(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013379
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】不斉還元法
(51)【国際特許分類】
C07D 495/04 20060101AFI20161011BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20161011BHJP
【FI】
C07D495/04 111
!C07B61/00 300
【請求項の数】16
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-557101(P2013-557101)
(86)(22)【出願日】2012年3月8日
(65)【公表番号】特表2014-513060(P2014-513060A)
(43)【公表日】2014年5月29日
(86)【国際出願番号】EP2012054023
(87)【国際公開番号】WO2012120086
(87)【国際公開日】20120913
【審査請求日】2014年12月12日
(31)【優先権主張番号】MI2011A000365
(32)【優先日】2011年3月10日
(33)【優先権主張国】IT
(31)【優先権主張番号】MI2011A001028
(32)【優先日】2011年6月8日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】307041023
【氏名又は名称】ザック システム エス.ピー.エー.
【氏名又は名称原語表記】ZaCh System S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルピチェッリ,ラファエラ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレット,マウロ
(72)【発明者】
【氏名】コタルカ,リヴィウス
(72)【発明者】
【氏名】ナルディ,アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルツィニ,マッシーモ
【審査官】
清水 紀子
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2006/070387(WO,A1)
【文献】
米国特許第05580764(US,A)
【文献】
中国特許出願公開第101735209(CN,A)
【文献】
特開平09−157196(JP,A)
【文献】
特開平11−236345(JP,A)
【文献】
国際公開第2005/051965(WO,A1)
【文献】
特開平09−124528(JP,A)
【文献】
特開昭47−041347(JP,A)
【文献】
HOLLMANN F. et al.,Tetrahedron: Asymmetry,2005年,Vol.16,p.3512-9
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 495/04
C07B 61/00
CAplus/CASREACT/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される化合物を立体選択的に得るための還元方法であって:
【化1】
(式中、XはS又はSO
2であり、R
4は水素又はSO
2NH
2である)
式(II)で表される化合物を:
【化2】
(式中、X及びR
4は上記と同様に規定される)
ギ酸、ギ酸塩、又はC
1〜C
3アルコールを水素源として用い、塩基と式(III)又は(IV)で表される触媒の存在下で作用させて:
【化3】
(式中、破曲線はnが0でない場合に存在する任意の単結合を表し;RはSO
2C
6H
4−p−CH
3、SO
2CH
3又はSO
2C
6F
5を表し、R
1は存在しないか、或いは複数存在し1−CH
3−4−CH(CH
3)
2、1,3,5−(CH
3)
3又は1,2,3,4,5,6−(CH
3)
6を表し;R
2及びR
3は両者が非置換フェニル基を表すか、或いはR
2とR
3が共に(CH
2)
4−基を形成し;nは0〜3の数であり;及びMはロジウム(Rh)又はイリジウム(Ir)を表す)
水素移動還元により触媒不斉水素化することを特徴とする方法。
【請求項2】
XはSO2である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記水素源はギ酸、又はギ酸塩である請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記還元反応は、トリエチルアミン、アンモニア、水酸化アルカリ金属、水酸化アルカリ土類金属、ナトリウムメチラート、カリウムメチラート、ナトリウムtert−ブトキシド及びカリウムtert−ブトキシドから選択される塩基の存在下で行われる請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記塩基はトリエチルアミンである請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記還元反応は、アセトニトリル溶媒中で行なわれる請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記還元反応は、請求項1で規定される式(III)で表される触媒の存在下で行われる請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記還元反応は、請求項1で規定される式(IV)で表される触媒の存在下で行われる請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1で規定される式(III)(式中、nは0)で表される触媒を、式(V)で表される化合物と:
