【課題を解決するための手段】
【0007】
ここである方法が導入され、それによって検査で必要とされる量や検査液容器の種類にかかわらず検査液をより再現可能に、またより正確にピペット操作することが可能となる。
【0008】
これは、請求項1による方法および請求項12によるピペット装置によって実現される。好ましい実施形態は従属項で言及されている。
【0009】
余分な検査液を吸引することは、検査に必要な十分な量が吸引されることを確実とする。吸引された検査液の一部を洗浄液に供給することは、次の供給ステップで、ピペット装置における吸引された検査液の位置によるエラーが最小限に抑えられることを確実にする。吸引された検査液の一部を供給する前に洗浄液にピペット装置を浸すことは、供給する際のノズルの表面効果によるエラーを最小限に抑え、ノズルの外側が次のステップの前に洗浄されることを確実にする。また、ノズルを洗浄液に浸すことは、検査に影響を及ぼさないで、ノズルの先端と側面の検査液のどんな痕跡も洗浄液に置き換えられるため、ピペット操作状態は常に同じとなることを確実にし、それによって再現性が増す。検査に必要な検査液の量を供給する前にピペット装置を反応液に浸すことは、ノズルの表面効果によるエラーを最小限に抑えることを確実にする。
【0010】
開示された方法は、ピペット操作の精度がキャリーオーバーのリスクより重要である場合にとりわけ適切である。これには例えば凝固検査の場合がある。
【0011】
本発明は体外診断検査を行うための検査液の量V1をピペット操作する方法に関する。この方法はピペット装置のノズルを検査液に浸し、検査を行うのに必要な量V1より多い検査液の量V4を吸引することを含む。さらにこの方法は、ノズルを洗浄液に浸し、検査液のV4−V1に等しい、あるいはV4−V1より少ない量V2を、洗浄液の中に供給することを含む。さらに前記方法は、ノズルを反応液に浸し、検査に必要とされる検査液の量V1を供給することを含む。
【0012】
本明細書では、「検査液」の用語は、試料または試薬またはその両方を、例えば1つまたは2つ以上の試料および1つまたは2つ以上の試薬の混合物または溶液を示すために使用される。本明細書で使用されるように「試料」の用語は、例えば、その中に含まれることが疑われる1つまたは2つ以上の検体を検出するために、またはpH、色、濁度、粘度、凝固時間などの試料の物理的パラメーターを測定するためにピペットするのに適切な、および体外診断検査を受けるのが適切な液状物質のことをいう。体外診断検査の例としては、臨床化学試験、免疫学的検定、凝固試験、核酸検査などである。この方法はとりわけ凝固体外診断検査に適切である。標準的な体外凝固検査は、血小板数(Plt)、平均血小板量(MPV)、プロトロンビン時間(PT)、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)、トロンビン凝固時間(TCT)、フィブリノゲン、アンチトロンビンIII(AT III)および粘度の測定であるが、これらに限られるものではない。この種の検査に関して、検査液に含まれる検体の濃度は、例えば免疫化学的試験に比較して通常十分高いので、キャリーオーバーによる別の検査液からそのような検体が残っていても、検査の最終結果においてその影響を無視できるほどである。一方、検体の濃度が高いため、検査で使用される検査液の量V1はできるだけ正確であることが重要である。
【0013】
試料は例えば、血液、唾液、接眼レンズ液、脳脊髄液、汗、尿、ミルク、腹水、粘液性滑液、腹腔液、羊水、組織、細胞などを含む生理液のような生物学的ソースから得ることができる。試験試料は使用前に血液から血漿を調製、粘液、溶菌等の希釈のような前処理が施されうる。処理方法は濾過、蒸留、濃縮、妨害成分の不活化、試薬の添加を含む。試料はソースから得られたものを直接使用してもよいし、または例えば別の溶液で希釈した後または例えば1つまたは2つ以上の体外診断検査を行うために試薬と混合した後などの試料の形質を変える前処理の後、使用してもよい。したがって、本明細書で使用される「試料」の用語は原試料に対してのみ使用されるのではなく、すでに処理された(ピペットで取られた、希釈された、試薬と混合された、濃縮された、精製された、増幅された、等)試料にも関する。
【0014】
凝固検査の場合、試料は通常クエン酸塩で処理された血液からの血漿である。
【0015】
