(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
工程(a)で共重合される前記混合物における第1の共重合性モノマーと第2の共重合性モノマーとのモル比(mol(第1の共重合性モノマー)/mol(第2の共重合性モノマー))が、100/5〜5/100の範囲内である、請求項1に記載の方法。
工程(b)における前記カップリング反応が、アミド結合、尿素結合又はチオ尿素結合から選択される結合を形成する付加反応又は縮合反応である、請求項1又は2に記載の方法。
前記第2の共重合性モノマーの前記第2の重合性有機部分が、置換されていてもよい(メタ)アクリルアミド部分及び保護されていてもよい置換(メタ)アクリル酸の群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
前記第1の共重合性モノマー及び第2の共重合性モノマーのカルボン酸基に対する保護基が、トリアルキルシリル基、アルキル基及びアリールアルキル基から選択されるか、又は前記第1の共重合性モノマー及び第2の共重合性モノマーのアミノ基に対する保護基が、アシル基、アリールアルキル基、アルコキシカルボニル基及びアリールオキシカルボニル基から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
カルボン酸に対する前記保護基が、tert−ブチル基及びベンジル基から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法、又は、前記第1の共重合性モノマーが、tert−ブチルアクリレート及びベンジルアクリレートから選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
前記第2の共重合性モノマーが、アリルアミン、アミノプロピルビニルエーテル、アミノエチルビニルエーテル、N−ビニルホルムアミド、及び2−アミノメチルアクリル酸から選択される、請求項1〜3及び5〜10のいずれか一項に記載の方法。
【背景技術】
【0003】
国際公開第03011232号(特許文献1)は、重合体酸無水物等の材料を、酸又は酸無水物に対して反応性である基を含有するとともに所望の重合性官能基をもたらすと考えられる1つ又は複数のビニル基を含有するモノマーと部分的に反応させることによって1つの方法で形成することができる、複数の酸性繰り返し単位及び複数の重合性ビニル基を有するポリマーを含有する、樹脂変性グラスアイオノマーセメントを開示している。酸又は酸無水物に対して反応性である基は、重合体前駆体において酸ユニット又は無水物ユニットと反応し、得られる反応生成物中にペンダントビニル基をもたらすことにより、加水分解性ポリマーが得られる。別の方法では、α,β−不飽和カルボン酸と1つ又は複数のかかるペンダントビニル基を含有する好適なα,β−不飽和モノマーとを共重合させることを伴うため、架橋生成物を回避することができない。
【0004】
国際公開第03061606号(特許文献2)は、3つのカルボン酸モノマーをベースとして得ることができ、このうちの2つがアクリル酸及びイタコン酸であり、3つ目のモノマーがアミノ酸のアクリロイル誘導体又はメタクリロイル誘導体であるため、重合性ペンダント基が加水分解に対して安定な連結基により骨格に連結されない重合性アイオノマーを含有する、アイオノマーセメントを開示している。
【0005】
歯科用修復材料は、エナメル質及び/又は象牙質の物理的損傷又は齲蝕に関連する欠損によって損なわれる歯の構造の機能、形態及び完全性を修復することで知られている。歯科用修復材料は、間接的修復材料及び直接的修復材料という2つの種類に分類することができる。
【0006】
インレー、アンレー、クラウン又はブリッジ等の間接的修復材は、歯科用レジンセメント等の特定の歯科用組成物により、損傷を受けた残りの歯の硬組織に接着される。修復材の適切な接着は通常、前処理工程としてプライマーの塗布を必要とする。
【0007】
歯科用コンポジット等の直接的修復材料は、歯の表面上に直接塗布され、続いてその場で硬化される。しかしながら、直接的修復材は、接着強度を増強させるために接着剤又はプライマーによる前処理を必要とすることが多い。
【0008】
全ての歯科用修復材に共通していることは、それらが、特に長期間にわたる、高い生体適合性、口腔内で見られる厳しい条件に対する耐性を必要とすることである。
【0009】
ケイ酸塩ガラス粉末とポリアルケン酸との間の酸−塩基反応によって硬化するグラスアイオノマーセメント(GIC)は、高い生体適合性、歯の硬組織に対する良好な直接接着性、及びフッ化物イオンの放出による抗齲蝕特性をもたらし、直接的歯科用修復材料として広く使用されている。
【0010】
しかしながら、従来のグラスアイオノマーセメントは小さい曲げ強度特性に起因して比較的脆性である。機械的応力に対するグラスアイオノマーセメントの耐性は、グラスアイオノマーセメント用のポリマーの選択によって改善することができる。例えば、ペンダント基として重合性部分を有する、グラスアイオノマーセメント用のポリマーは、架橋して、得られるグラスアイオノマーセメントの機械抵抗を増大させることができる。
【0011】
さらに、セメント反応を目的として、及び歯の硬組織に対する歯科用組成物の接着特性をもたらすために、ポリマー中に酸性基が必要とされる。しかしながら、酸性基は、エステル基等の加水分解性基によって、ポリマー骨格に連結したペンダント官能基の加水分解を促進させる。ゆえに、歯科用組成物中に使用されるポリマーは、複数のカルボン酸基を有すると同時に、貯蔵中又は歯の硬組織に塗布される際の組成物の分解を回避するために、加水分解に対して高い安定性を有することが望ましい。
【0012】
特開2005−65902号公報(特許文献3)は、特定のカルボン酸を含有する重合性モノマーとして、芳香族基に結合する、(メタ)アクリロイル基及びカルボキシル基を有するカルボン酸化合物を含む歯科用接着剤組成物を開示している。しかしながら、エステル基を有するこのような重合性モノマーは、酸性媒体中で急速に分解する。
【0013】
Chen et al.及びNesterova et al.(Chen et al., J. Appl. Polym. Sci., 109 (2008) 2802-2807(非特許文献1)、Nesterova et al., Russian Journal of Applied Chemistry, 82 (2009) 618-621(非特許文献2))はそれぞれ、N−ビニルホルムアミドとアクリル酸及び/又はメタクリル酸とのコポリマーを開示している。しかしながら、これらの文献はいずれも、該コポリマー中への更なる重合性部分の導入について言及していない。
【0014】
特許文献1は、セメント反応後に後重合することができる水系の医療用セメント及び歯科用セメントを開示している。歯科用セメントは、2つの別個のポリマーからなり、これらのポリマーの一方はエステル結合を介してポリマーに連結するペンダント後重合性部分を有する。しかしながら、ポリマーと重合性部分との間のこのエステル結合は酸性媒体中で再度、加水開裂を受けやすい。さらに、グラスアイオノマーの架橋が、とりわけ架橋ポリマーの分子量が小さい場合に、歯科用組成物の収縮をもたらすおそれがある。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明による水溶性で加水分解に対して安定な重合性ポリマーを調製する方法は、重合性ポリマーを得るために、工程a)及び工程b)、並びに必要に応じて工程c)を含む。
【0027】
概して、グラスアイオノマーセメント用のポリマーは、カルボン酸基等のイオン性ペンダント基を含む有機高分子化合物である。ポリマーのカルボン酸基は、好適なガラス成分と反応して、歯科用材料として使用することができるグラスアイオノマーセメントを形成することができる。
