【文献】
Total synthesis of (2R,4S,2'S,3'R)-hydroxyitraconazole: implementations of,Tetrahedron: Asymmetry,2003年,14,3487−3493
【文献】
Efficient stereoselective synthesis of cis,syn-hydroxyitraconazole isomers,Tetrahedron Letters,1997年,Vol.38, No.45,7839−7842
【文献】
Structural characterization of the oxidative degradation products of an,Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis,2001年,25,545−557
【文献】
XIANHAI HUANG,MANIPULATION OF N,O-NUCLEOPHILICITY: EFFICIENT FORMATION OF 4-N-SUBSTITUTED 2,以下備考,ORGANIC LETTERS,米国,AMERICAN CHEMICAL SOCIETY,2004年11月10日,V6 N25,P4795-4798,4-DIHYDRO-3H-1,2,4-TRIAZOLIN-3-ONES
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ステップ(2)における反応が、酸の存在下で実施され、前記酸が、ステップ(2)で用いられる溶媒中に少なくとも部分的に可溶性である、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
ステップ(2)から得られる混合物、または式(IV)の単離キラル化合物と溶媒とを混合することから得られる混合物のいずれかを、60℃から140℃の範囲の温度に加熱する、請求項17に記載の方法。
加熱する前に、場合によって溶媒交換後に、ステップ(2)から得られる混合物、または式(IV)の単離キラル化合物と溶媒とを混合することから得られる混合物のいずれかが、シリル化剤と混合される、請求項17または18に記載の方法。
シリル化剤を混合する前に、式(IV)の化合物に対するイミダゾールのモル比が2:1から10:1の範囲であるようにイミダゾールが混合される、請求項19に記載の方法。
ステップ(2)から得られる混合物が、ジクロロメタン(DCM)、テトラヒドロフラン(THF)、メチルテトラヒドロフラン(MeTHF)、アセトニトリル(AN)、エステル、およびジメチルホルムアミド(DMF)、ならびにこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される溶媒を含有し、およびステップ(2)から得られる混合物を加熱する前に、前記溶媒が、異なる溶媒によって交換されることで、請求項17に記載の温度条件を可能にする、請求項17から20のいずれかに記載の方法。
ステップ(5)における結晶化が、アルコール、エーテル、ケトン、アセトニトリル、およびこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される溶媒中または水と混合される該溶媒中で実施される、請求項23に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0055】
上述されている通り、本発明は、
(1.1)式(I)
Y
3−NH
2 (I)
(式中、Y
3は、場合によって置換されているアリール基である。)
の化合物またはこの塩を提供するステップ、
(1.2)式(IIa)
O=C=N−Y
0 (IIa)
(式中、Y
0は、場合によって置換されているアルキル基またはアリール基である。)
またはホスゲンもしくは式(IIb)
【0056】
【化33】
(式中、Y
1N−およびY
2N−は、イミダゾリルおよびベンゾイミダゾリルからなる群から好ましくは選択される、同一でありまたは異なる場合によって置換されている窒素複素環部分である。)
のホスゲン誘導体の化合物を提供するステップ、
(1.3)式(III)
【0057】
【化34】
(式中、R
1は、1個から6個の炭素原子を好ましくは有するアルキル基であり、式中、−Rは−Hであり、または−SiR
aR
bR
cおよび場合によって置換されているアルキル基、アリール基、アルカリール基もしくはアラルキル基からなる群から好ましくは選択される適当なヒドロキシル保護基であり、ここで、R
a、R
bおよびR
cは同一でありまたは異なり、場合によって適切に置換されているアルキル基およびアリール基からなる群から選択される。)
の化合物またはこの塩を提供するステップ、
(2)任意の順序において、溶媒中で式(I)、(IIa)および/または(IIb)、ならびに(III)の化合物を混合および反応させることで、式(IV)および/または式(V)
【0058】
【化35】
のキラル化合物を含有する反応混合物を得るステップ
を含むキラル化合物の調製のための方法に関する。
【0059】
ステップ(1.1)−式(I)の化合物の提供
本発明のステップ(1.1)に従って、式(I)
Y
3−NH
2 (I)
(式中、Y
3は、場合によって置換されているアリール基である。)
の化合物および/またはこの適当な塩が提供される。特定の制限は存在しないが、ただし、式(I)の化合物および/またはこの適当な塩が使用されることで、本発明のステップ(2)に従って適切に混合および反応することができるという条件である。
【0060】
「場合によって置換されているアリール基」という用語は、本発明との関連で使用される場合、例えば6個まで、または12個までの炭素原子を有するアリール基を指す。こうしたアリール基が置換アリール基であるならば、炭素原子の数は、対応する非置換アリール基の炭素原子の数を指す。本発明の好ましい実施形態によると、場合によって置換されているアリール基は、抗真菌剤として使用され得る化合物の調製を可能にするために選択される。より好ましくは、Y
3は、適切に置換されているアリール基、より好ましくは適切に置換されているフェニル基である。最も好ましくは、式(I)の化合物は、式
【0061】
【化36】
のキラル化合物であり、式中、Z
1およびZ
2は独立してFまたはCl、好ましくはFである。いっそう好ましくは、式(I)の化合物は、Z
1およびZ
2が独立してFまたはCl、好ましくはFである式
【0062】
【化37】
の化合物であって、ここで、またさらに好ましい実施形態によると、前記化合物の分子の少なくとも95%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも99%が、式
【0063】
【化38】
の異性体として存在する化合物である。したがって、本発明の好ましい実施形態によると、式(I)の化合物は、式
【0064】
【化39】
の化合物であって、ここで、前記化合物の分子の少なくとも95%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも99%が、式(Ia)
【0065】
【化40】
の異性体として存在する化合物である。このようにして、本発明は特に、式(I)の化合物が式(Ia)の化合物である上記に定義されている方法に関する。
【0066】
式(Ia)の化合物の調製が関係する限り、特別な制限は存在しない。好ましくは、式(Ia)の化合物は、式(A)
【0068】
【化42】
の化合物とを反応させることによって調製される。
【0069】
ステップ(1.1)−式(A)の化合物の提供
式(A)の化合物を提供することに関する限り、特別な制限は存在しない。式(A)の化合物の調製のための想定可能な方法は、例えばM.HepperleらTetrahedron Lett.2002、43、3359−3363において、US6,355,801 B1において、またはEP1230231 B1において開示されている。
【0070】
ステップ(1.1)−式(B)の化合物の提供
式(B)の化合物を提供することに関する限り、特別な制限は存在しない。式(B)の化合物の調製のための想定可能な方法は、例えばUS5,403,937、EP0736030 A1において、またはWO95/17407において開示されている。
【0071】
本発明の好ましい実施形態によると、式(B)の化合物は、式(GGa)
【0072】
【化43】
の化合物のHCl塩が式(B)の化合物に転換される方法によって提供される。
【0073】
式(GGa)の化合物のHCl塩を、式(B)に従ったそれぞれのトシレートに変換することに関する限り、特別な制限は存在しない。本発明の好ましい実施形態によると、式(GG)
【0074】
【化44】
の化合物の少なくとも部分的に結晶質の塩、好ましくは結晶質の塩は、適当な液、最も好ましくはジクロロメタン(DCM)中に懸濁されて提供される。この懸濁液に、トリエチルアミン(TEA)および/または4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)など好ましくは少なくとも1種の適当な有機窒素塩基が添加される。生じた混合物に、p−トルエンスルホニルクロリド(TsCl)などの化合物を含有する適当なp−トルエンスルホニルが、10℃から40℃の好ましい温度で添加され、1時間から6時間好ましくは反応させる。式(B)の化合物を含有する得られる反応混合物は、好ましくは適切に抽出され、得られる有機層から、場合によって適当な濃縮後、式(B)の化合物が例えば結晶化によって固体として得られ、この固体は、場合によって適切に乾燥させ、好ましくは引き続き、さらなる中間処理をすることなく式(A)の化合物との反応のための出発原料として用いることができる。式(B)の化合物を得るための結晶化を適用することは、有利には、前記化合物を精製すること、ならびに前記化合物を使用する本明細書に記載される方法を大規模生成へ端的に規模拡大することを可能にする。
【0075】
式(GGa)の化合物のHCl塩の調製に関係する限り、特別な制限は存在しない。本発明の好ましい実施形態によると、このHCl塩は、式(GG)の化合物のHCl塩が得られる方法に従って調製され、式(GG)の前記化合物は、式(GGa)のシス異性体および式(GGb)のトランス異性体
【0077】
本発明の好ましい実施形態によると、前記好ましくは結晶質のHCl塩は、式(GGa)のシス異性体のHCl塩を少なくとも97%、好ましくは少なくとも98%およびより好ましくは少なくとも99%含有し、式(GGb)のトランス異性体のHCl塩を最大でも3%、好ましくは最大でも2%およびより好ましくは最大でも1%含有する。
【0078】
本発明のまたさらに好ましい実施形態によると、式(GG)の前記化合物は、
(I)第1の適当な溶媒中に含まれる式(GG)の化合物を提供するステップ、
(II)第1の適当な溶媒中に含まれる式(GG)の化合物を、第2の適当な溶媒中に含まれるHClで処理することで、式(GG)の化合物のHCl塩を得るステップ
を含む方法によって得られる。
【0079】
特に、本発明の好ましい実施形態による式(GG)の化合物のHCl塩を提供する方法は、以下の実施形態によるステップおよび示唆されている通りのこれらのそれぞれの組合せを含む。
【0081】
【化46】
の化合物の塩化水素(HCl)塩の調製のための方法であって、式(GG)の前記化合物が、式(GGa)のシス異性体および式(GGb)のトランス異性体
【0082】
【化47】
を含有し、該方法が、
(I)第1の適当な溶媒中の式(GG)の化合物を提供するステップ、
(II)第1の適当な溶媒中に含まれる式(GG)の化合物を、第2の適当な溶媒中に含まれるHClで処理することで、式(GG)の化合物のHCl塩を得るステップ
を含む方法。
【0083】
2.(I)で提供される式(GG)の化合物が、式(GGa)のシス異性体を80%から95%、好ましくは85%から95%含有し、式(GGb)のトランス異性体を20%から5%、好ましくは15%から5%含有する、実施形態1の方法。
【0084】
3.(I)において、式(GG)の化合物が、
(i.1)式(AA)
【0085】
【化48】
(式中、Lは、脱離基、好ましくはハロゲン、より好ましくはClである。)
の化合物と、溶媒中で、求核性基R
aaaR
bbbR
cccSi−CH
2(式中、R
aaa、R
bbbおよびR
cccは同一でありまたは異なり、場合によって適切に置換されているアルキル基およびアリール基からなる群から選択される。)を含む求核性化合物とを反応させることで、式
【0086】
【化49】
のベータ−ヒドロキシシランを中間体として含有する反応混合物が得られるステップであって、前記反応が、−50から+20℃、より好ましくは−30から+10℃、より好ましくは−15から+5℃の範囲の温度で好ましくは行われるステップ、
(i.2)生じる反応混合物を、好ましくは溶媒を変えることなく、脱離反応を促進させる試薬で処理することで、式(BB)
【0087】
【化50】
の化合物を含有する反応混合物を得るステップであって、ここで、処理が−20から+70℃の範囲の温度で行われ、前記試薬が好ましくは酸、好ましくは無機酸、より好ましくは硫酸であり、硫酸が使用されるならば、前記処理が行われる温度が好ましくは40℃から50℃の範囲であるステップ、
(ii)式(BB)の化合物とマロン酸エステルR
11OOC−CH
2−COOR
22とを反応させることで、式(CC)
【0088】
【化51】
(式中、R
11およびR
22は独立して、1個から5個の炭素原子を有する場合によって適切に置換されているアルキル基、好ましくはエチルである。)
の化合物を得るステップであって、ここで、(ii)の後および(iii)の前に、式(CC)の化合物が、適当な溶媒、好ましくはシクロヘキサン中で抽出により場合によって分離されるステップ、
(iii)式(CC)の化合物を還元することで、式(DD)
【0089】
【化52】
の化合物を得るステップであって、該還元剤が好ましくは、式(CC)の化合物について最大でも2モル当量の量で使用されるLiBH
4であり、前記還元が好ましくは、水を好ましくは含む適当な溶媒中で実施され、該溶媒が好ましくは、水、アルコール、ならびに水および少なくとも1種のアルコールの混合物からなる群から、より好ましくは水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ならびに水および少なくとも1種のこれらのアルコールの混合物からなる群から、より好ましくは水、エタノール、イソプロパノール、ならびに水および少なくとも1種のこれらのアルコールの混合物からなる群から、より好ましくは水、イソプロパノール、ならびに水およびイソプロパノールの混合物からなる群から選択され、該溶媒が最も好ましくは、水およびイソプロパノールの混合物であり、ここで、該溶媒が、1%体積から20%体積、より好ましくは5%体積から15%体積の水を好ましくは含むステップ、
