特許第6013286号(P6013286)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013286
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】作業機のブーム
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/38 20060101AFI20161011BHJP
【FI】
   E02F3/38 A
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-136526(P2013-136526)
(22)【出願日】2013年6月28日
(65)【公開番号】特開2015-10386(P2015-10386A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2015年9月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100061745
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100120341
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】草間 謙三
【審査官】 桐山 愛世
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−176312(JP,A)
【文献】 特開2003−003511(JP,A)
【文献】 特開2000−230241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/38
E02F 9/00
B23K 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の側壁部の上部を上壁部により連結し且つ前記左右側壁部の下部を底壁部により連結したブーム本体を備え、前記ブーム本体内であって当該ブーム本体の長手方向中途部に仕切体を設け、前記仕切体に前記ブーム本体に内装された油圧ホースを通すホース孔を形成しており、
前記仕切体は、前記底壁部に溶接される下板部と、前記下板部から起立していて前記側壁部に溶接される縦板部とを備え、前記ホース孔を、前記縦板部から当該縦板部と下板部との間の第1屈曲部を超えて前記下板部に亘って形成していることを特徴とするブーム。
【請求項2】
前記仕切体は、前記縦板部の上端から屈曲して前記ブーム本体の長手方向に伸びる上板部を備え、前記ホース孔を、前記縦板部から当該縦板部と上板部との間の第2屈曲部を超えて前記上板部に亘って形成していることを特徴とする請求項1に記載のブーム。
【請求項3】
前記縦板部と前記下板部との間に前記仕切体を補強するための補強板を設け、前記補強板を前記側壁部に溶接していることを特徴とする請求項1又は2に記載のブーム。
【請求項4】
前記下板部側に形成したホース孔を構成する縁部を前記下壁部に対して非溶接部にしていることを特徴とする請求項1又は2に記載のブーム。
【請求項5】
前記第1屈曲部を側壁部に対して非溶接部としていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のブーム。
【請求項6】
前記仕切体は、前記ブーム本体の長手方向中途部に形成された本体屈曲部の両側に設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のブーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックホー等の作業機に設けられた作業機のブームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、作業機として特許文献1に開示されたバックホーがある。このバックホーでは、旋回台にスイングブラケットを縦軸廻りに回動自在に設け、このスイングブラケットにブームの基部を横方向の枢軸を介して上下動自在に支持している。ブームには揺動自在なアームが設けられ、アームの先端にはバケットが設けられている。ブームの先端に設けられたアームやブームは、油圧シリンダ等の油圧アクチュエータによって作動する。
【0003】
