特許第6013282号(P6013282)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013282
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】ロール状連続袋体用トレイ
(51)【国際特許分類】
   B65D 25/52 20060101AFI20161011BHJP
   B65D 25/20 20060101ALI20161011BHJP
   B65D 25/04 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   B65D25/52 C
   B65D25/20 W
   B65D25/04 G
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-129928(P2013-129928)
(22)【出願日】2013年6月20日
(65)【公開番号】特開2015-3747(P2015-3747A)
(43)【公開日】2015年1月8日
【審査請求日】2015年2月26日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)第47回スーパーマーケット・トレードショー2013,東京ビッグサイト(東京国際展示場)東1〜6ホール,平成25年2月13〜15日 (2)「第47回スーパーマーケット・トレードショー2013」において配布されたパンフレット,東京ビッグサイト(東京国際展示場)東1〜6ホール,平成25年2月13〜15日 (3)矢崎化工株式会社に販売,平成25年3月14日 (4)日産スチール工業株式会社のウェブサイト(http://www.nsk−kk.co.jp/menu/Frameset.htm)に掲載,平成25年5月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】301017112
【氏名又は名称】日産スチール工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109911
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義仁
(74)【代理人】
【識別番号】100071168
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 久義
(72)【発明者】
【氏名】西部 清志
【審査官】 小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 仏国特許出願公開第02847239(FR,A1)
【文献】 米国特許第04930385(US,A)
【文献】 特開2004−182287(JP,A)
【文献】 実開昭62−159442(JP,U)
【文献】 特開平05−338630(JP,A)
【文献】 米国特許第06266942(US,B1)
【文献】 米国特許第05325992(US,A)
【文献】 仏国特許出願公開第02681846(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 25/52
B65D 25/04
B65D 25/20
B65D 83/08
B65H 35/10
A47F 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板及び四周側板を有し、ミシン目を介して連続して設けられた袋体がロール状に巻回されたロール状連続袋体を収容するトレイ本体と、
前記ロール状連続袋体の巻き出し端部の袋体が、後続の袋体との間のミシン目の位置で切断されて切り取られるようになっているとの機能を有するリップ部材と、
を備え、
前記底板は、前記リップ部材側に向かって上方に傾斜した移動規制部を有し、
前側板は、前下がりに傾斜した傾斜面を有し、
前記傾斜面に前記リップ部材が設けられることを特徴とするロール状連続袋体用トレイ。
【請求項2】
前記底板には、前記底板面を複数に区切る仕切部が設けられることを特徴とする請求項1に記載のロール状連続袋体用トレイ。
【請求項3】
底板及び四周側板を有し、ミシン目を介して連続して設けられた袋体がロール状に巻回されたロール状連続袋体を収容するトレイ本体と、
