(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
供給部が船倉内に挿入されている稼働中のアンローダを、地震発生時に船舶と干渉しない位置に退避させるアンローダの自動退避システムであって、アンローダの制御装置にアンローダの自動退避制御機構を備え、地震発生時に操作員の退避信号が入力されたときに、自動退避制御機構によって、供給部を船倉外に引き上げることにより、アンローダを船舶と干渉しない位置に退避させることを特徴とするアンローダの自動退避システム。
前記アンローダの制御装置が、操作員が避難位置からアンローダを操作できる遠隔操作機構を備えてなることを特徴とする請求項1記載のアンローダの自動退避システム。
【背景技術】
【0002】
従来、船舶による穀物の輸送においては、積載効率の向上や輸送経費の低減のために袋詰や梱包を省略して、穀物を直接専用の船倉に積載することが通例になっており、この船倉内の穀物を搬出するためにアンローダが汎用されている。
このアンローダとして、
図10(a)に示すように、穀物Mを、供給部としての回転羽根車を備えたフィーダ等からなる供給機111(
図10(b)参照)を介して、ひれ付きコンベア等からなるコンベア112に移送した後、ホッパ113へ投入し、シュート114を介して、陸上のコンベア115へ投入供給する機械式アンローダ(「機械式連続アンローダ」とも呼ばれる。)110や、穀物Mを、供給部としてのノズル121を介して、ブロア126によって負圧を作用させた吸入ダクト122により吸い取った後、ロータリーフィーダ123、排出ダクト124を介して、陸上のコンベア125へ移載する空気式アンローダ120が用いられている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【0003】
そして、アンローダは、機械式アンローダの場合は、機体本体に、起伏動作及び旋回動作可能に水平ブームを配設するとともに、その先端にスイング動作可能に垂直ブームを配設し、さらに、その先端に供給機を配設し、稼働中は、垂直ブーム及び供給機を船倉内に挿入することにより、穀物を搬出するようにしている。
同様に、空気式アンローダの場合は、機体に、起伏動作及び旋回動作可能にブームを配設するとともに、このブームに水平伸縮動作及び垂直伸縮動作可能に伸縮管(水平伸縮管及び垂直伸縮管)を配設し、さらに、その先端にノズルを配設し、稼働中は、垂直伸縮管及びノズルを船倉内に挿入することにより、穀物を搬出するようにしている。
【0004】
このように、アンローダは、機械式アンローダ、空気式アンローダのいずれの場合も、稼働中は、垂直ブーム及び供給機や垂直伸縮管及びノズルを船倉内に挿入することにより、船舶と実質的に一体となって、穀物を搬出するようにするものであるが、従来のアンローダにおいては、地震発生時に地上からの商用電源が遮断されるとアンローダは停電状態となり、動作することができなくなる。また、地震発生時は直ちに操作員は安全地帯(遠方)に避難することが重要である。
そして、このような状態では、操作員は冷静にアンローダ操作することが困難となり、先の東日本大震災では、操作員が避難したことと、地上からの商用電源が遮断されたため、稼働中の船舶と一体となったアンローダを退避、具体的には、船倉内に挿入された垂直ブーム及び供給機や垂直伸縮管及びノズルを船倉外に引き上げて、船舶と干渉しない位置に退避させることができず、その後の津波に備えて船舶が離岸したり、津波によって船舶が流されることによって、アンローダ及び船舶が大きな損傷を受けることとなった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来のアンローダの有する問題点に鑑み、供給部が船倉内に挿入されている稼働中のアンローダを、地震発生時に船舶と干渉しない位置に安全に退避させ、アンローダ及び船舶が損傷を受けることを防止できるようにしたアンローダの自動退避システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のアンローダの自動退避システムは、供給部が船倉内に挿入されている稼働中のアンローダを、地震発生時に船舶と干渉しない位置に退避させるアンローダの自動退避システムであって、アンローダの制御装置にアンローダの自動退避制御機構を備え、地震発生時に操作員の退避信号が入力されたときに、自動退避制御機構によって、供給部を船倉外に引き上げることにより、アンローダを船舶と干渉しない位置に退避させることを特徴とする。