【0028】
本発明による「グラスアイオノマーセメント用の重合性ポリマー」は、グラスアイオノマーセメントの形成後にポリマーの重合及び架橋を可能とし、材料の長期間の機械抵抗を増大させる1つ又は複数の重合性部分を含有するポリマーである。
【0029】
本明細書中、「水溶性」とは、少なくとも0.1g、好ましくは0.5gのポリマーが20℃の水100gに溶解することを意味する。
【0030】
「加水分解に対して安定な」とは、ポリマーが歯科用組成物等の酸性媒体中で加水分解に対して安定であることを意味する。具体的には、ポリマーは、室温においてpH3の水性媒体中で1ヶ月以内に加水分解するエステル基等の基を含有しない。
【0031】
本発明の方法の工程a)は、アミノ基を含有するコポリマーを得るために、少なくとも1つの必要に応じて保護されたカルボン酸基と第1の重合性有機部分とを含む第1の共重合性モノマーと、1つ又は複数の必要に応じて保護された第一級アミノ基及び/又は第二級アミノ基と第2の重合性有機部分とを含む第2の共重合性モノマーと、を含む混合物を共重合する工程である。混合物は更なるモノマーを含有していてもよい。
【0032】
工程a)で使用される第1の共重合性モノマーは、少なくとも1つ、好ましくは1つ〜3つ、より好ましくは1つ又は2つ、最も好ましくは1つの必要に応じて保護されたカルボン酸基を含む。
【0033】
必要に応じて保護されたカルボン酸基の保護基は、有機化学分野の当業者にとって既知のカルボキシル保護基であれば、特に制限されない(P.G.M. Wuts and T.W. Greene, Greene's Protective Groups in Organic Synthesis, 4th Edition, John Wiley and Sons Inc., 2007を参照)。好ましくは、カルボキシル保護基は、トリアルキルシリル基、アルキル基及びアリールアルキル基から選択される。より好ましくは、カルボキシル保護基はアルキル基又はアリールアルキル基から選択される。最も好ましくは、カルボキシル保護基はtert−ブチル基及びベンジル基から選択される。1つの好ましい実施形態において、カルボキシル保護基はtert−ブチル基である。
【0034】
重合性有機部分は、繰り返し構造単位又は交互構造単位のマクロ分子を形成するように、化学反応(重合)において分子を重合性有機部分と反応性のある他の分子に共有結合により連結させるのに使用することができる分子の有機部分である。好ましくは、この重合性有機部分は、エチレン性不飽和部分と同じように、炭素−炭素二重結合である。
【0035】
本発明の方法の好ましい実施形態では、第1の共重合性モノマーは、一般式(1)で表される:
【化1】
【0036】
式(1)中、R
1は、水素原子、−COOZ基、又は−COOZ基によって置換されていてもよい直鎖若しくは分岐のC
1〜6アルキル基である。好ましくは、R
1は、水素原子、−COOZ基又はメチル基である。より好ましくは、R
1は水素原子又はメチル基である。
【0037】
式(1)中、R
2は、水素原子、−COOZ基、又は−COOZ基によって置換されていてもよい直鎖若しくは分岐のC
1〜6アルキル基である。好ましくは、R
2は水素原子又は−COOZ基である。より好ましくは、R
2が水素原子である。式(1)中、点線は、R
2がcis配位又はtrans配位のいずれであってもよいことを示す。
【0038】
式(1)中、Aは、単結合、又は直鎖若しくは分岐のC
1〜6アルキレン基であり、なお、該C
1〜6アルキレン基は、アルキレン炭素鎖の2つの炭素原子間に1個〜3個のヘテロ原子を含有していてもよく、該ヘテロ原子は、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から選択され、及び/又は、該C
1〜6アルキレン基は、アルキレン炭素鎖の2つの炭素原子間に、アミド結合又はウレタン結合から選択される1個〜3個の基を含有していてもよい。好ましくは、Aは、単結合又は直鎖若しくは分岐のC
1〜6アルキレン基であり、なお、該C
1〜6アルキレン基は、アルキレン炭素鎖の2つの炭素原子間にヘテロ原子を含有していてもよく、該ヘテロ原子は、酸素原子又は窒素原子から選択され、及び/又は、該C
1〜6アルキレン基は、アルキレン炭素鎖の2つの炭素原子間に、アミド結合又はウレタン結合から選択される基を含有していてもよい。より好ましくは、Aは、単結合又は直鎖C
1〜6アルキレン基である。最も好ましくは、Aは単結合である。
【0039】
式(1)中、Zは、同じであっても異なっていてもよく、独立して、水素原子、金属イオン、カルボン酸基に対する保護基を表すか、又は、Zは、分子中に存在する更なる−COOZ基とともに分子内無水物基を形成する。金属イオンは、アルカリ金属イオン等の一価の金属イオンであってもよい。一実施形態において、Zはカルボン酸基に対する保護基である。別の実施形態では、Zは水素原子である。Zが、分子中に存在する更なる−COOZ基とともに分子内無水物基(−C(O)OC(O)−)を形成する場合、更なる−COOZ基が、イタコン酸無水物の場合と同じように好ましくはR
1上に存在し得る。
【0040】
好ましい実施形態では、Zが水素原子であり、アルカリ性環境で重合反応が行われる。代替的な好ましい実施形態では、Zが水素原子であり、第1の共重合性モノマー及び第2の共重合性モノマーのアミノ基が保護基を担持する。
【0041】
好ましくは、第1の共重合性モノマーは、保護された(メタ)アクリル酸モノマーである。より好ましくは、第1の重合性モノマーは、tert−ブチルアクリレート及びベンジルアクリレートから選択される。最も好ましくは、第1の重合性モノマーはtert−ブチルアクリレートである。
【0042】
本発明の方法の好ましい実施形態では、第2の共重合性モノマーが、一般式(2)で表される:
【化2】
【0043】
式(2)中、R
3は、水素原子、又は−COOZ’基によって置換されていてもよい直鎖若しくは分岐のC
1〜6アルキル基である。好ましくは、R
3は水素原子である。式(2)中、点線は、R
3がcis配位又はtrans配位のいずれであってもよいことを示す。
【0044】
式(2)中、Xは、保護されたアミノ基、又は保護基を担持していてもよいアミノ基で置換される、1個〜20個の炭素原子を有する炭化水素基であり、なお、該炭化水素基は1個〜6個のヘテロ原子を含有していてもよく、該ヘテロ原子は、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から選択され、及び/又は、該炭化水素基は、アミド結合又はウレタン結合から選択される基を含有していてもよく、該炭化水素基は、−COOZ’、アミノ基、ヒドロキシル基及びチオール基から選択される最大6個の基で更に置換されていてもよい。好ましくは、Xは、保護基を担持していてもよいアミノ基で置換される、1個〜20個の炭素原子を有する炭化水素基であり、なお、該炭化水素基はヘテロ原子を含有していてもよく、該ヘテロ原子は酸素原子及び窒素原子から選択され、及び/又は該炭化水素基は、アミド結合又はウレタン結合から選択される基を含有していてもよく、該炭化水素基は−COOZ’基で更に置換されていてもよい。より好ましくは、Xは、保護基を担持していてもよいアミノ基で置換される、1個〜20個の炭素原子、更に好ましくは1個〜6個の炭素原子を有する炭化水素基であり、なお、該炭化水素基は酸素原子を含有していてもよく、及び/又は該炭化水素基はアミド結合を含有していてもよく、該炭化水素基は−COOZ’基で更に置換されていてもよい。Xが保護されたアミノ基であるような特定の実施形態では、式(2)の化合物がアリルアミンであり、なお、該アミノ基が保護基を担持する。
【0045】
