(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
<第1実施形態>
[A]全体構成
図1は、第1実施形態に係る発電システムを模式的に示す図である。
【0014】
発電システム1は、
図1に示すように、酸素製造装置2、燃焼器3、タービン4、発電機5、再生熱交換器6、冷却器7、湿分分離器8、及びポンプ9を備えている。
【0015】
発電システム1において、酸素製造装置2は、外部から供給された空気から酸素を製造する。
【0016】
燃焼器3は、酸素製造装置2から酸素が供給されると共に、外部から燃料が供給される。そして、燃焼器3は、燃料が酸素と反応して燃焼することによって、高温高圧なCO
2ガス(燃焼ガス)を生成する。
【0017】
タービン4は、ケーシング(
図1では図示省略)の内部にタービンロータ(
図1では図示省略)が収容されており、燃焼器3から高温かつ高圧なCO
2ガスが供給されることによって、タービンロータが回転する。つまり、タービン4は、CO
2タービンである。
【0018】
発電機5は、タービン4のタービンロータ(
図1では図示省略)の回転により回転軸が回転することによって駆動し、発電を行う。
【0019】
再生熱交換器6は、タービン4から排出された流体が供給されると共に、ポンプ9から排出された流体の一部が供給され、両者の流体の間において熱交換が行われる。ポンプ9から排出された流体の一部は、再生熱交換器6を通過後に、燃焼器3に供給される。
【0020】
冷却器7は、タービン4から再生熱交換器6を介して排出された流体を冷却する。
【0021】
湿分分離器8は、冷却器7から排出された流体をCO
2と水とに分離する。
【0022】
ポンプ9は、冷却器7から排出されたCO
2が供給される。ポンプ9から排出されたCO
2は、一部が再生熱交換器6に供給され、他の一部が外部で貯留される。
【0023】
[B]燃焼器3とタービン4の構成
図2は、第1実施形態に係る発電システムにおいて、燃焼器の要部とタービンの要部を示す断面図である。
図2では、垂直面の断面の一部を示している。
【0024】
図2に示すように、燃焼器3は、燃焼器ケーシング301、及び導入管345を備えている。また、タービン4は、タービンケーシング41、静翼42、タービンロータ43、動翼44、スリーブ46、及びラビリンスシール47を備えている。各部は、金属材料によって形成されている。
【0025】
本実施形態の発電システムでは、燃焼器3の導入管345の内部をCO
2ガスF1(燃焼ガス)が流れる。そして、CO
2ガスF1(燃焼ガス)が作動流体としてタービン4に導入され、タービン4の内部を流れる。ここでは、タービン4の入口での温度が800℃以上であって圧力が20MPa以上であるCO
2ガスF1が作動流体として流れる。そして、タービン4において、CO
2ガスF1が静翼42を介して動翼44に供給されることによって、タービンロータ43が軸方向Cを回転軸として回転する。そして、タービン4の出口(図示省略)から作動流体が排出される。
【0026】
以下より、燃焼器3とタービン4とを構成する各部について、順次説明する。
【0027】
[B−1]燃焼器ケーシング301
燃焼器ケーシング301は、
図2に示すように、タービンケーシング41の外周面に、ボルト302を用いて結合されている。
【0028】
[B−2]導入管345
導入管345は、
図2に示すように、燃焼器ケーシング301に設置されている。導入管345は、管状体であって、燃焼器ケーシング301の内部空間301Aに設置されている。
【0029】
また、導入管345は、タービンケーシング41の外周面と内周面との間を貫通するように設置されており、燃焼器3で生成したCO
2ガスF1をタービンケーシング41の内部に導入する。
【0030】
具体的には、導入管345は、燃焼器ケーシング301の内部空間301A、および、タービンケーシング41の導入口411C,412Cの内部では、タービンロータ43の径方向(軸方向Cに垂直な方向)に沿って延在している。この部分では、導入管345は、燃焼器ケーシング301の内部空間301A、および、タービンケーシング41の導入口411C,412Cに対して同軸に設けられている。
【0031】
そして、導入管345は、タービンケーシング41の内側においては、タービンロータ43の軸方向Cに沿って延在している。導入管345においてタービンロータ43の軸方向Cへ延在する部分は、一端が、径方向の延在部分に湾曲部分を介して連結されており、他端が、初段の静翼42に連結されている。つまり、導入管345は、作動流体であるCO