【0008】
この場合において、前記アンローダの制御装置が、操作員が避難位置からアンローダを操作できる遠隔操作機構を備えるようにすることができる。
【0009】
また、アンローダの機体本体の上部位置に無停電
電源装置を備えた遠隔自動電源切替装置
、及び緊急自己発電装置を設置するようにすることができる。
【0010】
また、アンローダが機械式アンローダであって、地震発生時に操作員の退避信号が入力されたときに、自動退避制御機構によって、
水平ブームのブーム起伏角度と
垂直ブームのスイング角度から
水平ブームの起動作及び垂直ブームのスイング動作の相互の速度制御をすることで、供給部が船倉内に挿入されているアンローダの稼働状態から、水平ブームを起動作及び垂直ブームをスイング動作させることにより、水平ブームが水平状態、垂直ブームが鉛直状態となる基本姿勢状態に移行させた後、供給部を真上に上昇させるように水平ブームを起動作及び垂直ブームをスイング動作させて、供給部を船倉外に引き上げる
ようにすることができる。
【0011】
また、
横断面が四角形に形成された垂直ブームの
4つの頂点に衝突検知センサを配設し、退避動作時に衝突検知センサが作動したときに、退避動作を一時中断し、衝突状態を解消するために前記作動した衝突検知センサの配設位置と反対方向に水平ブームを旋回動作させ、衝突検知センサの作動が解除された後、退避動作を自動続行することができる。
【0012】
また、アンローダが空気式アンローダであって、地震発生時に操作員の退避信号が入力されたときに、自動退避制御機構によって、
水平ブームのブーム角度から
水平ブームの起動作の速度制御をすることで、供給部が船倉内に挿入されているアンローダの稼働状態から、垂直伸縮管を縮限まで縮動作させ
た基本姿勢状態に移行させた後、供給部を真上に上昇させるようにブームを起動作及び水平伸縮管を伸動作させて起伏中間角姿勢状態に移行させた後、水平伸縮管を縮限まで縮動作させ、さらに、ブームを起動作させて、供給部を船倉外に引き上げるようにすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のアンローダの自動退避システムによれば、供給部が船倉内に挿入されている稼働中のアンローダを、地震発生時に船舶と干渉しない位置に退避させるアンローダの自動退避システムであって、アンローダの制御装置にアンローダの自動退避制御機構を備え、地震発生時に操作員の退避信号が入力されたときに、自動退避制御機構によって、供給部を船倉外に引き上げることにより、アンローダを船舶と干渉しない位置に退避させるようにすることにより、供給部が船倉内に挿入されている稼働中のアンローダを、地震発生時に船舶と干渉しない位置に安全に退避させ、津波に備えて船舶が離岸したり、津波によって船舶が流されることによって、アンローダ及び船舶が損傷を受けることを防止することができる。
【0014】
また、前記アンローダの制御装置が、操作員が避難位置からアンローダを操作できる遠隔操作機構を備えるようにすることにより、自動退避制御機構による自動退避に加えて、あるいは自動退避に代えて、遠隔操作による手動退避を行うことができる。
【0015】
また、アンローダの機体本体の上部位置の安全な箇所に無停電
電源装置を備えた遠隔自動電源切替装置
、及び緊急自己発電装置を設置するようにすることにより、商用電源の遮断時においても、確実に緊急自己発電装置の運転及び緊急電源切替を可能にすることができる。
