特許第6013289号(P6013289)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6013289半導体基板の洗浄方法および半導体基板の洗浄装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013289
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】半導体基板の洗浄方法および半導体基板の洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20161011BHJP
【FI】
   H01L21/304 651B
   H01L21/304 647Z
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-162320(P2013-162320)
(22)【出願日】2013年8月5日
(65)【公開番号】特開2015-32735(P2015-32735A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2015年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小出 辰彦
(72)【発明者】
【氏名】高見 渚
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 洋平
【審査官】 ▲高▼須 甲斐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−138482(JP,A)
【文献】 特開2007−335815(JP,A)
【文献】 特開2011−124410(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/157507(WO,A1)
【文献】 特開2013−118347(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターンが形成された半導体基板の表面にシランカップリング剤を含む薬液を供給して前記パターン表面に保護膜を形成する工程と、
前記シランカップリング剤を含む薬液が付着した前記半導体基板の表面にアルコールを供給して前記薬液をアルコールに置換する工程と、
前記アルコールで置換した前記半導体基板の表面に予め希釈されたアルコールをノズルを介して供給して前記アルコールを前記希釈アルコールに置換する工程と、
前記希釈アルコールで置換した前記半導体基板の表面に純水を供給して前記希釈アルコールを前記純水に置換する工程と
を備えたことを特徴とする半導体基板の洗浄方法。
【請求項2】
前記アルコールを前記希釈アルコールに置換する工程において、アルコール濃度が50%の希釈アルコールを用いることを特徴とする請求項1記載の半導体基板の洗浄方法。
【請求項3】
前記アルコールを前記希釈アルコールに置換する工程において、最初はアルコール濃度が高い希釈アルコールを用い、その後、アルコール濃度を段階的に低下させた希釈アルコールを用いることを特徴とする請求項1記載の半導体基板の洗浄方法。
【請求項4】
パターンが形成された半導体基板の表面にシランカップリング剤を含む薬液を供給して前記パターン表面に保護膜を形成する工程と、
前記シランカップリング剤を含む薬液の溶媒が付着した前記半導体基板の表面に予めアルコールで希釈された希釈溶媒を供給して前記シランカップリング剤を含む薬液を前記希釈溶媒に置換する工程と、
前記希釈溶媒で置換した前記半導体基板の表面にアルコールを供給して前記希釈溶媒を前記アルコールに置換する工程と、
前記アルコールで置換した前記半導体基板の表面に予め希釈されたアルコールを供給して前記アルコールを前記希釈アルコールに置換する工程と、
前記希釈アルコールで置換した前記半導体基板の表面に純水を供給して前記希釈アルコールを前記純水に置換する工程と
を備えたことを特徴とする半導体基板の洗浄方法。
【請求項5】
パターンが形成された半導体基板を保持して回転させる基板保持回転機構と、
前記半導体基板の上方に設けられ、処理液を前記半導体基板上に供給するノズルと、
前記ノズルを介して前記半導体基板に前記処理液を供給する処理液供給装置と、
を備え、