「試薬」の用語は、試料の処理に必要な組成物を示すのに使用される。試薬はどんな液体でもよく、例えば反応を起こすため、または検出を可能にするため、例えば試料や他の試薬と混合する必要のある溶媒または化学溶液であってもよい。試薬は、例えば水を含む希釈液であってもよく、有機溶媒を含んでもよく、洗浄剤を含んでもよく、緩衝剤であってもよい。用語のより厳密な意味における試薬は、反応物を含む溶液であってもよく、一般的に、例えば試料の中に含まれる1つまたは2つ以上の検体に化学結合させる、または試料の中に含まれる1つまたは2つ以上の検体を化学的に形質転換することができる化合物または試剤であってもよい。反応物の例としては、酵素、酵素基質、共役染料、タンパク質結合分子、核酸結合分子、抗体、キレート剤、プロモーター、阻害剤、エピトープ、抗原等である。
【0016】
本明細書では、「反応液」は体外診断検査を行うために検査液とともに反応させられる液体を示すのに使用される。したがって、「反応液」は、検査液の特質によって次の3つの選択肢のいずれかであってもよい。第1の選択肢によれば、検査液は試料であり、反応液は少なくとも1つの試薬を含む液体である。第2の選択肢によれば、検査液は試薬であり、反応液は少なくとも1つの試料を含み、任意で少なくとも1つの試薬を含む。第3の選択肢によれば、検査液は少なくとも1つの試料と少なくとも1つの試薬を含む液体であって、反応液は少なくとも1つの試薬を含む液体である。
【0017】
「ピペット操作」の用語は、本明細書では、第1のステップで、一定量の検査液を吸引、すなわち引き出し、第2のステップで一定量の検査液を供給することを示すのに使用される。供給された液体の量は吸引された液体の量と異なっていてもよく、第1のステップと第2のステップの間に中間の吸引および/または供給のステップがあってもよい。
【0018】
したがって、「ピペット装置」は、少なくとも1つの吸引/供給ノズルを含み、検査液の量を自動的にピペット操作して使用者を補助する装置である。
【0019】
試料は一般的に試料管のような検査液容器に入れられ、よって試料管から通常吸引される。「試料管」は、患者から試料を受け取り、その試料を体外診断検査のために分析実験室に搬送するのに使用される試料収集試験管で「一次管」とよばれるものか、一次管からサンプルのアリコートを受け取るのに使用できる「二次管」のいずれかである。一次管のような試料管は蓋で閉じてもよく、部分的に減圧(evacuated)されてもよい。蓋は貫通可能なエラストマー材料を含んでもよい。
【0020】
試薬は、通常、1つまたは2つ以上の様々な種類の試薬を含む1つまたは2つ以上の試薬コンパートメント、例えば特定の体外診断検査に必要な試薬キットを含む試薬カセット、ボトルまたはパッケージのような様々な種類の検査液容器に入れられる。試薬容器は通常、例えば蒸発を防ぎ、環境からの汚染のリスクを最小限に抑えるために、蓋によって閉じられる。蓋は、例えば一定量の試薬が吸引される必要がある時はいつでも開けられ、再び閉じられるように適合されていてもよい。別の方法として、吸引が蓋を通って行われるように蓋が貫通できるように構成されていてもよい。
【0021】
したがって、検査液を吸引することは、検査液容器の蓋を貫通し、蓋を通って検査液を吸引することを含んでもよい。この量はV4とする。
【0022】
一定量の検査液を吸引するために、その方法として検査液にピペット装置のノズルを浸すことを含む。これはノズルを検査液の方へ動かし、検査液の中に入れることを意味し、そうすることによってノズルは液面より下の深さに位置し、それは所望の量を吸引するのに十分で、一方でノズルの外側が検査液に接触するのを最小限に抑える。この深さは、ノズルの外側が検査液に接触することを最小限に抑えるために、通常ほぼ数ミリメートル程度で、例えば5ミリメートル未満である。このようにして、キャリーオーバーのリスクおよび/またはノズルの外側の湿りによるピペット操作エラーはさらに低減される。吸引された検査液の量V4は、検査を行うために必要な量V1より多い。量V4は名目の量で、ピペット装置は量V4をポンプで注入する、すなわち吸引するように操作されることを意味する。しかし、実際に吸引された量V4は名目の量より多くても少なくてもよい。またそれは例えば空気を含んでいてもよく、ゆえにV4は検査液の量V4’と空気V4”の量の合計であってもよい。しかしながら、V4は、検査に必要とされる量V1より多い一定量の検査液が実際に吸引されるように、十分多い。
【0023】
前記方法は、量V4を吸引した後、ノズルを洗浄液に浸し、検査液のV4−V1に等しい、またはV4−V1より少ない量V2を洗浄液に供給することをさらに含む。
【0024】
