(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
両面研磨盤により行われる研削操作の間に、一対の研削砥石と一対の静水圧パッドとの間にウエハを保持する種類の両面研削盤を用いて半導体ウエハを処理する方法であって、該方法が
研削操作の第1段階において、静水圧パッド内に第1静水圧を確立してウエハを最初にクランプすること、
両面研削盤の研削砥石によって使用される電流量を測定すること、
両面研削盤の研削砥石によって使用される、測定された電流量に基づいて、研削操作の3つの段階の1つを決定すること、
研削操作の第2段階でウエハを研削する間に、第1静水圧よりも低い第2静水圧まで静水圧を低下させること、および
研削操作の第3段階の間において、第3静水圧まで静水圧を上昇させて、静水圧パッドによりウエハをクランプし、それにより、処理されたウエハにおけるナノトポロジーを改善すること、を含み、
第1段階は、ウエハが静水圧パッドによってクランプされる最初の期間に対応し、
第2段階は、研削操作が除去する間のうち、最も多くの材料が除去される第2の期間に対応する、
方法。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図を再び参照すると、
図6および7は、一般
に符号1で
示した本発明に係るウエハクランプデバイスを概略的に示す。
【0023】
クランプデバイスは、一般に
図6の符号3で
示した両面研削盤内で用いることがでる。
【0024】
ウエ
ハクランプデバイス1を用いることができる両面研削盤の例は、
光洋機械工業株式会社製のモデルDXSG320およびモデルDXSG300Aを含む。
【0025】
ウエ
ハクランプデバイス1は、ウエハの両表面を同時に均一に研削できるように、
図中で一般にWで示される単一の半導体ウエハ(
広義には「
ワークピース(workpiece)」)を
、研削盤3内に垂直姿勢で保持して
いる。
【0026】
これは、研磨
工程および回路プリント工程の前に、ウエハの表面の平坦
度および平行
度を改善する。
【0027】
研削盤は、本発明の技術的範囲から逸脱せずに、半導体ウエハ以外の
ワークピースを保持するクランプデバイスを有してよいことを理解されたい。
【0028】
図6および7にも示されるように、ウエ
ハクランプデバイス1は、一般
に符号9a、9b
でそれぞれ示した左右の研削砥石、および一般
に符号11a、11b
でそれぞれ示した左右の静水圧パッドを含む。
【0029】
左右の指定は、ただ記載を簡易にするためになされており、および砥石9a、9bとパッド11a、11bのいかなる特定の方向をも要求しない。
【0030】
文字「a」および「b」は、左
側の砥石9aと左
側のパッド11aとの部分を、右
側の砥石9bと右
側のパッド11b
のものと区別するのに用いる。研削砥石9a、9bと静水圧パッド11a、11bは、当業者に既知である手段によって研削盤3に取り付けられる。
【0031】
従来から知られているように、2つの研削砥石9a、9bは、実質的に同じであり
、各々の砥石は、ほぼ平坦である。
【0032】
図6および7に示すように、研削砥石9a、9bは、一般に、ウエハの
中心から下側で(または下側中心に向かって
:toward a lower center of the wafer)、ウエハWとの係合部を研削するために置かれている。
【0033】
各々の砥石9a、9bの
外縁は、ウエハの
下端に
おけるウエハWの
外縁より下
まで延在し
、ウエハの中心に
おけるウエハの中心軸WCより上
まで延在している。
【0034】
これは、各々のウエハWの表面積全体を操作中に研削することを確実にする。
【0035】
加えて、研削砥石9a、9bの少なくとも
一方は、その対にされた研削砥石に対して
相対的に移動
可能である。
【0036】
これは、研削盤3のクランプデバイス1内の研削砥石9a、9bの間の位置に半導体ウエハWを
装填する(または入れる:load)のを容易にする。
【0037】
図示されたクランプデバイス1においても、半導体ウエハWをデバイス1内に
装填するのが更に容易に
なるように、
左側の静水圧パッド11aは、対応する左
側の研削砥石9aに対して
相対的に移動
可能であり、また、固定され
たままの右
側の静水圧パッド11bに対しても移動
可能である。
【0038】
両方のパッド
が対応する研削砥石に対して
相対的に移動
可能なウエ
ハクランプデバイス
、ウエハを
装填中に両方のパッドを固定するウエ
ハクランプデバイス、またはウエハを
装填中に静水圧パッド
と対応する研削砥石
とが
共に動くウエ
ハクランプデバイスは、本発明の技術的範囲から逸脱しない。
【0039】
図6および7に示
したウエ
ハクランプデバイス1をまた参照すると、研削操作
中に、ウエ
ハクランプデバイスの2つの研削砥石9a、9b
と、2つの静水圧パッド11a、11bは、そ
れらの間に半導体ウエハWを保持するために
、向かい合った関係で配置されている。
【0040】
研削砥石9a、9bおよび静水圧パッド11a、11bは、垂直なクランプ平面71、73を
それぞれ規定し
、ウエハを垂直
姿勢で保持するのを支援する
クランプ圧力を、ウエハW
上に生み出す。
【0041】
このことは、以下に更に詳細に
説明する。
【0042】
図6をとりわけ参照すると、静水圧パッド11a、11bは、操作
中に
静止しているが、一般
に符号14
で示されるドライブリングは
ウエハを動かして、パッドおよび研削砥石9a、9bに対して
相対的に回転
させる。
【0043】
従来から知られているように、ドライブリング14の戻り止め(detent)またはクーポン
(coupon)15は、一般に、ウエハの
外縁に形成され
た切欠きN(
図6では破線
で示される)においてウエハWと係合
して、ウエハを動かし、その中心軸WC(中心軸WCは、パッド11a、11bの水平軸44a、44bにほぼ対応する(図8および図12を参照))のまわりに回転させる。
【0044】
同時に、研削砥石9a、9bは、ウエハWと係合し
、互いに反対の方向に回転する。
【0045】
砥石9a、9bの
一方は、ウエハWと同じ方向に回転し
、他方は、ウエハとは反対の方向に回転する。
【0046】
次に図8〜13Bを参照すると、本発明の静水圧パッド11a、11bは、更に詳細に示され
ている。
【0047】
図8〜11は、左
側の静水圧パッド11aを示し
、図12〜13Bは、向かい合った右
側の静水圧パッド11bを示す。
【0048】
図示されるように、2つのパッド11a、11b
は実質的に同じであり
、互いにほぼ鏡像である。
【0049】
従って、左
側のパッド11a
だけが説明され、右
側のパッド11b
の説明は同じであると理解される
だろう。
【0050】
図8〜9Bに示すように、左
側の静水圧パッド11aは、
概して薄く
、円形
形状であり
、処理されるウエハW
と同様の寸法を有する。
【0051】
この関係を示すために、図9Aおよび9Bに、ウエハW
を鎖線で図示した。
【0052】
図示された静水圧パッド11aは
、直径が約36.5cm(14.4in)
で、
操作中にウエハWと向かい合う加工表面積が約900cm
2(139.5in
2)
である。の
【0053】
従って、例えば、
直径が約300mm
の標準的なウエハを研削するのに用いることができる。
【0054】
とはいえ、静水圧パッドは、本発明の技術的範囲から逸脱せずに、異なる直径
および表面積
にしてもよいことを理解すべきである。
【0055】
例えば、パッドは、200mmのウエハ
の研削
に用いるため
の小さいスケールの寸法に
してもよい。
【0056】
図8および9Aから最もよくわかるように、静水圧パッド11aの
本体17aは、研削操作
中にウエハWに
直接向かい合った
(immediately opposite)ウエハ側
の面19aを含む。
【0057】
ウエハ側
の面19aに形成されている6つの静水圧ポケット21a、23a、25a、27a、29a、31aは、それぞれ、パッド11aの研削砥石
用開口(一般
に符号39
で示される)のまわりにほぼ半径方向に配置されている。
【0058】
パッド
本体17aの後面35aは、
ウエハ側の面19aの反対側にあり、ほぼ平坦
で静水圧ポケット
は無いが、本発明の技術的範囲から逸脱せずにポケットを含んでよい。
【0059】
加えて、6つより多いまたは少ない静水圧ポケット、例えば、4つのポケットを有する静水圧パッドは、本発明の技術的範囲から逸脱しない。
【0060】
6つの静水圧ポケット21a、23a、25a、27a、29a、31aは、それぞれ、アーチ形状であり
、パッド11aのまわりにほぼ
周方向に延在している。
【0061】
それぞれのポケット21a、23a、25a、27a、29a、31aは、ウエハ側
の面19a
における盛り上がった表面(raised surface)32a
内で凹んでおり
、それぞれ
が、
比較的平坦な垂直側壁(flat vertical sidewalls)37aと、
丸みを帯びた外周角部(rounded perimeter corners)とを含む。
【0062】
ポケットは、パッド11aの面19a
に、浅いキャビティを
切削または成型(
casting)することによって形成されている。
【0063】
異なるプロセス
で形成
した静水圧ポケットは、本発明の技術的範囲から逸脱しない。
【0064】
図8および9Aを
再度参照すると
、ポケット21aと23a、25aと27a、および29aと31a
の対の各々は、実質的に同じ寸法および形状にされることがわかる。
【0065】
更に、
図示されたパッド11aでは、ポケット21aおよび23a