前記処理液供給装置を制御することにより、シランカップリング剤を含む薬液を前記半導体基板に供給して前記半導体基板上のパターン表面に保護膜を形成し、前記シランカップリング剤を含む薬液が付着した前記半導体基板の表面にアルコールを供給して前記薬液をアルコールに置換し、前記アルコールで置換した前記半導体基板の表面に予め希釈されたアルコールをノズルを介して供給して前記アルコールを前記希釈アルコールに置換し、前記希釈アルコールで置換した前記半導体基板の表面に純水を供給して前記希釈アルコールを前記純水に置換することを特徴とする半導体基板の洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体基板の洗浄方法および半導体基板の洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程には、リソグラフィ工程、エッチング工程、イオン注入工程などの様々な工程が含まれている。各工程の終了後、次の工程に移る前に、ウエハ表面に残存した不純物や残渣を除去してウエハ表面を清浄にするための洗浄工程及び乾燥工程が実施されている。
【0003】
近年、素子の微細化に伴い、ウエハの表面の微細パターンを洗浄し、乾燥させる際に、毛細管現象により、微細パターンが倒壊するという問題が生じた。このような問題を解決するため、パターンの表面を撥水化し、パターンとリンス純水との間に働く毛細管力を低下させる洗浄方法が知られている。
【0004】
この洗浄方法の一例について、説明する。まず、ウエハの表面について、例えばSPM(sulfuric acid/hydrogen peroxide mixture)の薬液を用いて洗浄することにより、ウエハの表面に残存するエッチング残渣を除去する。この後、ウエハに付着した薬液を除去するために、純水、例えばDIW(deionized water)によるリンス処理を行う。このリンス処理は、ウエハに付着した薬液を純水に置換することにより行う。純水でリンスした後は、純水をアルコール、例えばIPA(isopropyl alcohol)で置換するアルコールリンス処理を行う。
【0005】
その後、ウエハの表面に撥水化処理を施す。撥水化処理としては、例えばシランカップリング剤を含む薬液を用いて、撥水性保護膜を形成する処理を行う。すなわち、ウエハの表面にシランカップリング剤を接触させることにより、凸形状パターンの表面に撥水性保護膜を形成する。次に、シランカップリング剤を含む薬液をアルコールで置換するアルコールリンス処理を行う。この後、アルコールリンス液を純水で置換する純水リンス処理を行う。次に、乾燥工程を実行し、ウエハに付着した水を除去する。しかし、素子の微細化が一層進むと、パターン間のスペースが一層狭くなることから、置換不足によりパターン間に残った前ステップの微量の薬液の影響でパターン倒壊が発生することがあった。例えば、薬液として水と親和性の低いシランカップリング剤を用いている場合、水と親和性のよいIPAとの置換が十分でなかった場合、最後の水リンス時にシランカップリング剤やIPAがパターン間に残ってしまうため、パターン倒壊を引き起こすことがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−114414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
素子の微細化が一層進んだ場合において、半導体基板の表面の洗浄時に微細パターンが倒壊することを防止できる半導体基板の洗浄方法および半導体基板の洗浄装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態の半導体基板の洗浄方法は、パターンが形成された半導体基板の表面にシランカップリング剤を含む薬液を供給して前記パターン表面に保護膜を形成する工程と、
前記シランカップリング剤を含む薬液が付着した前記半導体基板の表面にアルコールを供給して前記薬液をアルコールに置換する工程と、前記アルコールで置換した前記半導体基板の表面に予め希釈されたアルコールをノズルを介して供給して前記アルコールを前記希釈アルコールに置換する工程と、前記希釈アルコールで置換した前記半導体基板の表面に純水を供給して前記希釈アルコールを前記純水に置換する工程とを備えている。
【0009】
本実施形態の半導体基板の洗浄装置は、パターンが形成された半導体基板を保持して回転させる基板保持回転機構と、前記半導体基板の上方に設けられ、処理液を前記半導体基板上に供給するノズルと、前記ノズルを介して前記半導体基板に前記処理液を供給する処理液供給装置と、を備え、前記処理液供給装置を制御することにより、シランカップリング剤を含む薬液を前記半導体基板に供給して前記半導体基板上のパターン表面に保護膜を形成し、前記シランカップリング剤を含む薬液が付着した前記半導体基板の表面にアルコールを供給して前記薬液をアルコールに置換し、前記アルコールで置換した前記半導体基板の表面に予め希釈されたアルコールをノズルを介して供給して前記アルコールを前記希釈アルコールに置換し、前記希釈アルコールで置換した前記半導体基板の表面に純水を供給して前記希釈アルコールを前記純水に置換することを特徴とする