2ガスF1を外部から初段の静翼42に供給する。
【0032】
本実施形態では、導入管345は、導入管345の外径が、燃焼器ケーシング301の内部空間301Aの内径よりも小さい。導入管345は、導入管345の外周面と、燃焼器ケーシング301の内部空間301Aの内周面との間に、冷却流体通路461が介在するように、内部空間301Aに収容されている。
【0033】
この冷却流体通路461においては、外部に設置された冷却流体供給部(図示省略)から冷却流体F2が供給され、内部を流れる。
【0034】
[B−3]タービンケーシング41
タービンケーシング41は、
図2に示すように、二重構造であって、内部ケーシング411と外部ケーシング412とを有し、タービンロータ43を内部に収容している。
【0035】
[B−3−1]内部ケーシング411
タービンケーシング41のうち、内部ケーシング411は、タービンロータ43の外周面を囲っている。そして、内部ケーシング411は、円筒部分を含み、外周面には、凸部411Aが外側へ突き出るように設けられている。
【0036】
また、内部ケーシング411においては、入口部411Bが外周面から外側へ突き出るように設けられている。入口部411Bは、管状であって、その内部には、導入口411Cが形成されている。導入口411Cは、入口部411Bにおいて内部ケーシング411の外周面と内周面との間を貫通するように形成されている。
【0037】
内部ケーシング411の導入口411Cは、第1導入口部411CAと第2導入口部411CBとを有する。第1導入口部411CAと第2導入口部411CBとの両者は、内部ケーシング411の内側から外側に向かって順次形成されており、互いに連通している。第1導入口部411CAと第2導入口部411CBとの両者は、円柱形状であって、互いに同軸に並んでおり、第1導入口部411CAの内径よりも第2導入口部411CBの内径の方が大きい。
【0038】
[B−3−2]外部ケーシング412
タービンケーシング41のうち、外部ケーシング412は、内部ケーシング411を内部に収容している。つまり、外部ケーシング412は、内部ケーシング411を介して、タービンロータ43の外周面を囲うように設置されている。そして、外部ケーシング412は、円筒部分を含み、内周面に凹部412Aが設けられている。外部ケーシング412の凹部412Aは、内部ケーシング411の凸部411Aが内部に嵌め込まれている。
【0039】
外部ケーシング412においては、導入口412Cが外部ケーシング412の外周面と内周面との間を貫通するように形成されている。外部ケーシング412の導入口412Cは、円柱形状であって、内部ケーシング411の導入口411Cと同軸に並んでおり、内部ケーシング411の導入口411Cに連通するように設けられている。また、外部ケーシング412の導入口412Cは、内部ケーシング411の導入口411Cよりも内径が大きい。
【0040】
[B−4]静翼42
静翼42は、
図2に示すように、タービンケーシング41を構成する内部ケーシング411の内周面に設置されている。ここでは、静翼42は、複数の段落が設けられている。複数段落の静翼42は、タービンロータ43の軸方向Cに沿って並んでいる。
【0041】
静翼42は、内側リング421と外側リング422とがタービンロータ43の外周面を円形に囲っており、その内側リング421と外側リング422との間にノズル板423がタービンロータ43の回転方向に間を隔てて複数並んでいる。そして、静翼42は、その複数のノズル板423の間の間隙から作動流体を動翼44に供給し、タービンロータ43を回転させる。
【0042】
[B−5]タービンロータ43
タービンロータ43は、
図2に示すように、ロータディスク431が外周面に設けられている。
【0043】
タービンロータ43において、ロータディスク431は、タービンロータ43の外周面を円形に囲っており、複数がタービンロータ43の軸方向Cに沿って間を隔てて並ぶように設けられている。各ロータディスク431は、各段落の静翼42において下流側に位置している。
【0044】
タービンロータ43は、ロータ軸受(図示省略)によって回転可能に支持されており、軸方向Cを回転軸として回転する。また、タービンロータ43は、発電機5(
図1参照)に連結されている。
【0045】
[B−6]動翼44