の各々は、表面積が約14.38cm
2(2.23in
2)
で、ポケット25aおよび27a
の各々は、表面積が約27.22cm
2(4.22in
2)
である。およびポケット29aおよび31aは、それぞれ、約36.18cm
2(5.61in
2)の表面積を有する。
【0066】
パッドの全ポケット表面積11aは、約155.56cm
2(24.11in
2)であり、全ポケット表面積のパッド加工表面積に対する割合は、約0.17である。
【0067】
この割合は、0.17以外であってもよく、それでも、本発明の技術的範囲内にある。例えば、割合は、約0.26以下であってよい。従来のパッド11’(
図4)と比較すると、ポケット21’、23’の各々の表面積は、約31.82cm
2(4.93in
2)であり
、ポケット25’、27’の各々の表面積は、約36.47cm
2(5.65in
2)であり
、ポケット29’、31’の各々の表面積は、約47.89cm
2(7.42in
2)である。従来のパッド11’の全ポケット表面積は、約232.36cm
2(36.02in
2)であり
、全ポケット表面積に対するパッド加工表面積の割合は、約0.2
6(パッド11’の加工表面積は、約900cm
2(139.5in
2))である。
【0068】
ポケット21aと23a、25aと27a、および29aと31aは、
それぞれ、
(パッド11aの垂直軸43aで分割された)ウエハ側
の面19aの
左右半分づつ(または、反対側の半分:opposite halves)
に、対称的に配置されている。ポケット21a、23aは、
一般に、パッド11aの水平軸44aより
も下側にあるが、ポケット25a、27a、29a、31aは、
一般に、軸44aより
も上側にある。ポケット29a、31aは、
一般に、ポケット25a、27aよ
り上側にあり
、研削砥石
用開口39aに隣接して配置されて
おらず、そ
れの間に配置され
たポケット25a、27a
により開口から分離されている。このポケットの
配向において、全ポケット表面積の約15%
が、水平軸44aより下
側に位置する。このパーセントは、本発明の技術的範囲から逸脱せずに23%以下であり得る。従来のパッド11’と比較
すると、全ポケット表面積の少なくとも約24%
が、パッドの水平軸44’より下
側に位置する。軸44’より下
側のポケット面積
が増加することによって、パッド11’によりウエハにかけられるクランプ力は、研削砥石
用開口39’
側に向かっ
て増加
し、B−リング形成の一因となることを理解すべきである。
【0069】
図8および9Aは、
静水圧パッド11aの本体17aの下側部分に形成された円形の研削砥石
用開口39aを示し
ており、パッドを
貫通しウエハWの
中心から下側と係合する研削砥石9aを
、収容
できる寸法および形状にされている(研削砥石およびウエハは、
図9Aにおいて
鎖線で示される)。
開口に収容したときに、開口39aの中心は研削砥石9a(および9b)の回転軸67にほぼ対応する。
図示されたパッド11aでは、研削砥石
用開口39aの半径R1
は約87mm(3.43in)であり
、研削砥石9aの
周縁部と
、半径方向に向かい合う
研削砥石用開口縁部41aとの間の距離は、
比較的均一であり
、おおむね約5mm(0.20in)である。これらの距離は、本発明の技術的範囲から逸脱せずに異なってよい。
【0070】
図示するように、パッド11aの
盛り上がった表面32aは、各々のポケット21a、23a、25a、27a、29a、31aの
外周を囲むように延在して
いる同一の広がりを有する
平坦域((または、同一の広がりを有する高台部分:coextensive
plateaus)34aを含む
。符号36a
でそれぞれ
示した排水チャンネルは、ポケット21a、23a、25a、27a、29a、31aの各々の
平坦域34aの間
において、盛り上がった表面32aに形成されている。おおよそ三日月形の自由領域60aは、研削砥石
用開口の
周縁部41aと、ポケット21a、23a、25a、27aの
平坦域34aの内側部分の
縁部38aとの間に
おいて、盛り上がった表面上で凹んでいる。
ウエハWに対するクランプ力は、自由領域60a
では実際上ゼロである。これらの特徴を以下に更に説明する。
【0071】
図10を参照すると、静水圧ポケット21a、23a、25a、27a、29a、31aは、それぞれ、流体をポケットに導入するための流体注入ポート61aを含む。パッド
本体17a内のチャンネル63a(隠
れ線によって示される)は、流体注入ポート61aと相互
接続されており、流体を、外部流体源(図示せず)からポケットに供給する。研削中に
、パッド面19aではなく流体
がウエハWと接触するように、操作中に、比較的一定の圧力下で、流体をポケット21a、23a、25a、27a、29a、31aに送り込む。この
ように、ポケット21a、23a、25a、27a、29a、31a
での流体は、
ウエハWをパッドクランプ平面73内で垂
直に保持
する一方で(
図6および7を参照されたい)、
ウエハWが研削中
に非常に低い摩擦抵抗
でパッド11a(および11b)に対して
相対的に回転
可能になる、潤滑されたベアリング領域またはスライドバリア(sliding barrier)を提供する。パッド11aのクランプ力は、主に、ポケット21a、23a、25a、27a、29a、31aに
提供される。
【0072】
図11は、パッド11aのウエハ側
の面19aの左半分を更に詳細に参照し、ポケット21a、25a、29aの
配向を示す。半径距離
(または半径方向の距離)RD1、RD2およびRD3は、
理想的には研削砥石の回転軸67に対応する研削砥石
用開口の中心から
の、ポケット21a、25aおよび29aの
それぞれについて最も近い垂直側壁37a(最も近い垂直側壁37aは、研削砥石
用開口39aの
縁部41aに最も近い垂直側壁のこと
である)の
周縁部の
位置を示
す。図示するように、距離RD1は、ポケット21aの最も近い垂直側壁37aのまわりにおいて一定ではなく、ポケット21aの
下端(bottom end)からのほうが、
上端からよりも開口39a
まで遠い。
具体的には、距離RD1は、ポケットの
下端の方向で約104mm(4.1in)
から、上端の方向で約112mm(4.4in)の範囲である(これらの値は、ポケット23aと同じである)。半径距離RD2およびRD3は、
それぞれ、ポケット25aおよび29aの最も近い垂直壁37a
まで比較的一定であり、RD2が約113mm(4.4in)の値
であり、RD3が約165mm(6.5in)の値
である(これらの値は、ポケット27a、31a
のそれぞれと同じである)。本発明の技術的範囲から逸脱せずに、半径距離RD1は一定であってよく
、半径距離RD2およびRD3は一定でなくてよい。
【0073】
図11は、また、研削砥石の回転軸67から、ポケット21a、25aの
平坦域34aの半径方向に最も内側の
縁部38aまで半径方向に測定した半径距離RD11を示す。
縁部38aは、ゼロ圧力
の(
自由な:free)領域60aの末端または境界を規定する。図
から分かるように、半径距離RD11
は縁部38aに対して一定ではなく
、図示されたパッド11aでは、垂直軸43の近
傍にお
ける約108mm(4.25in)
から、縁部38a
が研削砥石の開口縁部41aと合体する位置であるポケット21aの
下端近
傍にお
ける約87mm(3.43in)
までの範囲
にある
。研削砥石9aの
周縁部(開口39aに収容
したとき)から、
半径方向に向かい合った縁
部38aの最
深部分
(a radially opposed innermost portion)まで
を、これら
と同じ
ように測定
すると、垂直軸43aの近
傍にお
ける約26mm(1.02in)
から、ポケット21aの
下端近
傍にお
ける約5mm(0.20in)
までの範囲
にあり
、研削砥石用開口39aの半径R1に対する割合は、約0.30〜約0.057の範囲
となる。比較すると、従来の静水圧パッド11’(
図4)にお
ける対応する距離は一定であ
り、これは、盛り上がった表面32’の最
深部分の
周縁部38’は、研削砥石の開口
縁部41’と一致する(すなわち、従来のパッド11’内にゼロ圧力
の(
自由な)領域がない)
からである。このパッド11’では、半径距離RD11’は、約87mm(3.43in)であり
、研削砥石9’の
周縁部から
縁部38’までの同じ測定は、約5mm(0.20in)である。
【0074】
本発明の静水圧パッド11aおよび11bは、従来の静水圧パッド11’と比較して少なくとも以下の好都合な特徴を有する。全静水圧ポケット表面積
は減少する。これは、パッドによ
ってウエハWに適用される全体のクランプ力を効果的に減少
し、これは、操作中に静水圧ポケット21a、23a、25a、27a、29a、31a、21b、23b、25b、27b、29b、31bに収容される流体
の量が減少するからである。加えて、水平軸44aより
下側にあるポケット表面積は減少する。これは、研削砥石
用開口
39a、39bの左
側および右
側にお
けるクランプ力をとりわけ低くする。更に、内側ポケット21a、23a、25a、27a、21b、23b、25b、27bは、
研削砥石用開口縁部41a、41bから離れ、そ
れらの間にゼロ圧力の自由領域60a、60b
が形成される。これは、研削砥石
用開口39a、39bの
縁部41a、41bのまわりのクランプ力をとりわけ低くする。
【0075】
研削砥石9a、9bの
シフト動作および/または
傾斜動作を更に容易に一致
させることができるように、ウエハWを研削操作
に静水圧パッド11a、11b
であまり強固
