特許第6013306号(P6013306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6013306-全閉形回転電機 図000002
  • 特許6013306-全閉形回転電機 図000003
  • 特許6013306-全閉形回転電機 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013306
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】全閉形回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/06 20060101AFI20161011BHJP
【FI】
   H02K9/06 G
   H02K9/06 B
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-233031(P2013-233031)
(22)【出願日】2013年11月11日
(65)【公開番号】特開2015-95932(P2015-95932A)
(43)【公開日】2015年5月18日
【審査請求日】2015年2月5日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】特許業務法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 仁
【審査官】 安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2006/0055254(US,A1)
【文献】 実開昭58−028566(JP,U)
【文献】 特開平11−294373(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、
前記回転軸に固定された回転子と、
前記回転子を軸方向にはさんだ両側の位置で前記回転軸を回転可能に支持する第1および第2の軸受と、
前記回転子の半径方向外側を取り囲んで配置された固定子と、
前記回転子と前記固定子とを密閉して覆い、前記回転軸が貫通する筒状のフレームと、
前記フレーム内で前記回転軸に固定された内部ファンと、
を有する全閉形回転電機であって、
前記フレームは、その軸方向の第1の端部を密封して前記第1の軸受を支持する第1のブラケットを含み、
前記内部ファンは、
前記第1のブラケットと前記第1のブラケットに近い側の前記回転子の軸方向の第1の端部との間に配置されて前記回転子の軸方向の前記第1の端部から軸方向外側でかつ半径方向外側に向けて空気を導く複数の放射通路部と、
前記放射通路部の前記第1のブラケットに近い側に隣接して前記第1のブラケットに向かって軸方向に突出する少なくとも一つの羽根部であって、前記第1の軸受の周囲の空気をかき乱し混合して前記第1の軸受の内外の温度の均一化を図る羽根部と、
を有し、
前記羽根部は、周方向に互いに間隔をあけて配置されて半径方向に延びる板状の複数の羽根部を含み、
前記回転軸は前記第1のブラケットを貫通していて、
前記第1のブラケットの外側で前記回転軸に固定された外部ファンと、
前記外部ファンを覆い吸気口を備えた導風部と、
をさらに有し、
前記吸気口を通って前記導風部内に導入された外気が前記第1のブラケットの外側を通り、その後、前記フレームの半径方向外側に設けられた冷却フィンに沿って軸方向に向かうように構成されていること、
を特徴とする全閉形回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内部ファンを備えた全閉形回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
電動機等の回転電機で、フレームを密閉構造として、フレーム内に設けた内部ファンによってフレーム内の空気を循環させてフレーム内を冷却する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−143809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の内部ファンを備えた全閉形回転電機では、フレーム内の温度が不均一であった。特に、回転軸が高温になることにより軸受の内輪側が高温になり、外部ファンの影響で軸受の外輪側が比較的低温になるので、軸受の内輪と外輪の温度差が大きくなり、軸受に悪影響が出ることがあった。
【0005】
本発明はかかる従来技術の課題に対処するためになされたものであって、内部ファンを備えた全閉形回転電機において、フレーム内の温度の不均一を緩和することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る全閉形回転電機は、回転軸と、前記回転軸に固定された回転子と、前記回転子を軸方向にはさんだ両側の位置で前記回転軸を回転可能に支持する第1および第2の軸受と、前記回転子の半径方向外側を取り囲んで配置された固定子と、前記回転子と前記固定子とを密閉して覆い、前記回転軸が貫通する筒状のフレームと、前記フレーム内で前記回転軸に固定された内部ファンと、を有する全閉形回転電機であって、前記フレームは、その軸方向の第1の端部を密封して前記第1の軸受を支持する第1のブラケットを含み、前記内部ファンは、前記第1のブラケットと前記第1のブラケットに近い側の前記回転子の軸方向の第1の端部との間に配置されて前記回転子の軸方向の前記第1の端部から軸方向外側でかつ半径方向外側に向けて空気を導く複数の放射通路部と、前記放射通路部の前記第1のブラケットに近い側に隣接して前記第1のブラケットに向かって軸方向に突出する少なくとも一つの羽根部であって、前記第1の軸受の周囲の空気をかき乱し混合して前記第1の軸受の内外の温度の均一化を図る羽