(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、より好ましい表示装置を実現するために、指針の立体感を向上することが求められている。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は指針の立体感を向上できる表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係る表示装置は、下記の点を特徴としている。
(1) 指針を含む各種表示内容を表示する表示部と、
前記表示部に接続された制御部と、
を備える表示装置であって、
前記制御部は、
第1の方向において濃淡が連続的に変化する複数の表示要素を、前記指針を構成するように、且つ前記第1の方向と交差する第2の方向において濃淡が連続的に変化するように、配置して表示することにより、前記指針を前記表示部に表示させる、
こと。
(2) 上記(1)に記載の表示装置であって、
前記複数の表示要素は、互いに幅が異なる棒状の表示要素であり、
前記制御部は、前記複数の表示要素を、幅の広い表示要素の上に幅の狭い表示要素を重ね合わせるように配置して表示することにより、前記指針を前記表示部に表示させる、
こと。
【0007】
一般的に、グラフィックメータにおける表示画面の描画は、点の座標とそれらを結ぶ線(ベクトル)等の数値データを元に演算によって画像を表現するベクターグラフィック方式により行われる。
ベクターグラフィック方式では、その機能制限のために、各表示要素について1方向しかグラデーション(連続的な濃淡の変化)を施すことができない。
このため、指針に立体感を付加することを目的として、グラデーションを施す場合、1方向のみにしかグラデーションを施すことができなかった。指針に2方向以上グラデーションを施すことができれば、指針の立体感の向上が期待できる。
ここで、画像を用いて指針を表示すれば、即ち、予め2方向にグラデーションが施された指針を表す画像をメモリに保持しておき、これを画面上に出力することにより指針を表示すれば、2方向以上のグラデーションが施された指針を表示可能である。しかしながら、画像を用いる表示方法は、データ転送及び描画等の処理が重くなるために、高速な移動及び鮮明な表示が要求される指針の表示には適していない。また、画像を用いると、余分なメモリ容量が必要である。
これに対して、上記(1)の構成の表示装置によれば、第1の方向において濃淡が連続的に変化する複数の表示要素を、第2の方向において濃淡が連続的に変化するように表示することにより、第1の方向及び第2の方向のいずれにおいてもグラデーションが施された指針を表示できる。よって、ベクターグラフィック方式を用いた場合であっても、指針に2方向のグラデーションを施して、指針の立体感を向上できる。また、この表示装置によれば、画像を用いることがないために、データ転送及び描画等の処理が重くなることがなく、高速な移動及び鮮明な表示が実現できる。また、画像を用いることがないために、余分なメモリ容量が必要でない。
上記(2)の構成の表示装置によれば、表示要素を重ね合わせて指針を表示するので、指針の表示の滑らかさを向上できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、指針の立体感を向上できる表示装置を提供できる。
【0009】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施形態に係る表示装置について図面を用いて説明する。本実施形態の表示装置は、車室内のインストルメントパネルに設置されたグラフィックメータに適用される。
【0012】
図1は、本実施形態の表示装置である表示装置100のハードウェアの構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、表示装置100は、制御部(マイクロコンピュータ、CPU:Central Processing Unit)101、読み出し専用メモリ(EEPROM:Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)102、インタフェース103、インタフェース104、CPU電源部105、グラフィックコントローラ106、フレームメモリ107、Xドライバ108、Yドライバ109、LCD(Liquid Crystal Display)電源部110、及び表示部(液晶表示器、TFT−LCD:Thin Film Transistor Liquid Crystal Display)111等を備えている。
【0013】
制御部101は、例えばマイクロコンピュータにより構成されており、予め用意されたプログラムを実行し、表示装置100の機能を実現するために必要な様々な処理を行う。例えば、制御部101は、ベクターグラフィック方式の描画プログラムを用いて、後述する
図3に示すような指針の描画処理を行う。また、制御部101は、各種データを一時記憶するためのRAM(Random Access Memory)101aを内蔵している。RAM101aには、種々のデータが格納される。
【0014】
読み出し専用メモリ102は、制御部101が実行するプログラムの内容や、後述する表示要素38a〜38dを表すデータ等の種々の固定データを保持している。
【0015】
インタフェース103は、車両側のイグニッションスイッチの状態を表す信号(IGN+)を制御部101に入力する。
【0016】
