(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、ゲムシタビン、ドキソルビシン、エピルビシン、シクロホスファミド、カペシタビン、5−フルオロウラシル、ビノレルビン、トラスツズマブまたはベバシズマブからなる群より選択される抗癌剤をさらに含有する、請求項1に記載の組成物。
前記癌が、膀胱癌、乳癌、結腸癌、直腸癌、子宮内膜癌、腎臓癌、白血病、肺癌、黒色腫、非ホジキンリンパ腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、甲状腺癌および脳癌からなる群より選択される、請求項5から8のいずれか一項に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の好ましい実施形態を本明細書で示し、記載するが、このような実施形態がほんの一例として提供されていることは、当業者にとって明らかであろう。今や、当業者であれば、本発明から逸脱することなく、多数の変形、変更および置換を想到するであろう。本発明の実施において、本明細書に記載される本発明の実施形態の種々の代替手段が使用され得ることが理解されるべきである。以下の特許請求の範囲は本発明の範囲を規定し、これらの特許請求の範囲の範囲内の方法および構造物ならびにそれらの等価物がそれによって包含されることを意図する。
【0019】
癌の処置に有効な治療法を開発および提供することの継続的必要性がある。抗癌活性を有する組成物が、本明細書に記載される。本明細書に記載される組成物は、イソフラボノイド誘導体(置換ジアリールクロマン誘導体)を含有する。癌細胞においてアポトーシスを誘導する方法、癌治療を必要とする個体において癌を処置する方法、ならびに化学療法剤および/または放射線療法に対する癌細胞の感受性を増加させる(または、特定の化学療法に対して個体を感受性にする)方法もまた、本明細書において提供される。
【0020】
特定の定義
特に断りのない限りは、本明細書で使用される専門用語は、当業者によって理解されるようなその通常の意味が与えられるべきである。
【0021】
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、単独でまたは組み合わせて、1〜約10個の炭素原子、より好ましくは1〜6個の炭素原子を有する、場合により置換された直鎖または場合により置換された分岐鎖の飽和炭化水素の一価の基を指す。例としては、以下に限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、2−メチル−1−プロピル、2−メチル−2−プロピル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−3−ブチル、2,2−ジメチル−1−プロピル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−アミールおよびヘキシル、ならびにより長いアルキル基(例えば、ヘプチル、オクチルなど)が挙げられる。この用語が本明細書で登場するあらゆる場合において、「C
1−C
6アルキル」または「C
1−6アルキル」などの数の範囲は、アルキル基が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子、4個の炭素原子、5個の炭素原子または6個の炭素原子からなっていてもよいことを意味するが、本定義は、数の範囲が指定されていない「アルキル」という用語の存在も包含する。
【0022】
本明細書で使用される「C
1−C
3−アルキル」および「C
1−C
6−アルキル」という用語は、1個の水素原子が除去されることによって、1〜3個、1〜6個、および1〜12個の炭素原子を含有する炭化水素部分にそれぞれ由来する直鎖または分岐鎖の飽和炭化水素基を指す。C
1−C
3−アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピルおよびイソプロピルが挙げられる。C
1−C
6−アルキル基の例としては、以下に限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチルおよびn−ヘキシルが挙げられる。
【0023】
本明細書で使用される「シクロアルキル」という用語は、1個の水素原子が除去されることによって、3〜20個の炭素原子を含有する単環式または二環式の飽和炭素環化合物に由来する一価の基を指す。
【0024】
「C
3−C
6−シクロアルキル」という用語は、1個の水素原子が除去されることによって、単環式または二環式の飽和炭素環化合物に由来する一価の基を意味する。例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルが挙げられる。
【0025】
アルキル基またはシクロアルキル基は、場合により、1個またはそれ以上のフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、カルボキシル、C
1−4アルコキシカルボニル、C
1−4アルキルアミノカルボニル、ジ−(C
1−4アルキル)−アミノカルボニル、ヒドロキシル、C
1−4アルコキシ、ホルミルオキシ、C
1−4アルキルカルボニルオキシ、C
1−4アルキルチオ、C
3−6シクロアルキルまたはフェニルで置換されていてもよい。
【0026】
本明細書で使用される「アルコキシ」という用語は、単独でまたは組み合わせて、アルキルエーテル基、すなわち−O−アルキル、例えば−O−脂肪族基および−O−炭素環式基を指し、アルキル基、脂肪族基および炭素環式基は、場合により置換されていてもよく、アルキル基、脂肪族基および炭素環式という用語は、本明細書で定義した通りである。アルコキシ基の非限定的な例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシなどが挙げられる。
【0027】
本明細書で使用される「C
1−C
3−アルコキシ」、「C
1−C
6−アルコキシ」という用語は、酸素原子を介して親の分子部分に結合している、先に定義したC
1−C
3−アルキル基およびC
1−C
6−アルキル基を指す。C
1−C
6−アルコキシ基の例としては、以下に限定されないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、ネオペントキシおよびn−ヘキソキシが挙げられる。
【0028】
本明細書で使用される「ハロ」および「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選択される原子を指す。
【0029】
「ハロアルキル」という用語は、1個またはそれ以上(例えば、1個、2個、3個、4個または5個)の水素がハロ原子で置換された「アルキル」を包含する。ハロアルキルは、直鎖または分岐鎖の「アルキル」単位であり得る。非限定的な例としては、−CH
2F、−CHF
2、−CF
3、−CH
2CH
2F、−CH
2CHF
2、−CH
2CF
3、−CF
2CH
2F、−CF
2CHF
2、−CF
2CF
3、−CH
2Cl、−CHCl
2、−CCl
3、−CH
2Br、−CHBr
2および−CBr
3が挙げられる。
【0030】
「フルオロアルキル」という用語は、1個またはそれ以上(例えば、1個、2個、3個、4個または5個)の水素がフルオロで置換された「アルキル」を包含する。フルオロアルキルは、直鎖または分岐鎖の「アルキル」単位であり得る。好ましいフルオロアルキル基としては、トリフルオロメチルおよびペンタフルオロエチルが挙げられる。
【0031】
本明細書で使用される「製薬学的に許容し得る」という用語は、化合物の生物学的活性または生物学的特性を無効化せず、比較的非毒性である物質(例えば、以下に限定されないが、塩担体または希釈剤)を指し、すなわち、この物質は、望ましくない生物学的効果を引き起こさず、またはそれが含有される組成物の成分のいずれかと有害な方法で相互作用せずに、個体に投与され得る。
【0032】
「製薬学的に許容し得る塩」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを伴わずにヒトおよび下等動物の組織に接触させて使用するのに適切であり、合理的なリスク対効果比に見合った塩を指す。例えば、S.M.Bergeらは、J.Pharmaceutical Sciences、66:1−19(1977)(これは、本目的のために参照により本明細書に組み込まれる)において製薬学的に許容し得る塩を詳細に説明している。当該塩は、本明細書に記載される化合物の最終的な分離および精製中にin situで調製されるか、または遊離の塩基性官能基を適切な有機酸と反応させることによって別々に調製される。製薬学的に許容し得る非毒性の酸付加塩の例としては、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸を用いて、もしくは有機酸、例えば酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸およびマロン酸を用いて形成されるアミノ基の塩、またはその他の文書化されている手順、例えばイオン交換を使用することによって形成されるアミノ基の塩が挙げられる。その他の製薬学的に許容し得る塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロオキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。代表的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。さらなる製薬学的に許容し得る塩としては、適切であれば、カウンターイオン、例えばハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩およびアリールスルホン酸塩を使用して形成される非毒性のアンモニウム、第四級アンモニウムならびにアミンの陽イオンが挙げられる。
【0033】
塩への言及は、その溶媒付加形態または結晶形態、特に溶媒和物、または多形体を包含することが理解されるべきである。溶媒和物は、化学量論量または非化学量論量の溶媒を含有し、製薬学的に許容し得る溶媒、例えば水、エタノールとの結晶化の過程中に形成されることが多い。水和物は、溶媒が水である場合に形成され、アルコラートは、溶媒がアルコールである場合に形成される。多形体としては、結晶充填配置が異なる同じ元素組成の化合物が挙げられる。多形体は、通常、異なるX線回折パターン、赤外スペクトル、融点、密度、硬度、結晶形状、光学特性および電気特性、安定性、ならびに可溶性を有する。種々の要因、例えば再結晶溶媒、結晶化速度および保存温度により、大半を単結晶形態にし得る。
【0034】
本明細書で使用される「シクロデキストリン」という用語は、環型の少なくとも6〜8個の糖分子からなる環式炭水化物を指す。環の外側部分は、水溶性基を含有し、環の中心は、小分子を収容できる比較的非極性の空洞である。
【0035】
本明細書で使用される「有効量」という用語は、処置されている疾患もしくは状態の症状の1つまたはそれ以上をある程度軽減するであろう、投与されている薬剤または化合物の十分な量を指す。結果は、疾患の兆候、症状もしくは原因の低減および/もしくは緩和、または生体系の任意のその他の望ましい変化であり得る。個々の症例における適切な「有効」量は、用量漸増試験などの技術を使用して決定され得る。
【0036】
「患者」、「被験者」または「個体」という用語は、互換的に使用される。本明細書で使用される場合、これらの用語は、障害を患う個体などを指し、哺乳動物および非哺乳動物を包含する。これらの用語はいずれも、個体が医療専門家の保護下および/または監督下にあることを必要としない。哺乳動物は、哺乳動物綱のメンバー、例えば以下に限定されないが、ヒト、非ヒト霊長類、例えばチンパンジーならびにその他の類人猿およびサル種;家畜、例えばウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ;家庭動物、例えばウサギ、イヌおよびネコ;実験動物、例えばげっ歯類、例えばラット、マウスおよびモルモットなどである。非哺乳動物の例としては、以下に限定されないが、鳥類、魚類などが挙げられる。本明細書において提供される方法および組成物の幾つかの実施形態において、個体は、哺乳動物である。好ましい実施形態において、個体はヒトである。
【0037】
本明細書で使用される「処置する(treat)」、「処置している(treating)」または「処置(treatment)」という用語は、疾患もしくは状態またはそれらの症状の1つもしくはそれ以上を軽減、緩和または改善すること、さらなる症状を予防すること、症状の根本的な代謝の原因を改善または予防すること、疾患または状態を抑制すること(例えば、疾患または状態の進行を止めること)、疾患または状態を軽減すること、疾患または状態の後退を引き起こすこと、疾患または状態によって引き起こされる状態を軽減すること、あるいは疾患または状態の症状を止めることを包含し、予防を包含することを意図する。これらの用語は、治療効果および/または予防効果を達成することをさらに包含する。治療効果は、処置されている基礎疾患の根絶または改善を意味する。また、治療効果は、個体が依然として基礎疾患で悩んでいるものの、個体において改善が観察されるような、基礎疾患に関連する生理学的症状の1つもしくはそれ以上の根絶または改善によって達成される。予防効果については、組成物は、たとえこの疾患の診断がなされていないとしても、特定の疾患を発症するリスクがある個体に投与されるか、または疾患の生理学的症状の1つまたはそれ以上を訴えている個体に投与される。
【0038】
「予防している(preventing)」または「予防(prevention)」という用語は、疾患または障害に罹患するリスクの減少(すなわち、疾患に対して暴露され得るかまたは易罹患性であり得るが、未だに疾患の症状を経験していないかまたは示していない被験者において、疾患の臨床症状の少なくとも1つが発症しないようにすること)を指す。
【0039】
本明細書で使用される「担体」という用語は、細胞または組織への化合物の取り込みを容易にする比較的非毒性の化合物または薬剤を指す。
【0040】
化合物
本発明の幾つかの実施形態において、一般式Iの化合物(すなわち、イソフラボノイド誘導体)またはその製薬学的に許容し得る塩を含有する医薬組成物が記載される。
【化4】
(式中、
R
1は、水素、ヒドロキシ、ハロ、NR
14R
15、C
3−6シクロアルキル、C
1−6アルコキシ、C
1−6ハロアルキル、C
2−6アルケニル、COOR
12、COR
13、(O)
nC
1−4アルキレンNR
14R
15、または場合により1個またはそれ以上のヒドロキシ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基もしくはNR
14R
15基で置換されたC
1−6アルキルであり、
R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
9およびR
10は、独立して、水素、ヒドロキシ、ハロ、NR
14R
15、C
3−6シクロアルキル、C
1−6アルコキシ、C
1−6ハロアルキル、C
2−6アルケニル、COOR
12、COR
13、または場合により1個またはそれ以上のヒドロキシ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基もしくはNR
14R
15基で置換されたC
1−6アルキルであり、
R
7は、水素、ヒドロキシ、ハロ、NR
14R
15、C
3−6シクロアルキル、C
1−6アルコキシ、C
2−6アルケニル、C
1−6ハロアルキル、または場合により1個またはそれ以上のヒドロキシ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基もしくはNR
14R
15基で置換されたC
1−6アルキルであり、
図
−−−およびR
2は共に、二重結合を表すか、または
−−−は、単結合を表し、R
11は、水素、ヒドロキシ、NR
14R
15、C
1−3アルコキシ、C
1−3フルオロアルキル、ハロ、または場合により1個またはそれ以上のヒドロキシ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基もしくはNR
14R
15基で置換されたC
1−3アルキルであり、
R
11およびR
12は、独立して、水素、C
1−6アルキル、C
