特許第6013364号(P6013364)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6013364マルチプルAPIローディングプロドラッグ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013364
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】マルチプルAPIローディングプロドラッグ
(51)【国際特許分類】
   C07D 215/227 20060101AFI20161011BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20161011BHJP
   A61K 47/48 20060101ALI20161011BHJP
   A61K 47/34 20060101ALI20161011BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20161011BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   C07D215/227CSP
   A61K31/496
   A61K47/48
   A61K47/34
   A61P25/18
   A61P25/24
【請求項の数】5
【全頁数】107
(21)【出願番号】特願2013-546427(P2013-546427)
(86)(22)【出願日】2011年12月22日
(65)【公表番号】特表2014-508129(P2014-508129A)
(43)【公表日】2014年4月3日
(86)【国際出願番号】US2011066900
(87)【国際公開番号】WO2012088441
(87)【国際公開日】20120628
【審査請求日】2014年12月19日
(31)【優先権主張番号】61/427,026
(32)【優先日】2010年12月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512177263
【氏名又は名称】アルカーメス ファーマ アイルランド リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(72)【発明者】
【氏名】ゼイダン,タレック エー.
(72)【発明者】
【氏名】ブランバーグ,ローラ クック
【審査官】 常見 優
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0068786(US,A1)
【文献】 米国特許第03903110(US,A)
【文献】 特表2008−510795(JP,A)
【文献】 特表2006−504652(JP,A)
【文献】 Journal of Medicinal Chemistry,1971年,vol.14,No.3,p.190-193
【文献】 Molecules,2007年,12(3),p.373-388
【文献】 MONATSHEFTE FUR CHEMIE ,1972年,vol.103,p.1632-1642
【文献】 Journal of Heterocyclic Chemistry,1987年,24(5),p.1381-1390
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D215/00−215/60
A61K 31/33− 33/44
A61K 9/00− 9/72
A61K 47/00− 47/48
A61P 1/00− 43/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】
であって、式中、
はOであり;
は直接の結合であり;
10およびR11は独立して、存在しないか、水素、ハロゲン、−OR20、−SR20、−NR2021、−C(O)R20、−C(O)OR20、−C(O)NR2021、−N(R20)C(O)R21、−CF、−CN、−NO、−N、アシル、必要に応じて置換されているアルコキシ、必要に応じて置換されているアルキルアミノ、必要に応じて置換されているジアルキルアミノ、必要に応じて置換されているアルキルチオ、必要に応じて置換されているアルキルスルホニル、必要に応じて置換されている脂肪族、必要に応じて置換されているアリールまたは必要に応じて置換されているヘテロシクリルから選択され、ここで各々のR20およびR21は独立して、水素、ハロゲン、脂肪族、置換脂肪族、アリールまたは置換アリールから選択され;あるいは、2つのR10およびR11はそれらが結合される原子と一緒になって、必要に応じて置換されている3、4、5、6または7員の環を形成し
nが、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29および30から選択される、
式を有する、プロドラッグコンジュゲート。
【請求項2】
請求項1に記載のプロドラッグコンジュゲートを含む、患者に対する親薬物の徐放性送達のための方法において使用するための医薬組成物であって、前記方法は、前記医薬組成物を投与することを包含し、ここで前記患者に対する投与の際、前記プロドラッグからの親薬物の放出が徐放性である、医薬組成物
【請求項3】
前記プロドラッグがさらに、前記プロドラッグを送達するための生体適合性送達系を備え、ここで前記系が、水に対する前記プロドラッグの暴露を最小化することによって、前記プロドラッグの加速された加水分解切断を最小化できる、請求項に記載の医薬組成物
【請求項4】
前記親薬物が:少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも36時間、少なくとも48時間、少なくとも4日間、少なくとも1週間、および少なくとも1ヶ月、から選択される期間にわたって患者の血流中に存在する、請求項またはに記載の医薬組成物
【請求項5】
前記プロドラッグは、前記親薬物が本質的に完全にプロトン化されるpHである参照pHにおいて、同じ参照pHでの親薬物の水溶性と比較して、低い水溶性を有する、請求項またはに記載の医薬組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2010年12月23日出願の米国特許仮出願第61/427,026号の恩典を請求する。上記の出願の全体的な教示は、参照によって本明細書に援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は、マルチプル薬物分子に連結され得るプロドラッグに関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
薬物送達系(システム)は、生物学的に活性な剤の安全かつ有効な投与に重要である場合が多い。おそらくこれらの系の重要性は、患者のコンプライアンスおよび一貫した投薬が考慮される場合、最も実感される。例えば、薬物について投薬要件が1日4回から1日1用量まで低下されれば、患者のコンプライアンスの保証および治療の最適化に関しては大きな意味がある。現在投与されるプロドラッグおよび処方物の多くは、投与のための大量の薬物/賦形剤/プロドラッグの混合物を必要とする。
【0004】
薬物のバイオアベイラビリティの最適化は、多くの潜在的な利点を有する。患者の便利およびコンプライアンスの向上のために、投与頻度が少ないことが所望され得ることが一般には認識される。薬物が放出される期間を延長することによって、1用量あたりの作用期間が長くなることが期待される。従って、これは、以前には、1日あたり4用量、または1週あたり1投与、またはさらにはより少ない頻度を必要とした(毎日投与が以前には必要とされた場合)、1日あたりの薬物摂取のような投薬パラメーターの全体的な改善につながる。現在、多くの薬物が1日1回投与されるが、これらの薬物の全てが、正確に24時間の投与間隔に適切である薬物動態特性を有するのではない。これらの薬物が放出される期間を延長することもまた有益である。
【0005】
薬物療法における基本的な考慮の1つは、血中濃度と治療活性との間の関係に関与する。ほとんどの薬物では、血清濃度は、最小有効濃度と潜在的に毒性のレベルとの間に保持されることが主に有用である。薬物動態の用語に関しては、薬物の血中濃度のピークと谷は理想的には、血清濃度の治療ウインドウ内に十分おさまる。特定の治療剤に関しては、このウインドウは、投薬処方物が重篤になるほどせまい。
【0006】
バイオアベイラビリティ改善の必要性に取り組む企図では、いくつかの薬物放出調節技術が開発された。例えば、溶解性の劣る5,5−ジフェニルイミダゾリジン−2,4−ジオンは、溶解度を改善するためにリン酸エステルプロドラッグに誘導体化された(Stellaら、1981年、米国特許第4,260,769号)。腸溶性コーティングを、胃における薬剤の防護として用い、タンパク質性マイクロスフェア、リポソームまたはポリサッカライドを用いるマイクロカプセル化活性剤は、活性剤の酵素分解を無効にするのに有効であった。酵素阻害性アジュバントをまた、酵素分解を予防するために用いた。
【0007】
広範な薬学的処方物は、ジカルボン酸のアミド、修飾されたアミノ酸、または熱凝縮(thermally condensed)アミノ酸での活性剤のマイクロカプセル化を通じて徐放性を得る。徐放性にさせる添加物はまた、錠剤処方物中で活性剤の大アレイと混合されてもよい。しかし、これらの処方物の多くは、処方物の重量全体に比べて比較的大量の親薬物を送達する。
【0008】
マイクロカプセル化および腸溶性コーティング技術によって、活性剤物質に対して安定性の向上および時限放出特性が付与されるが、これらの技術では、いくつかの欠点を被る。活性剤の組み込みは、マイクロカプセル化マトリクス内への拡散に依存する場合が多く、これは、定量的ではない場合があり、投与再現性を悪化させる場合がある。さらに、カプセル化された薬物は、活性剤の化学的特性および水溶性に極めて依存性である、マトリクスの拡散もしくはマトリクスの分解、またはその両方に依拠する。逆に、水溶性のマイクロスフェアは、無現に膨張して、不幸にも、徐放性に関して利用可能な限定活性剤が充満して活性剤を放出する場合がある。さらに、いくつかの技術では、活性剤放出に必要な分解プロセスの制御は信頼性がない。例えば、腸溶性コーティングされた活性剤は、pHに依存して、活性剤を放出し、pHおよび滞留時間が変化するので、放出速度は制御が困難である。
【0009】
いくつかの移植可能な薬物送達系(システム)は、薬物に結合されたポリペプチドを利用した。さらに、他の大きいポリマーの担体であって、それらのマトリクス内に薬物を組み込んでいる担体を、薬物を徐々に放出するためのインプラントとして用いる。さらに別の技術では、薬物の共有結合の利点と、リポソーム形成(活性成分が、高次の脂質フィルムに結合される)とを組み合わせる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
毎日の投薬要件を低減し、かつ親薬物の制御された放出および徐放性を可能にし、さらにまた、典型的な溶解制御徐放性方法に伴う放出の不規則性および製剤の煩わしさを回避する、薬物の徐放性送達についての必要性は、一般的に認識されている。さらに、処方物の乾燥重量に関して、親薬物の高い相対比を有する上記の列挙された目標を達成する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の要旨
本発明は、担体部分に結合された親薬物のマルチプル分子を有することによって、およびこの親薬物が患者への投与後に放出され吸収される期間を延長し、1用量あたり親薬物自体よりも長い作用機序を得ることによって、これを達成する。一実施形態では、本発明の方法における使用のために適切な化合物は、不安定性のアルデヒド連結プロドラッグ部分と窒素または酸素原子で置換されているヘテロアリール、ラクタム−、アミド−、イミド−、スルホンアミド−、カルバメート−、尿素−、ベンズアミド−、N−アシルアニリン−、および環状アミド−、および三級アミン含有の親薬物の誘導体である。一実施形態では、このプロドラッグ部分は、疎水性であり、かつ生理学的条件下で親薬物の極性および溶解度を低減する。
【0012】
一実施形態では、本発明は、式I、IAまたはIBのプロドラッグ化合物であって:
【化1】
式I
【化2】
式IA
【化3】
式IB
式中、aは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16であり;
eは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16から選択され;
fは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16から選択され、ここでeおよびfの合計は、少なくとも2であり;
各々のRおよびRは独立して水素、ハロゲン、−OR20、−SR20、−NR2021、−C(O)R20、−C(O)OR20、−C(O)NR2021、−N(R20)C(O)R21、−CF、−CN、−NO、−N、アシル、必要に応じて置換されているアルコキシ、必要に応じて置換されているアルキルアミノ、必要に応じて置換されているジアルキルアミノ、必要に応じて置換されているアルキルチオ、必要に応じて置換されているアルキルスルホニル、必要に応じて置換されている脂肪族、必要に応じて置換されているアリールおよび必要に応じて置換されているヘテロシクリルから選択され;
式中、各々のR20およびR21は独立して、水素、ハロゲン、脂肪族、置換脂肪族、アリールおよび置換アリールであり;
は、OまたはSから選択され;
は、直接の結合、O、SまたはNR20から選択され;
C1は、担体部分であり;かつ
各々のAPIは独立して生物学的に活性な部分である、
プロドラッグ化合物を提供する。
【0013】
本発明はさらに、式LIの薬物を含有する二級アミンのプロドラッグに関する:
【化4】
式LI
【0014】
一実施形態では、各々のAPIは、同じ生物学的に活性な部分である。別の実施形態では、API基は、2つ以上の異なる生物学的に活性な部分である。
【0015】
本発明はさらに、コンジュゲートが、式I、IAまたはIBによって提示される、親薬物と不安定性部分とのコンジュゲートの投与による親薬物の徐放性の送達のための方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明の詳細な説明
本発明は、親薬物を放出するための生理学的条件で、自然な切断または酵素補助切断を受けることができる、コンジュゲートを生じる担体部分に対してマルチプル親薬物(生物学的に活性な部分)を結合するための方法を提供する。一実施形態では、親薬物の放出は徐放性である。徐放性は、患者への投与後に親薬物が放出され吸着される期間を延長すること、および親薬物自体よりも長い1用量あたりの作用時間を得ることによって達成される。一実施形態では、プロドラッグ部分は、疎水性であり、かつ生理学的条件下で親薬物の極性および安定性を低下する。
【0017】