前記ロール状連続袋体の巻き出し端部の袋体が、後続の袋体との間のミシン目の位置で切断されて切り取られるようになっているとの機能を有するリップ部材と、
を備え、
前記底板は、前記リップ部材側に向かって上方に傾斜した移動規制部を有し、
前記底板には、前記底板面を複数に区切る仕切部が設けられることを特徴とするロール状連続袋体用トレイ。
【請求項4】
前記リップ部材は、前記ロール状連続袋体の巻き出し端部の袋体を挿通可能なスリットが形成され、弾性力を有する素材からなるリップ部を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のロール状連続袋体用トレイ。
【請求項5】
前記底板には、磁性体が設けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のロール状連続袋体用トレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーパーマーケット等の店舗に設置されるロール巻状の連続袋体であるロール状連続袋体を一袋ずつ取り出せるロール状連続袋体用トレイに関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケット等の店舗において、レジカウンターや袋詰め作業台(サッカー台)などに設置されたロール状に巻回された合成樹脂フィルム製のロール状連続袋体から、ポリ袋と称される袋体を一枚ずつ取り出して切り取り、購入した食品などが封入されることがある(特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4487146号公報
【特許文献2】特開2000−149139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ロール状連続袋体は、極薄のシート状ポリ袋が巻回されてなるものであり、ポリ袋を1袋分だけ取り出し及び切り取りを行うのは困難であるため、ポリ袋の取り出し作業を容易に行う技術が種々提案されているものの、ポリ袋の取り出し作業性をより向上させるためには更に改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、スーパーマーケット等の店舗に設置されるロール巻状の連続袋体であるロール状連続袋体を一袋ずつ容易に取り出せるロール状連続袋体用トレイの提供を目的とする。
【0006】
即ち、本発明は下記[1]〜[5]に記載の構成を有する。
【0007】
[1] 底板及び四周側板を有し、ミシン目を介して連続して設けられた袋体がロール状に巻回されたロール状連続袋体を収容するトレイ本体と、
前記ロール状連続袋体の巻き出し端部の袋体が、後続の袋体との間のミシン目の位置で切断されて切り取られるようになっているリップ部材と、
を備え、
前記底板は、前記リップ部材側に向かって上方に傾斜した移動規制部を有することを特徴とするロール状連続袋体用トレイ。
【0008】
[2] 前側板は、前下がりに傾斜した傾斜面を有し、
前記傾斜面に前記リップ部材が設けられることを特徴とする前項1に記載のロール状連続袋体用トレイ。
【0009】
[3] 前記リップ部材は、前記ロール状連続袋体の巻き出し端部の袋体を挿通可能なスリットが形成され、弾性力を有する素材からなるリップ部を備えることを特徴とする前項1または2に記載のロール状連続袋体用トレイ。
【0010】
[4] 前記底板には、磁性体が設けられることを特徴とする前項1〜3のいずれかに記載のロール状連続袋体用トレイ。
【0011】
[5] 前記底板には、前記底板面を複数に区切る仕切部が設けられることを特徴とする前項1〜4のいずれかに記載のロール状連続袋体用トレイ。
【発明の効果】
【0012】
上記[1]に記載の発明によれば、底板及び四周側板を有し、ミシン目を介して連続して設けられた袋体がロール状に巻回されたロール状連続袋体を収容するトレイ本体と、ロール状連続袋体の巻き出し端部の袋体が、後続の袋体との間のミシン目の位置で切断されて切り取られるようになっているリップ部材と、を備え、底板は、リップ部材側に向かって上方に傾斜した移動規制部を有するので、ロール状連続袋体の巻き出し端部がリップ部材から引き出されることによってロール状連続袋体がリップ部材に近接することを規制でき、ロール状連続袋体がリップ部材に密着してロール状連続袋体の回転が阻害されることがないため、よりスムーズに袋体を取り出すことができるようになる。