動翼44は、
図2に示すように、タービンロータ43に設けられたロータディスク431の外周面に設置されている。ここでは、動翼44は、複数段落の静翼42に対応して、複数段落が設けられている。複数段落の動翼44は、タービンロータ43の軸方向Cに沿って並んでいる。
【0046】
図示を省略しているが、各段落において、動翼44は、タービンロータ43の回転方向にて複数の羽根が間を隔てて設置されている。各段落において、動翼44は、上流側に設置された静翼42から作動流体が供給される。
【0047】
[B−7]スリーブ46
スリーブ46は、
図2に示すように、タービンケーシング41に設置されている。
【0048】
具体的には、スリーブ46は、管状体であって、タービンケーシング41の導入口411C,412Cの内部に設置されている。ここでは、スリーブ46は、外周面の下側部分が、内部ケーシング411の導入口411Cにおいて第2導入口部411CBの内周面に接している。また、スリーブ46は、外周面の上側部分が、外部ケーシング412の導入口412Cの内周面に接している。
【0049】
本実施形態では、スリーブ46は、導入管345よりも厚くなるように形成されている。
【0050】
また、スリーブ46は、内径が、導入管345の外径よりも大きい。スリーブ46は、導入管345との間に冷却流体通路461が形成されるように、導入管345を内部に収容している。
【0051】
スリーブ46の冷却流体通路461においては、外部に設置された冷却流体供給部(図示省略)から、冷却流体F2が供給され、内部を流れる。冷却流体F2は、導入管345の外周面と、燃焼器ケーシング301の内部空間301Aの内周面との間に設けられた冷却流体通路461を流れた後に、導入管345の外周面とスリーブ46の内周面との間に設けられた冷却流体通路461を流れる。
【0052】
[B−8]ラビリンスシール47について
ラビリンスシール47は、
図2に示すように、タービンケーシング41の内周面に設置されている。ラビリンスシール47は、内周面とタービンロータ43の外周面との間をシールし、作動流体であるCO
2ガスF1及び冷却流体F2が外部へ漏洩することを防止している。
【0053】
具体的には、ラビリンスシール47は、内部ケーシング411の内周面に複数がタービンロータ43の軸方向Cに並んで設置されている。また、ラビリンスシール47は、外部ケーシング412の内周面に複数がタービンロータ43の軸方向Cに並んで設置されている。
【0054】
[C]作用
以下より、上記のタービン4において、スリーブ46の冷却流体通路461を流れる冷却流体F2の作用について、
図2を参照して説明する。
【0055】
図2に示すように、冷却流体F2は、導入管345の外周面と、燃焼器ケーシング301の内部空間301Aの内周面との間に設けられた冷却流体通路461を流れる。その後、冷却流体F2は、導入管345の外周面とスリーブ46の内周面との間に設けられた冷却流体通路461を流れる。冷却流体F2は、外部に設置された冷却流体供給部(図示省略)から供給され、冷却流体通路461を流れる。たとえば、冷却流体F2は、CO
2ガスであって、導入管345を作動流体として流れるCO
2ガスF1よりも圧力が高く、温度が低い。このため、本実施形態では、導入管345からタービンケーシング41へ伝達する熱は、冷却流体通路461が無い場合よりも低く、冷却流体F2によってタービンケーシング41が冷却される。
【0056】
その後、冷却流体F2は、第1導入口部411CAの内周面と導入管345の外周面との間の空間を介して、冷却流体通路461からタービンケーシング41の内部へ流れる。そして、冷却流体F2は、タービンケーシング41の内部において、静翼42に設けられた孔(図示省略)の内部に導入されて、静翼42を冷却する。また、冷却流体F2は、動翼44に設けられた孔(図示省略)の内部に導入されて、動翼44を冷却する。この後、冷却流体F2は、タービン4の外部へ排出される。
【0057】
[D]まとめ
以上のように、本実施形態の発電システム1において、タービン4は、タービンロータ43を回転させる作動流体をタービンケーシング41の内部に導入する導入管345を、スリーブ46が内部に収容している。そして、導入管345とスリーブ46との間には、作動流体であるCO
2ガスF1よりも温度が低い冷却流体F2が流れる。
【0058】