保護されたアミノ基又は必要に応じて保護されたアミノ基の保護基は特に制限されず、例えば、P.G.M. Wuts and T.W. Greene, Greene's Protective Groups in Organic Synthesis, 4th Edition, John Wiley and Sons Inc., 2007に記載されているような、アミノ基に対する任意の従来の保護基であってもよい。好ましくは、アミノ保護基は、アシル基、アリールアルキル基、アルコキシカルボニル基及びアリールオキシカルボニル基から選択される。より好ましくは、アミノ保護基はアシル基である。最も好ましくは、アミノ保護基がホルミル基である。
【0046】
式(2)中、Yは、水素原子、又は1個〜20個の炭素原子を有する炭化水素基であり、なお、該炭化水素基は1個〜6個のヘテロ原子を含有していてもよく、該ヘテロ原子は、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から選択され、及び/又は、該炭化水素基は、アミド結合又はウレタン結合から選択される基を含有していてもよく、該炭化水素基は、−COOZ’、アミノ基、ヒドロキシル基及びチオール基から選択される最大6個の基で更に置換されていてもよい。好ましくは、Yは、水素原子又は1個〜20個の炭素原子を有する炭化水素基であり、なお、該炭化水素基はヘテロ原子を含有していてもよく、該ヘテロ原子は酸素原子及び窒素原子から選択され、及び/又は該炭化水素基は、アミド結合又はウレタン結合から選択される基を含有していてもよく、該炭化水素基は、−COOZ’基で更に置換されていてもよい。より好ましくは、Yは、水素原子、又は1個〜20個の炭素原子、更に好ましくは1個〜6個の炭素原子を有する炭化水素基であり、該炭化水素基は酸素原子を含有していてもよく、及び/又は該炭化水素基はアミド結合を含有していてもよく、該炭化水素基は、−COOZ’基で更に置換されていてもよい。1つの好ましい実施形態において、Yは水素原子である。
【0047】
式(2)中、Z’は、同じであっても異なっていてもよく、独立して、水素原子、金属イオン、カルボン酸基に対する保護基を表すか、又は、Z’は、分子中に存在する更なる−COOZ’基とともに、分子内無水物基を形成する。一実施形態において、Z’は、カルボン酸基に対する保護基である。別の実施形態では、Z’は水素原子である。金属イオンはアルカリ金属イオン等の一価の金属イオンであってもよい。別の実施形態では、Z’は水素原子である。Zは、分子中に存在する更なる−COOZ’基とともに分子内無水物基(−C(O)OC(O)−)を形成する。
【0048】
好ましい実施形態では、Z’は水素原子であり、アルカリ性環境で重合反応が行われる。代替的な好ましい実施形態では、Z’が水素原子であり、第2の共重合性モノマーのアミノ基が保護基を担持する。
【0049】
一実施形態において、第2の共重合性モノマーは、置換されていてもよい(メタ)アクリルアミド部分及び保護されていてもよい置換(メタ)アクリル酸の群から選択される第2の共重合性有機部分を含む。別の実施形態では、第2の共重合性モノマーは、アリルアミン、アミノプロピルビニルエーテル、アミノエチルビニルエーテル、N−ビニルホルムアミド及び2−アミノメチルアクリル酸から選択される。好ましい実施形態では、第2の共重合性モノマーはアミノプロピルビニルエーテルである。アミノ基は、塩化アンモニウム等のアンモニウム塩の形態であってもよい。好ましい構造は以下のとおりであり、なお、アミノ基が保護基を担持していてもよい。
【化3】
【0050】
工程(a)で共重合される混合物における第1の共重合性モノマーと第2の共重合性モノマーとのモル比(mol(第1の共重合性モノマー)/mol(第2の共重合性モノマー))が、100:5〜5:100の範囲内、好ましくは50:5〜5:20の範囲内、より好ましくは40:5〜1:1の範囲内である。
【0051】
工程a)で必要に応じて使用される更なる共重合性モノマーは、少なくとも1つ、好ましくは1つ〜3つ、より好ましくは1つ又は2つ、最も好ましくは1つの、カルボン酸基でない必要に応じて保護された酸性基を含む。酸性基の具体例は、スルホン酸基(−SO
3M)、ホスホン酸基(−PO
3M
2)又はリン酸エステル基(−OPO
3M.
2)、又はそれらの塩であり、なお、Mは独立して、水素原子、又はアルカリ金属イオン若しくはアンモニウムイオン等の一価のイオンであり得る。
【0052】
任意の更なるモノマーの具体例は、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルホスホネート、及びビニルスルホン酸から選択される。
【0053】
好ましい実施形態では、第1の共重合性モノマー及び第2の共重合性モノマーを含有する溶液を、共重合のためにそれらを組み合わせる前に窒素で別々に飽和させて、競合的なAza−Michael付加の生じ得る副生成物を最低限に抑える。
【0054】
本発明の方法の工程a)は連鎖成長重合として進行する。一実施形態において、工程a)はラジカル共重合を含む。
【0055】
本発明の工程a)によって形成されるコポリマーの型は、統計コポリマー、ランダムコポリマー、交互コポリマー、ブロックコポリマー、又はそれらの組合せであってもよい。
【0056】
本発明の工程a)によって得られるコポリマーは、例えば、アクリレートとアミノプロピルビニルエーテルとの共重合によって得ることができるコポリマー等のアミノ基を含有するコポリマーである。
【0057】
本発明の工程a)による重合反応の反応条件は特に制限されない。したがって、溶媒の存在又は非存在下で反応を実行することが可能である。好適な溶媒は、水、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、及びジオキサンの群から選択され得る。
【0058】
反応温度は特に制限されない。好ましくは、反応は−10℃と溶媒の沸点との間の温度で実行される。好ましくは、反応温度は0℃〜80℃の範囲内である。
【0059】
反応時間は特に制限されない。好ましくは、反応時間は、10分〜48時間、より好ましくは1時間〜36時間の範囲内である。
【0060】
反応は好ましくは重合開始剤の存在下で実行される。本発明の方法の好ましい実施形態では、重合開始剤が、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’-アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロライド、及び4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)から選択される。重合開始剤の量は特に制限されない。好適には、この量は、モノマーの総量ベースで0.001mol%〜5mol%の範囲内である。
【0061】
工程a)で得られる反応生成物は沈殿及び濾過によって単離してもよい。好適な溶媒で洗浄することによって生成物を精製してもよい。
【0062】
本発明の方法の工程b)は、重合性部分と第1の工程で得られるアミノ基を含有するコポリマー中の第2の共重合性モノマーに由来する繰り返し単位のアミノ基と反応性のある官能基とを有する化合物をカップリングさせる工程であり、ここで、必要に応じて保護されたアミノ基が脱保護される。
【0063】
好ましくは、工程(b)におけるカップリング反応は、アミド結合、尿素結合又はチオ尿素結合から選択される結合を形成する付加反応又は縮合反応である。
【0064】
アミノ基と反応性のある官能基とは、本明細書中、アミノ基を含有するコポリマーのアミノ基と共有結合を形成することができる任意の基を意味する。好ましくは、アミノ基と反応性のある官能基は、カルボン酸基、又はエステル基若しくはそれらの無水物等のそれらの誘導体、イソシアネート基又はイソチオシアネート基である。より好ましくは、アミノ基と反応性のある官能基は、カルボン酸基又はそれらの誘導体である。