ではなく保持する。これは、研削砥石9a、9bが移動する
ときに形成される静水圧クランプモーメントの大きさを減少する(すなわち、ウエハの曲げ領域に
形成される応力
が小さくなる)。加えて、ウエハWを、研削砥石
用開口
縁部41aに隣接して
、きつく保持しない。砥石
が移動する
ときに、ウエハWは、研削砥石
用開口
縁部41aに隣接して曲がる可能性
はやはりある
が、従来の研削デバイスよりは鋭くはない。従って、静水圧パッド11aおよび11bは、ウエハWの表面に亘る更に均一な研削を促進し
、研削したウエハ
のB−リングおよび中心−マーク(C−マーク)の形成
などのナノトポロジー悪化を減少または
排除する。これは、
図5Aと14を比較することによってわかる。
図5Aは、従来の静水圧パッド11’を用いて研削されたウエハWを示
し、
図14は、本発明のパッド11aおよび11bを用いて研削されたウエハWを示す。
図14に示されるウエハは、B−リングおよび中心−マーク(C−マーク)が実質的に
存在しない。
【0076】
図15A〜19は、本発明のパッド11a
、11
bおよび従来のパッド11’
で保持
したウエハW内の応力を示す。
図15Aおよび15Bは、研削砥石および静水圧パッドのクランプ平面
が整列(または調整:align)したときの、これらの応力を
視覚的に図示する。両方のウエハWにおいて
、研削砥石
用開口39および39’内
の応力は無視してよい(パッドは、これらの領域
ではウエハをクランプしない)。
図15Aは、パッド11aおよび11bによって保持され
たときにウエハWに形成され
る低い応力を示す。それは、
特に、研削砥石
用開口
縁部41a、41bに隣接したウエハWの全体表面に亘っ
て低い応力(98および99
で示
した明るい色の領域)
を示す。それ
はまた、ウエハに亘
る均一に分布され
た応力
も示す。一方で
、図15
Bに示されるように、パッド11’によって保持され
たウエハW内の最大の応力97は、開口39’の
周縁部に近接している(すなわち、ゼロ圧力(自由)領域がない)。
【0077】
図15Aおよび15Bを比較
してわかるように、大きな応力
が集中
する領域97は、
パッド11aおよび11bを用いての研削中には、パッド11’(
図15B)を用い
たときほどには広がらない。利点は、(例えば、研削砥石
用開口
縁部41aに隣接した)曲げ領域におけるウエハW
の局所的な変形
が少ないことと、研削砥石9a、9bのより均一な磨耗
と、の両方である。
砥石の均一
な磨耗は、砥石
の形状が、研削中
に変化
しない(すなわち、
差別的な(または特異的な:differential)研削磨耗
がない)ことを確実にする。これは、研削盤が、
長期間に亘って
、低いナノトポロジー
の設
定を維持できること
も保証する。また、砥石が
シフトまたは
傾斜したときに、
動作によって生じる応力をウエハWに亘って効果的に広げて、中心−マーク(C−マーク)およびB−リングをあまり目立って形成
させない。これ
により、望ましくは、研削
のナノトポロジー
が、研削砥石の
シフトおよび
傾斜に
よる影響を受けにくく
なる。
【0078】
図16〜19は、
研削砥石9a、9bがシフトおよび/または傾斜したときに、静水圧パッド11a、11bを用いた研削操作
中のウエハW内
の応力が低い
ことを示している。
図示された応力は、研削砥石
用開口
縁部41a、41bに隣接したウエハW内に生じる
ものであり
、縁部41a、41bのまわりの位置において、約7時の位置(
弧の長さ(arc length)
0mm)
から始めて、周縁部を時計回りに移動
して(弧の長さ約400mmまで)測定される。従来の静水圧パッド11’
で保持されるウエハW内の応力は、一般
に符号91
で示し、パッド11a、11b
で保持されるウエハ内の応力は、一般
に符号93
で示す。
【0079】
図16は、研削砥石が
シフトしたときの応力91、93を示す。図
から分かるように、応力93は、応力91より顕著に小さく、
ウエハWの中心WC(約200mmの弧の長さに対応する)を含む研削砥石
用開口39a、39bの
外縁全体
にわたって、応力91に比べて更にほとんど一定である。従って、本発明において、研削砥石9a、9bが
シフトしたときに、ウエハWは、従来のデバイスで研削されるウエハと比較して
、それらの中心の近
傍で
鋭く曲がらない。
【0080】
図17は、研削砥石が
シフトして垂直傾斜したときの、ウエハW
内の応力91、93を示す。再び、パッド11a、11bに
関連する応力93は、研削砥石
用開口
縁部39a、39bの
外縁全体に沿ってほぼ一定である。加えて、ウエハ中心WCに対応する位置
でパッド11a、11bによって保持され
たウエハW
内の応力93の増加は
著しく少ない。従って、研削砥石9a、9bが
シフトして垂直
傾斜したときに、ウエハWは、研削砥石
用開口39a、39bの
外縁に隣接して
それほど鋭く曲がらず
、中心−マーク(C−マーク)の形成は減少する。
【0081】
図18は、砥石が
シフトして水平傾斜したときのウエハW
内の応力91、93を示す。図
から分かるように、ウエハWの左側における応力93は、応力91
のように
は鋭
く増加しない。従って、パッド11a、11b
で保持され
たウエハWは、砥石9a、9bが
シフトして水平傾斜したときにそれらの
外縁ではそれほど鋭く曲がらず
、B−リングおよび/またはC−マークの形成は減少する。研削砥石の
シフトと垂直
傾斜と水平
傾斜との組み合わせ効果によってウエハW内の応力91、93が生じる場合
の同様の結果を
図19に示す。
【0082】
図20は、従来の静水圧パッド11’および本発明の静水圧パッド11a、11bを用いて研削されたウエハ
について、
上位0.05パーセン
タイルのナノトポロジー値を図
に記したものである。パッド11’を用いて研削されたウエハ
のナノトポロジー値は、一般
に符号72
で示されており、パッド11a、11bを用いて研削されたウエハ
の値は、一般
に符号74
で示される。本発明のパッド11a、11bを用いて研削されたウエハは、
一貫して従来の値72よ
り低いナノトポロジー値74を有する。
【0083】
本発明の静水圧パッド11a、11bは、単一の操作
セットアップ(operational set-up)で、ウエハ
のセット(または一連のセット:a set of wafers)における多数のウエハを研削するのに用いることができる
。ウエハ
のセットは、例えば、少なくとも400
枚のウエハを含
み得る。それは、本発明の技術的範囲から逸脱せずに、400
枚よりも多いウエハを含んでよい。単一の操作
セットアップは、研削砥石9a、9bの
手動調整の間
に、一般に考慮される連続的な操作である。研削されたウエハW
のセットの各々は、一般に、改善されたナノトポロジーを有する(例えば、中
心マーク(C−マーク)およびB−リングの形成
が、減少または排除されている)。とりわけ、それら
の各々は、平均ピークバレー変化
が約12mm未満である。例えば、ウエハの平均ピークバレー変化は、約8nmであってよい。平均ピークバレー変化は、各々のウエハWの平均半径スキャン
(an average radial scan)における変化を表す
。ピークバレー変化は
、ウエハWの
外縁の辺りで、多数のウエハ半径において求められ
、それらの値の平均は、平均的な変化を
定め
る。
【0084】
図21は、本発明の第2の実施形態に従って左
側の静水圧パッドを概略的に示す。パッドは、一般
に符号111a
で示し、第1の実施形態のパッド11aの部分に対応するこのパッドの部分は、同
じ符号に「100」
を足
して示す。この静水圧パッド111aは、これまで記載した静水圧パッド11aと実質的に同じであるが、パッド11a
の対応するポケット21a、23a、25a、27a、29a、31aとは異なる形状および方向にされている静水圧ポケット121a、123a、125a、127a、129a、131aを有する。パッド11a
と同様に、ポケット121a、123a、125a、127a、129a、131aは、パッド111aの研削砥石
用開口139aのまわりに半径方向に配置されており、ポケット121a
と123a、ポケット125a
と127a、ポケット129a
と131aは類似しており
、ウエハ側
の面119aの
左右半分づつ(または、反対側の半分
)に
、おいて対称的に配置されている。加えて、ポケット121a、123aは、パッド111aのまわりに
周方向に延在している。しかしながら、このパッド111aでは、ポケット125a、127a、129a、131aは、研削砥石
用開口139aからに離れて半径方向に延在している。
その他の全ての態様については、これらのパッド111a、111bは
、パッド11a、11bと同じである。
【0085】
静水圧パッドのクランプの中心が、静水圧パッドのポケットに
かかる水圧を制御することにより影響を受け得ること
が、追加的に考慮され
る。これは、クランプの中心を下げ、ウエ
ハクランプデバイスの研削砥石
の回転軸
の近く
に動かす
だろう。更にとりわけ、各々のポケット
(またはポケットのいくつかのサブセット)内での流体圧
力は、
一連の研削
(the course of grinding)の間に変化させ得、および/または
他のポケットから独立して制御され
得る。いくつかのポケットの間
で圧力を変
える1つの方法は、
ポケット内のオリフィス開口の寸法を
異ならせることである。
更に、各々のポケットに
関連する領域の剛性(stiffness)は、ポケット深さ
を異ならせることによって、ポケットの間で変
えることができる。深いポケットは
、深いポケットの領域において
、浅いポケット
に比べてウエハW
の柔軟な(compliant)保持