このようなバックホーでは、アームやバケット等を作動させる油圧アクチュエータに作動油を供給するための複数本の油圧ホースが、旋回台からブームに亘って配置され、当該油圧ホースはブームの外面に沿って配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−176312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のバックホーでは、ブームの外面に沿って配置する構造であったため、油圧ホースが損傷する虞があった。また、ブームの外側に油圧ホースを配置する構成であるため、油圧ホースが邪魔になり掘削中の視野が悪くなる虞があった。そこで、ブーム内に油圧ホースを内装化することが考えられるが、大型のバックホーにおいてはブームの強度を確保する必要があり、単に油圧ホースをブーム内に内装化することは困難であった。
【0006】
本発明は、前記問題を解決することができるブームを提供することを目的とする。また、本発明は、ブーム本体を強固にしつつブーム本体に油圧ホースを内装できる作業機のブームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記技術的課題を解決するために本発明が講じた技術的手段は、以下に示す点を特徴とする。
請求項1に係る発明では、左右一対の側壁部の上部を上壁部により連結し且つ前記左右側壁部の下部を底壁部により連結したブーム本体を備え、前記ブーム本体内であって当該ブーム本体の長手方向中途部に仕切体を設け、前記仕切体に前記ブーム本体に内装された油圧ホースを通すホース孔を形成しており、前記仕切体は、前記底壁部に溶接される下板部と、前記下板部から起立していて前記側壁部に溶接される縦板部とを備え、前記ホース孔を、前記縦板部から当該縦板部と下板部との間の第1屈曲部を超えて前記下板部に亘って形成していることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明では、前記仕切体は、前記縦板部の上端から屈曲して前記ブーム本体の長手方向に伸びる上板部を備え、前記ホース孔を、前記縦板部から当該縦板部と上板部との間の第2屈曲部を超えて前記上板部に亘って形成していることを特徴とする。
請求項3に係る発明では、前記縦板部と前記下板部との間に前記仕切体を補強するための補強板を設け、前記補強板を前記側壁部に溶接していることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明では、前記下板部側に形成したホース孔を構成する縁部を前記下壁部に対して非溶接部にしていることを特徴とする。
請求項5に係る発明では、前記第1屈曲部を側壁部に対して非溶接部としていることを特徴とする。
請求項6に係る発明では、前記仕切体は、前記ブーム本体の長手方向中途部に形成された本体屈曲部の両側に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
請求項1に係る発明によれば、ブーム本体の底壁部に溶接される下板部と側壁部に溶接
される縦板部とを備えた仕切体を、ブーム本体の長手方向中途部に設けているため、当該仕切体によってブームの強度を向上させることができる。また、仕切体にホース孔を設けているため、油圧ホース等の油圧ホースをブーム本体内に内装することができる。しかも、ホース孔を、縦板部と下板部との第1屈曲部を超えて下板部に亘って形成しているため、仕切体の第1屈曲部に掛かる応力を分散することができ、即ち、応力集中を回避することができる。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、縦板部の上端から屈曲してブーム本体の長手方向に伸びる上板部を設けたうえで、ホース孔を、縦板部から当該縦板部と上板部との第2屈曲部を超えて上板部に亘って形成しているため、ホース孔を大きくすることができ、しかも、仕切体の第2屈曲部に掛かる応力を分散することができる。
請求項3に係る発明によれば、縦板部と下板部との間に仕切体を補強する補強板を設けているため、仕切板の剛性を向上させることができ、しかも補強板を側壁部に溶接しているため、当該補強板によってもブーム本体の強度を向上することができる。
【0012】
請求項4に係る発明によれば、ブーム本体の変形に追随してホース孔の縁部の周辺が変形することができる。
請求項5に係る発明によれば、第1屈曲部に集中する応力を分散することができる。
請求項6に係る発明によれば、ブーム本体の強度を向上させることができ、しかも、ブーム本体の基端側や先端側のどちらからでも容易に油圧ホースを通すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】ブームの内部斜視図である。
図2】ブームの内部側面図である。
図3】枢支支持体の側面図及び平面図である。
図4】仕切板の変形例を示す図である。
図5】バックホーの側面全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図5は、本発明のブームを備えた作業機(バックホー)を示している。