【化4】
(式中、R、R
2及びR
3は請求項1と同様に規定される)
式(VI)で表される化合物を:
【化5】
(式中、R
1は請求項1と同様に規定される)
in situで反応させることにより調製する請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
式(V)で表される化合物において、RはSO2C6H4−p−CH3であり、R2及びR3は共に非置換フェニル基である請求項9に記載の方法。
【請求項11】
式(VI)で表される化合物において、R1は1−CH3−4−CH(CH3)2である請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項1で規定される式(IV)で表される触媒を、式(V)で表される化合物と:
【化6】
(式中、R、R
2及びR
3は請求項1と同様に規定される)
式(VII)で表される化合物を:
【化7】
(式中、Mはロジウム(Rh)又はイリジウム(Ir)である)
in situ反応により調製する請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1で規定される式(III)又は(IV)で表される触媒は、反応混合物と接触前に生成させる請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記触媒はRuCl(p−シメン)[(S,S)−Ts−DPEN]である請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1で規定される式(I)で表される化合物を、ドルゾラミド又はドルゾラミド塩酸塩に変換することを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項16】
請求項1で規定される式(I)で表される化合物は、ジアステレオマーcis−(4R,6S)に対して90%以上の収率で得られる請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I)で表される化合物を製造するための不斉還元法に関する。
【0002】
【化1】
【0003】
上記式中、XはS又はSO
2、R
4は水素又はSO
2NH
2である。該化合物はドルゾラミド製造における中間体として有用である。ドルゾラミド塩酸塩は、例えば医薬Trusopt(商標)に含まれる有効成分であり、緑内障の原因となる高眼圧の治療に適している。
【0004】
本発明はまた、上記中間体を用いるドルゾラミド及びその塩酸塩の製造に関する。
【背景技術】
【0005】
特許文献1は、次式で表される化合物(4S,6S)−4−(N−エチルアミノ)−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4H−チエノ[2,3−b]チオピラン−2−スルホンアミド−7,7−ジオキシド、国際一般的名称(INN)がドルゾラミドをはじめとする炭酸脱水素酵素インヒビターとして作用する化合物であることを開示している。
【0006】
【化2】
【0007】
特許文献1によれば、エナンチオマー混合物である中間体を用い、合成の最終段階でクロマトグラフィーカラムとキラル分割剤を用いて、エナンチオピュアなドルゾラミドを得ているが、結果としての反応収率はかなり低い。
【0008】
他にもドルゾラミドを得る方法が知られており、これらはより簡便なエナンチオ選択的方法によるものである。即ち、予めキラル構造を有する中間体を用い、より有利な工程で所望の構造の最終生成物を得る方法である。
【0009】
これらキラル中間体のうち、式(I)で表される化合物(式中XはSO
2であり、R
4は水素である)、即ち(4S,6S)4−ヒドロキシ−6−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−チエノ[2,3−b]チオピラン−7,7−ジオキシド(本明細書においてtrans−ヒドロキシスルホンとも称する)は、当業界で知られている多くの合成スキームにおいて重要な中間体として用いられる。
【0010】
trans−ヒドロキシスルホン、又は式(I)で表される化合物(式中、XはS、R
4は水素)(本明細書においてtrans−ヒドロキシスルフィドとも称する)は、構造式中C4位とC6位にS、S配置の2個のキラル中心を有し、それらの製造は当業者にとって特に困難なものである。
【0011】
