(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記透明ガラス板がイオン交換により強化されており、該透明ガラス板が、圧縮応力下にある領域を有する少なくとも1つの表面を有し、該領域が前記表面から該透明ガラス板内の層の深さまで延在し、前記圧縮応力が少なくとも350MPaであり、前記層の深さが少なくとも15μmである、請求項1または2記載の透明ガラス板。
ソーダ石灰ガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、およびアルカリアルミノホウケイ酸塩ガラスの内の1つを含む、請求項1から3いずれか1項記載の透明ガラス板。
前記透明ガラス板が、前記防眩表面が、複数のピクセルおよび結像面を有するピクセル化ディスプレイから遠位にあり、所定の距離だけ該結像面から離れているように、該ピクセル化ディスプレイの前面に配置されたときに、7.5%未満のピクセル出力偏差を有し、前記透明ガラス板が、80未満の20°の像の鮮明度を有する、請求項1から3いずれか1項記載の透明ガラス板。
少なくとも1つの防眩表面を有する透明ガラス板を製造する方法において、該方法は、前記透明ガラス板の少なくとも1つの表面を粗面化して、前記少なくとも1つの防眩表面を形成する工程を含み、該透明ガラス板の少なくとも1つの表面を粗面化する工程は、該少なくとも1つの表面をエッチングする工程を含み、該少なくとも1つの防眩表面は、40μmから640μmの横方向の空間的周期の範囲で測定された300nmまでの第1のRMS表面高さ粗さR長、20μm未満の横方向の空間的周期で測定された第2のRMS表面粗さR短、および表面波長フィルタリングなしに測定された、60nmから600nmの範囲にある第3のRMS粗さR全を有し、ここで、比(R長/R短)は3.9未満であり、前記透明ガラス板が、85未満の20°の像の鮮明度を有する、方法。
前記透明ガラス板をイオン交換により強化する工程をさらに含み、該透明ガラス板が、圧縮応力下にある領域を有する少なくとも1つの表面を有し、該領域が前記表面から該透明ガラス板内の層の深さまで延在し、前記圧縮応力が少なくとも350MPaであり、前記層の深さが少なくとも15μmである、請求項8記載の方法。
前記透明ガラス板が、ソーダ石灰ガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、およびアルカリアルミノホウケイ酸塩ガラスの内の1つを含む、請求項8または9記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明において、図面に示されたいくつかの図に渡り、同様の参照文字が同様のまたは対応する部品を指す。別記しない限り、「上部」、「下部」、「外側」、「内側」、および類似の用語は、便宜上の単語であり、制限用語と考えるべきではない。その上、群が、複数の要素およびその組合せの群の少なくとも1つを含むとして記載されているときはいつでも、その群は、個別か、または互いに組合せのいずれかで、列挙されたそれらの要素のいくつを含む、から実質的になる、またはからなると理解される。同様に、群が、複数の要素およびその組合せの群の少なくとも1つからなるとして記載されているときはいつでも、その群は、個別か、または互いに組合せのいずれかで、列挙されたそれらの要素のいくつからなると理解される。別記しない限り、値の範囲は、列挙された場合、その範囲の上限と下限の両方を含む。ここに用いたように、単数形は、別記しない限り、「少なくとも1つ」すなわち「1つ以上」を意味する。
【0012】
一般に図面を、特に
図1を参照すると、図解は、特定の実施の形態を説明する目的のためであり、本開示または付随の特許請求の範囲をそれに制限することは意図されていないことが理解されよう。図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれておらず、その図面の特定の特徴および特定の視野は、明瞭さと簡潔さのために、縮尺または図式で誇張されて示されているかもしれない。
【0013】
ディスプレイの「スパークル」または「輝き」は、一般に、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)、タッチスクリーンなどのピクセル化ディスプレイシステムに防眩表面または光散乱表面を導入するときに生じ得る、一般に望ましくない副作用であり、投射システムまたはレーザシステムにおいて観察され、特徴付けられてきた「スパークル」や「スペックル」のタイプとは、異なるタイプで異なる起源のものである。スパークルは、ディスプレイの非常に微細な粒状外観に関連付けられ、ディスプレイの視角を変えることにより粒子のパターンがシフトするように見えるであろう。ディスプレイのスパークルは、ほぼピクセルレベルのサイズ規模で明るいスポットと暗いスポットまたは着色スポットとして現れるであろう。スパークルが見えない第1の透明ガラス板、およびスパークルが目立つ第2の透明ガラス板の画像が、それぞれ、
図1(a)および
図1(b)に示されている。
図1(a)に示されたサンプルは、目に見えるスパークルを示しておらず、規則的であり、互いに整合性がとれたピクセルイメージ110を有する。反対に、
図1(b)に示された画像は、ピクセル当たりの出力で目に見えるノイズといくらかの分散を示している。その結果、
図1(b)に示されたピクセル110は、より散乱しており、互いに合併するように見える。
【0014】
ディスプレイ産業において使用される最も一般的な防眩表面は被覆高分子膜であるが、本開示は、主に、LCDまたは他のピクセル化ディスプレイ上に保護カバーガラスとして使用される透明ガラス物品または板の光学的性質および表面特性に関連している。特に、ディスプレイの「スパークル」を最小にする粗面と光学的性質を有する透明ガラス板、およびそのような板を備えたディスプレイシステムが提供される。その上、特に、明るい環境光の条件下で、ディスプレイ用途における視認性の改善をもたらす好ましい小角散乱特性または反射画像の鮮明度(DOI)を有する表面が提供される。いくつかの実施の形態において、ガラスの表面は、下にあるガラスのエッチングされた表面である。いくつかの実施の形態において、防眩表面は、異種被覆材料(例えば、被覆、膜など)の塗布または他の使用を伴わずに形成される。
【0015】
ディスプレイのスパークルの起源は、以前には、十分に理解されていなかった。干渉効果、レイリー散乱またはミー散乱などの、仮定できる可能性のある根本的原因が数多くある。ここに記載したように、防眩表面と組み合わされたピクセル化ディスプレイに一般に観察されるディスプレイのスパークルのタイプは、主に、表面上のいくつかの巨視的な(すなわち、光学的波長よりもずっと大きい)寸法を有する特徴構造により、屈折率またはディスプレイのピクセルの様々な角度への「レンズ作用(lensing)」を生じ、それゆえ、ピクセルの見掛けの相対的強度を変える屈折率効果であり、この効果を定量化するための技法がここに提供される。この技法では、「アイ・シミュレータ」カメラシステム(すなわち、人の観察者の目の機構をシミュレートするシステム)を使用してディスプレイの各ピクセルから収集された全出力の標準偏差を測定する。この測定基準は、ユーザによるディスプレイのスパークルの判断によく相関する。
【0016】
したがって、1つの態様において、スパークルを最小にする少なくとも1つの粗面化された防眩表面を有する透明ガラス板が提供される。この防眩表面は、化学エッチングおよび/または機械的(例えば、研削、研磨など)プロセスなどを使用して粗面化され、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)などのピクセル化ディスプレイ上の保護カバーガラスとして使用できる。防眩表面を有する透明ガラス板の側面図が
図2(a)に示されている。透明ガラス板200は、第1の防眩表面210および透明ガラス板200の反対側の第2の表面220を有する。
図2(a)、2(b)および3に示された透明ガラス板200は、実質的に二次元の平面板であるが、透明ガラス板は、いくつかの実施の形態において、三次元の板であってもよい。いくつかの実施の形態において、粗面化された防眩表面210は、透明ガラス板200と一体となっている;すなわち、防眩表面210は、透明ガラス板200の残りまたは大部分と実質的に同じ材料からなり、上述した手段(例えば、エッチング、研削、研磨など)を使用してガラス板の1つの表面にその場で形成される。いくつかの実施の形態において、最終形態の防眩表面210は、どのような異種材料(すなわち、透明ガラス板とは異なる材料)も含まない。いくつかの実施の形態において、第2の表面は、約20nm未満のRMS粗さを有し、光学的に滑らかである。