プロドラッグを送達するための課題の1つは、親薬物に比較してプロドラッグの分子量が高いせいで、親薬物に比較して投与されるのに必要なプロドラッグが高量であることである。2つ以上の親薬物部分に連結され得る多価の担体部分があれば、用量の負荷は減らすことができる。また、このような多価の担体は、2つの異なるAPIに連結し得る。例えば、アリピプラゾールおよびデヒドロアリピプラゾールの分子は、同じ担体部分に連結され得る。別の実施形態では、2つの分子は、それらが異なる機序を通じて放出されるように、同じ担体に連結されてもよい。例えば、四級アンモニウムプロドラッグは、生理学的条件下で容易に加水分解し得る。他方では、酵素作用に起因して別の官能基を通じて連結される親薬物は、さらに緩徐に遊離し得る。従って、2つの親薬物は、単一の担体部分に連結されてもよく、第一は、一端上の四級アンモニウム基を介し、第二は、不安定性の官能基を通じる。これによって、2つの親薬物の放出を仕立てることが可能になり、ここでは、1つの親薬物の送達は、化学反応性および/または酵素活性に基づいて、他と比較して速い。
【0018】
一実施形態では、本発明は、以下の式I、IAまたはIBのプロドラッグ化合物であって:
【化5】
式I
【化6】
式IA
【化7】
式IB
式中、aは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16であり;
eは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16から選択され;
fは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16から選択され、ここでeおよびfの合計は、少なくとも2であり;
各々のRおよびRは独立して水素、ハロゲン、−OR20、−SR20、−NR2021、−C(O)R20、−C(O)OR20、−C(O)NR2021、−N(R20)C(O)R21、−CF、−CN、−NO、−N、アシル、必要に応じて置換されているアルコキシ、必要に応じて置換されているアルキルアミノ、必要に応じて置換されているジアルキルアミノ、必要に応じて置換されているアルキルチオ、必要に応じて置換されているアルキルスルホニル、必要に応じて置換されている脂肪族、必要に応じて置換されているアリールおよび必要に応じて置換されているヘテロシクリルから選択され;
式中、各々のR20およびR21は独立して、水素、ハロゲン、脂肪族、置換脂肪族、アリールおよび置換アリールであり;
は、OまたはSから選択され;
は、直接の結合、O、SまたはNR20から選択され;
C1は、担体であり;かつ
各々のAPIは独立して生物学的に活性な部分である、
プロドラッグ化合物を提供する。
【0019】
本発明はさらに、式LIの薬物を含有する二級アミンのプロドラッグに関する:
【化8】
式LI
【0020】
本発明はさらに、コンジュゲートが、式I、IAまたはIBによって提示される、親薬物と不安定性部分との多価コンジュゲートの投与による、親薬物の徐放性の送達のための方法を提供する。
【0021】
いくつかの実施形態では、C1は、必要に応じて置換されている脂肪族、アリールまたは置換アリールから選択される。いくつかの実施形態では、C1は、必要に応じて、置換されているC−C30アルキル、必要に応じて置換されているC−C30アルケニル、必要に応じて置換されているC−C30アルキニル、必要に応じて置換されているC−C30アリールから選択される。いくつかの実施形態では、C1は、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、ベンズイミダゾール、インダゾール、ベンゾトリアゾール、ピロロ[2,3]ピリジン、イミダゾピリジン、ピラゾロピリジン、イソインドール、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、キノキサリン、フタラジン、インダゾール、プリン、インドリジン、インドール、インドリン、イソインドリン、ベンゾフランおよびクロメンから選択される、必要に応じて置換されている二環式ヘテロアリール基から選択される。いくつかの実施形態では、C1は、約400ダルトン〜約100,000ダルトンの分子量を有するポリエチレングリコールである。
【0022】
いくつかの実施形態では、C1は、以下から選択され:
【化9】
ここで、
cは、0、1、2、3および4から選択され;
gは、1〜約1,000の整数であり;
各々のbおよびdは独立して0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12および13から選択され;
sおよびtは各々独立して0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29および30から選択され;
各々のR10、R11、R12、R13、R14、R15、およびR16は独立して存在しないか、水素、ハロゲン、−OR20、−SR20、−NR2021、−C(O)R20、−C(O)OR20、−C(O)NR2021、−N(R20)C(O)R21、−CF、−CN、−NO、−N、アシル、必要に応じて置換されているアルコキシ、必要に応じて置換されているアルキルアミノ、必要に応じて置換されているジアルキルアミノ、必要に応じて置換されているアルキルチオ、必要に応じて置換されているアルキルスルホニル、必要に応じて置換されている脂肪族、必要に応じて置換されているアリールまたは必要に応じて置換されているヘテロシクリルから選択され;
式中、各々のR20およびR21は独立して、水素、ハロゲン、脂肪族、置換脂肪族、アリールまたは置換アリールから選択され;
あるいは2つのR10、R11、R12、R13、R14、R15、およびR16は、それらが結合される原子と一緒になって、必要に応じて置換されている3、4、5、6または7員の炭素環または複素環を形成する。
【0023】
いくつかの実施形態では、C1は、デンドリマーである。
【0024】
いくつかの実施形態では、本発明は、式IIのプロドラッグコンジュゲートに関し:
【化10】
式II
式中、各々のXは独立してSまたはOから選択され;
各々のXは存在しないか、O、SまたはNR20から選択され、ここでR20は、水素、ハロゲン、脂肪族、置換脂肪族、アリールまたは置換アリールから選択され;
API−1は、生物学的に活性な部分であり;かつ
API−2は、生物学的に活性な部分であり、かつAPI−1と同じまたは異なる。
【0025】
いくつかの実施形態では、本発明は、以下の式を有するプロドラッグコンジュゲートに関し:
【化11】
式中、AおよびBは、それらが結合される窒素と一緒になって、第一の生物学的に活性な分子を形成し;かつ
およびBは、それらが結合される窒素と一緒になって、第二の生物学的に活性な分子を形成する。
【0026】
いくつかの実施形態では、本発明は、以下の式を有するプロドラッグコンジュゲートに関し:
【化12】
式中、AおよびBは、それらが結合される窒素と一緒になって、第一の生物学的に活性な分子を形成し;かつ
およびBは、それらが結合される窒素と一緒になって、第二の生物学的に活性な分子を形成する。
【0027】
いくつかの実施形態では、本発明は、以下の式を有するプロドラッグコンジュゲートに関し:
【化13】
式中、nは、約1〜約50の整数であり;
各々のR10およびR11は独立して、存在しないか、水素、ハロゲン、−OR20、−SR20、−NR2021、−C(O)R20、−C(O)OR20、−C(O)NR2021、−N(R20)C(O)R21、−CF、−CN、−NO、−N、アシル、必要に応じて置換されているアルコキシ、必要に応じて置換されているアルキルアミノ、必要に応じて置換されているジアルキルアミノ、必要に応じて置換されているアルキルチオ、必要に応じて置換されているアルキルスルホニル、必要に応じて置換されている脂肪族、必要に応じて置換されているアリールまたは必要に応じて置換されているヘテロシクリルから選択され;
式中、各々のR20およびR21は、水素、ハロゲン、脂肪族、置換脂肪族、アリールまたは置換アリールから選択されるか;
あるいは、2つのR10およびR11はそれらが結合される原子と一緒になって、必要に応じて置換されている3、4、5、6または7員の炭素環または複素環を形成し得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、本発明は、以下の式を有する二級アミン含有親薬物のプロドラッグに関し:
【化14】
式中、nは、約1と約50との間の整数であり;
各々のR10およびR11は独立して、存在しないか、水素、ハロゲン、−OR20、−SR20、−NR2021、−C(O)R20、−C(O)OR20、−C(O)NR2021、−N(R20)C(O)R21、−CF、−CN、−NO、−N、アシル、必要に応じて置換されているアルコキシ、必要に応じて置換されているアルキルアミノ、必要に応じて置換されているジアルキルアミノ、必要に応じて置換されているアルキルチオ、必要に応じて置換されているアルキルスルホニル、必要に応じて置換されている脂肪族、必要に応じて置換されているアリールまたは必要に応じて置換されているヘテロシクリルから選択され;
式中、各々のR20およびR21は、水素、ハロゲン、脂肪族、置換脂肪族、アリールまたは置換アリールから選択され;
あるいは2つのR10およびR11は、それらが結合される原子と一緒になって、必要に応じて置換されている3、4、5、6または7員の炭素環または複素環を形成し得る。
【0029】
好ましい実施形態では、nは、約4〜約26の整数である。
【0030】
いくつかの実施形態では、本発明は、担体基に結合した3つの薬物部分を有するプロドラッグコンジュゲートに関する。例えば、3つの親薬物部分は、アコニット酸ベースの担体:
【化15】
に結合されてもよい。
【0031】
クエン酸、イソクエン酸、およびトリメシ酸のような他のトリカルボン酸化合物が担体として用いられ得る。一実施形態では、本発明は、以下の式
【化16】
を有する、プロドラッグに関する。
【0032】
API−1およびAPI−2は上記のとおりであり、かつAPI−3は生物学的に活性な部分であり、API−1およびAPI−2と同じであるかまたは異なる。
【0033】
ラクタム、環状尿素、イミドおよびカルバメート含有ファルマコフォアのプロドラッグ
一実施形態では、本発明の化合物は、アミドの窒素または酸素原子で、不安定性アルデヒド連結プロドラッグ部分で置換されている、ラクタム−、イミド−、カルバメート−、および環状尿素−、−含有の親薬物の誘導体である。
【0034】
いくつかの実施形態では、本発明は、本発明は、以下の式を有するプロドラッグコンジュゲートであって:
【化17】
式中hは3または4であり;
【化18】

式中、各々のR100、R101、R102、およびR103が独立して存在しないか、水素、ハロゲン、−OR10、−SR10、−NR1011−、必要に応じて置換されている脂肪族、必要に応じて置換されているアリールまたは必要に応じて置換されているヘテロシクリルから選択され;あるいは、2つのR100、およびR101が一緒になって、必要に応じて置換されている炭素環または複素環を形成し;
C1が前に規定のとおりであり;かつ
100が−CH−または−N−である、プロドラッグコンジュゲートに関する。
【0035】
いくつかの実施形態では、本発明は、以下の式を有するプロドラッグコンジュゲートであって:
【化19】
ここでDはこれが結合される酸素と一緒になって、生物学的に活性な部分を形成し;かつDはこれが結合される酸素と一緒になって、生物学的に活性な部分を形成し;かつC1は以前に規定されるとおりである、プロドラッグコンジュゲートに関する。
【0036】
いくつかの実施形態では、本発明は、以下の式を有するプロドラッグコンジュゲートであって:
【化20】
式中、nが4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29および30から選択される、プロドラッグコンジュゲートに関する。
【0037】
一実施形態では、親薬物部分(API)は、表1から選択される。一実施形態では、このプロドラッグは、式IIの化合物であって、式中API−1およびAPI−2は、表−1から選択される。一実施形態では、API−1およびAPI−2の両方とも、同じ親薬物に相当する。
【表1】
【0038】
いくつかの実施形態では、この親薬物部分(API)は、表2から選択される。一実施形態では、このプロドラッグは、式IIの化合物であって、式中API−1およびAPI−2は、表−2から選択される。一実施形態では、API−1およびAPI−2の両方とも、同じ親薬物に相当する。
【表2】
【0039】
一実施形態では、この親薬物部分(API)は、表3から選択される。一実施形態では、このプロドラッグは、式IIの化合物であって、式中API−1およびAPI−2は、表−3から選択される。一実施形態では、API−1およびAPI−2の両方とも、同じ親薬物に相当する。
【表3】
【0040】
アシルアニリンのプロドラッグ
一実施形態では、本発明の方法での使用に適切な化合物は、アミドの窒素または酸素原子において、不安定性アルデヒド連結プロドラッグ部分で置換されている、アシルアニリン−、−含有親薬物の誘導体である。
【0041】
一実施形態では、本発明の化合物は、下の式IIIによって示されるか、または、その幾何異性体、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ体、それらの薬学的に許容される塩および溶媒和化合物であり
【化21】
式III
式中、各々のR50、R51、R52、R53、R54およびR55は独立して水素、ハロゲン、−OR10、−SR10、−NR1011−、必要に応じて置換されている脂肪族、必要に応じて置換されているアリールまたは必要に応じて置換されているヘテロシクリルから選択されるか;あるいは、2つ以上のR50、R51、R52、R53、R54およびR55が一緒になって、必要に応じて置換されている環を形成する。
【0042】
一実施形態では、この親薬物部分(API)は、表4から選択される。一実施形態では、このプロドラッグは、式IIの化合物であって、式中API−1およびAPI−2は、表−4から選択される。一実施形態では、API−1およびAPI−2の両方とも、同じ親薬物に相当する。
【表4】
【0043】
チアゾリジノン類
一実施形態では、本発明の方法における使用のために適切な化合物は、アミドの窒素または酸素原子で、不安定性アルデヒド連結プロドラッグ部分によって置換されているチアゾリジン−、−含有親薬物の誘導体である。
【0044】
一実施形態では、本発明の化合物は、下の式IIIによって示されるか、または、その幾何異性体、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ体、それらの薬学的に許容される塩および溶媒和化合物であり:
【化22】
式VI