【化3】
【0012】
例えば、S配置のC6位にメチル基を有する上記式(II)で表されるケトン前駆体に、NaBH
4、LiAlH
4、ZnBH
4等の非キラル還元剤を作用させると、構造式中C4位とC6位の2個のキラル中心がそれぞれR,S配置であるcis−ヒドロキシスルホンが、高ジアステレオマー過剰(de>90)で得られる。
【0013】
構造式中C4位とC6位の2個のキラル中心がそれぞれS,S配置であるtrans−ヒドロキシスルホンを、かなりの高純度で製造する多くの試みが為されてきた。
【0014】
更なる例は、即ち非特許文献1には、式(I)で表される化合物における式(II)で表されるケトン前駆体(式中XはS、R
4は水素)を還元することを含む方法が提案されている。この方法によると、望ましいS配置のC4位にヒドロキシル基を有する式(I)で表される対応の化合物は得られず、R配置のヒドロキシル基を有するジアステレオマーが主に得られるので、所望のtrans−ヒドロキシスルフィドを得るためには次のスキーム1のような更なる工程が必要である。
【0015】
【化4】
【0016】
反応スキーム1から明らかなように、一旦ケトン前駆体のC6位にキラル中心Sが導入されると、ケトンが還元されて、trans−ヒドロキシスルフィドを生成することがメチル基の立体障害により阻害される。この結果、ヒドロキシル基がR配置であるヒドロキシスルフィドが主に得られ、C4位の立体配置を望ましく転換、或いはtrans−ヒドロキシスルフィド(即ち、式(I)で表される化合物(式中XはS、R
4は水素))を得て、これを酸化することによりtrans−ヒドロキシスルホン(即ち、式(I)で表される化合物(式中XはSO
2、R
4は水素)を得るためには、更なる工程が必要である。
【0017】
特許文献2の方法によれば、ボラン誘導体を還元剤、及びオキアアザボロリジンを触媒として用いて、ケトン前駆体をエナンチオ選択的に還元することにより、主にcis配置のキラルなヒドロキシスルホンを高純度で得ることができる。このcisヒドロキシル基は、まず対応するトシレートに変換し、続いてエチルアミノ基との求核置換することで、対応する所望のtrans−エチルアミノ基に変換される。
【0018】
特許文献3は、cis−ヒドロキシスルホンに存在するヒドロキシル基を、対応するエチルアミノ基に完全にジアステレオ選択的に変換する方法を開示している。例えばホスホリルアジドを用いてC4位へのアジド基を導入することにより、所望の立体配置を得る。
【0019】
特許文献4は、cis−ヒドロキシスルホンの立体配置を、逆の立体配置となる対応のエチルアミンに変換する他の方法を開示している。この方法においては、cis−ヒドロキシスルホンのC4位のヒドロキシル基を、ホスフィン及びアルキルアゾジカルボキシレート化合物の存在下、スルファミド基と反応させ、対応するスルファミド誘導体を脱保護し、trans−アミン誘導体を得る。
【0020】
非特許文献2は、式(II)で表されるケトン前駆体の脱メチル(des-methyl)類似体(式中XはSO
2、R
4は水素)のエナンチオ選択的還元を実現する方法を開示している。この還元では、酵母(サッカロミセスセレビシエ)を用いて、対応するヒドロキシスルホンを得るが、反応収率89対11でC4位S配置のヒドロキシル基が優先的に得られる。これを次のスキーム2に示す。
【0021】
【化5】
【0022】
特許文献5においては、式(II)で表されるケトン前駆体(式中XはSO
2)を還元する一連のパン酵母及びビール酵母を試験したところ、望まないcis−ヒドロキシスルホンが主に得られた。
【0023】
更に特許文献5は、適切な微生物の細胞又は破壊細胞による酵素系還元システムを用いて、式(II)で表されるケトン前駆体(式中XはSO
2、R
4は水素)を、trans−ヒドロキシスルホンに選択的に不斉変換することを開示している。微生物又は酵素によって立体選択的に変換を達成することは、特許文献6、7及び8にも開示されている。
【0024】
従って、従来技術においては、trans−ヒドロキシスルホンへの選択的還元は、専ら還元的バイオコンバージョン法によって行われてきた。選択的還元は、生成物を高いエナンチオマー過剰で得ることを可能とする方法をもたらす。
【0025】
微生物に誘導される上述のバイオコンバージョンプロセスは、非常に希薄な溶液(例えば1〜3%)で行われ、長時間の煩雑な後処理を必要とする。特にバイオマスの分離がこれにあたる。これらの要因は工程の生産性及び効率の低下を招き、コスト増につながる。
【0026】
バイオコンバージョンプロセスの関する他の不利益は、次の事実に関連している。即ち、バイオリアクターに存在する細胞が、反応自体によって、導入された原料によって、更に存在する不純物によってもたらされるストレス、及びバイオリアクター中の突発的なpHや温度の変化に曝されることによって、本技術の効率及び経済的価値の低下を招くという事実である。
【0027】
最後に付記するが、酵素と共に行われるバイオコンバージョンには「付加的要因」も必要である。即ち、通常高いコストがかかるため、他の工程と競合するリサイクルフローの実行が必須となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【特許文献1】欧州特許第296879号明細書
