特許第6013371号(P6013371)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013371
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】可動式ベッド用マットレス保持システム
(51)【国際特許分類】
   A47C 21/00 20060101AFI20161011BHJP
   A47C 20/04 20060101ALI20161011BHJP
   A47C 27/00 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   A47C21/00
   A47C20/04 Z
   A47C27/00 C
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-552724(P2013-552724)
(86)(22)【出願日】2012年2月7日
(65)【公表番号】特表2014-516592(P2014-516592A)
(43)【公表日】2014年7月17日
(86)【国際出願番号】US2012024088
(87)【国際公開番号】WO2012109200
(87)【国際公開日】20120816
【審査請求日】2015年2月6日
(31)【優先権主張番号】61/440,303
(32)【優先日】2011年2月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512261584
【氏名又は名称】エルゴモーション,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ERGOMOTION,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】クレネット,アラン
(72)【発明者】
【氏名】エルマロヴィチ,ジョセフ
【審査官】 角田 貴章
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0050339(US,A1)
【文献】 特開平11−113975(JP,A)
【文献】 特開2005−193023(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0210587(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 7/00−7/16
20/04
20/08
21/02
27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動式ベッド用マットレス保持システムにおいて、
関節式支持構造の足部支持部材の上面に取り付けられた引張シートであって、近接する前記足部支持部材の足側縁辺から一定の間隔をあけて設けられており、横幅が前記足部支持部材の中央部にわたってその全幅の大部分に延在して、前記足部支持部材の足側縁辺および近接する横側の両縁辺から内側に設けられており、1の縁辺に第1の固定手段部分を有する引張シートと、
マットレスの下面の拘束されるべき足側縁辺付近に近接して取り付けられた係合相手要素であって、前記第1の固定手段部分に接続可能な第2の固定手段部分を有する係合相手要素と、を具え、
前記引張シートの足部支持部材への取付位置から前記第1の固定手段部分までの長さと、前記係合相手要素のマットレスへの取付位置から前記第2の固定手段部分までの長さとの合計の長さが、前記足部支持部材の足側縁辺から前記引張シートの取付位置までの間隔とほぼ同一であり、前記引張シートの縦の長さは前記引張シートの横幅よりも短いことを特徴とする可動式ベッド用マットレス保持システム。
【請求項2】
請求項1に記載のマットレス保持システムにおいて、
前記引張シートが、前記引張シートの取付側縁辺を把持する引張帯状片で前記上面に取り付けられることを特徴とするマットレス保持システム。
【請求項3】
請求項2に記載のマットレス保持システムにおいて、
前記引張帯状片は間隔をあけた複数の固定手段で前記上面に固定されることを特徴とするマットレス保持システム。
【請求項4】
請求項1に記載のマットレス保持システムにおいて、
前記係合相手要素が、前記マットレスの前記下面に取り付けられた第1の縁辺と前記第2の固定手段部分を担持する第2の縁辺とを有するシート部を含むことを特徴とするマットレス保持システム。
【請求項5】
請求項1に記載のマットレス保持システムにおいて、
関節式支持構造の上半身支持部材の上面に取り付けられた第2の引張シートであって、近接する前記上半身支持部材の頭側縁辺から一定の間隔をあけて設けられており、横幅が前記上半身支持部材の中央部にわたってその全幅の大部分に延在して、前記上半身支持部材の頭側縁辺および近接する横側の両縁辺から内側に設けられており、1の縁辺に第3の固定手段部分を有する第2の引張シートと、