このため、本実施形態では、冷却流体F2によってタービンケーシング41の温度が上昇することを抑制し、タービンケーシング41の温度を許容範囲内にすることができる。その結果、タービンケーシング41の機械的強度が低下することを防止し、高い信頼性を実現することができる。
【0059】
更に、本実施形態では、タービンケーシング41の温度上昇を抑制できるので、タービンケーシング41について、Ni基合金、Co基合金を用いずに、フェライト系材料を用いて形成することができる。その結果、安価なフェライト系材料を用いて、重量が大きく厚みが厚いケーシングを製作可能であるので、コストダウンを容易に実現することができる。さらに、本実施形態では、タービンケーシング41を構成する外部ケーシング412に直接接触する部分の圧力が低下するので、外部ケーシング412を厚くする必要がなく、コストダウンを、さらに容易に実現することができる。
【0060】
また、本実施形態においては、静翼42及び動翼44は、冷却流体F2が導入管345とスリーブ46との間を流れた後に供給されて冷却される。このため、別の系統から冷却流体F2を静翼42及び動翼44へ導入する必要がなくなり、効率を向上できる。
【0061】
本実施形態では、導入管345において、作動流体であるCO
2ガスF1が流れる内部と、冷却流体F2が流れる外部との間は、温度差が大きい。たとえば、300℃以上の温度差がある。また、本実施形態では、スリーブ46において、冷却流体F2が流れる内部と、スリーブ46の外部(内部ケーシング411と外部ケーシング412との間)との間は、圧力差が大きい。たとえば、50ata以上の圧力差がある。
【0062】
本実施形態では、導入管345が薄く、スリーブ46が厚い。両者を比較すると、一方が他方より薄い関係にある。このように、本実施形態では、導入管345が薄いため、上記の温度差を吸収して導入管345の熱応力を小さくすることができるので、信頼性を向上させることができる。また、本実施形態では、スリーブ46が厚いため、上記の圧力差を吸収し、スリーブ46のフープ応力を小さくすることができるので、信頼性を向上させることができる。すなわち、薄い導入管345と厚いスリーブ46とを組み合わせることにより、課題を解決することができる。
【0063】
[E]変形例
上記の実施形態の発電システム1では、燃焼器3がタービン4の外部に設置されているが(
図1参照)、これに限らない。燃焼器3をタービン4の内部に設置してもよい。燃焼器3は、単数でも、複数でもよい。
【0064】
上記の実施形態において、タービン4は、タービンケーシング41が内部ケーシング411と外部ケーシング412とを有する二重構造であるが、これに限らない。タービンケーシング41については、たとえば、単一で構成してもよい。
【0065】
上記の実施形態においては、導入管345が単一の管状体によって形成されている場合について説明したが、これに限らない。たとえば、複数の管状体を連結させることによって、導入管345を構成してもよい。
【0066】
<第2実施形態>
[A]構成
図3は、第2実施形態に係る発電システムにおいて、燃焼器の要部とタービンの要部を示す断面図である。
図3では、
図2のうち、作動流体であるCO
2ガスF1がタービンケーシング41の内部に導入される部分を示している。
【0067】
図3に示すように、本実施形態においては、シール部48が更に設けられている。本実施形態は、上記の点、および、関連する点を除き、第1実施形態の場合と同様である。このため、本実施形態において上記の実施形態と重複する個所については、適宜、記載を省略する。
【0068】
シール部48は、
図3に示すように、第1シール部481及び第2シール部482を備えており、タービンケーシング41の導入口411C,412Cの内周面と、スリーブ46の外周面との間に設置されている。以下より、シール部48を構成する各部について順次説明する。
【0069】
[A−1]第1シール部481
シール部48のうち、第1シール部481は、第1シールリング481Aと、第2シールリング481Bとを有し、第1シールリング481Aと、第2シールリング481Bとが交互に積み重ねられている。
【0070】
本実施形態においては、内部ケーシング411の導入口411Cは、第2導入口部411CBの上方に、第2導入口部411CBよりも内径が大きい第3導入口部411CCが形成されており、第1シール部481は、その第3導入口部411CCの内周面と、スリーブ46の下側部分の外周面との間に設置されている。
【0071】