【0017】
いくつかの実施の形態において、透明ガラス板200はさらに、防眩表面210上に配置された反射防止層(
図2(b)の215)を備えている。この反射防止層215は、例えば、以下に限られないが、吹き付け塗り、回転塗布、または浸漬塗り、物理蒸着(例えば、スパッタリングまたは蒸発)、化学蒸着、それらの組合せなどの当該技術分野で公知の様々な液体堆積法または蒸着法のいずれにより施された被覆または膜であってもよい。あるいは、反射防止層215は、自立性膜として防眩表面に施してもよい。
【0018】
いくつかの実施の形態において、粗面化された防眩表面210は、約60nmから約600nmの範囲、他の実施の形態において、約80nmから約300nmの範囲の、全RMS粗さ(例えば、空間周波数フィルタリングなしで、約0.6mm×0.6mmの窓サイズを使用して測定した)を有する。いくつかの実施の形態において、第2の表面220も、粗面化されており、上述した範囲の全RMS粗さを有する。しかしながら、他の実施の形態において、第2の表面は、粗面化されていない表面であり、約20nm未満のRMS粗さを有する。
【0019】
ここに用いたように、「R
長」という用語は、別記しない限り、所定の範囲(例えば、約40μmから約640μm)に亘り測定された長波長の横方向の空間的特徴構造のRMS表面粗さを称する。「R
短」という用語は、別記しない限り、約20μm未満の短波長の横方向の空間的特徴構造のRMS表面粗さを称する。「R
全」という用語は、別記しない限り、所定または規定のサイズ(例えば、約0.6mm×0.6mm)の測定窓を使用して測定した全横方向の表面波長について測定した(すなわち、表面波長フィルタリングなしで)全RMS粗さを使用する。
【0020】
粗さの振幅または短波長の空間的特徴構造に対する長波長の空間的特徴構造の比(R
長/R
短)が減少した防眩表面も提供される。その上、所望の範囲にある全RMS粗さR
全および長波長の空間的特徴構造のRMS粗さR
長に対する全RMS粗さR
全の増加した比(R
全/R
長)を有する防眩表面も提供される。低い実測スパークルおよび低い反射像の鮮明度の組合せを有するそのような防眩表面は、以前は、無機またはガラス防眩表面には得られなかった。防眩表面は、全RMS粗さおよび平均のピーク・ピーク特徴構造間隔に関して、以前に記載されていたが、本開示は、容易に定義されるピーク・ピーク特徴構造間隔を有さない表面さえ含む、多くの様々な防眩表面に適用できる表面波長範囲と粗さの振幅との間の関係を提供する。これらの関係は、ディスプレイのスパークルを定量的に減少させ、それゆえ、以前には認識されていなかった最適な表面構造および表面パラメータをもたらすことが示される。
【0021】
防眩表面210は、約300nmまでの第1のRMS表面高さ粗さ(R
長)を有する。R
長は、約40μmと約640μmの間、いくつかの実施の形態において、約60μmと約640μmの間、いくつかの実施の形態において、約80μmと約640μmの間の波長範囲にある横方向の表面空間波の測定から算出される。いくつかの実施の形態において、R
長は、約275nm未満、他の実施の形態において、約250nm未満、さらに他の実施の形態において、約175nm未満、さらにまた他の実施の形態において、約140nm未満、他の実施の形態において、約115nm未満である。その上、防眩表面は、約20μm未満(例えば、約1μmから約20μm)の横方向の空間的周期を有する表面空間波の測定から算出される、第2のRMS粗さ(R
短)を有する。いくつかの実施の形態において、R
短は、少なくとも約30nm、他の実施の形態において、少なくとも約40nm、さらに他の実施の形態において、少なくとも約45nm、さらにまた他の実施の形態において、少なくとも約50nmである。
【0022】
透明ガラス板200の防眩表面210に関する第2のRMS粗さR
短に対する第1のRMS粗さR
長の比(R
長/R
短)は、約4.9未満である。いくつかの実施の形態において、防眩表面210に関する比R
長/R
短は、約3.9未満、他の実施の形態において、約2.9未満である。
【0023】
いくつかの実施の形態において、ここに記載された透明ガラス板200は、約85未満の20°の像の鮮明度(DOI)を有する。いくつかの実施の形態において、透明ガラス板のDOIは、約80未満、他の実施の形態において、約60未満、他の実施の形態において、約40未満である。ここに用いたように、「像の鮮明度」という用語は、その内容をここに全て引用する、「Standard Test Methods for Instrumental Measurements of Distinctness-of-Image Gloss of Coating Surfaces」と題するASTM法D5767(ASTM 5767)の方法Aにより定義されている。ASTM 5767の方法Aによれば、ガラスの反射率係数の測定は、正視角で、および正視角からわずかにずれた角度で、ガラス板の少なくとも1つの粗面に行われる。これらの測定から得られた値を組み合わせて、DOI値を提供する。詳しくは、DOIは、式:
【数1】
【0024】
にしたがって計算され、式中、Rosは、正反射方向から0.2°から0.4°離れた相対的反射強度平均振幅であり、Rsは正方向(正反射方向を中心とした+0.05°と−0.05°の間)の相対的反射強度平均である。入力光源角がサンプル表面垂線から+20°であり(本開示全体に亘りそうである)、サンプルに対して垂直な表面を0°と解釈すると、正反射光Rsの測定は、約−19.95°から−20.05°の範囲の平均として解釈され、Rosは、約−20.2°から−20.4°の範囲(または−19.6°から−19.8°、もしくはこれらの2つの範囲の両方の平均)の平均反射強度と解釈される。ここに用いたように、DOI値は、ここに定義されたRos/Rsの目的比を特定するものとして直接的に解釈すべきである。いくつかの実施の形態において、透明ガラス板200は、反射した光学的出力の95%超が、±10°の円錐内に閉じ込められるような反射散乱プロファイルを有し、ここで、この円錐は、任意の入力角に関して正反射方向を中心としている。
【0025】
いくつかの実施の形態において、ここに記載された透明ガラス板は、約40%未満の透過ヘイズ値を有する。いくつかの実施の形態において、透明ガラス板の透過ヘイズは約20%未満である。ここに用いたように、「透過ヘイズ」および「ヘイズ」という用語は、ASTM法D1003にしたがい約±2.5°の尖った円錐の外側に散乱する透過光の百分率を称する。光学的に滑らかな表面について、透過ヘイズは、一般に、ゼロに近い。
【0026】
DOI、RMS粗さR
長、比(R
長/R
短)、RMS表面粗さR
短、および/または全RMS粗さR
全の様々な組合せを有する、ここに記載された透明ガラス板200の代表的な実施の形態が表1に要約されている。本開示および付随の特許請求の範囲は、必ずしも、表1に含まれたものに制限されず、本開示は、透明ガラス板が上述したパラメータの他の組合せを有する実施の形態を包含することが理解されよう。表1に記載された実施の形態において、像の鮮明度(DOI)は20°で測定される。実施の形態A〜Gおよび実施の形態Tにおいて、R
長は、約80μm超の横方向の空間波長範囲(例えば、約80μmから約640μm)において、約2mm×2mmの測定窓サイズを使用して測定した防眩表面210のRMS粗さである。実施の形態H〜Sにおいて、R
長は、約40μm超の横方向の空間波長範囲(例えば、約40μmから約640μm)において、約2mm×2mmの測定窓サイズを使用して測定した防眩表面のRMS粗さである。表1に列挙された全ての実施の形態について、R
短は、20μm未満の横方向の空間波長範囲(例えば、約1μmから約20μm)において、約0.15mm×0.15mmの測定窓サイズを使用して測定した防眩表面のRMS粗さである。表1に列挙された全ての実施の形態について、R
