(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013315
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】アプリケーション開発支援プログラム及びアプリケーション開発支援システム
(51)【国際特許分類】
G06F 9/44 20060101AFI20161011BHJP
【FI】
G06F9/06 620K
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-266531(P2013-266531)
(22)【出願日】2013年12月25日
(65)【公開番号】特開2015-122018(P2015-122018A)
(43)【公開日】2015年7月2日
【審査請求日】2015年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(72)【発明者】
【氏名】金子 巧太郎
【審査官】
石川 亮
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第05835777(US,A)
【文献】
特開2007−257046(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 9/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置のアプリケーションを作成する際に用いられるアプリケーション開発支援プログラムであって、
前記アプリケーション開発支援プログラムを実行することにより、コンピューターを開発ツール部と、ビルド用資産保持部と、ビルド部として機能させ、
前記開発ツール部は、(1)前記アプリケーションの開発環境を提供するためのソフトウェアツールであって、Graphical User Interface(GUI)によって、少なくとも前記アプリケーションの設計、コーディング、デバッグ、及びテストを支援するための統合環境を提供し、(2)作成するアプリケーションの開発環境をプロジェクトと呼ばれる単位で管理し、前記アプリケーションを作成する際に前記開発ツール部が使用され前記プロジェクトが定義されるとともに、定義された前記プロジェクトにおいてソースコードの編集が行なわれ、
前記ビルド用資産保持部は、前記プロジェクトにおいて作成される前記アプリケーションをビルドする際に必要とされるファイル及びライブラリを保持し、
前記ビルド部は、ビルド実行部と、ファイル抽出部と、インターフェイス照会部と、マニュフェストファイル作成部とを備え、前記ビルド用資産保持部に保持されている前記ファイル及び前記ライブラリを用いてビルドを行って前記アプリケーションを作成し、
前記ビルド実行部は、前記アプリケーションをビルドするためのプログラムツールであり、
前記ファイル抽出部は、(1)アプリケーションの動作ターゲットとなるプラットフォームが複数バージョン有る場合に、前記ビルド用資産保持部から、それら全てのバージョンの前記プラットフォームに共通に必要とされ固定的に定められているファイル及びライブラリを抽出し、(2)前記ビルド用資産保持部において抽出されず残っているファイル又はライブラリがあるか否かを確認し、(3)抽出されずに残っている前記ファイル又は前記ライブラリがある場合、全てのバージョンの前記プラットフォームに共通でないが必要とされるファイルを、ファイルとライブラリを区別する拡張子に基づき抽出し、
前記インターフェイス照会部は、前記ビルド用資産保持部において抽出されず残っている、全てのバージョンの前記プラットフォームに共通でないが必要とされるライブラリを特定し、ビルド対象の前記アプリケーションが特定された前記ライブラリ上で利用できるApplication Programming Interface(API)を探し出すための公開インターフェイスを問い合わせる処理を行い、
前記公開インターフェイスを問い合わせる処理は、ビルド対象の前記アプリケーションがどの前記APIを利用するか利用しないかを決定するために宣言されるものであり、前記アプリケーションがどの前記APIを利用するか利用しないかの情報を記載したファイルはマニュフェストファイルと呼ばれ、
前記マニュフェストファイル作成部は、前記インターフェイス照会部によって探し出された前記公開インターフェイスについて、差分の前記マニュフェストファイルを動的に作成し、既存の前記マニュフェストファイルに結合し、
前記ビルド実行部は、前記マニュフェストファイルと、前記ファイル抽出部により抽出された前記ファイル及び前記ライブラリを用いてビルドを実行し、前記アプリケーションが作成される
ことを特徴とするアプリケーション開発支援プログラム。
【請求項2】
画像形成装置のアプリケーションを作成する際に用いられるアプリケーション開発支援システムであって、
前記アプリケーション開発支援システムは、開発ツール部と、ビルド用資産保持部と、ビルド部とを備え、