【0013】
上記[2]に記載の発明によれば、前側板は、前下がりに傾斜した傾斜面を有し、傾斜面にリップ部材が設けられるので、ロール状連続袋体の巻き出し端部がリップ部材から引き出された際に、傾斜面の上端にロール状連続袋体が当接するので、ロール状連続袋体がリップ部材に近接することをより確実に規制することができる。
【0014】
また、リップ部材からロール状連続袋体を上方向に引き上げるだけで、容易に袋体を取り出すことができる。
【0015】
上記[3]に記載の発明によれば、リップ部材は、ロール状連続袋体の巻き出し端部の袋体を挿通可能なスリットが形成され、弾性力を有する素材からなるリップ部を備えるので、ロール状連続袋体から袋体を一袋ずつ簡単かつスムーズに取り出すことができるとともに、取り出された袋体に適度なシワが形成されて、袋体の開封作業をスムーズに行うことができる。
【0016】
上記[4]に記載の発明によれば、底板には、磁性体が設けられるので、ロール状連続袋体用トレイを金属製台などに載置すると、ロール状連続袋体用トレイが金属製台に吸着した状態となるため、ロール状連続袋体の巻き出し端部をリップ部材から引き出した際などでもロール状連続袋体用トレイが動くことがなく、安定して袋体を取出すことができる。
【0017】
上記[5]に記載の発明によれば、底板には、底板面を複数に区切る仕切部が設けられるので、予め区切られた範囲内でのみ収容されたロール状連続袋体の移動が許容されるようになり、袋体が引き出された場合であってもロール状連続袋体がトレイ本体内で徒に転がることなく、よりスムーズに袋体を取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係るロール状連続袋体用トレイが用いられる一例としてのレジカウンターの全体図である。
図2】本発明に係るロール状連続袋体用トレイの斜視図である。
図3】本発明に係るロール状連続袋体用トレイの断面図である。
図4】本発明に係るロール状連続袋体用トレイのリップ部材を説明するための説明図である。
図5】本発明に係るロール状連続袋体用トレイの使用例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0020】
図1は、ロール状連続袋体用トレイ10が用いられる一例としてのレジカウンター100の全体図、図2は、ロール状連続袋体用トレイ10の斜視図、図3は、ロール状連続袋体用トレイ10の断面図、図4は、ロール状連続袋体用トレイ10のリップ部材6を説明するための説明図、図5は、ロール状連続袋体用トレイ10の使用例を説明するための説明図である。
【0021】
図1に示すレジカウンター(キャッシュカウンター)100には、天板101下面側に可動棚103が出し入れ可能に取り付けられ、当該可動棚103に本発明のロール状連続袋体用トレイ10が収容されている。
【0022】
レジカウンター100の基台102及び可動棚103などは、ステンレスやスチールなどの金属によって構成されている。
【0023】
ロール状連続袋体用トレイ10は、底板5及び四周側板1〜4を有したトレイ本体10aと、リップ部材6と、を備え、ロール状連続袋体9を収容できるようになっている。
【0024】
ロール状連続袋体9は、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系の合成樹脂製の多数の袋体91、即ち、多数のポリ袋91がミシン目を介して連続して設けられた極薄シート状(帯状)の連続ポリ袋が、ロール状に巻回されたものによって構成されている。
【0025】
尚、以降では、図1に示すレジカウンター100に設置されたロール状連続袋体用トレイ10において、ポリ袋91の取り出し側を前側として説明する。
【0026】
また、ロール状連続袋体用トレイ10の長さ方向(図3に向かって左右方向)を前後方向とし、ロール状連続袋体用トレイ10の幅方向(図3に向かって紙面に垂直な方向)を左右方向として説明する。
【0027】
トレイ本体10aには、ロール状連続袋体9の軸心方向がトレイ本体10aの左右方向と平行になるようにして、ロール状連続袋体9が回転可能に収容されている。
【0028】