インタフェース104は、制御部101と車両側の各種制御装置(ECU:Electric Control Unit)との間で、CAN(Controller Area Network)規格による通信を行うために利用される。具体的には、走行速度、過給圧力値、燃料残量等の車両の各種状態量の現在値を表すデータが、ほぼリアルタイムのデータとして車両側からインタフェース104を介して制御部101に入力される。
【0017】
例えば、インタフェース104は、車両が所定量移動する毎に当該車両側に搭載された速度センサから出力される車速パルス信号を受け付け、現在の車両の走行速度の値を表す走行速度情報として制御部101に出力する。
【0018】
また、インタフェース104は、過給機により内燃機関へ強制的に送り込まれる圧縮された空気の圧力を検出する圧力センサから出力される過給圧力値(ブースト値)の現在値を表す信号を受け付け、現在の過給圧力値を表す過給圧力情報として制御部101に出力する。
【0019】
CPU電源部105は、車両側のプラス側電源ライン(+B)から供給される直流電力を入力して制御部101の動作に必要な直流電圧(Vcc)を生成する。また、必要に応じてリセット信号を生成したり、制御部101から出力されるスリープ信号に従って電力供給を抑制するための動作も行う。
【0020】
表示部111は、例えばTFT−LCDである液晶表示器により構成されており、液晶デバイスにより構成された多数の微小表示セルをX方向及びY方向に並べて配置されたカラーの2次元表示画面を有している。表示部111は、多数の微小表示セルの表示状態をセル毎に個別に制御することにより、2次元表示画面上に図形、文字、画像等の所望の情報をグラフィック表示することができる画像表示式の表示器である。
【0021】
図2は表示部111のグラフィック表示画面を示す図である。グラフィック表示画面は、表示される領域がそれぞれ異なる、第1の表示領域31、第2の表示領域32、及び第3の表示領域33を有している。以下では、
図2の横方向をX方向として、縦方向をY方向として説明する。
【0022】
第1の表示領域31は、現在の車両の走行速度を表示するための領域である。第1の表示領域31には、速度計25として、速度スケール35と指針36とが表示される。指針36は、速度スケール35上の一部を先端で指し示すことで、現在の車両の走行速度を指示する。
【0023】
第2の表示領域32は、現在の過給圧力値の呈示量(ゲージ値)を表示するための領域である。第2の表示領域32には、ブースト計29として、圧力値スケール37及び指針38が表示される。過給圧力値は、数値情報として、数式(1)に示すように、予め設定された最大値に対する割合(パーセント)として呈示される。
【0025】
圧力値スケール37は、ブースト計29の枠体の一部として、領域32の左端に配置される。また、圧力値スケール37には、値0,50,100の各割合を示す目盛りが付されている。指針38は、
図2中の左右方向に延びる棒状に表示されている。また、指針38は、圧力値スケール37の右側に配置され、圧力値スケール37に沿うように上下方向に移動する。指針38は、圧力値スケール37の一部を左側の先端によって指し示し、過給圧力値を指示する。
【0026】
第3の表示領域33は、現在の燃料残量を表示するための領域である。第3の表示領域33には、燃料計27として、燃料スケール41と指針40とが表示される。指針40は、燃料スケール41上の一部を指し示すことで、現在の燃料残量を表す。
【0027】
表示部111の表示画面のY方向の走査位置は、Yドライバ109の出力により順次に切り替わる。Yドライバ109は、グラフィックコントローラ106から出力される垂直同期信号に同期して、Y方向の走査位置を順次に切り替える。
【0028】
Xドライバ108は、グラフィックコントローラ106から出力される水平同期信号に同期して、表示部111の表示画面のX方向の走査位置を順次に切り替える。また、Xドライバ108は、グラフィックコントローラ106から出力されるRGB各色の画像データを走査位置の表示セルに与えて画面中の表示内容を制御する。
【0029】
グラフィックコントローラ106は、制御部101から入力される様々な命令に従って、様々なグラフィック要素を表示部111の画面上に表示する。実際には、制御部101又はグラフィックコントローラ106が表示データをフレームメモリ107に書き込む際、ベクターグラフィック方式で描画を行う。また、グラフィックコントローラ106は、表示部111の画面を2次元走査するための垂直同期信号及び水平同期信号を生成し、これらの同期信号に同期したタイミングでフレームメモリ107上の該当するアドレスに格納されている表示データを表示部111に与える。
【0030】
LCD電源部110は、車両側のプラス側電源ライン(+B)から供給される直流電力を入力して、表示部111の表示に必要とされる所定の直流電力を生成する。
【0031】
次に、ブースト計29の指針38の表示形態について説明する。ここでは、ブースト計29の指針38を例として説明するが、速度計25の指針36、或いは燃料計27の指針40についても、同様に表示しても構わない。
【0032】
図3は、指針38の表示方法を説明する図であり、
図3(A)は指針38の表示態様を、
図3(B)は指針38を構成する表示要素38a〜38dを、それぞれ示している。
図3(A)に示すように、指針38には、その長手方向及び幅方向の2方向にグラデーション(濃淡の連続的な変化)が施されている。これにより、