全は、約0.6mm×0.6mmの測定窓サイズを使用して測定した、全横方向の表面波長(表面波長フィルタリングなしで)について測定した全RMS粗さである。反復可能な結果を達成するために、測定窓サイズを特定することが必要である。表1に列挙された実施の形態において選択された測定窓サイズは、特定の表面波長範囲の各々においてRMS粗さを測定するために使用した関連する横方向の表面波を正確に獲得する窓サイズを表す。測定窓サイズにおける小さい偏差により、表1に列挙された結果は著しくは変わらないであろう。
【表1】
【0027】
1つの実施の形態(表1の実施の形態A)において、透明ガラス板は、少なくとも1つの粗面化された防眩表面および約60未満のDOIを有する。この少なくとも1つの粗面化された防眩表面のRMS粗さR
長は約115nm未満であり、比R
長/R
短は約3.9未満である。
【0028】
別の実施の形態(表1の実施の形態B)において、透明ガラス板は、少なくとも1つの粗面化された防眩表面および約60未満のDOIを有する。この少なくとも1つの粗面化された防眩表面のRMS粗さR
長は約250nm未満であり、比R
長/R
短は約2.9未満である。
【0029】
別の実施の形態(表1の実施の形態C)において、透明ガラス板は少なくとも1つの粗面化された防眩表面を有する。この少なくとも1つの粗面化された防眩表面のRMS粗さR
長は約250nm未満であり、R
短は約45nmより大きく、比R
長/R
短は約3.9未満である。
【0030】
別の実施の形態(表1の実施の形態D)において、透明ガラス板は少なくとも1つの粗面化された防眩表面を有する。この少なくとも1つの粗面化された防眩表面のRMS粗さR
長は約250nm未満であり、R
短は約30nmより大きく、比R
長/R
短は約2.9未満である。
【0031】
別の実施の形態(表1の実施の形態E)において、透明ガラス板は少なくとも1つの粗面化された防眩表面を有する。この少なくとも1つの粗面化された防眩表面のRMS粗さR
長は約200nm未満であり、R
短は約50nmより大きい。この透明ガラス板は、随意的に、約85未満のDOIを有する。
【0032】
別の実施の形態(表1の実施の形態F)において、透明ガラス板は少なくとも1つの粗面化された防眩表面を有する。この少なくとも1つの粗面化された防眩表面のRMS粗さR
長は約140nm未満であり、R
短は約45nmより大きい。
【0033】
別の実施の形態(表1の実施の形態G)において、透明ガラス板は少なくとも1つの粗面化された防眩表面を有する。この少なくとも1つの粗面化された防眩表面のRMS粗さR
長は約115nm未満であり、R
短は約30nmより大きい。この透明ガラス板は、随意的に、約85未満のDOIを有する。
【0034】
別の実施の形態(表1の実施の形態H)において、透明ガラス板は少なくとも1つの粗面化された防眩表面および約60未満のDOIを有する。この少なくとも1つの粗面化された防眩表面のRMS粗さR
長は約175nm未満であり、比R
長/R
短は約4.9未満である。
【0035】
別の実施の形態(表1の実施の形態I)において、透明ガラス板は少なくとも1つの粗面化された防眩表面および約60未満のDOIを有する。この少なくとも1つの粗面化された防眩表面のRMS粗さR
長は約300nm未満であり、比R
長/R
短は約4.9未満である。
【0036】
別の実施の形態(表1の実施の形態J)において、透明ガラス板は少なくとも1つの粗面化された防眩表面を有する。この少なくとも1つの粗面化された防眩表面のRMS粗さR
長は約300nm未満であり、R
短は約45nmより大きく、比R
長/R
短は約4.9未満である。
【0037】
別の実施の形態(表1の実施の形態K)において、透明ガラス板は少なくとも1つの粗面化された防眩表面を有する。この少なくとも1つの粗面化された防眩表面のRMS粗さR
長は約300nm未満であり、R
短は約30nmより大きく、比R
長/R
短は約3.9未満である。
【0038】
別の実施の形態(表1の実施の形態L)において、透明ガラス板は少なくとも1つの粗面化された防眩表面を有する。この少なくとも1つの粗面化された防眩表面のRMS粗さR
長は約275nm未満であり、R
短は約50nmより大きい。この透明ガラス板は、随意的に、約85未満のDOIを有する。
【0039】
別の実施の形態(表1の実施の形態M)において、透明ガラス板は少なくとも1つの粗面化された防眩表面を有する。この少なくとも1つの粗面化された防眩表面のRMS粗さR
長は約220nm未満であり、R
短は約45nmより大きい。この透明ガラス板は、随意的に、約85未満のDOIを有する。
【0040】
別の実施の形態(表1の実施の形態N)において、透明ガラス板は少なくとも1つの粗面化された防眩表面を有する。この少なくとも1つの粗面化された防眩表面のRMS粗さR
長は約175nm未満であり、R
短は約30nmより大きい。この透明ガラス板は、随意的に、約85未満のDOIを有する。
【0041】
別の実施の形態(表1の実施の形態O)において、透明ガラス板は少なくとも1つの粗面化された防眩表面を有する。この少なくとも1つの粗面化された防眩表面のRMS粗さR
長は約300nm未満であり、比R
長/R
短は約3.9未満である。この透明ガラス板は、約40%未満の透過ヘイズ、および約60未満のDOIを有する。
【0042】
別の実施の形態(表1の実施の形態P)において、透明ガラス板は少なくとも1つの粗面化された防眩表面を有する。この少なくとも1つの粗面化された防眩表面のRMS粗さR
長は約300nm未満であり、比R
長/R
短は約3.9未満である。この透明ガラス板は、約10%未満の透過ヘイズ、および約60未満のDOIを有する。
【0043】
別の実施の形態(表1の実施の形態Q)において、透明ガラス板は少なくとも1つの粗面化された防眩表面を有する。この少なくとも1つの粗面化された防眩表面のRMS粗さR
長は約300nm未満であり、RMS全粗さR
全は約60nmから約600nmの範囲にあり、比R
長/R
短は約3.9未満である。この透明ガラス板は、約60未満のDOI、および随意的に、約10%未満の透過ヘイズを有する。
【0044】
別の実施の形態(表1の実施の形態R)において、透明ガラス板は少なくとも1つの粗面化された防眩表面を有する。この少なくとも1つの粗面化された防眩表面のRMS粗さR
長は約300nm未満であり、RMS表面粗さR
短は約45nmより大きく、RMS全粗さR
全は、随意的に、約60nmから約600nmの範囲にあり、比R
長/R
短は約4.9未満である。この透明ガラス板は、約40未満のDOI、および約20%未満の透過ヘイズを有する。
【0045】
別の実施の形態(表1の実施の形態S)において、透明ガラス板は少なくとも1つの粗面化された防眩表面を有する。この少なくとも1つの粗面化された防眩表面のRMS粗さR
長は約300nm未満であり、比R
長/R
短は約4.9未満である。この透明ガラス板は、約20%未満の透過ヘイズを有する。
【0046】
別の実施の形態(表1の実施の形態T)において、透明ガラス板は少なくとも1つの粗面化された防眩表面を有する。この少なくとも1つの粗面化された防眩表面のRMS粗さR
長は約300nm未満であり、RMS全粗さR
全は、約60nmから約600nmの範囲にあり、比R
長/R
短は約1.9未満である。この透明ガラス板は、随意的に、約20%未満の透過ヘイズを有する。
【0047】
別の実施の形態(表1の実施の形態U)において、透明ガラス板は少なくとも1つの粗面化された防眩表面を有する。RMS全粗さR
全は、約60nmから約600nmの範囲にあり、比R
全/R
長は約2.20以上である。
【0048】
別の実施の形態(表1の実施の形態V)において、透明ガラス板は少なくとも1つの粗面化された防眩表面を有する。RMS表面粗さR
短は約30nmより大きく、RMS全粗さR
全は、約60nmから約600nmの範囲にあり、比R
全/R
長は約1.80以上である。
【0049】
別の実施の形態(表1の実施の形態W)において、透明ガラス板は少なくとも1つの粗面化された防眩表面を有する。RMS全粗さR
全は、約60nmから約600nmの範囲にあり、比R
全/R
長は約1.80以上である。この透明ガラス板は、約60未満のDOI、および随意的に、約20%未満の透過ヘイズを有する。
【0050】