【0016】
また、アンローダが機械式アンローダであって、地震発生時に操作員の退避信号が入力されたときに、自動退避制御機構によって、
水平ブームのブーム起伏角度と
垂直ブームのスイング角度から
水平ブームの起動作及び垂直ブームのスイング動作の相互の速度制御をすることで、供給部が船倉内に挿入されているアンローダの稼働状態から、水平ブームを起動作及び垂直ブームをスイング動作させることにより、水平ブームが水平状態、垂直ブームが鉛直状態となる基本姿勢状態に移行させた後、供給部を真上に上昇させるように水平ブームを起動作及び垂直ブームをスイング動作させて、供給部を船倉外に引き上げる
ようにすることにより、稼働中の機械式アンローダを地震発生時に船舶と干渉しない位置に安全に退避させることができる。
【0017】
また、
横断面が四角形に形成された垂直ブームの
4つの頂点に衝突検知センサを配設し、退避動作時に衝突検知センサが作動したときに、退避動作を一時中断し、衝突状態を解消するために前記作動した衝突検知センサの配設位置と反対方向に水平ブームを旋回動作させ、衝突検知センサの作動が解除された後、退避動作を自動続行することにより、稼働中の機械式アンローダを地震発生時に船舶と干渉しない位置により確実に退避させることができる。
【0018】
また、アンローダが空気式アンローダであって、地震発生時に操作員の退避信号が入力されたときに、自動退避制御機構によって、
水平ブームのブーム角度から
水平ブームの起動作の速度制御をすることで、供給部が船倉内に挿入されているアンローダの稼働状態から、垂直伸縮管を縮限まで縮動作させ
た基本姿勢状態に移行させた後、供給部を真上に上昇させるようにブームを起動作及び水平伸縮管を伸動作させて起伏中間角姿勢状態に移行させた後、水平伸縮管を縮限まで縮動作させ、さらに、ブームを起動作させて、供給部を船倉外に引き上げるようにすることにより、稼働中の空気式アンローダを地震発生時に船舶と干渉しない位置に安全に退避させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明のアンローダの自動退避システムの実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0021】
図1に、本発明のアンローダの自動退避システムに使用される遠隔自動電源切替装置を示す。
この遠隔自動電源切替装置は、以下の基本的な思想に基づいて構成されている。
(1)地震発生時(その他の災害時を含み、以下、単に、「地震発生時」という。)は、操作員を含む作業者が、安全地帯(例えば、サイロ上等)に避難することが最優先であり、遠隔からでも無停電電源装置
で制御電源をバックアップして、例えば、アンローダの機体本体の上部安全位置に設置した緊急自己発電装置の運転、緊急電源切替、アンローダの操作等を可能にしている。
遠隔操作手段としての遠隔操作器は、安全地帯からの操作を可能にするため、遠隔(最大200m程度)からの操作を可能としている。
(2)地震発生時に、商用電源が遮断された場合も、無停電電源装置で制御電源をバックアップし、遠隔操作器を使用可能としている。
(3)地震発生時には、地上設備が損傷を受けたり、津波による水位の上昇が予想されるため、遠隔自動電源切替装置及び緊急自己発電装置はアンローダの機体本体の上部位置の安全な箇所に設置するようにする。
(4)地震発生時に作業者が避難する経路上(アンローダの脚部等)や運転室に、操作員の退避信号が出力される自動退避ボタンを設置する。
(5)自動退避ボタン又は遠隔操作器を作動させると、緊急自己発電装置の運転、電源切替、自動退避制御機構によるアンローダの自動退避動作が行われる。
【0022】
図2に、本発明のアンローダの自動退避システムにおける自動避難フローチャートを示す。
この自動避難は、以下の基本的な思想に基づいて構成されている。