第1シール部481において、第1シールリング481Aは、内径がスリーブ46の下側部分の外径と同一であり、第1シールリング481Aの内周面がスリーブ46の下側部分の外周面に接している。また、第1シールリング481Aは、外径が第3導入口部411CCの内径よりも小さく、第1シールリング481Aの外周面が、第3導入口部411CCの内周面から離れている。ここでは、第1シールリング481Aは、スリーブ46に固定されていない。複数の第1シールリング481Aのうち、最下段の第1シールリング481Aは、内部ケーシング411によって下面が支持されており、他の第1シールリング481Aは、第2シールリング481Bに下面が支持されている。
【0072】
第1シール部481において、第2シールリング481Bは、内径がスリーブ46の下側部分の外径よりも大きく、第2シールリング481Bの内周面が、スリーブ46の下側部分の外周面から離れている。また、第2シールリング481Bは、外径が第3導入口部411CCの内径と同一であり、第2シールリング481Bの外周面が、第3導入口部411CCの内周面に接している。ここでは、第2シールリング481Bは、第3導入口部411CCの内周面に固定されている。
【0073】
[A−2]第2シール部482
シール部48のうち、第2シール部482は、第3シールリング482Aと、第4シールリング482Bとを有し、第3シールリング482Aと第4シールリング482Bとが交互に積み重ねられている。
【0074】
第2シール部482は、外部ケーシング412の導入口412Cの内周面と、スリーブ46の上側部分の外周面との間に設置されている。
【0075】
第2シール部482において、第3シールリング482Aは、内径がスリーブ46の上側部分の外径と同一であり、第3シールリング482Aの内周面がスリーブ46の上側部分の外周面に接している。また、第3シールリング482Aは、外径が外部ケーシング412の導入口412Cの内径よりも小さく、第3シールリング482Aの外周面が、外部ケーシング412の導入口412Cの内周面から離れている。ここでは、第3シールリング482Aは、スリーブ46に固定されておらず、外部ケーシング412によって下面が支持されている。
【0076】
第2シール部482において、第4シールリング482Bは、内径がスリーブ46の上側部分の外径よりも大きく、第4シールリング482Bの内周面が、スリーブ46の上側部分の外周面から離れている。また、第4シールリング482Bは、外径が外部ケーシング412の導入口412Cの内径と同一であり、第4シールリング482Bの外周面が、外部ケーシング412の導入口412Cの内周面に接している。ここでは、第4シールリング482Bは、外部ケーシング412の導入口412Cの内周面に固定されている。
【0077】
[B]作用
以下より、本実施形態において、シール部48の作用について、
図3を参照して説明する。
【0078】
高温高圧なCO
2ガスF1が導入管345を流れると、タービンケーシング41とスリーブ46との間には、両者の熱膨張の差異に起因して、隙間が発生する場合がある。このため、その隙間からCO
2ガスが漏洩する場合がある。
【0079】
しかし、本実施形態では、タービンケーシング41とスリーブ46との間には、シール部48が設けられており、タービンケーシング41とスリーブ46との間をシールしている。このため、本実施形態では、隙間からCO
2ガスが漏洩することを防止できる。
【0080】
具体的には、内部ケーシング411とスリーブ46との間が熱膨張の差異によって離れた場合であっても、第1シール部481においては、第1シールリング481Aと第2シールリング481Bとが互いに積層された状態を保持する。このため、内部ケーシング411とスリーブ46との間を第1シール部481がシールすることができる。
【0081】
また、外部ケーシング412とスリーブ46との間が熱膨張の差異によって離れた場合であっても、第2シール部482においては、第3シールリング482Aと第4シールリング482Bとが互いに積層された状態を保持する。このため、外部ケーシング412とスリーブ46との間を第2シール部482がシールすることができる。
【0082】
[C]まとめ
以上のように、本実施形態においては、タービンケーシング41とスリーブ46との間がシール部48によってシールされている。このため、タービンケーシング41とスリーブ46との間から、CO
2ガスが漏洩することを防止できる。
【0083】