いくつかの実施の形態において、前記透明ガラス板は、イオン交換可能なガラスからなり、当該技術分野に公知の化学的手段または熱的手段のいずれかにより強化されている。1つの実施の形態において、透明ガラス板はイオン交換により化学強化されている。このプロセスにおいて、ガラスの表面のまたはその近くの金属イオンが、そのガラス中の金属イオンと同じ原子価を有する、より大きい金属イオンと交換される。その交換は、一般に、ガラスを、例えば、より大きい金属イオンを含有する溶融塩浴などのイオン交換媒質と接触させることによって行われる。その金属イオンは、典型的に、例えば、アルカリ金属イオンなどの一価の金属イオンである。1つの非限定的例において、ナトリウムイオンを含有するガラス板の、イオン交換による化学強化は、そのガラス板を、硝酸カリウム(KNO
3)などの溶融カリウム塩を含むイオン交換浴中に浸漬することによって行われる。
【0051】
イオン交換プロセスにおける、より大きい金属イオンによる小さい金属イオンの置換により、表面から、圧縮応力下にある深さ(「層の深さ」と称される)まで延在するガラスの領域が生じる。透明ガラス板のこの圧縮応力は、ガラス板の内部の引張応力(「中央張力」とも称される)により釣り合わされる。いくつかの実施の形態において、ここに記載された透明ガラス板の表面は、イオン交換により強化された場合、少なくとも350MPaの圧縮応力を有し、圧縮応力下にある領域は、表面下に、少なくとも15μmの層の深さまで延在する。
【0052】
いくつかの実施の形態において、透明ガラス板は、ソーダ石灰ガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、またはアルカリアルミノホウケイ酸塩ガラスからなる。1つの実施の形態において、透明ガラス板は、アルミナ、少なくとも1種類のアルカリ金属、およびいくつかの実施の形態において、50モル%超のSiO
2、他の実施の形態において、少なくとも58モル%の、さらに他の実施の形態において、少なくとも60モル%のSiO
2を含み、
【0053】
であり、式中、改質剤がアルカリ金属酸化物である、アルカリアルミノホウケイ酸塩ガラスからなる。このガラスは、特別な実施の形態において、約58モル%から約72モル%のSiO
2、約9モル%から約17モル%のAl
2O
3、約2モル%から約12モル%のB
2O
3、約8モル%から約16モル%のNa
2O、および0モル%から約4モル%のK
2Oを含み、から実質的になり、またはからなり、
【0054】
であり、式中、改質剤がアルカリ金属酸化物である。
【0055】
別の実施の形態において、透明ガラス板は、約61モル%から約75モル%のSiO
2、約7モル%から約15モル%のAl
2O
3、0モル%から約12モル%のB
2O
3、約9モル%から約21モル%のNa
2O、0モル%から約4モル%のK
2O、0モル%から約7モル%のMgO、および0モル%から約3モル%のCaOを含む、から実質的になる、またはからなるアルカリアルミノケイ酸塩ガラスからなる。
【0056】
さらに別の実施の形態において、透明ガラス板は、約60モル%から約70モル%のSiO
2、約6モル%から約14モル%のAl
2O
3、0モル%から約15モル%のB
2O
3、0モル%から約15モル%のLi
2O、0モル%から約20モル%のNa
2O、0モル%から約10モル%のK
2O、0モル%から約8モル%のMgO、0モル%から約10モル%のCaO、0モル%から約5モル%のZrO
2、0モル%から約1モル%のSnO
2、0モル%から約1モル%のCeO
2、約50ppm未満のAs
2O
3、および約50ppm未満のSb
2O
3を含み、から実質的になり、またはからなり、12モル%≦Li
2O+Na
2O+K
2O≦20モル%、および0モル%≦MgO+CaO≦10モル%である、アルカリアルミノケイ酸塩ガラスからなる。
【0057】
さらに別の実施の形態において、透明ガラス板は、約64モル%から約68モル%のSiO
2、約12モル%から約16モル%のNa
2O、約8モル%から約12モル%のAl
2O
3、0モル%から約3モル%のB
2O
3、約2モル%から約5モル%のK
2O、約4モル%から約6モル%のMgO、および0モル%から約5モル%のCaOを含み、から実質的になり、またはからなり、ここで、66モル%≦SiO
2+B
2O
3+CaO≦69モル%、Na
2O+K
2O+B
2O
3+MgO+CaO+SrO>10モル%、5モル%≦MgO+CaO+SrO≦8モル%、(Na
2O+B
2O
3)−Al
2O
3≦2モル%、2モル%≦Na
2O−Al
2O
3≦6モル%、および4モル%≦(Na
2O+K
2O)−Al
2O
3≦10モル%である、アルカリアルミノケイ酸塩ガラスからなる。
【0058】
他の実施の形態において、透明ガラス板は、SiO
2、Al
2O
3、P
2O
5、および少なくとも1種類のアルカリ金属酸化物(R
2O)を含み、ここで、0.75≦[(P
2O
5(モル%)+R
2O(モル%))/M
2O
3(モル%)]≦1.2、式中、M
2O
3=Al
2O
3+B
2O
3。いくつかの実施の形態において、[(P
2O
5(モル%)+R
2O(モル%))/M
2O
3(モル%)]=1、いくつかの実施の形態において、前記ガラスはB
2O
3を含まず、M
2O
3=Al
2O
3。前記ガラスは、いくつかの実施の形態において、約40から約70モル%のSiO
2、0から約28モル%のB
2O
3、約0から約28モル%のAl
2O
3、約1から約14モル%のP
2O
5、および約12から約16モル%のR
2Oを含む。いくつかの実施の形態において、前記ガラスは、約40から約64モル%のSiO
2、0から約8モル%のB
2O
3、約16から約28モル%のAl
2O
3、約2から約12モル%のP
2O
5、および約12から約16モル%のR
2Oを含む。前記ガラスは、以下に限られないが、MgOやCaOなどのアルカリ土類金属酸化物を少なくとも1種類さらに含んでもよい。
【0059】
いくつかの実施の形態において、前記透明ガラス板を構成するガラスはリチウムを含まない、すなわち、このガラスは、Li
2Oを1モル%未満しか、他の実施の形態において、Li
2Oを0.1モル%未満しか含まず、他の実施の形態において、Li
2Oは0モル%である。いくつかの実施の形態において、そのようなガラスは、ヒ素、アンチモン、およびバリウムの内の少なくとも1種類を含まない、すなわち、そのガラスは、As
2O
3、Sb
2O
3、および/またはBaOを1モル%未満しか、他の実施の形態において、0.1モル%未満しか含まない。
【0060】
ピクセルサイズおよびピクセル画面と防眩表面との間の距離などの、ディスプレイシステムのパラメータが、ディスプレイのスパークルに影響を与えることも分かった。特に、より小さいディスプレイのピクセルにより、一般に、見た目と、測定できるほど、より重大なスパークルが生じる。したがって、防眩表面を高解像度(すなわち、小さいピクセル)のディスプレイに組み込む場合、スパークルを小さく維持することは、より難題である。
【0061】
図3は、透明ガラス板200の防眩表面210のスパークルの程度を決定するために使用できる、ここに記載された透明ガラス板200およびピクセル化(すなわち、複数のピクセルを有する)ディスプレイの構成の側面図である。透明ガラス板200は、複数のピクセル305を備え、画面310を有するピクセル化ディスプレイ300の前方に配置される。
図2に示されたような構成において、透明ガラス板200は、この透明ガラス板200の防眩表面210が、ピクセル化ディスプレイ300から遠位にあり(すなわち、離れて面し)、所定の光学距離dだけピクセル化ディスプレイ300の画面310から離れている。
【0062】
例えば、LCDディスプレイなどのピクセル化ディスプレイの前面に配置または設置された場合、ここに記載された透明ガラス板は、約7.5%未満、いくつかの実施の形態において、約7%未満のピクセル出力偏差(PPD)を有する。ここに用いたように、「ピクセル出力偏差」および「PPD」という用語は、ディスプレイのスパークルに関する定量的測量を称する。別記しない限り、PPDは、60μm×180μmの本来のサブピクセルピッチおよび約44μm×約142μmのサブピクセル開口窓サイズを有するエッジ照明LCDスクリーン(ねじれネマティックLCD)を備えたディスプレイ構成を使用して測定される。LCDスクリーンの前面は、光沢のある、反射防止型直線偏光膜を有していた。ディスプレイシステムまたはディスプレイシステムの一部を形成する透明ガラス板のPPDを決定するために、人間の観察者の目のパラメータを近似する、「アイ・シミュレータ」カメラの焦点領域に、スクリーンが配置される。したがって、そのカメラシステムは、光の収集角を調節し、それゆえ、人間の目の瞳の開口を近似するために、光路に挿入される開口(または「瞳の開口」)を備えている。ここに記載されたPPD測定において、虹彩絞りは、18ミリラジアンの角度の範囲を定める。虹彩を通じて見られるLCDピクセル画像は、LCDピクセル当たり少なくとも約20個のCCDピクセルを有するCCD(電荷結合素子)カメラにより収集される。PPDは、CCDカメラにより収集された画像の分析によって計算される。測定区域は、典型的に、約30×30のLCDピクセルを含む。様々なカラーフィルタの透過から来るピクセル出力のばらつきを除去するために、ディスプレイの緑色のピクセルのみを照らす。この測定システムに使用されるLCDスクリーンは、単独で測定した場合(すなわち、防眩ガラス板のない状態)、約3.2〜3.5%のPPDを有する。ここに報告されたPPD値は、ベースラインまたは基準の減算なく計算されている。すなわち、透明ガラス板のない状態で測定したLCDのベースラインPPD値が、ここに報告されたPPD値に含まれている。