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態を示す半導体基板の洗浄装置の概略構成を示す図
図2】半導体基板の洗浄方法を示すフローチャート
図3】第2実施形態を示す図2相当図
図4】第3実施形態を示す図2相当図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、複数の実施形態について、図面を参照して説明する。尚、各実施形態において、実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。
【0012】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る半導体基板の洗浄方法及び半導体基板の洗浄装置について、図1及び図2を参照して説明する。まず、図1は、半導体基板の洗浄装置1の概略構成を示す図である。この洗浄装置1は、ウエハ(半導体基板)2に処理液を供給してウエハ2を1枚ずつ処理する枚葉式のものである。図1に示すように、洗浄装置1は、ウエハ2をほぼ水平に保持して回転させる基板保持回転機構であるスピンチャック3を備えている。処理対象のウエハ2は、搬送装置(図示しない)により搬入されて、スピンチャック3に受け渡されるように構成されている。
【0013】
上記スピンチャック3は、ほぼ鉛直方向に延びるように設けられ駆動装置により回転駆動される回転軸4と、回転軸4の上端に取り付けられウエハ2を載置支持する円板状のスピンベース5と、スピンベース5の周縁部に設けられウエハ2を挟持するチャックピン6とを有する。スピンチャック3は、ウエハ2をほぼ水平に保持して所望の回転速度で回転させることが可能である。
【0014】
スピンチャック3のスピンベース5の中心部の上方には、ノズル7が配設されている。ノズル7には、薬液や純水やアルコール(IPA)等の種々の処理液を供給する処理液供給装置8がパイプ9を介して接続されており、処理液供給装置8から送出された処理液はノズル7の先端からウエハ2の表面の回転中心付近に吐出されて供給されるようになっている。尚、ノズル7をロボット等によりXYZ方向に移動可能に設けることが好ましい。
【0015】
処理液供給装置8は、処理液を貯留するタンク10と、処理液をタンク10から送り出すポンプ11と、処理液が流通するパイプ9を開閉するバルブ12とからなる処理液供給ユニット13を複数(処理液の種類分以上)備えている。そして、パイプ9のうちのノズル7に近い部分にもバルブ14が設けられている。更に、上記複数の処理液供給ユニット13の各ポンプ11及び各バルブ12、加えて、バルブ14は、コントローラ(制御装置)15によってそれぞれ駆動制御される構成となっている。これにより、コントローラ15は、複数種類の各処理液の供給開始及び供給停止をバルブ12、14を開閉制御することによって実行し、各処理液の供給量の増減をポンプ11を運転制御することによって実行する構成となっている。尚、複数の処理液供給ユニット13にそれぞれ対応させて複数のノズル7を設けるように構成しても良い。このように構成した場合、複数のノズル7はロボット等によりXYZ方向に移動可能に設け、各ノズル7の移動はコントローラ15によって制御することが好ましい。
【0016】
次に、本実施形態のウエハ2の洗浄方法について、図2のフローチャートも参照して説明する。まず、図2のステップS10において、ウエハ2を導入してスピンチャック3のスピンベース5上に載置してチャックピン6により挟持する。続いて、ステップS20へ進み、ウエハ2の表面に薬液(例えばSPM)を供給して洗浄する薬液(洗浄)処理を行う。この場合、ノズル7からウエハ2の表面の回転中心付近に薬液を供給すると、薬液がウエハ2の回転による遠心力を受けてウエハ2の表面の全域に行き渡り、ウエハ2の洗浄処理が行われる。これにより、ウエハ2の表面に残存するエッチング残渣を除去することができる。尚、薬液としては、上記SPMの他に、アンモニア及び過酸化水素水のアルカリ性水溶液であるSC1を用いても良い。
【0017】