式中、Cyは必要に応じて置換されている複素環であり;かつXは、存在しないか、−S−、−O−、−S(O)−、−S(O)−、−N(R10)−、−C(O)−、−C(OR10)(R11)−、−[C(R10)(R11)]−、−O[C(R10)(R11)]−、−O[C(R10)(R11)]O−、−S[C(R10)(R11)]O−、−NR12[C(R10)(R11)]O−、−NR12[C(R10)(R11)]S−、−S[C(R10)(R11)]−、−C(O)[C(R10)(R11)]−、および−C(R10)(R11)=C(R10)(R11)−から選択され;ここでvは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
【0045】
一実施形態では、この親薬物部分(API)は独立して、表5から選択される。一実施形態では、このプロドラッグは、式IIの化合物であって、式中API−1およびAPI−2は、表−5から選択される。一実施形態では、API−1およびAPI−2の両方とも、同じ親薬物に相当する。
【表5】

【0046】
バルビツレート類
一実施形態では、本発明の方法における使用のために適切な化合物は、アミドの窒素または酸素原子で、不安定性アルデヒド連結プロドラッグ部分によって置換されている、バルビツレート類の誘導体である。
【0047】
一実施形態では、親薬物の部分(API)は、表6から選択される。一実施形態では、このプロドラッグは、式IIの化合物であって、式中API−1およびAPI−2は、表−6から選択される。一実施形態では、API−1およびAPI−2の両方とも、同じ親薬物に相当する。
【表6】



ここで、Mは、薬学的に許容される陽イオンである。
【0048】
ピリジンおよびピリミジン含有親薬物のプロドラッグ
一実施形態では、本発明の方法における使用のために適切な化合物は、アミドの窒素または酸素原子において、不安定性アルデヒド連結プロドラッグ部分によって置換されている、ピリジンおよびピリミジン含有の親薬物の誘導体である。
【0049】
一実施形態では、親薬物の部分(API)は、表7から選択される。一実施形態では、このプロドラッグは、式IIの化合物であって、式中API−1およびAPI−2は、表−7から選択される。一実施形態では、API−1およびAPI−2の両方とも、同じ親薬物に相当する。
【表7】
【0050】
ベンズアミド親薬物のプロドラッグ
一実施形態では、本発明の方法における使用のために適切な化合物は、アミドの窒素または酸素原子において、不安定性アルデヒド連結プロドラッグ部分によって置換されている、ベンズアミド含有親薬物の誘導体である。
【0051】
一実施形態では、親薬物の部分(API)は独立して、表8から選択される。一実施形態では、このプロドラッグは、式IIの化合物であって、式中API−1およびAPI−2は、表−8から選択される。一実施形態では、API−1およびAPI−2の両方とも、同じ親薬物に相当する。
【表8】
【0052】
イミド含有親薬物のプロドラッグ
一実施形態では、本発明の方法における使用のために適切な化合物は、アミドの窒素または酸素原子において、不安定性アルデヒド連結プロドラッグ部分によって置換されている、イミド含有親薬物の誘導体である。
【0053】
一実施形態では、親薬物の部分(API)は独立して、表9から選択される。一実施形態では、このプロドラッグは、式IIの化合物であって、式中API−1およびAPI−2は、表−9から選択される。一実施形態では、API−1およびAPI−2の両方とも、同じ親薬物に相当する。
【表9】
【0054】
環状尿素のプロドラッグ
一実施形態では、本発明の方法における使用のために適切な化合物は、尿素の窒素または酸素のいずれかにおいて、不安定性アルデヒド連結プロドラッグ部分によって置換されている、管状尿素含有親薬物の誘導体である。
【0055】
一実施形態では、親薬物の部分(API)は独立して、表10から選択される。一実施形態では、このプロドラッグは、式IIの化合物であって、式中API−1およびAPI−2は、表−10から選択される。一実施形態では、API−1およびAPI−2の両方とも、同じ親薬物に相当する。
【表10】
【0056】
スルホンアミド親薬物のプロドラッグ
一実施形態では、本発明の方法における使用のために適切な化合物は、スルホンアミドの窒素または酸素原子において、不安定性アルデヒド連結プロドラッグ部分によって置換されている、スルホンアミド親薬物の誘導体である。
【化23】
式中、AおよびBはスルホンアミド基と一緒になって、親薬物を形成し;かつ、
A2およびB2は、スルホンアミド基と一緒になって、親薬物を形成する。
【0057】
一実施形態では、親薬物の部分(API)は、表11から選択される。一実施形態では、このプロドラッグは、式IIの化合物であって、式中API−1およびAPI−2は独立して、表−11から選択される。一実施形態では、API−1およびAPI−2の両方とも、同じ親薬物に相当する。
【表11】
【0058】
三級アミン含有親薬物のプロドラッグ
いくつかの実施形態では、本発明は、式V:
【化24】
式V
を有するプロドラッグコンジュゲートであって、
式中、A、BおよびEが、それらが結合される窒素と一緒になって、三級アミン含有の第一の生物学的に活性な分子を形成し;
、BおよびEが、それらが結合される窒素と一緒になって、三級アミン含有の第二の生物学的に活性な分子を形成し;
が、OまたはSから選択され;
が、直接の結合、O、SまたはNR20から選択され、ここでR20が水素、ハロゲン、脂肪族、置換脂肪族、アリールまたは置換アリールから選択され;
X−が薬学的に許容される対イオンであり;かつ
C1が、担体部分である、プロドラッグコンジュゲートに関する。
【0059】
いくつかの実施形態では、本発明は、式VI:
【化25】
式VI
を有するプロドラッグコンジュゲートであって、
式中、nが1〜50の整数であり;
n、A、E、B、A、E、B、X、X、R10、R11およびX−は上記のとおりであるプロドラッグコンジュゲートに関する。
【0060】
いくつかの実施形態では、nは、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29および30から選択される。
【0061】
いくつかの実施形態では、本発明は、式VII:
【化26】
式VII
を有するプロドラッグコンジュゲートであって、
n、A、B、A、E、B、X、XおよびX−が上記のとおりであるプロドラッグコンジュゲートに関する。
【0062】
三級アミン含有親薬物は、所望の局所効果または全身効果を誘導する、任意の三級アミン含有薬物であり得る。このような薬物としては、広範な分類の化合物が挙げられる。概して、これには以下が挙げられる:鎮痛剤;麻酔剤;抗関節炎剤;呼吸薬、例としては、抗ヒスタミン剤;抗癌剤、例としては、抗悪性腫瘍剤;抗コリン作用薬;抗痙攣薬;抗うつ剤;抗糖尿病薬;止瀉薬;駆虫薬(antihelminthic);抗ヒスタミン剤;抗高脂血症薬;降圧剤;抗生物質および抗ウイルス剤などの抗感染症剤;抗炎症剤;抗片頭痛用調製物;制嘔吐剤;抗パーキンソン薬;鎮痒薬;抗精神病薬;解熱薬;鎮痙薬;抗結核剤;抗潰瘍剤;抗ウイルス剤;抗不安薬;食欲抑制薬;注意欠陥障害(ADD)および注意欠陥多動性障害(ADHD)の薬物;心血管用調製物、例としては、カルシウムチャネル遮断薬、CNS薬;ベータ遮断薬および抗不整脈薬;中枢神経系刺激物質;咳および感冒のための調製物、例としては、鬱血除去薬;利尿剤;遺伝子材料;消化管(GI)運動剤;漢方薬療法;ホルモン;抗ホルモン薬(hormonolytic);催眠薬;血糖降下剤;免疫抑制剤;ロイコトリエン阻害剤;有糸分裂阻害剤;筋弛緩薬;麻薬拮抗薬;ニコチン;ビタミン、必須アミノ酸および脂肪酸などの栄養剤;抗緑内障薬などの眼用薬物;副交感神経遮断薬;ペプチド薬;精神刺激薬;鎮静剤;ステロイド;交感神経模倣薬;トランキライザー;ならびに血管拡張剤、例としては、一般的な冠動脈の、末梢の、および大脳の血管拡張剤。
【0063】
本発明のプロドラッグが誘導され得る三級アミン含有抗生物質親薬物の例としては:クリンダマイシン、オフロキサシン/レボフロキサシン、ペフロキサシン、キヌプリスチン、ロリテトラサイクリンおよびセフォチアムが挙げられる。
【0064】
本発明のプロドラッグが誘導され得る三級アミン含有抗真菌薬の親薬物の例としては:ブテナフィン、ナフチフィンおよびテルビナフィンが挙げられる。
【0065】
本発明のプロドラッグが誘導され得る三級アミン含有抗マラリア薬および抗原虫薬の親薬物の例としては:アモジアキン、キナクリン、シタマキン、キニーネが挙げられる。
【0066】
本発明のプロドラッグが誘導され得る三級アミン含有HIVプロテアーゼ阻害剤の親薬物の例としては:サキナビル、インジナビル、アタザナビルおよびネルフィナビルが挙げられる。抗HIV薬物としてはまた、HIVの侵入を阻害するためのマラビロクおよびアプラビロク(aplaviroc)が挙げられる。
【0067】
本発明のプロドラッグが誘導され得る三級アミン含有抗痙攣薬/鎮痙薬の親薬物の例としては、アトロピン、ダリフェナシン、ジサイクロミン、ヒヨスチアミン(hyoscayamine)、チアガビン、フラボキセートおよびアルベリンが挙げられる。
【0068】
本発明のプロドラッグが誘導される三級アミン含有抗うつ剤の親薬物の例としては:アミトリプチリン、アジナゾラム、シタロプラム、コチニン、クロミプラミン、ドキセピン、エスシタロプラム、フェモキセチン、イミプラミン、ミナプリン、モクロベミド、ミアンセリン、ミルタザピン、ネファゾドン、ネホパム、ピポフェナジン(pipofenazine)、プロマジン、リタンセリン、トラゾドン、トリミプラミンおよびベンラファキシンが挙げられる。
【0069】
本発明のプロドラッグが誘導される三級アミン含有制吐薬の親薬物の例としては:アプレピタント、ブクリジン、シランセトロン、シクリジン、ドラセトロン、グラニセトロン、メクリジン、オンダンセトロン、パロノセトロン、ラモセトロン、チエチルペラジン、トリメトベンズアミド、スコポラミンおよびプロクロルペラジンが挙げられる。
【0070】
本発明のプロドラッグが誘導される三級アミン含有抗ヒスタミン剤の親薬物の例としては:アセプロメタジン(acetprometazine)、アザタジン、アゼラスチン、ブロムフェニラミン、カルビノキサミン、クロルフェニラミン、クレマスチン、デクスブロムフェニラミン(dexobrompheniramine)、ジフェンヒドラミン、ジフェニルピラリン、ドキセピン、エメダスチン(emadastine)、ロラタジン、メキタジン、オロパタジン、フェニンダミン、フェニラミン、プロメタジン、トリペレナミン、トリプロリジン、アステミゾール、セチリジン、フェキソフェナジン、テルフェナジン、ラトレピルジン、ケトチフェン、シプロヘプタジン、ヒドロキシジン、クロベンゼパム ドキシラミン、シンナリジン、オルフェナドリンが挙げられる。
【0071】
本発明のプロドラッグが誘導される三級アミン含有抗パーキンソン薬の親薬物の例としては:カベルゴリン、エトプロパジン、ペルゴリド、セレギリン、メチキセン、ビペリデン、サイクリミン、プロシクリジン(procycladine)およびアポモルフィンが挙げられる。
【0072】
本発明のプロドラッグが誘導される三級アミン含有抗精神病薬の親薬物の例としては:アセトフェナジン、アミスルプリド、アリピプラゾール、ビフェプルノックス、ブロナンセリン、カリプラジン、カルフェナジン、クロペンチキソール、クロザピン、デヒドロアリピプラゾール、ドンペリドン(someperidone)、ドロペリドール、フルペンチキソール、フルフェナジン、フルスピリレン、ハロペリドール、イロペリドン、ルラシドン、メソリダジン、モリンドン(molindole)、ネモナプリド(nemanopride)、オランザピン、ペロスピロン、ペルフェナジン、PF−00217830(Pfizer)、ピポチアジン、プロペリシアジン、クエチアピン、レモキシプリド、リスペリドン、セルチンドール、SLV−313(Solvay/Wyeth)、スルピリド、チオプロペラジン、チオリダジン、チオチキセン、トリフロペラジン、ジプラシドン、ゾテピン、ピモジド、ベンズキナミド、トリフルプロマジン、テトラベナジン、メルペロン、アセナピン、クロルプロチキセン、スピペロンおよびクロルプロマジンが挙げられる。
【0073】
本発明のプロドラッグが誘導される三級アミン含有抗不安薬の親薬物の例としては:ブスピロンおよびロキサピンが挙げられる。
【0074】
本発明のプロドラッグが誘導される三級アミン含有向知性薬(nootroopic)(記憶および認知賦活薬)の親薬物の例としては:ドネペジル、ガランタミン、ラトレピルジン、ニコチン、IUPAC名称:N−[(2S,3S)−2−(ピリジン−3−イルメチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミドを有するTC−5616(Targacept,Inc.)が挙げられる。
【0075】
本発明のプロドラッグが誘導される三級アミン含有の勃起不全用の親薬物の例としては:アポモルフィンおよびシルデナフィルが挙げられる。
【0076】
本発明のプロドラッグが誘導される三級アミン含有の片頭痛用の親薬物の例としては:アルモトリプタン、ナラトリプタン、リザトリプタン、スマトリプタン、ゾルミトリプタン、ジヒドロエルゴタミン、エルゴタミン、エレトリプタン(eletripan)およびリスリドが挙げられる。
【0077】
本発明のプロドラッグが誘導される、第三級アミンを含有するアルコール依存症の治療のための親薬物の例としては:ナロキソンおよびナルトレキソンが挙げられる。本発明のプロドラッグが誘導される、物質乱用の治療のための他の麻薬拮抗薬のアミン含有親薬物としては:レバロルファン、ナルブフィン、ナロルフィンおよびナルメフェンが挙げられる。
【0078】
本発明のプロドラッグが誘導される、三級アミン含有の習慣性の処置のための親薬物の例としては:ブプレノルフィン、イソメタドン、酢酸レボメタジル、酢酸メタジル、ノルアセチルレボメタジル(levomethadol)およびノルメタドンが挙げられる。
【0079】
プロドラッグが誘導される三級アミン含有筋弛緩薬の親薬物の例としては:シクロベンザプリン、ネホパム、トルペリゾン、オルフェナドリンおよびキニーネが挙げられる。
【0080】
本発明のプロドラッグが誘導される三級アミン含有非ステロイド系抗炎症薬の親薬物の例としては:エトドラク、メロキシカム、ケトロラク、ロルノキシカムおよびテノキシカムが挙げられる。本発明のプロドラッグが誘導される三級アミン含有オピオイド親薬物の例としては、アルフェンタニル、アニレリジン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルフィン、フェンタニル、ヒドロモルフォン、メペリジン、メタゾシン、メタドン、モルフィン、オキシコドン、ヒドロコドン(hyrdocodone)、オキシモルフォン、ペンタゾシン、レミフェンタニルおよびスフェンタニルが挙げられる。
【0081】
本発明のプロドラッグが誘導される他の三級アミン含有の鎮痛剤の親薬物の例としては:メトトリメプラジン、トラマドール、ネホパム、フェナゾシン、プロピラム、キヌプラミン、テバインおよびプロポキシフェンが挙げられる。
【0082】