【0063】
PPDは、以下の手法にしたがって、ディスプレイのピクセルの画像解析によって計算される。各LCDピクセルの周りにグリッド・ボックスが描かれ、各グリッド・ボックス内の全出力が、CCDカメラのデータから計算され、各ピクセルの全出力に割り当てられる。それゆえ、各LCDピクセルの全出力は、その平均偏差および標準偏差を計算できる、数の配列となり、PPD値は、ピクセル当たりの平均出力で割られた、ピクセル当たりの全出力の標準偏差(×100)と定義される。アイ・シミュレータ・カメラにより各LCDピクセルから収集された全出力が測定され、全ピクセル出力の標準偏差(PPD)は、典型的に、約30×30のLCDピクセルからなる、測定面積に亘り計算される。様々なカラーフィルタの透過から来るピクセル出力のばらつきを除去するために、ディスプレイの緑色のピクセルのみを照らす。この測定システムにおいて、使用されるLCDスクリーンは、単独で測定した場合(すなわち、防眩ガラス板のない状態)、約3.2〜3.5%のPPDを有する。
【0064】
PPD値を得るために使用される測定システムおよび画像処理計算の詳細が、その内容をここに全て引用する、「Sparcle Measurement System」と題する、Jacques Gollier等により2011年2月28日に本件と同時に出願された米国仮特許出願第61/447285号明細書に記載されている。この測定システムは、各々が参照指数iおよびjを有する複数のピクセルを含むピクセル化源、およびそのピクセル化源を起源とする光路に沿って光学的に配置された結像系を含む。この結像系は、各々が指数mおよびnにより参照される第2の複数のピクセルを含むピクセル化感受性区域を有する、前記光路に沿って配置された結像素子、およびピクセル化源から発せられる画像に関する調節可能な収集角を有する、ピクセル化源と結像素子との間の光路に配置された絞りを含む。画像処理計算は、透明サンプルの、複数のピクセルを含むピクセル化画像を獲得する工程、ピクセル化画像において隣接するピクセル間の境界を決定する工程、その境界内で積算して、ピクセル化画像における各源のピクセルの積算エネルギーを得る工程、および各源のピクセルの積算エネルギーの標準偏差であって、ピクセル分散当たりの出力である標準偏差を計算する工程を含む。
【0065】
いくつかの実施の形態において、
図2に示されたピクセル化ディスプレイ210に設置される透明ガラス板100は、約85未満の、いくつかの実施の形態において、約80未満の、いくつかの実施の形態において、約60未満の、他の実施の形態において、約40未満の20°DOIを有する。
【0066】
先に記載された構成のいくつかの実施の形態において、ピクセル化ディスプレイは、単独で測定された場合(すなわち、ピクセル化ディスプレイとアイ・シミュレータ・カメラとの間に透明ガラス板が配置されていない場合)、ピクセル出力偏差(第2のピクセル出力偏差、または第2のPPD)も示す。これらの場合、いくつかの実施の形態において、ピクセル化ディスプレイと組み合わされる、透明ガラス板のPPDは、ピクセル化ディスプレイのみのPPDよりも2倍以下大きい。他の実施の形態において、透明ガラス板のPPDは、ピクセル化ディスプレイのPPDより約4%以下大きい、いくつかの実施の形態において、ピクセル化ディスプレイのPPDより約3.5%以下大きい。
【0067】
DOI、PPD、および/またはピクセル化ディスプレイのみのPPDからの、ディスプレイと組み合わされた場合の透明ガラス板のPPDの差(ΔPPD)の様々な組合せを有する、ここに記載され透明ガラス板の代表的な実施の形態が、表2にまとめられている。本開示および付随の特許請求の範囲は、表2に含まれるものに必ずしも制限されず、本開示は、透明ガラス板が上記パラメータの他の組合せを有する実施の形態を包含することが理解されよう。表2に記載された実施の形態において、像の鮮明度(DOI)は20°で測定されている。
【表2】
【0068】
1つの実施の形態(表2の実施の形態AA)において、透明ガラス板は少なくとも1つの素面化された防眩表面を有し、この透明ガラス板のDOIは約80未満であり、透明ガラス板が、上述したピクセル化ディスプレイの前面に配置されたまたは設置されたときに測定されたPPDは約7%未満である。
【0069】
別の実施の形態(表2の実施の形態BB)において、透明ガラス板は少なくとも1つの素面化された防眩表面を有し、この透明ガラス板のDOIは約20未満であり、透明ガラス板が、上述したピクセル化ディスプレイの前面に配置されたまたは設置されたときに測定されたPPDは約7.5%未満である。
【0070】
別の実施の形態(表2の実施の形態CC)において、透明ガラス板は少なくとも1つの素面化された防眩表面を有し、この透明ガラス板のDOIは約80未満であり、透明ガラス板が、上述したピクセル化ディスプレイの前面に配置されたまたは設置されたときに測定されたPPDは、透明ガラス板がピクセル化ディスプレイの前面に配置/設置されていない状態で測定されたかまたは他の様式で決定されたピクセル化ディスプレイのPPDよりも約3.5%以下大きい。
【0071】
別の実施の形態(表2の実施の形態DD)において、透明ガラス板は少なくとも1つの素面化された防眩表面を有し、この透明ガラス板のDOIは約60未満であり、透明ガラス板が、上述したピクセル化ディスプレイの前面に配置されたまたは設置されたときに測定されたPPDは、透明ガラス板がピクセル化ディスプレイの前面に配置/設置されていない状態で測定されたかまたは他の様式で決定されたピクセル化ディスプレイのPPDよりも約4%以下大きい。
【0072】
別の実施の形態(表2の実施の形態EE)において、透明ガラス板は少なくとも1つの素面化された防眩表面を有し、この透明ガラス板のDOIは約60未満であり、透明ガラス板が、上述したピクセル化ディスプレイの前面に配置されたまたは設置されたときに測定されたPPDは、透明ガラス板がピクセル化ディスプレイの前面に配置/設置されていない状態で測定されたかまたは他の様式で決定されたピクセル化ディスプレイのPPDよりも約4%以下大きい。 その上、ピクセル化ディスプレイシステムにおける最も小さい(最小の)サブピクセル窓開口寸法は、約200μm未満である。いくつかの実施の形態において、最も小さいサブピクセル窓開口寸法は、約100μm未満、他の実施の形態において、約65μm未満である。ピクセル化ディスプレイの結像面(例えば、LCDディスプレイにおけるカラーフィルタ面)と、透明ガラス板の防眩/散乱表面との間の総距離は、約1.0mmから約3.5mmの範囲にある。
【0073】
別の実施の形態(表2の実施の形態FF)において、透明ガラス板は少なくとも1つの素面化された防眩表面を有し、この透明ガラス板のDOIは約60未満であり、透明ガラス板が、上述したピクセル化ディスプレイの前面に配置されたまたは設置されたときに測定されたPPDは、透明ガラス板がピクセル化ディスプレイの前面に配置/設置されていない状態で測定されたかまたは他の様式で決定されたピクセル化ディスプレイのPPDよりも2倍以下大きい。
【0074】
別の態様において、ここに記載されたスパークルが最小の透明ガラス板を備えたディスプレイシステム(
図2の200)が提供される。ディスプレイシステム150は、複数のピクセルおよび結像面を有する、例えば、LCDディスプレイなどのピクセル化ディスプレイ210、および防眩表面(
図2の110)を有する、先に記載されたものなどの透明ガラス板(