この後、ステップS30へ進み、ウエハ2に付着した薬液を除去するために、薬液を純水、例えばDIW(deionized water)により置換する純水リンス処理を行う。この場合、ノズル7からウエハ2の表面の回転中心付近に純水を供給すると、純水がウエハ2の回転による遠心力を受けて、ウエハ2の表面の全域に行き渡る。これにより、ウエハ2の表面に残留していた薬液が純水によって洗い流される。
【0018】
次いで、ステップS40へ進み、純水をアルコール(例えばIPA(isopropyl alcohol))で置換するアルコールリンス処理を行う。この場合、ノズル7からウエハ2の表面の回転中心付近にアルコールを供給すると、アルコールがウエハ2の回転による遠心力を受けて、ウエハ2の表面の全域に行き渡る。これにより、ウエハ2の表面に残留していた純水がアルコールによって置換される。
【0019】
この後、ステップS50へ進み、ウエハ2の表面に撥水性処理を施す。この撥水性処理においては、例えばシランカップリング剤を含む薬液を用いて、撥水性保護膜を形成する。この場合、ノズル7からウエハ2の表面の回転中心付近に上記シランカップリング剤を含む薬液を供給する。シランカップリング剤を含む薬液がウエハ2の回転による遠心力を受けて、ウエハ2表面全域に行き渡る。これにより、ウエハ2の表面にシランカップリング剤が接触することにより、ウエハ2の表面の凸形状パターンの表面に撥水性保護膜が形成される。上記シランカップリング剤としては、例えばヘキサメチルジシラン(HMDS)、トリメチルシリルジメチルアミン(TMSDMA)、トリメチルシリルジエチルアミン(TMSDEA)等を用いることが好ましい。尚、上記撥水性保護膜を、界面活性剤を用いて形成しても良い。
【0020】
次に、ステップS60へ進み、シランカップリング剤を含む薬液をアルコール(例えばIPA)で置換するアルコールリンス処理を行う。この場合、ノズル7からウエハ2の表面の回転中心付近にアルコールを供給すると、アルコールがウエハ2の回転による遠心力を受けて、ウエハ2の表面の全域に行き渡る。これにより、ウエハ2の表面に残留していたシランカップリング剤を含む薬液がアルコールによって置換される。
【0021】
続いて、ステップS70へ進み、上記アルコールリンス液(IPA)を希釈アルコール(希釈IPA)で置換する希釈アルコールリンス処理を行う。この場合、ノズル7からウエハ2の表面の回転中心付近に希釈アルコールを供給すると、希釈アルコールがウエハ2の回転による遠心力を受けて、ウエハ2の表面の全域に行き渡る。これにより、ウエハ2の表面に残留していたアルコールが希釈アルコールによって置換される。尚、希釈アルコールの濃度は、例えば約50%とする。
【0022】
この後、ステップS80へ進み、希釈アルコールリンス液(希釈IPA)を純水で置換する純水リンス処理を行う。この場合、ノズル7からウエハ2の表面の回転中心付近に純水を供給すると、純水がウエハ2の回転による遠心力を受けて、ウエハ2の表面の全域に行き渡る。これにより、ウエハ2の表面に残留していた希釈IPAが純水によって置換される。
【0023】
上述したように、アルコールリンス液(IPA)を希釈アルコールリンス液(希釈IPA)で置換する希釈アルコールリンス処理(ステップS70)と、希釈アルコールリンス液(希釈IPA)を純水で置換する純水リンス処理(ステップS80)とを、この順に続けて実行するように構成すると、撥水成保護膜表面におけるアルコールリンス液から純水への置換を速やかに且つ十分に実行することができる。尚、従来構成においては、上記ステップS70を実行しないで、アルコールリンス液(IPA)を純水で直接置換する純水リンス処理を実行するように構成しており、このように純水リンス処理を実行すると、置換不足が発生することがあり、残留したアルコールに起因してパターン倒壊が発生することがあった。これに対して、本実施形態によれば、純水リンス処理(ステップS80)の前に、希釈アルコールリンス処理(ステップS70)を実行するように構成したので、置換不足を解消することができ、パターン倒壊のリスクを大幅に低減することができる。
【0024】
次いで、ステップS90へ進み、ウエハ2に付着した水を除去する乾燥処理を行なう。この場合、例えばウエハ2の回転速度を所定のスピンドライ回転速度に上昇させることにより、ウエハ2の表面に残っている純水を振り切って乾燥させるスピンドライ処理を実行する。
【0025】