マットレスの下面の拘束されるべき頭側縁辺付近に近接して取り付けられた係合相手要素であって、前記第3の固定手段部分に接続可能な第4の固定手段部分を有する係合相手要素と、を具え、
取り付けられた前記引張シートと前記係合相手要素との長さは、前記一定の間隔の縦の長さとほぼ同一であり、前記第2の引張シートの縦の長さは、前記第2の引張シートの横幅よりも短いことを特徴とするマットレス保持システム。
【請求項6】
可動式ベッドにおいて、
上面、足側縁辺、および横側の両縁辺を具える関節式足部支持部材を有する支持構造と、前記関節式足部支持部材の上面の前記支持構造の上に受けられ、これに近接する足側縁辺および横側の両縁辺を有するマットレスと、
前記関節式足部支持部材の上面に取り付けられた引張シートであって、前記足側縁辺から一定の間隔をあけて設けられており、横幅が前記足部支持部材の中央部にわったってその全幅の大部分に延在して、前記足側縁辺および近接する横側の両縁辺から内側に設けられて、1の縁辺に第1の固定手段部分を有する引張シートと、
マットレスの下面の拘束されるべき足側縁辺付近に近接して取り付けられた係合相手要素であって、前記第1の固定手段部分に接続可能な第2の固定手段部分を有する係合相手要素と、を具え、
前記引張シートの足部支持部材への取付位置から前記第1の固定手段部分までの長さと、前記係合相手要素のマットレスへの取付位置から前記第2の固定手段部分までの長さとの合計の長さが、前記足部支持部材の足側縁辺から前記引張シートの取付位置までの間隔とほぼ同一であり、前記引張シートの縦の長さは、前記引張シートの横幅よりも短いことを特徴とする可動式ベッド。
【請求項7】
請求項6に記載の可動式ベッドにおいて、
前記引張シートが、前記引張シートの取付側縁辺を把持する引張帯状片で前記上面に取り付けられることを特徴とする可動式ベッド。
【請求項8】
請求項7に記載の可動式ベッドにおいて、
前記引張帯状片が間隔をあけた複数の固定手段で前記上面に固定されることを特徴とする可動式ベッド。
【請求項9】
請求項6に記載の可動式ベッドにおいて、
前記係合相手要素が、前記マットレスの前記下面に取り付けられた第1の縁辺と前記第2の固定手段部分を担持する第二の縁辺とを有するシート部を含むことを特徴とする可動式ベッド。
【請求項10】
請求項6に記載の可動式ベッドにおいて、さらに、
関節式支持構造の上半身支持部材の上面に取り付けられた第2の引張シートであって、近接する前記上半身支持部材の頭側縁辺から一定の間隔をあけて設けられており、横幅が前記上半身支持部材の中央部にわたってその全幅の大部分に延在して、前記上半身支持部材の頭側縁辺および近接する横側の両縁辺から内側に設けられており、1の縁辺に第3の固定手段部分を有する第2の引張シートと、
マットレスの下面の拘束されるべき頭側縁辺付近に近接して取り付けられた係合相手要素であって、前記第3の固定手段部分に接続可能な第4の固定手段部分を有する係合相手要素と、を具え、
取り付けられた前記引張シートと前記係合相手要素との長さは、前記一定の間隔の縦の長さとほぼ同一であり、前記第2の引張シートの縦の長さは、前記第2の引張シートの横幅よりも短いことを特徴とする可動式ベッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2011年2月7日出願の、“MATTRESS RETAINER SYSTEM FOR AN ADJUSTABLE BED”と題する米国仮特許出願第61440303号明細書の優先権を主張し、その開示は参照によって本願に援用される。
【背景技術】
【0002】
本発明は一般に、可動式ベッドの分野、より詳しくは釈放可能に係合する引張部材を組み込んだ構造に関し、これらの部材はマットレス支持要素の表面の、ある縁辺から内側に引込められた(inset)位置から、マットレス下面の、対応する縁辺付近へと延びてマットレスを拘束し、マットレスが関節式支持要素によって曲げられた時にその剛性によって「浮き上がる」のを防止する。
【0003】
関節式ベッドは、病院や医療機関において、患者がリクライニングの姿勢、座った姿勢、足を高くする姿勢、またはこれらの組合せの姿勢をとりやすくするために、ずっと以前から使用されてきた。関節式ベッドの一般的な使用も、読書、通常のリラックスまたは睡眠のための所望の位置にベッドを調節できることによる快適さと便利さによって急速に広がってきている。
【0004】
関節式ベッドに使用されるマットレスは通常、使用者を適切に支持し、快適さを提供するための高密度発泡材構造である。発泡材の相対的な剛性により、マットレスは、ベッドが折り曲げられる際に少なくともある程度、曲げに抵抗する傾向があり、ベッドの構造の1つまたは複数の支持面から浮き上がる。この浮き上がり効果は、上昇部分の下で相対的な支持力が失われるため、危険となりえ、体重が加わると位置が急に動くことがあり、このことは望ましくない。それに加えて、マットレスの位置がずれてしまう可能性があるため、ベッドの正確な位置決めが難しい。