【0065】
第1の工程で得られるアミノ基を含有するコポリマー中の第2の共重合性モノマーに由来する繰り返し単位のアミノ基が保護されている場合、アミノ基は工程(b)前に又は工程(b)に付随して脱保護することができる。
【0066】
必要に応じて保護されたアミノ基の脱保護のための条件は、使用される保護基に応じて選択しなければならない。好ましくは、保護されたアミノ基は、水素化分解又は酸若しくは塩基による処理によって脱保護される。
【0067】
保護されたアミノ基の脱保護を工程(b)と同時に実行する場合、脱保護及び工程(b)が効率的に進行するように、脱保護条件及び工程(b)にかかる条件を選択しなければならないことが、当業者によって理解されるであろう。
【0068】
本発明の方法の好ましい実施形態では、重合性部分と、第2の共重合性モノマーに由来する繰り返し単位のアミノ基と反応性のある官能基とを有する化合物は、式(3)の化合物である:
【化4】
【0069】
式(3)中、R
4は、水素原子、又は−COOZ基によって置換されていてもよい直鎖若しくは分岐のC
1〜6アルキル基であり、R
5は、水素原子、又は−COOZ基によって置換されていてもよい直鎖若しくは分岐のC
1〜6アルキル基である。好ましくは、R
4は水素原子であり、R
5は水素原子又はメチル基である。より好ましくは、R
4は水素原子であり、R
5はメチル基である。式(3)中、点線は、R
4がcis配位又はtrans配位のいずれであってもよいことを示す。
【0070】
式(3)中、Z’’は、同じであっても異なっていてもよく、独立して、水素原子、金属イオン、カルボン酸基に対する保護基を表すか、又は、Z’’は、分子中に存在する更なる−COOZ’’基とともに、分子内無水物基を形成する。
【0071】
一実施形態において、Z’’はカルボン酸基に対する保護基である。別の実施形態では、Z’’は水素原子である。好ましい実施形態では、Zが水素原子であり、アルカリ性環境で重合反応が行われる。代替的な好ましい実施形態では、Z’’が水素原子であり、第2の共重合性モノマーのアミノ基が保護基を担持する。
【0072】
一実施形態において、式(3)中、LGは脱離基である。好ましくは、LGは塩素原子又は臭素原子であるか、隣接するカルボニル基とともにカルボン酸無水物部分を形成する。好ましくは、LGは、Schotten−Baumann型反応において式(3)の化合物を反応させるのに適する基である。
【0073】
別の実施形態では、LGをZに置き換えることで、R
4又はR
5とともに分子内カルボン酸無水物基を形成してもよい。
【0074】
更に別の実施形態では、式(3)の2つの分子は、酸素原子である共通のLGを共有することによって分子間カルボン酸無水物基を形成する。
【0075】
好ましくは、重合性部分と、第2の共重合性モノマーに由来する繰り返し単位のアミノ基と反応性のある官能基とを有する化合物が、カルボン酸無水物基を形成する。より好ましくは、化合物が、式(3)の第2の化合物とともに分子間無水カルボン酸基を形成する。最も好ましくは、化合物が無水(メタ)アクリル酸である。
【0076】
本発明の工程b)によるカップリングは、1つ又は複数の重合性部分を、アミノ基を含有するコポリマー中に導入するように働き、該重合性部分は、付加的な共有結合架橋をもたらすように後重合することができ、付加的な強度をコポリマーを含む歯科用材料に与える。
【0077】
本発明の方法の一実施形態では、工程b)で得られるコポリマーのカルボン酸基を保護せずに、更なる処理を伴うことなくコポリマーを本発明によるポリマーとして使用することができる。代替的な実施形態では、工程b)で得られるコポリマーのカルボン酸基を保護すると、コポリマーが本発明によるポリマーの特徴を示す前に、カルボン酸基を脱保護しなければならない。
【0078】
本発明の工程b)による反応の反応条件は特に制限されない。したがって、溶媒の存在又は非存在下で反応を実行することが可能である。好適な溶媒は、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、及びジオキサンの群から選択され得る。
【0079】
反応温度は特に制限されない。好ましくは、反応は−10℃と溶媒の沸点との間の温度で実行される。好ましくは、反応温度は0℃〜80℃の範囲内である。
【0080】
反応時間は特に制限されない。好ましくは、反応時間は、10分〜48時間、より好ましくは1時間〜36時間の範囲内である。
【0081】
工程a)の反応は好ましくは重合開始剤の存在下で実行される。本発明の方法の好ましい実施形態では、重合開始剤が、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’-アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロライド、及び4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)から選択される。重合開始剤の量は特に制限されない。好適には、この量は、モノマーの総量ベースで0.001mol%〜5mol%の範囲内である。
【0082】
工程b)で得られる反応生成物は沈殿及び濾過によって単離してもよい。好適な溶媒で洗浄することによって生成物を精製してもよい。
【0083】
本発明の方法は、重合性ポリマーを得るために、工程(a)又は工程(b)後に、保護されたカルボン酸基を脱保護する工程を必要に応じて含む。好ましい実施形態では、本発明の方法が、重合性ポリマーを得るために、保護されたカルボン酸基を脱保護する工程を含む。更に好ましい実施形態では、本発明の方法は、工程(b)後に、保護されたカルボン酸基を脱保護する工程を含む。
【0084】
必要に応じて保護されたカルボキシル基の脱保護にかかる条件は、使用される保護基に応じて選択される。好ましくは、保護されたカルボキシル基は、水素化分解又は酸若しくは塩基による処理によって脱保護される。
【0085】
本発明の方法の第1の実施形態は、保護されたアミノ基を有するポリマー骨格を得るために、アミノ基が保護されたビニルアミンをアクリル酸と反応させる以下のスキームによって説明される。コポリマーは好ましくはランダムコポリマーである。更なる工程において、ポリマー骨格の保護されたアミノ基が、遊離して、重合性基を含有する部分にカップリングすることにより、イオン結合が形成されるセメント反応において反応性のある酸性基を有し、かつ共有結合が形成される架橋反応において反応性のある重合性基を有する本発明のポリマーが得られる。
【化5】
【0086】
上記のスキームにおいて、任意のアクリルアミド基をメタクリルアミド基によって置き換えてもよい。
【0087】
本発明の方法の第2の実施形態は、アミノ基を含有するポリマー骨格を得るために、保護されたアクリル酸を、アミノ基を含有する重合性ビニルエーテル誘導体と反応させる以下のスキームによって説明される。更なる工程において、ポリマー骨格のアミノ基を、重合性基を含有する部分にカップリングさせる。最後に、カルボン酸基が遊離することにより、イオン結合が形成されるセメント反応において反応性のある酸性基を有し、かつ共有結合が形成される架橋反応において反応性のある重合性基を有する本発明のポリマーが得られる。
【化6】
【0088】
上記のスキームにおいて、任意のアクリルアミド基をメタクリルアミド基によって置き換えてもよい。
【0089】
本発明によれば、新規のポリマーがもたらされる。本発明のポリマーは、以下の好ましい構造によって例示することができる。
【化7】
【0090】