図5に示すように、バックホー1は、下部の走行装置2と、この走行装置2に上下方向の軸心回りに旋回自在に支持された旋回台3(機体)とを有する。なお、作業機は、図5に示したバックホーに限定されない。また、この実施形態においては、作業機の運転席7に着座した運転者の前側を前方(図5の左側)、運転者の後側を後方(図5の右側)、運転者の左側を左方、運転者の右側を右方とし、説明を進める。
【0015】
走行装置2は、左右両側にトラックフレーム4を備えており、左右各トラックフレーム4にはクローラ式走行装置5が装着されている。
旋回台3にはキャビン6が搭載され、このキャビン6内には運転席7が設けられている。旋回台3の前部に設けられた支持ブラケット8に、スイングブラケット9が左右揺動自在に支持されている。
【0016】
旋回台3の前部には作業装置10が設けられている。この作業装置10は、ブーム11と、アーム12及びバケット13を有する。ブーム11の基部側(根元側)がスイングブラケット9に枢支されている。ブーム11は、スイングブラケット9とブーム11との間に設けられたブームシリンダ17により上下揺動自在に支持され、アーム12はブーム13とアーム12との間に設けられたアームシリンダ15により揺動自在に支持され、バケット13はアーム12とバケット13との間に設けられたバケットシリンダ16により掬いダンプするように支持されている。
【0017】
図1〜3に示すように、ブーム11は、基部(根元側)がスイングブラケット9に枢支され且つ鋳物により形成された根元支持体30と、根元側が根元支持体30に連結され且つ板金により形成されたブーム本体31と、ブーム本体31の先端に連結され且つ鋳物により形成された先端支持体32とを備えている。
図3に示すように、根元支持体30は、平面視で2股状に形成されたもので、旋回台3からの油圧ホースHを導入するホース導入孔46を有する胴部34と、この胴部の左右方
向両端部から支持ブラケット8に延設された左右一対の脚部33とを備えている。
【0018】
胴部34は、左右一対の側部34Aと、左右一対の側部34Aの上部を連結する上部壁34Uと、左右一対の側部34Aの下部を連結する下部壁34Dとを備えている。左右一対の側部34A、上部壁34U及び下部壁34Dによって囲まれた部分がホース導入孔46とされている。
上部壁34Uは、側部34Aの上部から上方に膨出するドーム状のドーム部47を備えている。詳しくは、ドーム部47は、胴部34の前部側から後部側にいくにしたがって上方に移行しつつ胴部34の左右方向中央部から次第に左右方向外側に移行するドーム形状とされている。
【0019】
一対の脚部33の基部側には、左右方向に突出する連結ボス部35が形成され、この連結ボス部35に、左右方向(厚み方向)に貫通する取付孔36が形成され、この取付孔36に枢支軸37を挿入することにより、ブーム11の基部側がスイングブラケット9に枢支されている。
脚部33には、当該脚部33の外側面の上下中途部を所定幅で厚み方向に凹状にした薄肉部40が形成されている。この薄肉部40は、連結ボス部35よりも後方側から前方側に向けて延設されたもので、薄肉部40に沿う上下には肉厚が大きい一対の厚肉部41が形成されている。薄肉部40及び厚肉部41は、脚部33から胴部34の側部34Aに亘って延設されている。
【0020】
図3に示すように、上側の肉厚部(上肉厚部という)41Uは、基部側から前側に向けて上下寸法(上下幅)が一定となる共に前後中途部で上下幅が次第に大きくなるように形成されている。即ち、薄肉部40と上肉厚部41Uとの境界である上稜線42は、脚部33の上面(上肉厚部41Uの上面)に沿って後側から前側にかけて伸びると共に前後中途部で、前側にいくにしたがって下側に移行している。
【0021】
図1及び2に示すように、ブーム本体31は、左右一対の側壁部50と、左右側壁部50の上部間を連結する上壁部51と、左右側壁部50の下部間を連結する底壁部52とを備えている。これら上壁部51、左右側壁部50及び底壁部52は板材から形成されていて、これらの端部等を互いに溶接することにより、ブーム本体31は箱型(矩形)に形成されている。ブーム本体31の説明において、当該ブーム本体31の外部から内部へ向かう方向を「内方」とし、ブーム本体31の内部から外部へ向かう方向を「外方」とし、説明を進める。
【0022】
上壁部51、左右側壁部50及び底壁部52によってブーム本体31には基端部から先端部に亘って空間部53が形成され、この空間部53は、根元支持体30(胴部34)に形成されたホース導入孔46に連通している。空間部53は、旋回台3から胴部34のホース導入孔46を通過して案内された油圧ホースHを通すことができる。詳しくは、空間部53には、例えば、アームシリンダ15、バケットシリンダ16、アーム12の先端に設けられたサービスポートに作動油を供給するための6本の油圧ホースHが配置されている。