をもたらし
、浅いポケットの領域にお
いてウエハを強固に保持する。
【0086】
本明細書
で図示され記載され
た静水圧パッド11a、11b、111a、111bは、約300mmの直径を有するウエハWとともに用いるために記載される。これまでに示されるように、静水圧パッドは、本発明の技術範囲から逸脱せずに、200mmのウエハを研削するのに用いるための縮小したスケールの寸法にできる。これは、本明細書に記載され
た各々の静水圧パッド寸法に適用する。
【0087】
本発明の静水圧パッド11a、11bは、研削操作の間にウエハWを支持でき、
そして繰り返しの研削の使用に耐えることができる
好適
な硬質材料
、例えば金属から作られている。他の
同様な硬質材料から作られている静水圧パッドは、本発明の技術的範囲から逸脱しない。
【0088】
本発明の別の態様によれば、
ウエハが両面研削盤内にある間に、ナノトポロジーを評価するためのシステムは、ウエハナノトポロジー
にフィードバックを提供し始め
。ナノトポロジー評価システムは、
ワークピースが両面研削盤内に保持されている間にワークピースの位置および/または変形についての情報を収集する
ために配置され
た少なくとも1つのセンサを含む
。センサは、ウエハの有限要素構造分析に用い
られる1以上の境界条件を規定するのに用いる1以上の測定を行う
ために使用可能である。システムは、本発明の技術的範囲から逸脱せずに、
(センサを用いずに規定または仮定できる境界条件を含め、有限要素分析を行うのに充分な境界条件が存在する限りは、)単一の境界条件
の規
定に用い
られる単一の測定を行う単一のセンサのみを有してよいことを理解されたい
。しかしながら、いくつかの実施形態において、ウエハの有限要素構造分析のための付加的な境界条件を規定するように、1以上のセンサは、多数の境界条件を規定するのに用いる複数の測定を行い、それはしばしば望ましい(または必要である)と認識される。
【0089】
例えば、一般に301で
示した本発明のナノトポロジー評価システムの1つの実施形態は、
図22、23に概略的に示
す。この実施形態は、特定の静水圧パッド配置を有する両面研削盤と組み合わせて記載されるけれども(以下に記載される
図25A、25Bにおいて明らかであるように)、ナノトポロジー評価システムは、本発明の技術的範囲から逸脱せずに、(
別のワークピースクランプシステム
を有する)他の両面研削盤とともに用いるのに適していることを理解されたい。更に、本発明は、ナノトポロジーシステム自体に限定されず、本発明のナノトポロジー評価システムを備えた両面研削装置も含む。
【0090】
1以上のセンサ303(例えば、複数のセンサ)は、静水圧パッド305の内側表面に配置されている。図に示される特定の実施形態において、例えば、複数のセンサ303(例えば、4つ)は、静水圧パッド305の各々の内側加工表面に沿って配置されている(
図23)。ウエハの有限要素構造分析のための境界条件を規定するのに使用できる情報を収集できる任意の種類のセンサを使用できる。例えば、1つの実施形態において、センサ303は、ウエハに対して制限するノズルから出る加圧された空気の流れによって受けた抵抗を測定することによって、静水圧パッドとウエハWとの間の距離を測定する動的な空気圧力センサを含む(例えば、MARPOSS Model E4Nによって製造される)。加圧された空気を大気に排出する。このようなノズルは、静水圧パッド305に強固に取り付けることができ、または別の方法では、静水圧パッドに対して固定することができる。当業者が認識するように、このような動的な圧力センサ303からの測定は、静水圧パッド305と、ウエハWの表面との間の空間を示す。従って、動的な空気圧力センサによる圧力の測定は、センサ303と、ウエハWの表面との間の距離に対応する。
【0091】
各々の静水圧パッド305に
関連するナノトポロジー評価システムのセンサ303は、ウエハWをx、y平面
で保持するように規定
したx、y、z直交座標系(
図22および23)のx方向とy方向の少なくとも1つにおいて、その静水圧パッドに
関連する他のセンサから空間をあけ
られている。この
ように、(複数の)センサ303を離
すこと
により、1つのセンサを、ウエハWの表面上の
対応する1つの位置
の測定を行う
のに
使用し、
そして別のセンサ
を、ウエハの表面上の
対応する異なる位置
の測定を行う
のに使用するのが容易になる。
【0092】
更に、図面に示される実施形態の各々の静水圧パッド305は、同じ数のセンサ303を有し
、パッドの1つにおけるセンサの分配
(または分布:distribution)は、実質的に、他のパッドにおけるセンサの分配
(または分布)の鏡像である。結果として、両方の静水圧パッド305は、x、y、z座標系のx方向とy方向の少なくとも1つにおいて分離され
たセンサ303を有する。更に、
図23に示すように、静水圧パッド305を互いに向かい合って配置する場合に(例えば、研削盤が使用中である場合に)、1つの静水圧パッドにおける各々のセンサを、他の静水圧パッドにおけるセンサと対にすることにより、センサ303を、対として配置する。所定のセンサ対におけるセンサ303は、xおよびy方向において互いにほぼ整列されており、実質的にx、y、z座標系のz方向のみにおいて互いから分離されている。所定のセンサ対におけるセンサ303は、静水圧パッド305によって保持されるウエハWの向かい合う面に配置されており、同じ場所においてウエハの向かい合う面における同時の測定を行うことを容易にする。これは、ウエハWの両面上における表面の位置を、その場所において同時に求めることを可能にする。
【0093】
センサ303の数と配置は変
更することができる。一般に、当業者は、センサ303
の数が多いほうが利点があ
るだろうと認識する
と思われるが、それは、多数のセンサを用いることにより、より多くの測定
値が得
られ、多数の境界条件を規定
でき、これにより境界条件の間の領域にお
ける、ウエ
ハ変形に対する有限要素分析の結果
の不確実性を低減することができるからである。しかしながら、センサ303の数に対して
実際上の制限もある。例えば、センサ303は、静水圧パッド305のクランプ機能に
与える影響が最小
であること、および
その逆も同
様であることが望ましい。
図示され
たナノトポロジー評価システム301において、例えば、センサ303は、静水圧ポケット313ではなく
、静水圧パッド305の
平坦域(plateaus)311に配置されている
。(
平坦域311および静水圧ポケット313に対応する位置
は図25Aに示されており、
図25Aは、ウエハのクランプ条件から得られる境界条件のマップである
。)これ
により、センサ303と、静水圧ポケット313によってクランプされるウエハWの領域と
、の間
に分離
が提供
され、このために、クランプ条件の情報から境界条件を得ることが可能である。センサ303とポケット313と
の分離
によって、静水圧ポケットの局所的
影響による、センサ測定に対する影
響を低減できる。
【0094】
上述したように、
(複数の)センサ303は、ウエハWの異なる部分
の測定を行うように配置されている。例えば、いくつかのセンサ303は、ウエハWの中心部分と相関し得る測定を行うように配置されて
おり、他のセンサは、B−リング
欠陥および/またはC−マー
ク欠陥に
なりやすいウエハの部分における測定を行うように配置されている。
図22および23に示される特定のセンサ配置を参照すると、センサ303は、ウエハWの中心から複数の異なる距離における測定を行うように配置されている。少なくとも1つのセンサ(例えば、Cで
示したセンサ
の対における複数のセンサ)は、研削中に、
ウエハの中心部分の変形に関する測定を行うことができるウエハWの中心近くに配置されて
いる。少なくとも1つの他のセンサ(例えば、RとLで
示したセンサ
の対における複数のセンサ)は、研削中に、ウエハWの
外縁近傍に
(すなわち、ウエハの中心から相対的に離れて)配置されてい
る。更
に別のセンサ(例えば、Uで
示したセンサ
の対における複数のセンサ)は、ウエハの
外縁近傍に配置され
た少なくとも1つのセンサ
およびウエハの中心
近傍に配置され
た少なくとも1つのセン
サに対して、ウエハWの中心から中間
の距離
に(例えば、B−リング
欠陥および/またはC−マー
ク欠陥
が起こりやすいウエハの部分の
近傍に)配置されている。
【0095】
ウエハWは、それが研削盤内で回転する際に曲げモーメントに応じて曲がってよい。結果として、ウエハ上の所定位置におけるウエハWの変形は、ウエハが研削盤内で回転する際に変わり得る。センサ303は、ウエハWの中心から異なる距離において測定を行うように配置されているだけでなく、それらは、ウエハの中心から延在している異なる半径線323、325、327上に配置されている。例えば、センサ対RおよびLは、ウエハの中心から概ね同じ距離に配置されているが、それらは異なる半径線上にある。センサ対Rにおけるセンサは、概して、1つの半径線323上にあり
、センサ対Lにおけるセンサは、概して、異なる方向においてウエハWの中心から延在している別の半径線325上にある。さらに、センサ対CおよびUにおけるセンサは、概して、更なる別の方向におけるウエハWの中心から延在している第3の半径線327上に配置されている。図に示される実施形態において、半径線323、325、327は、互いから実質的に等距離である。従って、半径線323、325、327は、互いに約120度の角度を形成する。しかしながら、互いに関して半径線の空間と、センサがそれに沿って配置されている異なる半径線の数とは、本発明の技術的範囲から逸脱せずに変わってよい。
【0096】