(iv)式(DD)の化合物をイソ酪酸無水物でアシル化することで、式(EE)
【0090】
【化53】
の化合物を得るステップであって、前記アシル化が好ましくは、適当な酵素、好ましくはNovo SP 435酵素の存在下にて適当な溶媒、好ましくはアセトニトリルまたはトルエン、より好ましくはトルエン中で実施され、
ここで、(iv)の後および(v)の前に、式(EE)の化合物が好ましくは少なくとも部分的に結晶化されているステップ、
(v)式(EE)の化合物を、Cl
2、Br
2およびI
2からなる群から選択され、好ましくはI
2であるハロゲンHal
2と塩基の存在下にて溶媒中で反応させることで、式(FF)
【0091】
【化54】
の化合物を得るステップであって、ここで、化合物(FF)の分子の好ましくは80%から95%、より好ましくは85%から95%が、式(FFa)
【0092】
【化55】
のシス異性体として存在し、化合物(FF)の分子の好ましくは20%から5%、より好ましくは15%から5%が、式(FFb)
【0093】
【化56】
のトランス異性体として存在し、ここで、該溶媒が好ましくは酢酸エチルであり、該塩基が好ましくは炭酸水素ナトリウムであり、式(EE)の化合物が反応させられる温度が好ましくは0℃未満、より好ましくは−5℃より高くない、およびいっそう好ましくは−10℃より高くないステップ、
(vi.1)式(FF)の化合物を、好ましくは+70℃から+100℃、より好ましくは+80℃から+95℃、より好ましくは+85℃から+90℃の範囲の温度にて、好ましくはDMPU(1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン)の非存在下で、溶媒、好ましくは極性非プロトン性溶媒、例えばDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)およびDMSO、より好ましくはDMSO中にて、1,2,4−トリアゾールアルカリ金属塩、好ましくはナトリウム塩と共に加熱すること、ならびにアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属重炭酸塩、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ土類金属重炭酸塩およびアルカリ土類金属炭酸塩、好ましくはアルカリ金属塩基などエステル部分のケン化を促進するのに適当な塩基であって、該塩基が好ましくは、水性媒体中、および/または適当なアルコールが1個から6個、好ましくは1個から4個、より好ましくは1個から3個、最も好ましくは1個から2個の炭素原子を含有するアルコールであるアルコール媒体中に添加されており、いっそう好ましくは、メタノールの存在下で水溶液として好ましくは用いられる水酸化ナトリウムである塩基で、生じる反応混合物を処理することで、式(GG)
【0094】
【化57】
の化合物を得るステップであって、ここで、該分子の好ましくは80%から95%、より好ましくは85%から95%が、式(GGa)
【0095】
【化58】
のシス異性体として存在し、該分子の好ましくは20%から5%、より好ましくは15%から5%が、式(GGb)
【0096】
【化59】
のトランス異性体として存在するステップ、
(vi.2)適当な溶媒中での抽出によって、(vi.1)から得られる反応混合物から式(GG)の化合物を分離させるステップであって、該溶媒が、好ましくは極性の水不混和性の溶媒であり、より好ましくは、酢酸エチルもしくは酢酸イソプロピルなどのエステル、テトラヒドロフランもしくはメチルテトラヒドロフランなどのエーテル、メチルイソブチルケトンなどのケトン、DCMなどのハロゲン化溶媒、トルエン、またはこれらの溶媒の2種以上の混合物であり、より好ましくはエステルまたはエーテル、より好ましくはエーテル、およびいっそう好ましくはメチルテトラヒドロフランであるステップ
を含む方法によって提供される、実施形態1または2の方法。
【0097】
4.式(GG)の化合物が(I)において提供される方法が、
(vii)(vi.2)の後に式(GG)の化合物を少なくとも部分的に結晶化するステップ
をさらに含む、実施形態3の方法。
【0098】
5.式(GG)の化合物が含まれる第1の適当な溶媒が、有機溶媒、好ましくはアルコールおよび/もしくはアルコールの前駆体、エーテル、ケトン、エステル、またはこれらの2種以上の混合物である、実施形態1から4のいずれかの方法。
【0099】
6.式(GG)の化合物が含まれる第1の適当な溶媒が、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、n−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、アセトン、2−ブタノンおよびメチルイソブチルケトン(MIBK)からなる群から選択され、第2の溶媒が、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)、酢酸エチル、メタノール、n−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノールおよびトルエンからなる群から選択される、実施形態1から5のいずれかの方法。
【0100】
7.第1のおよび/または第2の溶媒が、アルコールおよび/またはアルコールの前駆体を含む、実施形態5または6の方法。
【0101】
8.第1の溶媒がMIBKであり、第2の溶媒がTHFであり、または第一および第2の溶媒がともにn−ブタノールである、実施形態7の方法。
【0102】
9.(II)における処理が、20℃から100℃、好ましくは40℃から80℃、より好ましくは55℃から65℃の範囲の温度で実施される、実施形態7または8の方法。
【0103】
10.(II)において、第2の溶媒中に含まれるHClが、式(GG)の化合物に対してモル比HCl:(GG)において1.0:1から2.0:1、好ましくは1.1:1から1.8:1、より好ましくは1.2:1から1.7:1、より好ましくは1.3:1から1.5:1の範囲で用いられる、実施形態7から9のいずれかの方法。
【0104】
11.(II)の後、式(GG)の化合物のHCl塩を少なくとも部分的に結晶化することをさらに含む、実施形態7から10のいずれかの方法。
【0105】
12.式(GG)の化合物の少なくとも部分的に結晶化されたHCl塩が、式(GGa)のシス異性体のHCl塩を少なくとも97%、好ましくは少なくとも98%およびより好ましくは少なくとも99%含有し、式(GGb)のトランス異性体のHCl塩を最大でも3%、好ましくは最大でも2%およびより好ましくは最大でも1%含有する、実施形態11の方法。
【0106】
13.
(IIa)式(GG)の化合物の少なくとも部分的に結晶化されたHCl塩を、好ましくは濾過によって分離させ、場合によって続いて、適当な溶媒、好ましくはMIBKで洗浄するステップ
をさらに含む、実施形態7から12のいずれかの方法。
【0107】
14.(II)における処理が0℃から100℃の範囲の温度で実施され、(II)において、第2の溶媒に含まれるHClが式(GG)の化合物に対して、モル比HCl:(GG)で1.0:1から3.0:1、好ましくは1.5:1から2.5:1、より好ましくは2.0:1から2.2:1の範囲で用いられる、実施形態1から6のいずれかの方法。
【0108】
15.(II)の後、式(GG)の化合物のHCl塩を少なくとも部分的に結晶化することをさらに含む、実施形態14の方法。
【0109】
16.少なくとも部分的に結晶化されたHCl塩が、式(GGa)のシス異性体のHCl塩を80%から95%、好ましくは85%から95%含有し、式(GGb)のトランス異性体のHCl塩を20%から5%、好ましくは15%から5%を含有する、実施形態15の方法。
【0110】
17.(IIb)式(GG)の化合物の少なくとも部分的に結晶化されたHCl塩を、好ましくは濾過によって分離させ、場合によって続いて、適当な溶媒、好ましくはメチルtert−ブチルエーテル(MTBE)、アセトンまたはメチルイソブチルケトン(MIBK)、より好ましくはMTBEで洗浄するステップ
をさらに含む、実施形態15または16の方法。
【0111】
18.(III)式(GG)の化合物の少なくとも部分的に結晶化されたHCl塩を、MIBKを好ましくは含む適当な溶媒中で固体抽出にかけることで、式(GG)の化合物のHCl塩が得られ、それによって式(GGa)のシス異性体のHCl塩に関する含有量を増加させるステップ
をさらに含む、実施形態17または実施形態13の方法。
【0112】
19.適当な溶媒がMIBK、またはMIBKおよびアルコールの混合物、好ましくはn−ブタノールであり、アルコールに対するMIBKのモル比が好ましくは、0.5:1から10:1、より好ましくは0.75:1から5:1、より好ましくは0.95:1から1.05:1の範囲である、実施形態18の方法。
【0113】
20.固体抽出が20℃から100℃、好ましくは40℃から80℃、より好ましくは55℃から65℃の範囲の温度で実施される、実施形態18または19の方法。
【0114】
21.(III)において、式(GG)の化合物のHCl塩の濃度が、0.25mol/リットル溶媒から0.75mol/リットル溶媒、好ましくは0.55mol/リットル溶媒から0.65mol/リットル溶媒の範囲である、実施形態18から20のいずれかの方法。
【0115】
22.(III)の後に、式(GG)の化合物の少なくとも部分的に結晶化されたHCl塩を単離することをさらに含む、実施形態18から21のいずれかの方法。
【0116】
23.(III)から得られる式(GG)の化合物の少なくとも部分的に結晶化されたHCl塩が、式(GGa)のシス異性体のHCl塩を少なくとも97%、好ましくは少なくとも98%およびより好ましくは少なくとも99%含有し、式(GGb)のトランス異性体のHCl塩を最大でも3%、好ましくは最大でも2%およびより好ましくは最大でも1%含有する、実施形態18から22のいずれかの方法。
【0117】
24.(IIIa)式(GG)の化合物の少なくとも部分的に結晶化されたHCl塩を、(III)から得られる混合物から好ましくは濾過によって単離し、場合によって続いて、適当な溶媒、好ましくはジエチルエーテルまたはメチルtert−ブチルエーテル(MTBE)で洗浄するステップ
をさらに含む、実施形態18から23のいずれかの方法。
【0118】
25.(IIIa)から得られるHCl塩を、実施形態18から23のいずれかの方法に従って固体抽出にかけ、好ましくは続いて、このようにして得られたHCl塩を実施形態24の方法に従って分離させることをさらに含む、実施形態24の方法。
【0119】
ステップ(1.1)−式(A)の化合物と式(B)の化合物との反応
式(A)の化合物と式(B)の化合物の反応に関する限り、特定の制限は存在しないが、ただし、式(I)の化合物が得られるという条件である。
【0120】
好ましくは、本発明のステップ(1.1)に従って、式(I)の化合物は、
(aa)式(A)
【0121】
【化60】
の化合物を、適当な溶媒中および適当な塩基の存在下で、式(B)
【0122】
【化61】
の化合物と反応させる
方法によって提供される。
【0123】
適当な溶媒について、特定の制限は存在しない一方で、本発明による好ましい溶媒は極性溶媒である。特に、適当な溶媒は極性プロトン性溶媒もしくはこれらの2種以上の混合物、または極性非プロトン性溶媒もしくはこれらの2種以上の混合物である。より好ましくは、適当な溶媒は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP)、スルホラン、メタノール、エタノール、n−プロパノールおよびイソ−プロパノールからなる群から選択され、エタノールまたはDMSOが特に好ましい。
【0124】
場合によって、ステップ(aa)において反応させることは、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)など少なくとも1種の適当な酸化防止剤の存在下で行われる。
【0125】
適当な塩基について、特定の制限は存在しないが、ただし、式(A)の化合物および式(B)の化合物が互いに反応させられることで、所望の生成物を与えるという条件である。本発明による好ましい塩基は、無機塩基、より好ましくは炭酸塩、水酸化物および/または炭酸水素塩、ならびにこれらの混合物である。いっそう好ましくは、それぞれのカチオンが、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、またはこれらの混合物からなる群から選択される。アルカリ金属として、リチウム、ナトリウムまたはカリウムを挙げることができる。アルカリ土類金属として、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムまたはバリウムを挙げることができる。このようにして、好ましい塩基は特に、アルカリ金属および/もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属および/もしくはアルカリ土類金属の水酸化物、ならびに/またはアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の炭酸水素塩であり、水酸化ナトリウムおよび炭酸カリウムが特に好ましい。
【0126】
好ましい塩基水酸化ナトリウムについて、前記塩基を水溶液として用いるのがとりわけ好ましい。塩基について少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも45重量%の濃度を有する水溶液を用いることは、とりわけ有利であることが見出され、反応速度の有意な加速、ならびに副生成物の形成を低減することによる前記反応の選択率増加をもたらす。
【0127】
式(A)の化合物に対して、式(B)の化合物を過剰に使用することが好ましい。このようにして、本発明は、ステップ(aa)において、式(A)の化合物に対する式(B)の化合物のモル比が1を超える、上記に定義されている方法に関する。さらに、好ましいモル比は1:1超から1.2:1の範囲である。とりわけ好ましいモル比は1.05:1から1.15:1の範囲であり、1.1:1のモル比が特に好ましい。
【0128】