トレイ本体10aは、前後側板1,3、左右側板2,4及び底板5で構成され、天板101のない箱状に形成されている。
【0029】
後に詳述するが、トレイ本体10aの前側板1には、収容されたロール状連続袋体9から巻き出された端部91aのポリ袋91を、後続のポリ袋91との間のミシン目の位置で切断して切り取るためのリップ部材6が設けられている。
【0030】
トレイ本体10aの前側板1は、底板5に対して垂直に設けられた平面12と、当該平面12から屈曲して後方へ向かって上り傾斜した傾斜面11(前側へ前下がりに傾斜した傾斜面11)を有し、傾斜面11には、リップ部材6が設けられている。
【0031】
底板5は、リップ部材6側に向かって上方に傾斜した移動規制部51を有している。
【0032】
図3に示すように、移動規制部51は、1つのロール状連続袋体9が収容される底板5の長さLに対して、例えば、前側の約半分以上の範囲が傾斜した平面となっている。
【0033】
移動規制部51は、その傾斜角度が例えば、15度〜20度に設定され、ロール状連続袋体9が移動規制部51に掛かると、その自重によりロール状連続袋体9が後方に移動するように設定される。
【0034】
即ち、移動規制部51が設けられることにより、ロール状連続袋体9は、常にリップ部材6から離間して位置するようになる。
【0035】
尚、移動規制部51は、例えば、傾斜した平面或いは湾曲した曲面などに形成されたり、1つのロール状連続袋体9が収容される底板5の長さLの全て或いは一部が傾斜するように形成されるなどして設けられるのであってもよい。
【0036】
移動規制部51は、ロール状連続袋体9が前方側に移動してロール状連続袋体9が移動規制部51に掛かると、ロール状連続袋体9の自重により後方に移動し、ロール状連続袋体9がリップ部材6に密着するなどしてロール状連続袋体9の回転が阻害されないように、ロール状連続袋体9がリップ部材6のスリット63と所定の距離を保つように構成されるのであればよく、その構成や上述した寸法及び角度などに特に限定されるものではないが、ロール状連続袋体用トレイ10の高さを最小限に設定した構成とすることができるため、移動規制部51がロール状連続袋体9の収容される箇所において底板5の前側の約半分以上の範囲を占めて構成されることが好ましい。
【0037】
また、移動規制部51の長さ寸法Lは、ロール状連続袋体9の直径及び後述のトレイ本体10aの底板5の底面の寸法などに応じて適宜設定することができる。
【0038】
トレイ本体10aは、図示するように、複数、例えば、本実施例では2つのロール状連続袋体9が収容されるよう構成されている。
【0039】
ロール状連続袋体9を複数収容できるようトレイ本体10aが形成されていれば、巻き出されるロール状連続袋体9に加えて、予備となるロール状連続袋体9を収容しておくことができるので、ロール状連続袋体9の交換が必要な際に、収容されている予備のロール状連続袋体9に取り替えるだけで直ぐに使用でき、交換に要する手間を省くことが出来る。
【0040】
複数収容されるロール状連続袋体を仕切るため、トレイ本体10aの底板5には、底板5面を複数に区切る仕切部52が設けられている。
【0041】
仕切部52は、例えば、トレイ本体10aの前後方向中間部に配置され、底板5に当接した状態で左右側板2,4の間に架け渡されている。
【0042】
仕切部52は、底板5面に対して垂直に設けられ、その高さ寸法は、ロール状連続袋体9が徒に転がることがないように、仕切部52に確実に当接させることができる高さに設定される。
【0043】
ロール状連続袋体用トレイ10に複数のロール状連続袋体9が収容される場合には、底板5面を複数に区切ってロール状連続袋体9ごとに仕切部52で仕切ることができるため、ロール状連続袋体9からポリ袋91が引き出されることによってロール状連続袋体9に後方へ転がる力が働いても、後方に転がったロール状連続袋体9が仕切部52に当接することで、ロール状連続袋体9のそれ以上後方への回転移動が阻止される。
【0044】
以上説明したように、底板5には、底板5面を複数に区切る仕切部52が設けられるので、予め区切られた範囲内でのみ収容されたロール状連続袋体9の移動が許容されるようになり、ポリ袋91が引き出された場合であってもロール状連続袋体9がトレイ本体10a内で徒に転がることなく、よりスムーズにポリ袋91を取り出すことができる。
【0045】