さらに、センサ303は、研削装置の要素に関して異なる位置に配置されている。例えば、センサ対L
のセンサは、研削砥石9
を間にして、センサ対R
のセンサと
反対側にある。これは、センサ対R
のセンサ
のうちの1つとセンサ対L
のセンサ
のうちの1つとを含
んでおり且つ(上記で規定した)座標系のx、y
、平面と垂直
である仮想平面331(
図22を参照されたい)が、研削砥石9
を横切っていることから明らかである。センサ対RおよびL
のセンサは、それらがウエハWの中心から概ね同じ距離であるように配置されているので、1つのセンサ対によって測定が行われるウエハの部分は、後に、
(ウエハの回転が、ウエハのその部分を他のセンサ対に移動させた後に)他のセンサ対によって測定を行うことができる
。しかしながら、ウエハWは、それが研削盤内で回転する際に曲がり得るので、センサ対R
のセンサによる測定
値は、センサ対L
のセンサによる対応
の測定
値とは異なってよい。
【0097】
さらに、少なくとも1つのセンサ(例えば、センサ対RおよびLにおける複数のセンサ)は、ウエハの水平な中央線341より実質的に下
側に配置されている(
図22)が、少なくとも1つの他のセンサ(例えば、センサ対Uにおける複数のセンサ)をウエハの水平な中央線より実質的に上に配置されている。別のセンサ(例えば、センサ対Cにおける複数のセンサ)を、ウエハWの水平な中央線341に対して相対的に近くに配置できる。例えば、図に示される実施形態において、センサ対Cにおけるセンサは、ウエハWの水平な中央線341よりわずかに上にある。
【0098】
さらに、少なくとも1つのセンサ(例えば、センサ対R、CおよびLにおける複数のセンサ)は、研削砥石9を収容するために、静水圧パッド305内の開口345の1つの近くに配置されており
、従って、操作中に、研削砥石に隣接して配置されている。同様に、少なくとも1つのセンサ(例えば、センサ対R、CおよびLにおける複数のセンサ)は、いずれの静水圧ポケット313よりも研削砥石9の近くに配置されている。上述したように、いくつかの研削盤における研削盤の不整列は、研削砥石9によるクランプと、静水圧パッド305によるクランプとの間の移行時に、相対的にさらに高い応力をウエハWに加える可能性があり、この場合において、操作中に、いずれの静水圧ポケットよりも研削砥石の近くに配置されているおよび/または研削砥石に隣接して配置されている任意のセンサは、研削盤の不整列に際して、相対的にさらに高い応力が加えられたウエハの一部からの測定を行うように配置するように考慮され得る。この意味で、静水圧パッド305を用いることに対するいくつかの付加的な利点があってよく、静水圧パッド305における静水圧ポケット313は、研削砥石から離れるようにクランプ力の中心を移動する(上述したように)ように、研削砥石9から離れて移動する。なぜなら、静水圧ポケットのこの配置は、ナノトポロジー評価システム301のセンサ303のための更なる室を静水圧ポケットと研削砥石の間
(例えば、実質的にゼロのクランプ圧力の自由領域内)に配置できるからである。
【0099】
少なくとも1つの他のセンサ(例えば、センサ対Uにおける複数のセンサ)は、静水圧パッド305における開口345からさらに遠くに配置されており
、従って、操作する際に研削砥石9からさらに遠くなるように配置されている。その少なくとも1つのセンサ(例えば、センサ対Uにおける複数のセンサ)は、また、少なくともいくつかの静水圧ポケット313よりも研削砥石9からさらに遠い。さらに、その少なくとも1つのセンサ(例えば、センサ対Uにおける複数のセンサ)は、研削盤の不整列に際して、それらの研削盤において相対的にさらに低い応力が加えられたウエハWの一部から測定を行うように配置されるように考慮でき、該研削盤は、不整列がある場合に、研削砥石によるクランプと、静水圧パッドによるクランプとの間の移行時に、相対的にさらに高い応力をウエハに加える。
【0100】
既に記載したように、センサ303は、センサからウエハW表面までの距離についての情報を検出する
ために使用可能である。センサ303は、プロセッサ351と信号
伝達的に連結しており(
図22)、センサから
のセンサデータ出力を
受信するように作動できる。プロセッサ351は、研削装置か
ら離れていてもよいが、必須ではない。
図22は、プロセッサ351をセンサに接続する
ハード配線(またはハードワイヤリング
: hard wiring)353を
図示
するが、プロセッサおよびセンサは、本発明の技術的範囲から逸脱せずに
、ワイヤレス
通信してよいことを理解されたい。
【0101】
コンピューターワークステーションのCPUは、プロセッサ351として用いることができる。さらに、センサ303からのデータおよび/またはそこから得られる情報355の処理は、多重処理ユニット間で共有でき、その場合に、用語「プロセッサ(processor)」は、全てのこのような処理ユニットを含む。本発明の1つの実施形態において、プロセッサ351は、研削操作の間に、センサ303からのセンサデータ出力を監視する。センサ303からの出力は、情報収集目的のためにおよび/または研削装置の操作を検証するように記録される。必要に応じて、センサ303からの出力は、研削操作の間および/または後に、
図24に示すように図示される。
【0102】
本発明の1つの実施形態において、プロセッサ351は、ウエハWの有限要素構造分析を行う
ために、センサ303から監視したセンサデータを用い
て作動できる。
図24に示すように、プロセッサ351は
、研削操作中の時間357
に、好ましくは主要な研削段階の終了近く(例えば、研削の仕上段階が始まる前)に、センサデータを収集する。主要な研削サイクルは、
図24に示す第2工程に対応する。
図24に示される
全ての研削サイクルは、5
つの工程
から成る。工程361=速い切込
(または速い送り込み:fast infeed)、工程363=主要な研削サイクル
、工程365=低速の研削サイクル
、工程367=スパークアウトサイクル
、および工程369=砥石格納サイクル
である。プロセッサ351は、センサデータから1
つ以上の境界条件を求め
るように、そしてセンサデータから得られ
た1
つ以上の境界条件を用いて、ウエハWの有限要素分析を行うように作動
させることができる。センサデータから得られ
た境界条件は、静水圧パッドによってもたらされるクランプ条件の情報から得られ
た付加的な境界条件
で補足される。
研削サイクルおよび、プロセッサ351が有限要素構造分析のためのデータを収集する時間は、本発明の技術的範囲から逸脱せずに
変更可能である。
【0103】
図25Aは、境界条件がクランプ条件の情報から得られる一組の位置の一例を示す。
図25Aにおいて、境界条件は、静水圧パッド305の
外縁および静水圧ポケット313の
外縁において規定されている。
図25Bは、ウエハWの有限要素構造分析を行うために適したメッシュを示す。
図25Aおよび25Bに示される例に用いる静水圧パッド305は、上記に示される静水圧パッド11a、11bとはわずかに異なる静水圧ポケットの配置を有することに留意されたい。しかしながら、当業者は、境界条件を規定する方法および、どのような研削装置にも用いる特定の静水圧パッドに適したメッシュを開発する方法を知っている。
【0104】
センサデータから得られる境界条件を用いて、クランプ条件から得られる境界条件とウエハWの特性(例えば、シリコンの材料特性)を組み合わせると、プロセッサ351は、ウエハのナノトポロジーの予測を含むウエハ形状を予測するように、ウエハの有限要素分析を行う。有限要素分析において、プロセッサ351によって予測されるウエハWの形状は、未加工ウエハのプロファイルである。研削プロセスは、典型的には、半径方向の対称性を示すナノトポロジーの特徴をもたらすので、未加工ウエハのプロファイルは、ウエハの中心から距離の関数として変形に関して表され得る。センサデータを用いた有限要素分析によって予測される未加工ウエハのプロファイルの1つの例は図に示される。
【0105】
1つの実施形態において、変形したウエハ形状は、有限要素分析を用いて以下のように計算される。所定のメッシュは、シェル要素を用いて、この分析のために特定される。1つのメッシュの詳細は、
図25Aに示される。ウエハの変形は、ウエハのクランプ角度、砥石の
傾斜および
シフトに依存して、RまたはLのB−リングセンサにおいて、より可能性があるということを念頭に置くべきである。さらに大きい変形は、NT悪化とのさらに強い
相関を有する傾向がある。従って、この効果を得るように、2つの測定値(reading)RおよびLのより高い方を両方の場所に適用する。静水圧パッドによるウエハクランプは、基本的な剛性(fundamental stiffness)の境界条件を用いて、もたらされる。研磨後のNTは、通常、10秒未満で計算される。研削砥石の
外縁に沿ったウエハの変位(displacement)が考慮される(
図25Bにおける
弧ABC(arc ABC))。ウエハの中心から延在している全ての半径rについて、円弧に沿った2つの位置がある。これらの2つの位置における変位は、有限要素分析の結果に基づいて求めることができるおよびその半径における平均の変位を得るように平均化できる。平均の変位は、未加工プロファイル曲線としてプロットできる(
図26A)。従って、未加工プロファイル曲線からの測定値は、フィルタ処理されたプロファイル曲線をもたらすように、空間フィルタを通過する(
図26)。
【0106】