(1)自動退避ボタン又は遠隔操作器を作動させ
ることで、自動的に緊急自己発電装置
を運転し、その後、商用電源から緊急電源に切替える。また、自動退避制御機構によるアンローダの自動退避動作が自動的に開始される。
地震発生時は、操作員を含む作業者が安全地帯に避難することが最優先であり、避難中でも、アンローダの自動退避動作が行われるようにしている。
(2)アンローダは不規則な稼働状態から、船舶と干渉しない位置への自動退避動作が行われる。
(3)自動退避動作終了後、安全地帯に避難した操作者は、必要に応じて遠隔操作器にてアンローダを格納位置に移動する。
【0023】
図3に、本発明のアンローダの自動退避システムを適用する機械式アンローダ1を示す。
この機械式アンローダ1は、以下の基本的な思想に基づいて構成されている。
(1)機械式アンローダ1は、機体11に、起伏動作及び旋回動作可能に水平ブーム12を配設するとともに、その先端に内外方向にスイング動作可能に垂直ブーム13を配設し、さらに、その先端に供給部としての供給機14を配設し、各機構が各々独立に動作するようにし、稼働中は、
図5(a−1)又は
図5(a−2)に示すように、垂直ブーム13及び供給機14を船舶3の船倉31内に挿入することにより、穀物を搬出するようにしている。
(2)水平ブーム12には、水平ブーム角度計を設置する。
(3)垂直ブーム13には、垂直ブーム角度計を設置する。
(4)穀物の搬出時間を短縮するために、必要に応じて、船舶3の船倉31内にブルドーザ(図示省略)を投入し、穀物を集積することができる。
【0024】
図4に、本発明のアンローダの自動退避システムを適用した機械式アンローダの自動退避フローチャートを、
図5に、本発明のアンローダの自動退避システムを適用した機械式アンローダの自動退避の行程図を、それぞれ示す。
この機械式アンローダの自動退避フローチャート及び自動退避行程は、以下の基本的な思想に基づいて構成されている。
(1)垂直ブーム13の先端に配設した供給機14が船舶3の船倉31内に開口部(ハッチ)31aから挿入される機械式アンローダ1の場合、垂直ブーム13の先端に配設した供給機14を基準にして、供給機14を真上に上昇させるようにすることで、船舶3との干渉を回避するようにする。
なお、水平ブーム12の起動作のみで供給機14を上昇させると、自動退避動作が機械式アンローダ1の不規則な稼働状態から開始されることから、垂直ブーム13の先端は膨れるように円弧軌跡を描くことと相俟って、垂直ブーム13や垂直ブーム13の先端に配設した供給機14が船舶3の開口部31aの周縁部に衝突する場合がある。
(2)機械式アンローダ1では、垂直ブーム13の先端に配設した供給機14を真上に上昇させるために、水平ブーム12を起動作させながら、現時点の起伏角、スイング角から垂直ブーム13のスイング動作の最適量を演算し、供給機14の位置及び速度制御をすることができるようにしている。
(3)機械式アンローダ1は、船舶3に対して任意の位置から、垂直ブーム13及びその先端に配設した供給機14を船倉31内に挿入して穀物を搬出する。
(4)機械式アンローダ1の自動退避の具体的な行程は、以下のとおりである。
(a)地震発生時に操作員の退避信号が入力されたときに、自動退避制御機構によって、垂直ブーム13及び供給機14が船倉31内に挿入されている機械式アンローダ1の稼働状態(
図5(a−1)又は
図5(a−2))から、水平ブーム12を起動作及び垂直ブーム13をスイング動作させることにより、船舶3の船倉31内に投入されたブルドーザとの干渉を防止する高さまで供給機14を真上に上昇させる。これにより、船舶3の船倉31内に投入されたブルドーザとの干渉を防止することができる。その後、水平ブーム12が水平状態、垂直ブーム13が鉛直状態となる基本姿勢状態(
図5(b−1)又は
図5(b−2))に移行させる。
(b)基本姿勢状態(
図5(b−1)又は