本発明のプロドラッグが誘導され得る三級アミン含有鎮静剤/催眠薬の例としては:エスゾピクロン、フルラゼパム、プロピオマジンおよびゾピクロンが挙げられる。
【0083】
本発明のプロドラッグが誘導される三級アミン含有局所性鎮痛剤の親薬物の例としては:ブピバカイン、デクスメデトミジン、ジブカイン、ジクロニン、リドカイン(lodicaine)、メピバカイン、プロカイン、ならびにタペンタドールおよびロピバカインが挙げられる。
【0084】
本発明のプロドラッグが誘導され得る三級アミン含有抗狭心症薬の例としては:ラノザリン(ranozaline)、ベプリジルが挙げられる。
【0085】
本発明のプロドラッグが誘導され得る三級アミン含有抗不整脈薬の例としては:アミオダロン、アプリンジン、エンカイニド、モリシジン、プロカインアミド、ジルチアゼム、ベラパミル、ベプリジルが挙げられる。
【0086】
本発明のプロドラッグが誘導され得る三級アミン含有降圧薬の例としては:アゼルニジピン、デセルピジン、ケタンセリン、レセルピンおよびシルデナフィルが挙げられる。
【0087】
本発明のプロドラッグが誘導され得る三級アミン含有抗血栓薬の例としては:クロピドグレルおよびチクロピジンが挙げられる。
【0088】
本発明のプロドラッグが誘導される三級アミン含有抗新生物薬の親薬物の例としては、ダサチニブ、フラボピリドール、ゲフィチニブ、イマチニブ、スニチニブ、トポテカン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、フィンセシン(fincesine)、ビノレルビン、ビノレルビン、タモキシフェン、トレミフェン(tremifene)およびテスミリフェンが挙げられる。
【0089】
過敏性腸症候群(IBS)の処置において使用するための、本発明のプロドラッグが誘導される三級アミン含有薬物の親薬物の例としては、アシマドリンが挙げられる。
【0090】
本発明のプロドラッグが誘導される他の三級アミン含有の他の親薬物の例としては:抗ムスカリン薬および抗コリン作用薬、例えば、ベンズトロピン(benzotropine)、プロシクリジンおよびトリヘキシフェニジル(trihexylphenidyl);αアドレナリン(andrenergic)遮断薬、例えば、ダピプラゾール、デクスメデトミジンおよびニセルゴリン;食欲抑制薬(anorexic)、例えば、ジエチルプロピオン(diethylpropian)、ベンズフェタミン(benzapehtamine)、フェンジメトラジンおよびシブトラミン;止瀉薬、例えば、ジフェノキシレートおよびロペラミド、運動制止剤(antikinetic)、ならびにクロニジンなどの降圧薬;ラロキシフェンなどの骨粗鬆症治療薬;メチルジラジン(methyldilazine)などの鎮痒薬;デキストロメトルファンなどの鎮咳剤;ピレンゼピンなどの抗潰瘍薬;ガランタミンなどのコリンエステラーゼ阻害剤;蠕動運動誘発薬(gastroprokinetic)、例えば、アルビモパン、シサプリドおよびピボセロド;スフィンゴ糖脂質リソソーム蓄積障害を治療するためのミグルスタット;性腺刺激物質(prinicipal)としてのクロミフェン;ジヒドロ−ベータ−エリスロイジン(erythrodoidine)などの神経筋遮断薬、リバスチグミンなどの向知性薬(niotropic)、メチルエルゴノビンなどの分娩誘発剤;クロロキンなどの抗アメーバ薬(antiametic);ドキサプラムなどの呼吸刺激物質;尿失禁を治療するためのオキシブチニンおよびソリフェナシンなどのムスカリン受容体拮抗薬;フルナリジンなどのカルシウムチャネル遮断薬;ジエチルカルバマジンおよびキナクリンなどの駆虫剤;フィゾスチグミンなどの縮瞳薬;ルベルゾールなどの神経保護薬;ミコフェノール酸モフェチルなどの免疫抑制剤;ならびにニコチンなどの刺激物質が挙げられる。
【0091】
本発明のプロドラッグが誘導される好ましい三級アミン含有の親薬物としては:アミスルプリド、アリピプラゾール、アセナピン、カリプラジン、シタロプラム、デヒドロアリピプラゾール、エスシタロプラム、ガランタミン、イロペリドン、ラトレピルジン、オランザピン、パリペリドン、ペロスピロン、リスペリドンおよびジプラシドンが挙げられる。
【0092】
本発明は、三級アミン基を含み、生物活性があり、そして本発明に従って誘導体化されて、対応するプロドラッグを得ることができる、任意の親薬物化合物または任意の置換された親薬物化合物を包含するものとする。本発明のプロドラッグが誘導され得る三級アミン含有親薬物は膨大であるが、本発明のプロドラッグの化学構造の多くは、特定の一般構造の種類によって特徴付けることができる。1つの種類としては、三級アミンの窒素が、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピロリジン、アザピン(azapine)およびジアザピン(diazapine)のような環式(二環式または三環式を含む)脂肪族基の一部であるものが挙げられる。別の種類としては、三級アミンの窒素がジエチルアミンおよび/またはジメチルアミンのようなアルキルアミン基の一部であるものが挙げられる。
【0093】
いくつかの実施形態では、本発明は、式VIII:
【化27】
式VIII
を有するプロドラッグコンジュゲートであって、
式中、Aが、薬学的に許容される対イオンであり;XおよびXが上記のとおりである、プロドラッグコンジュゲートに関する。
【0094】
一実施形態では、親薬物の部分(API)は独立して、表12から選択される。一実施形態では、このプロドラッグは、式IIの化合物であって、式中API−1およびAPI−2は、表−12から選択される。一実施形態では、API−1およびAPI−2の両方とも、同じ親薬物に相当する。
【表12】
【0095】
ヘテロアリール親薬物のプロドラッグ
一実施形態では、本発明の方法における使用に適切な化合物は、NHの窒素原子において、不安定性プロドラッグ部分によって置換されている、ヘテロアリールNH含有親薬物の誘導体である。好ましくは、このプロドラッグ部分は、疎水性であり、かつ生理学的なpH(pH7.0)で溶解度を低下し、同様に親薬物と比較してプロドラッグの極性および親油性のパラメーターを調節する。
【0096】
一実施形態では、本発明は、式IXのプロドラッグ化合物:
【化28】
式IX
であって、式中X10〜X17の各々が独立してNまたはCRであり、ただし、X10−17のうちの少なくとも1つがCRである、プロドラッグ化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。R基は組み合わさって、五員の複素環式芳香族環に加えて、プロドラッグ化合物の一部を形成する。例えば、R基は、独立して水素、必要に応じて置換されている脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族またはそれらの組み合わせであってもよい。R基はまた、炭素原子と一緒になって、1つ以上の必要に応じて置換されている縮合環系を形成してもよい。
【0097】
好ましい実施形態では、本発明は、式Xのプロドラッグコンジュゲートであって:
【化29】
式X
式中X10−17、X、X、R10、およびR11が上記のとおりである、プロドラッグコンジュゲートに関する。
【0098】
複素環式芳香族NH含有の親薬物としては、広範な分類の化合物が挙げられる。概して、これらとしては:鎮痛剤;麻酔剤;抗関節炎剤;呼吸薬、例としては、抗ヒスタミン剤;抗癌剤、例としては、抗悪性腫瘍剤;抗コリン作用薬;抗痙攣薬;抗うつ剤;抗糖尿病剤;止瀉薬;駆虫薬(antihelminthic);抗ヒスタミン剤;抗高脂血症薬;降圧剤;抗生物質および抗ウイルス剤などの抗感染症剤;抗炎症剤;抗片頭痛用調製物;制嘔吐剤;抗パーキンソン薬;鎮痒薬;抗精神病薬;解熱薬;鎮痙薬;抗結核剤;抗潰瘍剤;抗ウイルス剤;抗不安薬;食欲抑制薬;注意欠陥障害(ADD)および注意欠陥多動性障害(ADHD)の薬物;心血管用調製物、例としては、カルシウムチャネル遮断薬、CNS薬;ベータ遮断薬および抗不整脈薬;中枢神経系刺激物質;向知性薬;咳および感冒のための調製物、例としては、鬱血除去薬;利尿剤;遺伝子材料;漢方薬療法;抗ホルモン薬(hormonolytic);催眠薬;血糖降下剤;免疫抑制剤;ロイコトリエン阻害剤;有糸分裂阻害剤;筋弛緩薬;麻薬拮抗薬;ニコチン;ビタミン、必須アミノ酸および脂肪酸などの栄養剤;抗緑内障薬などの眼用薬物;副交感神経遮断薬;ペプチド薬;精神刺激薬;鎮静剤;ステロイド;交感神経模倣薬;トランキライザー;ならびに血管拡張剤、例としては、一般的な冠動脈の、末梢の、および大脳の血管拡張剤が挙げられる。
【0099】
複素芳香族のNH含有の具体的な親薬物は、様々な薬物の分類に相当する。このような薬物としては、メピプラゾールおよびデクスメデトミジンなどのトランキライザーおよび鎮静剤;駆虫剤、例えば、アルベンダゾール、カルベンダゾール、シクロベンダゾール、メベンダゾールおよびチアベンダゾール;抗片頭痛剤、例えば、アルモトリプタン、ドラセトロン、エレトリプタン、リスリド、ナラトリプタン、リザトリプタン、スマトリプタン、フロバトリプタン、ゾルミトリプタンおよびエルゴタミン;アロセトロンなどの過敏性腸症候群のための治療剤;抗ウイルス剤、例えば、デラビルジンおよびアテビルジン;降圧剤、例えば、ボピンドロール、ブシンドロール、カンデサルタン、デセルピジン、ミベフラジル、メシル酸エルゴロイド、インドラミン、イルベサルタン、メピンドロール、オルメサルタン、レセルピン、レシンナミン、ロサルタン、タソサルタン、バルサルタン、ラウバシン、シロシンゴピン、カルモキシロールおよびレシメトール;抗パーキンソン病薬、例えば、カベルゴリン、ペルゴリド、ブロモクリプチンおよびテルグリド;アンブフィリンなどの気管支拡張剤;抗潰瘍薬、例えば、シメチジン、ランソプラゾール、オメプラゾール、パントプラゾール(pantaprozole)およびラベプラゾール;抗菌剤、例えば、セファトリジンおよびダプトマイシン;エルゴノビンおよびメチルエルゴノビンなどの分娩誘発剤;エトドラクなどの鎮痛剤;抗新生物薬、例えば、リアロゾール、ペメトレキセド、チアミプリン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ボアカミンおよびビンフルニン(venflunine);抗うつ剤、例えば、オキシペルチン、インダルピンおよびロキシンドール;抗アレルギー薬、例えば、ペミロラスト、タザノラストおよびトラキサノクス;ピモベンダンおよびスルマゾールなどの強心剤;プランルカストなどの抗喘息薬;ラモセトロン、トロピセトロンおよびアリザプリドなどの制吐薬;ベンダゾールおよびタダラフィルなどの血管拡張剤;アロプリノールなどの抗痛風薬;アザチオプリンなどの抗リウマチ薬;ヨヒンビンなどの散瞳薬;コニバプタンなどのうっ血性心不全のための治療剤;ならびにホルモン剤、例えば、アドレノグロメルロトロピン、オクトレオチド、ソマトスタチン、エキセナチド、テリパラチド、リュープロレリンおよびゴセレリンが挙げられる。
【0100】
一実施形態では、親薬物は、少なくとも1つの複素芳香族性NH基を含むペプチドである。かかるペプチドとしては、トリプトファンおよびヒスチジンから選択される少なくとも1つの残基を含む、2〜約50個、2〜約40個、2〜約20個または2〜約12個のアミノ酸残基を含むペプチドが挙げられる。適切なペプチドとしては、それに限定されるものではないが、サイロトロピン放出ホルモン(TRH)、エキセナチド、ダプトマイシン、オクトレオチド、ソマトスタチン、テリパラチド、リュープロレリンおよびゴセレリンが挙げられる。
【0101】
本発明のプロドラッグが誘導され得る複素芳香族性NH含有の親薬物は膨大であるが、本発明のプロドラッグの化学構造の多くは、特定の一般構造の種類によって特徴付けることができる。ある種類としては、複素芳香族基がピロール基である化合物が挙げられる。別の種類には、複素芳香族基がイミダゾール基である化合物が挙げられる。別の種類としては、複素芳香族基が1,2,3−トリアゾール基または1,2,4−トリアゾール基である化合物が挙げられる。別の種類としては、複素芳香族基がテトラゾール基である化合物が挙げられる。別の種類としては、複素芳香族基がベンズイミダゾール基である化合物が挙げられる。別の種類には、複素芳香族基がインドール基である化合物が挙げられる。別の種類には、複素芳香族基がピラゾール基である化合物が挙げられる。
【0102】
本発明のプロドラッグを生成するために修飾され得るベンズイミダゾール含有の親薬物としては、アルベンダゾール(albenazole)、カルベンダゾール、シクロベンダゾール、ランソプラゾール、リアロゾール、メベンダゾール、ミゾラスチン、オメプラゾール、パントプラゾール(pantaprazole)、ピモベンダン、ラベプラゾール、チアベンダゾール、ベンダゾールおよびミベフラジル(mibepradil)が挙げられる。ベンズイミダゾールを含有する好ましい薬物としては、ランソプラゾール、ミベフラジルおよびピモベンダンが挙げられる。
【0103】
本発明のプロドラッグを生成するために修飾され得るイミダゾール含有の親薬物としては、アロセトロン、アンブフィリン、シメチジン、コニバプタン、デクスメデトミジン、ラモセトロン、チアミプリン、スルマゾール、アザチオプリン、エキセナチド、テリパラチド、サイロトロピン放出ホルモン(TRH)、ゴセレリンおよびリュープロレリンが挙げられる。イミダゾール含有の好ましい薬物としては、コニバプタン、スルマゾールおよびアザチオプリンが挙げられる。
【0104】
本発明のプロドラッグを生成するために修飾され得るインドール含有の親薬物としては、アルモトリプタン、アテビルジン、ボピンドロール、ブロモクリプチン、ブシンドロール、カベルゴリン、デラビルジン、デセルピジン、ドラセトロン、エレトリプタン、メシル酸エルゴロイド、エルゴノビン、エトドラク、フロバトリプタン、インドラミン、リスリド、メピンドロール(mepidolol)、メチルエルゴノビン、ナラトリプタン、オキシペルチン、ペメトレキセド、ペルゴリド、レシンナミン、レセルピン、リザトリプタン、スマトリプタン、タダラフィル、トロピセトロン、アドレノグロメルロトロピン(adrenoglomerulotriptan)、ブロモクリプチン、エルゴタミン、インダルピン、ラウバシン、レセルピリン、ロキシンドール、シロシンゴピン、テルグリド、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ボアカミン、ビンフルニン
アテビルジン、カルモキシロール、レシメトール、ヨヒンビン、ゾルミトリプタン、オクトレオチド、ソマトスタチン、エキセナチド、テリパラチド、ダプトマイシン、リュープロレリンおよびゴセレリンが挙げられる。インドール含有の好ましい薬物としては、ボピンドロール、ブシンドロール、カベルゴリン、ドラセトロン、インドラミン、オキシペルチン、ペルゴリド、レシンナミン、レセルピン、アテビルジン、カルモキシロールおよびレシメトールが挙げられる。
【0105】
本発明のプロドラッグを生成するために修飾され得るピラゾール含有の親薬物としては、メピプラゾールおよびアロプリノールが挙げられる。
【0106】