式(A)の化合物に対して、過剰に塩基を使用することが好ましい。このようにして、本発明は、ステップ(aa)において式(A)の化合物に対する塩基のモル比が1を超える、上記に定義されている方法に関する。さらに、好ましいモル比は1:1超から2.0:1、より好ましくは1:1超から1.8:1、より好ましくは1:1超から1.6:1、より好ましくは1:1超から1.5:1の範囲である。
【0129】
(aa)における反応が実施される温度は、適切に選択することができる。好ましい温度は20℃から最大でも35℃、より好ましくは25℃から最大でも32℃の範囲である。
【0130】
(aa)における反応が実施されるpHは、上記に定義されている塩基の添加によって適切に制御される。特に、該反応は、少なくとも10のpHで実施される。
【0131】
本発明のステップ(aa)から、式(I)の化合物は、反応混合物中に含有されている結晶化生成物として得られる。好ましい実施形態によると、式(I)の化合物は、反応混合物から適切に分離され、場合によって適切に洗浄される。前記場合による洗浄は、洗浄剤として塩基で好ましくは実施され、ここで、水酸化ナトリウムなどの無機塩基が好ましい。0.1重量%から5重量%の塩基濃度が好ましく、0.5重量%から2重量%が特に好ましい。追加として、式(I)の化合物は、水で少なくとも1回および/またはイソプロパノールなどの適当なアルコールで少なくとも1回さらに洗浄することができる。
【0132】
一般に、このようにして得られた生成物は、さらに処理することなくさらなるステップのために使用することができる一方で、本発明によると、ステップ(aa)から得られた生成物を再結晶化することが好ましい。したがって、本発明は、
(bb)式(I)の化合物を再結晶化するステップ
をさらに含む、上記に定義されている方法に関する。
【0133】
あらゆる適当な再結晶化方法が想定可能である一方で、アセトニトリルおよび/または水から少なくとも1回、式(I)の化合物を再結晶化することがとりわけ好ましい。水からの単離と比較して、アセトニトリルからの再結晶化から得られる生成物は、ずっと容易に乾燥させることができ、このようにして、アセトニトリルからの再結晶化は、より穏やかな処理後条件を可能にすることが見出された。
【0134】
式(I)のこのようにして再結晶化された化合物の乾燥は、最大でも75℃、好ましくは最大でも70℃の温度にて、好ましくは最大でも500mバール、より好ましくは最大でも100mバール、より好ましくは最大でも75mバールの圧力で好ましくは実施される。
【0135】
最も好ましくは、再結晶化、または乾燥、または再結晶化および乾燥のいずれかが、窒素雰囲気下などの不活性雰囲気下で実施される。
【0136】
場合によって、該生成物は、適当な多孔質材料で処理されることで、残留している不純物を除去することができる。とりわけ、木炭をこうした適当な材料として挙げることができる。
【0137】
ステップ(1.2)−式(IIa)または(IIb)の化合物の提供
本発明の方法のステップ(1.2)に従って、式(IIa)
O=C=N−Y
0 (IIa)
の化合物、または(IIb)
【0139】
式(IIa)の化合物に関係する限り、基Y
0は、場合によって置換されているアルキル基またはアリール基である。「場合によって置換されているアリール基」という用語は、本発明との関連で使用される場合、例えば6個まで、または12個までの炭素原子を有するアリール基を指す。こうしたアリール基が置換アリール基であるならば、炭素原子の数は、対応する非置換アリール基の炭素原子の数を指す。「場合によって置換されているアルキル基」という用語は、本発明との関連で使用される場合、例えば、1個から20個、好ましくは1個から10個の炭素原子を有する直鎖または分枝のアルキル基を指す。こうしたアルキル基が置換アルキル基であるならば、炭素原子の数は、対応する非置換アルキル基の炭素原子の数を指す。式(IIa)の好ましい化合物として、フェニルイソシアネートを挙げることができる。
【0140】
式(IIb)の化合物に関係する限り、基Y
1N−およびY
2N−は同一でありまたは異なり、場合によって置換されている窒素複素環部分である。「窒素複素環」という用語は、本発明との関連で使用される場合、少なくとも1個、好ましくは1個、2個または3個、より好ましくは2個の窒素原子を含有する環式基に関する。このような環構造は、合計で5個から10個の原子、好ましくは合計で5個から9個の原子を好ましくは含有する。とりわけ好ましい基Y
1N−およびY
2N−は、イミダゾリルまたはベンゾイミダゾリルである。本発明のとりわけ好ましい実施形態によると、式(IIb)の化合物は、式(IIc)
【0141】
【化63】
のカルボニルジイミダゾール(CDI)である。
【0142】
通常、式(IIb)の化合物は、適当な溶媒、または2種以上の適当な溶媒の混合物中に含有されて用いられる。こうした適当な溶媒は、例えばDCM、THF、Me−THF、DMF、アセトニトリル、酢酸エチルまたは酢酸ブチルのようなエステルであり、DCMがとりわけ好ましい。
【0143】
ステップ(1.3)−式(III)の化合物の提供
本発明のステップ(1.3)に従って、式(III)
【0144】
【化64】
の化合物またはこの適当な塩が提供される。
【0145】
式(III)に従った化合物において、基R
1は、好ましくは、1個から6個の炭素原子、すなわち1個、2個、3個、4個、5個または6個の炭素原子、より好ましくは1個から4個の炭素原子、すなわち1個、2個、3個または4個の炭素原子、より好ましくは1個または2個の炭素原子、特に2個の炭素原子を好ましくは有する直鎖または分枝のアルキル基である。
【0146】
さらに、式(III)の化合物において、基−Rは、−Hまたは適当なヒドロキシル保護基のいずれか一方である。想定可能な保護基は、例えばGreeneら、「Protective Groups in Organic Synthesis」、第3版、Wiley−Interscience(1999)において示されている。好ましくは、適当なヒドロキシル保護基は、ベンジルまたは−SiR
a,R
bR
c基であり、ここで、基R
a、R
bおよびR
cは同一でありまたは異なってよく、好ましくはアルキル基またはアリール基である。「アリール基」という用語は、本発明との関連で使用される場合、フェニルまたはナフチルなどの炭素環式芳香族基に関する。「アルキル基」という用語は、本発明との関連で使用される場合、1個、2個、3個、4個、5個または6個の炭素原子、より好ましくは1個、2個または3個の炭素原子、より好ましくは1個の炭素原子を好ましくは有する直鎖または分枝のアルキル部分に関する。とりわけ好ましくは、基−Rは−Hであり、または−Si(CH
3)
3およびベンジルからなる群から選択されるヒドロキシル保護基であり、−Rは最も好ましくは−Hである。
【0147】
いっそう好ましくは、式(III)の化合物は、特定の量の分子が式
【0148】
【化65】
の化合物として存在する結晶質化合物として提供される。
【0149】
このようにして、本発明は、式(III)の化合物が好ましくは結晶質化合物
【0150】
【化66】
であり、さらに好ましい実施形態によると、前記結晶質化合物の分子の少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも99%が、式(IIIb)
【0151】
【化67】
の化合物として存在する、上記に定義されている方法に関する。
【0152】
一般に、式(III)、特に式(IIIa)の化合物の調製に関係する限り特定の制限がない。
【0153】
好ましい方法に従って、−R=−Hまたは基−SiR
a,R
bR
cである式(III)の化合物は、以下のステップを含む方法によって、本発明のステップ(1.3)において提供される。
【0155】
【化68】
(式中、Yは、場合によって置換されているアリール部分、好ましくは場合によって置換されているフェニル部分、より好ましくは非置換フェニルである。)
のキラル化合物を提供するステップであって、(a)における前記提供が、溶媒中でプロピオンアルデヒドと、式(j)
O=N−Y (j)
の化合物、好ましくはニトロソベンゼンとを、少なくとも1種の有機触媒、より好ましくはプロリン(Pro)、より好ましくはD−Proを好ましくは含む触媒系の存在下で反応させることを好ましくは含み、前記触媒系が、助触媒、好ましくは尿素誘導体、より好ましくは1−(2−ジメチルアミノ−エチル)−3−フェニル尿素を場合によってさらに含み、ここで、(a)で提供される式(i)のキラル化合物の分子の好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも99%が、
【0156】
【化69】
として存在し、プロピオンアルデヒドと式(j)の化合物との前記反応が好ましくは、−15℃から+5℃、好ましくは−12℃から+3℃、より好ましくは−10℃から0℃の範囲の温度で、好ましくは溶媒としてジクロロメタン中にて、および好ましくは触媒的量の酸、好ましくは酢酸またはプロピオン酸の存在下で実施されるステップ、
(b)式(i)の化合物とH
2N−NH−CHOとを、溶媒、好ましくはジクロロメタン中で反応させることで、式(ii)
【0157】
【化70】
に従った化合物を得るステップであって、ここで、前記反応が、DIN66131に従って決定され、0.3nmから0.5nm(ナノメートル、3オングストロームから5オングストローム)の範囲の孔径を好ましくは有するモレキュラーシーブの存在下で好ましくは実施され、前記反応が、−10℃から+20℃、好ましくは−5℃から+5℃の範囲の温度で好ましくは実施されるステップ、
(c)溶媒抽出によって(b)から得られる反応混合物から式(ii)の化合物を分離させるステップであって、ここで、(c)の前に、溶媒交換が好ましくは実施されるステップ、
(d)式(ii)の化合物を、溶媒中にて好ましくは15℃から70℃の範囲の温度で、基−SiR
aaR
bbR
ccを含むシリル化剤と場合によって反応させることで、式(iii)
【0158】
【化71】
(式中、基R
aa、R
bbおよびR
ccは同一でありまたは異なってよく、好ましくはアルキル基またはアリール基であり、より好ましくは、1個から6個の炭素原子、好ましくは1個から4個の炭素原子、より好ましくは1個または2個の炭素原子を有するアルキル基である。)
の化合物を得るステップであって、ここで、シリル化剤が、好ましくは、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルクロロシラン、ビストリメチルシリルアセトアミド、またはこれらの化合物の2種もしくは3種の混合物であり、より好ましくはビストリメチルシリルアセトアミドであるステップ、
(e)式(ii)の化合物または式(iii)の化合物と、求核性基R
1を含む求核性化合物、好ましくはグリニャール化合物R
1MgX(式中、Xは、Cl、BrおよびIからなる群から好ましくは選択され、R
1は、好ましくは、1個から6個の炭素原子、より好ましくは1個から4個の炭素原子、より好ましくは1個または2個の炭素原子、最も好ましくは2個の炭素原子を好ましくは有するアルキル基である。)である求核性化合物とをトルエン、テトラヒドロフラン(THF)、MTBE、ならびにTHFおよびMTBEの混合物からなる群から好ましくは選択される溶媒中で反応させることで、式(iv)
【0159】
【化72】
の化合物を得るステップであって、ここで、求核性化合物が好ましくはCH
3CH
2MgClであり、ここで、求核性化合物との反応が−80℃から0℃、好ましくは−75℃から−10℃、より好ましくは−70℃から−25℃の範囲の温度で好ましくは実施されるステップ、
(f)式(iv)の化合物を好ましくは水素化によって還元することでR=Hである式(III)
【0160】
【化73】
の化合物を得るステップであって、ここで、好ましくは、1個から4個の炭素原子を含むアルコール、好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノール、最も好ましくはメタノールを含む溶媒混合物が用いられ、ここで、水素化が、15℃から35℃、好ましくは20℃から30℃の範囲の温度で、0.5バールから50バール、好ましくは1バールから20バール、より好ましくは1バールから10バールの範囲の水素圧にて、貴金属含有触媒、好ましくはパラジウム含有触媒、最も好ましくはPd/C触媒の存在下で好ましくは実施されるステップ、
(g)R=Hである式(III)の化合物を場合によって結晶化するステップであって、ここで、式(III)の化合物がMTBEおよびシクロヘキサン(CHX)の混合物から好ましくは結晶化されるステップ、
(h)R=Hである式(III)の化合物を場合によって再結晶化するステップであって、ここで、R=Hである式(III)の化合物が好ましくは酢酸イソプロピルから再結晶されるステップ、
(i)場合によって結晶化されたR=Hである式(III)の化合物を、溶媒中で、基−SiR
aR
bR
cを含むシリル化剤と場合によって反応させることで、R=SiR
aR
bR
cである式(III)
【0161】
【化74】
(式中、基R
a、R
bおよびR
cは、上記で定義されている通りである。)
の化合物を得るステップ。
【0162】
ステップ(2)−式(I)、(IIa)および/または(IIb)、ならびに(III)の化合物の混合および反応
本発明のステップ(2)について、式(I)、(IIa)および/または(IIb)、好ましくは(IIb)、ならびに(III)の化合物は、任意の適当な順序において混合することができ、ここで、前記化合物のそれぞれは、このまま用いることができ、または少なくとも1種の適当な溶媒、もしくは適当な溶媒混合物中に含有することができる。
【0163】
本発明の好ましい実施形態によると、第1のステップ(2.1)において、式(I)ならびに(IIa)および/または(IIb)、好ましくは(IIb)の化合物は、溶媒中で混合および少なくとも部分的に反応させることで、反応混合物が得られる。
【0164】
ステップ(2)および/またはステップ(2.1)における反応が実施される溶媒に関して特別な制限は存在しない。好ましくは、溶媒は、極性非プロトン性溶媒またはこれらの2種以上の混合物である。より好ましくは、少なくとも1種の溶媒は、ジクロロメタン(DCM)、テトラヒドロフラン(THF)、メチルテトラヒドロフラン(MeTHF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル(AN)、エステル、好ましくは酢酸ブチル(BuAc)または酢酸エチル(EtAc)、およびこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、好ましくはDCMまたはTHFである。とりわけ好ましくは、溶媒はDCMである。
【0165】