【特許文献2】米国特許第5157129号明細書
【特許文献3】米国特許第5319772号明細書
【特許文献4】欧州特許第1813618号明細書
【特許文献5】欧州特許第658211号明細書
【特許文献6】米国特許第5474919号明細書
【特許文献7】米国特許第5760249号明細書
【特許文献8】中国特許出願公開第102154231号明細書
【非特許文献】
【0029】
【非特許文献1】ブラックロックら、J. Org. Chem., 1993, 58 1672〜1679
【非特許文献2】ジョーンズら、J. Org. Chem. 1991, 56, 763〜769
【非特許文献3】野依ら、J. Am. Chem. Soc., 1996, 118, 2521〜2522
【非特許文献4】J. Am. Chem. Soc., 1995, 117, 7562〜7563
【非特許文献5】Org. Biomol. Chem., 2006, 4, 393〜406
【非特許文献6】J. Am. Chem. Soc., 1997, 119, 8738〜8739
【非特許文献7】J. Org. Chem., 1999, 64, 2186〜2187
【非特許文献8】ウィルスら、J. Am. Chem. Soc., 2005, 127, 7318
【非特許文献9】ウィルスら、J. Org. Chem., 2005, 70, 3188、ケトスルホン化合物及びケトスルフィド化合物の還元
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
微生物によるバイオコンバージョンシステムに伴う上述の望ましくない諸影響は、本発明者らによって解決された。本発明者らは、より効率的で経済的に優位な方式で、ケトン前駆体の生物学的還元工程を回避しつつ、次の文献に記載の技術を利用することによりtrans−ヒドロキシスルホン又はtrans−ヒドロキシスルフィドを製造する方法を見出した(非特許文献3〜9)。
【0031】
しかしながら、当業者であれば、trans−誘導体が生成するC4位のケトン基の還元がC6位のメチル基の立体障害により阻害されるという上述の事実を考慮して、式(II):
【0032】
【化6】
【0033】
(式中、XはS又はSO
2、R
4は水素又はSO
2NH
2)で表される化合物を、非特許文献3(野依ら)が教示する不斉触媒還元に付し、式(I)で表される化合物のcis−ジアステレオマー(式中C4位のヒドロキシル基はR配置を有する)を主として得ることを予測するであろう。
【課題を解決するための手段】
【0034】
驚くべきことに本発明者らは、式(II)で表される化合物(式中、R
4が水素の場合だけでなく、R
4がSO
2NH
2の場合も)に、上述の触媒不斉還元の手法を適用すると、上記で規定した対応する式(I)で表される化合物が得られ、この場合C4位のヒドロキシル基はS配置を有するので、上述の不利益な点で、該位置における立体配置を転換するための更なる工程、或いはバイオ触媒技法を利用する更なる工程を必要としないことを見出した。
【0035】
更に、本発明の対象となる方法は、実際のスケールアップや工業的生産に有利であり、高圧触媒水添のための特殊な水添装置や、特殊なバイオリアクターの使用を必要としない。
【0036】
従って、本発明の第一の目的は、式(I)で表される化合物を立体選択的に得るための還元方法であって、
【0037】
【化7】
(式中、XはS又はSO
2であり、R
4は水素又はSO
2NH
2である)
【0038】
式(II)で表される化合物を、ギ酸、又はギ酸ナトリウム、ギ酸アンモニウム、ギ酸トリエチルアンモニウム(本明細書でTEAFとも称する)等のギ酸塩、又はC
1−C
3アルコールを水素源として用い、
【0039】
【化8】
(式中、X及びR
4は上記と同様に規定される)
塩基と式(III)又は(IV)で表される触媒の存在下、不斉触媒による水素移動還元することを特徴とする方法である。
【0040】
【化9】
【0041】
式中、破曲線はnが0でない場合に存在する任意の単結合を表し;RはSO
2C
6H
4−p−CH
3(本明細書においてTsとも表す)、SO
2CH
3(本明細書においてMsとも表す)又はSO
2C
6F
5(本明細書においてFsとも表す)を表し;R
1は存在
しないか、或いは複数存在し1−CH
3−4−CH(CH
3)
2(本明細書においてp−シメンとも表す)、1,3,5−(CH
3)
3(本明細書においてメシチレンとも表す)又は1,
2,3,4,5,6−(CH
3)
6(本明細書においてヘキサメチルベンゼンとも表す)を表し;R
2及びR
3は両者が非置換フェニル基を表すか、或いはR
2とR
3が共に(CH
2)
4−基を形成し;nは0〜3の数であり;及びMはロジウム(Rh)又はイリジウム(Ir)を表
す。
【0042】
本発明において、式(I)で表される化合物中、XはSO
2が好ましい。
【0043】
本発明において、水素源は、ギ酸、又はギ酸ナトリウム、ギ酸アンモニウム、ギ酸トリエチルアンモニウム(本明細書でTEAFとも称する)等のギ酸塩が好ましく、特に水素源はギ酸が好ましい。
