機の従来構造の一例を示す断面図であって、図6は、ローラーカッターの支持部分の構成の一例を示す断面図である。図5に示すシールド掘進機101は、既設トンネルTの外径よりも大径の胴体102を備えており、該胴体102の前側にはカッタードラム103を介して環状のカッターヘッド104が回動可能に支持されている。そして、該カッターヘッド104には、図5に詳示するようなローラーカッター105が複数支持されており、該ローラーカッター105を回転させると共に前記カッターヘッド104を前記既設トンネルTの回りに回転させることにより該既設トンネルTの周囲の地山Gを掘削するように構成されていた。また、筒状部材106にはシール部材107が取り付けられていて、該シール部材107を既設トンネルT側に付勢することによりシールド掘進機101の内部への水等の侵入を防止するように構成されていた。
【0004】
ところで、上述のような既設トンネルTにおいては地山Gとの間に裏込め材Gが介装されていて、該裏込め材Gは前記ローラーカッター105にて掘削されるが、該裏込め材Gを完全に除去することは不可能であって、既設トンネルTの外周面に裏込め材Gの層が残存した状態となっている。そして、前記シール部材107は該裏込め材Gに当接された状態で水等の侵入を防止することとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3311321号公報
【特許文献2】特開2003−253984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来のシールド掘進機においては、既設トンネルTの軸心とシールド掘進機101の軸心とが必ずしも一致せず、掘削後の裏込め材Gの厚みは既設トンネルTの周方向に亘って不均一なものなってしまっていた。そのため、前記シール部材107によるシール状態も不均一となり、前記胴体2の内部への水等の侵入を確実に防止できないというおそれがあった。
【0007】
本発明は、上述の問題を解消することのできるシールド掘進機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、図1(a) (b) 及び図2に例示するものであって、略筒状の胴体(2)と、該胴体(2)の一端側(図2においては左側)にて該胴体(2)の周方向に沿って複数配置されてなるローラーカッター(3A,3B,3C)と、を備え、該複数のローラーカッター(3A,3B,3C)をそれぞれの回転軸(34A,34B,34C)の回りに回転させると共に前記胴体(2)の軸心(以下、“胴体軸心”とする)(C)の回りに回転させることにより既設トンネル(T)の外周の地山(G)を掘削するシールド掘進機(1)において、
前記複数のローラーカッター(3A,3B,3C)の内の一つのローラーカッター(3A)を“第1のローラーカッター”とし、該第1のローラーカッター(3A)の回転軸(34A)を“第1の回転軸”とし、他のローラーカッター(3B)を“第2のローラーカッター”とし、該第2のローラーカッター(3B)の回転軸(34B)を“第2の回転軸”とした場合に、
前記第1及び第2のローラーカッター(3A,3B)の刃先部(31A,31B)は、既設トンネル(T)の裏込め材(G)を掘削し得る位置に配置され、
前記第1の回転軸(34A)と前記胴体軸心(C)とが為す角度(θ1)が前記第2の回転軸(34B)と前記胴体軸心(C)とが為す角度(θ2)よりも小さくなるように設定され、
前記第2のローラーカッター(3B)の刃先部(31B)が前記第1のローラーカッター(3A)の刃先部(31A)よりもトンネル掘進方向(A)の前方側に位置するように配置されてなることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記複数のローラーカッター(3A,3B,3C)の内の一つのローラーカッター(3C)であって前記第1のローラーカッター(3A)及び前記第2のローラーカッター(3B)でないローラーカッター(3C)を“第3のローラーカッター”とし、該ローラーカッター(3C)の回転軸(34C)を“第3の回転軸”とした場合に、
該第3のローラーカッター(3C)の刃先部(31C)は、既設トンネル(T)の裏込め材(G)を掘削し得る位置に配置され、
前記第2の回転軸(34B)と前記胴体軸心(C)とが為す角度(θ1)が前記第3の回転軸(34C)と前記胴体軸心(C)とが為す角度(θ3)よりも小さくなるように設定され、