3−6シクロアルキルまたはトリアルキルシリルであり;
R
13は、水素、C
1−6アルキル、C
3−6シクロアルキルまたはNR
14R
15であり、
nは、0または1を表し、ならびに
R
14およびR
15は、独立して、水素もしくはC
1−6アルキルを表すか、またはNR
14R
15は、一緒になった場合、5員もしくは6員の複素環式芳香族もしくは複素環を表す。)
【0041】
幾つかの実施形態において、医薬組成物は、式IIの化合物(すなわち、イソフラボノイド誘導体)またはその製薬学的に許容し得る塩を含有する。
【化5】
(R
1は、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルキルまたはハロであり、
R
2は、ヒドロキシまたはアルコキシであり、
R
3は、アルキル、ハロまたはハロアルキルであり、
R
4、R
5およびR
6は、独立して、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロ、ハロアルキルまたはアルキルであり、ならびに
R
7は、アルキルまたは水素である。)
【0042】
本明細書において提供される幾つかの実施形態において、式(II−a)または(II−b)の構造を有する式IIの化合物が記載される。
【化6】
【0043】
幾つかの実施形態において、R
1は、ヒドロキシである。その他の実施形態において、R
1は、C
1−C
6アルコキシである。さらなるまたは追加の実施形態において、R
1は、C
1−C
3アルコキシである。その他の実施形態において、R
1は、C
1−C
2アルコキシである。具体的な実施形態において、R
1は、メトキシである。具体的な実施形態において、R
1は、エトキシである。具体的な実施形態において、R
1は、プロポキシである。具体的な実施形態において、R
1は、イソ−プロポキシである。具体的な実施形態において、R
1は、ブトキシである。具体的な実施形態において、R
1は、イソ−ブトキシである。具体的な実施形態において、R
1は、sec−ブトキシである。具体的な実施形態において、R
1は、tert−ブトキシである。具体的な実施形態において、R
1は、ペンチルオキシである。具体的な実施形態において、R
1は、ヘキシルオキシである。さらなるまたは別の実施形態において、R
1は、フルオロである。その他の実施形態において、R
1は、クロロである。その他の実施形態において、R
1は、ヨードである。その他の実施形態において、R
1は、ブロモである。その他の実施形態において、R
1は、ハロアルキルである。その他の実施形態において、R
1は、ハロC
1−6アルキルである。その他の実施形態において、R
1は、ハロC
1−3アルキルである。その他の実施形態において、R
1は、ハロC
1−2アルキルである。具体的な実施形態において、R
1は、モノフルオロメチルである。具体的な実施形態において、R
1は、ジフルオロメチルである。具体的な実施形態において、R
1は、トリフルオロメチルである。
【0044】
さらなるまたは追加の実施形態において、R
2は、ヒドロキシである。幾つかの実施形態において、R
2は、C
1−C
6アルコキシである。さらなるまたは追加の実施形態において、R
2は、C
1−C
3アルコキシである。さらなるまたは追加の実施形態において、R
2は、C
1−C
2アルコキシである。具体的な実施形態において、R
2は、メトキシである。具体的な実施形態において、R
2は、エトキシである。具体的な実施形態において、R
2は、プロポキシである。具体的な実施形態において、R
2は、イソ−プロポキシである。具体的な実施形態において、R
2は、ブトキシである。具体的な実施形態において、R
2は、イソ−ブトキシである。具体的な実施形態において、R
2は、sec−ブトキシである。具体的な実施形態において、R
2は、tert−ブトキシである。具体的な実施形態において、R
2は、ペンチルオキシである。具体的な実施形態において、R
2は、ヘキシルオキシである。
【0045】
幾つかの実施形態において、一般式(II)の化合物は、以下に示されるように配置された置換基R
1、R
3およびR
4を有する。
【化7】
【0046】
さらなるまたは追加の実施形態において、R
3は、C
1−C
6アルキルである。その他の実施形態において、R
3は、C
1−C
3アルキルである。その他の実施形態において、R
3は、C
1−C
2アルキルである。具体的な実施形態において、R
3は、メチルである。具体的な実施形態において、R
3は、エチルである。具体的な実施形態において、R
3は、プロピルである。具体的な実施形態において、R
3は、イソ−プロピルである。具体的な実施形態において、R
3は、ブチルである。具体的な実施形態において、R
3は、イソ−ブチルである。具体的な実施形態において、R
3は、sec−ブチルである。具体的な実施形態において、R
3は、tert−ブチルである。具体的な実施形態において、R
3は、ペンチルである。具体的な実施形態において、R
3は、ヘキシルである。さらなるまたは別の実施形態において、R
3は、フルオロである。その他の実施形態において、R
3は、クロロである。その他の実施形態において、R
3は、ヨードである。その他の実施形態において、R
3は、ブロモである。その他の実施形態において、R
3は、ハロアルキルである。その他の実施形態において、R
3は、ハロC
1−6アルキルである。その他の実施形態において、R
3は、ハロC
1−3アルキルである。その他の実施形態において、R
3は、ハロC
1−2アルキルである。具体的な実施形態において、R
3は、モノフルオロメチルである。具体的な実施形態において、R
3は、ジフルオロメチルである。具体的な実施形態において、R
3は、トリフルオロメチルである。
【0047】
さらなるまたは追加の実施形態において、R
4は、水素である。さらなるまたは別の実施形態において、R
4は、ハロである。具体的な実施形態において、R
4は、フルオロである。その他の実施形態において、R
4は、ハロアルキルである。その他の実施形態において、R
4は、ハロC
1−6アルキルである。その他の実施形態において、R
4は、ハロC
1−3アルキルである。その他の実施形態において、R
4は、ハロC
1−2アルキルである。具体的な実施形態において、R
4は、モノフルオロメチルである。具体的な実施形態において、R
4は、ジフルオロメチルである。具体的な実施形態において、R
4は、トリフルオロメチルである。さらなるまたは別の実施形態において、R
4は、C
1−C
6アルキルである。その他の実施形態において、R
4は、C
1−C
3アルキルである。その他の実施形態において、R
4は、C
1−C
2アルキルである。具体的な実施形態において、R
4は、メチルである。具体的な実施形態において、R
4は、エチルである。具体的な実施形態において、R
4は、プロピルである。具体的な実施形態において、R
4は、イソ−プロピルである。
【0048】
本明細書において提供される幾つかの実施形態において、式II(式中、R
5およびR
6は、水素である)の化合物が記載される。具体的な実施形態において、R
5は、水素である。その他の具体的な実施形態において、R
6は、水素である。
【0049】
その他の実施形態において、R
5は、アルキルである。その他の実施形態において、R
5は、C
1−C
6アルキルである。その他の実施形態において、R
5は、C
1−C
3アルキルである。その他の実施形態において、R
5は、C
1−C
2アルキルである。具体的な実施形態において、R
5は、メチルである。具体的な実施形態において、R
5は、エチルである。具体的な実施形態において、R
5は、プロピルである。具体的な実施形態において、R
5は、イソ−プロピルである。その他の実施形態において、R
5は、ハロである。その他の実施形態において、R
5は、フルオロである。その他の実施形態において、R
5は、ブロモである。その他の実施形態において、R
5は、クロロである。その他の実施形態において、R
5は、ヨードである。その他の実施形態において、R
5は、ハロアルキルである。その他の実施形態において、R
5は、ハロC
1−6アルキルである。その他の実施形態において、R
5は、ハロC
1−3アルキルである。その他の実施形態において、R
5は、ハロC
1−2アルキルである。具体的な実施形態において、R
5は、モノフルオロメチルである。具体的な実施形態において、R
5は、ジフルオロメチルである。具体的な実施形態において、R
5は、トリフルオロメチルである。
【0050】
さらにさらなるまたは別の実施形態において、R
6は、アルキル、ハロアルキルまたはハロである。その他の実施形態において、R
6は、アルキルである。その他の実施形態において、R
6は、C
1−C
6アルキルである。その他の実施形態において、R
6は、C
1−C
3アルキルである。その他の実施形態において、R
6は、C
1−C
2アルキルである。具体的な実施形態において、R
6は、メチルである。具体的な実施形態において、R
6は、エチルである。具体的な実施形態において、R
6は、プロピルである。具体的な実施形態において、R
6は、イソ−プロピルである。その他の実施形態において、R
6は、ハロである。その他の実施形態において、R
6は、フルオロである。その他の実施形態において、R
6は、ブロモである。その他の実施形態において、R
6は、クロロである。その他の実施形態において、R
6は、ヨードである。その他の実施形態において、R
6は、ハロアルキルである。その他の実施形態において、R
6は、ハロC
1−6アルキルである。その他の実施形態において、R
6は、ハロC
1−3アルキルである。その他の実施形態において、R
6は、ハロC
1−2アルキルである。具体的な実施形態において、R
6は、モノフルオロメチルである。具体的な実施形態において、R
6は、ジフルオロメチルである。具体的な実施形態において、R
6は、トリフルオロメチルである。
【0051】
幾つかの実施形態において、R
7は、C
1−C
6アルキルである。その他の実施形態において、R
7は、C
1−C
3アルキルである。その他の実施形態において、R
7は、C
1−C
2アルキルである。具体的な実施形態において、R
7は、メチルである。具体的な実施形態において、R
7は、エチルである。具体的な実施形態において、R
7は、プロピルである。具体的な実施形態において、R
7は、イソプロピルである。別の実施形態において、R
7は、水素である。
【0052】
幾つかの実施形態において、式IIIの化合物(すなわち、イソフラボノイド誘導体)またはその製薬学的に許容し得る塩を含有する医薬組成物が、本明細書において提供される。
【化8】
(式中、
R
2は、ヒドロキシまたはアルコキシであり;
R
3、R
4、R
5およびR
6は、独立して、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロ、ハロアルキルまたはアルキルであり;ならびに
R
7は、アルキルである。)
【0053】
本明細書において提供される幾つかの実施形態において、式(III−a)または(III−b)の構造を有する式IIIの化合物が記載される。
【化9】
【0054】
幾つかの実施形態において、R
2は、ヒドロキシである。その他の実施形態において、R
2は、C
1−C
6アルコキシである。さらなるまたは追加の実施形態において、R
2は、C
1−C
3アルコキシである。具体的な実施形態において、R
2は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソ−プロポキシ、ブトキシ、イソ−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシまたはヘキシルオキシである。具体的な実施形態において、R
2は、メトキシである。
【0055】
さらなるまたは追加の実施形態において、R
3は、C
1−C
6アルキルである。その他の実施形態において、R
3は、C
1−C
3アルキルである。その他の実施形態において、R
3は、C
1−C
2アルキルである。その他の実施形態において、R
3は、メチルである。その他の実施形態において、R
3は、エチルである。その他の実施形態において、R
3は、プロピルである。その他の実施形態において、R
3は、イソ−プロピルである。その他の実施形態において、R
3は、ブチルである。その他の実施形態において、R
3は、イソ−ブチルである。その他の実施形態において、R
3は、sec−ブチルである。その他の実施形態において、R
3は、tert−ブチルである。その他の実施形態において、R
3は、ペンチルである。その他の実施形態において、R
3は、ヘキシルである。別の実施形態において、R
3は、水素である。その他の実施形態において、R
3は、ハロである。その他の実施形態において、R
3は、フルオロである。その他の実施形態において、R
3は、クロロである。その他の実施形態において、R
3は、ブロモである。その他の実施形態において、R
3は、ハロアルキルである。その他の実施形態において、R
3は、ハロC
1−6アルキルである。その他の実施形態において、R
3は、ハロC
1−3アルキルである。その他の実施形態において、R
3は、ハロC
1−2アルキルである。具体的な実施形態において、R
3は、モノフルオロメチルである。具体的な実施形態において、R
3は、ジフルオロメチルである。具体的な実施形態において、R
3は、トリフルオロメチルである。
【0056】
さらなるまたは追加の実施形態において、R
4は、水素である。さらなるまたは別の実施形態において、R
4は、ハロである。具体的な実施形態において、R
4は、フルオロである。具体的な実施形態において、R
4は、クロロである。具体的な実施形態において、R
4は、ブロモである。その他の実施形態において、R
4は、ハロアルキルである。その他の実施形態において、R
4は、ハロC
1−6アルキルである。その他の実施形態において、R
4は、ハロC
1−3アルキルである。その他の実施形態において、R
4は、ハロC
1−2アルキルである。具体的な実施形態において、R
4は、モノフルオロメチルである。具体的な実施形態において、R
4は、ジフルオロメチルである。具体的な実施形態において、R
4は、トリフルオロメチルである。その他の実施形態において、R
4は、C
1−C
6アルキルである。その他の実施形態において、R
4は、C
1−C
3アルキルである。その他の実施形態において、R
4は、C
1−C
2アルキルである。その他の実施形態において、R
4は、メチルである。その他の実施形態において、R
4は、エチルである。その他の実施形態において、R
4は、プロピルである。その他の実施形態において、R
4は、イソ−プロピルである。
【0057】
幾つかの実施形態において、R
7は、C
1−C
6アルキルである。その他の実施形態において、R
7は、C
1−C
3アルキルである。その他の実施形態において、R
7は、C
1−C
2アルキルである。具体的な実施形態において、R
7は、メチルである。その他の実施形態において、R
7は、エチルである。その他の実施形態において、R
7は、プロピルである。その他の実施形態において、R
7は、イソ−プロピルである。その他の実施形態において、R
7は、ブチルである。その他の実施形態において、R
7は、イソ−ブチルである。その他の実施形態において、R
7は、sec−ブチルである。その他の実施形態において、R
7は、tert−ブチルである。その他の実施形態において、R
7は、ペンチルである。その他の実施形態において、R
7は、ヘキシルである。
【0058】
幾つかの実施形態において、一般式IIIの化合物は、以下に示されるように配置された置換基R
3およびR
4を有する。
【化10】
【0059】
幾つかの実施形態において、一般式I、IIまたはIIIの化合物は、以下に示されるように配置された置換基R
2、R
5およびR
6を有する。
【化11】
【0060】
式I、IIまたはIIIの具体的な化合物は、以下に示される。
【化12】
またはそれらの塩もしくは誘導体。
【0061】
具体的な実施形態において、式I、IIまたはIIIの化合物としては、
3−(4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)クロマン−7−オール(化合物1)、
3−(4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)クロマン−7−オール(化合物2)、