本実施形態では、移動規制部51及び仕切部52は、底板5の幅寸法と等しい一枚の金属製の板から形成される。
【0046】
例えば、金属製板の一端側に、金属製板の中ほどに向かって下り傾斜する傾斜面を形成し、他端側の端部に、板面に対して垂直に折り曲げた折曲部を形成する。
【0047】
ロール状連続袋体用トレイ10内の前側板1側に金属製板の傾斜面、底板5の後方側に折曲部が配置されるように取り付ける。
【0048】
当該傾斜面が、1つのロール状連続袋体9が収容される底板5の長さLに対して、前側の約半分以上の範囲が傾斜する移動規制部51となり、折曲部が底板5を複数に区切る仕切部52となる。
【0049】
移動規制部51と仕切部52の間は、底板5の面と平行になるように形成され、前側板1側に設けられたリップ部材6側に引き寄せられたロール状連続袋体9の移動が移動規制部51によって規制され、底板5の面と平行になった部分に位置するようになる。
【0050】
更に、ロール状連続袋体用トレイ10の底板5には、磁性体Mが設けられる構成であってもよい。
【0051】
例えば、ロール状連続袋体用トレイ10の長さ寸法(前後方向長さ)よりも若干短く、ロール状連続袋体用トレイ10よりも幅寸法(左右方向長さ)の狭い板状の磁性体Mを底板5の外面(ロール状連続袋体用トレイ10の裏面)に貼り付ける。
【0052】
金属製の可動棚103にロール状連続袋体用トレイ10を載置することで、ロール状連続袋体用トレイ10の裏面に設けられた磁性体Mが可動棚103の内側表面に接触することにより吸着する。
【0053】
尚、細長い板状の磁性体Mなどが用いられる際は、ロール状連続袋体用トレイ10の左右にそれぞれ1本ずつ配置するなどすることで、ロール状連続袋体用トレイ10と可動棚103における磁力による吸着力を高められる。
【0054】
このように底板5に磁性体Mが設けられた構成であれば、ロール状連続袋体用トレイ10を金属製台などに載置すると、ロール状連続袋体用トレイ10が金属製台に吸着した状態となるため、ロール状連続袋体9の巻き出し端部91aをリップ部材6から引き出した際などでもロール状連続袋体用トレイ10が動くことがなく、安定してポリ袋91を取出すことができる。
【0055】
トレイ本体10aは、前述したように前側板1の傾斜面11にリップ部材6を備えており、当該リップ部材6によって、トレイ本体10aに収容されたロール状連続袋体9の巻き出し端部91aのポリ袋91が、後続のポリ袋91との間のミシン目の位置で切断されて切り取られるようになっている。
【0056】
リップ部材6は、ロール状連続袋体9の巻き出し端部91aのポリ袋91を挿通可能なスリット63が形成された板状のリップ部61と、リップ部61の端部から一体に形成された、略凹状に形成された挟持部62とを備える。
【0057】
リップ部材6は、適度な弾性と適度な摩擦抵抗を有する合成ゴムなどの素材からなり、例えば合成ゴム、天然ゴム、エラストマー等のゴム弾性を有するもの、中でも特に、適度な弾性を備えた合成ゴムを用いるのが好ましい。
【0058】
トレイ本体10aの前側板1には、リップ部61の寸法よりも若干小さい寸法に形成された開口部13が設けられており、リップ部材6は、開口部13を閉塞するようにして、前側板1の裏面側(ロール状連続袋体用トレイ10の内部側)から嵌め込んで、前側板1を挟持部62で挟み込むことによって取り付けられる。
【0059】
リップ部材6は、その中央に横方向に長い長円形に形成されたリップ部61が配置されている。
【0060】
リップ部61の中央には、横方向に延びるポリ袋91を取り出すためのスリット63が形成されており、リップ部61の周囲には、リップ部61周囲を囲うようにリップ部61の厚みよりも肉厚な段部が設けられている。
【0061】
リップ部61は、即ち、リップ部材6の薄肉部分を示し、その厚みは1.0mm〜4.0mm、好ましくは1.5mm〜3.5mm、より好ましくは2.0mm〜3.5mmに形成される。
【0062】
リップ部61の厚みが薄過ぎると、柔らかくなり過ぎて、ポリ袋91を確実に押さえ込むことができないため、ミシン目で確実に切断できずに、複数のポリ袋91が途切れずに連続して引き出されてしまうおそれがあり、好ましくない。逆にリップ部61の厚みが厚過ぎる場合には、硬くなり過ぎて、ポリ袋91がキズ付くなどして、途中で引き裂かれてしまうおそれがあり、好ましくない。