根部と、を有し、前記羽根部は、周方向に互いに間隔をあけて配置されて半径方向に延びる板状の複数の羽根部を含み、前記回転軸は前記第1のブラケットを貫通していて、前記第1のブラケットの外側で前記回転軸に固定された外部ファンと、前記外部ファンを覆い吸気口を備えた導風部と、をさらに有し、前記吸気口を通って前記導風部内に導入された外気が前記第1のブラケットの外側を通り、その後、前記フレームの半径方向外側に設けられた冷却フィンに沿って軸方向に向かうように構成されていること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、内部ファンを備えた全閉形回転電機において、フレーム内の温度の不均一を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る全閉形回転電機の一実施形態の正面図であって、上半部および軸方向両端部付近を断面で示す図である。
図2図1の全閉形回転電機の一実施形態の内部ファンを取り出して示す正面図であって、上半部を断面で示す図である。
図3図2のIII矢視方向部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本発明に係る全閉形回転電機の一実施形態について説明する。
【0010】
図1は、本発明に係る全閉形回転電機の一実施形態の正面図であって、上半部および軸方向両端部付近を断面で示す図である。図2は、図1の全閉形回転電機の一実施形態の内部ファンを取り出して示す正面図であって、上半部を断面で示す図である。図3図2のIII矢視方向部分側面図である。
【0011】
本実施形態の全閉形回転電機は、水平方向に延びる回転軸10と、回転軸10に固定された回転子11とを有する。回転軸10は第1の軸受12と第2の軸受13とによって回転可能に支持されていて、回転子11は第1の軸受12と第2の軸受13とによってはさまれている。
【0012】
回転子11の半径方向外側に、固定子14が配置され、回転子11と固定子14との間には半径方向のギャップ15が形成されている。回転子11と固定子14を覆うように筒状のフレーム16が配置され、固定子14はフレーム16に固定されている。フレーム16は第1のブラケット17と第2のブラケット18を含み、フレーム16の軸方向の第1の端部は第1のブラケット17で閉じられていて、フレーム16の軸方向の第2の端部は第2のブラケット18で閉じられている。
【0013】
第1の軸受12は第1のブラケット17によって支持され、第2の軸受13は第2のブラケット18によって支持されている。回転軸10は第1のブラケット17と第2のブラケット18を貫通して延びていて、第2のブラケット18を貫通した先端は負荷側先端30となっている。
【0014】
第1の軸受12および第2の軸受13は、図示の例では転がり軸受であって、たとえば第1の軸受12は、内輪12aと、外輪12bと、内輪12aと外輪12bとにはさまれて転がる複数の金属製ボール12cとを備えている。
【0015】
フレーム16内で、第1の軸受12と回転子11との間の位置で回転軸10に内部ファン19が取り付けられている。内部ファン19には、回転子11の軸方向端部から第1のブラケット17に向かいながら次第に半径方向外側に向く複数の放射通路部20が形成されている。放射通路部20は周方向に複数が配列されていて、回転軸10の回転により、放射通路部20内の空気に働く遠心力により、回転子11の内部またはその周辺を流れた空気が第1のブラケット17の外周方向に向けて空気の流れが形成される。
【0016】
放射通路部20の第1のブラケット17寄りの位置の外周近くに複数の板状の羽根部21が設けられている。各羽根部21は第1のブラケット17に向かって軸方向に突出するとともに径方向に延びていて、互いに周方向に間隔をあけて配置されている。
【0017】
フレーム16の軸方向に延びる筒状部の外表面上には軸方向に延びる複数の冷却フィン22が形成されている。
【0018】
回転軸10の第1のブラケット17の外側に外部ファン23が取り付けられている。外部ファン23の外側および第1のブラケット17の外側を覆うように導風部24が取り付けられている。導風部24には吸気口25が形成されている。回転軸10の回転により外部ファン23が回転し、吸気口25を通して外気が導風部24内に取り込まれ、フレーム16の筒状部の外表面上の冷却フィン22に沿って送り出される。
【0019】
回転軸10の回転によって内部ファン19が回転する。これにより、複数の放射通路部20内の空気に働く遠心力により、回転子11の内部またはその周辺を流れた空気が第1のブラケット17の外周方向に向けて空気の流れが形成される。これにより、フレーム16内の内気が循環する。フレーム16内の内気は、フレーム16の外壁に形成された冷却フィン22などで外気と熱交換して冷却される。
【0020】
ここで、第1の軸受12の内輪12aは回転軸10から熱が伝わることにより比較的高温になる。一方、外部ファン23によって第1のブラケット17の外側が冷却されることにより、外輪12bは、内輪12aよりも低温になる。しかし、内部ファン19の羽根部21が設けられていることにより、第1の軸受12の周囲の空気がかき乱されて混合するので、第1の軸受12の温度の不均一が緩和される。
【0021】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0022】
10…回転軸
11…回転子
12…第1の軸受
12a…内輪
12b…外輪
12c…金属製ボール
13…第2の軸受
14…固定子
15…ギャップ
16…フレーム
17…第1のブラケット
18…第2のブラケット
19…内部ファン
20…放射通路部
21…羽根部
22…冷却フィン
23…外部ファン
24…導風部
25…吸気口
30…負荷側先端
図1
図2
図3