上記の構造において、数字は、対応するポリアクリル酸と比較した場合に、側鎖の各々によって導入される付加的な炭素原子の数を指す。(a+b)個の繰り返し単位を有するポリマーは、(a+b)個のカルボン酸基を有するポリアクリル酸における炭素原子の数に加えて、b倍の数の付加的な炭素原子を含有するが、カルボン酸基はb分の1となるため、水溶性を低減させることができる。他方、−COOH基等の付加的なイオン基の導入によって、水溶性の低下を補うことができ、これは上記にも示してある。好ましくは、側鎖の数b、付加的な炭素原子の数、及び付加的なカルボン酸基の数は、本発明のポリマーの有用な水溶性がもたらされるように調整される。
【0091】
したがって、好ましい実施形態では、アミド結合、尿素結合又はチオ尿素結合を介してポリマー骨格に連結されるポリマーの側鎖が、1つ又は複数の付加的な酸性基、好ましくはカルボン酸基を含有する。
【0092】
上記の方法によって得ることができる本発明による重合性ポリマーは、グラスアイオノマーセメント(GIC)系に特に有用である。本発明によるポリマーは好ましくは、1000Da、とりわけ10000Da〜1000000Daの範囲内の平均分子量M
wを有する。より好ましくは、平均分子量M
wは、100000Da〜700000Da、又は50000Da〜250000Daの範囲内である。
【0093】
歯科用材料として有用なこのようなセメントの形成は、粉末状金属酸化物若しくは水酸化物、ケイ酸金属塩、又はイオン浸出性のガラス若しくはセラミック等の反応性のある粒子状充填剤と、イオン性ポリマー、例えばポリアルケン酸との間の反応に基づくものである。好ましくは、本発明によるポリマーを、フルオロアルミノケイ酸塩ガラス(FASガラス)と反応させることによって、このようなグラスアイオノマーセメントが形成される。
【0094】
このような系中で使用されるポリマーは、カルボン酸基の数及び重量パーセントが、改質粒子状反応性充填剤及び/又は改質粒子状非反応性充填剤の存在下における凝結反応すなわち硬化反応をもたらすのに十分なものでなければならない。
【0095】
本発明による歯科用組成物は、上記のようなポリマーを含み、粒子状反応性充填剤及び/又は粒子状非反応性充填剤、開始剤系、1つ又は複数の付加的なコモノマーを付加的に含有していてもよい。
【0096】
粒子状反応性充填剤材料の例としては、カルシウム又はストロンチウム含有材料及びアルミニウム含有材料等といった歯科用組成物の技術分野で一般に知られる材料が挙げられる。好ましくは、粒子状反応性充填剤は浸出性のフッ化物イオンを含有する。粒子状反応性充填剤の具体例は、カルシウムアルミノケイ酸塩ガラス、カルシウムアルミニウムフルオロケイ酸塩ガラス、カルシウムアルミニウムフルオロホウケイ酸塩ガラス、ストロンチウムアルミノケイ酸塩ガラス、ストロンチウムアルミノフルオロケイ酸塩ガラス、ストロンチウムアルミノフルオロホウケイ酸塩ガラスから選択される。好適な粒子状反応性充填剤には、例えば米国特許第3,655,605号、米国特許第3,814,717号、米国特許第4,143,018号、米国特許第4,209,434号、米国特許第4,360,605号及び米国特許第4,376,835号に記載されているような、酸化亜鉛及び酸化マグネシウム等の金属酸化物、並びにイオン浸出性のガラスが更に含まれる。
【0097】
好適な非反応性充填剤は、歯科用修復組成物に現在使用されている充填剤から選択され得る。
【0098】
充填剤は、単峰粒度分布又は多峰(例えば、二峰)粒度分布を有し得る。充填剤は無機材料であってもよい。また、充填剤は、重合性レジンに不溶性でありかつ任意で無機充填剤で充填された架橋有機材料であってもよい。充填剤は、放射線不透過性、放射線透過性又は非放射線不透過性であってもよい。好適な非反応性無機充填剤の例は、石英、窒化ケイ素等の窒化物、例えばCe、Sb、Sn、Zr、Sr、Ba及びAlに由来するガラス、コロイドシリカ、長石、ホウケイ酸ガラス、カオリン、タルク、チタニア及び亜鉛ガラス、並びに焼成シリカ等のサブミクロンシリカ粒子等のような天然材料又は合成材料である。好適な非反応性有機充填剤粒子の例としては、充填又は無充填の微粉ポリカーボネート又はポリエポキシドが挙げられる。好ましくは、充填剤粒子の表面が、充填剤と基質との間の結合を増強するためにカップリング剤で処理される。好適なカップリング剤の使用には、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が含まれる。
【0099】
粒子状充填剤は、例えば電子顕微鏡法によって、又は従来のレーザー回折式粒度測定法(MALVERNのMastersizerS装置又はMALVERNのMastersizer2000装置によって具体化されるようなもの)を用いて測定される平均粒度が、通常は0.005μm〜100μm、好ましくは0.01μm〜40μmである。粒子状充填剤は、平均粒度の異なる2つ以上の粒子画分の混合物である多峰の粒子状反応性充填剤であってもよい。粒子状反応性充填剤はまた、化学組成の異なる粒子の混合物であってもよい。特に、粒子状反応性材料と粒子状非反応性材料との混合物を使用することが可能である。粒子状反応性充填剤は表面改質剤によって表面改質されていてもよい。
【0100】
開始剤としては、本発明による共重合反応を開始させることができる任意の化合物又は系が好適に使用され得る。開始剤はラジカル開始剤をベースとするものであってもよく、光開始剤若しくは酸化還元開始剤、又はそれらの混合物であってもよい。好適な光開始剤は、カンファーキノン/アミン、又はトリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィン酸化物(TPO)を含み得る。好適な酸化還元開始剤は、過酸化ベンゾイル/アミン、ペルオキソ二硫酸カリウム(K
2S
2O
8)/アスコルビン酸、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム(Na
2S
2O
5)から選択され得る。
【0101】
好適なコモノマーは少なくとも1つの重合性官能基を含有する。好適な重合性官能基は、エチレン性不飽和基(例えば、アルケニル基及び好ましくはビニル基)である。好ましい例は、置換及び非置換のアクリレート、メタクリレート又はアルケンである。
【0102】
米国特許第4,089,830号、米国特許第4,209,434号、米国特許第4,317,681号及び米国特許第4,374,936号に記載されているように、セメントを調製する際のグラスアイオノマーセメント反応の作業時間及び凝結時間をそれぞれ調整するために、本発明による歯科用組成物は酒石酸等の改質剤を更に含んでいてもよい。概して、作業時間の増加は凝結時間の増加にもつながる。
【0103】
「作業時間」は、ポリマー及び改質粒子状反応性充填剤を水の存在下で組み合わせた際の凝結反応の開始と、その意図する歯科用途又は医学的用途のために更なる物理的作業を系に対して行うこと、例えばそれをスパチュラで扱うか又は再度形を整えることが実際的でなくなる時点まで凝結反応が進行した時点との間の時間である。
【0104】
「凝結時間」は、修復物における凝結反応の開始から、その後の臨床処置又は外科処置を修復物の表面に対して行うのに十分な固化が起こった時点までに測定される時間である。
【0105】
凝結反応においては、重合性二重結合の存在のために、重合反応が起こる。
【0106】
本発明による歯科用組成物は、溶媒、顔料、非ガラス質充填剤、フリーラジカル捕捉剤、重合防止剤、N,N’−ジエチル−1,3−ビスアクリルアミド−プロパン(BADEP)、1,3−ビスアクリルアミド−プロパン(BAP)及び1,3−ビスアクリルアミド−2−エチル−プロパン(BAPEN)等のビスアクリルアミド、反応性希釈剤及び非反応性希釈剤、例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ヒドロキシプロピルメタクリレート、界面活性剤(防止剤の溶解度を高めるためのもの、例えばポリオキシエチレン等)、充填剤の反応性を高めるカップリング剤、例えば、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、並びにレオロジー調整剤を更に含有していてもよい。