本発明のプロドラッグを生成するために修飾され得るテトラゾール含有の親薬物としては、カンデサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、ペミロラスト、プランルカスト、タソサルタン、トラキサノクスおよびバルサルタンが挙げられる。
【0107】
本発明のプロドラッグを生成するために修飾され得るトリアゾール含有の親薬物としては、セファトリジンおよびアリザプリドが挙げられる。
【0108】
本発明に従って修飾され得る特に好ましい親薬物としては、ボピンドロール、ブシンドロール、カベルゴリン、カンデサルタン、セファトリジン、コニバプタン、インドラミン、イルベサルタン、ランソプラゾール、ミベフラジル、オルメサルタン、オキシペルチン、ペミロラスト、ペルゴリド、ピモベンダン、レシンナミン、レセルピン、バルサルタン、スルマゾール、アザチオプリン、アテビルジン、カルモキシロールおよびレシメトールが挙げられる。
【0109】
一実施形態では、親薬物の部分(API)は、表13から選択される。一実施形態では、このプロドラッグは、式IIの化合物であって、式中API−1およびAPI−2は、表−13から選択される。一実施形態では、API−1およびAPI−2の両方とも、同じ親薬物に相当する。
【表13】
【0110】
本発明の別の局面では、マルチプル薬物分子に連結され得るプロドラッグを合成するための一般的方法が提供される(スキーム1)。
【化30】
ここで、各々のLG−1およびLG−2は独立して脱離基、好ましくは塩化物、臭化物またはヨウ化物である。
【0111】
本発明の別の局面では、アルキル基を通じて2つの親薬物分子に連結され得るプロドラッグを合成するための一般的方法が提供される(スキーム2)。同じ方法論を用いて、分岐および置換のアルキル基を用いてプロドラッグを合成してもよい。
【化31】
ここで、nは、約1〜約50、好ましくは約4〜約26の整数である。
【0112】
一実施形態では、スキーム2由来のジカルボン酸は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、オルト−、パラ−またはメタ−フタル酸、マレイン酸、フマル酸、グルタコン酸、トラウマチン酸またはムコン酸から選択される。一実施形態では、ジカルボン酸は、1モル当量以下の塩化チオニルと反応されて、一置換および二置換の酸塩化物の混合物が得られる。別の実施形態では、ジカルボン酸は、2モル以上の塩化チオニルと反応される。酸塩化物は、ルイス酸のような四塩化ジルコニウムを用いてトリオキサンまたはパラホルムアルデヒドと反応することによってクロロメチルエステルに変換され得る。(Mudryk,B.ら,Tetrahedron Letters 43(36),2002,6317〜6318)。クロロメチルエステルを、ファルマコフォアを含むアミンのような、反応性APIと反応して、最終のコンジュゲートを得てもよい。不安定性の基を通じてアミン基を含有する生物学的に活性な活性剤を結合するための方法は、米国特許出願第12/823,102号に開示される。ここに記載される方法は、本明細書においてジカルボン酸含有の担体基に変換するように適合され得る。
【0113】
本発明の別の局面では、アルキル基を通じて2つのアリピプラゾール分子に連結され得る、アリピプラゾールのプロドラッグを合成するための一般的な方法が示される(スキーム3)。本発明はさらに、表14から選択されるアリピプラゾールのプロドラッグを提供する。
【化32】
【表14】
【0114】
一実施形態では、式I、IAまたはIBの化合物は、それらが由来する親薬物に比較して、溶解度が低く、かつ好ましくは、少なくとも溶解度の大きさが1ケタ小さい。一実施形態では、式I、IAまたはIBのプロドラッグは、室温でリン酸緩衝液(pH7.4)の中で溶解度を測定した場合、約0.5mg/ml未満、好ましくは約0.1mg/mL未満、好ましくは約0.01mg/mL未満、好ましくは約0.001mg/mL未満、好ましくは約0.0001mg/mL未満、さらに好ましくは約0.00001mg/ml未満という水溶性を有する。
【0115】
好ましい実施形態では、本発明の化合物は、被験体に対して、例えば、経口的にまたは非経口的に投与された場合、数時間、数日間、数週間または数か月間にまたがって親薬物の徐放性の送達をもたらす。例えば、化合物は、少なくとも8、12、24、36もしくは48時間、または少なくとも4、7、15、30、60、75もしくは90日間以上にわたって親薬物の徐放性の送達を提供し得る。理論によって束縛されるものではないが、本発明の化合物は、非経口投与、例えば皮下、筋肉内または腹腔内注射される際には不溶性デポを形成すると考えられる。一実施形態では、本発明のプロドラッグは、酵素的または化学的分解からのプロドラッグの追加の保護を提供するための徐放性の送達系(システム)をさらに備えてもよい。
【0116】
別の実施形態では、本発明は、親のラクタム、アミド、イミド、スルホンアミド、カルバメート、尿素、ベンズアミドまたはアシルアニリン含有薬物をその必要な被験体に徐放性送達するための方法を提供する。これらの基の各々は、アミドのN−H基を含む。この方法は、NH基上で不安定性疎水性アルデヒド連結プロドラッグ部分を置換することによって形成されるプロドラッグの有効量を被験体に投与することを包含し、(ここでこのプロドラッグは、親薬物に比較して生理学的条件下で溶解度が低下している)、親薬物の投与後に観察されるレベルよりも投与後、親薬物のより長い徐放性の治療レベルを提供する。好ましい実施形態では、アミドのN−H基は、約5〜約22、好ましくは約5〜約21、好ましくは約5〜約20というpKaを有する。
【0117】
二級アミン薬物のプロドラッグ
本発明はさらに、式LIの二級アミン含有薬物のプロドラッグに関する:
【化33】
【0118】
いくつかの実施形態では、本発明は、以下の式:
【化34】
を有するプロドラッグコンジュゲートであって、
式中、AおよびBがそれらが結合される窒素と一緒になって、第一の生物学的に活性な分子を形成し;かつ
およびBが、それらが結合される窒素と一緒になって、第二の生物学的に活性な分子を形成する、プロドラッグコンジュゲートに関する。
【0119】
いくつかの実施形態では、本発明は、以下の式:
【化35】
式LI−A
を有する親薬物を含む二級アミンのプロドラッグであって、
式中、nが約1〜約50の整数であり;
がSまたはOであり;
が、直接結合、O、SまたはNR20から選択され;
各々のR10およびR11が独立して、存在しないか、水素、ハロゲン、−OR20、−SR20、−NR2021、−C(O)R20、−C(O)OR20、−C(O)NR2021、−N(R20)C(O)R21、−CF、−CN、−NO、−N、アシル、必要に応じて置換されているアルコキシ、必要に応じて置換されているアルキルアミノ、必要に応じて置換されているジアルキルアミノ、必要に応じて置換されているアルキルチオ、必要に応じて置換されているアルキルスルホニル、必要に応じて置換されている脂肪族、必要に応じて置換されているアリールまたは必要に応じて置換されているヘテロシクリルから選択され;
式中、各々のR20およびR21が、水素、ハロゲン、脂肪族、置換脂肪族、アリールまたは置換アリールから選択され;
あるいは2つのR10およびR11が、それらが結合される原子と一緒になって、必要に応じて置換されている3、4、5、6または7員の炭素環または複素環を形成し得る、プロドラッグに関する。
【0120】
好ましい実施形態では、nは4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29および30から選択される。
【0121】
二級アミン含有親薬物(API−1およびAPI−2として式LIに指定される)は、所望の局所的効果または全身効果を誘導する任意の二級アミン含有親薬物であってもよい。このような親薬物としては、広範な分類の化合物が挙げられる。いくつかの例としては、呼吸薬、例としては:抗ヒスタミン剤;鎮痛剤;抗うつ剤;抗狭心症剤;抗不整脈剤、降圧剤、抗糖尿病薬;抗ヒスタミン薬;抗生物質などの抗感染症剤;抗炎症剤;抗パーキンソン薬;抗精神病薬;解熱薬;抗潰瘍剤;注意欠陥多動性障害(ADHD)の薬物;心血管系刺激薬;咳および感冒のための調製物、例としては、鬱血除去薬;ならびに精神刺激薬が挙げられる。
【0122】
本発明のプロドラッグが誘導され得る二級アミン含有親薬物の例としては以下が挙げられる:アルプレノロール、アセブトロール、アミデフリン(amidephrine)、アミネプチン、アモスラロール、アモキサピン、アンフェタミニル、アテノロール、アトモキセチン、バロフロキサシン、バメタン、ベフノロール、ベナゼプリル、ベンフルオレクス、ベンゾオクタミン、ベタヒスチン、ベタキソロール、ベバントロール、ビフェメラン、ビソプロロール、ブリンゾラミド、ブフェニオド、ブテタミン、カミロフィン、カラゾロール、カルチカイン、カルベジロール、セファエリン、シプロフロキサシン、クロザピン、クロベンゾレックス、クロルプレナリン、シクロペンタミン、デラプリル、デメキシプチリン、デノパミン、デシプラミン、デスロラタジン(クラリネックス)、ジクロフェナク、ジメトフリン、ジオキサドロール、ドブタミン、ドペキサミン、ドリペネム、ドルゾラミド、ドロプレニルアミン、デキュロキセチン、エルトプラジン、エナラプリル、エノキサシン、エピネフリン、エルタペネム、エサプラゾール、エスモロール、エトキサドロール、ファスジル、フェンジリン、フェネチリン、フェンフルラミン、フェノルドパム、フェノテロール、フェンプロポレックス、フレカイニド、フルオキセチン、ホルモテロール、フロバトリプタン、ガボキサドール、ガレノキサシン、ガチフルオキサシン、グレパフルオキサシン、ヘキソプレナリン、イミダプリル、インダルピン、インデカイニド、インデロキサジンヒドロクロライド、イソクススルピン、イソプロニクリン、ラベタロール、ランジオロール、ラパチニブ、レボファセトペラン、リシノプリル、ロメフルオキサシン、ロタラフィバン、マプロチリン、メカミラミン、メフロキン、メピンドロール、メプロペネム、メタプラミン、メタプロテレノール、メトキシフェナミン、dtmp(デクストロラトラリーメチルフェニデート)、メチルフェニデート、メチプラノロール、メトプロロール、ミトキサントロン、ミバゼロール、モエキシプリル、モプロロール、モキシフルオキサシン、ネビボロール、ニフェナロール、ニプラジロール、ノルフロキサシン、ノルトリプチリン、ニリドリン、オランザピン、オキサムニキン、オクスプレノロール、オキシフェドリン、パロキセチン、ペルヘキシリン、フェンメトラジン、フェニレフリン、フェニルプロピルメチルアミン、フォレドリン、ピシロレクス、ピメフィリン、ピンドロール、ピペミド酸、ピリドカイン、プラクトロール、プラドフロキサシン、プラミペキソール、プラミベリン、プレナルテロール、プレニルアミン、プリロカイン、プロカテロール、プロネタロール、プロパフェノン、プロプラノロール、プロピルヘキセドリン、プロトキロール、プロトリプチリン、シュードエフェドリン、レボキセチン、ラサギリン、(r)−ラサギリン、レピノタン、レプロテロール、リミテロール、リトドリン、サフィナミド、サルブタモール/アルブテロール、サルメテロール、サリゾタン、セトラリン、シロドシン、ソタロール、ソテレノール、スパルフロキサシン、スピラプリル、スルフィナロール、シネフリン、タムスロシン、テバニクリン、チアネプチン、チロフィバン、トレトキノール、トリメタジジン、トロキシピド、バレニクリン(チャンピックス)、ビルダグリプチン、ビロキサジン、ビクイジルおよびキサモテロール。
【0123】
本発明のプロドラッグが誘導される好ましい二級アミン含有親薬物としては:アテノロール、アトモキセチン、クロザピン、デシプラミン、デスロラタジン(クラリネックス)、ジクロフェナク、ドリペネム、デュロキセチン、エナラプリル、エルタペネム、フルオキセチン、メトプロロール、メカミラミン、メロペネム、メチルフェニデート、dtmp(デクストロラトラリーメチルフェニデート)、オランザピン、パロキセチン、プラミペキソール、ラサギリン、(登録商標)−ラサギリン、サルブタモール/アルブテロール、タムスロシン、バレニクリン(チャンピックス( hantix))、およびビルダグリプチンが挙げられる。さらに好ましい実施形態では、二級アミン含有親薬物は、クロザピン、デュロキセチン、メカミラミン、プラミペキソール、ラサギリン、(登録商標)−ラサギリン、およびオランザピンから選択される。
【0124】
一実施形態では、親薬物部分(API)は、表14から選択される。一実施形態では、このプロドラッグは、式LIまたはLI−Aの化合物であって、式中API−1およびAPI−2は、表14から選択される。一実施形態では、API−1およびAPI−2の両方とも、同じ親薬物に相当する。
【表15】
【0125】
さらに好ましい実施形態では、本発明は、式:
【化36】
によって示されるオランザピンのプロドラッグに関する。
【0126】
さらに好ましい実施形態では、本発明は、式:
【化37】
によって示されるオランザピンのプロドラッグに関する。
【0127】
好ましい実施形態では、本発明は、式:
【化38】
によって示されるオランザピンのプロドラッグに関する。
【0128】
さらに好ましい実施形態では、本発明は、式:
【化39】
によって示されるオランザピンのプロドラッグに関する。
【0129】
さらに好ましい実施形態では、本発明は、式:
【化40】
によって示されるオランザピンのプロドラッグに関する。
【0130】
さらに好ましい実施形態では、本発明は、式:
【化41】
によって示されるオランザピンのプロドラッグに関する。
【0131】
さらに好ましい実施形態では、本発明は、式:
【化42】
によって示されるオランザピンのプロドラッグに関する。
【0132】
さらに好ましい実施形態では、本発明は、式:
【化43】

によって示されるオランザピンのプロドラッグに関する。
【0133】
さらに好ましい実施形態では、本発明は、式:
【化44】
によって示されるオランザピンのプロドラッグに関する。
【0134】
好ましい実施形態では、本発明は、式:
【化45】

によって示されるオランザピンのプロドラッグに関する。
【0135】
化合物の合成
一般には、本発明の化合物は、オランザピンの誘導体化が図示される、スキーム3Aおよび3Bに示される方法によって合成され得る。
スキーム3A
オランザピン
【化46】
生体可逆性誘導体
スキーム3B
【化47】
生体可逆性誘導体
【0136】
スキーム3Aおよび3Bは、親薬物、オランザピンと、クロロギ酸クロロメチルとの縮合、続いてカルボン酸との縮合による式LIの化合物の合成を図示する。
【0137】
定義
下に列挙されるのは、本発明を記述するために用いた種々の用語の定義である。これらの定義は、特定の場合に別段限定されない限り、個々にまたはより大きい群の一部として、本明細書および特許請求の範囲全体にわたって用いられる用語にあてはまる。
【0138】