その結果、本実施形態では、第1実施形態の場合と同様に、高い信頼性を実現することができる他に、タービン4の効率を向上することができる。
【0084】
<第3実施形態>
[A]構成
図4は、第3実施形態に係る発電システムにおいて、燃焼器の要部とタービンの要部を示す断面図である。
図4では、
図3と同様に、
図2のうち、作動流体であるCO
2ガスF1がタービンケーシング41の内部に導入される部分を示している。
【0085】
図4に示すように、本実施形態においては、スリーブ46とシール部48との形態が、第2実施形態の場合と異なる。本実施形態は、上記の点、および、関連する点を除き、第2実施形態の場合と同様である。このため、本実施形態において上記の実施形態と重複する個所については、適宜、記載を省略する。
【0086】
スリーブ46は、
図4に示すように、上端部にフランジ46Fが設けられている。スリーブ46は、ボルトなどの締結部材(図示省略)がフランジ46Fを貫通して外部ケーシング412に取付けられることによって、外部ケーシング412に固定される。
【0087】
シール部48は、
図4に示すように、内部ケーシング411とスリーブ46との間に設けられている。つまり、シール部48は、第1シール部481のみが設置されており、第2シール部482(
図3参照)については設置されていない。
【0088】
[B]まとめ
以上のように、本実施形態においては、スリーブ46は、外部ケーシング412に固定されており、シール部48は、内部ケーシング411とスリーブ46との間に設けられている。
【0089】
本実施形態においては、タービンケーシング41を組立後に、タービンケーシング41の導入口411C,412Cにスリーブ46を挿入することによって、タービン4を組み立てることができる。
【0090】
このため、本実施形態では、上記の実施形態の場合と同様に、高い信頼性を実現でき、かつ、タービン4の効率の向上が可能である他に、タービン4の組立てを効率良く行うことができる。
【0091】
<第4実施形態>
[A]構成
図5は、第4実施形態に係る発電システムにおいて、燃焼器の要部とタービンの要部を示す断面図である。
図5では、
図3と同様に、
図2のうち、作動流体であるCO
2ガスF1がタービンケーシング41の内部に導入される部分を示している。
【0092】
図5に示すように、本実施形態においては、スリーブ46とシール部48との形態が、第2実施形態の場合と異なる。本実施形態は、上記の点、および、関連する点を除き、第2実施形態の場合と同様である。このため、本実施形態において上記の実施形態と重複する個所については、適宜、記載を省略する。
【0093】
スリーブ46は、
図5に示すように、上端部と下端部との間の中央部分にフランジ46Fが設けられている。スリーブ46は、ボルトなどの締結部材(図示省略)がフランジ46Fを貫通して内部ケーシング411の入口部411Bの上端に取付けられることによって、内部ケーシング411に固定される。
【0094】
シール部48は、
図5に示すように、外部ケーシング412とスリーブ46との間に設けられている。つまり、シール部48は、第2シール部482のみが設置されており、第1シール部481(
図3参照)については設置されていない。
【0095】
[B]まとめ
以上のように、本実施形態においては、スリーブ46は、内部ケーシング411に固定されており、シール部48は、外部ケーシング412とスリーブ46との間に設けられている。
【0096】
このため、本実施形態では、上記の実施形態の場合と同様に、高い信頼性を実現することができる他に、タービン4の効率の向上が可能である。
【0097】
<第5実施形態>
[A]構成
図6は、第5実施形態に係る発電システムにおいて、燃焼器の要部とタービンの要部を示す断面図である。
図6では、
図2のうち、作動流体であるCO
2ガスF1がタービンケーシング41の内部に導入される部分を示している。
【0098】
図6に示すように、本実施形態においては、ヒートシールド管349が更に設置されている。本実施形態は、上記の点、および、関連する点を除き、第1実施形態の場合と同様である。このため、本実施形態において上記の実施形態と重複する個所については、適宜、記載を省略する。
【0099】
ヒートシールド管349は、
図6に示すように、燃焼器ケーシング301に設置されている。ヒートシールド管349は、管状体であって、燃焼器ケーシング301の内部空間301Aに設置されている。