【0023】
ブーム本体31の基端部側には、根元支持体30に連通させることで当該根元支持体30側からの油圧ホースを導入する油圧ホース導入孔が形成されている。
また、上壁部51、左右側壁部50及び底壁部52は長手方向中途部で屈曲していて、ブーム本体31は側面視でへの字状となっている。以下、説明の便宜上、ブーム本体31の屈曲部分を屈曲部(本体屈曲部)58という。
【0024】
左右側壁部50の上下幅は、基端部から本体屈曲部58にいくにしたがって次第に大きくなると共に、ブーム本体31の本体屈曲部58で最大となり、本体屈曲部58から先端部にいくにしたがって次第に小さくなる。上壁部51及び下壁部の左右幅は、基端部から先端部に亘って略同じとされ、上壁部51の本体屈曲部58には、アームシリンダ15の基端部側を支持する上支持部60が設けられ、底壁部52の本体屈曲部58には、ブームシリンダ17の先端部側を支持する下支持部61が設けられている。
【0025】
ブーム本体31内であって本体屈曲部58の両側には、当該ブーム本体31内を仕切る仕切体70が設けられている。即ち、ブーム本体31の先端部から屈曲部に至る空間部5
3には、仕切体(第1仕切体)70Fが設けられ、ブーム本体31の本体屈曲部58から基端部に至る空間部53には、第1仕切体70Fとは別の仕切体(第2仕切体)70Rが設けられている。
【0026】
第1仕切体70F及び第2仕切体70Rは、帯状板材の長手方向の2カ所をそれぞれ反対方向に折り曲げることにより側面視で略Z状に構成されたものである。第1仕切体70F及び第2仕切体70Rは、底壁部52の内面に溶接により固定される下板部71と、下板部71から折り曲げ部(第1屈曲部72Dという)を介して起立していて左右側壁部50に溶接される縦板部73と、縦板部73から折り曲げ部(第2屈曲部72Uという)を介して下板部71とは異なる方向に伸びる上板部74とを備えている。
【0027】
下板部71と縦板部73との間には、板材により構成された左右一対の補強板75が設けられている。
詳しくは、左側の補強板(左補強板)75Lの上端は、縦板部73の左下端に溶接され、左補強板75Lの下端は、下板部71の左上面に溶接されている。また、右側の補強板(右補強板)75Rの上端は、縦板部73の右下端に溶接され、右補強板75Rの下端は下板部71の右上面に溶接されている。即ち、下板部71と縦板部73との間の第1屈曲部72Dに跨がって補強板75が設けられている。
【0028】
左補強板75L及び右補強板75Rを有する第1仕切体70F及び第2仕切体70Rは、左右側壁部50の内面50Aや底壁部52の内面52Aに溶接されている。
次に、第1仕切体70F及び第2仕切体70Rの配置及び溶接固定について説明する。
第1仕切体70F及び第2仕切体70Rにおいて、左補強板75L及び右補強板75Rの左右外側面は左右側壁部50の内面50Aに対面していて、左補強板75L及び右補強板75Rの上面は、左右側壁部50の内面50Aに溶接される溶接部76とされている。
【0029】
また、下板部71の下面は、底壁部52の内面52Aに対面していて、下板部71の基端部は、所定幅で底壁部52の内面52Aに溶接される溶接部80とされている。下板部71の基端部を底壁部52の内面52Aに溶接することにより、当該下板部71と底壁部52との段差(境界部分)が溶接部80によってなだらかな形状になり、油圧ホースHが、底壁部52の内面52Aから溶接部80の上面を通って下板部71の上面に通り易くなる。
【0030】
また、下板部71の左右両端部は左右側壁部50の内面50Aに対面している。下板部71の左右両端部であって、左補強板75L及び右補強板75Rが溶接されている下溶接部81よりも後側の範囲L1は、側壁部50の内面50Aに溶接されている。
なお、下板部71の左右両端部であって、下溶接部81から第1屈曲部72Dが終了する屈曲終了点89(後述する屈曲開始点86の反対側)までの範囲を、側壁部50の内面50Aに溶接してもよい。言い換えれば、左補強板75L及び右補強板75Rの下端と下板部71とが接する部分を、左右側壁部50の内面50Aに溶接してもよい。
【0031】
第1屈曲部72Dは円弧状(アール状)とされていて、第1屈曲部72Dの左右両端部は側壁部50の内面50Aに対面していて、当該第1屈曲部72Dは溶接を行わない非溶接部82とされている。第1屈曲部72Dにおいて、屈曲開始点86から屈曲終了点89までの範囲は、左右側壁部50の内面50Aに溶接されていない非溶接部82とされている。
【0032】
縦板部73の左右両端部は左右方向で同じ側にある側壁部50の内面50Aに対面している。縦板部73の左右両端部であって、左補強板75L及び右補強板75Rが溶接固定されている上溶接部83よりも上側は、左右側壁部50の内面50Aに溶接されている。