【0107】
好適な溶媒又は非反応性希釈剤としては、エタノール及びプロパノール等のアルコールが挙げられる。好適な反応性希釈剤は、靱性、接着性及び凝結時間等の性質を変化させるα,β−不飽和モノマーである。
【0108】
好適なα,β−不飽和モノマーは、アクリレート及びメタクリレート、例えばアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、ビス−フェノールAのメタクリル酸ジグリシジル(「bis−GMA」)、モノアクリル酸グリセロール及びジアクリル酸グリセロール、モノメタクリル酸グリセロール及びジメタクリル酸グリセロール、ジアクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジアクリル酸ポリエチレングリコール(エチレンオキシド繰り返し単位の数は2〜30で変化する)、ジメタクリル酸ポリエチレングリコール(エチレンオキシド繰り返し単位の数は2〜30で変化する)、特にジメタクリル酸トリエチレングリコール(「TEGDMA」)、ジアクリル酸ネオペンチルグリコール、ジメタクリル酸ネオペンチルグリコール、トリアクリル酸トリメチロールプロパン、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール及びジペンタエリスリトールのモノアクリレート、ジアクリレート、トリアクリレート及びテトラアクリレート、及びモノメタクリレート、ジメタクリレート、トリメタクリレート及びテトラメタクリレート、ジアクリル酸1,3−ブタンジオール、ジメタクリル酸1,3−ブタンジオール、ジアクリル酸1,4−ブタンジオール、ジメタクリル酸1,4−ブタンジオール、ジアクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジメタクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジ−2−メタクリロイルオキシエチルヘキサメチレンジカルバメート、ジ−2−メタクリロイルオキシエチルトリメチルヘキサンエチレンジカルバメート、ジ−2−メタクリロイルオキシエチルジメチルベンゼンジカルバメート、メチレン−ビス−2−メタクリロキシエチル−4−シクロヘキシルカルバメート、ジ−2−メタクリロキシエチル−ジメチルシクロヘキサンジカルバメート、メチレン−ビス−2−メタクリロキシエチル−4−シクロヘキシルカルバメート、ジ−1−メチル−2−メタクリロキシエチル−トリメチル−ヘキサメチレンジカルバメート、ジ−1−メチル−2−メタクリロキシエチル−ジメチルベンゼンジカルバメート、ジ−1−メチル−2−メタクリロキシエチル−ジメチルシクロヘキサンジカルバメート、メチレン−ビス−1−メチル−2−メタクリロキシエチル−4−シクロヘキシルカルバメート、ジ−1−クロロメチル−2−メタクリロキシエチル−ヘキサメチレンジカルバメート、ジ−1−クロロメチル−2−メタクリロキシエチル−トリメチルヘキサメチレンジカルバメート、ジ−1−クロロメチル−2−メタクリロキシエチル−ジメチルベンゼンジカルバメート、ジ−1−クロロメチル−2−メタクリロキシエチル−ジメチルシクロヘキサンジカルバメート、メチレン−ビス−2−メタクリロキシエチル−4−シクロヘキシルカルバメート、ジ−1−メチル−2−メタクリロキシエチル−ヘキサメチレンジカルバメート、ジ−1−メチル−2−メタクリロキシエチル−トリメチルヘキサメチレンジカルバメート、ジ−1−メチル−2−メタクリロキシエチル−ジメチルベンゼンジカルバメート、ジ−1−メチル−2−メタクリロキシエチル−ジメチルシクロヘキサンジカルバメート、メチレン−ビス−1−メチル−2−メタクリロキシエチル−4−シクロヘキシルカルバメート、ジ−1−クロロメチル−2−メタクリロキシエチル−ヘキサメチレンジカルバメート、ジ−1−クロロメチル−2−メタクリロキシエチル−トリメチルヘキサメチレンジカルバメート、ジ−1−クロロメチル−2−メタクリロキシエチル−ジメチルベンゼンジカルバメート、ジ−1−クロロメチル−2−メタクリロキシエチル−ジメチルシクロヘキサンジカルバメート、メチレン−ビス−1−クロロメチル−2−メタクリロキシエチル−4−シクロヘキシルカルバメート、2,2’−ビス(4−メタクリロキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アクリロキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス[4(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ−フェニル)]プロパン、2,2’−ビス[4(2−ヒドロキシ−3−アクリロキシ−フェニル)]プロパン、2,2’−ビス(4−メタクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−メタクリロキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アクリロキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス[3(4−フェノキシ)−2−ヒドロキシプロパン−1−メタクリレート]プロパン、並びに2,2’−ビス[3(4−フェノキシ)−2−ヒドロキシプロパン−1−アクリレート]プロパンに言及することができる。重合性成分の他の好適な例は、イソプロペニルオキサゾリン、ビニルアズラクトン)、ビニルピロリドン、スチレン、ジビニルベンゼン、アクリル酸ウレタン又はメタクリル酸ウレタン、エポキシアクリレート又はエポキシメタクリレート、及びアクリル酸ポリオール又はメタクリル酸ポリオールである。α,β−不飽和モノマーの混合物を所望に応じて添加することができる。好ましくは、混合済みであるが未凝結の本発明のセメントは、混合済みであるが未凝結の歯科用組成物成分の全重量(水、溶媒、希釈剤及びα,β−不飽和モノマーを含む)ベースで、約0.5%〜約40%、より好ましくは約1%〜約30%、最も好ましくは約5%〜20%の総重量の水、溶媒、希釈剤及びα,β−不飽和モノマーを含有する。
【0109】
好適なフリーラジカル捕捉剤の一例は4−メトキシフェノールである。好適な重合防止剤の例は、tert−ブチルヒドロキノン(TBHQ)、ヒドロキシトルエン又はブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)である。防止剤の量は、コポリマー/コモノマー/水混合物の全重量ベースで、0.001%〜2%、好ましくは0.02%〜0.5%から選択することができる。
【0110】
本発明によるポリマーは歯科用組成物の調製に使用することができる。歯科用組成物は、口腔内で使用される歯科用材料であってもよい。本発明による歯科用組成物は、修復材料及び充填材料、合着用セメント、接着用セメント、ベース用セメント又は歯列矯正用セメント、窩洞ライナー及びベース、小窩裂溝用シーラントとして有用である。
【0111】
ここで、本発明を以下の実施例によって更に説明する。
【実施例】
【0112】
実施例1
1. poly(tButA−co−APVE)へのtert−ブチルアクリレート(tButA)と3−アミノプロピルビニルエーテル(APVE)との共重合
【化8】
5.0g(39mmol)のtButA、0.99g(9.8mmol、20mol%)のAPVE及び0.16g(2mol%)のAIBNを、別々にDMFに溶解させ、溶液をN
2で飽和させた。次に、溶液を合わせて、24時間70℃で攪拌した。重合後、冷却させた溶液をDMFで希釈して30wt%のポリマー溶液とし、水/メタノール(9:1)中で沈殿させた。分離した固体は真空乾燥させた。