図5(b−2)に示す、起伏0°、スイング0°の状態)は、機械式アンローダ1の垂直ブーム13及び供給機14が、船舶3の開口部31aの下方の鉛直面上に位置することになるので、自動退避中にこの状態を通過させることで、安定した自動退避を行うことができる。
(c)その後、供給機14を真上に上昇させるように水平ブーム12を起動作及び垂直ブーム13をスイング動作させて、垂直ブーム13及び供給機14を船倉31外に引き上げる(
図5(c)〜
図5(e))。
なお、
図5(e)では、水平ブーム12を、水平ブーム12の起伏上限まで上昇させるとともに、垂直ブーム13を手前側にスイング動作させるようにしている。
(a)から(c)の行程において、水平ブーム12の起動作及び垂直ブーム13のスイング動作は、水平ブーム12の起伏角度に従い、同時に速度制御して行うようにすることが好ましい。これにより、供給機14を真上に上昇させることができ、供給機14が船舶3の開口部31aの周縁部に衝突することを確実に防止することができる。
(d)この自動退避動作によって、機械式アンローダ1を、地震発生時に船舶3と干渉しない位置に安全に退避させ、津波に備えて船舶3が離岸したり、津波によって船舶3が流されることによって、機械式アンローダ1及び船舶3が損傷を受けることを防止することができる。
(5)自動退避動作終了後、安全地帯に避難した操作者は、必要に応じて遠隔操作器にて機械式アンローダ1をさらなる格納位置に移動することができる。
【0025】
図6に、本発明のアンローダの自動退避システムの旋回回避制御を適用する機械式アンローダを示す。
この旋回回避制御は、以下の基本的な思想に基づいて構成されている。
(1)旋回回避制御は、機械式アンローダ1の不規則な稼働状態から開始される自動退避動作時に、垂直ブーム13が船舶3の開口部31aの周縁部に衝突することによって、自動退避動作の続行が不能になることを防止するためのものである。
(2)機械式アンローダ1の
横断面が四角形に形成された垂直ブーム13の
4つの頂点に衝突検知センサSを配設する。
(3)自動退避動作時に、垂直ブーム13が船舶3の開口部31aの周縁部に衝突することによって衝突検知センサSが作動(
図6の例では、図示右上の衝突検知センサSが作動。)したときに、退避動作を一時中断し、衝突状態を解消するために前記作動した衝突検知センサSの配設位置と反対方向(
図6の例では、図示左側)に水平ブーム12を旋回動作させる旋回回避動作を自動的に割り込ませる。
(4)これにより、前記衝突検知センサSの作動が解除されるので、その後、退避動作の停止状態を自動解除し、退避動作を続行する。
【0026】
図7に、本発明のアンローダの自動退避システムを適用する空気式アンローダ2を示す。
この空気式アンローダ2は、以下の基本的な思想に基づいて構成されている。
(1)空気式アンローダ2は、機体21に、起伏動作及び旋回動作可能にブーム22を配設するとともに、このブーム22に水平伸縮動作及び垂直伸縮動作可能に伸縮管(先端がブーム22を横行するトロリー23cに接続された水平伸縮管23a及び基端がトロリー23cに接続された垂直伸縮管23b)を配設し、さらに、その先端に供給部としてノズル24を配設し、各機構が各々独立に動作するようにし、稼働中は、
図9(a)に示すように、垂直伸縮管23b及びノズル24を船倉31内に挿入することにより、穀物を搬出するようにしている。
(2)ブーム22には、ブーム角度計を設置する。
(3)水平伸縮管23aは、トロリー23cの横行に合わせて伸縮する。
(4)穀物の搬出時間を短縮するために、必要に応じて、船舶3の船倉31内にブルドーザ(図示省略)を投入し、穀物を集積することができる。
【0027】
図8に、本発明のアンローダの自動退避システムを適用した空気式アンローダの自動退避フローチャートを、
図9に、同空気式アンローダの自動退避の行程図を、それぞれ示す。
この空気式アンローダの自動退避フローチャート及び自動退避行程は、以下の基本的な思想に基づいて構成されている。