前記開発ツール部は、(1)前記アプリケーションの開発環境を提供するためのソフトウェアツールであって、Graphical User Interface(GUI)によって、少なくとも前記アプリケーションの設計、コーディング、デバッグ、及びテストを支援するための統合環境を提供し、(2)作成するアプリケーションの開発環境をプロジェクトと呼ばれる単位で管理し、前記アプリケーションを作成する際に前記開発ツール部が使用され前記プロジェクトが定義されるとともに、定義された前記プロジェクトにおいてソースコードの編集が行なわれ、
前記ビルド用資産保持部は、前記プロジェクトにおいて作成される前記アプリケーションをビルドする際に必要とされるファイル及びライブラリを保持し、
前記ビルド部は、ビルド実行部と、ファイル抽出部と、インターフェイス照会部と、マニュフェストファイル作成部とを備え、前記ビルド用資産保持部に保持されている前記ファイル及び前記ライブラリを用いてビルドを行って前記アプリケーションを作成し、
前記ビルド実行部は、前記アプリケーションをビルドするためのプログラムツールであり、
前記ファイル抽出部は、(1)アプリケーションの動作ターゲットとなるプラットフォームが複数バージョン有る場合に、前記ビルド用資産保持部から、それら全てのバージョンの前記プラットフォームに共通に必要とされ固定的に定められているファイル及びライブラリを抽出し、(2)前記ビルド用資産保持部において抽出されず残っているファイル又はライブラリがあるか否かを確認し、(3)抽出されずに残っている前記ファイル又は前記ライブラリがある場合、全てのバージョンの前記プラットフォームに共通でないが必要とされるファイルを、ファイルとライブラリを区別する拡張子に基づき抽出し、
前記インターフェイス照会部は、前記ビルド用資産保持部において抽出されず残っている、全てのバージョンの前記プラットフォームに共通でないが必要とされるライブラリを特定し、ビルド対象の前記アプリケーションが特定された前記ライブラリ上で利用できるApplication Programming Interface(API)を探し出すための公開インターフェイスを問い合わせる処理を行い、
前記公開インターフェイスを問い合わせる処理は、ビルド対象の前記アプリケーションがどの前記APIを利用するか利用しないかを決定するために宣言されるものであり、前記アプリケーションがどの前記APIを利用するか利用しないかの情報を記載したファイルはマニュフェストファイルと呼ばれ、
前記マニュフェストファイル作成部は、前記インターフェイス照会部によって探し出された前記公開インターフェイスについて、差分の前記マニュフェストファイルを動的に作成し、既存の前記マニュフェストファイルに結合し、
前記ビルド実行部は、前記マニュフェストファイルと、前記ファイル抽出部により抽出された前記ファイル及び前記ライブラリを用いてビルドを実行し、前記アプリケーションが作成される
ことを特徴とするアプリケーション開発支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アプリケーション開発支援プログラム及びアプリケーション開発支援システムに係り、例えば、複数のバージョンのプラットフォームに適用するアプリケーションを作成するためのアプリケーション開発支援プログラム及びアプリケーション開発支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にアプリケーションを作成するためには開発環境が必要であり、この開発環境を利用してターゲットとなるアプリケーション(ソフトウェア)を作成する。ターゲットとなるアプリケーションには、そのアプリケーションが動作対象となるバージョンによって特定されるプラットフォームが存在している。このプラットフォームの代表例はオペレーティングシステムである。開発環境はこの複数バージョンのプラットフォームをサポートすることが多い。アプリケーションに必要とされるファイル、ライブラリ等はプラットフォームのバージョン毎に異なる。通常の開発環境はアプリケーションのビルド時か自身のインストール時に指定されたプラットフォームに、どのファイル、ライブラリ等が必要であるかを決定する必要がある。
【0003】
そのような開発環境の技術として、ユーザーの利便性を向上させる各種の技術が提供されている。例えば、ソフトウェアの開発環境及び実行環境におけるライブラリ管理方法に関して、特にライブラリ構成に関する規則を追加・変更・削除することができるライブラリ管理方法の技術がある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−269065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示の技術では、管理表を利用しており更新が頻繁に行われる環境向きではなく、更新に関わる工数も大きいことから別の技術が求められていた。