【0044】
本発明において、C
1〜C
3アルコールとは、メタノール、エタノール、n-プロパノール及びイソプロパノールを意味し、イソプロパノールが好ましい。
【0045】
本発明において、還元反応は、トリエチルアミン、アンモニア等の塩基、NaOH、KOH、LiOH等の水酸化アルカリ金属、CaOH、MgOH、SrOH等の水酸化アルカリ土類金属、ナトリウムメチラート、カリウムメチラート、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシドの存在下で行われる。塩基としてはトリエチルアミン(本明細書においてTEAとも表す)が好ましい。
【0046】
本発明において、式(II)で表される化合物のR
4が水素の場合、還元反応は式(III)(式中、nが0、RはTs又はMsが好ましく、特にTsが好ましい;R
1はp−シメン又はメシチレンが好ましく、特にp−シメンが好ましい;R
2及びR
3は両者共に非置換フェニル基が好ましい)で表される触媒の存在下で行われることが好ましい。式(III)(式中、nは0、RはTs、R
1はp−シメン、R
2及びR
3は共に非置換フェニル基である)で表される触媒が特に好ましく、RuCl(p−シメン)[(S,S)−Ts−DPEN]と称される。
【0047】
本発明において、式(III)で表される触媒のnが3である場合、RはTs又はMsが好ましく、特にTsが好ましい;R
1は存在せず;R
2及びR
3は共に非置換フェニル基である。式(III)(式中、nは3、RはTs、R
1は存在せず、R
2及びR
3は共に非置換フェニル基である)で表される触媒が特に好ましく、[(S,S)−teth−TsDpen−RuCl]とも称される。
【0048】
本発明において、式(IV)(式中、Mはロジウム(Rh)、RはTs、R
2及びR
3は共に(CH
2)
4−基を形成する)で表される触媒が特に好ましく、Cp
*RhCl[(S,S)−Tscydn]とも称される。
【0049】
本発明において、式(II)で表される化合物のR
4がSO
2NH
2である場合、還元反応は式(III)で表される触媒(式中、nは0、RはTs又はFs;R
1はp−シメン、R
2及びR
3は共に非置換フェニル基である)の存在下で行うことが好ましい。
【0050】
本発明において、接頭辞「trans−」は、式(I)で表される化合物の2環構造上の置換基の相対位置を示し、とりわけC4位のヒドロキシル基とC6位のメチル基が、前記2環構造によって形成される同一の基準面の二つの異なる側にそれぞれ存在することを示す。
【0051】
式(I)で表される化合物が2個のキラル中心(C4位とC6位)を有する場合を考慮すると、前記キラル中心の立体配置は、本発明の方法によって得られる式(I)で表される化合物の置換基の立体化学が、4S、6Sであるようになる。
【0052】
本発明において、「立体選択的」とは、式(I)で表される化合物、即ち化合物trans−(4S,6S)の収率が、望まないジアステレオマーであるcis−(4R,6S)の収率を超え、trans−(4S,6S)ジアステレオマーの収率が好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、更に好ましくは99%以上であることを意味する。
【0053】
上記に規定される式(III)(式中、nは0)で表される触媒は、式(V)で表される化合物を:
【0054】
【化10】
(式中、R、R
2及びR
3は上と同様に定義される)
【0055】
式(VI)で表される化合物とin situで反応させることにより製造することができる。:
【0056】
【化11】
(式中、R
1は上記と同様に規定される)
【0057】
好ましい一態様においては、式(V)で表される化合物において、Rは好ましくはSO
2C
6H
4−p−CH
3又はSO
2CH
3であり、R
2及びR
3は共に非置換フェニル基である。
【0058】
本発明の好ましい一態様においては、式(V)で表される化合物(式中、RはTs又はFs、R
2及びR
3は共に非置換フェニル基であり、それぞれ(S,S)−TsDPEN又は(S,S)−FsDPENとも称される)は、式(VI)で表される化合物(式中、R
1はp−シメンであり、(p−シメン)ルテニウムジクロリドダイマーとも称される)と反応させる。
【0059】
上記で規定される式(IV)で表される触媒も、上記に規定される式(V)で表される化合物と、式(VII)で表される化合物とのin situ反応により製造することができる。
【0060】
【化12】
(式中、Mはロジウム(Rh)又はイリジウム(Ir)であり、好ましくはロジウム(Rh))
【0061】
本発明の好ましい一態様においては、式(III)又は(IV)で表される触媒は、反応混合物との接触前に予め生成させることができ、とりわけ触媒RuCl(p−シメン)[(S,S)−Ts−DPEN]又は触媒RuCl(p−シメン)[(S,S)−Fs−DPEN]は、反応混合物との接触前に予め生成させる。
【0062】