3−(4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−フルオロ−3−メチルフェニル)クロマン−7−オール(化合物3)、
3−(4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−メトキシ−3−フルオロフェニル)クロマン−7−オール(化合物4)、
3−(4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−ヒドロキシフェニル)−8−メチルクロマン−7−オール(化合物5)、
3−(4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−8−メチルクロマン−7−オール(化合物6)、
3−(4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)−8−メチルクロマン−7−オール(化合物7)、
3−(4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)−8−メチルクロマン−7−オール(化合物8)、
3−(4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−フルオロ−3−メチルフェニル)−8−メチルクロマン−7−オール(化合物9)、および
3−(4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−メトキシ−3−フルオロフェニル)−8−メチルクロマン−7−オール(化合物10)
が挙げられる。
【0062】
本発明の特定の実施形態の化合物において、複素環上のアリール置換基が、互いに関連したシスまたはトランスであり得ることは、当業者にとって明らかであろう。好ましくは、本発明の特定の実施形態の式I、IIまたはIIIの化合物において、これらの置換基は、シスであろう。
【0063】
本発明の幾つかの実施形態の式I、IIまたはIIIの化合物は、2個のキラル中心を含む。本発明は、すべての鏡像異性体およびジアステレオマー、ならびに任意の割合のそれらの混合物を包含する。本発明はまた、単離された鏡像異性体または鏡像異性体の対にまで及ぶ。本明細書の化合物(例えば以下に限定されないが、上記化合物を製造するためのイソフラボノイド誘導体および試薬)の幾つかは、不斉炭素原子を有しており、このため、鏡像異性体またはジアステレオマーとして存在することができる。ジアステレオマーの混合物を、クロマトグラフィーおよび/または分別結晶などの方法によって、それらの物理的、化学的違いに基づいて、個々のジアステレオマーに分離することができる。鏡像異性体は、鏡像異性体の混合物を、適切な光学活性化合物(例えば、アルコール)と反応させることによりジアステレオマーの混合物に変換し、当該ジアステレオマーを分離し、そして、個々のジアステレオマーを対応する純粋な鏡像異性体に変換する(例えば、加水分解する)ことによって分離することができる。ジアステレオマー、鏡像異性体、およびそれらの混合物を含むこのような異性体はすべて、本明細書に記載される組成物の一部として考慮される。
【0064】
幾つかの実施形態の式I、IIまたはIIIの化合物は、ラセミ混合物である。その他の実施形態において、本明細書に記載される化合物はいずれも、光学的に純粋な形態(例えば、光学的に活性な(+)および(−)、(R)−および(S)−、d−およびl−、または(D)−および(L)−異性体)である。特定の好ましい実施形態において、式I、IIまたはIIIの化合物は、d−異性体である。したがって、幾つかの実施形態において、鏡像異性体過剰率で式I、IIまたはIIIの構造を有する光学活性d−異性体が、本明細書において提供される。幾つかの実施形態において、式I、IIまたはIIIの化合物のd−異性体は、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、95%または99.9%の鏡像異性体過剰率で提供される。その他の実施形態において、式I、IIまたはIIIの化合物のd−異性体は、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%よりも大きい鏡像異性体過剰率で提供される。具体的な実施形態において、式I、IIまたはIIIの化合物は、95%よりも大きい鏡像異性体過剰率を有する。
【0065】
式I、IIまたはIIIの具体的な光学活性化合物(すなわち、鏡像異性体)は、以下に示される。
【化13】
【0066】
具体的な実施形態において、式I、IIまたはIIIの化合物としては、
d−シス−3−(4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)クロマン−7−オール(d−1)、
d−シス−3−(4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)クロマン−7−オール(d−2)、
d−シス−3−(4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−フルオロ−3−メチルフェニル)クロマン−7−オール(d−3)、
d−シス−3−(4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−メトキシ−3−フルオロフェニル)クロマン−7−オール(d−4)、
d−シス−3−(4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−ヒドロキシフェニル)−8−メチルクロマン−7−オール(d−5)、
d−シス−3−(4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−8−メチルクロマン−7−オール(d−6)、
d−シス−3−(4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)−8−メチルクロマン−7−オール(d−7)、
d−シス−3−(4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)−8−メチルクロマン−7−オール(d−8)、
d−シス−3−(4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−フルオロ−3−メチルフェニル)−8−メチルクロマン−7−オール(d−9)、および
d−シス−3−(4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−メトキシ−3−フルオロフェニル)−8−メチルクロマン−7−オール(d−10)
が挙げられる。
【0067】
その他の具体的な実施形態において、式I、IIまたはIIIの化合物としては、
l−シス−3−(4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)クロマン−7−オール(l−1)、
l−シス−3−(4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)クロマン−7−オール(l−2)、
l−シス−3−(4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−フルオロ−3−メチルフェニル)クロマン−7−オール(l−3)、
l−シス−3−(4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−メトキシ−3−フルオロフェニル)クロマン−7−オール(l−4)、
l−シス−3−(4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−ヒドロキシフェニル)−8−メチルクロマン−7−オール(l−5)、
l−シス−3−(4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−8−メチルクロマン−7−オール(l−6)、
l−シス−3−(4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)−8−メチルクロマン−7−オール(l−7)、
l−シス−3−(4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)−8−メチルクロマン−7−オール(l−8)、
l−シス−3−(4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−フルオロ−3−メチルフェニル)−8−メチルクロマン−7−オール(l−9)、および
l−シス−3−(4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−メトキシ−3−フルオロフェニル)−8−メチルクロマン−7−オール(l−10)
が挙げられる。
【0068】
本明細書において提供される幾つかの実施形態において、式IV(式中、R
8は、水素またはアルキルである)の化合物が記載される。幾つかの実施形態において、R
8は、水素である。その他の実施形態において、R
8は、C
1−6アルキルである。その他の実施形態において、R
8は、C
1−3アルキルである。その他の実施形態において、R
8は、C
1−2アルキルである。具体的な実施形態において、R
8は、メチルである。具体的な実施形態において、R
8は、エチルである。具体的な実施形態において、R
8は、プロピルである。具体的な実施形態において、R
8は、イソ−プロピルである。具体的な実施形態において、R
8は、ブチルである。具体的な実施形態において、R
8は、イソ−ブチルである。具体的な実施形態において、R
8は、sec−ブチルである。具体的な実施形態において、R
8は、tert−ブチルである。具体的な実施形態において、R
8は、ペンチルである。具体的な実施形態において、R
8は、ヘキシルである。
【化14】
【0069】
式IVの具体的な光学活性化合物(すなわち、鏡像異性体)としては、
【化15】
が挙げられる。
【0070】
具体的な実施形態において、式IVの化合物としては、d−シス−3−(4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−ヒドロキシフェニル)クロマン−7−オールが挙げられる。その他の実施形態において、式IVの化合物としては、d−シス−3−(4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−ヒドロキシフェニル)−8−メチルクロマン−7−オールが挙げられる。
【0071】
特定の好ましい実施形態において、式IVの化合物は、d−異性体である。したがって、幾つかの実施形態において、鏡像異性体過剰率で式IVの構造を有する光学活性d−異性体が、本明細書において提供される。幾つかの実施形態において、式IVの化合物のd−異性体は、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、95.5%または99.9%の鏡像異性体過剰率で提供される。その他の実施形態において、式IVの化合物のd−異性体は、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%よりも大きい鏡像異性体過剰率で提供される。具体的な実施形態において、式IVの化合物は、95%よりも大きい鏡像異性体過剰率を有する。具体的な実施形態において、式IVの化合物は、98%よりも大きい鏡像異性体過剰率を有する。具体的な実施形態において、式IVの化合物は、99%よりも大きい鏡像異性体過剰率を有する。具体的な実施形態において、式IVの化合物は、99.9%よりも大きい鏡像異性体過剰率を有する。
【0072】
追加のまたはさらなる実施形態において、本明細書に記載される化合物は、プロドラッグの形態で使用される。追加のまたはさらなる実施形態において、本明細書に記載される化合物は、必要とする生物への投与により代謝されて、所望の効果(例えば、所望の治療効果)を奏するのに使用される代謝産物が産生される。
【0073】
本明細書に記載される化合物はいずれも、スキーム1および2に示される例示的な合成にしたがって合成され得る。例えば、化合物6および7は、4’−ビス−tert−ブチルジメチルシリル(sily)オキシ−8−メチルジヒドロダイゼインから合成される。4’−ビス−tert−ブチルジメチルシリル(sily)オキシ−8−メチルジヒドロダイゼインを、無水THFに溶解させた4−メトキシ−3−メチルフェニルマグネシウムブロミドで処理する。反応混合物を含水エーテル(50:50H
2O/Et
2O)で処理する。得られた混合物をEt
2Oで抽出する。有機層を水、食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで脱水し、真空で濃縮する。得られた残留物をpTsOHおよびエタノールで処理する。反応混合物を3時間加熱して還流する。反応混合物を真空で濃縮し、次いで、水(0℃)に注ぐ。混合物をEtOAcで抽出し、次いで、有機層を水(3回)、食塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO
4)、ろ過し、真空で濃縮して、3−アルケン中間体を得る。この中間体をPd触媒およびエタノールで処理する。反応混合物を低圧で3時間水素化する。反応物をセライトに通してろ過し、ろ液を濃縮して15mLの容量にする。得られた溶液を水に添加する。混合物をEt
2Oで抽出し(3回)、有機層を一緒にし、水、食塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO
4)、ろ過し、真空で濃縮する。得られた残留物を再結晶により精製して、化合物7を得る。
スキーム1
【化16】
【0074】
化合物7を、窒素でパージしたフラスコに移す。酢酸(33wt%)に溶解させた臭化水素を反応混合物に一滴ずつ添加する。混合物を130℃で7時間加熱して還流する。反応混合物を氷浴に入れ、pHを6に調整する。反応混合物をEtOAcで抽出し、有機層を水、食塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO
4)、ろ過し、真空で濃縮する。得られた残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物6を得る。
スキーム2
【化17】
【0075】
方法
本明細書において提供される幾つかの実施形態において、癌細胞においてアポトーシスを誘導する方法が記載される。具体的な実施形態において、この方法は、式I、II、IIIまたはIVのイソフラボノイド誘導体を含有する組成物に癌細胞を接触させることを含む。その他の実施形態において、癌治療を必要とする個体において癌を処置する方法もまた、本明細書に記載される。特定の実施形態において、この方法は、式I、II、IIIまたはIVの化合物(すなわち、イソフラボノイド誘導体)を含有する組成物を個体に投与することを含む。特定の実施形態において、癌または癌細胞は、個体中に存在する。具体的な実施形態において、個体は、癌治療を必要とする。
【0076】
その他の実施形態において、化学療法剤、抗癌剤もしくは放射線療法に対する癌細胞の感受性を増加させ、誘導し、または回復させる方法が、本明細書において提供される。特定の実施形態において、この方法は、式I、II、IIIまたはIVの化合物(すなわち、イソフラボノイド誘導体)を含有する組成物に前記細胞を接触させることを含む。その他の実施形態において、個体において癌治療に対する感受性を増加させ、誘導し、または回復させる方法が、本明細書において提供される。特定の実施形態において、この方法は、式I、II、IIIまたはIVの化合物(すなわち、イソフラボノイド誘導体)を含有する組成物を個体に投与することを含む。
【0077】
幾つかの実施形態において、癌または癌細胞は、化学療法剤、抗癌剤または放射線療法に対する感受性を失っている。その他の実施形態において、式I、II、IIIまたはIVの化合物を含有する組成物と、化学療法剤、抗癌剤または放射線療法との組み合わせは、増強された効果を有する。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される化合物は、癌細胞を化学療法感受性にし、化合物は、癌細胞を殺傷するのに必要とされる抗癌剤の量をより少なくする。その他の実施形態において、本明細書に記載される化合物は、癌細胞を化学療法感受性にし、化合物は、癌細胞を化学療法耐性の状態から化学療法感受性に変換する。さらなるまたは追加の実施形態において、本明細書に記載される化合物は、癌細胞を放射線療感受性にし、化合物は、癌細胞を殺傷するのに必要とされるγ線照射の量をより少なくする。その他の実施形態において、本明細書に記載される化合物は、癌細胞を放射線療感受性にし、化合物は、癌細胞を放射線療耐性の状態から放射線療感受性に変換する。