この後、ステップS100へ進み、必要に応じて、ウエハ2の表面に形成された撥水性保護膜を除去する処理を行なう。この場合、例えばエキシマUV処理により、撥水性保護膜を除去する。これにより、ウエハ2の洗浄処理(清浄化処理)が終了する。尚、ドライアッシングやオゾンガス処理等の処理を行なって、撥水性保護膜を除去するようにしても良い。また、この後の工程において、撥水性保護膜が除去される場合には、上記乾燥処理後、すぐに撥水性保護膜を除去しないように構成しても良い。
【0026】
上記した構成の本実施形態においては、撥水性保護膜の表面におけるアルコールリンス液から純水への置換を行なう際に、希釈アルコールリンス処理(ステップS70)と純水リンス処理(ステップS80)とを、この順に続けて実行するように構成した。まず、希釈アルコールリンス処理においては、アルコールリンス液を希釈アルコールリンス液で置換するので、アルコールリンス液を純水で直接置換する構成に比べて、両者の濃度差が小さくなる。このため、アルコールリンス液に希釈アルコールリンス液がなじみ易くなり、希釈アルコールリンス液への置換を十分に行なうことができる。
【0027】
そして、次に実行する純水リンス処理においては、希釈アルコールリンス液を純水で置換するので、アルコールリンス液を純水で直接置換する構成に比べて、両者の濃度差が小さくなる。このため、希釈アルコールリンス液に純水がなじみ易くなり、純水への置換を十分に行なうことができる。従って、本実施形態によれば、希釈アルコールリンス処理と純水リンス処理とを、この順に続けて実行するように構成したので、アルコールリンス液から純水へ直接置換する従来構成に比べて、アルコールリンス液から純水への置換を十分に実行することができる。
【0028】
尚、上記実施形態において、アルコール濃度が約50%の希釈アルコールを用いて希釈アルコールリンス処理を実行する際に、アルコール濃度が約50%の希釈アルコールを貯留したタンク10から送り出した希釈アルコールを、ウエハ2の表面に供給するように構成したが、これに代えて、ノズル7を2個設け、一方のノズル7から約100%のIPA濃度のIPAを供給し、他方のノズル7から約100%の純水を同時に供給することによって、アルコール濃度が約50%の希釈アルコールをウエハ2の表面に供給するように構成しても良い。
【0029】
また、上記実施形態では、希釈アルコールリンス処理(ステップS70)において、例えば約50%のアルコール濃度の希釈アルコールを用いるように構成したが、これに限られるものではなく、他の数値(約60%、約40%等)のアルコール濃度の希釈アルコールを用いて希釈アルコールリンス処理を行うようにしても良い。
【0030】
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態を示すものである。尚、第1実施形態と同一構成には、同一符号を付している。この第2実施形態の半導体基板の洗浄方法は、図3に示すように、ステップS170の段階的希釈アルコールリンス処理を除いて、第1実施形態の半導体基板の洗浄方法(図2参照)と同じである。
【0031】
上記ステップS170の段階的希釈アルコールリンス処理においては、ノズル7からウエハ2の表面の回転中心付近に希釈アルコール(IPA)を供給するときに、希釈アルコールのアルコール濃度を段階的に変化させる。この場合、段階的希釈アルコールステップの最初においては、アルコールの濃度を高くし、段階的にアルコール濃度を低減していく。具体的には、約90%、約80%、・・・、約10%というようにアルコール濃度を低減させることが好ましい。
【0032】
この場合、各アルコール濃度の希釈アルコールを供給する処理液供給ユニット13を用意し、これら処理液供給ユニット13からノズル7へ所望のアルコール濃度の希釈アルコールを順次切り替えて供給するように構成することが好ましい。また、ノズル7を2個設け、一方のノズル7から約100%のアルコール濃度のアルコールを供給し、他方のノズル7から約100%の純水を同時に供給するように構成し、約100%のアルコール濃度のアルコールと約100%の純水の供給比率を段階的(経時的)に変化させるように構成しても良い。また、約100%のアルコール濃度のアルコールと、約100%の純水を同時に供給して混合するタンク10を用意し、このタンク10内で混合した希釈アルコールを1個のノズル7からウエハ2の表面へ供給するように構成し、上記タンクに供給する約100%のアルコール濃度のアルコールと約100%の純水の供給比率を段階的(経時的)に変化させるように構成しても良い。
【0033】