【0006】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、上記課題を解決できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、画像形成装置のアプリケーションを作成する際に用いられるアプリケーション開発支援プログラムであって、前記アプリケーション開発支援プログラムを実行することにより、コンピューターを開発ツール部と、ビルド用資産保持部と、ビルド部として機能させ、前記開発ツール部は、(1)前記アプリケーションの開発環境を提供するためのソフトウェアツールであって、Graphical User Interface(GUI)によって、少なくとも前記アプリケーションの設計、コーディング、デバッグ、及びテストを支援するための統合環境を提供し、(2)作成するアプリケーションの開発環境をプロジェクトと呼ばれる単位で管理し、前記アプリケーションを作成する際に前記開発ツール部が使用され前記プロジェクトが定義されるとともに、定義された前記プロジェクトにおいてソースコードの編集が行なわれ、前記ビルド用資産保持部は、前記プロジェクトにおいて作成される前記アプリケーションをビルドする際に必要とされるファイル及びライブラリを保持し、前記ビルド部は、ビルド実行部と、ファイル抽出部と、インターフェイス照会部と、マニュフェストファイル作成部とを備え、前記ビルド用資産保持部に保持されている前記ファイル及び前記ライブラリを用いてビルドを行って前記アプリケーションを作成し、前記ビルド実行部は、前記アプリケーションをビルドするためのプログラムツールであり、前記ファイル抽出部は、(1)アプリケーションの動作ターゲットとなるプラットフォームが複数バージョン有る場合に、前記ビルド用資産保持部から、それら全てのバージョンの前記プラットフォームに共通に必要とされ固定的に定められているファイル及びライブラリを抽出し、(2)前記ビルド用資産保持部において抽出されず残っているファイル又はライブラリがあるか否かを確認し、(3)抽出されずに残っている前記ファイル又は前記ライブラリがある場合、全てのバージョンの前記プラットフォームに共通でないが必要とされるファイルを、ファイルとライブラリを区別する拡張子に基づき抽出し、前記インターフェイス照会部は、前記ビルド用資産保持部において抽出されず残っている
、全てのバージョンの前記プラットフォームに共通でないが必要とされるライブラリ
を特定し、
ビルド対象の前記アプリケーションが
特定された前記ライブラリ上で利用できるApplication Programming Interface(API)を探し出すための公開インターフェイスを問い合わせる処理を行い、前記公開インターフェイスを問い合わせる処理は、ビルド対象の前記アプリケーションがどの前記APIを利用するか利用しないかを決定するために宣言されるものであり、前記アプリケーションがどの前記APIを利用するか利用しないかの情報を記載したファイルはマニュフェストファイルと呼ばれ、前記マニ
ュフェストファイル作成部は、前記インターフェイス照会部によって探し出された前記公開インターフェイスについて、差分の前記マニュフェストファイルを動的に作成し、既存の前記マニュフェストファイルに結合し、前記ビルド実行部は、前記マニュフェストファイルと、前記ファイル抽出部により抽出された前記ファイル及び前記ライブラリを用いてビルドを実行し、前記アプリケーションが作成される。
本発明は、画像形成装置のアプリケーションを作成する際に用いられるアプリケーション開発支援システムであって、前記アプリケーション開発支援システムは、開発ツール部と、ビルド用資産保持部と、ビルド部とを備え、前記開発ツール部は、(1)前記アプリケーションの開発環境を提供するためのソフトウェアツールであって、Graphical User Interface(GUI)によって、少なくとも前記アプリケーションの設計、コーディング、デバッグ、及びテストを支援するための統合環境を提供し、(2)作成するアプリケーションの開発環境をプロジェクトと呼ばれる単位で管理し、前記アプリケーションを作成する際に前記開発ツール部が使用され前記プロジェクトが定義されるとともに、定義された前記プロジェクトにおいてソースコードの編集が行なわれ、前記ビルド用資産保持部は、前記プロジェクトにおいて作成される前記アプリケーションをビルドする際に必要とされるファイル及びライブラリを保持し、前記ビルド部は、ビルド実行部と、ファイル抽出部と、インターフェイス照会部と、マニュフェストファイル作成部とを備え、前記ビルド用資産保持部に保持されている前記ファイル及び前記ライブラリを用いてビルドを行って前記アプリケーションを作成し、前記ビルド実行部は、前記アプリケーションをビルドするためのプログラムツールであり、前記ファイル抽出部は、(1)アプリケーションの動作ターゲットとなるプラットフォームが複数バージョン有る場合に、前記ビルド用資産保持部から、それら全てのバージョンの前記プラットフォームに共通に必要とされ固定的に定められているファイル及びライブラリを抽出し、(2)前記ビルド用資産保持部において抽出されず残っているファイル又はライブラリがあるか否かを確認し、(3)抽出されずに残っている前記ファイル又は前記ライブラリがある場合、全てのバージョンの前記プラットフォームに共通でないが必要とされるファイルを、ファイルとライブラリを区別する拡張子に基づき抽出し、前記インターフェイス照会部は、前記ビルド用資産保持部において抽出されず残っているライブラリに関して、
全てのバージョンの前記プラットフォームに共通でないが必要とされるライブラリ
を特定し、
ビルド対象の前記アプリケーションが