【0078】
幾つかの実施形態において、個体において癌を処置する方法であって、式I、II、IIIまたはIVの化合物(すなわち、イソフラボノイド誘導体)を含有する組成物を個体に投与することを含み、化学療法、放射線療法もしくは癌治療に付随する副作用が軽減または最小化される方法が、本明細書において提供される。幾つかの場合において、本明細書に記載される化合物は、化学防御特性および/または放射線防御特性を非癌性細胞に提供する。その他の実施形態において、本明細書に記載される化合物のd−異性体の使用は、癌細胞を殺傷するか、または癌を処置するのに必要とされる化合物の量をより少なくする。さらなるまたは追加の実施形態において、より少量の化合物は、化学療法に付随する任意の望ましくない副作用を軽減または最小化する。化学療法、放射線療法もしくは癌治療に付随する副作用の非限定的な例としては、疲労、貧血、食欲の変化、出血の問題、下痢、便秘、脱毛、吐き気、嘔吐、痛み、末梢神経障害、腫れ、皮膚および爪の変化、尿および膀胱の変化、ならびに嚥下困難が挙げられる。
【0079】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法のいずれかは、癌治療を個体または患者に施すことをさらに含む。特定の実施形態において、癌治療は、非限定的な例として、少なくとも1つの抗癌剤(例えば、化学療法剤)、放射線療法または外科手術である。幾つかの実施形態において、(1)有効量の本明細書に記載される化合物の投与と、(2)(i)有効量のさらなる抗癌剤の投与、(ii)有効量のホルモン療法剤の投与および(iii)非薬物療法からなる群より選択される1〜3種の治療法との組み合わせは、癌をより有効に予防および/または処置する。
【0080】
抗癌剤としては、以下に限定されないが、化学療法剤、免疫療法剤、細胞成長因子およびその受容体の作用を阻害する薬剤などが挙げられる。場合により使用される化学療法剤は、非限定的な例として、シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、ゲムシタビンまたはドキソルビシンである。さらに、化学療法剤の非限定的な例としては、アルキル化剤、代謝拮抗物質、抗癌抗生物質、植物由来抗癌剤などが挙げられる。
【0081】
アルキル化剤としては、以下に限定されないが、ナイトロジェンマスタード、塩酸ナイトロジェンマスタード−N−オキシド、クロラムブチル、シクロホスファミド、イホスファミド、チオテパ、カルボコン、インプロスルファントシラート、ブスルファン、塩酸ニムスチン、ミトブロニトール、メルファラン、ダカルバジン、ラニムスチン、エストラムスチンリン酸ナトリウム、トリエチレンメラミン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ピポブロマン、エトグルシド、カルボプラチン、シスプラチン、ミボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、アルトレタミン、アンバムスチン、塩酸ジブロスピジウム、ホテムスチン、プレドニムスチン、プミテパ、リボムスチン、テモゾロマイド、トレオスルファン、トロホスファミド、ジノスタチンスチマラマー、アドゼレシン、システムスチン、ビゼレシンなどが挙げられる。
【0082】
代謝拮抗物質としては、以下に限定されないが、メルカプトプリン、6−メルカプトプリンリボシド、チオイノシン、メトトレキサート、エノシタビン、シタラビン、シタラビンオクフォスフェート、塩酸アンシタビン、5−FU薬物(例えば、フルオロウラシル、テガフル、UFT、ドキシフルリジン、カルモフール、ガロシタビン、エミテフールなど)、アミノプテリン、ロイコボリンカルシウム、タブロイド、ブトシン、ホリニン酸カルシウム、レボホリニン酸カルシウム、クラドリビン、エミテフール、フルダラビン、ゲムシタビン、ヒドロキシカルバミド、ペントスタチン、ピリトレキシム、イドクスウリジン、ミトグアゾン、チアゾフリン、アンバムスチンなどが挙げられる。
【0083】
抗癌抗生物質としては、以下に限定されないが、アクチノマイシン−D、アクチノマイシン−C、マイトマイシン−C、クロモマイシン−A3、塩酸ブレオマイシン、硫酸ブレオマイシン、硫酸ぺプロマイシン、塩酸ダウノルビシン、塩酸ドキソルビシン、塩酸アクラルビシン、塩酸ピラルビシン、塩酸エピルビシン、ネオカルジノスタチン、ミトラマイシン、サルコマイシン、カルジノフィリン、ミトタン、塩酸ゾルビシン、塩酸ミトキサントロン、塩酸イダルビシンなどが挙げられる。
【0084】
植物由来抗癌剤としては、以下に限定されないが、エトポシド、リン酸エトポシド、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンデシン、テニポシド、パクリタキセル、ドセタキセル、ビノレルビンなどが挙げられる。
【0085】
免疫療法剤としては、以下に限定されないが、ピシバニール、クレスチン、シゾフィラン、レンチナン、ウベニメクス、インターフェロン、インターロイキン、マクロファージコロニー刺激因子、顆粒球コロニー刺激因子、エリスロポエチン、リンホトキシン、BCGワクチン、コリネバクテリウムパルブム、レバミゾール、ポリサッカライドK、プロコダゾールなどが挙げられる。
【0086】
細胞成長因子または細胞成長因子受容体の作用を阻害する薬剤における細胞成長因子の非限定的な例としては、細胞増殖を促進する任意の物質が挙げられ、これは、通常、受容体に結合することによって低濃度で活性を示すことができる20,000以下の分子量を有するペプチドであり、(1)EGF(上皮成長因子)またはそれと実質的に同じ活性を有する物質[例えば、EGF、ヘレグリンなど]、(2)インスリンまたはそれと実質的に同じ活性を有する物質[例えば、インスリン、IGF(インスリン様成長因子)−1、IGF−2など]、(3)FGF(線維芽細胞成長因子)またはそれと実質的に同じ活性を有する物質[例えば、酸性FGF、塩基性FGF、KGF(ケラチノサイト成長因子)、FGF−10など]、(4)その他の細胞成長因子[例えば、CSF(コロニー刺激因子)、EPO(エリスロポエチン)、IL−2(インターロイキン−2)、NGF(神経成長因子)、PDGF(血小板由来成長因子)、TGFβ(形質転換成長因子β)、HGF(肝細胞成長因子)、VEGF(血管内皮成長因子)など]などが挙げられる。
【0087】
細胞成長因子受容体としては、以下に限定されないが、上記細胞成長因子に結合できる任意の受容体が挙げられ、EGF受容体、ヘレグリン受容体(HER2)、インスリン受容体、IGF受容体、FGF受容体−1またはFGF受容体−2などが挙げられる。
【0088】
細胞成長因子の作用を阻害する薬剤としては、以下に限定されないが、HER2抗体(例えば、トラスツズマブ)、メシル酸イマチニブ、ZD1839またはEGFR抗体(例えば、セツキシマブ)、VEGFに対する抗体(例えば、ベバシツマブ)、VEGFR抗体、VEGFR阻害薬およびEGFR阻害薬(例えば、エルロチニブ)が挙げられる。
【0089】
上記薬物に加えて、その他の抗癌剤としては、以下に限定されないが、L−アスパラギナーゼ、アセグラトン、塩酸プロカルバジン、プロトポルフィリン−コバルト錯塩、水銀ヘマトポルフィリン−ナトリウム、トポイソメラーゼI阻害薬(例えば、イリノテカン、トポテカンなど)、トポイソメラーゼII阻害薬(例えば、ソブゾキサンなど)、分化誘導因子(例えば、レチノイド、ビタミンD類など)、血管新生阻害薬(例えば、サリドマイド、SU11248など)、α−遮断薬(例えば、塩酸タムスロシン、ナフトピジル、ウラピジル、アルフゾシン、テラゾシン、プラゾシン、シロドシンなど)、セリン/スレオニンキナーゼ阻害薬、エンドセリン受容体拮抗薬(例えば、アトラセンタンなど)、プロテアゾーム阻害薬(例えば、ボルテゾミブなど)、Hsp90阻害薬(例えば、17−AAGなど)、スピロノラクトン、ミノキシジル、11α―ヒドロキシプロゲステロン、骨吸収阻害/転移抑制薬(例えば、ゾレドロン酸、アレンドロン酸、パミドロン酸、エチドロン酸、イバンドロン酸、クロドロン酸)などが挙げられる。
【0090】
ホルモン療法剤の非限定的な例としては、例えば、ホスフェストロール、ジエチルスチルベストロール、クロロトリアニセン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、酢酸クロルマジノン、酢酸シプロテロン、ダナゾール、ジエノゲスト、アソプリスニル、アリルエストレノール、ゲストリノン、ノメゲストロール、タデナン、メパルトリシン、ラロキシフェン、オルメロキシフェン、レボルメロキシフェン、抗エストロゲン(例えば、クエン酸タモキシフェン、クエン酸トレミフェンなど)、ERダウンレギュレーター(例えば、フルベストラントなど)、ヒト閉経ゴナドトロピン、卵胞刺激ホルモン、ピル製剤、メピチオスタン、テストロラクトン、アミノグルテチイミド、LH−RHアゴニスト(例えば、酢酸ゴセレリン、ブセレリン、リュープロレリンなど)、ドロロキシフェン、エピチオスタノール、スルホン酸エチニルエストラジオール、アロマターゼ阻害薬(例えば、塩酸ファドロゾール、アナストロゾール、レトロゾール、エキセメスタン、ボロゾール、フォルメスタンなど)、抗アンドロゲン(例えば、フルタミド、ビカルタミド、ニルタミドなど)、5α−レダクターゼ阻害薬(例えば、フィナステリド、デュタステリド、エプリステリドなど)、副腎皮質ホルモン系薬剤(例えば、デキサメタゾン、プレドニゾロン、ベタメタゾン、トリアムシノロンなど)、アンドロゲン合成阻害薬(例えば、アビラテロンなど)、ならびにレチノイドおよびレチノイドの代謝を遅らせる薬物(例えば、リアロゾールなど)など、ならびにLH−RHアゴニスト(例えば、酢酸ゴセレリン、ブセレリン、リュープロレリン)が挙げられる。
【0091】
非薬物療法は、外科手術、放射線療法、遺伝子治療、温熱療法、凍結療法、レーザー焼灼など、およびそれらの任意の組み合わせによって例示される。
【0092】
式I、II、IIIまたはIVの化合物(すなわち、イソフラボノイド誘導体)および併用薬が組み合わせて使用される場合、イソフラボノイド誘導体および併用薬の投与時間は、制限されない。幾つかの実施形態において、イソフラボノイド誘導体および併用薬は、個体に同時投与される。その他の実施形態において、イソフラボノイド誘導体および併用薬は、時間差で投与される。
【0093】
幾つかの実施形態において、癌は、膀胱癌、乳癌、転移性乳癌、転移性HER2−陰性乳癌、結腸癌、直腸癌、転移性結腸直腸癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、子宮癌、卵巣癌、腎臓癌、肝臓癌、白血病、肺癌(小細胞および非小細胞の両方)、扁平上皮非小細胞肺癌、非扁平上皮非小細胞肺癌、黒色腫、非ホジキンリンパ腫、膵臓癌、精巣癌、前立腺癌、甲状腺癌、肉腫(例えば、骨肉腫)、食道癌、胃癌、頭頸部癌、肺癌黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫膠芽細胞腫および脳癌からなる群より選択される。幾つかの実施形態において、癌は、非限定的な例として、ヒトの乳癌、前立腺癌、卵巣癌、膵臓癌または子宮頸癌から選択される。特定の具体的な実施形態において、癌は、ヒトの乳癌または卵巣癌である。
【0094】
製剤
本明細書において提供される幾つかの実施形態において、1つまたはそれ以上の製薬学的な担体、賦形剤、助剤、結合剤および/または希釈剤をさらに含有する医薬組成物が記載される。
【0095】
本明細書に記載される組成物はいずれも、場合により、少量の非毒性補助物質、例えば、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、安定化剤、溶解促進剤およびその他の薬剤(例えば、酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレイン酸およびシクロデキストリンなど)を含有する。幾つかの実施形態において、組成物は、ラクトース、デキストロース、マンニトール、pH緩衝剤、酸化防止剤、防腐剤、等張調整剤またはそれらの組み合わせの1つまたはそれ以上をさらに含有する。場合により使用される製薬学的に許容し得る担体の例としては、以下に限定されないが、水性媒体、非水性媒体、抗菌薬、局所麻酔薬、懸濁剤および分散剤、乳化剤、封鎖剤またはキレート剤、ならびにその他の製薬学的に許容し得る物質が挙げられる。
【0096】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される化合物は、その製薬学的に許容し得る塩として存在する。幾つかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、このような製薬学的に許容し得る塩を投与することによって疾患を処置する方法を包含する。幾つかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、このような製薬学的に許容し得る塩を医薬組成物として投与することによって疾患を処置する方法を包含する。
【0097】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される化合物は、酸性基または塩基性基を有し、このため、多数の無機塩基または有機塩基、ならびに無機酸および有機酸のいずれかと反応して、製薬学的に許容し得る塩を形成する。幾つかの実施形態において、これらの塩は、本発明の化合物の最終的な単離および精製の間にその場(in situ)で調製されるか、または遊離の形態の精製化合物を、適切な酸もしくは塩基と別個に反応させ、このようにして形成された塩を単離することによって調製される。
【0098】
製薬学的に許容し得る塩の例としては、本明細書に記載される化合物と無機物、有機酸または無機塩基との反応によって調製される塩が挙げられ、このような塩としては、酢酸塩、アクリル酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、亜硫酸水素塩、臭化物、酪酸塩、ブチン−1,4−二酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、カプロン酸塩、カプリル酸塩、クロロ安息香酸塩、塩化物、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、デカン酸塩、ジグルコン酸塩、二水素リン酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヘキシン−1,6−二酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、γ−ヒドロキシ酪酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ヨウ化物、イソ酪酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、マンデル酸塩、メタリン酸塩、メタンスルホン酸塩、メトキシ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、一水素リン酸塩、1−ナフタレンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、パルミチン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ピロ硫酸塩、ピロリン酸塩、プロピオール酸塩、フタル酸塩、フェニル酢酸塩、フェニル酪酸塩、プロパンスルホン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、スルホン酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシレートウンデカン酸塩およびキシレンスルホン酸塩が挙げられる。
【0099】