前記第3のローラーカッター(3C)の刃先部(31C)が前記第2のローラーカッター(3B)の刃先部(31B)よりもトンネル掘進方向(A)の前方側に位置するように配置されてなることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、図4に例示するものであって、請求項1又は2に係る発明において、前記第1のローラーカッター(3A)は前記胴体(2)の周方向に沿って複数配置され、前記第2のローラーカッター(3B)は前記胴体(2)の周方向に沿って複数配置されたことを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明において、前記複数の第1のローラーカッター(3A,…)は前記胴体(2)の周方向に沿って略等間隔で配置され、前記複数の第2のローラーカッター(3B,…)は前記胴体(2)の周方向に沿って略等間隔で配置されたことを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項3又は4に記載の発明において、前記第1のローラーカッター(3A,…)の数が、前記第2のローラーカッター(3B,…)の数よりも多く設定されたことを特徴とする。
【0013】
請求項6に係る発明は、図1(a) (b) に例示するものであって、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の発明において、前記第1のローラーカッター(3A)よりもトンネル掘進方向(A)の後方側には、該第1のローラーカッター(3A)よりも前記胴体軸心(C)の側に突出する研削ビット(8)が配置され、該研削ビット(8)は前記胴体(2)の周方向に沿って複数配置されると共に前記胴体軸心(C)の回りに回転駆動されるように構成されたことを特徴とする。
【0014】
なお、括弧内の番号などは、図面における対応する要素を示す便宜的なものであり、従って、本記述は図面上の記載に限定拘束されるものではない。
【発明の効果】
【0015】
請求項1及び2に係る発明によれば、前記胴体軸心と既設トンネルの軸心とが一致するように前記シールド掘進機の位置調整(センター出し)が行われることとなり、掘削後の裏込め材の厚みは既設トンネルの周方向に亘って略均一となる。その結果、該裏込め材に当接されるシール部材によるシール状態も良好となり、前記胴体の内部への水等の侵入を確実に防止することができる。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、各ローラーカッターは摩耗しにくくなる。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、該複数の第1のローラーカッターや該複数の第2のローラーカッターによって前記胴体軸心を既設トンネルの軸心に一致させることができ、前記シールド掘進機の位置調整(センター出し)の精度を向上させることができる。
【0018】
請求項5に係る発明によれば、該第1のローラーカッターの摩耗を低減することができ、該第1のローラーカッターの交換の頻度を低減することができる。
【0019】
請求項6に係る発明によれば、前記ローラーカッターによって掘削された後の裏込め材の表面が前記研削ビットによって平坦化されることとなり、前記シール部材との間の隙間を少なくしてシール状態をさらに良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1(a) は、ローラーカッターの支持部分の構成の一例を示す断面図であり、同図(b) は、ローラーカッターの詳細形状等を示す拡大断面図である。
図2図2は、本発明に係るシールド掘進機の構造の一例を示す断面図である。
図3図3は、ローラーカッターの形状の一例を示す断面図である。
図4図4は、図2のP矢視図である。
図5図5は、シールド掘進機の従来構造の一例を示す断面図である。
図6図6は、ローラーカッターの支持部分の構成の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図1乃至図4に沿って、本発明の実施の形態について説明する。
【0022】
本発明に係るシールド掘進機は、図2に符号1で例示するように、
・ 既設トンネル(既設セグメント)Tの外径Dよりも大きな内径Dを持つ略筒状の胴体2と、
・ 該胴体2の一端側(つまり、トンネル掘進方向Aの先端側)に回転自在に支持(配置)されたローラーカッター3A,3B,3Cと、