「API」、「生物学的に活性な部分」、「薬物部分」および「親薬物部分」という用語は、本発明のプロドラッグコンジュゲートに存在する親薬物分子の構造を指して交換可能に用いられる。当業者によって理解されるとおり、担体部分に対する薬物分子の連結は、特定の場合、親薬物分子の酸素または窒素原子での、水素原子の損失による置換を介して進行する。これらの実施形態では、親薬物部分は、親薬物分子からのO−HまたはN−Hの水素原子の除去から生じるラジカルである。特定の実施形態では、この担体部分は、親薬物分子からなんら原子が損失することなく、親薬物分子に連結される。これらの実施形態では、親薬物部分は、親薬物化合物の構造全体を含む。例えば、四級プロドラッグコンジュゲートに変換される三級アミン親薬物の場合、親薬物からの水素の損失は生じない。
【0139】
「脂肪族基」または「脂肪族」という用語は、飽和していてもよく(例えば、単結合)、または1つ以上の不飽和単位、例えば二重および/または三重結合を含有していてもよい非芳香族部分を指す。脂肪族基は、直鎖、分岐鎖または環式であってもよく、炭素、水素または必要に応じて1つ以上のヘテロ原子を含んでもよく、置換であっても、または非置換であってもよい。脂肪族炭化水素基に加えて、脂肪族基としては、例えばポリアルキレングリコール、ポリアミンおよびポリイミンなどの、例えばポリアルコキシアルキルが挙げられる。このような脂肪族基は、さらに置換されていてよい。脂肪族基としては、本明細書に記載のアルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、および置換または非置換シクロアルキル基を挙げてもよいことが理解される。
【0140】
「アシル」という用語は、水素、アルキル、部分的に飽和または完全に飽和のシクロアルキル、部分的に飽和のまたは完全に飽和の複素環、アリールまたはヘテロアリールで置換されているカルボニルを指す。例えば、アシルとしては、(C1−)アルカノイル(例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、バレリル、カプロイル、t−ブチルアセチルなど)、(C3−)シクロアルキルカルボニル(例えば、シクロプロピルカルボニル、シクロブチルカルボニル、シクロペンチルカルボニル、シクロヘキシルカルボニルなど)、複素環式カルボニル(例えば、ピロリジニルカルボニル、ピロリド−2−オン−5−カルボニル、ピペリジニルカルボニル、ピペラジニルカルボニル、テトラヒドロフラニルカルボニルなど)、アロイル(例えば、ベンゾイル)およびヘテロアロイル(例えば、チオフェニル−2−カルボニル、チオフェニル−3−カルボニル、フラニル−2−カルボニル、フラニル−3−カルボニル、1H−ピロリル−2−カルボニル、1H−ピロリル−3−カルボニル、ベンゾ[b]チオフェニル−2−カルボニルなど)のような基が挙げられる。さらに、アシル基のアルキル、シクロアルキル、複素環、アリールおよびヘテロアリール部分は、それぞれの定義に記載の基のいずれか1つであってよい。「必要に応じて置換されている」と示される場合、アシル基は、非置換であってよく、または「置換されている」に関する定義で以下に列挙されている置換基の群から独立して選択される1つ以上の置換基(一般に、1〜3個の置換基)で必要に応じて置換されていてよく、あるいはアシル基のアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリール部分は、それぞれが好ましい、およびより好ましい列挙の置換基で上述のとおり置換されていてもよい。
【0141】
「アルキル」という用語は、特定数の炭素を有する、分枝鎖状および直鎖の、置換または非置換の飽和脂肪族炭化水素ラジカル/基の両方を含むものとする。好ましいアルキル基は、約1〜約24個の炭素原子(「C〜C24」)および、好ましくは約7〜約24個の炭素原子(「C〜C24」)、好ましくは約8〜約24個の炭素原子(「C〜C24」)、好ましくは約9〜約24個の炭素原子(「C〜C24」)を含む。他の好ましいアルキル基は、約1〜約6個の炭素原子(「C〜C」)または約1〜約3個の炭素原子(「C〜C」)などの約1〜約8個の炭素原子(「C〜C」)を含む。C〜Cアルキル基の例には、限定するものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチルおよびn−ヘキシル基が挙げられる。
【0142】
「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する直鎖または分枝鎖状の基を指す。このような基は、好ましくは、約2〜約24個の炭素原子(「C〜C24」)、好ましくは約7〜約24個の炭素原子(「C〜C24」)、好ましくは約8〜約24個の炭素原子(「C〜C24」)、好ましくは約9〜約24個の炭素原子(「C〜C24」)を含む。他の好ましいアルケニル基は、エテニル、アリル、プロペニル、ブテニルおよび4−メチルブテニルなどの2〜約10個の炭素原子(「C〜C10」)を有する「低級アルケニル」基である。好ましい低級アルケニル基は、2〜約6個の炭素原子(「C〜C」)を含む。「アルケニル」および「低級アルケニル」という用語は、「シス」および「トランス」配向、あるいは「E」および「Z」配向を有する基を包含する。
【0143】
「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する直鎖または分枝鎖状の基を指す。このような基は、好ましくは約2〜約24個の炭素原子(「C〜C24」)、好ましくは約7〜約24個の炭素原子(「C〜C24」)、好ましくは約8〜約24個の炭素原子(「C〜C24」)、および好ましくは約9〜約24個の炭素原子(「C〜C24」)を含む。他の好ましいアルキニル基は、プロパルギル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチン、2−ブチニルおよび1−ペンチニルのような2〜約10個の炭素原子を有する「低級アルキニル」基である。好ましい低級アルキニル基は、2〜約6個の炭素原子(「C〜C」)を含む。
【0144】
「シクロアルキル」という用語は、3〜約12個の炭素原子(「C〜C12」)を有する飽和炭素環式基を指す。「シクロアルキル」という用語は、3〜約12個の炭素原子を有する飽和炭素環式基を包含する。このような基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが挙げられる。
【0145】
「シクロアルケニル」という用語は、3〜12個の炭素原子を有する部分的に不飽和の炭素環式基を指す。2つの二重結合(共役していても、共役していなくてもよい)を含有する部分的に不飽和の炭素環式基であるシクロアルケニル基は、「シクロアルキルジエニル」と呼ぶことができる。より好ましいシクロアルケニル基は、4〜約8個の炭素原子を有する「低級シクロアルケニル」基である。このような基の例には、シクロブテニル、シクロペンテニルおよびシクロヘキセニルが挙げられる。
【0146】
「アルキレン」という用語は、本明細書で使用される場合、特定数の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖状の飽和炭化水素鎖に由来する二価の基を指す。アルキレン基の例としては、限定するものではないが、エチレン、プロピレン、ブチレン、3−メチル−ペンチレンおよび5−エチル−へキシレンが挙げられる。
【0147】
「アルケニレン」という用語は、本明細書で使用される場合、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する特定数の炭素原子を含有する直鎖または分枝鎖状の炭化水素部分に由来する二価の基を示す。アルケニレン基としては、限定するものではないが、例えば、エテニレン、2−プロペニレン、2−ブテニレン、1−メチル−2−ブテン−1−イレンなどが挙げられる。
【0148】
「アルキニレン」という用語は、本明細書で使用される場合、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する特定数の炭素原子を含有する直鎖または分枝鎖状の炭化水素部分に由来する二価の基を示す。代表的なアルキニレン基としては、限定するものではないが、例えば、プロピニレン、1−ブチニレン、2−メチル−3−ヘキシニレンなどが挙げられる。
【0149】
「アルコキシ」という用語は、1〜約24個の炭素原子、または好ましくは1〜約12個の炭素原子のアルキル部分を各々が有する、直鎖または分枝鎖状のオキシ含有基を指す。より好ましいアルコキシ基は、1〜約10個の炭素原子、より好ましくは1〜約8個の炭素原子を有する「低級アルコキシ」基である。このような基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシおよびtert−ブトキシが挙げられる。
【0150】
「アルコキシアルキル」という用語は、アルキル基に結合している1つ以上のアルコキシ基を有する、すなわちモノアルコキシアルキルおよびジアルコキシアルキル基を形成するアルキル基を指す。
【0151】
「アリール」とい用語は、単独または組合せて、1つ、2つまたは3つの環を含有する炭素環式芳香族系を意味し、このような環は、ペンダント(pendent)方式で一緒になって結合していてよく、または縮合されていてもよい。「アリール」という用語は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダンおよびビフェニルなどの芳香族基を包含する。
【0152】
「ヘテロシクリル」、「複素環」、「複素環式」または「ヘテロシクロ」という用語は、飽和、部分的に不飽和および不飽和のヘテロ原子を含有する環形状の基を指し、これらは対応してそれぞれ「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクロアルケニル」および「ヘテロアリール」と呼ぶこともでき、このヘテロ原子は、窒素、硫黄および酸素から選択してもよい。飽和ヘテロシクリル基の例としては、1〜4個の窒素原子を含有する飽和の3〜6員の単環複素環(heteromonocyclic)基(例えば、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジノ、ピペラジニル等);1〜2個の酸素原子および1〜3個の窒素原子を含有する飽和の3〜6員の単環複素環基(例えば、モルホリニル等);1〜2個の硫黄原子および1〜3個の窒素原子を含有する飽和の3〜6員の単環複素環基(例えば、チアゾリジニルなど)が挙げられる。部分的に不飽和のヘテロシクリル基の例としては、ジヒドロチオフェン、ジヒドロピラン、ジヒドロフランおよびジヒドロチアゾールが挙げられる。ヘテロシクリル基は、テトラゾリウム基およびピリジニウム基に見られるような五価の窒素を含んでもよい。「複素環」という用語はまた、ヘテロシクリル基がアリールまたはシクロアルキル基と縮合している基も包含する。このような縮合した二環式基の例としては、ベンゾフラン、ベンゾチオフェンなどが挙げられる。
【0153】
「ヘテロアリール」という用語は、不飽和芳香族ヘテロシクリル基を指す。ヘテロアリール基の例としては、1〜4個の窒素原子を含有する不飽和の3〜6員の単環複素環基、例えば、ピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル(例えば、4H−1,2,4−トリアゾリル、1H−1,2,3−トリアゾリル、2H−1,2,3−トリアゾリルなど)、テトラゾリル(例えば、1H−テトラゾリル、2H−テトラゾリルなど)など;1〜5個の窒素原子を含有する不飽和縮合ヘテロシクリル基、例えば、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンゾイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、テトラゾロピリダジニル(例えば、テトラゾロ[1,5−b]ピリダジニルなど)など;酸素原子を含有する不飽和の3〜6員の単環複素環基、例えば、ピラニル、フリルなど;硫黄原子を含有する不飽和の3〜6員の単環複素環基、例えば、チエニルなど;1〜2個の酸素原子および1〜3個の窒素原子を含有する不飽和の3〜6員の単環複素環基、例えば、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル(例えば、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリルなど)など;1〜2個の酸素原子および1〜3個の窒素原子を含有する不飽和縮合ヘテロシクリル基(例えば、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリルなど);1〜2個の硫黄原子および1〜3個の窒素原子を含有する不飽和の3〜6員の単環複素環基、例えば、チアゾリル、チアジアゾリル(例えば、1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリルなど)など;1〜2個の硫黄原子および1〜3個の窒素原子を含有する不飽和縮合ヘテロシクリル基(例えば、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリルなど)などが挙げられる。
【0154】
「ヘテロシクロアルキル」という用語は、ヘテロシクロで置換されたアルキル基を指す。より好ましいヘテロシクロアルキル基は、ヘテロシクロ基内に1〜6個の炭素原子を有する「低級ヘテロシクロアルキル」基である。
【0155】
「アルキルチオ」という用語は、二価の硫黄原子に結合している、1〜約10個の炭素原子の直鎖または分枝鎖状のアルキル基を含有する基を指す。好ましいアルキルチオ基は、1〜約24個の炭素原子、または好ましくは1〜約12個の炭素原子のアルキル基を有する。より好ましいアルキルチオ基は、1〜約10個の炭素原子を有する「低級アルキルチオ」基であるアルキル基を有する。最も好ましいのは、1〜約8個の炭素原子の低級アルキル基を有するアルキルチオ基である。このような低級アルキルチオ基の例としては、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオおよびヘキシルチオが挙げられる。
【0156】
「アラルキル」または「アリールアルキル」という用語は、ベンジル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、フェニルエチルおよびジフェニルエチルなどのアリールで置換されたアルキル基を指す。
【0157】
「アリールオキシ」という用語は、酸素原子を介して他の基に結合しているアリール基を指す。
【0158】
「アラルコキシ」または「アリールアルコキシ」という用語は、酸素原子を介して他の基に結合しているアラルキル基を指す。
【0159】
「アミノアルキル」という用語は、アミノ基で置換されているアルキル基を指す。好ましいアミノアルキル基は、約1〜約24個の炭素原子、または好ましくは1〜約12個の炭素原子を有するアルキル基を有する。より好ましいアミノアルキル基は、1〜約10個の炭素原子を有するアルキル基を有する「低級アミノアルキル」である。最も好ましいのは、1〜8個の炭素原子を有する低級アルキル基を有するアミノアルキル基である。このような基の例としては、アミノメチル、アミノエチルなどが挙げられる。