さらに、幾つかの実施形態において、本明細書に記載される化合物は、遊離塩基の形態の化合物を、製薬学的に許容し得る無機酸または有機酸、例えば以下に限定されないが、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタリン酸など;および有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、Q−トルエンスルホン酸、酒石酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、アリールスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−メチルビシクロ−[2.2.2]オクタ−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、4,4’−メチレンビス−(3−ヒドロキシ−2−エン−1−カルボン酸)、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸およびムコン酸と反応させることによって形成される製薬学的に許容し得る塩として調製される。幾つかの実施形態において、それ自体は製薬学的に許容し得るものではないが、その他の酸、例えばシュウ酸が、本発明の化合物およびその製薬学的に許容し得る酸付加塩を得るのに中間体として有用な塩の調製に使用される。
【0100】
幾つかの実施形態において、遊離の酸基を含有する本明細書に記載される化合物は、適切な塩基、例えば製薬学的に許容し得る金属陽イオンの水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、硫酸塩、アンモニア、または製薬学的に許容し得る有機第一級、第二級もしくは第三級アミンと反応する。代表的なアルカリ塩またはアルカリ土類塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩およびアルミニウム塩などが挙げられる。塩基の例示的な例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化コリン、炭酸ナトリウム、N
+(C
1−4アルキル)
4などが挙げられる。
【0101】
塩基付加塩の形成に有用な代表的な有機アミンとしては、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジンなどが挙げられる。本明細書に記載される化合物はまた、当該化合物が含有するいずれの塩基性窒素含有基の四級化も包含することが理解されるべきである。幾つかの実施形態において、水溶性もしくは油溶性または分散性の生成物は、このような四級化によって得られる。本明細書に記載される化合物は、親化合物に存在する酸性プロトンが、金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオンもしくはアルミニウムイオンで置換されるか、または有機塩基と配位する場合に形成される製薬学的に許容し得る塩として調製され得る。塩基付加塩は、遊離酸の形態の本明細書に記載される化合物を、製薬学的に許容し得る無機塩基または有機塩基、例えば以下に限定されないが、有機塩基、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミンなど、および無機塩基、例えば水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムなどと反応させることによって調製される。また、塩の形態の本明細書に開示される化合物は、出発原料または中間体の塩を使用して調製され得る。
【0102】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は、有効成分を経口用途に適切な形で、例えば、錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性懸濁液もしくは油性懸濁液、分散性粉末もしくは分散性顆粒、エマルジョン、ハードカプセルもしくはソフトカプセル、またはシロップもしくはエリキシルとして含有する。経口用途を目的とした組成物は、場合により、既知の方法にしたがって調製され、このような組成物は、製薬学的にエレガントで口当たりのよい調製物を提供するために、甘味剤、着香剤、着色剤および防腐剤からなる群より選択される1つまたはそれ以上の薬剤を含有し得る。錠剤は、有効成分を、錠剤の製造に適切な非毒性の製薬学的に許容し得る賦形剤との混合物で含有する。これらの賦形剤は、例えば不活性希釈剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム;造粒剤および崩壊剤、例えば微晶質セルロース、クロスカルメロースナトリウム、トウモロコシデンプンまたはアルギン酸;結合剤、例えばデンプン、ゼラチン、ポリビニルピロリドンまたはアラビアゴム、ならびに潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクであり得る。錠剤は、被覆されていなくてもよいし、または薬物の風味を覆い隠すためにもしくは消化管での消化および吸収を遅らせ、それによってより長い時間にわたって持続した作用を提供するために既知の技術で被覆されていてもよい。例えば、水溶性の風味マスキング物質、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースもしくはヒドロキシプロピルセルロース、または時間遅延物質、例えばエチルセルロースもしくは酢酸酪酸セルロースを、必要に応じて使用してもよい。経口用途の製剤はまた、有効成分が不活性固形希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムもしくはカオリンと混合されている硬ゼラチンカプセルとして提供し得るか、または有効成分が水溶性担体、例えばポリエチレングリコールもしくは油性媒体、例えば落花生油、流動パラフィンもしくはオリーブ油と混合されている軟ゼラチンカプセルとして提供し得る。
【0103】
水性懸濁液は、活性物質を、水性懸濁液の製造に適切な賦形剤との混合物で含有する。このような賦形剤は、懸濁剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアラビアゴムである;分散剤または湿潤剤は、天然ホスファチド、例えばレシチン、もしくはアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物、例えばポリオキシエチレンステアレート、もしくはエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、もしくはエチレンオキシドと、脂肪酸とヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートまたはエチレンオキシドと、脂肪酸と無水ヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合生成物、例えばポリエチレンソルビタンモノオレエートであり得る。水性懸濁液はまた、1つまたはそれ以上の防腐剤、例えばp−ヒドロキシ安息香酸エチルまたはp−ヒドロキシ安息香酸n−プロピル、1つまたはそれ以上の着色剤、1つまたはそれ以上の着香剤、および1つまたはそれ以上の甘味剤、例えばスクロース、サッカリンまたはアスパルテームを含有し得る。
【0104】
適切な製薬学的な担体は、不活性希釈剤または不活性充填剤、水および種々の有機溶媒を含有する。幾つかの実施形態において、医薬組成物は、さらなる成分、例えば着香剤、結合剤、賦形剤などを含有する。したがって、経口投与のために、種々の賦形剤、例えばクエン酸を含有する錠剤は、種々の崩壊剤、例えばデンプン、アルギン酸および特定の錯体ケイ酸塩、ならびに結合剤、例えばスクロース、ゼラチンおよびアカシアゴムと一緒に使用され得る。また、潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルクは、錠剤形成の目的に有用であることが多い。その他の実施形態において、同様の種類の固形組成物は、軟充填ゼラチンカプセルまたは硬充填ゼラチンカプセルで使用される。したがって、好ましい物質としては、ラクトースまたは乳糖および高分子量のポリエチレングリコールが挙げられる。経口投与のために水性懸濁液またはエリキシル剤が望ましい特定の実施形態において、その中の活性化合物は、希釈剤、例えば水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリンまたはそれらの組み合わせと一緒に、種々の甘味剤または着香剤、着色剤または染料、および所望により乳化剤または懸濁剤と組み合わせられる。
【0105】
幾つかの実施形態において、油性懸濁液は、有効成分を、植物油、例えば落花生油、オリーブ油、ゴマ油もしくはココナッツ油、または鉱油、例えば流動パラフィンに懸濁することによって製剤化される。特定の実施形態において、油性懸濁液は、増粘剤、例えばミツロウ、固形パラフィンまたはセチルアルコールを含有する。さらなるまたは追加の実施形態において、甘味剤、例えば上記甘味剤、および着香剤は、口当たりのよい経口調製物を提供するために添加される。その他の実施形態において、これらの組成物は、酸化防止剤、例えばブチル化ヒドロキシアニソールまたはα−トコフェロールを添加することによって保存される。
【0106】
水を加えることによって水性懸濁液を調製するのに適切な分散性粉末および分散性顆粒は、有効成分を、分散剤または湿潤剤、懸濁剤および1つまたはそれ以上の防腐剤との混合物で提供する。適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤は、既に上述した分散剤または湿潤剤および懸濁剤によって例示される。幾つかの実施形態において、さらなる賦形剤、例えば甘味剤、着香剤および着色剤も存在する。さらなるまたは追加の実施形態において、これらの組成物は、酸化防止剤、例えばアスコルビン酸を添加することによって保存される。
【0107】
幾つかの実施形態において、医薬組成物は、水中油エマルジョンの形態である。幾つかの実施形態において、その油性相は、植物油、例えばオリーブ油もしくは落花生油、または鉱油、例えば流動パラフィンまたはこれらの混合物である。適切な乳化剤としては、以下に限定されないが、天然ホスファチド、例えばダイズレシチン、および脂肪酸と無水ヘキシトールから誘導されるエステルまたは部分エステル、例えばソルビタンモノオレエート、および前記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートが挙げられる。さらなるまたは追加の実施形態において、エマルジョンはまた、甘味剤、着香剤、防腐剤および酸化防止剤を含有する。
【0108】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は、滅菌注射水溶液の形態である。許容し得るビヒクルおよび溶媒であって使用されるものとしては、以下に限定されないが、水、リンゲル液、リン酸緩衝生理食塩水溶液、U.S.P.、および等張塩化ナトリウム溶液、エタノールおよび1,3−ブタンジオールが挙げられる。
【0109】
また、滅菌不揮発性油は、場合により、溶媒または懸濁媒体として使用される。この目的に、任意の無刺激不揮発性油、例えば合成のモノグリセリドまたはジグリセリドが、場合により使用される。適切な親油性の溶媒またはビヒクルとしては、脂肪油、例えばゴマ油、または合成脂肪酸エステル、例えばオレイン酸エチルもしくはトリグリセリド、またはリポソーム、または薬剤を血液成分もしくは1つもしくはそれ以上の器官に標的化するのに使用され得るその他の微粒子系が挙げられる。幾つかの実施形態において、滅菌注射調製物は、有効成分が油性相に溶解されている滅菌注射水中油マイクロエマルジョンである。特定の実施形態において、有効成分は、最初にダイズ油とレシチンの混合物に溶解される。次いで、油性溶液を、水とグリセロールの混合物に導入し、処理してマイクロエマルジョンを形成させる。さらなるまたは追加の実施形態において、注射液またはマイクロエマルジョンは、局所ボーラス注入によって個体の血流に導入される。あるいは、幾つかの実施形態において、注射液またはマイクロエマルジョンを、本化合物の一定の循環濃度を維持するような方法で投与することが好都合である。このような一定の濃度を維持するために、連続静脈内送出デバイスが利用される。このようなデバイスの例は、Deltec CADD−PLUS(商標)型式5400静脈ポンプである。
【0110】
その他の実施形態において、医薬組成物は、筋肉内投与および皮下投与のための滅菌注射水性懸濁液または滅菌注射油性懸濁液の形態である。さらなるまたは追加の実施形態において、この懸濁液は、前記に挙げた適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を使用して製剤化される。幾つかの実施形態において、滅菌注射調製物は、例えば1,3−ブタンジオールの溶液のように非毒性の非経口的に許容し得る希釈剤もしくは溶媒の滅菌注射溶液または滅菌注射懸濁液である。また、滅菌不揮発性油が、溶媒または懸濁媒体として慣用される。幾つかの実施形態において、この目的に、任意の無刺激不揮発性油、例えば合成のモノグリセリドまたはジグリセリドが、場合により使用される。また、脂肪酸、例えばオレイン酸は、注射剤の調製に用途が見出される。
【0111】
特定の実施形態において、医薬組成物は、薬物の直腸投与用の坐薬の形態で投与される。これらの組成物は、有効成分を、常温で固体であるが直腸温度で液体であり、したがって直腸で溶解されて薬物を放出するであろう、適切な刺激のない賦形剤と混合することによって調製される。このような物質としては、カカオバター、グリセリン化ゼラチン、水素添加植物油、種々の分子量をもつポリエチレングリコールの混合物およびポリエチレングリコールの脂肪酸エステルが挙げられる。
【0112】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される化合物または組成物は、ベシクル、例えばリポソームで送達される。さらなるまたは別の実施形態において、本明細書に記載される化合物および医薬組成物は、放出制御系で送達されるか、または放出制御系は、治療剤の近くに配置され得る。一実施形態において、ポンプが使用される。
【0113】
局所用途について、式I、II、IIIまたはIVの化合物を含有するクリーム、軟膏、ゼリー、溶液または懸濁液などが使用される。本明細書で使用するように、局所施用は、含嗽水およびうがい液を包含する。
【0114】
特定の実施形態において、医薬組成物は、適切な鼻腔内ビヒクルおよび送達デバイスの局所使用によって鼻腔内の形で投与されるか、または経皮皮膚用貼付剤を使用して経皮経路によって投与される。経皮送達系の形で投与するために、用量の投与は、投与計画全体を通じて断続であるよりもむしろ連続的であろう。
【0115】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は、シクロデキストリンをさらに含有する。幾つかの実施形態において、シクロデキストリンは、約0.001%〜約50%の範囲の濃度(w/v)を有する。その他の実施形態において、シクロデキストリンは、約2%〜約48%の範囲の濃度(w/v)を有する。その他の実施形態において、シクロデキストリンは、約4%〜約45%の範囲の濃度(w/v)を有する。その他の実施形態において、シクロデキストリンは、約10%〜約43%の範囲の濃度(w/v)を有する。その他の実施形態において、シクロデキストリンは、約15%〜約40%の範囲の濃度(w/v)を有する。その他の実施形態において、シクロデキストリンは、約20%〜約38%の範囲の濃度(w/v)を有する。その他の実施形態において、シクロデキストリンは、約22%〜約37%の範囲の濃度(w/v)を有する。その他の実施形態において、シクロデキストリンは、約25%〜約35%の範囲の濃度(w/v)を有する。好ましい実施形態において、シクロデキストリンは、約28%〜約32%の範囲の濃度(w/v)を有する。
【0116】
本明細書に記載される幾つかの実施形態において、シクロデキストリンをさらに含有する医薬組成物が提供され、シクロデキストリン誘導体がSBE7−β−CD(Captisol(登録商標))である場合、シクロデキストリンは、約15%、18%、20%、22%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%または38%の濃度(w/v)を有する。一実施形態において、シクロデキストリン誘導体がSBE7−β−CD(Captisol(登録商標))である場合、シクロデキストリンは、約30%の濃度(w/v)を有する。別の実施形態において、シクロデキストリン誘導体がSBE7−β−CD(Captisol(登録商標))である場合、溶解促進剤は、約29.4%の濃度(w/v)を有する。