上記した通り、DCM中に含有されている式(IIa)および/または(IIb)、好ましくは(IIb)の化合物を用いることが特に好ましい。式(I)の化合物について、例えば、式(I)の化合物が好ましくはアセトニトリルから再結晶化される上に記載されているステップ(bb)に従って得られる通りの固体化合物として、またはDCMなどの適当な溶媒中に含有されている通りの固体化合物としてのいずれか一方で、それを導入することが想定可能である。本発明の好ましい実施形態によると、式(I)の化合物は、ステップ(bb)から得られる固体化合物として、DCMが最も好ましい溶媒である式(IIa)または(IIb)の化合物を含有する溶液中に導入される。
【0166】
好ましくは、式(IIa)または(IIb)の化合物および式(I)の化合物は、式(IIa)または(IIb)の化合物が過剰に使用されるモル比で用いられる。好ましくは、前記モル比は、1:1超から1.3:1、より好ましくは1:1超から1.2:1、より好ましくは1.1:1などの1.05:1から1.15:1の範囲である。
【0167】
ステップ(2.1)の後、式(III)の化合物を、ステップ(2.1)から得られる反応混合物に添加することが好ましい。
【0168】
式(III)の化合物について、例えば、式(III)の化合物が、好ましくは酢酸イソプロピルから再結晶される上に記載されているステップ(h)に従って得られる通りの固体化合物として、またはDCM、THFもしくは好ましくはこれらの混合物などの適当な溶媒中に含有されている通りの固体化合物としてのいずれか一方で、それを導入することが想定可能である。本発明の好ましい実施形態によると、式(III)の化合物は、ステップ(h)から得られる固体化合物として、ステップ(2.1)から得られる反応混合物中に導入される。
【0169】
好ましくは、式(III)の化合物は、式(I)の化合物に対して、式(III)の化合物が過剰に使用されるモル比において用いられる。好ましくは、前記モル比は、1:1超から1.3:1、より好ましくは1:1超から1.2:1、より好ましくは1.1:1.などの1.05:1から1.15:1の範囲である。
【0170】
ステップ(2)における反応が実施される温度は、好ましくは、−20℃から+40℃の範囲である。より好ましくは、ステップ(2.1)における反応は、−20℃から+20℃、より好ましくは−15℃から0℃、より好ましくは−10℃から−5℃の範囲の温度で実施される。本発明のステップ(2.2)に従った反応は、−20℃から+40℃の範囲、より好ましくは第1反応時間中は−20℃から0℃、より好ましくは−15℃から0℃、より好ましくは−15℃から−5℃の範囲、および後続の反応時間中は−5℃から+40℃、好ましくは15℃から40℃、より好ましくは25℃から35℃、最も好ましくは30℃の範囲の温度で好ましくは実施される。
【0171】
一般に、式(IV)の化合物は、少なくとも1種の適当な溶媒、例えばアセトニトリルから結晶化することができる。好ましくは、本発明によると、式(IV)の化合物は反応混合物から直接結晶化される。例えば、後続の反応時間中、上に記載されている反応混合物が好ましくは適切に冷却されることで式(IV)の化合物の結晶化を惹起し、ここで、反応混合物が好ましくは冷却されることで結晶化を惹起し、引き続いて、−10℃から+5℃、より好ましくは−5℃から+5℃の範囲の温度でさらに冷却される。種結晶が添加されることで、結晶化を惹起することもできる。
【0172】
したがって、本発明は、(2)から得られる反応混合物から式(IV)
【0173】
【化75】
のキラル化合物を単離することを含む、上記に定義されている方法に関する。
【0174】
記載されている通り、前記単離は、結晶化によって好ましくは実施される。さらに、クロマトグラフィーによって式(IV)の化合物を単離することも想定可能である。
【0175】
ステップ(2)における反応から、式(IV)の適切に単離され、好ましくは結晶化された化合物が得られる。
【0176】
その母液から分離した後、式(IV)の結晶化化合物は、少なくとも1回適切に洗浄し、場合によって乾燥させることができる。
【0177】
本発明の好ましい実施形態によると、式(IVb)の化合物、特に本明細書に記載されている通りの式(IVd)の化合物である式(IV)の化合物は、イミダゾール、および好ましくはDCMなどの溶媒を好ましくは含有する反応混合物から直接、および上に記載されている反応の時間および条件を適用することによって結晶化される。
【0178】
驚くべきことに、式(IVb)の化合物、特に式(IVd)の化合物が、特にDCMおよびイミダゾールを含有する反応混合物から直接結晶化される場合、式(IVb)の化合物、特に式(IVd)の化合物は、付加物
式(IVd):イミダゾール:DCMの化合物
として、例えば1:1:1付加物として結晶化することができ、ここで、前記付加物は少なくとも1種の多形形態で得られることが見出された。
【0179】
その母液から分離した後、式(IVd)の結晶化化合物は、少なくとも1回適切に洗浄し、場合によって乾燥することができる。該生成物は、DCMから再結晶させることで、上記したのと同じ1:1:1付加物を与えることができ、またはアセトニトリルから再結晶させることで、イミダゾールとの1:1付加物を与えることができる。
【0180】
式(IVd)の化合物を付加物として、上記した通りの反応混合物から直接結晶化する手順が改善された方法をもたらしたのは、これが、複雑な技術的要求の適用を回避するからであり、結晶生成物の単離を可能にする結果、単離された生成物における不純物の低量、ならびに前記生成物の高収率となる。
【0181】
特定の結晶化条件、および/または反応混合物中に含有されている成分に依存して、他の付加物も想定可能であり、それぞれが少なくとも1種の多形形態で存在するのが可能である。
【0182】
このようにして、本発明は、式(IVa)
【0183】
【化76】
の場合によって結晶質なキラル化合物またはこの塩にも関し、式中、R
1は、1個から6個の炭素原子、より好ましくは1個から4個の炭素原子、より好ましくは1個または2個の炭素原子、最も好ましくは2個の炭素原子を好ましくは有するアルキル基であり、R
1は特にエチルであり、
式中、−Rは−Hであり、または−SiR
aR
bR
cおよび場合によって置換されているアルキル基、アリール基、アルカリール基もしくはアラルキル基からなる群から好ましくは選択される適当なヒドロキシル保護基であり、ここで、R
a、R
bおよびR
cは同一でありまたは異なり、場合によって適切に置換されているアルキル基およびアリール基からなる群から選択され、−Rは好ましくは−Hであり、または−Si(CH
3)
3およびベンジルからなる群から選択されるヒドロキシル保護基であり、−Rは特に−Hであり、ここで、前記化合物は最も好ましくは、式(IVb)
【0185】
またさらに好ましい実施形態によると、式(IVb)の前記化合物の分子の少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも99%は、式(IVc)
【0186】
【化78】
の化合物として存在し、最も好ましくは式(IVd)
【0187】
【化79】
の化合物として存在する。
【0188】
本発明の場合による実施形態によると、ステップ(2)における反応は、化学量論または好ましくは半化学量論量でのいずれか一方で用いられる酸の存在下で実施することができる。通常、使用される酸は、ステップ(2)において用いられる溶媒または溶媒混合物中に少なくとも部分的に可溶性である。最も好ましくは、該酸はトリフルオロ酢酸(TFA)またはパラトルエンスルホン酸(PTSA)であり、トリフルオロ酢酸(TFA)がとりわけ好ましい。
【0189】
しかし、示されている通り、ステップ(2)における反応は、トリフルオロ酢酸(TFA)の非存在下、好ましくはトリフルオロ酢酸(TFA)またはパラトルエンスルホン酸(PTSA)の非存在下、より好ましくは酸の非存在下で実施することができる。
【0190】
上記した通り、本発明の方法は、従来技術の公知方法と比較して、特にポサコナゾールの調製のための公知方法と比較して、これが、式Cl−C(=O)−O−PH(クロロギ酸フェニル)の化合物の非存在下、特にハロゲン化ギ酸のエステルの非存在下で実施されることを特徴とする。このようにして、こうした生成物を含有する最終生成物または医薬組成物中に認められることがある変異原性化合物の使用は回避される。
【0191】
ステップ(3)−ステップ(2)から得られる混合物の加熱
本発明の第1の好ましい実施形態によると、式(IV)の化合物を単離せずにステップ(2)から得られる反応混合物は、加熱ステップ(3)にかけられる。
【0192】
場合によって、加熱する前に、ステップ(2)から得られる反応混合物中に存在する溶媒は、少なくとも1種のさらなる溶媒によって交換することができる。好ましくは、ステップ(2)から得られる反応混合物は、ジクロロメタン(DCM)、テトラヒドロフラン(THF)、メチルテトラヒドロフラン(MeTHF)、アセトニトリル(AN)、エステル、好ましくは酢酸ブチル(BuAc)または酢酸エチル(EtAc)およびジメチルホルムアミド(DMF)、ならびにこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される溶媒、好ましくはDCMまたはTHFであり、特にDCMである溶媒を含有する。溶媒交換が実施されるならば、上に記載されている溶媒は、以降に詳しく記載されているステップ(3)の加熱条件を可能にする溶媒によって交換される。好ましくは、ステップ(3)において加熱するために好ましくは使用されるこうした溶媒は、トルエン、ベンゼン、飽和カルボン酸のエステル、好ましくは酢酸イソプロピル、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル(AN)、メチルテトラヒドロフラン(Me−THF)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、ジオキサン、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)およびこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、好ましくはトルエンまたは酢酸イソプロピルである。
【0193】
第2の好ましい実施形態によると、式(IV)の化合物は、ステップ(2)の後で、好ましくは結晶化によって適切に単離される。本発明のこの実施形態について、式(IV)の単離された化合物、好ましくは結晶化された化合物は、ステップ(3)において加熱する前に適当な溶媒と混合され、ここで、該溶媒は、トルエン、ベンゼン、飽和カルボン酸のエステル、好ましくは酢酸イソプロピル、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル(AN)、メチルテトラヒドロフラン(Me−THF)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、ジオキサン、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)およびこれらの2種以上の混合物からなる群から好ましくは選択され、好ましくはトルエンまたは酢酸イソプロピルである。
【0194】
こうした混合物がステップ(3)において加熱される温度は、好ましくは、40℃から150℃、好ましくは60℃から140℃、より好ましくは70℃から130℃の範囲である。通常の温度は、70℃から80℃、または80℃から90℃、または90℃から100℃、または100℃から110℃、または110℃から120℃、または120℃から130℃の範囲である。
【0195】
本発明の好ましい実施形態によると、ステップ(3)に従って加熱する前に、上記した通りの場合による後続の溶媒交換でステップ(2)から得られる反応混合物中に含有されている通り、または式(IV)の化合物を適切に単離し、上記した通りの適当な溶媒で単離化合物を混合することから得られる混合物中に含有されている通りのいずれか一方の式(IV)の化合物は、適当なシリル化剤と混合および反応させる。シリル化剤とのこうした混合は、上記した通りの基−Rが−Hであるならば、すなわち式(III)の化合物のそれぞれのヒドロキシル基がこの非保護形態で用いられる場合において、特に好ましくは実施される。
【0196】
こうしたシリル化剤について特別な制限は存在しない。想定可能なシリル化剤は、例えば、トリアルキルシリルハライド、より好ましくはトリアルキルシリルクロリドおよび/またはトリアルキルシリルアイオダイド、特にトリメチルシリルクロリド(TMSCl)および/またはトリメチルシリルヨージド(TMSI)である。本発明の好ましい実施形態によると、ビス−トリメチルシリルアセトアミド(BSA)は、シリル化剤として使用される。場合によって、特にBSAが使用されるならば、式(IV)の化合物とシリル化剤との反応は、適当な酸、好ましくはルイス酸、より好ましくはシリコン含有ルイス酸、特にトリメチルシリルヨージド(TMSI)の存在下で行われる。
【0197】
式(IV)の化合物に対して、シリル化剤は過剰に好ましくは用いられる。シリル化剤対式(IV)の化合物の好ましいモル比は、1:1超から3:1、より好ましくは1.45:1超から2.7:1、より好ましくは1.5:1超から2.1:1、より好ましくは1.9:1から2.1:1の範囲であり、最も好ましくは2:1である。
【0198】
式(IV)の化合物に対して、該酸、好ましくはルイス酸は、半化学量論量で好ましくは用いられる。式(IV)の化合物に対するルイス酸、好ましくはTMSIの好ましいモル比は、0.05から1:1未満、好ましくは0.1から0.5、より好ましくは0.15から0.25の範囲であり、最も好ましくは0.2である。
【0199】
上述されている通り、最も好ましい化合物CDIが用いられる場合において、溶媒交換の後、または結晶化および溶媒との混合の後に得られる通りの式(IV)の化合物は、一般に1重量%から10重量%、好ましくは2重量%から10重量%、より好ましくは4重量%から10重量%、より好ましくは6重量%から10重量%の範囲でイミダゾールを通常含有する。本発明のとりわけ好ましい実施形態によると、イミダゾールは、式(IV)の化合物を式(V)の化合物に転換するために式(IV)の化合物に添加される。したがって、CDIの使用により式(IV)の化合物中にイミダゾールがすでに含有されているので、より少ない量のイミダゾールしか添加しなくてよい。この段階で、イミダゾールは、式(IV)の化合物に対してイミダゾールが過剰に存在する量で添加され、ここで、イミダゾール対式(IV)の化合物の好ましいモル比は、2:1から10:1、より好ましくは4:1から9.5:1、より好ましくは7:1から8:1の範囲であり、最も好ましくは7.5:1である。