「洗浄液」は、本明細書では、ピペット装置、およびとりわけ少なくともピペット装置の外側表面のある部分を洗うための液体を示すのに使用され、ある部分とはその前の吸引ステップで検査液に浸された、すなわち少なくともノズルの一部である。これは、ノズルを洗浄液の方へ動かし洗浄液の中に入れることを意味し、そうすることによってノズルは液面より下の深さに位置し、それは検査液が接触したノズルの外側の部分を洗うのに十分である。洗浄液は洗浄チャンバまたは洗浄容器を少なくとも一部満たすよう、または洗浄チャンバの中を流れるように適合され、それによってノズルの洗浄される部分はノズルが洗浄液に浸される時、洗浄液に接触する。洗浄液は、検査液の痕跡を除去するよう構成された、例えば酸、塩基、酵素などの例えば洗剤および/または活性成分を含む、例えば水または他の水溶液などの水または水性液体を含む例えば極性溶媒などの溶媒であってもよい。
【0025】
検査液のV4−V1に等しい、またはV4−V1より少ない量V2を洗浄液に供給することは、ノズルが洗浄液に浸されている間、吸引された量V4の一部を洗浄液に供給することを意味する。またこの場合、量V2は名目の量で、ピペット装置は量V2をポンプで送り出す、すなわち供給するように操作されることを意味する。しかし、実際に供給された量は、空気を含んでいてもよく、したがって名目の量V2より少なくてもよい。どんな場合でも、このステップによって、V1に等しい、またはV1より多い量を持つ検査液のプラグはノズルの先端にもたらされ、ノズルの外側上の検査液の痕跡は洗い流される。
【0026】
前記方法は、ノズルを反応液に浸し、検査に必要な検査液の量V1を供給することをさらに含む。これはノズルを反応液の方へ移動し、反応液の中に入れることを意味し、それによってノズルは、液面より下の深さに位置し、それは所望の量を反応液に直接供給するのに十分である。この深さはノズルの外側が反応液に接触するのを最小限に抑えるために、通常ほぼ数ミリメートル程度で、例えば、5ミリメートル未満である。このようにして、キャリーオーバーおよびノズルの外側の湿りによる検査液と反応液の間の量の比の乱れのリスクは低減される。量V1を供給することは、検査に必要な検査液の量に相当する量を反応液の中に直接ポンプで送り出すことを意味する。
【0027】
V1に相当する検査液の有効量が供給されることを確実にするために、検査液の全吸引量V4がV1、V2、V3の3つの検査液の量の合計であり、V3は反応液の中にV1を供給した後、ピペット装置の中に残った検査液の余剰分であるようにV4は十分多く取られてもよい。余剰分の検査液V3を有することは、検査液と、もしあれば、システム液との接触の可能性による希釈効果の可能性を最小限に抑えるためにも有用である。これは、余剰分の検査液V3がV1と検査液の間にある場合、反応液の中に供給された検査液V1の量がシステム液を含む可能性が低いことを意味する。空気のような気体のプラグがV3とシステム液の間にある場合にも、このリスクはさらに低減される。
【0028】
ある実施形態によると、V1、V2、V3はそれぞれ1〜100マイクロリットルの範囲内である。ある実施形態によると、V1は2〜50マイクロリットルの範囲内であり、V2とV3はそれぞれ1〜20マイクロリットルの範囲内である。特に、ある実施形態によると、V1は検査のために異なる量の検査液を必要とする異なる体外診断検査に対して異なってもよく、一方でV2および/またはV3は一定に保たれる。したがって、前記方法は、異なる検査に対して異なる検査液の量V4を吸引することを含んでもよく、これは異なる量の検査液V1を必要とし、一方でV2および/またはV3は一定に保たれる。
【0029】
余剰分の検査液V3が、V1を供給した後、ピペット装置に残っているある実施形態によれば、前記方法は、ノズルを洗浄液に浸し、量V3を洗浄液に供給することをさらに含む。このステップは、V2が洗浄液の中に供給される洗浄/供給ステップに類似している。これはノズルを洗浄液の方に移動し、洗浄液の中に入れ、それによってノズルは液面より下の深さに位置し、反応液が接触したノズルの外側の部分を洗浄するのに十分であることを意味する。洗浄液および/または洗浄チャンバまたは洗浄容器は便宜上、その前の洗浄ステップで使用されたものと同じであってもよいし、あるいはこの洗浄ステップ用により適切に構成してもよい。このステップの効果は反応液が接触したノズルの外側を洗浄することと、供給された時にノズル内にある検査液がノズルの外側を汚染しないようにすることである。それによってピペット装置を、前記方法が新しい検査液で繰り返される前に、外側から洗浄することができる。
【0030】