【0117】
本明細書に記載される静脈注射用組成物における使用に適切なさらなるシクロデキストリン誘導体は、当技術分野において既知であり、例えば、米国特許第5,134,127号明細書および米国特許第5,376,645号明細書(これらはそれぞれ、このような開示について参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。また、適切なシクロデキストリン誘導体の例は、以下に記載される。
【0118】
本明細書に記載される組成物、方法およびキットの特定の実施形態において有用な適切なシクロデキストリンならびに誘導体としては、例えば、Challa et al.,AAPS PharmSciTech 6(2):E329−E357(2005)、米国特許第5,134,127号明細書、米国特許第5,376,645号明細書、米国特許第5,874,418号明細書(これらはそれぞれ、このような開示について参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているものが挙げられる。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される組成物、方法およびキットの特定の実施形態における使用に適切なシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体としては、以下に限定されないが、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、SAE−CD誘導体(例えば、SBE−α−CD、SBE−β−CD、SBE1−β−CD、SBE4−β−CD、SBE7−β−CD(Captisol(登録商標))、およびSBE−γ−CD)(Cydex,Inc.Lenexa,KS)、ヒドロキシエチルエーテル、ヒドロキシプロピル(例えば、2−ヒドロキシプロピルおよび3−ヒドロキシプロピル)エーテルおよびジヒドロキシプロピルエーテル、それらの対応する混合エーテル、ならびにメチル基またはエチル基、例えばα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリンおよびγ−シクロデキストリンのメチルヒドロキシエチルエーテル、エチル−ヒドロキシエチルエーテルおよびエチル−ヒドロキシプロピルエーテルとさらに混合したエーテル;ならびにα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリンおよびγ−シクロデキストリンのマルトシル誘導体、グルコシル誘導体およびマルトトリオシル誘導体(これらは、1つまたはそれ以上の糖残基、例えばグルコシルまたはジグルコシル、マルトシルまたはジマルトシルを含有し得る)、ならびにそれらの種々の混合物、例えばマルトシル誘導体とジマルトシル誘導体との混合物が挙げられる。本明細書で使用するための具体的なシクロデキストリン誘導体としては、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシエチル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン、ヒドロキシエチル−γ−シクロデキストリン、ジヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、グルコシル−α−シクロデキストリン、グルコシル−β−シクロデキストリン、ジグルコシル−β−シクロデキストリン、マルトシル−α−シクロデキストリン、マルトシル−β−シクロデキストリン、マルトシル−γ−シクロデキストリン、マルトトリオシル−β−シクロデキストリン、マルトトリオシル−γ−シクロデキストリン、ジマルトシル−β−シクロデキストリン、ジエチル−β−シクロデキストリン、グルコシル−α−シクロデキストリン、グルコシル−β−シクロデキストリン、ジグルコシル−β−シクロデキストリン、トリ−O−メチル−β−シクロデキストリン、トリ−O−エチル−β−シクロデキストリン、トリ−O−ブチリル−β−シクロデキストリン、トリ−O−バレリル−β−シクロデキストリン、およびジ−O−ヘキサノイル−β−シクロデキストリン、およびメチル−β−シクロデキストリン、ならびにそれらの混合物、例えばマルトシル−β−シクロデキストリン/ジマルトシル−β−シクロデキストリンが挙げられる。任意の適切な手順、例えば米国特許第5,024,998号明細書(これは、このような開示について参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている手順などが、このようなシクロデキストリンを調製するのに利用され得る。本明細書に記載される組成物、方法およびキットの特定の実施形態における使用に適切なその他のシクロデキストリンとしては、カルボキシアルキルチオエーテル誘導体、例えばORGANON(AKZO−NOBEL)によるORG26054およびORG25969、EASTMANによるヒドロキシブテニルエーテル誘導体、スルホアルキル−ヒドロキシアルキルエーテル誘導体、スルホアルキル−アルキルエーテル誘導体、ならびに例えば、米国特許出願公開第2002/0128468号明細書、米国特許出願公開第2004/0106575号明細書、米国特許出願公開第2004/0109888号明細書および米国特許出願公開第2004/0063663号明細書、または米国特許第6,610,671号明細書、米国特許第6,479,467号明細書、米国特許第6,660,804号明細書もしくは米国特許第6,509,323号明細書(これらはそれぞれ、このような開示について参照により本明細書に明確に組み込まれる)に記載されているその他の誘導体が挙げられる。
【0119】
ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンは、Research Diagnostics Inc.(Flanders,NJ)から入手できる。例示的なヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン製品としては、Encapsin(登録商標)(置換度〜4)およびMolecusol(登録商標)(置換度〜8)が挙げられる;しかしながら、その他の置換度を包含する実施形態もまた利用可能であり、本発明の範囲内である。
【0120】
ジメチルシクロデキストリンは、FLUKA Chemie(Buchs,CH)またはWacker(Iowa)から入手可能である。本発明における使用に適切なその他の誘導体化シクロデキストリンとしては、水溶性の誘導体化シクロデキストリンが挙げられる。例示的な水溶性の誘導体化シクロデキストリンとしては、カルボン酸化誘導体;硫酸化誘導体;アルキル化誘導体;ヒドロキシアルキル化誘導体;メチル化誘導体;およびカルボキシ−β−シクロデキストリン、例えばスクシニル−β−シクロデキストリン(SCD)が挙げられる。これらの物質はすべて、当技術分野において既知の方法にしたがって作製され得るか、および/または市販されている。適切な誘導体化シクロデキストリンは、Modified Cyclodextrins:Scaffolds and Templates for Supramolecular Chemistry(Eds.Christopher J.Easton,Stephen F.Lincoln,Imperial College Press,London,UK,1999)およびNew Trends in Cyclodextrins and Derivatives(Ed.Dominique Duchene,Editions de Sante,Paris,France,1991)に開示されている。
【0121】
投薬
本明細書に記載されるイソフラボノイド誘導体(すなわち、式I、II、IIIまたはIVの化合物)は、場合により、本明細書に記載される疾患または状態の処置を必要とする個体において、本明細書に記載される疾患または状態のいずれかを処置するための薬剤の調製において使用され、少なくとも1つの式I、II、IIIもしくはIVの化合物または製薬学的に許容し得る塩を含有する医薬組成物を前記個体に治療有効量で投与することを含む。
【0122】
患者の状態が改善されない場合において、癌を緩和し、または別の方法で制御もしくは制限するために、医師の判断により、イソフラボノイド誘導体(例えば、式I、II、IIIまたはIVの化合物)の投与を、場合により慢性的におよび/またはより多い用量で継続する。
【0123】
患者の状況が改善する場合において、医師の判断により、イソフラボノイド誘導体(例えば、式I、II、IIIまたはIVの化合物)の投与を、場合により継続して行う;あるいは、投与する薬物の用量を、所定の時間一時的に減らすか、または一時的に止める(すなわち、「休薬期間」)。休薬期間の長さは、場合により、2日〜1年の間で変化し、ほんの一例として、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20日、28日、35日、50日、70日、100日、120日、150日、180日、200日、250日、280日、300日、320日、350日または365日が挙げられる。休薬期間の間の用量の減少としては、10%〜100%が挙げられ、ほんの一例として、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%が挙げられる。
【0124】
幾つかの実施形態において、患者の状態が改善された場合、必要に応じて維持量が投与される。その後、投与量もしくは投与頻度またはその両方を、癌の進行に応じて、改善された状態が保持されるレベルに減少する。幾つかの実施形態において、患者は、症状の再発および/または再発により、長期間の間欠的処置を必要とする。
【0125】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は、正確な投与量の単回投与に適切な単位剤形である。単位剤形において、製剤は、適切な量の1つもしくはそれ以上の式I、II、IIIまたはIVの化合物を含有する単位用量に分割される。幾つかの実施形態において、単位投与量は、別個の量の製剤を含有するパッケージの形態である。非限定的な例は、パッケージされた錠剤またはカプセル、およびバイアルまたはアンプル中の粉末である。幾つかの実施形態において、水性懸濁組成物を、単回投与用再密封不可容器にパッケージする。あるいは、複数回投与用再密封可能容器を使用し、この場合、典型的には、組成物中に防腐剤を含める。ほんの一例として、非経口注入用製剤を、単位剤形で、例えば以下に限定されないが、防腐剤を加えたアンプルまたは複数回投与用容器で提供する。
【0126】
化合物に適切な1日投与量は、約0.1mg〜約3000mgであり、便宜上、例えば以下に限定されないが、1日最大4回の分割投与で投与されるか、または持続放出製剤で投与される。経口投与に適切な単位剤形としては、約0.1〜1000mgの有効成分、約0.1〜500mgの有効成分、約1〜250mgの有効成分、約1〜約100mgの有効成分、約1〜約75mgの有効成分、約1〜約50mgの有効成分、約1〜約30mgの有効成分、約1〜約20mgの有効成分、または約1〜約10mgの有効成分が挙げられる。このような投与量は、場合により、多数の変数、例えば以下に限定されないが、使用する化合物の活性、投与方法、個体の要求、処置する疾患または状態の重症度および施術者の判断に応じて変化する。
【実施例】
【0127】
実施例1.化合物31(スキーム3)の合成および評価
化合物35。ステンレス鋼反応器中、アルミナ担持10%パラジウム触媒および0.5barの水素圧力を用いて、エタノールおよび1M水酸化カリウム溶液中で、ダイゼインを水素化した。水素化過程の完了後、この物質をろ過し、1M酢酸でpHを6.96に調整したグラスライニング軟鋼反応器に入れた。得られたスラリーを水でさらに希釈し、次いでろ過して、化合物35を得た。生成物を真空オーブン中、60℃で乾燥させた。
【0128】
化合物36。グラスライニング軟鋼反応器に化合物35、イミダゾール、N,N−ジメチルホルムアミドを入れ、30分間撹拌することによって、化合物35をビス−tert−ブチルジメチルシロキシ付加物として保護した。次いで、tert−ブチルジメチルシリルクロリドをこの溶液に添加した。この過程の完了時に、水を含むグラスライニング軟鋼反応器にこの物質を移した。得られたスラリーをヌッチェフィルターでろ過した。生成物を真空下、50℃で乾燥させた。
【0129】
化合物37。ステンレス鋼反応器にマグネシウム、THFを入れ、1,2−ジブロモエタンで反応を開始させ、次いで、THFに溶解させた4−ブロモアニソールを添加することによって、グリニャール反応を完了させた。次いで、化合物36をTHFに溶解させた溶液を、温度を35℃未満に維持しながら45分間かけて添加した。反応終了時に、過剰のマグネシウムをろ過して除去し、混合物を塩化アンモニウム溶液でクエンチした。相分離した後に、有機層を真空で蒸発させて、最小容量にした。得られた物質をエタノールに溶解させ、変換が完了するまで加熱して還流した。次いで、混合物を0℃に冷却し、生成物をろ過によって回収した。生成物を窒素気流下で乾燥させた。
【0130】
化合物38。ステンレス鋼反応器にTHF、アルミナ担持10%パラジウム触媒および化合物37を入れることによって、アルケン部分を水素化した。完全に変換するまで、混合物を大気圧の水素下で撹拌した。混合物をろ過し、次の工程に直接持ち越した。
【0131】
化合物39。THFに溶解させた化合物38をステンレス鋼反応器に移すことによって、脱保護した。フッ化カリウムを水に溶解させ、反応器に添加した。変換が完了するまで、混合物を還流で加熱した。THFを蒸留して除去し、水層を酢酸エチルで2回抽出した。有機抽出物を一緒にし、塩化カルシウム(35%水溶液)で2回洗浄した。有機層を水で4回洗浄し、溶媒を真空で減少させた。エタノールを添加し、溶液を冷却して、結晶化した。得られた固体をろ過によって回収した。生成物を85%湿度の窒素気流下で乾燥させた。
【0132】
化合物32。化合物39を還流クロロホルムに溶解させ、グラスライニング反応器中、三臭化ホウ素をクロロホルムに溶解させた1M溶液に添加した。完了するまで反応物を撹拌し、次いで、水でクエンチした。3N NaOHで混合物のpHを12以上に調整し、有機層を除去した。酢酸エチルを水溶液に添加し、2N HClでpHを5.5〜6.5に調整し、水相を除去した。有機溶液を水で洗浄し、次いで飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、真空で濃縮した。残留物をイソプロパノールに溶解させ、真空で濃縮した。イソプロパノールおよびヘプタンから、物質を再結晶した。生成物を真空下、50℃で乾燥させた。
【0133】
化合物31。Thar SFC−350システムおよびChiralpak AS−Hカラムを使用して、超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)によって、キラル分離を行った。化合物32を、イソプロパノールおよびエタノールの混合物に溶解させ、積層注入順序でカラムに部分的に適用し、イソプロパノール、エタノールおよび超臨界CO
2の混合物で溶出させた。化合物31を含有する溶出液を回収し、真空で濃縮した。残留物をエタノールに溶解させ、真空で濃縮し、これを3回行って、残存イソプロパノールをエタノールで置換した。生成物をミルし、窒素パージの真空下、60℃で乾燥させた。化合物31のd−鏡像異性体が95%超の純度で得られた。化合物31の旋光度を測定したところ、27℃で+24°(c=1、エタノール中)であった(鏡像異性体過剰率99%)。
スキーム3
【化18】
【0134】
実施例2.化合物
本明細書に記載される化合物はいずれも、スキーム1、2または3に示される例示的な合成にしたがって合成され得る。以下の非限定的な化合物について、
1H NMRのデータを示す。
【0135】
化合物3
1H NMR(400MHz,d
6−DMSO)δ9.32(s,1H);9.19(s,1H);6.82(m,1H);6.65(m,1H);6.56−6.50(m,4H);6.41(m,1H);6.36(m,1H);6.31(m,1H);6.28(m,1H);4.23(m,1H);4.17(m,1H);4.12(m,1H);3.43(m,1H);2.01(s,3H).