当業者に当然のことながら、研削後に、通常、付加的なウエハ処理工程がある。例えば、ウエハを、一般的に、研削後に研磨する。さらに、ナノトポロジー生成量は、研削した後ではないが仕上段階の処理工程(典型的には、ウエハのナノトポロジーを変化させる)が完了した後のナノトポロジーによって求められる。従って、本発明の1つの実施形態において、プロセッサ351は、有限要素分析から得られる未加工ウエハのプロファイルを用いて、1以上の仕上段階の処理工程後にウエハナノトポロジーがどうなり得るか予測するのに作動できる。
【0107】
1以上の仕上段階の処理工程(例えば、研磨)後のウエハプロファイルを予測するように、例えば、空間フィルタは、未加工ウエハのプロファイルに適用できる。当業者は、この種の空間フィルタ処理を行うのに適用できる様々なウエハの欠陥/収率の管理ソフトウェアツールを知っている。いくつかの例は、SiGlaz of Santa ClaraからIntelligent Defect Analysis Software;Zenpire of Palo Alto、CAからiFAB software;Galaxy Semiconductor Inc. − USA of Waltham、MAからExaminator software;およびKnights Technology of Sunnyvale、CA.から Yieldmanager softwareを含む。フィルタ処理されたウエハプロファイルは、ナノトポロジーが更に処理された後にどうなり得るかの代表例である。フィルタ処理されたウエハプロファイルの1つの例は、
図26bに示される。有限要素分析から得られる未加工ウエハのプロファイルを、多くのウエハのための仕上段階の処理後(例えば、研磨後)の実際のナノトポロジー測定(例えば、ナノマッパー(登録商標))と比較することにより、有限要素分析に用いるパラメータ(例えば、静水圧クランプに関した境界条件)は、より良い
相関のために微調整できる。
【0108】
さらに、プロセッサ351は、センサからセンサデータを受信しおよびセンサデータから
ワークピースのナノトポロジーを評価するように作動できる。1つの実施形態において、プロセッサは、悪いナノトポロジー評価に応じて改善作業を実施するように、必要に応じて、情報355(例えば、予測された
ワークピースのNT)を提供するように作動できる(例えば、1以上のウエハプロファイルが、仕様または他の所定基準に適合しない場合にプロセッサによって求められるように)。その最も簡単な形態において、改善作業を対象とした情報355は、調整がなされるべきであるおよび/または研削プロセスが注意を必要とする1以上の人間操作者(例えば、プロセスエンジニア)を対象とした信号を出力することを含んでよい。プロセッサ351からの信号に応じて、人間操作者は、研削盤の性能を改善するように、研削盤の位置合わせ(例えば、研削砥石の水平
傾斜に対応する少なくとも1つの角度、研削砥石の垂直
傾斜に対応する角度、研削砥石同士の間の
シフト)および/または静水圧パッドのポケットに供給される流体の圧力を調整できる。代替的にまたは追加的に、操作者は、研削盤の初期設定(例えば、設定のための親指の法則)を調整することによって、位置合わせを調整できる。プロセッサ351は、可変の研削プロセスを調整することを含むいくつかの改善作業を実施するように、他の情報355も提供できる。例えば、プロセッサ351は、センサデータに応じて研削砥石および/または静水圧パッドのうちの少なくとも1つの位置または適用についての調整、および/またはポケット313に供給される流体の圧力を調整することによるウエハに対するクランプ力の中心についての調整を示す情報355を提供するように作動できる。同様に、プロセッサ351は、研削盤を再整列するように、研削砥石9および静水圧パッド305の少なくとも1つの位置を調整するのに用いる一組のアクチュエータ(図示せず)を制御するように操作者の入力に応答できる。
【0109】
本発明に従って半導体ウエハを処理する方法の1つの実施形態において、上述したナノトポロジー評価システム301を有する両面研削盤内に半導体ウエハWを
装填する。ウエハWの実際の研削は、本明細書での記載を除き、従来の様式で進行する。1以上のセンサ303は、研削プロセスの間において、ウエハWの変形を示しおよびウエハの有限要素構造分析のための1以上の境界条件を得るのに使用可能なデータを収集する。例えば、上述したナノトポロジー評価システム301のセンサ303は、ウエハWの表面とセンサとの間の複数の距離測定を収集する。さらに、評価システム301のセンサ303は、上述したように、ウエハの異なる部分から
、研削盤要素に関する様々な位置において、同時にデータを収集する。
【0110】
1つの実施形態において、センサは、B−リング欠陥に
関連するワークピースの一部における距離に関して、
ワークピースの2つの表面のずれを測定し
、プロセッサ351は、センサからこのような距離データを受信し
、受信したセンサデータから、
ワークピースナノトポロジーにおけるB−リング欠陥を評価するように作動できる。別の実施形態において、センサは、C−マーク欠陥に
関連するワークピースの一部分における距離に関して、
ワークピースの2つの表面のずれを測定し
、プロセッサ351は、センサから、このような距離データを受信し
、受信したセンサデータから
ワークピースナノトポロジーにおけるC−マーク欠陥を評価するように作動できる。
【0111】
センサ303は、センサデータをプロセッサ351に伝送し、該プロセッサ351は、センサデータを受信および処理する。センサ303からの出力は、
図24に示すように、必要に応じて記録および/または図示される(研削
中および/または
研削後)。センサデータを、ウエハWのナノトポロジーを評価するのに用いる。方法の1つの実施形態において、プロセッサ351は、ウエハWのナノトポロジーを評価するように、研削プロセスにおける時間からセンサデータを記録する。例えば、
図24は、両面研削プロセスサイクルの工程361、363、365、367、369と同時にプロットされる各々のセンサの時間変化出力を示す。プロセッサ351は、各々のセンサから一組の同時データを得るように、プロセスサイクルにおける所定時間(例えば、
図24における矢印357により示される時間)において、センサ303からの出力を記録する。プロセッサ351は、ウエハWの有限要素構造分析を行うための境界条件を得るように、その組のデータを用いる。
【0112】
プロセッサ351は、センサから得られる境界条件、および任意の他の境界条件(例えば、クランプ条件の情報から得られる境界条件)を用いて、ウエハの有限要素分析を行う(
図25A)。有限要素分析を、未加工ナノトポロジーウエハプロファイルを生じるように用いる(
図26B)。上述した空間フィルタを、必要に応じて、仕上段階の処理工程後(例えば、研磨後)にウエハWの生じ得るナノトポロジーを予測するように、未加工ウエハのプロファイルに適用する。
【0113】
プロセッサ351は、ナノトポロジー要求について、研削盤の性能を評価するように、未加工ウエハのプロファイルおよび/またはフィルタ処理されたウエハプロファイルを再検討する。この評価は、研削盤ナノトポロジー性能が所定の基準を満たすかどうかを求めるように、バッチにおける他のウエハのために未加工ウエハのプロファイルおよび/またはフィルタ処理されたウエハププロファイルを考慮できる。プロセッサ351が、研削盤がナノトポロジー基準を満たさないということを求めた場合に、プロセッサは、改善作業を始める。1つの実施形態において、改善作業は、研削装置が注意を必要とする1以上の人間操作者に信号を送ることを含む。従って、人間の操作者は、上述したように、研削盤装置の位置合わせを調整するおよび/またはクランプの中心を調整する。別の実施形態において、プロセッサ351は、悪いナノトポロジー評価および操作者入力に応じて、改善作業を実施する。例えば、プロセッサ351は、プロセッサの制御下において操作者入力に応じて1以上のアクチュエータを用いて、クランプの中心を調整するおよび/または研削盤の位置合わせを調整するように、ウエハWの1以上の部分に適用される静水圧量を調整できる。
【0114】
別の実施形態において、改善作業は、次の
ワークピースの研削を調整することを含む。例えば、研削盤は、第1
ワークピースを研削しおよび次いで第1
ワークピースを研削した後に第2
ワークピースを研削するように作動できる。プロセッサ351は、センサからデータを受信しおよびセンサデータから第1
ワークピースのナノトポロジーを評価するのに作動できる。従って、プロセッサ351は、第2
ワークピースのような次の
ワークピースを研削する場合に用いるためのセンサデータに応じて、研削砥石および/または静水圧パッドの少なくとも1つの位置に対する調整を示す情報355を提供するように作動できる。
ワークピースが複数のウエハのカセットである状況において、有限要素分析を、カセットにおける各々のウエハに対して行うことができ
、ウエハのカセット全体を研削するまで待つ必要がない。従って、設定値が適切でない場合およびNT欠陥を1以上のウエハ内において検出する場合に、カセットにおける他のウエハが、いくらかの形態の介入なしに、さらに大きな収率損失をもたらす類似または同じ欠陥を有することはあり得る。本発明の1つの実施形態に従って、操作者は、カセットにおける全てのウエハからフィードバックを得るように待つ必要がなく、
多量の収率損失を避ける。従って、研磨中における研磨後のNT欠陥の信頼性のある予測が提供される。このような予測は、次のウエハおよびカセットのための研削盤設定値を最適化して、次のウエハの研磨後のナノトポロジー欠陥を最小化するように操作者を支援する。
【0115】
図27は、ナノマッパーによって求められるように、特定のウエハのための本発明の1つの実施形態に従って予測されるプロファイルを示し