【0200】
最も好ましくは、イミダゾールは、式(IV)の化合物と上記した通りのシリル化剤とを混合する前に添加される。
【0201】
式(IV)の化合物から、ステップ(3)において加熱した後、好ましくはイミダゾールの添加後、および場合によってシリル化剤の添加後に、式(V)の化合物は、トルエン、ベンゼン、飽和カルボン酸のエステル、好ましくは酢酸イソプロピル、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル(AN)、メチルテトラヒドロフラン(Me−THF)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、ジオキサン、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)およびこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される溶媒、好ましくはトルエンまたは酢酸イソプロピルである溶媒中に好ましくは含有されて得られる。
【0202】
ステップ(4)−式(V)の化合物の抽出
本発明のさらに好ましい実施形態によると、上記で述べた溶媒中に含有されている式(V)の化合物は、適当な溶媒抽出にかけられる。
【0203】
溶媒抽出のために、酸水溶液が抽出剤として好ましくは使用され、ここで、前記酸水溶液は、好ましくは無機酸水溶液、およびより好ましくは塩酸水溶液である。無機酸水溶液、好ましくは塩酸水溶液の濃度は、好ましくは5重量%から15重量%の範囲である。抽出剤が添加される温度は、好ましくは、10℃から50℃、好ましくは20℃から40℃の範囲である。このようにして得られた層は分離される。
【0204】
好ましくは、式(V)の化合物を含有する酸性水層は、さらなる溶媒抽出にかけられ、ここで、少なくとも1種の適当な有機溶媒、特にDCMが使用される。このようにして得られた水層のpHは、適当な量の少なくとも1種の適当な塩基、好ましくは無機塩基、より好ましくは無機水酸化物、より好ましくは水酸化ナトリウム水溶液を使用して、0.8から1.5、好ましくは1から1.2の範囲の値に好ましくは調節される。このようにして得られた層は分離される。
【0205】
好ましくは、式(V)の化合物を含有するこのようにして得られた有機層は、適当な洗浄処理にかけられる。あらゆる想定可能な洗浄剤または洗浄剤の組合せが使用され得る。本発明の好ましい実施形態によると、有機層は、酸、好ましくは無機酸、より好ましくは塩酸、より好ましくは塩化水素水溶液で洗浄され、塩基、好ましくは無機塩基、より好ましくはアルカリ炭酸水素塩、より好ましくは炭酸水素ナトリウムでさらに洗浄される。好ましくは、有機層は酸で最初に洗浄され、引き続いて塩基で洗浄される。このようにして得られた層は分離される。
【0206】
好ましくは、このようにして得られ、式(V)の化合物を含有する有機層は、1つ、2つまたはそれ以上の個々の濃縮ステップで適切に濃縮され、ここで、2つの後続の濃縮ステップの間に、アセトンまたはメタノール、好ましくはアセトンなど少なくとも1種の溶媒が添加され得る。
【0207】
最終的に得られた濃縮有機層は、好ましくは15℃から40℃、より好ましくは20℃から30℃の範囲である温度で、水と好ましくは混合される。場合によって、このようにして得られた懸濁液は、適当な多孔質材料を用いる処理にかけられることで、残留している不純物を除去することができる。とりわけ、このような適当な材料として木炭を挙げることができる。
【0208】
記載されている通りの溶媒抽出ステップおよび好ましい処理後ステップの後で、好ましい生じた懸濁液は、溶液の式(V)の化合物を含有する。式(V)の化合物は、上記に挙げられている適当な多孔質材料から例えば濾過を介して、好ましくは適切に分離される。木炭など上記に挙げられている適当な多孔質材料を好ましくは含有するフィルターケーキは、適当な溶媒または溶媒混合物で好ましくは洗浄される。適当な洗浄剤は、例えば、アセトンまたはメタノールと水との混合物である。式(V)の化合物を含有する濾液および洗浄液は、好ましくは合わせられる。
【0209】
好ましい実施形態によると、合わせた濾液および洗浄液中に好ましくは含有されている式(V)の化合物は、本発明のステップ(5)において適切に結晶化され、本発明のステップ(6)においてこの母液から場合によって分離される。
【0210】
ステップ(5)−式(V)の化合物の結晶化
ステップ(5)に従って、式(V)の化合物は、溶媒中または2種以上溶媒の混合物中で適切に結晶化される。
【0211】
溶媒に関して特別な制限は存在しないが、ただし、式(V)の化合物が結晶化され得るという条件である。好ましくは、(5)における結晶化は、アルコール、好ましくはメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ−プロパノール、エーテル、好ましくはTHF、ケトン、好ましくはアセトン、アセトニトリル、およびこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、最も好ましくは水と混合される溶媒中で実施され、該溶媒は、最も好ましくは、水と混合されるメタノール、または水と混合されるアセトンである。
【0212】
使用される溶媒または溶媒に依存して、結晶化がステップ(5)において実施される温度は、好ましくは、−20℃から+90℃、より好ましくは−10℃から+70℃、より好ましくは0℃から50℃、より好ましくは10℃から40℃の範囲である。
【0213】
場合によって、式(V)の化合物の種結晶が添加され得る。
【0214】
本発明の特に好ましい実施形態によると、結晶化は、2つ以上のステップにおいて、好ましくは3つ以上のステップにおいて行われる。とりわけ好ましい第1ステップにおいて、好ましくは上記した通りの合わせた濾液および洗浄液に水が添加される。この第1ステップが実施される温度は、好ましくは、10℃から50℃、より好ましくは20℃から40℃の範囲である。とりわけ好ましい第2のステップにおいて、式(V)の化合物の播種結晶(seeding crystal)が添加され、生じた混合物は、好ましくは、10℃から50℃、より好ましくは20℃から40℃の範囲の温度で撹拌される。とりわけ好ましい第3のステップにおいて、水が添加され、生じた混合物は、好ましくは、10℃から50℃、より好ましくは20℃から40℃の範囲の温度で撹拌される。とりわけ好ましい第4のステップにおいて、撹拌混合物は、20℃より低い温度、好ましくは、0℃から20℃未満、より好ましくは10℃から20℃未満の範囲の温度に冷却される。
【0215】
ステップ(6)−式(V)の結晶化化合物の分離
このようにして得られた結晶化化合物は、本発明のステップ(6)において溶媒または溶媒混合物から、場合によって適切に分離される。適当な分離は、濾過によって好ましくは実施される。濾過から得られたフィルターケーキ中に好ましくは含有されている式(V)の分離された結晶化化合物は、適当な溶媒または溶媒混合物で好ましくは洗浄される。適当な洗浄剤は、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ−プロパノール、エーテル、好ましくはTHF、ケトン、好ましくはアセトンおよびアセトニトリルと、水との混合物である。洗浄剤の温度は、好ましくは、0℃から10℃、より好ましくは0℃から5℃の範囲である。
【0216】
分離され、好ましくは洗浄された式(V)の結晶化化合物は、適当な条件で好ましくは乾燥させる。式(V)の結晶化化合物の乾燥は、最大でも50℃、好ましくは最大でも45℃の温度にて、好ましくは最大でも500mバール、より好ましくは最大でも100mバール、より好ましくは最大でも75mバール、より好ましくは最大でも50mバールの圧力で好ましくは実施される。
【0217】
本発明によると、一般に、当技術分野において教示されている面倒な方法によって、特にクロマトグラフィーによって式(V)のこのようにして得られた結晶化化合物をさらに精製する必要がないこと、および式(V)の前記結晶化化合物は、さらに精製することなく特に抗真菌剤として使用することができることが見出された。したがって、本発明は、(5)または(6)から得られる結晶化化合物が後続のクロマトグラフィー精製段階にかけられない、上記に定義されている方法に関する。
【0218】
このようにして、本発明は、本発明のステップ(5)またはステップ(6)の後でとりわけ好ましくは得られるまたは得ることが可能な組成物にも関し、前記組成物は、式(Va)
【0219】
【化80】
の好ましくは結晶質キラル化合物またはこの塩を含み、好ましくは、該化合物またはこの塩から本質的になり、式中、R
1は、1個から6個の炭素原子、より好ましくは1個から4個の炭素原子、より好ましくは1個または2個の炭素原子、最も好ましくは2個の炭素原子を好ましくは有するアルキル基であり、前記組成物は、式(Vb)
【0220】
【化81】
の化合物を好ましくは含み、ここで、前記好ましくは結晶質化合物の分子の好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも99%は、式(Vc)
【0221】
【化82】
の異性体として、好ましくは式(Vd)
【0222】
【化83】
の異性体として存在し、前記組成物は、最大でも70重量ppm、好ましくは最大でも50重量ppm、より好ましくは最大でも30重量ppm、より好ましくは最大でも10重量ppmを含有し、前記組成物は特に、式(Ve)
【0223】
【化84】
の化合物、好ましくは式(Vf)
【0224】
【化85】
の化合物がなく、式中、−Rは−CH
2−C
6H
5であり、−Rは好ましくは、−SiR
aR
bR
c、および場合によって置換されているアルキル基、アリール基、アルカリール基またはアラルキル基からなる群から選択され、ここで、R
a、R
bおよびR
cは同一でありまたは異なり、場合によって適切に置換されているアルキル基およびアリール基からなる群から選択され、−Rはより好ましくはヒドロキシル保護基である。「本質的になり」という用語は、本発明との関連で使用される場合、式(Va)および(Vf)の化合物に関した総含有量に対して少なくとも99.9重量%、より好ましくは少なくとも99.99重量%が式(Va)の化合物からなるような組成物に関する。
【0225】
したがって、本発明の新規の有利な方法により、式(V)のベンジル保護化合物がない、上記で定義されている通りの組成物が提供され得る。とりわけ好ましくは、ベンジル保護ポサコナゾールがない結晶化ポサコナゾールを含有する組成物が提供される。
【0226】
ポサコナゾールが調製される上記に定義されている方法に従って、たいてい、特定の多形形態または2種以上の多形形態の混合物が得られる。所望であれば、この(粗製)ポサコナゾールは、少なくとも1回再結晶化されることで、これらの多形形態の1種だけを与えることができ、または別の多形形態もしくは2種以上の他の多形形態の混合物を与えることができる。
【0227】
好ましくは、本発明によると、上記した通りの粗製ポサコナゾールは、第1ステップにおいて再結晶化される。再結晶化は、アセトンおよび水の混合物またはメタノールから、US6958337の実施例6に記載されている通りにとりわけ好ましくは実施される。
【0228】
溶媒媒介固相転換は、WO2010/000668に記載されている通りの多形形態IVのポサコナゾールを与える。好ましい実施形態によると、上記した通りの再結晶化の後に得られる生成物は、メタノールおよび水の混合物中にて、ポサコナゾール形態IVの種結晶の好ましい存在下で、40℃から45℃の範囲の温度に、4時間から48時間の範囲の時間撹拌される。多形形態IVの得られるポサコナゾールは、好ましくは濾過によって適切に分離される。多形形態IVの単離生成物ポサコナゾールは、適当な条件で好ましくは乾燥させる。乾燥は、最大でも45℃、好ましくは最大でも40℃の温度にて、好ましくは最大でも500mバール、より好ましくは最大でも100mバール、より好ましくは最大でも75mバール、より好ましくは最大でも50mバール、より好ましくは30バールから40mバールの範囲の圧力で好ましくは実施される。
【0229】
したがって、本発明は、上記で定義されている方法にも関し、ここで、(5)または(6)から得られる結晶化化合物、特に式(Vb)
【0230】
【化86】
の化合物であって、ここで、前記結晶質化合物の分子の好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも99%が、式(Vd)
【0231】
【化87】
の異性体として存在する前記化合物は、好ましくはアセトンおよび水の混合物またはメタノールから再結晶化され、引き続いて、水およびメタノールの混合物中にて好ましくは種結晶の存在下で撹拌され、前記種結晶は、多形体IVの形態における式(Vd)の結晶質化合物を含む。
【0232】
本発明による抗真菌剤、または本発明の方法に従って得ることが可能なまたは得られる抗真菌剤は、特に真菌感染症を治療するための医薬組成物中に適切に含有することができる。こうした医薬組成物は、抗真菌に有効な量の抗真菌剤、好ましくはポサコナゾール、特に多形形態IVのポサコナゾールを通常含む。特に、本発明による医薬組成物は、本発明のステップ(5)またはステップ(6)の後で、または本明細書に記載されている通りの再結晶化および/または固相転換の後でとりわけ好ましくは得られるまたは得ることが可能な上記に定義されている組成物を含有し、前記組成物は、式(Vb)の好ましくは結晶質キラル化合物を含み、好ましくは本質的に該化合物からなり、最大でも70重量ppm、好ましくは最大でも50重量ppm、より好ましくは最大でも30重量ppm、より好ましくは最大でも10重量ppmを含有し、前記組成物は特に式(Ve)の化合物がない。
【0233】
抗真菌に有効な量の抗真菌剤に加えて、本発明の医薬組成物は、少なくとも1種の薬学的に許容される添加剤を好ましくは含有する。医薬組成物の特性に悪影響を及ぼさない限り、任意の薬学的に許容される添加剤が用いられ得る。通常の薬学的に許容される添加剤の例は、例えばWO2010/000668A1、13頁、13行目から23行目に記載されており、それぞれの開示内容を参照により本明細書に組み込む。他の適当な薬学的に許容される添加剤は、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences、第15版、Mack Publishing Co.、New Jersey(1991)に記載されている。