【0005】
先行技術による関節式ベッドシステムでは、本願と同時係属中であり、本願と同じ譲受人に譲渡された、“ADJUSTABLE BED FRAME ASSEMBLY”と題する、2008年5月23日に米国特許出願第12/154,509号明細書として出願されて2011年4月26日に発行された米国特許第7930780号明細書の中で開示されているように、ベッドの支持構造の、マットレスの足部から延びる剛性フレーム要素を用いてマットレスを関節式フレームの上に保持している。このような先行技術による装置は、マットレスの縦横方向の位置を保持するには有効であるものの、マットレスに寝具類、特にボックスシーツを取り付ける際の障害となる可能性があり、ベッドメイキングがしにくい。それに加えて、こうした保持手段では折り曲げ位置の変更中にマットレスが横方向に動く可能性がある。
【0006】
そこで、縦横両方向の動きに関してマットレスを拘束し、ボックスシーツ等の寝具類を用いたベッドメイキングを容易にする、関節式ベッド上のマットレスのための保持システムを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0007】
本願で開示する実施形態は、関節式支持構造の要素の上面に取り付けられた引張シートを使用する、可動式ベッド用マットレス保持システムを提供することによって、先行技術の欠点を克服する。引張シートは、関節式支持構造要素の縦側の1つの縁辺および横側の両縁辺から内側に引込められ(inset)、長い縁辺に第一の固定手段部分を含む。接合相手要素がマットレスの下面の、拘束されるべき縁辺の付近に取り付けられる。接合相手要素は、第一の固定手段部分と動作可能に接続される第二の固定手段部分を含む。
【0008】
ある例示的実施形態において、接合相手要素はシート部を含み、これはマットレスの下面に取り付けられる第一の縁辺と、第二の固定手段部分を担持する第二の縁辺とを有し、固定手段部分同士を取り付ける際の柔軟性を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の上記およびその他の特徴と利点は、例示的実施形態の以下の詳細な説明を添付の図面に関連付けて読むことによって、よりよく理解されるであろう。
【0010】
図1図1は、可動式ベッドの上面等角図であり、折り曲げられた位置の、支持要素の上のマットレスを示している。
図2図2は、装置のベッド部の上面等角図であり、マットレスがベッドから持ち上げられ、シートが支持要素の上で逆転位置において水平に置かれた状態で示されている。
図3図3は、装置のベッド部の上面等角図であり、シートが支持要素から垂直に延びている。
図4図4は、装置のベッド部の上面等角図であり、シートが実質的に動作可能位置に折り曲げられている。
図5図5は、装置のベッド部の上面等角図であり、シートが動作可能位置に折り曲げられ、明瞭にするためにマットレスが除去されている。
図6図6は、装置のベッド部の上面等角図であり、シートが動作可能位置に折り曲げられ、マットレスがベッドフレームの隣に裏返しに置かれた状態で、装置のマットレス部を示している。
図7図7は、マットレスの下面等角図(マットレスは裏返し)であり、装置のマットレス部を示している。
図8図8は、マットレスとベッドフレームの等角図であり、装置のベッド部とマットレス部が係合するように延びている。
図9図9は、マットレスとベッドフレームの等角図であり、装置のベッド部とマットレス部が係合した状態を示している。
図10図10は、平坦位置にあるベッドフレーム上のマットレスの等角図である。
図11A図11Aは、可動式ベッドの頭部と足部の両方に、説明された実施形態が組み込まれた様子を示す側面図である。
図11B図11Bは、関節式支持構造の上面図であり、図11Aの実施形態のための引張部材取付手段を示している。
図12A図12Aは、関節式ベッド支持要素の側面図であり、縦側の引張部材に加え、横側の引張部材を有する実施形態を示している。
図12B図12Bは、関節式支持構造の上面図であり、図12Aの実施形態の第一の例のための引張部材取付手段を示している。