【0063】
以上のことから、リップ部材6の厚みを上記の特定の範囲に設定する場合には、ポリ袋91に対し、適度な摩擦抵抗力を付与することができ、ミシン目の位置で確実に切り離すことができて、ポリ袋91を一袋ずつ確実に取り出すことができる。
【0064】
リップ部61の中央に形成されたポリ袋91取り出し用のスリット63は、図4(a)に示すように、スリット63は直線状に形成され、スリット63の両端部には、例えば、円形に刳り貫かれた円形部631が形成されている。
【0065】
図4(b),(c)に示すように、スリット63の縦幅寸法(縦方向寸法)は、裏面側(図4(b),(c)の右側)の端部から表面側(同図の左側)の端部にかけて次第に狭くなるように、スリット63の内周側面がテーパー状に形成されている。
【0066】
当該スリット63の内周側面のテーパー状に形成された部位を、テーパー部64と呼ぶ。
【0067】
テーパー部64は、裏面側(挟持部62側)の端部の開口幅Waが、表面側(リップ部61側)の端部の開口幅Wbよりも大きくなるよう形成されている。
【0068】
スリット63のサイズやリップ部材6の詳細については、後に詳述する。
【0069】
スリット63には、テーパー状に形成したテーパー部が設けられ、スリット63の幅寸法が裏面側から表面側にかけて次第に狭くなるように形成しているため、スリット63を通過する間にポリ袋91に対し、適度な摩擦抵抗力を幅方向全域において均等に付与することができる。
【0070】
このため、巻き出し端部91aのポリ袋91を引き出す際に、部分的に過度の摩擦抵抗力が作用することがなく、巻き出し端部91aのポリ袋91が、不本意にも途中で引き裂かれてしまうなどの不具合を確実に防止することができる。
【0071】
しかも、引き出される連続ポリ袋91に対し終始、適度な摩擦抵抗力を付与できるため、巻き出し端部91aのポリ袋91がスリット63を抜け出した直後に、後続のポリ袋91に対しても十分な摩擦抵抗力を付与することができる。従って、巻き出し端部91aのポリ袋91と後続のポリ袋91との間のミシン目の位置を確実に切断できて、巻き出し端部91aのポリ袋91だけを、より一層確実に切り取ることができる。
【0072】
挟持部62には、前側板1の厚みに対応した凹部65が設けられ、凹部65は、図4(a)に記された鎖線で表すように、リップ部61の外周に沿って、且つリップ部61の外周に対して若干外側に設けられる。
【0073】
リップ部材6をトレイ本体10aの前側板1の裏面側から開口部13に嵌め込むと、前側板1が挟持部62に挟み込まれるとともに、前側板1の開口部13の内側縁部が凹部65に当接して、リップ部材6が固定される。
【0074】
尚、凹部65が前側板1の開口部13の内側縁部に当接するように構成されると、前側板1にリップ部材6がガタつくなどすることなく固定されるので好ましいが、リップ部61と挟持部62とで前側板1を挟み込むだけの構成でリップ部材6を固定するのであってもよい。
【0075】
リップ部61の寸法は、特に限定されるものではないが、図4(a)に示すような横方向に長い長孔形状、特に長円形に形成するのが好ましい。
【0076】
リップ部61を長円形に形成する場合、縦寸法Hが15mm〜35mm、より好ましくは18mm〜33mmに設定され、さらに横寸法Sが25mm〜55mm、より好ましくは35mm〜45mmに設定される。
【0077】
これらの寸法H,Sが小さ過ぎる場合には、スリット63を通過するポリ袋91に対し、リップ部61による摩擦抵抗力が強くなり過ぎるため、巻き出し端部91aのポリ袋91を引っ張り出した際に、後続のポリ袋91がスリット63に到達する前に、巻き出し端部91aのポリ袋91が途中で破れて、切り裂かれてしまい、ミシン目で確実に切り裂くことができず、ポリ袋91の破断片のみが取り出されてしまうおそれがあり、好ましくない。
【0078】
逆に縦寸法Hおよび横寸法Sが大き過ぎる場合には、スリット63を通過するポリ袋91に対し、摩擦抵抗力を十分に与えることができないため、巻き出し端部91aのポリ袋91を引っ張り出した際に、ミシン目が切り裂かれることなく、複数のポリ袋91が途切れずに連続して引き出されてしまうなどして、切り出されたポリ袋91に十分なシワが形成されず、開封作業が困難になるおそれがあり、好ましくない。
【0079】