を備えている。このローラーカッター3A,3B,3Cは、図3に例示するものであって、
・ 略環状のカッター本体30と、
・ 該カッター本体30の外周面(頂上部分)に鋭角部分を形成するように植設される超硬合金等の硬質材料からなるチップ(刃先部)31と、
・ 該カッター本体30の中心部に挿通される軸部材32と、
・ 該カッター本体30と該軸部材32との間に介装される軸受け33と、
により構成されており、不図示の駆動手段によって回転軸34の回りに回転駆動されるように構成されている(矢印E参照)。また、このローラーカッター3A,3B,3Cは、図4に例示するように、前記胴体2の周方向に沿って複数配置されており(少なくともローラーカッター3Aとローラーカッター3Bの2つのローラーカッターが配置されているという意味である)、該胴体2の軸心(図2の符号C参照。以下、“胴体軸心”とする)の回りに回転駆動されるように構成されている(矢印E参照)。そして、該複数のローラーカッター3A,3B,3C,…をそれぞれの回転軸(図1(b) の符号34A,34B,34C参照)の回りに回転させると共に前記胴体軸心Cの回りに回転させながらトンネル掘進方向Aに推進させることにより既設トンネルTの外周の地山Gや裏込め材Gを掘削するようになっている。さらに、図1(a) 及び図2に例示するように、前記胴体2の側から前記既設トンネルTの外周面T1aの側にはシール部材4が付勢されるようになっていて、該胴体2の内部への水等の侵入を防止するように構成されている。
【0023】
なお、本明細書においては、必要に応じて、前記複数のローラーカッター3A,3B,3C,…の内の一つのローラーカッター3Aを
“第1のローラーカッター”と称することとし、他のローラーカッター3Bを“第2のローラーカッター”と称することとし、前記複数のローラーカッター3A,3B,3C,…の内の一つのローラーカッター3Cであって前記第1のローラーカッター3Aでも前記第2のローラーカッター3Bでもないローラーカッター3Cを“第3のローラーカッター”と称することとし、前記第1のローラーカッター3Aの回転軸34Aを“第1の回転軸”と称することとし、前記第2のローラーカッター3Bの回転軸34Bを“第2の回転軸”と称することとし、前記第3のローラーカッター3Cの回転軸34Cを“第3の回転軸”と称することとする。
【0024】
そして、本発明に係るシールド掘進機1においては、前記第1の回転軸34Aと前記胴体軸心Cとが為す角度θ1が前記第2の回転軸34Bと前記胴体軸心Cとが為す角度θ2よりも小さくなるように設定されている。なお、図1(b) 中の符号C’は前記胴体軸心Cに平行な軸を示す。また、前記第1及び第2のローラーカッター3A,3Bの刃先部31A,31Bは、既設トンネルTの裏込め材Gに当接し得る位置(つまり、該裏込め材Gを掘削し得る位置)に配置され、しかも、前記第2のローラーカッター3Bの刃先部31Bが前記第1のローラーカッター3Aの刃先部31Aよりもトンネル掘進方向Aの前方側に位置するように配置されている。
【0025】
本発明によれば、裏込め材G図1(b) に符号Hで示すような仮想線に沿って略すり鉢状(又はテーパー状)に掘削されることとなるが、該裏込め材Gに形成された該略すり鉢状の表面がガイド面として機能し前記胴体軸心Cと既設トンネルTの軸心とが一致する方向に前記シールド掘進機1の位置調整(センター出し)が行われることとなる。その結果、符号Kで示される掘削後の裏込め材Gの厚み(つまり、既設トンネルTの外周面T1aに残存している裏込め材Gの厚みであり、以下、“裏込め材の残存厚”とする)が既設トンネルTの周方向に亘って略均一となる。該既設トンネルTの外周面T1aに残存している裏込め材Gには上述のシール部材4が当接されることとなるが、該裏込め材Gの残存厚Kが既設トンネルTの周方向に亘って略均一となるため、シール状態も良好となり、前記胴体2の内部への水等の侵入を確実に防止することができる。
【0026】
なお、図2では、上述した胴体2の後方(図示右方)には中折れ部5(ジャッキ50やシール部51)を介して胴部材(後胴)6が接続されていて、前記胴体2と該胴部材6と中折れ部5とによって屈曲可能に構成されたシールド掘進機1を開示しているが、もちろんこれに限られるものではなく、前記胴部材6や前記中折れ部5を有さずに屈曲可能とならないように構成されたものを本発明の範囲から除外するものでは無い。また、本発明に係るシールド掘進機はトンネル更新のための装置(つまり、新設セグメントTを構築するための装置)であってもトンネル埋め戻しのための装置であってもどちらでも良い。