、研磨後に、その同じウエハのための平均的な半径の変位を示すグラフである。実線は、本発明の1つの実施形態に従って、有限要素分析に基づいてウエハの予測されるプロファイルの1つの例を示す。破線は、ウエハを分析したナノマッパーからのデータに基づいてプロファイルを示す。
図28は、多くのウエハの水平軸にプロットされている予測B−リング値と、垂直軸にプロットされている実際のB−リング値との間の
相関を示すグラフであり、相関係数は、R=0.9である。
【0116】
本発明の方法は、研削盤のナノトポロジー性能に対する素早いフィードバックを提供する。例えば、ウエハナノトポロジーの評価は、ウエハの研削サイクルが完了する前に始めることができる。さらに、ナノトポロジーフィードバックは、研磨前に得られる。対照的に、多くの従来のナノトポロジーフィードバックシステムは、ウエハナノトポロジーを測定するように、レーザー検査を用いる。これらのシステムは、典型的には、反射的な表面を欠く非研磨ウエハを有する使用に適合しない。本発明の方法を通じて得られる多くの他の利点は、この開示の観点から当業者によって認識される。
【0117】
上述した方法において、センサ303は、研削盤操作
中に
、実質的に連続してデータを収集する。しかしながら、研削が完了した後、ウエハがまだ研削盤内にある間に、データをセンサから収集できることを理解されたい。さらに、センサ303は、本発明の技術的範囲から逸脱せずに、時間内において断続的または一点において測定を行ってよい。同様に、本発明の技術的範囲から逸脱せずに、研削操作が完了した後および/またはウエハが研削盤から取り出された後に、センサデータの処理が始まるまたは続くことができる。
【0118】
また、上述したナノトポロジーシステムの実施形態は、ウエハを両面研削盤
内で垂直に保持
しつつ、ウエハのナノトポロジーを評価する
ことを示
しているが、本発明の技術的範囲から逸脱せずに、異なる方向(例えば、水平方向)
に保持され
たウエハのナノトポロジーを評価するように、ナノトポロジー評価システムを
使用できることを理解されたい。
【0119】
本明細書に記載され
たナノトポロジー評価システム
についての実施形態
では、ナノトポロジーを評価する
ためにウエハ
ごとに有限要素分析を行
っているが、当業者
であれば、
プロセッサが、実際に有限要素構造分析を行わず
にナノトポロジーを評価できる基準を開発する
ために、多くのこのような有限要素分析からの
経験的データを
利用できることを認識する
だろう。例えば、研削盤内
におけるウエハ
のセンサデータ
が、有限要素分析を行った別のウエハ
のセンサデータ
と十分に似ている場合に
は、研削盤内
のウエハの有限要素分析を実際に行わず
に研削盤内のウエハのナノトポロジーを評価する
ために、これまでの有限要素分析結果を用いることができる。データベースおよび学習
ルーチンは、この
処理を
拡大するのに
使用でき、
これにより、プロセッサが有限要素分析を行う
場合を減少または
排除できる。ナノトポロジー評価システム
に熟練した人間
オペレータは
、センサ出力の
グラフまたは他の
表示を見ることによってナノトポロジー欠陥を示す
サインを
見分ける能力、および
、本発明の技術的範囲から逸脱せずに、是正措置を手動で実施する能力
が身につくことも検討される。
【0120】
さらに
、ウエハ
ごとにナノトポロジー評価を行うことは
必須ではない。必要に応じて、ナノトポロジーは、本発明の技術的範囲から逸脱せずに、研削盤内で研削されたウエハのサブセット(例えば、
品質管理のためのサンプル)
について、本明細書に記載されるように評価できる。
【0121】
概略図
の図29を参照すると、別の実施形態
のウエハ研削盤を図示しており、一般に500で表される。ウエハ研削盤は、一般に、第1静水圧パッド506と、第1静水圧パッドとは反対に位置する第2静水圧パッド508を含む。ウエハ501(
広義には、ワークピース)は、静水圧パッド506、508の間に配置されている。一対の研削砥石(図示せず)は、ウエハ研削盤内に含まれる。ウエハ研削盤は、上述したこれらの実施形態
と類似して
いてもよい。しかしながら、
図29のウエハ研削盤は、ウエハ研削盤
で処理
したウエハのNT悪化の軽減を支援する
ために、付加的な
構成要素を含む。
【0122】
第1
流量制御弁504は、第1静水圧パッド506に
向かう水流を制御し
、第2
流量制御弁502は、第2静水圧パッド508に
向かう水流を制御する。この実施形態において、パッド
内の静水圧は、他のモード
も検討される
が、
水流よって制御される。
【0123】
流量制御弁502、504は、
水流または
水圧を制御でき
る適切な弁である。例えば、
流量制御弁502、504は、グローブ
弁、ボール
弁、ゲート
弁、ダイアフラム
弁、ニードルバルブまたはそれらの任意の組み合わせであってよい。
流量制御弁502、504
は、適切なアクチュエータ(図示せず)
で制御
することができ、
また、それら
は別々に制御できる。
【0124】
制御システム600は、ウエハ研削盤および
流量制御弁502、504の操作を制御する。制御システム600は、プロセッサ
を有するコンピューターデバイス602と、1
つ以上の形態のコンピューター
可読媒体と、入力/出力デバイスとを含む。いくらかの実施形態において、コンピューターデバイス602のプロセッサは、
流量制御弁502、504を制御するように作動できる。制御システム600は、研削砥石によって
使用
される電流量を測定するように作動できる。制御システム600は、研削砥石によって
使用
される電流を直接測定でき
るか、または
、研削砥石によって
使用
される電流を測定する分離
した監視デバイス(図示せず)から
の信号または他の通信を受信できる。
【0125】
研削砥石によって
使用
される電流量は、研削操作の
現在の段階を
表している。例えば、
図30に示すように、研削砥石がウエハ501
と最初に接触する
と、研削砥石によって引き込まれ
る電流は、540で
示した残留状態と比較して、550で
示した初期状態においてわずかに増加する。
図30は、研削操作
中の各研削砥石によって引き込まれる電流を示す。電流引き込みは、560で
示した部分に沿って示されるように、研削砥石がウエハ501を掴もうと
すると増加し続ける。この
段階の間に、ウエハ501から
比較的少量の材料が除去される。電流引き込みが、570で
示したセクションおいてそのピークに達
したとき、ウエハ501から除去される材料の量は増加する。電流引き込みは、このピークレベルにとどま
り、材料の大部分が研削砥石によってウエハ501から除去される。580で
示したスパークアウト
段階(
その間に研削砥石
を後退させ始める)
では、電流引き込みは、
急速に低下する。研削砥石が
完全に格納
された後、電流引き込みは
低下して、590で
示した残留レベル
に戻る
。
【0126】
コンピューターデバイス602は、研削操作の
現在の段階を予測(すなわち、検出または決定)する
ために、監視された
、または感知された
研削砥石の電流引き込みを用いる。コンピューターデバイス602は、パターン検出ソフトウェアプログラムの支援
によってこの予測を
行う。パターン検出ソフトウェアプログラムは、コンピューターデバイス602
上の1
つ以上の形態のコンピューター
可読媒体に蓄積されたコンピューター実行
可能命令を含む。コンピューター実行
可能命令は、コンピューターデバイス602のプロセッサによって実行される。
【0127】
制御システム600は、パターン検出ソフトウェアによって決められ
た研削
段階に基づいて、
流量制御弁502、504を用いて、静水圧パッド506、508内の圧力を制御するように
操作可能である。NT悪化を最小限にするように、制御システム600は、
研削段階中における研削プロセスの
開始時および
終了時に、静水圧パッド内の圧力を増加する。これらの研削
段階では、研削砥石の電流引き込みは
最も低くなる。従って、
制御システム600は、流量制御弁が静水圧パッド506、508
への水
の流入速度を増加させ
て、それにより静水圧パッド内の圧力を増加させるように、
流量制御弁502、504を制御する。
【0128】
ウエハ501から材料
の大部分を除去する
(1
つまたは複数の
)研削
段階中に、制御システム600は、静水圧パッド506、508
への水
の流入速度を減少し、
それにより静水圧パッド内の圧力を減少するように、
流量制御弁502、504を制御する。この研削
段階において、
(2つの)研削砥石は、
それらの間でウエハ501を支持し、そしてウエハを掴む。この研削
段階中に静水圧パッド506、508内の圧力を減少することによって、ウエハ
が受ける弾性変形
の量
は、劇的に減少または
排除される。ウエハ501
内での弾性変形のこの
ような減少または
排除は、ウエハ表面に
低減したNTをもたらす。
【0129】
操作中、制御システム600は、ブロック610において、パターン検出ソフトウェアを用い
て研削
段階を検出する
方法(
すなわち決定する方法)を実行
する。ブロック620
では、ブロック610においてパターン検出ソフトウェア
で検出され
た研削
段階に
基づいて、流速
の変化を計算する。制御システム600は、ブロック630
で、流量制御弁502、504を制御することによってこれらの変化を適用する。
このように、制御システム600は、静水圧を調節するように作動できる。
【0130】
ウエハ501をパッド間に初めにクランプするのに、制御システム600は、静水圧パッド506、508において第1静水圧を
確立する別の方法を行うように作動できる。この方法
では、ウエハ501を、実質的に垂直な平面