【0136】
化合物4
1H NMR(400MHz,d
6−DMSO)δ9.32(s,1H);9.19(s,1H);6.87(m,1H);6.65(m,1H);6.60−6.52(m,4H);6.35(m,1H);6.30(m,1H);6.28(m,1H);6.24(m,1H);4.23(m,1H);4.18(m,1H);4.14(m,1H);3.73(s,3H);3.43(m,1H).
【0137】
化合物5
1H NMR(400MHz,d
6−アセトン)δ8.24(s,1H);8.16(s,1H);8.10(s,1H);6.62(m,2H);6.58(m,2H);6.54(m,3H);6.44(m,2H);6.39(m,1H);4.38(m,1H);4.20(m,1H);4.14(m,1H);3.42(m,1H);2.13(s,3H).
【0138】
化合物6
1H NMR(400MHz,d
6−アセトン)δ8.23(s,1H);8.09(s,1H);7.99(s,1H);6.63(m,2H);6.57(m,2H);6.54(m,2H);6.51(m,1H);6.38(m,1H);6.33(m,1H);4.38(m,1H);4.20(m,1H);4.11(m,1H);3.40(m,1H);2.13(s,3H),1.98(s,3H).
【0139】
化合物7
1H NMR(400MHz,d
6−アセトン)δ8.10(s,2H);6.63(m,2H);6.61(m,1H);6.57(m,2H);6.54(m,1H);6.41(m,1H);6.38(m,1H);6.36(m,1H);4.38(m,1H);4.21(m,1H);4.14(m,1H);3.73(s,3H);3.42(m,1H);2.14(s,3H),1.95(s,3H).
【0140】
化合物8
1H NMR(400MHz,d
6−DMSO)δ6.65(m,1H);6.58(m,2H);6.47(m,2H);6.34(m,1H);6.17(s,2H);4.58(s,1H);4.53(s,1H);4.33(m,1H);4.20(m,1H);4.07(m,1H);3.62(s,3H);3.44(m,1H);2.18(s,3H);2.05(s,6H).
【0141】
化合物9
1H NMR(400MHz,d
6−CDCl
3)δ6.69(s,1H);6.23(m,3H);6.51(m,2H);6.39−6.34(m,3H);4.62(s,1H);4.59(s,1H);4.34(m,1H);4.25(m,1H);4.16(m,1H);3.49(m,1H);2.19(s,3H);2.06(s,3H).
【0142】
化合物10
1H NMR(400MHz,d
6−DMSO)δ9.17(s,1H);6.88(m,1H);6.56−6.50(m,4H);6.49(m,1H);6.34(m,2H);6.24(m,1H);6.26(m,1H);4.22(m,1H);4.18(m,1H);3.04(s,3H);3.42(m,1H);2.04(s,3H).
【0143】
化合物32
1H NMR(400MHz,d
6−アセトン)δ8.33(s,1H);8.26(s,1H);8.19(s,1H);6.71(m,1H);6.63(m,2H);6.58(m,2H);6.55(m,2H);6.45(m,2H);6.39(m,1H);6.35(m,1H);4.34(m,1H);4.14(m,1H);4.12(m,1H);3.42(m,1H).
【0144】
実施例3:癌細胞に対する抗増殖活性についてのin vitro試験
組織培養。多剤耐性原発性上皮性卵巣癌細胞株R−182TARAは、Dr.Gil Mor(Yale University,New Haven,CT,USA)からのギフトであった。卵巣腫瘍からの移植によってこの細胞株を誘導し、以前に記載されているように培養した。MKN1、HuH−7、JHH−1はJapanese Collection of Research Bioresources(JCRB,Osaka,Japan)から購入し、OE19はEuropean Collection of Cell Cultures(ECACC,Salisbury,UK)から購入し、これら以外のその他の細胞株はすべて、American Type Culture Collection(ATCC,Manassas,VA,USA)から購入した。
【0145】
2mM L−グルタミン(Gibco)、1mMピルビン酸ナトリウム(Sigma)、10mM HEPES(Sigma)および4500mg/Lグルコース(Sigma)を補充した2g/L重炭酸ナトリウム含有RPMI1640培地(Hyclone Invitrogen)で、ヒト非小細胞肺腺癌株NCI−H1299(CRL−5803)、NCI−H460(HTB−177)、NCI−H358(CRL−5807)、NCI−H838(CRL−5844)、ヒト結腸直腸腺癌株COLO205(CCL−222)、HCT−15(CCL−225)およびヒト胃癌細胞株NCI−N87(CRL−5822)を培養した。5%ウシ胎仔血清(FBS)、さらなる2mM L−グルタミン、15mM HEPES、0.005mg/mlインスリン(Sigma)、0.01mg/mlトランスフェリン(Sigma)、30nM亜セレン酸ナトリウム(Sigma)、10nMヒドロコルチゾン(Sigma)および10nMβ−エストラジオール(Sigma)を補充した2.5mM L−グルタミン、2.4g/L重炭酸ナトリウム含有DMEM:F12(1:1)(Hyclone/Invitrogen)で、ヒト非小細胞肺腺癌株NCI−H2126(CCL−256)を培養した。2mM L−グルタミンを補充したRPMI1640培地で、ヒト結腸直腸腺癌株HT−29(HTB−38)ならびにヒト胃癌細胞株OE−19(#96071721)およびMKN1(JCRB0252)を培養した。
【0146】
1.5mM L−グルタミンおよび2.2g/L重炭酸ナトリウム含有McCoy’s5a培地(Invitrogen)で、ヒト結腸直腸腺癌株HCT−116(CCL−247)およびヒト乳腺腺癌株SK−BR−3(HTB−30)を培養した。2.05mM L−グルタミン含有Leibovitz’s L−15培地(Invitrogen)で、ヒト結腸直腸腺癌株SW620(CCL−227)を培養した。
【0147】
1mMピルビン酸ナトリウムおよび0.1mM非必須アミノ酸を補充した2mM L−グルタミン、2.2g/L重炭酸ナトリウム含有最小必須Eagles培地で、ヒト肝細胞癌株HepG2(HB−8065)、SK−HEP−1(HTB−52)および正常ヒト肺線維芽細胞株IMR−90(CCL−186)を培養した。2mM L−グルタミンを補充した2.2g/L重炭酸ナトリウム含有Williams E培地(Invitrogen)で、ヒト肝細胞癌株JHH−1(JCRB1062)を培養した。2mM L−グルタミンを補充したDMEMで、肝細胞癌株HuH−7(JCRB0403)を培養した。
【0148】
2mM L−グルタミン、2.5g/L重炭酸ナトリウムおよび2mMピルビン酸ナトリウム含有Hams F−12K(Kaighans改変)培地で、ヒト胃癌細胞株AGS(CRL−1739)を培養した。さらなる2mM L−グルタミンを補充した2.5mM L−グルタミン、2.4g/L重炭酸ナトリウム含有DMEM:F12(1:1)培地で、ヒト乳腺腺癌株MDA−MB−468(HTB−132)を培養した。
【0149】
10%FBS(特に明記しない限り)、ペニシリン(100U/ml)およびストレプトマイシン(100μg/ml)をすべての培養液に補充し、SW−620を標準の加湿空気中、37℃で培養した以外は、5%CO
2の加湿空気中、37℃で培養した。
【0150】
増殖アッセイ。各細胞株について、IC
50値を決定した。細胞を、成長速度分析から決定した適切な細胞密度で96ウェルプレートに播種し、試験化合物の非存在下および存在下で5日間培養した。製造業者の説明書にしたがって20μlの3−4,5ジメチルチアゾール−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT、PBS中5mg/ml、Sigma)を37℃で5時間かけて添加した後に、細胞増殖を評価した。x軸の対数用量に対するy軸の%対照増殖の片対数プロットから、IC
50値を算出した。
【0151】
イソフラボノイド誘導体の抗増殖活性。120時間暴露した後の各細胞株について、IC
50値を決定した。
【表1】
【0152】
実施例4:化合物31の抗増殖活性についてのin vitro試験
化合物31(d−異性体)は、120時間の暴露の間中、ラセミ体(化合物32)およびl−型(化合物33)と比較して、種々の癌細胞に対して優れた抗増殖活性を示した。活性のデータを表2に示す。
【化19】
【表2】
【0153】
実施例5:化合物31と癌治療との組み合わせについてのin vitro評価
正常細胞および癌細胞におけるin vitro毒性。細胞を、成長速度分析から決定した適切な細胞密度で96ウェルプレートに播種した。個々の細胞株のプレート効率および誘導期に応じて、細胞を薬物暴露前にプレートした。内部実験的な単剤対照を含めて、各細胞株について得られたIC
50値が前記IC
50の決定と適合することを確認した。4つのアナログ濃度を各分析で使用した。各アッセイで使用したアナログ濃度は、IC
50値(これが、使用した最大アナログ濃度となった)に基づいて選択した。それに続く濃度は、使用した最大アナログ濃度の単純な1/2または1/10希釈に基づいて選択した(すなわち、2、1、0.5、0.25μM)。化学療法薬の最大濃度を50μMにして、化学療法薬の9個の1/10連続希釈物を使用した。
【0154】
複合分析のために、成長培地において、化学療法薬の1/10連続希釈物により、アナログ濃度を一定に維持した(使用した化学療法薬の最大濃度は50μMであった)。複合培養物を5日間培養した。
【0155】
プレートした細胞を単一の薬剤に順番に24時間暴露することによって、化学療法薬のIC
50値に対する各薬剤の投与順序の効果を評価した。イソフラボノイド誘導体→化学療法薬の順序を評価するために、最初に、プレートした細胞を適切なアナログ濃度に暴露し、37℃で24時間インキュベーションした。細胞を成長培地で洗浄し、次いで、適切な化学療法薬濃度に暴露し、24時間インキュベーションした。次いで、細胞を洗浄し、さらに3日間インキュベーションした。化学療法薬→イソフラボノイド誘導体の順序を評価するために、この手順を入れ換えた。
【0156】
製造業者の説明書にしたがって20μlの3−4,5ジメチルチアゾール−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT、PBS中2.5mg/ml、Sigma)を37℃で3〜4時間かけて添加した後に、細胞増殖を評価した。x軸の対数用量に対するy軸の%対照増殖の片対数プロットから、IC
50値を算出した。
【0157】
薬物Aと薬物Bとの間の細胞毒性相互作用の3−Dモデル分析により、2つの薬物を組み合わせた予測阻害効果を3次元で表示して、相乗作用または拮抗作用の実際の領域を明らかにすることができる。3D相乗作用プロットは、Kanzawaらによって要約されている「理論的相加性」(TAまたは観察された相乗作用)の理論に基づいている。薬物が相互排他的な阻害剤であると仮定した以下の式
【数1】
式中、(f
a)A=薬物Aが影響を与えた細胞の割合
(f
b)B=薬物Bが影響を与えた細胞の割合
を使用して、単剤療法としての薬物Aおよび薬物Bの細胞毒性から、理論的相加性を算出した。
【0158】
薬物濃度の各組み合わせについてTAを算出し、各組み合わせについて観察された実験効果から差し引き、相乗作用または増強された作用の測定結果を得る。正の差は、2つの薬物を一緒に投与した場合に、薬物の組み合わせが、理論上予測されるよりも多くの細胞に影響を与えていることを示す(したがって、相乗作用)。負の差は、理論上予測されるよりも少ない細胞が影響を受けたことを示す(したがって、拮抗作用)。
【0159】
相乗作用を評価するために、コンビネーションインデックス(CI)分析(これは、薬物用量を細胞毒性に関連付ける半有効原理を使用する)も使用した。半有効方程式を利用して、細胞の「x」パーセントを阻害する薬物の用量を算出する(Chou and Talalay,1984)。
【数2】
【0160】
式中、Dは薬物の用量であり、Dmは半分の効果を表す効力であり、faは用量が影響を与えた割合であり、mは用量効果曲線のシグモイド曲線性である。
【0161】
次いで、相互非排他的な作用機序(D)1および(D)2の2つの薬物について、
【数3】
のようにCIを算出する。
【0162】
光学活性化合物31とカルボプラチンとの組み合わせのin vitro評価。組み合わせ試験には、24時間の同時暴露計画および24時間の順次暴露(ラセミ化合物32→カルボプラチン)計画の両方を使用した。両試験において、4つのアナログ濃度(0.25、0.5、1および5μM)を、滴定したカルボプラチンに対して一定に維持した。1および5μMの化合物32を、本試験で使用した最小濃度のカルボプラチン(0.4μM)と組み合わせて評価したところ、高レベルの細胞死滅が観察されたことにより(対照の30〜40%)、カルボプラチンのIC
50は達成されなかった。このデータは、0.5μMの化合物32を含めることにより、暴露計画に応じてカルボプラチンの抗癌作用が7〜11倍増強され、0.25μMの化合物32を使用した場合はほぼ1.5〜2倍増強されたことを示している。
【0163】