【0234】
発明の医薬組成物は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第15版、Mack Publishing Co.、New Jersey (1991)に記載されている通り、当技術者にそれ自体知られている様式において生成することができる。
【0235】
本発明による医薬組成物は、固体または液体であってよい。これに関連して、WO2010/000668A1、13頁、28行目から36行目が参照され、それぞれの開示内容を参照により本明細書に組み込む。薬学的に許容される添加剤は封入材料であってもよい。これに関連して、WO2010/000668A1、14頁、1行目から6行目が参照され、それぞれの開示内容を参照により本明細書に組み込む。
【0236】
本発明の抗真菌剤を含有する製剤、好ましくは本発明の組成物は、1つまたは複数の無毒性の薬学的に許容される局所担体、またはポサコナゾールのために通常記載されているものなどの他の製剤を通例含有する局所製剤であってよい。これに関連して、WO2010/000668A1、14頁、8行目から19行目が参照され、それぞれの開示内容、およびそこに引用されている特許文献の参照により本明細書に組み込む。
【0237】
したがって、本発明は、上記で定義されている通りの組成物の抗真菌に有効な量、およびこのための薬学的に許容される担体を含む、真菌感染症を治療するための医薬組成物に関する。
【0238】
特に、本発明に従って調製される抗真菌剤がポサコナゾールであるこれらの場合に関し、該薬剤、特に上記に定義されている組成物は、ポサコナゾールによって治療または予防することができる障害のいずれも治療または予防するための医薬として使用することができる。特に、これは、とりわけヒトなどの哺乳動物における真菌感染症を治療または予防するために使用することができる。このようにして、治療有効量の上記に定義されている組成物を、これを必要としている患者に投与することによって真菌感染症を治療または予防する方法、ならびにこうした感染症をこうして治療または予防することを必要としている哺乳動物における真菌感染症を治療または予防する方法における使用のための上記に定義されている組成物も企図される。上記に定義されている組成物は、酵母、皮膚糸状菌およびカビを含めて、病原真菌によって引き起こされる広範囲の感染症を治療または予防するのに適当である。治療することができる通常の真菌感染症は、WO2010/000668A1、11頁29行目から12頁5行目に開示されており、それぞれの開示内容を参照により本明細書に組み込む。
【0239】
したがって、本発明は、医薬としての使用のための上記に定義されている組成物の使用に関する。さらに、本発明は、こうした感染症をこうして治療または予防することを必要としている哺乳動物における真菌感染症を治療または予防する医薬の調製のための上記に定義されている組成物の使用に関する。
【0240】
上文に示されている通り、本発明は、とりわけ、式(IV)の化合物、好ましくは式(V)の化合物、より好ましくはポサコナゾール、いっそう好ましくは式(Ve)の化合物が本質的にない上記に定義されている組成物中に含有されるポサコナゾールの調製のために式(IIc)の化合物が用いられることを特徴とする。この特定の化合物の使用の利点は、上文の本発明の至る所で説明されている。したがって、本発明は、抗真菌剤の調製のための式(IIc)
【0241】
【化88】
の化合物の使用、好ましくは、式(Vb)
【0242】
【化89】
の好ましくは結晶質キラル化合物の調製のための使用、最も好ましくは、式(Vd)
【0243】
【化90】
の好ましくは結晶質化合物の調製のための使用にも関する。
【0244】
その上、本発明は、抗真菌剤の調製、好ましくは、式(Vb)の好ましくは結晶質キラル化合物の調製、最も好ましくは、式(Vd)の好ましくは結晶質化合物の調製のための方法に関し、ここで、式(IIc)の化合物が用いられる。
【0245】
一般に、本発明は、ステップ(1.1)から(2)を含む、またはステップ(1.1)から(3)を含む、またはステップ(1.1)から(4)を含む、またはステップ(1.1)から(5)を含む、またはステップ(1.1)から(6)を含む、好ましくはステップ(1.1)から(2)を含む、またはステップ(1.1)から(5)もしくは(1.1)から(6)を含む本発明の方法に従って得ることが可能なまたは得られるキラル化合物にも関する。
【0246】
本発明を以下の実施例によって例示する。
【実施例】
【0247】
実施例1
式(B)の化合物の合成
(Ex1.a)L=Clである式(BB)の化合物の調製
【0248】
【化91】
【0249】
MTBE 20ml中に、Mg 3.8gを懸濁した。懸濁液の温度は55℃であった。次いで、該系を乾燥させるために前のバッチからのMTBE中のグリニャール試薬(CH
3)
3Si−CH
2MgCl 0.5gを添加し(こうしたグリニャール試薬が第1のバッチに利用可能でないならば、Sigma−Aldrichから1.0M溶液として市販されているジエチルエーテル中の(CH
3)
3Si−CH
2MgCl(CAS登録番号:13170−43−9)を使用することができる。)、続いてクロロメチルトリメチルシラン(CM−TMS;CAS登録番号:2344−80−1;Sigma−Aldrichから市販されている。)1.0mlを添加した。次いで、CM−TMS 14mlのMTBE 43ml中溶液を2時間の時間をかけて55℃の温度でゆっくり添加した。混合物を2時間55℃で撹拌し、次いで、−10℃の温度に冷却した。引き続き、MTBE 30ml中のL=Clである式(AA)の市販化合物(CAS登録番号:51336−94−8;Sigma−Aldrichから市販されている。)10.0gを添加し、温度を0℃から−10℃の範囲に保持した。反応混合物を、塩化アンモニウムの20%(w/v)水溶液中でクエンチした。得られた有機層を塩化アンモニウムの20%(w/v)水溶液で洗浄した。このようにして洗浄された有機層を次いで、水で洗浄した。
【0250】
該有機層に、濃硫酸11.0mlを添加し、温度を25℃から30℃に保持した。次いで、反応混合物を45℃から50℃の温度で3時間撹拌した。引き続き、反応混合物を20℃に冷却し、水25mlを添加し、有機層を分離した。得られた有機層を重炭酸ナトリウムの9%(w/v)水溶液で抽出し、続いて、水で洗浄した。洗浄された有機層の溶媒を減圧下の蒸留によって除去し、標題化合物が油として得られた。収量は9.4gであり、理論値の95%に対応した。
【0251】
(Ex1.b)R
11=R
22=CH
2CH
3である式(CC)の化合物の調製
【0252】
【化92】
【0253】
(Ex1.a)に従って得られた通りの油としての式(BB)の化合物10.0gを、DMSO 20ml中に撹拌下で溶解した。次いで、NaOHフレーク3.2gおよびマロン酸ジエチル24.0mlを添加した。生じた懸濁液を5時間25℃から30℃で撹拌した。引き続き、水100mlを添加し、生じた混合物を30分間撹拌した。このようにして得られた溶液を、シクロヘキサン80mlを用いて25℃から30℃で抽出した。該層の分離後、水層を、シクロヘキサン40mlを用いて25℃から30℃で抽出した。合わせた有機層を、NaOHの5%(w/v)水溶液で洗浄し、続いて、水で洗浄した。洗浄後、有機層の溶媒を減圧下の蒸留によって除去し、標題化合物が油として得られた。収量は15.0gであり、理論値の90.0%に対応した。
【0254】
(Ex1.c)式(DD)の化合物の調製
【0255】
【化93】
【0256】
(Ex1.b)に従って得られた通りの油としての式(CC)の化合物10.0gを、イソプロピルアルコール120mlおよび水13.0ml中に、撹拌下にて25℃から30℃で溶解した。生じた混合物を0℃から−5℃の温度に冷却した。次いで、塩化リチウム2.3gおよび水素化ホウ素ナトリウム2.1gを、0℃から−5℃で添加した。生じた懸濁液を25℃から30℃で20時間撹拌した。撹拌混合物のpHを1の値に(較正されたpH計を使用することによって測定した。)、4NのHCl水溶液の添加によって調節した。その後、NaOHの20%(w/v)水溶液を添加することで、pHを10の値に調節した(較正されたpH計を使用することによって測定した。)。生じた混合物を1時間撹拌した。次いで、低い方の水層を排出した。分離した有機層から、イソプロピルアルコールを留出し、油が得られた。該油に、トルエン100mlおよび水100mlを添加し、生成物をトルエン層に抽出した。生じたトルエン層の溶媒を蒸留によって、減圧下で除去し、標題化合物が油として得られた。収量は6.0gであり、理論値の82.0%に対応した。
【0257】
(Ex1.d)式(EE)の化合物の調製
【0258】
【化94】
【0259】
(Ex1.c)に従って得られた通りの油としての式(DD)の化合物10.0gを、トルエン80ml中に溶解し、−15℃に冷却した。次いで、重炭酸ナトリウム7.4g、酵素(Novo SP 435;Novo NordiskからのCandida antarctica、Novozym 435)0.5gおよびイソ酪酸無水物7.9mlを添加した。生じた混合物を−15℃で24時間撹拌した。次いで固体を濾別し、濾液を重炭酸ナトリウムの5%(w/v)水溶液で洗浄し、続いて、水で洗浄した。生じた有機層の溶媒を減圧下の蒸留によって除去することで、所望の生成物を油として得た。この油をn−ヘプタン40ml中に50℃から60℃で溶解した。澄明な液を10℃の温度に徐々に冷却した。式(EE)の化合物は無色の結晶として結晶化した。得られた固体を濾過し、湿ったフィルターケーキをn−ヘプタン20mlで洗浄した。フィルターケーキを次いで、40℃にて真空中で乾燥させ、標題化合物が無色の結晶として得られた。収量は9.2gであり、理論値の70.0%に対応した。
【0260】
(Ex1.e)Hal=Iである式(FF)の化合物の調製
【0261】
【化95】
【0262】
(Ex1.d)において得られた結晶10.0gを、酢酸エチル80ml中に撹拌下で溶解した。生じた溶液を−15℃に冷却し、ヨウ素21.5gおよび重炭酸ナトリウム7.0gを添加した。得られた懸濁液を−15℃で5時間撹拌した。反応混合物を亜硫酸ナトリウムの10%(w/v)水溶液200ml中でクエンチした。有機層を亜硫酸ナトリウムの10%(w/v)水溶液100mlで洗浄し、続いて、水で洗浄した。このようにして得られ、洗浄された有機層の溶媒を、減圧下の蒸留によって除去することで、標題化合物を油として得た。収量は13.5gであり、理論値の95.0%に対応した。
【0263】
(Ex1.f)式(GG)の化合物の調製
(Ex1.e)に従って得られた通りの油としての式(FF)の化合物の10.0gを、DMSO 80ml中に撹拌下で溶解した。次いで、1,2,4−トリアゾールのナトリウム塩10gを25℃から30℃で添加し、生じた反応混合物を24時間85℃から90℃で撹拌した。混合物を次いで25℃から30℃に冷却し、水酸化ナトリウムの5%(w/v)水溶液25mlを添加した。混合物を次いで3時間25℃から30℃で撹拌した。水100mlを添加し、生成物をメチルテトラヒドロフラン150ml中に抽出した。このようにして得られた有機層を塩化ナトリウムの10%(w/v)水溶液で洗浄し、引き続いて、生じた分離有機層の溶媒を減圧下の蒸留によって除去することで、式(GG)
【0264】
【化96】
の標題化合物を粗製油として得た。収量は6.0gであり、理論値の86.0%に対応した。
【0265】
(Ex1.g)化合物(GG)のHCl塩の調製
(Ex1.f)において得られた通りの粗製油としての式(GG)の化合物10.0gを、アセトン200ml中に撹拌下にて30℃から40℃で溶解した。生じた溶液を25℃から30℃に冷却した。次いで、MTBE中のHCl(10重量%)を15分の時間をかけて25℃から30℃で添加した。該固体は、混合物を15分間撹拌した時に結晶化した。次いで、MTBE 200mlを30分の時間をかけてゆっくり添加した。懸濁液を0℃から−5℃に冷却し、2時間撹拌した。生成物を濾過し、ウェットケーキをMTBE 20mlで洗浄した。70℃にて真空中で乾燥させた後、化合物(GG)のHCl塩が無色の固体として得られた。収量は9.5gであり、理論値の85.0%に対応した。
【0266】
式(GG)の化合物のHCl塩は、9:1のシス:トランス比を有する、シス異性体とそれぞれのトランス異性体との混合物として得られた。
【0267】
(Ex1.h)MIBKおよびn−ブタノールを溶媒混合物として使用する固体抽出での式(GG)の化合物のHCl塩の調製
(Ex1.g)において上記した通りに得られた、9:1(60mmol)のシス:トランス比で式(GGa)
【0268】
【化97】
のシス異性体のHCl塩および式(GGb)
【0269】
【化98】
のトランス異性体のHCl塩を含有する式(GG)の化合物の結晶質HCl塩20.0gを、n−ブタノール(50ml)およびMIBK(50ml)の混合物中に懸濁した。混合物を60℃に加熱し、この温度を2時間の時間の間保持した。引き続き、混合物を室温に冷却した。得られた固体を濾別し、少量のジエチルエーテルで洗浄した。
【0270】
この固体(14.55g、43.9mmol)を、n−ブタノール(36.4ml)およびMIBK(36.4ml)の混合物中に再懸濁した。混合物を60℃に加熱し、この温度を2時間の時間の間保持した。引き続き、混合物を室温に冷却した。得られた固体を濾別し、少量のジエチルエーテルで洗浄した。
【0271】
真空下にて45℃で乾燥させた後、式(GG)の化合物のHCl塩が、無色の結晶質固体として、2つのステップにわたって66%の全収率で得られ、10.75gに対応する。該結晶は、顕微鏡下で、二重にフリンジする(bifringing)のを示した。
【0272】
式(GG)の化合物のHCl塩は、シス異性体のHCl塩およびトランス異性体のHCl塩を、HPLCによって決定された通りの99.2:0.8のシス:トランス比で含有していた。
【0273】
純度およびシス/トランス比の決定のためのHPLC法
【0274】
【表1】
【0275】
式(GG)のこの化合物のX線粉末回折パターン(XRD)は、
図3に示されている。
X線回折図形の記録のための方法
環境条件にて回転モードのZeroバックグラウンドホルダー上で試料を分析した。2−シータ値の通常の精密度は、約±0.2°2−シータの範囲である。このようにして、8.6°2−シータに現れる回折ピークは、標準条件下でほとんどのX線回折計上にて8.4°および8.8°2−シータの間で現れ得る。
【0276】
機器パラメータ
XRD測定条件
機器 X’PERT PRO PANalytical