(1)トロリー23cに接続された垂直伸縮管23bの先端に配設したノズル24が船舶3の船倉31内に開口部(ハッチ)31aから挿入される空気式アンローダ2の場合、垂直伸縮管23bの先端に配設したノズル24を基準にして、ノズル24を真上に上昇させるようにすることで、船舶3との干渉を回避するようにする。
なお、ブーム22の起動作のみでノズル24を上昇させると、自動退避動作が空気式アンローダ2の不規則な稼働状態から開始されることから、垂直伸縮管23bが手前に引き寄せられる軌跡を描くことと相俟って、垂直伸縮管23bや垂直伸縮管23bの先端に配設したノズル24が船舶3の開口部31aの周縁部に衝突する場合がある。
(2)ブーム22の起伏動作及び水平伸縮管23aの伸縮動作を行う空気式アンローダ2では、垂直伸縮管23bの先端に配設したノズル24を真上に上昇させるために、余弦定理からブーム22の起動作と水平伸縮管23aの伸動作とを同時に速度制御することができるようにしている。
ブーム22の起伏動作のように円弧動作する機器上にトロリー23cのような前後動作する機器が設置されている場合、円弧の角度により前後動作の移動量を制御できるようにする必要がある。
(3)空気式アンローダ2は、船舶3に対して任意の位置から、垂直伸縮管23b及びその先端に配設したノズル24を船倉31内に挿入して穀物を搬出する。
(4)空気式アンローダ2の自動退避の具体的な行程は、以下のとおりである。
(a)地震発生時に操作員の退避信号が入力されたときに、自動退避制御機構によって、垂直伸縮管23b及びノズル24が船倉31内に挿入されている空気式アンローダ2の稼働状態(
図9(a))から、垂直伸縮管23bを縮限まで縮動作させ
た基本姿勢状態
(垂直伸縮管23bは鉛直状態が維持される。)(
図9(b))に移行させる。
これにより、船舶3の船倉31内に投入されたブルドーザとの干渉を防止することができる。
(b)基本姿勢状態(
図9(b)に示す状態)は、空気式アンローダ2の垂直伸縮管23b及びノズル24が、船舶3の開口部31aの下方の鉛直面上に位置することになるので、自動退避中にこの状態を通過させることで、安定した自動退避を行うことができる。
(c)その後、ノズル24を真上に上昇させるようにブーム22を起動作及び水平伸縮管23aを伸動作(トロリー23cをブーム22の先端側に横行)させることにより、起伏中間角姿勢状態(
図9(c))に移行させる。
このとき、ブーム22の起動作及び水平伸縮管23aを伸動作は、ブーム起伏角度に従い同時に速度制御して行うようにすることが好ましい。これにより、ノズル24を真上に上昇させることができ、ノズル24が船舶3の開口部31aの周縁部に衝突することを確実に防止することができる。
なお、起伏中間角姿勢状態(
図9(c))は、以下の行程で、垂直伸縮管23b及びノズル24が船舶3の開口部31aの周縁部に干渉しない状態に設定する。
(d)そして、水平伸縮管23aを縮限まで縮動作(トロリー23cをブーム22の基端側に横行)させた後に、ブーム22を起動作し、垂直伸縮管23b及びノズル24を船倉31外に引き上げる(
図9(e))。
なお、
図9(e)では、ブーム22を、ブーム22の起伏上限まで上昇させるようにするとともに、水平伸縮管23aを縮限まで縮動作(トロリー23cをブーム22の基端側の縮限まで横行)させるようにしている。
(e)この自動退避動作によって、空気式アンローダ2を、地震発生時に船舶3と干渉しない位置に安全に退避させ、津波に備えて船舶3が離岸したり、津波によって船舶3が流されることによって、空気式アンローダ2及び船舶3が損傷を受けることを防止することができる。
(5)自動退避動作終了後、安全地帯に避難した操作者は、必要に応じて遠隔操作器にて空気式アンローダ2をさらなる格納位置に移動することができる。
【0028】
以上、本発明のアンローダの自動退避システムについて、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。