特定された前記ライブラリ上で利用できるAPIを探し出すための公開インターフェイスを問い合わせる処理を行い、前記公開インターフェイスを問い合わせる処理は、ビルド対象の前記アプリケーションがどの前記APIを利用するか利用しないかを決定するために宣言されるものであり、前記アプリケーションがどの前記APIを利用するか利用しないかの情報を記載したファイルはマニュフェストファイルと呼ばれ、前記マニ
ュフェストファイル作成部は、前記インターフェイス照会部によって探し出された前記公開インターフェイスについて、差分の前記マニュフェストファイルを動的に作成し、既存の前記マニュフェストファイルに結合し、前記ビルド実行部は、前記マニュフェストファイルと、前記ファイル抽出部により抽出された前記ファイル及び前記ライブラリを用いてビルドを実行し、前記アプリケーションが作成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、アプリケーション開発環境において、ターゲットのプラットフォームのバージョンを関連付けるテーブルが不要となる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る、アプリケーション開発支援システムを示す機能ブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る、アプリケーション開発支援システムを用いたビルド処理を示すフローチャートである。
【
図3】本発明の実施形態に係る、アプリケーション開発支援システムのバージョン切替処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)を、図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係るアプリケーション開発支援システム10(アプリケーション開発環境)の概略構成を示す機能ブロック図である。アプリケーション開発支援システム10は、ソフトウェア的には所定の演算装置や記憶装置を有するコンピュータにより実行されるプログラムとして、ハードウェア的にはそのプログラムを実行するコンピュータ及びその周辺機器(表示装置、入出力装置等)により実現される。
【0012】
アプリケーション開発支援システム10は、開発ツール部20と、ビルド用資産保持部30と、ビルド部40とを有する。
【0013】
開発ツール部20は、アプリケーション(ソフトウェア)の開発環境を提供するためのソフトウェアツールであって、いわゆるGUI(Graphical User Interface)によって、アプリケーションの設計、コーディング、デバッグ、及びテスト等を支援するための統合環境を提供する。ここでは、開発ツール部20は、作成するアプリケーションの開発環境を「プロジェクト」と呼ばれる単位で管理する。具体的には、ユーザーは、アプリケーションを作成する際に開発ツール部20を使用しプロジェクトを定義するととともに、定義したプロジェクトにおいてソースコード等の編集を行う。
【0014】
ビルド用資産保持部30は、プロジェクトにおいて作成されるアプリケーションをビルドする際に必要とされる各種のファイルやライブラリ等を保持する。
【0015】
ビルド部40は、ビルド用資産保持部30に保持されているファイルやライブラリ等を用いてビルドを行い、所望のアプリケーションを作成する。ここで、ビルドとは、ビルド用資産保持部30のファイル等に基づいてアプリケーションの実行コードを生成することである。一般的にはコンパイル及びリンク等の過程を含む処理をいう。
【0016】
ビルド部40は、ビルド実行部42と、ファイル抽出部44と、インターフェイス照会部46と、マニュフェストファイル作成部48とを備える。
【0017】
ビルド実行部42は、ビルド用資産保持部30に基づいてアプリケーションを実際にビルドするためのコンパイラ等のプログラムツールである。
【0018】
ファイル抽出部44は、オペレーションシステム等のプラットフォームが複数バージョン有る場合に、それら全てのプラットフォームに共通に必要とされるライブラリを抽出する。ここで、抽出するとは、実際に検索してプロジェクトにおける必要な場所に配置することである。これはビルド時のリンクのためのパスが通っていれば配置場所は特に限定しない。また、共通というのは全てのバージョンで共通なファイルとなる。この共通ファイルは固定である。
【0019】
さらに、ファイル抽出部44は、共通に必要とされるライブラリの抽出処理につづき、ターゲットとなるプラットフォームに必要とされるファイルを探索する処理を行う。探索するためにはファイルとライブラリを区別する必要があるが、区別に拡張子を利用してもよい。この処理により、ファイル抽出部44は、共通でないが必要とされるライブラリを特定する。
【0020】
インターフェイス照会部46は、抽出されず残っているライブラリに関して公開インターフェイスを問い合わせる処理を行う。インターフェイスへの問い合わせについては
、全てのバージョンのプラットフォームに共通でないが必要とされるライブラリに関して、ビルド対象のアプリケーションがそのライブラリ上で利用できるAPI(Application Programming Interface)を探し出すためのものである。この処理はビルド対象のアプリケーションがどのAPIを利用するかまた利用しないかを決定するために宣言されるものであって、動的に生成される。この情報を記載したファイルはマニュフェストファイルと呼ばれこともあり、多くの開発環境においてビルド時に必要となる。