図3(A)では、指針38は、右上側から(即ち、速度計25の上側から。)−Y方向に向けて光が当たっているように表示され、立体的な表面形状を有するかのように表示されている。
【0033】
表示対象である指針38は、点の座標とそれらを結ぶ線(ベクトル)等の数値データをもとに演算によって画像を表現するベクターグラフィック方式で描画されている。上述したように、ベクターグラフィック方式では、その機能制限により複数方向のグラデーションを表現できない、つまり、1方向のグラデーションしか表現することができない。
【0034】
そこで、本実施形態では、
図3(B)に示すように、指針38の表示に必要な4つの棒状の表示要素38a、38b、38c、38dを、指針38の形状を構成するように、且つ第1の方向(X方向)と直交する第2の方向(Y方向)にもグラデーションが施されるように、各表示要素38a〜38dを配置して表示し、これにより、2方向のグラデーションを表現する。
【0035】
表示要素38aは、指針38の輪郭線を有し、長手方向に薄いグラデーションが施されている表示要素である。表示要素38bは、表示要素38aと比べて幅が狭く、長手方向に表示要素38aよりも濃いグラデーションが施されている。表示要素38cは、表示要素38bと比べて更に幅が狭く、長手方向に表示要素38bよりも更に濃いグラデーションが描画されている。表示要素38dは、表示要素38cと比べて幅が狭く、長手方向に表示要素38cよりも更に濃いグラデーションが描画されている。
【0036】
制御部101は(又は、グラフィックコントローラ106。)は、これら互いに幅が異なる棒状の表示要素38a〜38dを、下端を揃えて描画することで、指針38を表示する。例えば、表示要素38a〜38dは、それらの左下隅が同じ座標に位置するように表示される。即ち、制御部101は、4つの表示要素38a〜38dを、幅の広い表示要素の上に幅の狭い表示要素を重ね合わせるように配置して表示することにより、指針38を表示部111に表示させる。
【0037】
また、本実施形態では、下端を揃えて4つの表示要素38a〜38dを配置する場合を示したが、他の方法で配置してもよい。
図4(A)及び
図4(B)は、
図3の表示要素を他の方法で配置した場合の指針の表示態様を示す図である。
【0038】
図4(A)は、上端を揃えて4つの表示要素38a〜38dを配置して指針38Aを表示する場合を示している。この場合、指針38は、右下側から(即ち、速度計25の下側から。)+Y方向に向けて光が当たっているように表示され、立体的な表面形状を有しているかのように表示されている。また、
図4(B)は、中央揃えで4つの表示要素38a〜38dを配置して指針38Bを表示する場合を示している。この場合、指針38は、右側から−X方向に向けて光が当たっているように表示され、立体的な表面形状を有しているかのように表示されている。
【0039】
このように、本実施形態に係る表示装置100によれば、第1の方向(X方向)において濃淡が連続的に変化する複数の表示要素38a〜38dを、第2の方向(Y方向)において濃淡が連続的に変化するように表示することにより、第1の方向及び第2の方向のいずれにおいてもグラデーションが施された指針38を表示できる。よって、ベクターグラフィック方式を用いた場合であっても、指針38に2方向のグラデーションを施して、指針38の立体感を向上できる。また、この表示装置100によれば、画像を用いることがないために、データ転送及び描画等の処理が重くなることがなく、高速な移動及び鮮明な表示が実現できる。また、画像を用いることがないために、余分なメモリ容量が必要でない。
【0040】
以下では、実施形態に係る表示装置100について纏める。
【0041】
(1)実施形態に係る表示装置100は、指針38を含む各種表示内容を表示する表示部111と、表示部111に接続された制御部101と、を備える表示装置である。制御部101は、第1の方向(X方向)において濃淡が連続的に変化する複数の表示要素38a〜38dを、指針38の形状を構成するように、且つ第1の方向と交差する第2の方向(Y方向)において濃淡が連続的に変化するように、配置して表示することにより、指針38を表示部111に表示させる。
【0042】
(2)実施形態に係る表示装置100では、複数の表示要素38a〜38dは、互いに幅が異なる棒状の表示要素である。制御部101は、複数の表示要素38a〜38dを、幅の広い表示要素の上に幅の狭い表示要素を重ね合わせるように配置して表示することにより、指針38を表示部111に表示させる。
【0043】
尚、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態は、本発明の技術的範囲内で種々の変形や改良等を伴うことができる。
【0044】
例えば、上記実施形態では、指針を4つの表示要素で構成したが、5つ以上の表示要素で構成してもよく、より細かな表現が可能となる。また、3つ以下の表示要素で構成しても構わない。
【0045】
また、上記実施形態では、直交する2方向のグラデーションを描画する場合を示したが、交差する2方向のグラデーションで描画するようにしてもよく、より変化に富んだ表現が可能となる。
【0046】
また、上記実施形態では、モノクロ表示で2方向のグラデーションを描画する場合を示したが、カラー表示で2方向のグラデーションを描画してもよく、色彩に富んだ立体感のある表現が可能となる。
【0047】
また、上記実施形態では、指針の形状が棒状である場合を示したが、矢印状や先端の尖った台形状であってもよく、様々な外形を有する指針に対して適用できる。