【0160】
「アルキルアミノ」という用語は、1つまたは2つのアルキル基で置換されているアミノ基を示す。好ましいアルキルアミノ基は、約1〜約20個の炭素原子、または好ましくは1〜約12個の炭素原子を有するアルキル基を有する。より好ましいアルキルアミノ基は、1〜約10個の炭素原子を有するアルキル基を有する「低級アルキルアミノ」である。最も好ましいのは、1〜約8個の炭素原子を有する低級アルキル基を有するアルキルアミノ基である。適切な低級アルキルアミノは、N−メチルアミノ、N−エチルアミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノなどの一置換N−アルキルアミノまたは二置換N,N−アルキルアミノであり得る。
【0161】
「置換(されている)」という用語は、所与の構造における1つ以上の水素基を、限定するものではないが:ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロシクリル、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルチオアルキル、アリールチオアルキル、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルアルキル、アリールスルホニルアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ハロアルキル、アミノ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルアミノアルキル、アリールアミノアルキル、アミノアルキルアミノ、ヒドロキシ、アルコキシアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノカルボニルアルキル、アシル、アラルコキシカルボニル、カルボン酸、スルホン酸、スルホニル、ホスホン酸、アリール、ヘテロアリール、複素環および脂肪族を含む特定の置換基の基で置き換えることを指す。この置換基はさらに置換されていてもよいことが理解される。
【0162】
簡潔にするために、定義されかつ本明細書を通して言及される化学的部分は、当業者に明らかな適切な構造的環境の下では、一価の化学的部分(例えば、アルキル、アリールなど)または多価の部分であってもよい。例えば「アルキル」部分は、一価の基(例えば、CH−CH−)を指してもよく、または他の場合には、二価の連結部分が「アルキル」であってよく、この場合当業者は、アルキルが用語「アルキレン」に等しい二価の基(例えば、−CH−CH−)であることを理解する。同様に、二価の部分が必要とされ、「アルコキシ」、「アルキルアミノ」、「アリールオキシ」、「アルキルチオ」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「複素環」、「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」、「脂肪族」または「シクロアルキル」と記載される状況では、当業者は、「アルコキシ」、「アルキルアミノ」、「アリールオキシ」、「アルキルチオ」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「複素環」、「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」、「脂肪族」または「シクロアルキル」という用語が、対応する二価の部分を指すことを理解する。
【0163】
「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、本明細書で使用される場合、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選択される原子を指す。
【0164】
「化合物」、「薬物」および「プロドラッグ」という用語は、本明細書で使用される場合は全てが、本明細書に記載の式を有する化合物、薬物およびプロドラッグの、薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、多形、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、ラセミ体などを包含する。
【0165】
様々な結合点を介して結合しているものとして示される置換基は、環構造上の任意の利用可能な位置に結合することができる。
【0166】
本明細書で使用される場合、本発明の(該当の)治療方法に関する「本発明の(該当の)化合物の有効量」という用語は、所望の用量レジメンの一部として送達される場合に、疾患または障害の管理を臨床的に許容される水準にさせる本発明の化合物の量を指す。
【0167】
「治療」または「治療する」とは、患者において有益なまたは所望の臨床結果を得るためのアプローチを指す。本発明の目的では、有益なまたは所望の臨床結果としては、限定するものではないが以下のうちの1つ以上が挙げられる:症状の軽減、疾患の程度の縮小、病状の安定化(すなわち悪化させない)、疾患の伝播(すなわち転移)の予防、疾患の発生または再発の予防、疾患の進行の遅延または緩徐、病状の緩和、および寛解(一部でも全部でも)。
【0168】
用語「不安定性・不安定な(labile)」という用語は、本明細書で使用される場合、インビボで酵素的および/または化学的切断を受けることにより親薬物を形成する、本発明のプロドラッグの能力を指す。本明細書で使用される場合、「プロドラッグ」という用語は、患者に投与される場合に、インビボで化学的および/または酵素的加水分解によって切断されることにより親薬物を形成し、その結果、患者への送達を企図された十分な量の化合物が、その所期の治療上の使用に対して持続放出方式で利用可能になる、本明細書に開示の化合物であって、親薬物の不安定性の誘導体化合物を意味する。
【0169】
「デンドリマー」という用語は、ある分類の高度に分岐した、しばしば球状の、高分子ポリマーであって、より小さいサイズの直線状ポリマーよりも大きい単分散(すなわち、より小さい範囲の分子量、サイズおよび形状)を示すポリマーを指す。これらの三次元のオリゴマー構造は、マルチプル反応性基を有するコア分子(例えば、ジアミノブタンまたはエチレンジアミン)から開始する反応性の反応配列によって調製される。モノマー単位(これはまた、マルチプル反応性基を有する)がコアと反応される場合、デンドリマーの外側の結合を含む反応性基の数が増大する。モノマー分子の連続層は、デンドリマーの表面に付加されてもよく、ここでは表面上の分岐および反応性基の数が幾何学的に漸増するにつれて、各々の時点で層が追加される。デンドリマー中のモノマー分子の層の数は、デンドリマーの「世代(generation)」と呼ばれてもよい。あるデンドリマーの外面上の反応性の官能基の総数は、最終的に、コアによって保有される反応性基の数、そのデンドリマーを成長させるために用いられるモノマーが保有する反応性基の数、およびデンドリマーの世代に依存する。
【0170】
薬学的組成物
本発明の薬学的組成物は、1つ以上の薬学的に許容され得る担体または賦形剤を一緒に用いて処方された本発明の化合物の治療上有効な量を含む。
【0171】
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される担体または賦形剤」という用語は、任意の型の非毒性で、不活性な、固体、半固体、ゲルまたは液体充填剤、希釈剤、封入物質または処方の助剤を意味する。薬学的に許容され得る担体として作用し得る物質のいくつかの例は、ラクトース、グルコースおよびスクロースのような糖;アルファ−(α)、ベータ−(β)およびガンマ−(γ)シクロデキストリンのようなシクロデキストリン;トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンのようなデンプン;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースのような、セルロースおよびその誘導体;粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;滑石(タルク);ココアバターおよび坐剤ワックスのような賦形剤;ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油のような油類;プロピレングリコールのようなグリコール;オレイン酸エチルおよびラウリル酸エチルのようなエステル;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムのような緩衝化剤;アルギン酸;発熱物質非含有(パイロジェンフリー)の水;等張食塩水;リンガー溶液;エチルアルコール、およびリン酸緩衝液、ならびにラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどの他の非毒性で適合性の滑沢剤であり、ならびに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味料、矯味矯臭剤および香料剤、保存剤および抗酸化剤も、調製者の判断に従って組成物中に存在してもよい。
【0172】
本発明の薬学的組成物は、経口的、非経口的、吸入スプレーにより、局所的、直腸的、経鼻的に、口腔内に、経膣的に、または埋め込みレザバーにより投与され得る。好ましい実施形態において、投与は注射による非経口投与である。
【0173】
本発明の薬学的組成物は、任意の、従来の非毒性の薬学的に許容され得る担体、アジュバントまたはビヒクルを含んでもよい。いくつかの場合、薬学的に許容され得る酸、塩基または緩衝液を用いて処方物のpHを調整して、処方された化合物またはその送達型の安定性を向上してもよい。非経口という用語は、本明細書で使用される場合、皮下、皮内、静脈内、筋内内、関節内、動脈内、滑膜内、胸骨内、くも膜下腔内、病変内および頭蓋内の注射または注入技術を包含する。
【0174】
経口投与のための液体剤形としては、薬学的に許容され得るエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシルが挙げられる。活性化合物に加えて、液体剤形は、当該分野において一般的に使用される、例えば水または他の溶媒などの不活性希釈剤、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油類(特に、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステルなどの可溶化剤および乳化剤、ならびにそれらの混合物を含んでもよい。不活性希釈剤の他に、経口組成物は、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味料、香味料および芳香剤などのアジュバントも含んでもよい。
【0175】
注射可能な調製物、例えば滅菌の注射可能な水性または油性の懸濁物は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて、当該分野で公知の技術に従って処方され得る。注射可能な滅菌調製物はまた、INTRALIPID(登録商標)、LIPOSYN(登録商標)またはOMEGAVEN(登録商標)などの滅菌の注射可能な懸濁物またはエマルジョンであってもよいし、あるいは例えば1,3−ブタンジオール中の溶液などの非毒性の非経口的に許容され得る希釈剤または溶媒中の溶液であってもよい。INTRALIPID(登録商標)はまた、10〜30%のダイズ油、1〜10%の卵黄リン脂質、1〜10%のグリセリンおよび水を含む静脈内脂肪エマルジョンである。LIPOSYN(登録商標)も、2〜15%のベニバナ油、2〜15%のダイズ油、0.5〜5%の卵リン脂質、1〜10%のグリセリンおよび水を含む静脈内脂質エマルジョンである。OMEGAVEN(登録商標)は、約5〜25%の魚油、0.5〜10%の卵リン脂質、1〜10%グリセリンおよび水を含む注入用エマルジョンである。なかでも、使用され得る許容され得るビヒクルおよび溶媒は、水、リンガー液、USPおよび等張塩化ナトリウム溶液である。さらに、滅菌固定油は、従来から溶媒または懸濁媒体として使用されている。この目的のために、合成のモノ−またはジグリセリドを含む任意の低刺激性固定油を使用してもよい。さらに、注射可能物の調製には、オレイン酸などの脂肪酸が用いられる。
【0176】
注射可能な製剤は、例えば細菌保持フィルターを通したろ過によって滅菌してもよいし、または使用前に滅菌水もしくは他の滅菌注射可能な媒体中に溶解もしくは分散し得る滅菌固体組成物の形態の滅菌剤と混ぜることにより滅菌してもよい。
【0177】
本発明によるさらなる持続放出は、水溶性が低い結晶性物質または非晶質物質の液体懸濁物の使用により達成され得る。次いで、薬物の吸収速度はその溶解速度に依存し、この溶解速度は同様に結晶サイズおよび結晶形態に依存し得る。あるいは、非経口投与された薬物剤形の遅い吸収は、この薬物を油ビヒクルに溶解または懸濁することにより達成される。注射可能なデポ形態は、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中に薬物のマイクロカプセル化マトリックスを形成することにより作製される。薬物対ポリマーの比および使用される具体的なポリマーの性質に応じて、薬物の放出速度は制御され得る。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。注射可能なデポ製剤はまた、この薬物を、生体組織に適合性のリポソームまたはマイクロエマルジョンに閉じ込めることにより調製される。
【0178】
好ましい一実施形態において、この処方物は、プロドラッグの水への曝露を最小限にし得る持続放出送達系を提供する。このことは、マトリックスへの水の拡散を最小限にし得るポリマー性マトリックスである持続放出送達系を用いて、プロドラッグを処方することにより達成され得る。マトリックスを含む適切なポリマーとしては、ポリラクチド(PLA)ポリマーおよびラクチド/グリコリド(PLGA)コポリマーが挙げられる。
【0179】
あるいは、持続放出送達系は、注射または経口送達に適切なポリアニオン分子または樹脂を含み得る。適切なポリアニオン分子としては、水へのプロドラッグの曝露を最小限にし、プロドラッグがゆっくりと放出される、溶解性が低い塊を形成するように処方されたシクロデキストリンおよびポリスルホネートが挙げられる。
【0180】
直腸または膣投与用の組成物は、好ましくは、本発明の化合物と、ココアバター、ポリエチレングリコールまたは坐剤ワックスなどの周囲温度では固体であるが、体温では液体であり、従って直腸または膣腔で融解されて活性化合物を放出する、適切な非刺激性の賦形剤または担体とを混合することによって調製され得る坐剤である。
【0181】