図2の100)を備えている。この透明ガラス板は、防眩表面が、ピクセル化ディスプレイから遠位にあり、いくつかの実施の形態において、約1.0mmから約3.5mmの範囲にある、所定の距離だけ結像面から離れているように、ピクセル化ディスプレイの前面に配置されている。ここに記載された透明ガラス板は、約7.5%未満、いくつかの実施の形態において、約7%未満のピクセル出力偏差(PPD)を有する。いくつかの実施の形態において、透明ガラス板は、約80未満、いくつかの実施の形態において、約60未満の像の鮮明度(DOI)を有する。このディスプレイシステムの透明ガラス板の様々な非源的的実施の形態が、先に記載されており、表1および2にまとめられている。
【0075】
ディスプレイシステムのいくつかの実施の形態において、ピクセル化ディスプレイは、防眩表面を有するガラス板のない状態で、単独で測定したときのピクセル出力偏差(第2のピクセル出力偏差、または第2のPPD)を有する。ここで、いくつかの実施の形態において、ディスプレイと組み合わされた場合の透明ガラス板のPPDは、ピクセル化ディスプレイの第2のPPDよりも2倍以下大きい。他の実施の形態において、透明ガラス板のPPDは、ピクセル化ディスプレイの第2のPPDよりも約4%以下大きく、いくつかの実施の形態において、第2のPPDより約3.5%以下大きい。ピクセル化ディスプレイは、いくつかの実施の形態において、約200μm未満のサブピクセル窓開口寸法を有する。いくつかの実施の形態において、サブピクセル窓開口寸法は、約100μm未満、いくつかの実施の形態において、約65nm未満である。
【0076】
1つの粗面化された防眩表面を有するガラスサンプルを、粗面化された防眩表面をカメラに向けて面するように、LCDスクリーンの前面に配置した。これらのサンプルは、LCDの前面と防眩ガラスサンプルの背面との間に0.635mmの空隙があるように配置された。各防眩ガラスサンプルは0.7mmの厚さを有した。前方のLCDガラスの厚さ、前面のLCD偏光子の厚さ、空隙、および防眩サンプルの厚さのために、LCD結像面(カラーフィルタ面)と粗い防眩表面との間の総光学距離は約2.0mmであった。LCDスクリーンを「緑色スクリーン」モードに置き、ここで、全ての緑色ピクセルを完全に照らし、他の全てのピクセルはオフにした。ピクセルの画像を、アイ・シミュレータ・カメラを使用してキャプチャーし、各緑色ピクセルに関する全ピクセル出力の標準偏差を計算し、PPD値として報告した。
【0077】
DOI、Ros、Rs、および反射散乱プロファイルを、Rhopoint Instruments社からのNovo−gloss IQ配光測定器を使用して、20°の入射角での反射において測定した(ASTM D5767にしたがって)。ほとんどの場合、この機器は、同じ機器からの生実測RosおよびRs値と正確に一致しなかった自動計算DOI値を報告した。これの場合、生RosおよびRs値を使用して、DOIの自動機器計算を補正した。これらの値は、ここでは、「補正済み」DOI値(すなわち、生RsおよびRosデータに基づく)と報告されている。別記しない限り、本開示に亘り報告された全てのDOI値は、「補正済み」DOI値と解釈すべきである。透過ヘイズは、BYK−Gardner Haze−Gard Plusを使用して測定した。
【0078】
2D表面形状マップを作成する、例えば、Zygo NewView光学表面測定装置などの表面形状測定装置を使用して、低スパークルの防眩表面を生成するための最適な粗さパラメータを研究した。この解析の目的に、表面空間波長フィルタリング技法を使用した。この技法は、フーリエ変換技法を使用して、表面粗さ波の空間波長内容(出力スペクトル密度とも称される)を解析する工程を含む。このようにして、「波長フィルタ」を適用でき、特定の波長範囲における表面空間波のみを使用して、有効RMS粗さ値を計算することができる。実際には、波長フィルタは、実際の表面粗さプロファイルの一部ではない「ノイズ」または「表面うねり」を除去するために、粗さ測定に頻繁に適用される。しかしながら、この従来の方法に使用される典型的な波長フィルタは、非常に広い波長窓を有し、ディスプレイのスパークルを改善するのに関連する情報を提供しない。異なる機器に亘りRMS粗さ値を正確に比較するために、機器、測定窓サイズ、および適用された波長フィルタリングを特定する必要がある。測定には、いっそう多くのサンプルトポロジーが含まれるので、より大きい測定窓により、典型的に、より高い測定粗さ値が生じる。
【0079】
長い表面波はスパークルを増加させる傾向があるのに対し、短い表面波はスパークルを減少させる傾向にある。スパークルを最も増加しそうな範囲を特定するために、異なる潜在的な表面波長範囲が解析されてきた。ここに用いたように、「1〜20マイクロメートル(μm)の表面波長範囲のRMS粗さ」などの文言は、RMS粗さが、上述した範囲のRMS粗さを計算するためにその範囲内の横方向の空間波長を含みながら、上述した範囲から外れた全ての横方向の空間波長をフィルタリングで除くときに計算されていることを意味する。
【0080】
幅広く異なる表面波長範囲でRMS粗さを適切に測定するために、光学表面測定装置において異なる倍率レベルを使用する必要があった。(約0.1mm×0.13mmの窓サイズを使用して)1〜20μmの横方向波長範囲の表面波を解析した。(約2.1mm×2.3mmの窓サイズを使用して)約50倍の倍率で、40μm〜640μmの波長範囲の表面波を解析した。640μmより大きい表面波では、表面粗さが劇的に変化しなかったことが分かった。それゆえ、40μm〜640μmの横方向の空間波長窓で計算したRMS粗さは、40μmより大きい全ての表面波について計算したRMS粗さと事実上は同一である。同様に、1μm〜20μmの横方向の空間波長窓で計算したRMS粗さは、20μm未満の表面波について計算したRMS粗さと事実上は同一であることが分かった。長い表面波と短い表面波の両方を正確にキャプチャーするために、中くらいの窓サイズ(0.65mmから0.5mmの窓)を選択して、波長フィルタを使用せずに全RMS粗さを計算した。短波、長波、および全RMS粗さの様々な組合せを含む特定の実施の形態がここに記載されている。
【0081】
ここに記載したように、スパークルの根本的原因は、防眩表面の粗さパラメータに相関する。特に、防眩表面上の大きい(横方向の空間)波長特徴構造の粗さ振幅を減少させるまたは最小にすること、および/または小さい波長特徴構造の粗さ振幅を増加させることが、ディスプレイのスパークルを減少させるのに効果的である。ガラスエッチングプロセスを使用して、表面特徴構造の横方向の間隔または波長などの所望の表面粗さプロファイルおよび/またはパラメータを得てもよい。ガラス基板上にこれらのタイプの表面を作製するプロセスは、例えば、従来、最適化されており、ポリマーには適しているが、ガラスにはそれほど適していない成形技法または他の直接的なパターン形成技法の使用により確定的にされたポリマー被覆プロセスよりも、最適化するのが難しい。特に、ガラスエッチングプロセス−最終物品のガラス表面に異質の被覆材料を残さない−は、ここに記載されたディスプレイのスパークルを最小にするのに効果的である十分に制御されたタイプの粗さパラメータを有する防眩表面を形成することが以前にはできていなかった。
【0082】
ここに記載された性質を有する防眩表面は、様々なエッチングプロセスを使用して得られるであろう。そのようなプロセスの非限定的例が、その内容がここに全て引用される、「Glass and Display Having Antiglare Properties」と題する、Krista L. Carlson等により、2010年8月18日に出願された米国特許出願第12/858544号;「Glass Having Antiglare Surface and Method of Making」と題する、Krista L. Carlson等により、2010年9月30日に出願された米国特許出願第12/730502号;「Antiglare Treatment Method and Articles Thereof」と題する、Diane K. Guilfoyle等により、2010年4月30日に出願された米国仮特許出願第61/329936号;「Antiglare Treatment Method and Articles Thereof」と題する、Diane K. Guilfoyle等により、2010年8月11日に出願された米国仮特許出願第61/372655号;および「Antiglare Surface and Method of Making」と題する、Jeffrey T. Kohli等により、2010年4月30日に出願された米国仮特許出願第61/329951号の各明細書に記載されている。