【0113】
得られたコポリマーは、分子量M
n=18kDa、M
w=51kDa及び2.8のPDを有するものであった。
【0114】
生成物のIR分光分析では、ビニルエーテルの振動が示されなかった一方、
1H−NMRでは、脂肪族のプロトンについての幅の広いピークが示され、可能性のある残存する二重結合のプロトンについてのピークは示されなかった。
1H−NMR(500MHz,DMSO−d
6):δ(ppm)=3.5(2H,4)、2.7(2H,6)、2.2(2H,2)、1.8(1H,1)、1.6(2H,5)、1.44(9H,3)。
【0115】
2. poly(tButA−co−APVE)のメタクリル化
【化9】
31.5gのジクロロメタンに溶解させた5g(33.7mmol)のコポリマーpoly(tButA−co−APVE)の溶液に、1.3g(8.42mmol)のメタクリル酸無水物を添加した。溶液を24時間周囲温度で攪拌した後、溶媒を除去し、粗生成物を30mLのメタノールに溶解させた。この溶液から、ポリマーを水中で沈殿させ、濾過して取り出し、真空乾燥させた。
FT−IR:ν
max[cm
−1]=2976、2932、1785、1722(エステル)、1670(アミドI)、1626(C=C)、1526(アミドII)、1479、1448、1392、1366、1143、844。
【0116】
3. エステル部分の加水分解
【化10】
5mLのクロロホルムに溶解させた1.0g(8.15mmol)のメタクリル化させたpoly(tButA−co−APVE)の溶液に、20wt%のトリフルオロ酢酸を添加した。溶液を5時間60℃で攪拌した後、沈殿した粗製のポリマーを溶媒から分離した。ポリマーをクロロホルムで洗浄し、メタノールに溶解させ、クロロホルム中に再沈殿させた。次に、この黄色のポリマーを真空乾燥させた。
1H−NMR(500MHz,DMSO−d
6):δ(ppm)=12.2(1H,−COOH)、7.8(1H,−NH−)、5.6(1H,−C=C−H)、5.3(1H,C=C−H)、2.2(2H,−CH2−骨格)、1.8(3H,−CH
3)、1.8(1H,−CH−,骨格)、1.5(2H,O−CH
2CH
2)、1.4(9H,C−(CH
3)
3、残存するエステル部分)。
【0117】
実施例2
1. poly(AA−co−APVE)へのtert−ブチルアクリレート(t−BA)と3−アミノプロピルビニルエーテル(APVE)との共重合
冷却器を備える三つ口丸底フラスコ中で、2.34mL(0.0206mol)のAPVE及び8.97mL(0.0618mol)のt−BAを、20mLのジオキサンと混合させた。278mgのAIBN(全モノマーに関して2mol%)も溶解させた。即座に反応混合物に約20分間アルゴンを流した。その間、金属浴を90℃に予め加熱しておいた。この金属浴をフラスコの下に置くことによって即座に重合が開始した。1時間の攪拌後、反応が完了した。5mLの試料を取り出し、ジオキサンで20mLに希釈した。この溶液を過剰な150mLの水に添加することによってポリマーを沈殿させた。ポリマーを真空ポンプで乾燥させた。分子量は、溶離液としてDMFを用いたSECを使用することによって決定した。
M
n=11500g/mol、M
w=38100g/mol、PD=3.32
【0118】
2. 無水メタクリル酸によるpoly(AA−co−APVE)の改質
室温に冷却した合成工程1による反応混合物の残液に、26mgのtert−ブチルヒドロキノン(TBHQ)を添加して、残りの開始剤を不活性化した。次に、0.0309molの無水メタクリル酸を添加した。混合物を2時間室温で攪拌した後、溶媒をロータリーエバポレータ(30℃)で除去し、その後、試料を真空ポンプで乾燥させた。NMRスペクトルから、改質が成功したことを意味する二重結合の5.30ppm及び5.64ppmにおける幅の広いピークが示される。
【0119】
3. tert−ブチルエステル部分の加水分解
5mol%のAPVEが組み込まれた20gのポリマーを、上記のように無水メタクリル酸で改質した。溶媒をロータリーエバポレータで除去した後、粗生成物を50mLのトリフルオロ酢酸に溶解させた。徐々に溶解していく氷浴中で混合物を冷却し、24時間攪拌した。一晩で、ポリマーは沈殿した。懸濁液をデカントして、ポリマーを100mLのジオキサンに溶解させた。それを5倍過剰なアセトン中で沈殿させた。沈殿物をジオキサンに再び溶解させ、再び沈殿させた。その後、初めにポリマーをロータリーエバポレータで乾燥させた後、真空ポンプで乾燥させた。NMRスペクトルから、1.38ppmにおけるtert−ブチル基のピークがほとんど消失したことが示される。これは98mol%の加水分解度に相当する。
【0120】
実施例3
tert−ブチルアクリレートと3−アミノプロピルビニルエーテルとの共重合−P(tBu−co−APVE)
38gのDMFに溶解させた15g(117mmol)のtert−ブチルアクリレートの溶液を、氷冷しながら窒素で飽和させた。15分後に3g(29mmol)の3−アミノ−プロピルビニルエーテルをこの溶液に添加した。更に5分後に、窒素の対向流中で480mg(2mol%)のAIBNを添加した。次に、溶液を24時間70℃で攪拌した。重合後、冷却した溶液をDMFで33wt%のポリマー溶液に希釈し、20倍量の水中で沈殿させた。固体を濾過して取り出し、水で洗浄し、真空乾燥させた。
FT−IR:ν
max[cm
−1]=2977(−CH
2−)、1723(エステル)、14 81、1449、1392、1366、1255、1144、845。
1H−NMR(500MHz,CDCl
3):δ(ppm)=3.5(2H,−O−CH
2−)、2.7(2H,−CH
2−NH
2)、2.2(2H,骨格)、1.8(1H,骨格)、1.6(2H,−O−CH
2−CH
2−)、1.44(9H,−tブチル)。
GPC(DMF):M
n=26kDa、M
w=70kDa、M
z=124kDa、PD=2.7。
【0121】
以下の表は、当量(tBA):当量(APVE)=3:1の比率を用いた種々の重合試料について典型的な分子質量を示す:
【0122】
【表1】
【0123】
イタコン酸アミドで改質されたP(tBA−co−APVE−IA)
10mLのジクロロメタンに溶解させた3.0gのp(tBA−co−APVE)の透明溶液に、0.4g(3.6mmol)のイタコン酸無水物を攪拌しながら分割して添加することにより、溶液は、赤色の後、帯黄色に変色した。次に、溶液を24時間室温で攪拌した後、ジクロロメタンを蒸発させた。
FT−IR:ν
max[cm
−1]=2977(−CH
2−)、1718(エステル)、1668(アミドI)、1559(アミドII)、1476、1437、1392、1367、1252、1146、1100、945、843。
【0124】
P(AA−co−APVE−IA)へのエステル部分の加水分解
【化11】
改質ポリマーを攪拌しながら分割して10mLのトリフルオロ酢酸に添加し、数時間室温で攪拌した後、トリフルオロ酢酸を真空蒸発させた。得られた高粘性ポリマーを水に溶解させ、4日間透析した(MWCO=1000g/mol)。凍結乾燥後、帯赤色の固体が回収された。
FT−IR:ν
max[cm
−1]=3392、2932(−CH
2−)、1699(酸)、1625(−C=C)、1546(アミドII)、1447、1407、1230、1164、1094、934、798、610
1H−NMR(300MHz,D
2O):δ(ppm)=8.0(1H,−NH−)、6.4(1H,−C=C−H)、5.6(1H,−C=C−H)、3.5(2H,−O−CH
2−)、3.4(2H,−NH−CH
2−)、3.3(2H,−NH−CO−CH
2)、2.4(1H,骨格)、2.0〜1.5(2H,骨格)、1.6(2H,−O−CH
2−CH
2−)。
【0125】
実施例4