【0100】
また、ヒートシールド管349は、タービンケーシング41の外周面と内周面との間を貫通する部分を含むように設置されている。
【0101】
具体的には、ヒートシールド管349は、燃焼器ケーシング301の内部空間301A、および、タービンケーシング41の導入口411C,412Cの内部では、タービンロータ43の径方向(軸方向Cに垂直な方向)に沿って延在している。この部分では、ヒートシールド管349は、燃焼器ケーシング301の内部空間301A、および、タービンケーシング41の導入口411C,412Cに対して同軸に設けられている。
【0102】
そして、ヒートシールド管349は、タービンケーシング41の内側においては、タービンロータ43の軸方向Cに沿って延在している。ヒートシールド管349においてタービンロータ43の軸方向Cへ延在する部分は、一端が、径方向の延在部分に湾曲部分を介して連結されており、他端が、初段の静翼42に連結されている。
【0103】
ヒートシールド管349は、内径が、導入管345の外径よりも大きく、ヒートシールド管349の内周面と導入管345の外周面との間には、冷却流体通路491が形成されている。ヒートシールド管349は、たとえば、Ni基合金、ステンレス鋼で形成されており、内部に収容している導入管345は、たとえば、Ni基合金で形成されている。なお、両者を同じ金属材料で形成してもよい。
【0104】
また、ヒートシールド管349は、外径が、燃焼器ケーシング301の内部空間301Aの内径よりも小さい。これと共に、ヒートシールド管349は、外径が、スリーブ46の内径よりも小さい。ヒートシールド管349の上側部分においては、ヒートシールド管349の外周面と、燃焼器ケーシング301の内部空間301Aの内周面との間に、冷却流体通路461が形成されている。また、ヒートシールド管349の外周面と、スリーブ46の内周面との間には、冷却流体通路461が形成されている。ヒートシールド管349は、フランジ349Fが外周面に設けられており、フランジ349Fがスリーブ46の上端部に接して支持されている。
【0105】
[B]作用
以下より、本実施形態において、冷却流体通路461,491を流れる冷却流体F2の作用について、
図6を参照して説明する。
【0106】
図6に示すように、冷却流体F2のうち、第1冷却流体F21は、燃焼器ケーシング301とヒートシールド管349との間を流れる。その後、第1冷却流体F21は、ヒートシールド管349のフランジ349Fに設けられた孔を介して、スリーブ46の内部においてヒートシールド管349との間に設けられた冷却流体通路461に供給される。一方で、冷却流体F2のうち、第2冷却流体F22は、ヒートシールド管349の内部において導入管345との間に設けられた冷却流体通路491に供給される。第1冷却流体F21及び第2冷却流体F22は、外部に設置された冷却流体供給部(図示省略)から各冷却流体通路461,491に供給され、各冷却流体通路461,491を流れる。たとえば、第1冷却流体F21及び第2冷却流体F22は、CO
2ガスであって、導入管345を作動流体として流れるCO
2ガスF1よりも圧力が高く、温度が低い。また、第2冷却流体F22は、CO
2ガスF1よりも温度が低く、第1冷却流体F21よりも温度が高い。このため、本実施形態では、導入管345からタービンケーシング41へ伝達する熱は、冷却流体通路461,491が無い場合よりも低く、冷却流体F2によってタービンケーシング41が冷却される。
【0107】
その後、第1冷却流体F21及び第2冷却流体F22は、第1実施形態の場合と同様に、タービンケーシング41の内部を流れて外部へ排出される。
【0108】
[C]まとめ
以上のように、本実施形態においては、ヒートシールド管349が導入管345を内部に収容していると共に、スリーブ46の内部にヒートシールド管349が収容されている。そして、ヒートシールド管349と導入管345との間には、作動流体F1よりも温度が低い冷却流体F2が流れる。
【0109】
このため、本実施形態では、冷却流体F2によってスリーブ46の内面と外面との間の温度差が緩和されるので、スリーブ46が熱によって膨張することを抑制できる。その結果、スリーブ46とタービンケーシング41との間に隙間が発生することを低減し、発電効率を向上することができる。
【0110】
<その他>
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。