図12C図12Cは、関節式支持構造の上面図であり、図12Aの実施形態の他の例のための引張部材取付手段を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面に示され、本明細書で説明される実施形態は、図1に示されるような可動式ベッド用マットレス保持システムを提供し、マットレス10は支持本体14から延びる関節式支持構造12の上に載っている。図2〜6に示されるように、長い縁辺に固定手段の第一の部分17を有する拘束シート16が、この例示的実施形態では木製であるが、いずれの適当な剛性材料であってもよい引張帯状片18と複数の機械的固定手段20で関節式支持構造12の足支持部13の上面15に取り付けられている。シートが足支持部上の内側に置かれている図2に示されているように、引張帯状片は、拘束シートの取付縁辺を捕捉するために、足支持部の縦側の縁辺22から十分に内側に引込めて(inset)設置される。シートの幅は、ベッドの横側の両縁辺23から内側に引込められ(inset)、足支持部の全幅のうちの中央部分のみにわたる。図3に示されるように、拘束シートは柔軟であり、引張帯状片の周囲で回転させることができる。動作可能位置では、シートは、図4と5に示されるように、縁辺22へと延びる足支持部の表面に向かって折り曲げられる。
【0012】
係合相手要素24は、マットレスの下面26の、拘束されるべき縁辺、すなわちこの例では図6と7に示されるように縦側の縁辺25の付近に取り付けられる。図6は、動作可能要素の相対的位置を示しており、図中、マットレスは関節式支持構造の横で裏返しに置かれている。係合相手要素24はまた、第一の縁辺においてマットレスに取り付けられた、後述のように取付の際の柔軟性を提供するためのシート部28と、第二の縁辺に担持される固定手段のための第二の部分29も含む。固定手段および係合相手の固定手段は、代表的な実施形態において、ジッパまたはベルクロ要素である。
【0013】
対応する縁辺が揃えられた状態でマットレスが支持構造の上方に位置付けられている図8に示されるように、固定手段の第一の部分を有する拘束シートと固定手段の第二の部分を有する係合相手要素が接合されるべく揃えられる。マットレスは、図では支持構造の上方に浮いているように示されているが、十分に柔軟であり、関節式支持構造が平らな、すなわち曲げられていない位置にある時に固定手段部分同士を接続するために縁辺部分だけを持ち上げることができる。図9に示されるように固定手段部分同士を接続することによって、マットレスは支持構造に固定される。シートの長さと、マットレスの縦側の縁辺と横側の両縁辺および支持構造の縁辺から後退させた引張帯状片の取付位置により、シーツやその他の寝具類を従来の方法で容易にマットレスに取り付けることができる。しかしながら、接合された拘束シートと係合相手要素のシート部の長さは、マットレスが平らな位置にある状態で、引張帯状片から拘束されるべき縁辺までの縦方向の長さと実質的に同じであるため、図1に示されるように支持構造が曲げられると張力が発生し、これがマットレスの縁辺が浮き上がるのを防止する。
【0014】
図11Aに示されるように、ベッドの頭部と足部における関節式支持構造の縁辺に関連付けられる1対の拘束シート16aと16bを設けることにより、縦方向の引張による拘束力が発生し、それぞれの部分が曲げられた時にマットレスの頭部と足部の両方の対応する縁辺が浮き上がることのほか、腰部が浮き上がることも防止される(図では浮き上がり効果が示されているが、実際には、マットレスは頭部と足部において対向する拘束力が生じるため、表面にしっかりと拘束されて、破線矢印で示されるようなマットレスの上方へのずれの原因となるマットレスの浮き上がりが防止される)。図11Bは、支持構造12の上面15に拘束シートを固定するための、関連する引張帯状片18aと18bの配置を示す。この例示的実施形態において、帯状片は上で詳しく述べたような足支持部13と、頭支持部30に取り付けられる。腿支持部31と腰支持部32は、参考のために関節式支持構造12の一部として示されている。
【0015】
係合相手要素への取付に拘束シートを使用することによって、係合部分に張力が発生し、その結果、引張帯状片の横軸の周囲にモーメント33が生成されて、これがマットレスの頭部または足部をそれぞれの支持面と接触するように付勢する。
【0016】
より大型のベッドとマットレスのセットの場合、マットレスの横側の拘束も望ましい可能性がある。上述の実施形態に関連する構造をマットレスの横側の範囲に沿って適用でき、それによってマットレスの浮き上がりを防止することもできる。マットレスが支持構造から浮き上がった位置にあるように描かれている図12Aに示されるように、横側の引張シート16cを用いてもよい。図12Bは、横側の引張シートを固定するための、引張帯状片18cと18dの取付位置を示す。図12Cに示されるように、横側の引張シートを縦側のシートの代わりに使用してもよく、その場合、引張帯状片18bの代わりに引張帯状片18eと18fが使用される。
【0017】
以上、本発明の各種の実施形態を特許法の要求にしたがって詳しく説明したが、当業者であれば、本願で開示した具体的な実施形態に対する改良や置換を想起するであろう。このような改良も、以下の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲と意図の範囲内である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C