ある実施形態によれば、前記方法は、検査液を吸引する前にピペット装置の流体システムの少なくとも一部にシステム液を満たすことを含む。本明細書では、「システム液」はピペット装置のピペット操作に関連し、ピペット装置のデッドボリュームを最小限に抑える機能を持つ液体を示すのに使用される。これは流体システム内の空気のような圧縮性媒体の量を最小限に抑え、それによって流体システムの剛性およびピペット操作の精度を高めることを意味する。このシステム液は例えば水や他の水溶液などの水性液体であってもよい。あるいは、システム液は検査液と混合しない液体であってもよい。ある実施形態によれば、システム液は洗浄液と同じである。ある実施形態によれば、システム液は水で、洗浄液も水である。
【0031】
ある実施形態によれば、前記方法は、検査液を吸引する前にピペット装置内に気体のプラグを挿入することをさらに含み、それによって、検査液を吸引した後、プラグはシステム液と検査液の間に位置する。このプラグは、例えば拡散による、結果的にたとえば検査液の希釈となり得る検査液とシステム液の混合を防ぐ、または最小限に抑えることに役立つ。
【0032】
ある実施形態によれば、前記方法は、ピペット装置の外側の少なくとも一部を洗浄するためにノズルを洗浄液に浸し、ピペット装置の内部を洗浄するために、洗浄液にシステム液の量V5を供給することをさらに含む。このステップは、V1を供給した後ピペット装置に残った余剰分の量V3を供給する前記ステップと一緒に行ってもよい。これは、検査液が接触したピペット装置の内側を洗浄するのに十分な量のシステム液が、同じ供給ステップでノズルからポンプで送り出されることを意味し、ここで検査液の余剰量V3は全て洗浄液に供給される。したがって、同じステップで、検査液に続くシステム液はノズルの内側を洗浄し、一方でノズルが浸される洗浄液はノズルの外側を洗浄する。
【0033】
ある実施形態によれば、前記方法は、多い量の検査液V4を吸引/供給する時は、高速で吸引および/または供給し、少ない量の検査液を吸引/供給する時は、低速で吸引および/または供給することを含み、それによって総吸引/供給時間はV4の量が異なっても略一定となる。このようにして、様々な検査のサイクル時間が、検査に必要な検査液の量にかかわらず、ピペット操作による影響を受けない。
【0034】
本発明は、また、体外診断検査を行うための検査液の量V1をピペット操作するピペット装置に関する。このピペット装置は、少なくとも垂直方向に移動し、一定量の検査液を吸引/供給するように構成された少なくとも1つの吸引/供給ノズルを備えた流体システムを備えている。このノズルは、例えば中空の鋼製針などの再使用可能な洗浄可能な針として、または例えば異なる検査液をピペット操作する前に、例えば定期的に付け替えるように構成された、例えば使い捨てのピペットの先端などのピペットの先端として具体化されてもよい。前記ピペット装置は、例えばガイドレールによって平面内で1つまたは2つの方向に移動可能な、および例えばスピンドルドライブによって平面に対して直交方向に移動する第3の方向に移動可能な移動ヘッドに取り付けられてもよい。
【0035】
ノズルは検査液容器の蓋を貫通し、蓋を通って検査液の量V4を吸引するよう構成されてもよい。
【0036】
ピペット装置はシステム液のソースをさらに含んでもよい。特に、流体システムは流体的にシステム液のソースをノズルに接続するための管と、システム液を流体システムに送り込むためのシステムポンプを含んでもよい。
【0037】
ピペット装置は、ノズルから流体システムのシステム液を送り出す/ノズルの方に流体システムのシステム液を送り込むことによって、検査液を吸引/供給するための流体システムに動作可能なように連結されるピペットポンプをさらに備えていてもよい。ポンプは例えばシリンジ型または当該技術において公知の任意の他の型であってもよく、V4の範囲内の量で液体を送り出すように構成されてもよい。
【0038】
ピペット装置は、ノズルの移動およびシステム液のポンピングを制御するよう構成された制御装置をさらに備えていてもよく、それによってノズルを検査液に浸し検査を行うのに必要な量V1より多い検査液の量V4を吸引し、ノズルを洗浄液に浸し検査液のV4−V1に等しいまたはV4−V1より少ない量V2を洗浄液に供給し、ノズルを反応液に浸し検査に必要な検査液の量V1を供給し、ピペット装置の少なくとも一部外側を洗浄するためにノズルを洗浄液に浸しノズルの内側を洗浄するためにシステム液の量V5を洗浄液に供給する。
【0039】