スリット63の幅方向長さ(図4(a)に示す左右方向長さ)は、25mm〜45mm、より好ましくは30mm〜40mmに設定される。
【0080】
スリット63の当該長さが短過ぎる場合には、ポリ袋91に対する摩擦抵抗力が強くなり過ぎて、ポリ袋91が途中で引き裂かれてしまうおそれがある。逆にスリット63の幅方向長さが長過ぎる場合には、ポリ袋91に対する摩擦抵抗力が弱くなり過ぎて、複数のポリ袋91が途切れずに連続して引き出されてしまうなどして、切り出されたポリ袋91に十分なシワが形成されず、開封作業が困難になるおそれがある。
【0081】
スリット63の表面側の開口幅Wbは、設置されるロール状連続袋体9の厚みに応じて適宜設定するのが良い。
【0082】
例えば、従来広く用いられている厚さ6μm程度の標準タイプのロール状連続袋体9を用いる場合には、表面側の開口幅Wbを0.1mm〜1.5mm、より好ましくは0.3mm〜1.0mmに設定するのが良い。また近年普及しつつある厚さ3μm〜4μmの極薄タイプのロール状連続袋体9を用いる場合には、開口幅Wbを0.05mm〜0.5mm、より好ましくは0.08〜0.25mmに設定するのが良い。これらをまとめると、開口幅Wbを、0.01mm〜1.5mmに設定するのが良い。
【0083】
開口幅Wbが狭過ぎる場合には、ポリ袋91に対する摩擦抵抗力が強くなり過ぎて、ポリ袋91が途中で引き裂かれてしまうおそれがある。逆にスリット63長さが長過ぎる場合には、ポリ袋91に対する摩擦抵抗力が弱くなり過ぎて、複数のポリ袋91が途切れずに連続して引き出されてしまうなどして、切り出されたポリ袋91に十分なシワが形成されず、開封作業が困難になるおそれがある。
【0084】
また、裏面側の開口幅Waを2.0mm〜6.5mm、より好ましくは3.0mm〜6.0mmに設定するのが良い。この開口幅Waが狭過ぎたり、広過ぎたりする場合は、スリット63のテーパー部64に、実質的なテーパーを付けることができず、テーパー面の形成による効果を得ることができないおそれがある。
【0085】
スリット63のテーパー部64のテーパー角度(中心線に対する角度)である傾斜角度θを15°〜70°、より好ましくは25°〜60°に設定するのが良い。
【0086】
傾斜角度θが上記の特定範囲を逸脱する場合には、スリット63を通過するポリ袋91に対し終始、適度な摩擦抵抗力をポリ袋91全域にバランス良く均等に付与することが困難になり、ポリ袋91を一袋ずつ確実に切り出すことが困難になるなどして、取り出したポリ袋91に適度なシワを形成できず、開封作業が困難になるおそれがある。
【0087】
以上のことから、スリット63の内周側面における傾斜角度θを上記の特定範囲に設定する場合には、適度な摩擦抵抗力をポリ袋91全域にバランス良く均等に付与できて、ポリ袋91を一袋ずつ確実に切り出すことができるとともに、開封作業も容易に行うことができる。
【0088】
上述したように、リップ部材6は、ロール状連続袋体9の巻き出し端部91aのポリ袋91を挿通可能なスリット63が形成され、弾性力を有する素材からなるリップ部61を備えるので、ロール状連続袋体9からポリ袋91等の袋体を一袋ずつ簡単かつスムーズに取り出すことができるとともに、取り出されたポリ袋91に適度なシワが形成されて、ポリ袋91の開封作業をスムーズに行うことができる。
【0089】
本発明のロール状連続袋体用トレイ10は、以下のように使用される。
【0090】
ロール状連続袋体用トレイ10の前側板1に設けられた開口部13にリップ部材6が嵌め込まれて固定され、ロール状連続袋体9の軸心方向がトレイ本体10aの左右方向に平行となるように配置されている。
【0091】
レジカウンター100の金属製の可動棚103に、ロール状連続袋体9が収容されたロール状連続袋体用トレイ10が載置されており、ロール状連続袋体用トレイ10の底板5に設けられた磁性体Mによって可動棚103の底面にロール状連続袋体用トレイ10が吸着した状態となっている。
【0092】
ロール状連続袋体9の巻き出し端部91aがリップ部材6の裏面側からスリット63に挿入されてセットされた状態で、例えばレジ係(店員)が、リップ部材6から引き出されたポリ袋91の先端を指で摘んで上方へ引き上げると、ポリ袋91は、リップ部61のテーパー部64との間に発生する摩擦抵抗力を受けながらスリット63を通過していく。
【0093】