なお、縦板部73の左右両端部であって、上溶接部83から屈曲開始点86までの範囲を、側壁部50の内面50Aに溶接してもよい。言い換えれば、左補強板75L及び右補強板75Rの前端と縦板部73とが接する部分を、左右側壁部50の内面50Aに溶接してもよい。
【0033】
また、第2屈曲部72Uは円弧状(アール状)とされていて、第2屈曲部72Uの左右両端部は側壁部50の内面50Aに対面していて、当該第2屈曲部72Uの左右両端部は溶接されている。
以上のように、下板部71は底壁部52に溶接固定され、縦板部73の左右両端部は側壁部50に溶接固定され、これにより、第1仕切体70F及び第2仕切体70Rはブーム本体31内に取り付けられている。
【0034】
さて、第1仕切体70F及び第2仕切体70Rであって少なくとも縦板部73の部分には、ブーム本体31に内装された油圧ホースHを通すホース孔85が形成されている。
詳しくは、ホース孔85は、縦板部73の左右方向中央部を上下全域(縦板部73の上端から縦板部73の下端までの全域)に亘って貫通し、引き続いて、第1屈曲部72D及び第2屈曲部72Uの左右方向中央部の全域を貫通し、さらに引き続いて、下板部71及び上板部74を貫通した形状とされている。即ち、ホース孔85は、縦板部73の上下方向中央部から第1屈曲部72Dに向けて延び、当該第1屈曲部72Dに沿って進み、この第1屈曲部72Dを超えて下板部71に亘るまで延設され、さらに、縦板部73の上下方向中央部から第2屈曲部72Uに向けて延び、第2屈曲部72Uに沿って進み、この第2屈曲部72Uを超えて上板部74に亘るまで延設されている。
【0035】
さらに詳しくは、ホース孔85を側面視したとき、当該ホース孔85の一端側は、第1屈曲部72Dが始まる屈曲開始点(アールが始まる部分)86よりも下板部71側に位置していて、当該ホース孔85の他端側は、第2屈曲部72Uが始まる屈曲開始点(アールが始まる部分)87よりも上板部74側に位置している。即ち、ホース孔85の下端は、縦板部53の下端から第1屈曲部72Dに侵入し、さらに、下板部71を厚み方向に侵入した形状となっている。
【0036】
ホース孔85を構成する縁部であって底壁部52に対向する縁部88は、底壁部52に溶接しない非溶接部とされている。図1に示すように、下板部71に侵入したホース孔85の基端を構成している縁部88(下板部71側に形成したホース孔85を構成する縁部)は、底壁部52に溶接されていない部分となっている。
以上、ブーム本体31によれば、当該ブーム本体31の本体屈曲部58の両側に仕切体70(第1仕切体70F、第2仕切体70R)を設け、仕切体70にホース孔85を設けているため、ブーム本体31の基端側或いは先端側から内部に向けて挿入した油圧ホースHの先端を、ホース孔85に目掛けて移動させることにより、油圧ホースHをブーム本体31内の長手方向に沿って簡単に通すことができる。
【0037】
また、仕切体70を、下板部71、縦板部73及び上板部74を備えた略Z字状としたうえで、ブーム本体31の内面に溶接して取り付けているため、仕切体70によって、ブーム全体の強度を向上することができる。しかも、ホース孔85を単に仕切体70に形成するのではなく、縦板部73と下板部71との第1屈曲部72Dを超えて下板部71に亘って形成しているため、仕切体70の第1屈曲部72Dに掛かる応力を分散して応力集中を回避することができる。さらに、ホース孔85を、縦板部73と上板部74との第2屈曲部72Uを超えて上板部74に亘って形成しているため、ホース孔85を大きくすることができ、油圧ホースをブーム本体31内に通しやすく、さらに、仕切体70の第1屈曲部72D及び第2屈曲部72Uに掛かる応力を分散して応力集中を回避することができる。
【0038】
また、補強板75を設けているため、仕切板の剛性を向上させることができ、しかも補強板75を左右側壁部50に溶接しているため、当該補強板75によってもブーム本体31の強度を向上することができる。
図4は、仕切体70の変形例を示したものである。図4に示すように、仕切体70を底壁部52に溶接される下板部71と、下板部71から起立していて左右側壁部50に溶接する縦板部73とで側面視略L形に構成してもよい。この場合、縦板部73にホース孔85を設け、このホース孔85を縦板部73から第1屈曲部72Dを超えて下板部71に延設することが望ましい。
【0039】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0040】
1 作業機(バックホー)
31 ブーム本体
50 側壁部
51 上壁部
52 底壁部
70 仕切体
71 下板部
73 縦板部
85 ホース孔
図1
図2
図3
図4
図5