経口投与用の固体剤形としては、カプセル、錠剤、丸剤、散剤および顆粒剤が挙げられる。このような固体剤形において、活性化合物は、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムおよび/または:a)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸などの充填剤または増量剤、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよびアラビアゴムなどの結合剤、c)グリセロールなどの保湿剤、d)アガー−アガー、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプンまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸塩および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶解遅延剤(solution retarding agent)、f)第四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)例えばセチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイト粘土などの吸湿剤、ならびにi)滑石(タルク)、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムなどの滑沢剤、ならびにそれらの混合物などの少なくとも1つの不活性な薬学的に許容され得る賦形剤または担体と混合される。カプセル、錠剤および丸剤の場合、剤形は、緩衝化剤も含み得る。
【0182】
同様の型の固体組成物はまた、ラクトースまたは乳糖などの賦形剤、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどを用いる軟質および硬質の充填ゼラチンカプセル中の充填剤として使用されてもよい。
【0183】
錠剤、糖衣剤、カプセル、丸剤および顆粒剤の固体剤形は、腸溶性コーティングおよび医薬調製の分野で周知の他のコーティングなどのコーティングおよびシェルを用いて調製されてもよい。それらは、必要に応じて不透明化剤を含んでもよく、また活性成分(単数または複数)のみを、または好ましくは必要に応じて遅延様式で、腸管の特定の部分で、放出する組成物でもあってもよい。用いられ得る埋め込み組成物の例としては、ポリマー性物質およびワックスが挙げられる。
【0184】
本発明の化合物の局所または経皮投与用の剤形としては、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレー、吸入薬またはパッチが挙げられる。活性成分は、薬学的に許容され得る担体および必要に応じて必要な保存剤または緩衝化剤(必要な場合は)と滅菌条件下で混合される。眼用製剤、点耳薬、眼用軟膏、粉末および溶液も、本発明の範囲内にあるものとして考慮される。
【0185】
軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、本発明の活性化合物に加えて、動物性および植物性の脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、滑石(タルク)および酸化亜鉛またはそれらの混合物などの賦形剤を含んでもよい。
【0186】
粉末およびスプレーは、本発明の化合物に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、およびポリアミド粉末またはこれらの物質の混合物などの賦形剤を含み得る。スプレーはさらに、クロロフルオロヒドロカーボンなどの従来の噴射剤を含んでもよい。
【0187】
経皮パッチは、化合物の生体への制御送達を提供するというさらなる利点を有する。このような剤形は、この化合物を適切な媒体に溶解または分配することにより作製され得る。皮膚を通過する化合物の流れを増加するために、吸収促進剤も用いられてもよい。速度は、速度制御膜を提供すること、または化合物をポリマーマトリックスもしくはゲルに分散することのいずれかにより制御され得る。
【0188】
肺系送達のために、本発明の治療組成物は、固体または液体粒子型で調製され、直接投与、例えば呼吸器系への吸入により患者に投与される。本発明の実施のために調製された活性化合物の固体または液体粒状形態としては、呼吸可能なサイズの粒子、すなわち吸入時に口および咽頭を通過して、気管支および肺の肺胞に入るのに充分に小さいサイズの粒子が挙げられる。エアロゾル化治療薬、特にエアロゾル化抗生物質の送達が、当該分野において公知である(例えば、その全てが参照により本明細書に援用されるVanDevanterら、に対する米国特許第5,767,068号、Smithら、に対する米国特許第5,508,269号およびMontgomeryによるWO98/43650を参照のこと)。抗生物質の肺系送達の考察はまた、参照により本明細書に援用される米国特許第6,014,969号にも見出される。
【0189】
本発明のプロドラッグ化合物の「治療有効量」とは、任意の医学的治療に適用可能な治療効果を、合理的な利益/リスク比で治療される被験体に付与する化合物の量を意味する。治療効果は客観的(すなわちいくつかの試験またはマーカーにより測定可能)であってもよいし、または主観的(すなわち被験体が効果の指標を表すかまたは効果を感じる)であってもよい。
【0190】
本発明によれば、本発明のプロドラッグの治療上有効な量は、典型的に、親薬物の標的治療量に基づく。投与および投与頻度に関する情報は、本発明のプロドラッグが誘導され、標的治療量が本発明のそれぞれのプロドラッグについて計算され得る多くの親薬物について容易に入手可能である。本発明によれば、同じ用量の本発明のプロドラッグは、親薬物と比較して、より長い治療効果の持続時間をもたらす。したがって、親薬物の単回用量が12時間の治療有効性をもたらす場合、12時間より長い治療有効性をもたらす本発明による同じ親薬物のプロドラッグは、「持続放出」を達成するとみなされる。
【0191】
本発明のプロドラッグの正確な用量は、親薬物の性質および用量、ならびに親薬物に結合したプロドラッグ部分の化学的特性を含むいくつかの要因に依存する。最終的に、本発明のプロドラッグの有効用量および用量頻度は、正当な医学的判断の範囲内で、かかりつけ医により決定される。任意の特定の患者についての具体的な治療有効用量レベルおよび用量頻度は、治療される障害および該障害の重症度;使用される具体的な化合物の活性;使用される具体的な組成物;患者の年齢、体重、一般健康状態、性別および食事;使用される具体的な化合物の投与時間、投与経路および排出速度;治療の持続時間;使用される具体的な化合物と併用または同時使用される薬物;ならびに医学分野で周知の同様の要因を含む種々の要因に依存する。
【0192】
実施例:
工程1:7−(4−(4−(2,3−ジクロロフェニル)ピペラジン−1−イル)ブトキシ)−1−(ヒドロキシメチル)−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オンの合成
【化48】
【0193】
手順:
アリピプラゾール(5.2g、0.012mol)、トリエチルアミン(0.25mL,0.0018mol)、37%のホルムアルデヒド水溶液(18.5mL)およびジメチルホルムアミド(50mL)の混合物を80℃で48時間加熱した。48時間後、その反応混合物を周囲温度まで冷却し、酢酸エチル(200mL)で希釈し、水(2×200mL)およびブライン(2×200mL)を用いて洗浄した。有機相を、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して、真空中で濃縮して、ヘミアミナール(hemi−aminal)を白色固体として得た[5.6g、43%のアリピプラゾールおよび56%のヘミアミナール含有(1回のLCMS分析あたり)]。
【0194】
ビス((7−(4−(4−(2,3−ジクロロフェニル)ピペラジン−1−イル)ブトキシ)−2オキソ−3,4−ジヒドロキノリン−1(2H)−イル)メチル)デカンジオエートの合成
【化49】
【0195】
手順:
ジクロロメタン(20mL)中の工程−1の反応混合物(1.0g、0.0021mol)の溶液を、窒素雰囲気下で、25℃で撹拌した。トリエチルアミン(1.45mL,0.0105mol)を、上記の溶液に25℃で滴下して、得られた反応混合物を、次には10分間同じ温度で撹拌させた。10分後、ジクロロメタン中の塩化セバコイルの溶液(2.2mLのジクロロメタン中の0.223mL、0.00105molの塩化セバコイル)を、上記の反応混合物に25℃で滴下した。得られた透明な反応混合物を45℃まで温め、それによってこれをさらに2時間撹拌させた。その反応混合物をジクロロメタン(100mL)と水(200mL)との間で分配して、その水相をジクロロメタン(2×100mL)で抽出した。合わせた有機画分をブライン(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して、真空中で濃縮した。この生成物を、ジクロロメタン:メタノールを、移動相として用いてフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、所望の生成物をジクロロメタン中のほぼ1.5%メタノールで溶出して、化合物−6を得た[0.3g、22%収率]。
H NMR(DMSO,400MHz)δ1.171(s,8H)、1.44−1.49(m,4H)、1.56−1.61(m,4H)、1.69−1.76(m,4H)、2.29(t,4H)、2.37(t,4H)、2.57(t,4H)、2.80(t,4H)、2.95(ブロード s,8H)、3.35(ブロード s,8H)、3.97(t,4H)、5.86(ブロード s,4H)、6.63−6.65(m,4H)、7.09−7.14(m,4H)、7.27−7.31(m,4H);m/z(MH)1123。
【0196】
化合物−7の合成:
ビス((7−(4−(4−(2,3−ジクロロフェニル)ピペラジン−1−イル)ブトキシ)−2オキソ−3,4−ジヒドロキノリン−1(2H)−イル)メチル)ドデカンジオエート
【化50】
【0197】
手順:
ジクロロメタン(20mL)中の工程−1(1.0g、0.0021mol)の溶液を、25℃で、窒素雰囲気下で撹拌した。トリエチルアミン(1.45mL、0.0105mol)を、上記の溶液に25℃で滴下して、得られた反応混合物を、次に10分間同じ温度で撹拌させた。10分後、ジクロロメタン中のドデカンジオイルジクロライドの溶液(2.5mLのジクロロメタン中に、0.280g、0.00105molのドデカンジオイルジクロライド)を、上記の反応混合物に25℃で滴下した。この得られた透明な反応混合物を、45℃まで温め、それによって、これをさらに2時間撹拌させた。この反応混合物を、ジクロロメタン(100mL)と水(200mL)との間で分配し、その水層をジクロロメタン(2×100mL)で抽出した。その合わせた有機物をブライン(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して、真空中で濃縮した。その生成物を、ジクロロメタン:メタノールを移動相として用いるフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、所望の生成物を、ジクロロメタン中のほぼ1.5%メタノールで溶出した。生成物の画分の蒸留によって、化合物−7[0.160g、11%の収率]を得た。
H NMR(DMSO,400MHz)δ1.16−1.18(s,12H)、1.47−1.50(m,4H)、1.57−1.62(m,4H)、1.71−1.75(m,4H)、2.28−2.32(t,4H)、2.38(t,4H)、2.57(t,4H)、2.80(t,4H)、2.95(ブロード s,8H)、3.34(ブロード s,8H)、3.97(t,4H)、5.86(ブロード s,4H)、6.63−6.65(m,4H)、7.10−7.15(m,4H)、7.28−7.31(m,4H);m/z(MH)1149.7。
【0198】
化合物−8の合成:
テトラデカンジオイルジクロライドの合成
塩化オキサリル(1.35mL、0.015mol)を、ジクロロメタン中のテトラデカンジオイルジクロライドの溶液(1.0g、0.0039mol)に25℃で滴下した。添加の完了後、その反応混合物を、同じ温度で2時間撹拌し、その反応混合物を、ジクロロメタン(100mL)と水(200mL)との間で分配し、その水層をジクロロメタン(2×100mL)で抽出した。その合わせた有機抽出物を、ブライン(200mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して、真空中で濃縮して、所望の生成物(0.9g,90%の収率)を、無色の液体として得て、これをさらに精製することなく次の工程に直接用いた。
【0199】
ビス((7−(4−(4−(2,3−ジクロロフェニル)ピペラジン−1−イル)ブトキシ)−2オキソ−3,4−ジヒドロキノリン−1(2H)イル)メチル)テトラデカンジオエートの合成:
【化51】
ジクロロメタン(20mL)中の工程−1(1.0g、0.0021mol)の溶液を、25℃で、窒素雰囲気下で撹拌した。トリエチルアミン(1.45mLg、0.0105mol)を、上記の溶液に25℃で添加して、得られた反応混合物を同じ温度で次に10分間撹拌させた。10分後、ジクロロメタン中のテトラデカンジオイルジクロライドの溶液(3.0mLのジクロロメタン中に0.308g、0.00105molのテトラデカンジオイルジクロライド)を上記の反応混合物に25℃で滴下した。得られた透明な反応混合物を、45℃まで温めて、それによってこれをさらに2時間撹拌させた。その反応混合物を、ジクロロメタン(100mL)と水(200mL)との間で分配して、その水層をジクロロメタン(2×100mL)で抽出した。合わせた有機物を、ブライン(200mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して、真空中で濃縮した。その生成物を、ジクロロメタン:メタノールを移動相として用いるフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、所望の生成物を、ジクロロメタン中の約1.8%のメタノールで溶出して、化合物−8を得た[0.170g、12%の収率]。
H NMR(DMSO,400MHz)δ1.16−1.24(m 18H)、1.47−1.51(m,4H)、1.57−1.62(m,4H)、1.70−1.75(m,4H)、2.30(t,4H)、2.38(t,4H)、2.57(t,4H)、2.80(t,4H)、2.96(ブロード s,8H)、3.34(ブロード s,8H)、3.97(t,4H)、5.86(ブロード s,4H)、6.654(m,4H)、7.10−7.15(m,4H)、7.27−7.31(m,4H);m/z(M+H)1177.9。
【0200】
本発明を、その好ましい実施形態に関して詳細に示し説明してきたが、本明細書では、添付の特許請求の範囲に包含される本発明の範囲から逸脱することなく、形態および詳細に種々の変更を加えてもよいことが当業者には理解される。