内で保持する。次いで、ウエハ501の研削
中に、
流量制御弁502、504により、静水圧パッド506、508における静水圧を第1圧力よりも低い第2静水圧まで減少
させる。ウエハ501の研削
中に、ウエハ501を、研削砥石によって実質的にクランプできる。次いで、ウエハをクランプし
、従ってウエハ501におけるナノトポロジーを改善するように、静水圧を、第3静水圧まで増加する。第3静水圧は、第1静水圧と実質的に同じであってよい。
【0131】
別の方法に
おいては、制御システム600は、ウエハをクランプする
段階と、ウエハを研削する
段階と、ウエハ
を研削砥石と
の接
触から離す
段階と
、を含む方法を行う。ウエハ
は、実質的に垂直な平面
内で保持
される。
パターン検出ソフトウェアを使用して研削操作の各々の
段階を検出し
、各々の
段階における静水圧を変
えてウエハに適用
されるクランプ圧力を変化
させ、それにより処理され
たウエハ
のナノトポロジーを改善する
。圧力を変化
させる他の方法
も検討
できるが、
本実施形態の静水圧は、流量制御弁502、504を通過する流速を変
えることによって変化
させる。例示的な実施形態
では、圧力
は、研削
段階で減少
させる。他の実施形態
では、圧力
は、研削
段階中に増加
させる。
【実施例】
【0132】
第1組のウエハと第2組のウエハの表面を測定することによって、2つのデータセットを得た。試験されるウエハは、入口および出口のマークまたは他の類似した欠陥がなかった。第1組のウエハを従来の方法(すなわち、
プロセスレコード(process of record)またはPOR)に従って研削し、静水圧
は研削
段階中に変えなかった。第2組のウエハを、
図29の実施形態に従って研削し、静水圧を研削
段階中に増加
させた。試験したウエハの表面を、表面の部分(例えば、10mm×10mmの部分)のためにしきい値の高さ平均(すなわち、THA1010測定標準)に従って測定した。THA1010測定標準に従って行われた測定は、ウエハの表面の部分内において、最大ピークバレー垂直距離を表す。多数のこのような測定を、異なる部分におけるウエハの表面を横切って行う(部分は重なり得るけれども)。THA1010測定標準は、ウエハ表面のナノトポロジーを評価するのに用いる既知の測定標準である。標準を用いると、数が少ないほど、ウエハ表面のナノトポロジーは良好であった。
【0133】
図31は、両方のデータセットのためのTHA1010測定の規格化された分布を示すグラフである。第1データセットは、
規格化されたTHA1010 PORのことを言い
、第2データセットは、
規格化された THA1010 Low Prのことを言う。各々のデータセットに対する測定を規格化した(すなわち、公約数で割った)。グラフにおけるデータポイントの各々の1つのy軸は、別個のデータポイントのx軸と等しいまたはそれより少ない測定値のパーセントを表す。さらに、実線は、第1データセットのために95%の信頼区間の境界を表す。破線は、第2データセットのために95%の信頼区間の境界を表す。
【0134】
図32は、試験したウエハの表面における規格化されたしきい値の高さ領域の測定を示すボックスプロット表である。表は、
図31の2つのデータセットのボックスプロットを示し
、各々のデータセットのために、表は、
それぞれ、最小、第1四分位数、中間、第3四分位数および最大を示す。
【0135】
図31および32は、
図29の実施形態に従って研削
したウエハの表面が、PORに従って研削
したウエハよりも顕著に低いピークバレー値を有することを示す。従って、
図29の実施形態に従って研削したウエハの表面は、PORに従って研削したウエハの表面と比較して、改善したナノトポロジーを有する。例えば、
図29のプロセスに従って研削したウエハは、0.6346の規格化した平均THA1010を有するが、PORに従って研削した
ウエハは、0.6738の規格化した平均THA1010を有する。同様に、標準誤差は、POR(標準誤差=0.09956)に従って研削した
ウエハと比較して、
図29に従って(標準誤差=0.09826)研削したウエハについて減少する
【0136】
さらに、
図32のボックスプロット表は、
図29に従って研削したウエハの規格化されたピークバレー測定値が、PORのそれらと比較してより狭い範囲において分布することを示す。明確に示されるように、第2データセットの第1および第3の四分位数(すなわち、Low Pr)は、第1データセットのそれら(すなわち、POR Pr)よりも更に狭い間隔である。さらに、第2データセットの最大および最小は、第1データセットの最大および最小よりも更に低い値を有する。
【0137】
本発明またはその好ましい実施形態の要素を導入する
ときに、冠詞「a」、「an」、「the」および「said」は、1
つ以上の要素
があることを意味する
ように意図
している。用語「comprising」、「including」および「having」は、包含的であり
かつ示された要素以外の追加的な要素
があってよいことを意味すること
を意図
している。
【0138】
本発明の技術的範囲から逸脱
することなく、上記
のものに様々な変化を行うことができるので、上述
の記載に含まれおよび添付
の図面に
図示され
た全ての
事項は、
例示と解釈されるべきであり、制限する意味ではない
ことを意図
している。
【0139】
本明細書の開示内容は、以下の態様を含み得る。
(態様1)
一対の研削砥石と、その中に静水圧を有する一対の静水圧パッドとの間にウエハを保持するタイプの両面研削盤を用いて半導体ウエハを処理する方法であって、研削盤は、研削盤によって引き込まれた電流を検出するためのパターン検出ソフトウェアを含むプロセッサを含んでおり、該方法は、
ウエハをクランプする段階と、
ウエハを研削する段階と、
ウエハを研削砥石との接触から離す段階と、
各々の段階を検出するためのソフトウェアを使用し、各々の段階における静水圧を変えて、ウエハに適用されるクランプ圧力を変え、それにより処理したウエハのナノトポロジーを改善する段階と、の複数の段階を含む方法。
(態様2)
流量制御弁を通過する流速を変えることによって静水圧を変える、態様1に記載の方法。
(態様3)
各々の段階を検出するために、研削盤によって引き込まれる電流をパターン検出ソフトウェアで測定する、態様1に記載の方法。
(態様4)
研削段階において、静水圧を低下させることを更に含む、態様1に記載の方法。
(態様5)
研削段階において、静水圧を上昇させることを更に含む、態様1に記載の方法。
(態様6)
研削操作中に一対の研削砥石と一対の静水圧パッドとの間にウエハを保持するタイプの両面研削盤を用いて半導体ウエハを処理する方法であって、該方法は、
研削操作の第1段階において、静水圧パッド内に第1静水圧を確立してウエハを最初にクランプすることと、
研削操作の第2段階でウエハを研削する間に、第1圧力よりも低い第2静水圧まで静水圧を低下させることと、
研削操作の第3段階において第3静水圧まで静水圧を上昇させてウエハをクランプし、これにより処理されたウエハのナノトポロジーを改善することと、を含む方法。
(態様7)
第3静水圧は第1静水圧と実質的に等しい、態様6に記載の方法。
(態様8)
ウエハの研削中に、研削砥石によってウエハを実質的にクランプする、態様6に記載の方法。
(態様9)
静水圧を、流量制御弁の使用によって変える、態様6に記載の方法。
(態様10)
ウエハを、実質的に垂直な平面内で保持する、態様6に記載の方法。
(態様11)
両面研削盤の研削砥石によって使用される電流量を測定することを更に含む、態様6に記載の方法。
(態様12)
両面研削盤の研削砥石によって使用される、測定された電流量に基づいて、研削操作の段階を決めることを更に含む、態様11に記載の方法。
(態様13)
測定された電流が残留状態から初期状態まで増加したときに、研削操作の段階が第1段階であると決めることを更に含む、態様12に記載の方法。
(態様14)
測定された電流がそのピークレベルであるときに、研削操作の段階が第2段階であると決めることを更に含む、態様12に記載の方法。
(態様15)
測定された電流がそのピークレベルから減少したときに、研削操作の段階が第3段階であると決めることを更に含む、態様14に記載の方法。
(態様16)
一対の研削砥石と、プロセッサと、一対の静水圧パッドとを含む両面研削盤であって、
研削砥石と静水圧パッドとは、ほぼ平坦なウエハを、一対の研削砥石の間に配置されているウエハの第1部分と一対の静水圧パッドの間に配置されているウエハの第2部分とが同一平面内で保持されるように操作可能であり、
静水圧パッドは、静水圧を維持するように静水圧パッドを通過して流れる水を含み、
研削盤は、パッドを通過する水の流速を制御するための、それにより静水圧を制御するための、流量制御弁を更に含み、
流量制御弁は、プロセッサによって制御される、両面研削盤。
(態様17)
プロセッサが、研削プロセスの様々な段階を検出するためのパターン検出ソフトウェアを含んでおり、該プロセッサは、パターン検出ソフトウェアによって検出された段階に応じて、流量制御弁を通過する水の流速を制御するように動作可能である、態様16に記載の研削盤。
(態様18)
プロセッサが、研削砥石によって使用される電流量を測定するように動作可能である、態様17に記載の研削盤。
(態様19)
パターン検出ソフトウェアは、研削砥石によって使用される、測定された電気量に基づいて段階を検出する、態様18に記載の研削盤。
(態様20)
プロセッサは、パターン検出ソフトウェアが研削プロセスの研削段階を検出したときに、弁を通過する水の流速を増加するように流量制御弁を制御する、態様19に記載の研削盤。