制御装置は、例えば少なくとも検査液のピペット操作に関連した操作計画に従って操作を行うための指示が備わっているコンピュータ可読プログラムを実行するプログラマブル論理制御装置として具体化されてもよい。特に、操作計画はピペット装置の吸引、供給、移動以外の操作を含んでもよい。例えば、操作計画は次の操作の1つまたは2つ以上を含んでもよい。それは、検査液容器の移動、検査液容器の開閉、検査液容器の蓋の貫通、反応容器の移動、ピペットの先端の装着および/または廃棄、および例えば吸入および吐出(sip and spitting)などによる検査液の混合である。特に制御装置は所定のサイクル時間内に一連のステップを実行するためのスケジューラを含んでいてもよい。制御装置は分析の種類、緊急性等に応じて、体外診断検査の順番を決めることをさらに含んでもよい。
【0040】
ピペット装置は、ノズルが蓋を貫通する時、蓋によって閉じられた検査液容器の内部の圧力を測定するための圧力センサを備えていてもよい。測定された圧力が所定の範囲内にある場合のみ検査液を吸引するように、制御装置はピペット装置を制御するように構成されてもよい。特に、検査液容器内の圧力がピペット操作の精度に関して重要な役割を果たし、ピペット装置は圧力の最適範囲内で動作するように構成され得るので、前もって圧力を測定することは不要なプロセスステップを割愛することができる。もし測定された圧力が所定の範囲外であった場合、制御装置はその試料に関連したピペット操作を終わらせることができ、検査液に関する体外診断検査を行わないでノズルの洗浄に進むことができる。別の方法では、このピペット操作は続行可能で、検査液容器内の不適切な圧力範囲のため、体外診断検査の結果が不正確である可能性があることを示すことができる。ピペット装置に動作可能なように連結された圧力センサは、当該技術において公知であり、本明細書ではこれ以上説明しない。
【0041】
ピペット装置は吸引される検査液の液面を検知するための液面検出器を備えていてもよい。そうした場合、制御装置は、液面検出器の情報に基づいてノズルの移動とシステム液のポンピングを制御するよう構成されてもよい。液面検出器は、例えば、コンダクタンスまたはキャパシタンスの測定に基づいた、光検出に基づいた、圧力変化の検出に基づいた等の、当該技術において公知のいかなる種類のものでもよい。ピペット装置に動作可能なように連結された液面検出器は当該技術において公知であり、本明細書ではこれ以上説明しない。
【0042】
ある実施例によれば、制御装置はシステム液のポンピング速度を調整し、それによって吸引/供給される検査液のそれぞれの量V4に基づいた吸引および/または供給の速度を調整するよう構成され、それによって総吸引/供給時間は様々な量V4に対して略一定となる。
【0043】
ピペット装置は、作業セルに組み込まれていてもよい、すなわち内蔵されていてもよいし、または作業セルに動作可能なように接続されたシステムのモジュールであってもよい。「作業セル」は、独立型装置か、例えば診断目的のための試料の定性的および/または定量的評価、および/または検知前の試料の分類および/または調製、または検知後の試料の保存および/または廃棄など体外診断検査で使用者を補助する、大型装置内のモジュールである。特に、作業セルは、分析および/または分析前および/または分析後試料処理ステップに関連する場合がある。作業セルは相互に連結し、少なくとも一部相互に依存することができる。例えば、それぞれが試料処理ワークフローの専用タスクを実行し、それが別の作業セルに進む前の必須条件となり得る。あるいは、作業セルは相互に独立して機能してもよい。例えば、それぞれが個別のタスクを実行したり、例えば同じ試料に関してまたは異なる試料に関して異なる種類の分析をしたりなどである。一般的に、作業セルは試料管または試料管もしくはマルチウェルプレートを含む試料ラックを搭載、離脱、移送、および/または保管するためのユニット、試薬容器または試薬カセットを搭載、離脱、移送、および/または保管するためのユニット、キュベットなどの反応容器を搭載、離脱、移送、保管、および/または洗浄するためのユニット、ピペットチップまたはチップラックを搭載、離脱、移送および/または保管するためのユニットを備えていてもよい。作業セルは例えばバーコードやRFIDリーダーなどのセンサを備えた識別ユニットを備えていてもよい。作業セルはピペットチップまたは針、または例えばキュベット、混合パドル等の反応容器を洗浄するための洗浄ステーションを備えていてもよい。
【0044】
さらなる他の目的、機能、利点が以下の説明および添付の図面に示され、それらは例示的な実施形態を示し、その基本原理をより詳しく説明するために機能する。