上述した以外の第2実施形態の構成は、第1実施形態と同じ構成となっている。従って、第2実施形態においても、第1実施形態とほぼ同じ作用効果を得ることができる。特に、第2実施形態によれば、ノズル7からウエハ2の表面の供給する希釈アルコールのアルコール濃度を段階的に変化させるように構成したので、置換する際の濃度差をより一層小さくすることができる。このため、撥水性保護膜表面でのアルコールから純水への置換をより一層十分に行うことができるから、置換不足によるパターン倒壊のリスクをより一層低減することができる。
【0034】
(第3実施形態)
図4は、第3実施形態を示すものである。尚、第1実施形態と同一構成には、同一符号を付している。この第3実施形態の半導体基板の洗浄方法は、図4に示すように、ステップS50と、ステップS60(シランカップリング剤を含む薬液をアルコールで置換するアルコールリンス処理)との間に、ステップS55の希釈溶媒リンス処理を追加した。
【0035】
上記ステップS55の希釈溶媒リンス処理においては、シランカップリング剤に使用されている溶媒(例えばシンナー)を、アルコール(例えばIPA)で希釈した希釈溶媒で、シランカップリング剤を含む薬液を置換するリンス処理を実行する。この場合、希釈溶媒の濃度は、例えば約50%とする。尚、上記シンナーとしては、例えばエステル系、ラクトン系、炭化水素系等を用いることが好ましい。エステル系の具体例としては、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)やプロピレングリコールメチルエーテル(PGME)等がある。ラクトン系の具体例としては、ガンマブチルラクトン(GBL)等がある。
【0036】
そして、上記ステップS55の後のステップS60においては、希釈溶媒をアルコールで置換するアルコールリンス処理が実行される。
上述した以外の第3実施形態の構成は、第1実施形態と同じ構成となっている。従って、第3実施形態においても、第1実施形態とほぼ同じ作用効果を得ることができる。特に、第3実施形態によれば、シランカップリング剤を含む薬液をアルコールで置換するアルコールリンス処理(ステップS60)の前に、シランカップリング剤に使用されている溶媒をアルコールで希釈した希釈溶媒で、シランカップリング剤を含む薬液をリンスする処理(ステップS55)を行うように構成したので、撥水性保護膜表面においてシランカップリング剤からアルコールへの置換を十分に行うことができ、置換不足によるパターン倒壊のリスクを低減することができる。
【0037】
尚、上記実施形態において、濃度が約50%の希釈溶媒を用いて希釈溶媒リンス処理を実行する際に、濃度が約50%の希釈溶媒を貯留したタンク10から送り出した希釈溶媒を、ウエハ2の表面に供給するように構成したが、これに代えて、ノズル7を2個設け、一方のノズル7から約100%の溶媒(シンナー)濃度の溶媒を供給し、他方のノズル7から約100%のアルコール濃度のアルコールを同時に供給することによって、濃度が約50%の希釈溶媒をウエハ2の表面に供給するように構成しても良い。
【0038】
また、上記実施形態では、希釈溶媒リンス処理(ステップS55)において、例えば約50%の濃度の希釈溶媒を用いるように構成したが、これに限られるものではなく、他の数値(約60%、約40%等)の濃度の希釈溶媒を用いても良い。更に、希釈溶媒リンス処理(ステップS55)において、希釈溶媒の濃度を段階的に変化させるように、例えば最初は濃度の高い希釈溶媒を供給し、その後、段階的に濃度を低下させた希釈溶媒を供給するように構成しても良い。
【0039】
(その他の実施形態)
以上説明した複数の実施形態に加えて以下のような構成を採用しても良い。
上記した各実施形態において、撥水性保護膜形成前の置換ステップ、例えばステップS30の純水リンス処理またはステップS40のアルコールリンス処理の各前に、それぞれ希釈リンス処理を設けるように構成しても良い。また、希釈リンス処理の希釈リンス液の濃度は約50%等の固定値にしても良いし、濃度を段階的に変化させるように構成しても良い。
【0040】
以上のように、本実施形態の半導体基板の洗浄方法によると、素子の微細化が一層進んだ場合において、半導体基板の表面の洗浄時に微細パターンが倒壊することを防止できる。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0042】
図面中、1は洗浄装置、2はウエハ(半導体基板)、3はスピンチャック、7はノズル、8は処理液供給装置、10はタンク、11はポンプ、12はバルブ、13は処理液供給ユニット、14はバルブ、15はコントローラ(制御装置)である。
図1
図2
図3
図4