【0083】
米国特許出願第12/858544号および同第12/730502号の各明細書には、ガラス表面が第1のエッチング液により処理されて、その表面上に結晶を形成している方法が記載されている。次いで、結晶の各々に隣接した表面の領域が所望の粗さまでエッチングされ、その後、ガラス表面から結晶が除去され、ガラス板の表面の粗さが減じられて、その表面に所望のヘイズおよび光沢が与えられる。
【0084】
ある非限定的例において、米国特許出願第12/858544号、および同第12/730502号の各明細書に記載された多段階処理は、ガラス板が、第1の浴中に浸漬されるか、または5〜20質量%のフッ化水素アンモニウム(NH
4HF
2)、0〜5質量%のフッ素化または非フッ素化アルカリ塩またはアルカリ土類塩(例えば、NaHF
2またはCaCl
2)、および10〜40%の、イソプロピルアルコールまたはプロピレングリコールなどの有機溶媒を含む溶液、ゲル、またはペーストと接触する、第1の粗面化工程を含む。これらの結晶は、後に、水による濯ぎで、またはその後の化学処理工程で除去される。随意的な第2の工程は、硫酸、塩化水素酸、硝酸、リン酸などの非フッ素化鉱酸を含む第2の溶液中の浸漬または他の処理を含んで差し支えない。あるいは、第2の溶液は水のみであってもよい。この随意的な第2の工程は、ガラス表面から結晶をある程度または完全にのいずれかで除去するように働くことができる。随意的な第3の工程(または、上述した第2の工程が省略された場合には、第2の工程)は、2〜10質量%のフッ化水素酸および2〜30質量%の、塩化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの鉱酸を含有する酸性溶液による浸漬または他の処理を含んで差し支えない。この随意的な第3の工程は、酸性溶液の代わりに、NaOHおよびEDTAを含有する溶液などの塩基性溶液による処理を含んでも差し支えない。
【0085】
米国仮特許出願第61/329936号、同第61/372655号、および同第61/329951号の各明細書には、酸性と塩基性のエッチングプロセスおよびガラス表面のエッチングの程度を制御するための、ポリマーまたはワックス被覆、粒子、およびそれらの組合せを含むマスクの使用が記載されている。米国仮特許出願第61/329936号、および同第61/372655号の各明細書には、ガラスの少なくとも1つの表面に粒子が堆積される、防眩表面を作製するウェットエッチング方法が記載されている。粒子が堆積された物品の少なくとも1つの表面がエッチング液(例えば、HFおよびH
2SO
4を含むエッチング液)に接触させられて、防眩表面を形成している。堆積した粒子は、例えば、約0.1μmから約10μm、約0.1μmから約50μm、約1μmから約10マイクロメートル、または約1μmから約5μmのD
50直径を有してよい。これらの粒子は、ガラスの表面上に、例えば、粒子の濃縮懸濁液を調製し、濃縮懸濁液を希釈液で希釈し、その表面を希釈された懸濁液と接触させることによって、堆積させてよい。堆積した粒子は、例えば、ガラス、複合体、セラミック、プラスチックまたは樹脂系材料、それらの組合せなどを含んでよい。いくつかの実施の形態において、エッチング液は、堆積した粒子の下の表面をエッチングするのに適した酸を少なくとも1種類含んでよい。そのようなエッチング液の非限定的例は、先に挙げられた文献に記載されている(例えば、HF/H
2SO
4エッチング液)。
【0086】
米国仮特許出願第61/329951号明細書には、防眩表面を有する物品を製造する方法が記載されており、その方法では、その物品の少なくとも1つの表面の少なくとも一部分に保護膜が形成される。保護膜を有する表面は、エッチング液と接触させられて、表面を粗面化し、その物品の表面から保護膜が除去されて、防眩表面が形成される。いくつかの実施の形態において、保護膜は、例えば、スルホンアミドホルムアルデヒド樹脂、ニトロセルロース、アクリレートまたはアクリルモノマーもしくはその塩を含むポリマーまたはコポリマー、ラッカー、エナメル、ワックス、その組合せなどの内の少なくとも1つのような細孔形成ポリマーであってよい。いくつかの実施の形態において、保護膜または細孔形成ポリマーは、例えば、少なくとも1種類のポリマー、またはポリマーの組合せ、類似の天然または合成材料、もしくはそれらの組合せなどの、どのような適切な被覆材料を含んでもよい。適切な細孔形成組成物は、耐久性であるが、除去できる多孔質被覆を提供できるものであり、その例としては、以下に限られないが、TSO−3100 DODインク(Diagraph社からのエタノールイソプロピル系噴射可能インク)、アセトン系o/p−トルエンスルホンアミドホルムアルデヒド樹脂、ニトロセルロース、アクリレートポリマー、アクリレートコポリマー、ラッカー(揮発性有機化合物中に溶解したポリマー)配合物、エナメル、ワックス、それらの組合せなどの膜形成特性および細孔形成特性を有する、任意のポリマーまたはポリマー配合物、または類似の材料または混合物が挙げられる。
【0087】
いくつかの実施の形態において、ここに記載された防眩表面は、先に挙げられ、引用された文献の教示を組み合わせることによって、形成してもよい。特別な実施の形態において、防眩表面は、米国仮特許出願第61/329936号、および同第61/372655号の各明細書に記載されたような、透明ガラス板の表面上の粒子の堆積、および米国仮特許出願第61/329951号明細書に記載されたような、保護高分子膜の体積を組み合わせ、その後、表面をエッチングして、先に記載された防眩表面を少なくとも1つ形成してもよい。
【0088】
そのようなプロセスを使用して、ここに記載されたようなスパークルの最小化をもたらす、長波と短波の粗さ振幅の間の関係を形成してもよい。しかしながら、比較例が示すように、標的およびこれらの標的を検証するために使用される測定法の詳しい知識なくして、ここに開示された粗さプロファイルを作成することは、簡単ではない。
【0089】
マスクおよびエッチングプロセス−その非限定的例が、前出の米国特許出願第12/858544号、および米国仮特許出願第61/329936号、同第61/372655号、および同第61/329951号の各明細書に記載されている−について、小さいマスク開口、小さいマスク特徴構造、およびマスク特徴構造の間(特に、マスクとガラス表面との間の界面での)の小さい間隔が、ここに記載されたように、長波粗さの最小化を促進し、短波粗さを促進する要因である。さらに、均一なマスクの厚さおよび中レベルから高レベルのマスクの接着が、短波ま横方向の特徴構造を維持、ガラス表面上に形成された長波の横方向の特徴構造を最小にしながら、ガラス表面のディファレンシャル・エッチングを促進することが分かった。
【0090】
表3は、ここに記載された防眩表面の実施例の特性をまとめている。実施例A〜Fは、ここに記載された実施の形態の例証である、正反射の視認性を減少させ、かつディスプレイのスパークルを最小にするための性質の組合せを含む。実施例EおよびFが以下に詳しく記載されている。これらのサンプルは、その内容がここに全て引用される、米国特許出願第12/858544号および同第12/730502号、米国仮特許出願第61/329936号、同第61/372655号、および同第61/329951号、および「Antiglare Surface Treatment Method and Articles Thereof」と題する、Charles Warren Lander等により、2010年11月29日に出願された米国仮特許出願第61/417674号の各明細書において、先に記載されたような低いスパークルをもたらす粗さプロファイルを形成するように、記載された技法のいくつかと類似の技法を使用して、処理した。
【0091】
表3に列挙された比較例A〜Iは、先に引用した米国特許出願の各明細書に記載された技法のいくつかに類似の技法を使用して調製したが、そのプロセスでは、低スパークルをもたらす粗さプロファイルが形成されなかった。比較例JおよびKは市販されており、それらは、ここに記載された防眩特性と粗さ特性の組合せを含まなかった。
【0092】