化合物31−カルボプラチンの組み合わせを、0.5、1および5μMの化合物31と本試験で使用した最小濃度のカルボプラチン(0.4μM)で評価したところ、対照の25〜40%で高い細胞死滅レベルが観察されたことにより、カルボプラチンのIC
50は達成されなかった。このデータは、暴露計画に応じて、0.25μMの化合物31を含めることにより、カルボプラチンの抗癌作用が7〜11倍増強されたことを示している。
【0164】
Kanzawaの3D方法を使用して、0.5μMの化合物32と12.5μMのカルボプラチンとの組み合わせが、各対照と比較して最大レベルの細胞増殖阻害をもたらしたことを見出した。この効果は、1.5〜100μMの濃度範囲のカルボプラチン(暴露計画に依存する)およびすべての濃度の化合物32で観察された。それと比較して、化合物31とカルボプラチンの間の最大活性増強もまた、12.5μMのカルボプラチンと2倍希釈の化合物31(0.25μM)で観察された。活性増強が観察された濃度範囲は、化合物32で観察された濃度範囲ほど広くはないが(特に、より高濃度の化合物31において)、これは、化合物31の効力が1および5μMでより高いことに起因する。このデータは、A2780卵巣癌細胞に対するカルボプラチンの毒性を増大させる能力の点で、化合物31が化合物32と比較して優れていることを示している。化合物33は、カルボプラチンと組み合わせてA2780細胞株に対して評価した場合に、いかなる活性増強または拮抗作用ももたらさなかったことに留意することが重要である。
【0165】
実施例6:卵巣癌細胞(A2780)においてカルボプラチンの毒性を増大させる化合物31および化合物34の相対的効力。
A2780細胞を0.25μMの化合物31、続いてカルボプラチンに順次暴露(24時間)したところ、A2780細胞増殖の遅延は、化合物34(0.25μM)と比較して優れていた。同様に、A2780細胞を、カルボプラチンと組み合わせて0.5μMの化合物31に暴露したところ、増殖阻害効力がさらに増強され、この効力は0.5μMの化合物34で観察された効力よりも優れていた。これらのデータは、化合物31−カルボプラチンの組み合わせが、化合物34−カルボプラチンの組み合わせと比較して、A2780癌細胞増殖を阻害するのにより有効であることを実証している。
【化20】
【0166】
実施例7.化合物31の静脈注射用組成物
化合物31をCaptisol(登録商標)の8%水溶液(すなわち、10mg/mLの比率であり、これは、25℃におけるその溶解限度27.9mg/mL(20%Captisol(登録商標))を大きく下回っている)に溶解させる。製剤化を無菌条件下で行う。0.22ミクロンのフィルターに通して最終ろ過することによって、滅菌を達成する。
【0167】
実施例8.化合物5の静脈注射用組成物
以下の一般的な手順にしたがって、本発明の例示的な製剤を作製する。SBE7−β−CDを水に溶解させて、約30%w/vのシクロデキストリンを含有する溶液を形成させる。化合物5の濃度が約35mg/mLに達するまで、化合物5をSBE7−β−CD含有溶液に添加する。動物およびヒトの臨床試験で評価した製剤であって、以下の成分を表示量で含有する製剤を、上記のように調製する。溶液のpHは調整せず、酸化防止剤または防腐剤は含めない。
【0168】
実施例9.化合物6の静脈注射用組成物
SBE7−β−CDを水に溶解させて、約30%w/vのSBE7−β−CDを含有する溶液を形成させる。エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムをSBE7−β−CD溶液に0.01%w/vで添加し、溶解させる。化合物6の濃度が約35mg/mLに達するまで、化合物6をSBE7−β−CD含有溶液に撹拌しながら添加する。水酸化ナトリウムでpHを7〜8.5に調整する。この溶液を窒素ガスでパージし、次いで投与前に、孔径0.22ミクロンのフィルターに通してろ過する。
【0169】
実施例10:乳癌の処置
乳癌治療に関するイソフラボノイドの安全性および/または効果についてのヒト臨床試験
【0170】
目的:化合物5、6、7、d−5、d−6、d−7または31を含有する投与組成物の安全性および薬物動態を比較するため。
【0171】
試験計画:本試験は、第I相、単一中心、非盲検、無作為用量漸増試験、次いで乳癌患者での第II相試験にする予定である。患者は、試験に入る前に化合物に暴露されていてはならない。患者は、試験開始の2週間以内にその癌について処置を受けていてはならない。処置は、化学療法、造血増殖因子、および生物学的療法、例えばモノクロナール抗体の使用を含む。患者は、これまでの処置に付随するすべての毒性から回復していなければならない(グレード0または1まで)。被験者はすべて、安全性について評価され、薬物動態分析用のすべての血液採取が、計画されたように採取される。すべての試験は、施設倫理委員会の承認および患者の同意を受けて行われる。
【0172】
第I相:患者に、各28日サイクルの1日目、8日目および15日目に化合物5、6、7、d−5、d−6、d−7または31を静脈内投与する。化合物5、6、7、d−5、d−6、d−7または31の用量は、以下に要約する評価に基づいて、保持し得るか、または毒性により変更し得る。処置は、許容できない毒性がない状態で28日毎に反復する。患者3〜6人の群に、漸増用量の化合物を、化合物について最大耐量(MTD)が決定されるまで投与する。MTDは、患者3人のうちの2人、または6人のうちの2人が用量制限毒性を経験する用量に先立つ用量として定義される。用量制限毒性は、米国国立癌研究所(the National Cancer Institute)(NCI)有害事象共通用語(Common Terminology for Adverse Events)(CTCAE)バージョン3.0(2006年8月9日)によって設定された定義および基準にしたがって決定される。
【0173】
第II相:患者に、化合物5、6、7、d−5、d−6、d−7または31を、第I相におけるように第I相で決定されたMTDで投与する。処置は、疾患の進行または許容できない毒性がない状態で4週毎に2〜6コース反復する。2コースの試験療法の完了後に、完全寛解または部分寛解を達成している患者は、さらに4コースを受け得る。6コースの試験療法の完了後2ヶ月を越える期間安定な疾患を維持している患者は、独自の適格基準を満たすという条件で、疾患の進行の時点でさらに6コースを受け得る。
【0174】
血液採取、化合物の投与の前後に直接静脈穿刺によって連続的血液を採取する。血清濃度の測定用の静脈血試料(5mL)は、投与の約10分前に採取しかつ投与後のほぼ次の時間、1日目、8日目および15日目に採取する。それぞれの血清試料を、2つのアリコートに分ける。すべての血清試料を−20℃で保存する。血清試料は、ドライアイスに乗せて運搬する。
【0175】
薬物動態:患者から、処置開始前ならびに1日目、8日目および15日目に薬物動態評価用の血漿/血清試料の採取を行う。Digital Equipment Corporation VAX8600コンピューターシステムで、BIOAVLソフトウェアの最新バージョンを使用して、モデルに依存しない方法で薬物動態パラメーターを算出する。次の薬物動態パラメーター:最大血清濃度(C
max);最大血清濃度までの時間(t
max);線形台形則を使用して算出される時間0から最終血液採取時間まで(AUC
0−72)の濃度−時間曲線下面積(AUC);および消失速度定数から計算される最終排出半減期(t
1/2)を測定する。排出速度定数は、対数直線濃度−時間プロットの最終線形領域における連続したデータポイントの直線回帰によって推定される。平均、標準偏差(SD)、および薬物動態パラメーターの変動係数(CV)は、それぞれの処置について算出される。パラメーター平均の比(保存製剤/非保存製剤)を算出する。
【0176】
併用療法に対する患者の反応:患者の反応は、X線、CTスキャンおよびMRIを用いた画像化によって評価し、画像化は、試験の開始前および最初のサイクルの終了時に行い、追加の画像化は、4週毎にまたはその後のサイクルの終了時に行う。画像診断法は、癌の種類および実現可能性/利用可能性に基づいて選択され、同じ画像診断法は、類似の癌の種類についておよびそれぞれの患者の試験コース全体を通じて利用される。反応率は、RECIST基準を使用して測定される。(Therasse et al,J.Natl.Cancer Inst.2000 Feb2;92(3):205−16;http://ctep.cancer.gov/forms/TherasseRECISTJNCI.pdf)。また患者について癌/腫瘍生検を行い、フローサイトメトリー、ウエスタンブロッティングおよびIHCによって前駆癌細胞表現型およびクローン性増殖の変化を評価しかつFISHによって細胞遺伝学の変化について評価する。試験処置の終了後に、患者を定期的に4週間追跡する。
【0177】
実施例11:卵巣癌の処置
卵巣癌治療に関するイソフラボノイドの安全性および/または効果についてのヒト臨床試験
【0178】
目的:化合物5、6、7、d−5、d−6、d−7または31を含有する投与組成物の安全性および薬物動態を比較するため。
【0179】
試験計画:本試験は、第I相、単一中心、非盲検、無作為用量漸増試験、次いで卵巣癌患者での第II相試験にする予定である。患者は、試験に入る前に化合物に暴露されていてはならない。患者は、試験開始の2週間以内にその癌について処置を受けていてはならない。処置は、化学療法、造血増殖因子、および生物学的療法、例えばモノクロナール抗体の使用を含む。患者は、これまでの処置に付随するすべての毒性から回復していなければならない(グレード0または1まで)。被験者はすべて、安全性について評価され、薬物動態分析用のすべての血液採取が、計画されたように採取される。すべての試験は、施設倫理委員会の承認および患者の同意を受けて行われる。
【0180】
第I相:患者に、各28日サイクルの1日目、8日目および15日目に化合物5、6、7、d−5、d−6、d−7または31を静脈内投与する。化合物の用量は、以下に要約する評価に基づいて、保持し得るか、または毒性により変更し得る。処置は、許容できない毒性がない状態で28日毎に反復する。患者3〜6人の群に、漸増用量の化合物を、化合物について最大耐量(MTD)が決定されるまで投与する。MTDは、患者3人のうちの2人、または6人のうちの2人が用量制限毒性を経験する用量に先立つ用量として定義される。用量制限毒性は、米国国立癌研究所(the National Cancer Institute)(NCI)有害事象共通用語(Common Terminology for Adverse Events)(CTCAE)バージョン3.0(2006年8月9日)によって設定された定義および基準にしたがって決定される。
【0181】
第II相:患者に、化合物5、6、7、d−5、d−6、d−7または31を、第I相におけるように第I相で決定されたMTDで投与する。処置は、疾患の進行または許容できない毒性がない状態で4週毎に2〜6コース反復する。2コースの試験療法の完了後に、完全寛解または部分寛解を達成している患者は、さらに4コースを受け得る。6コースの試験療法の完了後2ヶ月を越える期間安定な疾患を維持している患者は、独自の適格基準を満たすという条件で、疾患の進行の時点でさらに6コースを受け得る。
【0182】
血液採取、化合物の投与の前後に直接静脈穿刺によって連続的血液を採取する。血清濃度の測定用の静脈血試料(5mL)は、投与の約10分前に採取しかつ投与後のほぼ次の時間:1日目、8日目および15日目に採取する。それぞれの血清試料を、2つのアリコートに分ける。すべての血清試料を−20℃で保存する。血清試料は、ドライアイスに乗せて運搬する。
【0183】
薬物動態:患者から、処置開始前ならびに1日目、8日目および15日目に薬物動態評価用の血漿/血清試料の採取を行う。Digital Equipment Corporation VAX8600コンピューターシステムで、BIOAVLソフトウェアの最新バージョンを使用して、モデルに依存しない方法で薬物動態パラメーターを算出する。次の薬物動態パラメーター:最大血清濃度(C
max);最大血清濃度までの時間(t
max);線形台形則を使用して算出される時間0から最終血液採取時間まで(AUC
0−72)の濃度−時間曲線下面積(AUC);および消失速度定数から計算される最終排出半減期(t
1/2)を測定する。排出速度定数は、対数直線濃度−時間プロットの最終線形領域における連続したデータポイントの直線回帰によって推定される。平均、標準偏差(SD)、および薬物動態パラメーターの変動係数(CV)は、それぞれの処置について算出される。パラメーター平均の比(保存製剤/非保存製剤)を算出する。
【0184】
併用療法に対する患者の反応:患者の反応は、X線、CTスキャンおよびMRIを用いた画像化によって評価し、画像化は、試験の開始前および最初のサイクルの終了時に行い、追加の画像化は、4週毎にまたはその後のサイクルの終了時に行う。画像診断法は、癌の種類および実現可能性/利用可能性に基づいて選択され、同じ画像診断法は、類似の癌の種類についておよびそれぞれの患者の試験コース全体を通じて利用される。反応率は、RECIST基準を使用して測定される。(Therasse et al,J.Natl.Cancer Inst.2000 Feb2;92(3):205−16;http://ctep.cancer.gov/forms/TherasseRECISTJNCI.pdf)。また患者について癌/腫瘍生検を行い、フローサイトメトリー、ウエスタンブロッティングおよびIHCによって前駆癌細胞表現型およびクローン性増殖の変化を評価しかつFISHによって細胞遺伝学の変化について評価する。試験処置の終了後に、患者を定期的に4週間追跡する。