走査軸 Gonio
開始位置[°2Th.] 3.0
終了位置[°2Th.] 40.0
ステップサイズ[°] 0.0170
走査ステップ時間[s] 100
走査型 連続
アノード材料 Cu
発電機設定 45kV、40mA
回転 する
【0277】
入射ビーム光学
ソーラースリット 0.02ラジアン
発散スリット型 プログラム制御可能スリット(固定0.5°)
抗散乱スリット 固定スリット(1°)
ビームマスク 10mm(MPD/MRD)
【0278】
回折ビーム光学
抗散乱スリット プログラム制御可能スリット(固定0.5°)
ソーラースリット 0.02ラジアン
フィルター ニッケル
検出器 X’celerator
モード 回転
活性経路長さ 2.122°
【0279】
(Ex1.j)式(B)の化合物の合成
上記の(Ex1.h)に従って得られた式(GG)の化合物292.0g(MW:331.75g/mol;0.88mol、d.r.>99:1;1.0当量)のCH
2Cl
2 2.92L中懸濁液を、12±3℃のマス温度で調製した。これに、Et
3N 142.5g(MW:101.19g/mol、195.9mL、1.41mol、1.6当量)を、22±8℃で60分以内にゆっくり添加した。混合物を12±3℃のマス温度に冷却し、DMAP 129.5g(4−ジメチルアミノ−ピリジン;MW:122.17g/mol;1.06mol、1.2当量)を一度に添加した。引き続き、TsCl 185.0g(塩化トシル;MW:190.65g/mol;0.97mol;1.1当量)を少なくとも5回に分けて22±8℃のマス温度で60分以内に添加した。最後の添加によって、マス温度を25±3℃に調節し、桃色の懸濁液の撹拌をさらに3時間25±3℃で続けた。反応混合物を、10%HCl水溶液1.46Lを用いて25±3℃で、続いて9%NaHCO
3水溶液1.46Lを用いて25±3℃で、続いてH
2O 1.46Lを用いて抽出した。有機層を、この元の体積のおよそ20%に25±3℃にて減圧下で濃縮した。濃縮物に、ヘプタン5.83L(25±3℃)を25±3℃で60分以内にゆっくり添加した。生じた懸濁液を2±3℃に冷却し、撹拌を60分間続けた。固体を濾別し、ヘプタン2×1.46L(25±3℃)で洗浄した。DCMの≦0.1%の濃度が達成されるまで、生成物を減圧下にて(<50mバール)40℃で終夜乾燥させた。
【0280】
式(B)の化合物372.8g(0.83mol、「そのままで」94%の収率)が得られた。
【0281】
該生成物は、式(B)の化合物、シス異性体
【0282】
【化99】
およびトランス異性体
【0283】
【化100】
を、99.2:0.8のシス:トランス比で含有していた。
【0284】
実施例2
式(Ia)の化合物の合成
BHT 297mg(ブチルヒドロキシトルエン;M=220.35g/mol;1.35mmol;500ppm)および式(A)
【0285】
【化101】
の化合物727g(MW:269.35g/mol;2.698mol;1.0当量;例えば、EP1230231B1(4頁)の実施例1に従って得ることが可能。)のDMSO 4.7L中溶液を、30±2℃のマス温度で調製した。これに、NaOH 161.9g(MW:40.0g/mol、4.047mol、1.5当量)の無酸素H
2O 161.9g中溶液(30±2℃)を、マス温度を≦32℃に保持した状態で添加した。混合物を10分間30±2℃で撹拌した。次いで、上記の実施例1(Ex1.j)に従って得られた通りの生成物中に含有されている式(B)
【0286】
【化102】
の化合物1335g(12.968mol=1.1当量、MW=449.48g/mol)のDMSO 6.6L中溶液(30±2℃)を、≦32℃のマス温度で10分以内に添加した。反応混合物のpHを60分の反応時間後にチェックし、少なくとも5時間後および8時間後にもチェックした。60分間から90分間30±2℃で撹拌した後、生成物の結晶化が開始した。暗茶色の希薄な懸濁液を10−15時間30±2℃で撹拌した。最低限のかき混ぜ速度で、H
2O 21.8Lの添加を30±2℃で開始し、反応温度が45±5℃に同時に上昇する一定速度で実施した。次いで、残留している水を、温度を45±5℃に保持するための速度で添加した(総添加時間:合計約60分)。引き続き、懸濁液を20±2℃に60分で冷却し、さらに60分間20±2℃で撹拌した。生じた固体を濾別し、冷1%無酸素NaOH水溶液8.5L(5−10℃)、次いで冷無酸素H
2O 2×8.5L(15−10℃)、続いてイソプロパノール2×8.5L(22±3℃)で洗浄した。
【0287】
以下の精製手順の一部である全ての操作は、正の窒素雰囲気下で実施した。
【0288】
アセトニトリル72.7L中の湿った粗生成物(およそ2.44kg)を、還流温度に加熱した。混合物を10−15分間還流した。生じた溶液に、木炭(Ceca Eno)116gを添加し、懸濁液を10分間還流温度で撹拌した。木炭を濾別し、フィルターケーキを熱アセトニトリル11.6Lで洗浄した。撹拌下で、黄色い色の濾液を20±2℃に1時間の間冷却した。結晶化がおよそ60℃で開始した。撹拌下で、結晶懸濁液を0±2℃に30分かけて冷却し、この温度で1時間撹拌した。生じた結晶を濾別し、冷アセトニトリル(≦5℃)6Lで洗浄した。
【0289】
残留水の≦1.4%の濃度が達成されるまで、生成物を≦75℃(好ましい温度70±5℃)にて減圧下で(≦55mバール)乾燥させた。式(Ia)
【0290】
【化103】
の化合物1180g(MW:546.63g/mol;2.18mol、「そのままで」80.0%の収率)が、白色から黄色の結晶質粉末として得られた。
【0291】
実施例3
式(IIIa)の化合物の合成
【0292】
【化104】
【0293】
実施例3.1
Y=フェニルである式(ii)の化合物の合成
a)ニトロソベンゼン1.70kg(MW:107.11;15.9mol;1.0当量)をDCM 6.16L中に、20−25℃にてN
2雰囲気下で撹拌することによって溶解した。
【0294】
b)別の容器中で、2.76kgのプロピオンアルデヒド(MW:58.08;密度:0.798g/mL;47.5mol;3.0当量)およびDCM 5.28Lを、−6℃から−4℃にN
2雰囲気下で冷却した。生じた混合物に、氷酢酸0.057kg(MW:60.05;密度:1.049g/mL;0.95mol;0.06当量)およびD−プロリン0.55kg(MW:115.13;4.75mol;0.3当量)を添加し、微懸濁液が得られた。
【0295】
c)b)のこの懸濁液に、a)において得られたニトロソベンゼン溶液0.4Lを添加した。反応の開始が、懸濁液の変色および+3℃までの温度上昇によって1分以内に示唆された。次いで、a)において得られたニトロソベンゼン溶液の残留ニトロソベンゼン溶液(約7L)を、反応温度を−5℃から−3℃の間に保持する速度で添加した。混合物は徐々に暗色に変わり、添加が完了した時に澄明な液になった。撹拌を次いで10分間続け、完全変換を、HPLCを使用して決定した。Y=フェニルである式(i)の化合物が、エナンチオマー過剰率(ee)>98%として表されたエナンチオマー純度を有する中間体として得られ、すなわちY=フェニルである式(i)のキラル化合物の分子の99%超が、Y=フェニルである式(ia)の異性体として存在していた。エナンチオマー純度は、Brownら、J.Chem.Soc.2003、125(36)、10808−10809に記載されている方法と類似して、ならびにキラルセルOD−Hおよびn−ヘプタン/イソプロパノール/ジエチルアミンを溶出液として使用して決定した。
【0296】
d)引き続き、DCM 8.8L、0.4nmの直径を持つ細孔を有するモレキュラーシーブ3.0kg(4オングストローム;Aldrichから市販されている。)、およびホルミルヒドラジン3.14kg(MW:60.06;52mol;3.3当量)を0−5℃で添加し、温度の上昇をもたらした。撹拌を0−5℃にてN
2雰囲気下で続けた。3時間後、完全変換を、HPLCを使用して決定した。
【0297】
e)得られた固体を濾過し、DCM 4.4Lで洗浄した。溶液をこの元の体積の1/4に、<10℃の浴温で濃縮した。次いで、MTBE 28Lを添加し、生じた溶液をこの元の体積の1/4に、蒸留によって<10℃の浴温で低減した。生じた有機層を次いで、MTBE 7Lで希釈し、20%塩化ナトリウム水溶液28Lで5回抽出した。次いで、水の共沸除去のためにDCM 8.8Lを添加した。生じた溶液を濃縮することで、Y=フェニルである式(ii)の化合物のMTBE中溶液12kgが与えられ、これは、前記化合物2.86kg(MW207.23;80%の収率)を含有していた。
【0298】
f)Y=フェニルである式(ii)の化合物を含有するこの溶液を、さらに精製することなく次のステップ(実施例3.2)で使用した。
【0299】
実施例3.2
Y=フェニルであり、R
aa、R
bbおよびR
cc=メチルならびにR
1=エチルである式(iii)および(iv)の化合物の合成
a)H
2O約2重量%を含有したMTBE中溶液(総重量290g)として用いられた、実施例3.1に従って得られた通りの式(ii)の化合物0.887kg(MW:207.23;4.28mol;1.0当量)を、0.4nmの孔径を持つ細孔を有するモレキュラーシーブ1.54kg(4オングストローム;Aldrichから市販されている。)を用いて、20−25℃で30分間乾燥させた。このようにして、水含有量を0.1重量%未満の値に低減した。次いで、モレキュラーシーブを濾過によって除去し、MTBE 1.7Lで洗浄した。生じた溶液をMTBE 16Lで希釈した。この溶液の水含有量は約0.05%(0.5mol;0.12当量)であった。
【0300】
b)次いで、BSA(ビストリメチルシリルアセトアミド)2.8L(MW:203.43;密度:0.832g/mL;11.5mol;2.7当量)を濾液に添加した。生じた溶液を20−25℃で撹拌した。1時間後、
1H−NMRによって検出した通りシリル化が完了した。Y=フェニルであり、R
aa、R
bbおよびR
cc=メチルである式(iii)の化合物が中間体として得られた。
【0301】
c)次いで、溶液を−70℃から−60℃に冷却し、エチルマグネシウムクロリドのTHF中溶液8.65L(2mol/l;MW:88.82;密度:0.978g/ml;17.3mol;4.0当量)を、反応温度を−70℃から−60℃の間に保持する速度で添加した。この混合物を1時間−60℃で撹拌した。引き続き、温度を−25℃に上昇させ、撹拌を続けた。3時間後、完全変換がHPLCによって検出された。反応物を次いで、MeOH5.5kgの滴下による添加によって−25℃の温度でクエンチした。クエンチ中、混合物を0−15℃まで温まるままにした。
【0302】
d)生じた有機層を次いで20−25℃にて、10%塩化アンモニウム水溶液30Lで2回および20%塩化ナトリウム水溶液30Lで1回抽出した。有機層(20kg)は、Y=フェニルであり、R
1=エチルである式(iv)の化合物およそ0.89kg(MW:237.30;80%の収率)を含有しており、さらに精製することなく次のステップ(実施例3.3)で使用した。
【0303】
実施例3.3
R=Hであり、R
1=エチルである式(III)の化合物、すなわち式(IIIa)の化合物の合成
a)実施例3.2に従って得られ、MTBE中溶液(総重量20kg)として使用される式(iv)の化合物0.89kg(MW:237.30;3.76mol;1.0当量)を、MeOH 1Lを用いて20−25℃で希釈した。
【0304】
b)次いで、炭素担持パラジウム0.9kg(Pd/C;5%Pd;50%水)を添加し、生じた溶液を20−25℃で激しく撹拌した。還元反応をH
2 1atmで実施した。容器を脱気し、1atmのH
2で3回で通気した。1.5時間にわたるH
2雰囲気下での撹拌後、完全変換がHPLCによって検出された。次いで、懸濁液を濾過し、触媒をMTBE/MeOH(1/1v/v)1.8Lで洗浄した。合わせた濾液を黄色い油に濃縮することで、式(IIIa)の化合物約40%(約0.55kg)を含有する式(IIIa)の粗化合物が生じた。
【0305】
c)この油を、MTBE 13.9Lを用いて20−25℃で希釈し、生じた溶液を播種した。1時間にわたる20−25℃での撹拌後、微懸濁液が得られた。次いで、CHX(シクロヘキサン)17L添加し、混合物を0℃に冷却し、0℃で3時間撹拌した結果、式(IIIa)の化合物の濃厚な懸濁液が生じた。このようにして得られた結晶を回収し、MTBEおよびCHX(1/1v/v)の冷(0℃)混合物2.2Lで洗浄することで、乾燥後に式(IIIa)の化合物0.44kgを与えた(MW146.19;80%の収率;式(ii)の化合物について64%の収率)。式(IIIa)のキラル化合物の分子の99%超が、式(IIIb)に従った異性体として得られた。
【0306】
この黄色い色の材料10.4gを酢酸イソプロピル50mLに添加し、溶液が得られるまで、生じた混合物を85℃から89℃の温度に加熱した。活性炭0.5gを黄色い溶液に添加し、数分間撹拌した後、熱混合物を濾過し、撹拌下で約5℃に冷却するままにした。2時間から3時間撹拌した後、沈殿生成物を濾過し、酢酸イソプロピル5mLで洗浄し、室温にて真空下で終夜乾燥させることで、生成物8.54gをオフホワイト固体として(融点78℃から80℃)、すなわち式(IIIa)の化合物を与え、ここで、前記化合物の分子の99%超は、式(IIIb)に従った異性体として得られた。
【0307】
このステップc)で使用される種結晶の調製
上記のステップb)において得られた粗製油100gを、800gのシリカゲル60(0.063−0.200mm、Merck)を固定相として、およびDCM/メタノール=20/1を移動相として使用するカラムクロマトグラフィーによって精製した。TLC(Merck、シリカゲル60 F
254、移動相CHX/酢酸エチル=1/1)によって決定された通り純粋な形態における所望の生成物を含有する画分を回収した。溶媒の蒸発後、得られた固体をジエチルエーテルから再結晶させた。生じた結晶を回収し、乾燥(20℃、<100mバール)後に種結晶として使用した。
【0308】
d)IRスペクトルおよびX線回折図形は、
図1および2に示されている。
【0309】
実験データが以下の通りに得られた。
【0310】
c)において得られた通りの式(IIIa)の化合物のエナンチオマー純度は、HPLCによって以下の通りに測定した。
【0311】
クロマトグラフィー
HPLC装置:Agilent 1200
カラム:Waters XBridge C18、2.5μm、50×4.6mm(製品番号186003090)
系:勾配
溶出液A:緩衝溶液pH7.0
溶出液B:緩衝溶液pH7.0/アセトニトリル=2/8(v/v)