関連する表面特性の標的およびこれらの標的を示すために必要な対応する測定法を発見することに加えて、これらの表面を繰り返し製造できるようにする関連するプロセス最適化パラメータ−特に、粒子マスキングとその後のエッチングを含むプロセスに関する−も決定れさた。これらのプロセス最適化パラメータとしては、マスク粒径(一般に、約20μm未満)、ガラス表面でのマスク粒子充填密度(20μmより大きい粒子の間の間隙の発生を最小にする)、マスクの厚さ(5〜100μm)、マスクの接着(最初に酸と接触する最中にマスクの切取りや除去に抵抗するのに十分でなければならない)、酸化学的性質、および酸濃度(所望のレベルよりも大きい粗さ深さまでガラスをエッチングできる時間は、完全なマスクの切取りまたは除去に要する時間よりも短くなければならない)が挙げられる。その上、他の随意的なパラメータ−マスクの乾燥および接着を促進するための加熱など−を、マスキング粒子が凝集せず、効果的に大きい粒子またはマスク表面での粒子間の大きい間隙の形成をもたらすように最適化してもよい。
【0093】
短波RMS粗さは、1μmと20μmの間の全表面波を含み、この範囲外の波を排除する波長フィルタを使用して計算した。長波RMS粗さは、2つの異なる表面波長/フィルタ(40μmから640μmおよび80μmから640μm)範囲で計算した。これらの2つの長波粗さ値と短波粗さ値との間の比、並びに全RMS粗さと長波RMS粗さとの間の比も計算した。様々な粗さ測定に関する測定窓サイズが表3に特定されている。
【表3-1】
【表3-2】
【0094】
別の態様において、ここに先に記載されたものなどの、少なくとも1つの防眩表面を有する透明ガラス板を製造する方法が提供される。この方法は、透明ガラス板の少なくとも1つの表面を粗面化して、少なくとも1つの防眩表面を形成する工程を有してなり、この少なくとも1つの防眩表面は、約300nmまでの第1のRMS表面高さ粗さR
長、約20μm未満の横方向の空間的周期の空間的周期で測定された第2のRMS表面粗さR
短、および表面波長フィルタリングなしに測定された、約60nmから約600nmの範囲にある第3のRMS粗さR
全を有し、ここで、比(R
長/R
短)は約3.9未満である。
【0095】
第1のRMS表面高さ粗さR
長は、約40μmと約640μmの間の波長範囲の表面空間波の測定から算出される。いくつかの実施の形態において、R
長は、約275nm未満、他の実施の形態において、約250nm未満、さらに他の実施の形態において、約175nm未満、さらにまた他の実施の形態において、約140nm未満、他の実施の形態において、約115nm未満である。第2のRMS粗さR
短は、約20nm未満の横方向の空間的周期を有する表面空間波の測定から算出される。いくつかの実施の形態において、R
短は、少なくとも約30nm、他の実施の形態において、少なくとも約40nm、さらに他の実施の形態において、少なくとも約45nm、さらにまた他の実施の形態において、少なくとも約50nmである。
【0096】
透明ガラス板の防眩表面に関する第2のRMS粗さR
短に対する第1のRMS粗さR
長の比(R
長/R
短)は、約4.9未満である。いくつかの実施の形態において、比R
長/R
短は、約3.9未満、他の実施の形態において、約2.9未満である。
【0097】
いくつかの実施の形態において、ここに記載された方法は、少なくとも1つの防眩表面の形成の前または後のいずれかに、透明ガラス板を強化する工程をさらに含む。いくつかの実施の形態において、この方法は、ここに先に記載したように、イオン交換により透明ガラス板を強化する工程を含む。
【0098】
いくつかの実施の形態において、透明ガラス板の少なくとも1つの表面を粗面化する工程は、少なくとも1つの表面をエッチングする工程を含む。いくつかの実施の形態において、先に記載したように、エッチングの前に、複数の粒子が少なくとも1つの表面上に堆積される。この複数の粒子は、その表面上に粒子の層を形成する。エッチング液が、その粒子に層に施され、その層を通じて少なくとも1つの表面に移行して、その表面をエッチング−それゆえ、粗面化−する。他の実施の形態において、先に記載されたように、保護層が少なくとも1つの表面に施されている。次いで、エッチング液が、保護層に施され−それを通じて移行し−表面を粗面化する。他の実施の形態において、粒子と保護層の組合せが少なくとも1つの表面に施され、その後、エッチング液が施される。
【実施例】
【0099】
以下の実施例は、本開示により提供される様々な特徴および利点を示しており、本発明と付随の特許請求の範囲をそれらの制限することは決して意図されていない。実施例1および2は、本開示に記載された原理にしたがって防眩ガラス板の製造の例示の実施例である。
【0100】
実施例1(表3の本発明の実施例E)
公称組成:69.49モル%のSiO
2、8.45モル%のAl
2O
3、14.01モル%のNa
2O、1.16モル%のK
2O、6.2モル%のMgO、0.51モル%のCaO、0.185モル%のSnO
2、0.01モル%のZrO
2、および0.008モル%のFe
2O
3;および6インチ×6インチ(約15cm×約15cm)の寸法を有するガラス板を、脱イオン水中の約4%のSemiclean KGを使用して、超音波洗浄機内で最初に洗浄した。
【0101】
33.33質量%のDeurex ME1515低分子量ポリエチレン(「ポリエチレンワックス」)粒子を含有する懸濁液を容器に計り取り、66.64質量%の2−プロパノールを加えた。この容器を5分間に亘り、60%のレベルでResodyn(商標)Acoustic Mixerで処理した。懸濁液中のほとんど全ての粒子が、2μmから20μmの範囲にあり、その粒子の約99%が、19μm未満のサイズを有し、その粒子の50%が6μm未満のサイズを有した。この懸濁液を少量(1ml)、ガラスサンプルの片面に注ぎ、このガラスの表面に亘り25μmの間隙のブレードを掃引して、懸濁液の薄膜が、25μmの湿潤厚さでガラス上に形成された。ガラスへの粒子の接着を促進するために、このガラスを、ホットプレート上に被覆面を上にして置き、30秒間に亘り100℃で焼いた。
【0102】
熱処理後、次いで、被覆サンプルを、6モル濃度のフッ化水素酸/7モル濃度の硫酸を含有する酸性エッチング液中に、室温で30秒間に亘り浸漬した。次いで、エッチングしたサンプルを濯ぎのために取り出した。この濯ぎは、マスク残留物を除去するために、アセトンまたは当該技術分野で公知の他の有機溶媒を使用した、随意的な有機溶媒濯ぎを含んでもよい。エッチングしたガラスを乾燥させ、次いで、必要に応じて、6時間に亘り410℃で溶融KNO
3浴中でイオン交換して、ガラスサンプルにおいて、350MPa超の表面圧縮応力および15μm超のイオン交換の層の深さを生じた。
【0103】
この実施例に記載したように調製したガラスサンプルは、7.0%の透過ヘイズ、51の20°DOI(補正済み)、および6.6のPPD(先に特定したように測定した)を有した。このサンプルのRMS粗さ値は、表3に列挙されている。
【0104】
実施例2(表3の本発明の実施例F)
実施例1に記載したように、同じ組成および寸法を有するガラスを洗浄し、ポリエチレンワックス粒子の分散液で被覆した。被覆後、このガラスを、ホットプレート上に被覆面を上にして置き、30秒間に亘り104℃で焼いた。次いで、被覆サンプルを、6モル濃度のフッ化水素酸/7モル濃度の硫酸を含有する酸性エッチング液中に、室温で20秒間に亘り浸漬した。次いで、エッチングしたサンプルを濯ぎのために取り出した。この濯ぎは、マスク残留物を除去するために、アセトンまたは当該技術分野で公知の他の有機溶媒を使用した、随意的な有機溶媒濯ぎを含んでもよい。エッチングしたガラスを乾燥させ、次いで、必要に応じて、6時間に亘り410℃で溶融KNO
3浴中でイオン交換して、ガラスサンプルにおいて、350MPa超の表面圧縮応力および15μm超のイオン交換の層の深さを生じた。
【0105】
この実施例2において調製したガラスサンプルは、28%の透過ヘイズ、19の20°DOI(補正済み)、および5.6のPPD(先に特定したように測定した)を有した。このサンプルのRMS粗さ値は、表3に列挙されている。
【0106】
説明の目的のために、典型的な実施の形態を述べてきたが、先の説明は、本開示または付随の特許請求の範囲への制限と考えるべきではない。したがって、本開示または付随の特許請求の範囲の精神と範囲から逸脱せずに、様々な改変、適用、および代替が当業者に想起されるであろう。