前側板1は、前下がりに傾斜した傾斜面11を有し、傾斜面11にリップ部材6が設けられて構成されることにより、ロール状連続袋体9の巻き出し端部91aがリップ部材6から引き出された際に、傾斜面の上端にロール状連続袋体9が当接するので、ロール状連続袋体9がリップ部材6に近接することをより確実に規制することができる。
【0094】
また、リップ部材6からロール状連続袋体9を上方向に引き上げるだけで、容易にポリ袋91を取り出すことができる。
【0095】
ロール状連続袋体9の巻き出し端部91aのポリ袋91と後続のポリ袋91との間のミシン目がスリット63を通過した直後に、リップ部61のテーパー部64との間に発生する摩擦抵抗力によって、ミシン目の部分が切り裂かれて、巻き出し端部91aのポリ袋91が後続のポリ袋91から切り離される。
【0096】
これにより、巻き出し端部91aのポリ袋91だけを単独で切り取ることができる。その一方、後続のポリ袋91は、その先端がリップ部61のスリット63から上方に引き出された状態に配置されて、巻き出し端部91aのポリ袋91となり、次に切り取られることとなる。
【0097】
ポリ袋91が前方のリップ部材6から引き出される際に、ロール状連続袋体9も前方に引き寄せられるが、底板5にリップ部材6側に向かって上方に傾斜した移動規制部51を有することにより、ロール状連続袋体9はその自重によって後方に移動する。
【0098】
尚、ロール状連続袋体9の交換時には、ロール状連続袋体用トレイ10の載置された可動棚103を手前に引き出すなどして、予備で収容してあったものと交換する或いは新しいものを収容すればよい。
【0099】
リップ部61の形状は、上述したような横方向に長い長円形に限定されるものではなく、例えば、真円形や楕円形、或いは四角形などに形成されるのであってもよい。
【0100】
尚、リップ部61の形状を真円形とする場合には、直径寸法を28mm〜38mm、より好ましくは30mm〜35mmに設定すると良い。
【0101】
スリット63の形状は、ポリ袋91の横方向全域に均等な摩擦抵抗を付与できて、ポリ袋91がキズ付いたり、途中で引き裂かれたりするのを防止できるので、上述したように直線状に形成されることが好ましいが、星形(米印形)や櫛歯形などのスリット63が形成されるのであってもよい。
【0102】
また、上述では、リップ部61及び挟持部62の素材に同一のものが用いられるよう説明したが、これに限定されるものではなく、少なくともリップ部61の素材が弾性力を有するものであれば、リップ部61及び挟持部62で異なる素材が用いられるのであってよい。
【0103】
上述では、トレイ本体10aに2つのロール状連続袋体9を収容するように説明したが、ロール状連続袋体用トレイ10は、1つのロール状連続袋体9のみが収容可能な構成であってもよいし、3つ以上のロール状連続袋体9が収容される構成であってもよい。
【0104】
以上説明したように、底板5及び四周側板1〜4を有し、ミシン目を介して連続して設けられたポリ袋91がロール状に巻回されたロール状連続袋体9を収容するトレイ本体10aと、前記ロール状連続袋体9の巻き出し端部91aのポリ袋91が、後続のポリ袋91との間のミシン目の位置で切断されて切り取られるようになっているリップ部材6と、を備え、底板5は、リップ部材6側に向かって上方に傾斜した移動規制部51を有するので、ロール状連続袋体9の巻き出し端部91aがリップ部材6から引き出されることによってロール状連続袋体9がリップ部材6に近接することを規制でき、ロール状連続袋体がリップ部材6に密着してロール状連続袋体9の回転が阻害されることがないため、よりスムーズに袋体91を取り出すことができるようになる。
【0105】
以上説明した実施形態は、本発明の一例に過ぎず、本発明の作用効果を奏する範囲において具体的構成などを適宜変更設計できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0106】
1…前側板
2…左側板
3…後側板
4…右側板
5…底板
6…リップ部材
9…ロール状連続袋体
10…ロール状連続袋体用トレイ
10a…トレイ本体
11…傾斜面
51…移動規制部
52…仕切部
61…リップ部
62…挟持部
63…スリット
91…袋体
91a…巻き出し端部
100…レジカウンター
M…磁性体
図1
図2
図3
図4
図5