流量:1.8mL/min
炉温度:40℃
注入体積:10μL(マイクロリットル)
停止時間:20分
検出:λ(ラムダ)=260nm
勾配:
【0312】
【表2】
【0313】
緩衝溶液pH7.0を以下の処方に従って調製:トリエチルアミン7.0mLを水900mL中に溶解し、pHを7.0にH
3PO
4で調節し、1000mLに水で希釈する。
試薬溶液を以下の処方に従って調製:(S)−(−)−α−メチルベンジルイソシアネート80mgから90mgをアセトニトリルに溶解し、1.0mLにアセトニトリルで希釈する。
【0314】
試料調製
a)試験原液を以下の処方に従って調製
0.01mgまで正確に秤量した、試験するための該物質38mgから42mgを、アセトニトリル1.0mL中に溶解する。
b)試験溶液を以下の処方に従って調製
HPLCバイアル中で、試験原液100μL(マイクロリットル)および試薬溶液100μL(マイクロリットル)を混合する。室温で(20℃から25℃)30分間保持し、緩衝溶液800μL(マイクロリットル)pH7.0を添加し、よく振盪する。次いで溶液を氷浴(0℃)上で追加の30分間冷却し(試薬の沈殿)、試料を0.2μm(マイクロメータ)に通して直接別のHPLCバイアル中に濾過する。
【0315】
赤外スペクトル(IR)データを、環境条件で4cm
−1分解能のBruker Tensor 27 FTIR分光計を用いるMKII Golden Gate(商標)Single Reflection Diamond ATR(減衰全反射)セル上に回収した。スペクトルを回収するため、先端量の試料を、粉末形態におけるダイヤモンドの表面上に塗布した。次いで試料をダイヤモンド上にサファイアアンビルで押し付け、スペクトルを記録した。無傷のダイヤモンドのスペクトルをバックグラウンドスペクトルとして使用した。波数値の通常の精密度は、約±2cm
−1の範囲である。このようにして、1716cm
−1で現れる赤外ピークは、標準条件下において最も多くの赤外分光計上にて1714cm
−1から1718cm
−1の間で現れ得る。
【0316】
X線データ(粉末回折パターンXRPD、X線回折パターンXRD、X線回折図形)を、以下の獲得条件を使用して、平行ビーム光学系中にて位置敏感型検出器で、Unisantis XMD 300X線粉末回折装置上に回収した。チューブアノード:Cu、40kV、0.8mA;3−43°シータ/2シータ;検出器分解能1024を用いて1ステップ当たり10°の領域の同時検出、1ステップ当たりのカウント時間300秒。試料を回転試料スピナー上の標準試料ホルダー中にて室温で測定した。2−シータ値の通常の精密度は、±約0.2°2−シータの範囲である。このようにして、5.0°2−シータで現れる回折ピークは、標準条件下において最も多くのX線回折計上にて4.8°から5.2°2−シータの間で現れ得る。
【0317】
実施例3.1、c)およびd)、実施例3.2)、c)ならびに実施例3.3、b)に記述されている通りの変換の完了の決定のためのHPLCは、以下の通りに行った。
【0318】
カラム:Zorbax Eclipse XDB−C18、150
*4.6mm、5μm(マイクロメータ)。
系:勾配
緩衝液:2.10gのKH
2PO
4+4.28gのK
2HPO
4/2.0LのH
2O、85%H
3PO
4でpH6.5に調整
移動相A:20mMリン酸緩衝液pH6.5/アセトニトリル、85/15、v/v
移動相B:20mMリン酸緩衝液pH6.5/アセトニトリル、50/50、v/v
溶媒:H
2O/アセトニトリル=50/50 v/v
流量:1.5mL/min
炉温度:60℃
注入体積:5−20μL(マイクロリットル)
停止時間:30分
検出:λ(ラムダ)=210nm(Agilent 1200検出器)
オートサンプラー:5℃
勾配:
【0319】
【表3】
【0320】
試料調製
実施例3.1)、c)におけるHPLCのための試料溶液を以下の処方に従って調製した:反応混合物およそ100μL(マイクロリットル)をイソプロパノール0.2mL中に溶解し、NaBH
4およそ50mgを添加し、10分間25℃でかき混ぜる。酢酸エチル0.2mLおよび5%KH
2PO
4緩衝液0.5mL(pH7.0)で抽出する。生じた有機層50μL(マイクロリットル)を10mL容量フラスコ中で希釈し、溶媒を印まで充填する。試料重量を機器要求事項に従って調節する。
【0321】
実施例3.1)、d)、実施例3.2)、c)および実施例3.3)、b)用のHPLCのための試料溶液を以下の処方に従って調製した:反応混合物およそ100μLをアセトニトリル2mL中に20mL容量フラスコ中で溶解し、溶媒を印まで充填する。試料重量を機器要求事項に従って調節する。
【0322】
実施例4
式(IVb)の化合物の合成
【0323】
【化105】
【0324】
32.63gカルボニルジイミダゾール(式(IIc)の化合物、1.1当量、201.2mmol、Sinochem Jiangsu #090506)を、窒素雰囲気下で1300mLのDCM中に、2.0LのSchmizo反応器内で溶解し、−10℃に持続的撹拌下で冷却した。
【0325】
その後、実施例2に従って得られた式(Ia)の化合物100.0g(1当量、182.9mmol)を添加し、追加の300mLのDCMで濯いだ。反応混合物を−10℃で2時間撹拌した。
【0326】
引き続き、実施例3において得られた通りの式(IIIa)の化合物30.76g(1.1当量、201.23mmol)を添加し、300mLのDCMで濯いだ。反応混合物を30℃に温め、その後、3時間この温度で撹拌した。
【0327】
その後、反応混合物を25℃に冷却し、混合物をこの温度で4時間撹拌した。結晶化が2.5時間後に生じた。懸濁液を次いで、0℃に冷却し、追加の15時間この温度で撹拌した。真空濾過(時間:約15分)を介して固体を単離し、その後、フィルターケーキをそれぞれ氷冷DCM 100mLで2回洗浄した。フィルターケーキを乾燥させ(20−25℃、<50mバール)、その後、式(IVb)の化合物129.2gを、イミダゾールおよびDCM(MED)との1/1/1結晶物(crystallisate)として単離した(下に記載されている通りHPLCによって決定された、イミダゾールを除外する式(IVb)の化合物の>98.5面積%、収率:81.5%)。イミダゾールおよびDCM(MED)に対する式(IVb)の化合物の比は、NMRを介して検出した。
【0328】
式(IVb)の化合物の分子の少なくとも99%が、式(IVd)
【0329】
【化106】
の異性体として得られた。
【0330】
式(IVb)の得られた化合物のIRスペクトルおよびX線回折図形は、
図4および5に示されている。
【0331】
赤外スペクトル(IR)データおよびX線データ(粉末回折パターンXRPD)を、実施例3に記載されている通りの方法に従って決定した。
【0332】
実施例4において得られた通りの式(IVb)の得られた化合物の
1H−NMRおよび
13C−NMRスペクトルを回収した。以下の結果が得られた。
【0333】
1H−NMR(CDCl
3、300mHz):
デルタ(ppm)=0.93−1.02(m、3H)、1.26(m、3H)、1.45(m、1H)、2.06(m、2H)、3.22(m、8H)、3.52−3.80(m、4H)、4.11(m、1H)、4.52(d、J=16Hz、1H)、4.64(d、J=16Hz、1H)、5.30(s、DCM(MED))、6.74−6.93(m、8H)、7.09(s、2H)、7.29−7.39(m、3H)、7.67(s、1H)、7.79(s、1H)、8.14(s、1H)、8.22(b、1.5H)、9.53(b、0.5H)の回転異性体。
【0334】
13C−NMR(CDCl
3、75mHz):
デルタ(ppm)=10.9、19.7、21.5、37.4、38.8、49.9、50.6、55.9、67.2、68.9、70.7、84.0、104.6(t)、111.4(q)、115.0、116.9、118.3、122.0、125.4(q)、128.5(q)、130.5、131.1、144.5、145.8、148.8、149.0、151.0、152.8、156.4、157.4(t)、160.7(q)、164.3、164.5。
【0335】
式(IVb)の得られた化合物の純度決定のためのHPLC法
カラム:Zorbax Eclipse XDE−C18、Rapid Res.、4.6×50mm、1.8μm、
流量:1.5mL/min
波長:210nm
オートサンプラー:5℃
炉温度:55℃
溶出液A:20mMリン酸緩衝液pH6.5/アセトニトリル85/14(v/v)
溶出液B:20mMリン酸緩衝液pH6.5/アセトニトリル25/75(v/v)
勾配:0分/29%B、10分/55%B、12分/100%B、15分/100%B、15.1分/29B、17分停止
【0336】
試料調製
試料(7−10mg)をアセトニトリルおよび水混合物の1/1混合物中に溶解し、ゆっくりとした希釈の場合、超音波浴を使用することで、完全な希釈を獲得した。
【0337】
実施例5
式(Vb)の化合物の合成
【0338】
【化107】
【0339】
上記の実施例4に従って得られた通りの式(IVb)の化合物50.0g(1当量、57.39mmol)を、1600mLの酢酸イソプロピル中に溶解した。懸濁液に、18.66gのイミダゾール(出発原料中に含有されていたイミダゾールとの合計で5.8当量、332.8mmol)および20.83gのBSA(1.78当量、102.4mmol、25.0mL)を添加し、澄明な液が生じるまで混合物を45分間撹拌した。
【0340】
その後、2.56gのTMSI(0.22当量、12.78mmol)を含有するDCM中のTMSI溶液4.30gを添加し、反応混合物を加熱還流し(89℃)、式(IVb)の化合物の完全変換が観察されるまで、この温度で19時間撹拌した。
【0341】
反応混合物を滴下により50−60℃の間の温度で500mLの10%HClに添加した。水性相を分離し、750mLのDCMを添加した。その後、混合物のpHを1.02に、20%NaOH溶液約225mLの添加によって調節した。有機相を分離し、500mLの0.1M HClで洗浄し、続いて、330mLの5%重炭酸ナトリウム溶液で洗浄した。その後、有機溶媒を減圧下で除去し(40℃、600−20mバール)、式(Vb)の化合物50.71gを白色の固体としてもたらした。固体をアセトン中に溶解し、その後、325mLの水を添加した。溶液に、10gの木炭(Ceca Eno)を添加し、混合物を30分間撹拌した。その後、濾過を介して木炭を除去し、フィルターケーキをアセトン/水(5/1)の混合物300mLで洗浄し、軽度に黄色い溶液をもたらした。溶液を27℃に温め、1000mLの水を添加した。
【0342】
引き続いて、40mgの播種結晶(上記の方法に従って得られ、続いて、クロマトグラフィーにより精製。)を添加し、混合物を60分間撹拌し、白色のスラリーをもたらした。追加の500mLの水を添加し、混合物を30℃で30分間撹拌し、15℃に冷却し、この温度で120分間撹拌した。その後、濾過(G3、d=12cm)を介して白色の固体を分離し、フィルターケーキをアセトン/水(1/2)の混合物375mLで洗浄した。単離した固体を真空下(<45mバール)にて40℃で16時間乾燥させ、式(Vb)の化合物32.57g(46.48mmol、81.0%、含有量98.9%)をもたらした。
【0343】
式(Vb)の化合物の分子の少なくとも99%が、式(Vd)
【0344】
【化108】
の異性体として得られた。
【0345】
Vd対Vbの比の決定のためのHPLC法
カラム:Daicel CHIRALCEL OD、250×4.6mm
系:均一溶媒
溶出液:ヘキサン/エタノール/ジエチルアミン=30/70/0.2(v/v/v)
流量:1.0mL/min
炉温度:39℃
注入体積:15μL
停止時間:20分
検出:λ(ラムダ)=260nm(Agilent 1100検出器)
オートサンプラー:39℃
【0346】
溶液を以下の処方に従って調製
0.01mgまで正確に秤量した、試験するための該物質24mgから27mgを、25−mLの容量フラスコ中の溶媒中に溶解する。標線まで溶媒を充填し、よく振盪する。
【0347】
実施例6
式(Vb)の化合物の多形形態IVの調製
実施例5において得られた生成物を、WO2010/000668において詳細に記載されている多形形態IVに転換した。
【0348】
実施例5において得られた通りの式(Vb)の化合物10.0gを110mlのアセトンに添加し、混合物を加熱還流した。水33mlを熱懸濁液に添加し、澄明な液が直ちに得られた。熱溶液を濾過し、約45分以内で20℃に冷却するままにした。冷蔵庫内にて約5℃で17時間静置した後、沈殿生成物を濾過し、真空下で乾燥させることで、白色の針状晶8.6gを与えた。前記生成物を、水160mlおよびメタノール40mlの混合物中に懸濁した。種結晶形態IV 0.9gを添加した。前記種結晶を、この開示内容、ならびにそこに引用されている特許文献US6,958,337を参照により本明細書に組み込むWO2010/000668A1、実施例2、23頁、16行目から25行目に記載されている通りに調製した。懸濁液を40℃に加熱し、多形形態IVの変換が完了するまで撹拌した。白色の懸濁液を次いで約10℃に冷却し、固体を濾過によって回収した。水20mlで洗浄した後、生成物を室温にて真空下で乾燥させることで、式(Vb)の化合物9g、多形形態IVが、白色の粉末として生じた。
【0349】
引用文献の一覧
−WO96/33178
−WO93/09114
−WO95/17407
−WO2006/007540
−Huangら、Organic Letters 2004、6(25)4795−4798
−M.Hepperleら、Tetrahedron Lett.2002、43、3359−3363
−US6,355,801B1
−EP1230231B1
−US5,403,937
−EP0736030A1
−WO2010/000668
−Remington’s Pharmaceutical Sciences、第15版、Mack Publishing Co.、New Jersey(1991)
−WO96/38443
−WO02/80678
−WO2005/117831
−WO99/18097
−US5,972,381
−US5,834,472
−US4,957,730
−Greeneら、「Protective Groups in Organic Synthesis」、第3版、Wiley−Interscience(1999)
−Brownら、J.Chem.Soc.2003、125(36)、10808−10809
−US6,958,337