メタクリルアミドで改質されたP(tBA−co−APVE−MA)
10mLのジクロロメタンに溶解させた実施例4の3.0gのp(tBA−co−APVE)の透明溶液に、0.6g(4.1mmol)のメタクリル酸無水物を分割して添加した。次に、溶液を24時間室温で攪拌した後、ジクロロメタンを蒸発させた。得られた原生成物は精製することなく更なる反応に適用した。
FT−IR:□
max[cm
−1]=3351、2977(−CH
2−)、1721(エステル)、1668(アミドI)、1622(−C=C)、1531(アミドII)、1452、1392、1366、1255、1146、1089、940、845。
【0126】
P(AA−co−APVE−MA)へのエステル部分の加水分解
【化12】
改質ポリマーを攪拌しながら分割して10mLのトリフルオロ酢酸に添加し、数時間室温で攪拌した後、トリフルオロ酢酸を真空蒸発させた。得られた高粘性ポリマーを水に溶解させ、4日間透析した(MWCO=1000g/mol)。凍結乾燥後、無色の固体が回収された。
FT−IR:ν
max[cm
-1]=3180、2934(−CH
2−)、2613、1701(酸)、1650(アミドI)、1597、1537(アミドII)、1449、1408、1211、1162、1110、919、797、611
1H−NMR(300MHz,D
2O):δ(ppm)=8.0(1H,−NH−)、5.7(1H,−C=C−H)、5.4(1H,−C=C−H)、3.5(2H,−O−CH
2−)、3.5(2H,−NH−CH
2−)、2.2(1H,骨格)、1.8〜1.6(2H,骨格)、1.6(2H,−O−CH
2−CH
2−)。
【0127】
実施例5
アクリルアミドで改質されたP(tBA−co−APVE−AA)
30mLのTHFに溶解させた実施例4の5.0gのp(tBA−co−APVE)の溶液に、氷冷下で0.76g(6.7mmol)の塩化アクリロイルを滴加したことにより、直ちに白色の固体が沈殿する。反応混合物を更に24時間室温で攪拌した。固体を濾過して取り出し、溶媒を蒸発させた。粗原物質は更に精製することなく加水分解に使用した。
FT−IR:ν
max[cm
−1]=3289、2976(−CH
2−)、1722(エステル)、1659(アミドI)、1628(−C=C)、1544(アミドII)、1480、1448、1366、1254、1143、844。
【0128】
P(AA−co−APVE−AA)へのエステル部分の加水分解
【化13】
3gの改質ポリマーを、10mLのトリフルオロ酢酸に攪拌しながら分割して添加し、数時間室温で攪拌した後、トリフルオロ酢酸を真空蒸発させた。得られた高粘性ポリマーを水に溶解させて、水性NaOHの添加によりpH2に調整した。次に、溶液を4日間透析した(MWCO=1000g/mol)。凍結乾燥後、無色の固体が回収された。
FT−IR:ν
max[cm
-1]=3361、2930(−CH
2−)、1707(酸)、1654(アミドI)、1620(−C=C)、1544(アミドII)、1447、1407、1242、1179、1097、980、801。
1H−NMR(300MHz,D
2O):δ(ppm)=6.3(1H,−C=C−H)、6.2(1H,−C=C−H)、5.8(1H,−CH=C<)、3.6(2H,−O−CH
2−)、3.3(2H,−NH−CH
2−)、2.2(1H,骨格)、1.9〜1.4(2H,骨格)、1.6(2H,−O−CH
2−CH
2−)。
【0129】
実施例6
P(AA−NVFA)へのアクリル酸とN−ビニルホルムアミド
1との共重合
3g(41.6mmol)のアクリル酸及び590mg(8.9mmol)のN−ビニルホルムアミドを、10.88gの蒸留イソプロパノールに溶解させ、30分間窒素に曝気させた。次に、窒素の対向流中で164mg(2mol%)のAIBNを添加し、更に15分間窒素に曝気させた。次に、24時間70℃で溶液を攪拌したことにより、無色の固体が沈殿した。固体を濾過して取り出し、アセトンで繰り返し洗浄し、減圧下で乾燥させた。無色の微細分散した固体が得られた。
FT−IR:ν
max[cm
−1]=3272(−NH
2)、3054(−CH
2−)、2922、1708(酸)、1643(アミドI)、1532(アミドII)、1444、1385(−CH
2−)、1244、1178。
1H−NMR(300MHz,DMSO−d
6):δ(ppm)=12.2(1H,−COOH)、7.9(1H,−NH−COH)、4.3(1H,−CH−NH)、2.2(1H,−CH−COOH)、1.7(2H,−CH
2−CH−NH−)、1.5(2H,CH
2−CHCOOH)。
GPC(H
2O):M
n=10kDa、M
w=49kDa、M
z=126kDa、PD=5.0。
1 N.A. Nesterova et alter, Russian Journal of Applied Chemistry 2008, Vol.82, No.4, pp.618-621
【0130】
P(AA−co−VAm)へのP(AA−co−NVFA)の変換
(K. Yamamoto et alter, Journal of Applied Polymer Science 2002, Vol.89, pp.1277-1283におけるp(VAm)をもたらす純粋なp(VFA)の加水分解をベースとする)
200mgのコポリマーp(AA−co−NVFA)を10mLの2N NaOHに溶解させ、2時間100℃で攪拌した。次に、溶液をHClによって中和し、3日間透析した(MWCO=1000g/mol)。凍結乾燥後、フリース様の無色の固体が得られた。
FT−IR:□
max[cm
-1]=3274(−NH
2)、2919(−CH2−)、1666(−COONa)、1559(−NH
2)、1448、1408(−CH
2−)、1188(−C−O−)。
1H−NMR(300MHz,D
2O):δ(ppm)=2.5(1H,−CH−NH
2)、2.0(1H,−CH−COOH)、1.4(2H,−CH
2−CH−NH
2)、1.3(2H,−CH
2−CH−COOH)。
【0131】
アクリルアミドで改質されたP(AA−co−VAm−MA)
0.5gの加水分解コポリマーP(AA−co−VAm)を丸底フラスコに添加し、過剰な1.0gの無水メタクリル酸を添加した。混合物を60℃に4時間加熱した。次に、生成物を水で希釈し、メタノール中で二度ポリマーを沈殿させた。
1H−NMRによって二重結合による官能化について最終ポリマーを分析した(5.51ppm及び5.31ppmにおけるC=C結合)。24時間攪拌した後、ポリマーは水に可溶性である。官能化度は4.0mol%に達した。
【0132】
実施例7
アクリル酸とN−(2−アミノエチル)メタクリルアミドハイドロクロライドとの共重合
0.2g(3mmol)のアクリル酸及び0.5g(3mmol)のN−(2−アミノエチル)メタクリルアミドハイドロクロライドを、1.4gのDMFに溶解させ、15分間窒素に曝気させた。次に、窒素の対向流中で20mg(2mol%)のVA−044を添加し、更に5分間窒素に曝気させた。次に、溶液を2時間70℃で攪拌したことにより、無色の固体が沈殿する。固体を濾過して取り出し、アセトンで繰り返し洗浄し、減圧下で乾燥させた。無色の微細分散した固体が得られた。
FT−IR:□
max[cm
-1]=3350(−NH
2)、2926、1705(酸)、1629(アミドI)、1527(アミドII)、1482、1456、1393、1365、1232、1166、837。
1H−NMR(300MHz,DMSO−d
6):δ(ppm)=12.3(1H,−OH)、8.3(1H,−NH−)、7.9(2H,−NH
2)、4.2(1H,CH3−CH<)、2.9(2H,−NH−CH
2−)、2.6(2H,−NH−CH
2−CH
2−)、1.5(1H,骨格)、1.2(3H,−CH
3)、1.0(2H,骨格)。