【0021】
マニュフェストファイル作成部48は、インターフェイス照会部46によって探し出された差分のマニュフェストファイルを作成し、既存のマニュフェストファイルに結合する。
【0022】
以上の構成による処理を説明する。
図2は、アプリケーション開発支援システム10によるビルド処理を示すフローチャートである。
【0023】
ユーザーは、開発ツール部20を操作し表示装置に開発用のGUIを表示させ、アプリケーション作成処理を開始する。まず、ファイル抽出部44は、ビルド用資産保持部30を参照して全プラットフォームに共通するライブラリやファイルを抽出する(S10)。
【0024】
つぎに、ファイル抽出部44は、ビルド用資産保持部30に抽出されずに残っているファイルやライブラリがあるか否かを確認する(S12)。残っていない場合(S12のN)、ビルド実行部42は、マニュフェストファイルと抽出したファイル及びライブラリを用いてビルドを実行し(S14)、アプリケーションが作成される(S16)。
【0025】
残っている場合(S12のY)、ファイル抽出部44は、ターゲットとなるプラットフォームに必要とされるファイルを探索し抽出する(S18)。
【0026】
つぎに、インターフェイス照会部46は、抽出されず残っているライブラリに関して公開インターフェイスを問い合わせる処理を行う(S20)。
【0027】
さらに、マニュフェストファイル作成部48は、インターフェイス照会部46によって探し出された差分のマニュフェストファイルを作成し(S22)、既存のマニュフェストファイルと結合する(S24)。その後、上述したビルド実行部42によるビルドの実行(S14)で、アプリケーションが作成される(S16)。
【0028】
図3は、アプリケーション開発環境のバージョン切替処理を示すフローチャートである。ターゲットのプラットフォームのバージョンを切り替えるためには、不要なファイルをアンインストールして、必要なファイルをインストールする必要がある。
【0029】
そこで、開発ツール部20は、ターゲットのプラットフォームのバージョンをインストールする場合に、新規インストールか否かを確認する(S30)。新規インストールで無い場合(S30のN)、開発ツール部20は、一旦ライブラリファイルをアンインストールし(S32)、インストールするライブラリファイルを選択し(S34)、インストールを行う(S36)。新規インストールの場合(S30のY)、開発ツール部20は、アンインストールの処理を行わず、所望のライブラリファイルを選択し(S34)、インストールを行う(S36)。
【0030】
以上、本実施形態では、必要とされるファイル、ライブラリ、マニュフェストファイル等がビルド用資産保持部30に保持され、それらは開発環境のインストール時に導入される。その結果で、プラットフォームバージョンを関連付けるテーブル、表といったものが不要となる。従来技術ではすべてのファイルを保持しているため、これらの管理表を更新し、必要なファイル、ライブラリ、マニュフェストファイルを準備するする必要があるため開発環境のインストールサイズも大きくなる傾向が強かったが、本実施の形態ではインストールサイズを大きくすること無く、導入先のハードウェア資源のキャパシティを効果的に活用することができる。
【0031】
また、従来では、バージョンが増える毎に、そのバージョンに適用させるために開発環境自身をアップデートしなければならないという不便さがあった。しかし、本実施形態では、バージョンの切替はインストール時に行われ、必要なファイルをその都度選択する方式である。その結果、管理表の更新は不要であり、またプラットフォームバージョンの追加は必要なファイルをインストールパッケージとして追加するだけでよい。
【0032】
特に、Android(登録商標)やLinux(登録商標)のようなオープンソースのオペレーテンングシステムではバージョンが頻繁に更新されるため、上述のような方式を用いることは非常に効果的である。また、特別のリソースや処理能力は不要であり、他の既存機能にほとんど影響しないという利点もある。また、このような開発環境(アプリケーション開発支援システム10)は、例えばプリンターや複合機といった画像形成装置に関するアプリケーションの作成に有効である。すわなち、プリンターや複合機は、現実的な処理の観点から寿命が長いものもあり、特に多くのオペレーティングシステム(プラットフォーム)に対応する必要がある。一方、パーソナルコンピュータでは、ハードウェアの処理能力等の観点から、使用可能なオペレーティングシステムは数世代(数バージョン)に限られることが多い。この点で、画像形成装置のアプリケーションに関して、本実施形態の機能を利用することで、多様なプラットフォームに対応したアプリケーション作成環境の利便性を向上させることができる。
【0033】
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0034】
10 アプリケーション開発支援システム
20 開発ツール部
30 ビルド用資産保持部
40 ビルド部
42 ビルド実行部
44 ファイル抽出部
46 インターフェイス照会部
48 マニュフェストファイル作成部