【0027】
さらに、前記ローラーカッター3A,3B,3C,…の近傍には、地山Gを掘削するための複数のカッタービット7を配置しておくと良い。このカッタービット7の形状等は公知のものであるので、詳細説明は省略する。
【0028】
さらに、前記第2の回転軸34Bと前記胴体軸心Cとが為す角度θ2が前記第3の回転軸34Cと前記胴体軸心Cとが為す角度θ3よりも小さくなるように設定すると良い。また、該第3のローラーカッター3Cの刃先部31Cは、既設トンネルTの裏込め材Gを掘削し得る位置に配置しておくと良い。さらに、前記第3のローラーカッター3Cの刃先部31Cが前記第2のローラーカッター3Bの刃先部31Bよりもトンネル掘進方向Aの前方側に位置するように配置しておくと良い。なお、同様に、第4のローラーカッター(不図示)や第5のローラーカッター(不図示)を設けるようにしても良い。
【0029】
ところで、図4に例示するように、前記第1のローラーカッター3Aは前記胴体2の周方向に沿って複数配置しておくと良い。そのようにした場合には、各ローラーカッター3Aは摩耗しにくくなる。この場合、該複数の第1のローラーカッター3Aを前記胴体2の周方向に沿って略等間隔で配置しておくと良い。図4に示す例では、該第1のローラーカッター3Aは90°の角度で等間隔に配置されているが、もちろんこれに限られるものではなく、他の角度(例えば、72°や120°など)で等間隔に配置するようにしても良い。そのようにした場合には、該複数の第1のローラーカッター3A,…によって前記胴体軸心Cを既設トンネルTの軸心に一致させることができ、前記シールド掘進機1の位置調整(センター出し)の精度を向上させることができる。また、同様に、前記第2のローラーカッター3Bも前記胴体2の周方向に沿って複数配置しておくと良く、それらの第2のローラーカッター3B,…を前記胴体2の周方向に沿って略等間隔で配置しておくと良い。さらに、前記第3のローラーカッター3Cも前記胴体2の周方向に沿って複数配置しておくと良く、それらの第3のローラーカッター3C,…も前記胴体2の周方向に沿って略等間隔で配置しておくと良い。図4に示す例では、該第2のローラーカッター3B,…や該第3のローラーカッター3C,…は180°の角度で等間隔に配置されているが、もちろんこれに限られるものではなく、他の角度で等間隔に配置するようにしても良い。この場合、前記第1のローラーカッター3A,…の数を前記第2のローラーカッター3B,…の数や前記第3のローラーカッター3C,…の数よりも多くすると良い。掘削前の裏込め材Gの厚みは不均一であるため、前記第2のローラーカッター3Bの刃先部31Bや前記第3のローラーカッター3Cの刃先部31Cは硬質の裏込め材Gばかりを掘削するとは限らず地山Gを掘削することもあるので負担は軽いが、前記第1のローラーカッター3Aの刃先部31Aは前記既設トンネルTの外周面T1aに最も近接した位置に配置されているために地山Gを掘削することはほとんどなく硬質の裏込め材Gばかりを掘削することとなる。したがって、前記第1のローラーカッター3Aを多く配置しておけば、該ローラーカッター3Aの摩耗を低減することができ、該ローラーカッター3Aの交換の頻度を低減することができる。
【0030】
一方、前記第1のローラーカッター3Aよりもトンネル掘進方向Aの後方側(図示右側)には、該第1のローラーカッター3Aよりも内方側(つまり、前記胴体軸心Cの側)に突出する研削ビット8を設けておくと良い。そして、該研削ビット8は前記胴体2の周方向に沿って複数配置すると共に、前記胴体軸心Cの回りに回転駆動されるように構成しておくと良い。該研削ビット8は、前記トンネル掘進方向Aに沿って延設された研削部8aを有していると良い。そのようにした場合には、前記ローラーカッター3A,3B,3C,…によって掘削された後の裏込め材Gの表面が前記研削ビット8によって平坦化されることとなり、前記シール部材4との間の隙間を少なくしてシール状態をさらに良好にすることができる。
【符号の説明】
【0031】
1 シールド掘進機
2 胴体
3A 第1のローラーカッター
3B 第2のローラーカッター
3C 第3のローラーカッター
8 研削ビット
31A,31B,31C 刃先部
34A 第1の回転軸
34B 第2の回転軸
34C 第3の回転軸
C 胴体軸心
地山
裏込め材
既設トンネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6