本発明の好ましい他の態様においては、反応混合物に添加する共溶媒は、極性溶媒又は非極性非プロトン性溶媒、更にはアルコールから選択される。極性溶媒又は非極性非プロトン性溶媒の例としては、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル(MeCN)、酢酸エチル(EtOAc)、酢酸イソプロピル(IPAC)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジクロロメタン(DCM)、N−メチルピロリドン(NMP)及びメチルt−ブチルエーテル(MTBE)が挙げられる。このうち、MeCNが共溶媒として最も好ましい。
【0063】
本発明において、反応混合物との接触前に生成させる触媒RuCl(p−シメン)[(S,S)−Ts−DPEN]は、式(I)で表される化合物の製造で特に好ましい。
【0064】
本発明における、式(I)で表される化合物を立体選択的に得るための不斉還元反応の一実施形態を次に示す。例えば式(II)で表されるケトンを、式(III)又は(IV)で表される触媒の存在下、ギ酸とTEAの混合物に攪拌しながら添加する。この際、THF、MeCN及びEtOAcから選択される共溶媒(好ましくはMeCN)を存在下で行うことができる。この際の温度は,0℃〜100℃、好ましくは25℃〜50℃とすることができる。反応時間は、当業者が適切に選択する時間であって、選択された触媒の量と種類、反応基質の濃度、並びにギ酸及び塩基(例えばTEA)の相対量に基づく。
【0065】
本発明の一態様においては、式(I)で表される化合物を立体選択的に得るための不斉還元は例えば次のように実行する。式(V)で表される化合物と、式(VI)又は(VII)で表される化合物を、ギ酸及びTEAの存在下、25℃〜30℃、或いは非特許文献4又は7に記載の温度範囲で混合し、式(III)又は(IV)で表される触媒のそれぞれを生じさせる。式(II)で表されるケトンと、任意なTHF、MeCN及びEtOAcから選択される共溶媒(好ましくはMeCN)を、上述のように製造した式(III)又は(IV)で表される触媒の溶液に添加し、得られた混合物を28℃〜30℃の温度範囲で、触媒の量と種類、反応基質の濃度、並びにギ酸及びTEAの相対量に基づき当業者が適切に選択できる時間で攪拌することにより、式(I)で表される化合物を得る。
【0066】
本発明における、式(I)で表される化合物を立体選択的に得るための不斉還元反応の一実施形態を次に示す。式(II)で表される化合物を、式(III)又は(IV)で表される触媒の存在下、液体/液体2相系(ジクロロメタン/水等)又は固体/液体2相系(不均一触媒/水等)で、任意な相間移動剤の存在下、ギ酸ナトリウム、ギ酸、TEAF等の水素源と反応させる。この混合物を0℃〜100℃の温度範囲で、触媒の量と種類、及び反応媒体に基づき当業者が容易に選択できる時間で反応させる。
【0067】
本発明の更なる目的は、上記で得られた式(I)で表される化合物(式中、XはS、R
4は水素)を酸化することにより、式(I)で表される化合物(式中XはSO
2、R
4は水素)を製造することである。式(I)で表される化合物(式中、XはS、R
4は水素)を酸化することにより、式(I)で表される他の化合物(式中XはSO
2、R
4は水素)を提供することは、当業者に知られる手順、例えば非特許文献1又は欧州特許第2128161号明細書に記載の手順により行われる。
【0068】
更なる態様において、本発明はドルゾラミドを製造するための方法を提供する。本方法は、前述の式(I)で表される化合物の製造と、この化合物のドルゾラミドへの変換、及びドルゾラミド塩酸塩への任意的な変換を含む。
【0069】
式(I)で表される化合物のドルゾラミドへの変換は、当業界で知られている方法、例えば非特許文献1又は欧州特許第2617037号明細書に記載の方法により行うことができる。
【0070】
式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)及び(VII)の開始化合物は商品として入手可能であり、当業界で知られている方法により製造することもできる。
【0071】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
【実施例】
【0072】
実施例1:4H−チエノ[2,3−b]チオピラン−4−オール、5,6−ジヒドロ−6−メチル−、7,7−ジオキシド、(4S−trans);式(I)で表される化合物(R
4=H、X=SO
2)の合成
(p−シメン)ルテニウムクロリドダイマー(17.8mg、0.03mmol)及び(S,S)−TsDPEN(25.4mg、0.07mmol)をギ酸−トリエチルアミン混合物(3.69g、モル比5:2)中、窒素下、28℃で20分間攪拌した。続いてケトン化合物である(6S)−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4H−チエノ[2,3−b]チオピラン−4−オン−7,7−ジオキシド(1.0g、4.6mmol、ee92)を固体として添加し、得られた混合物を28℃で14時間連続して攪拌した。この反応混合物をシリカで濾過し、パネルを酢酸エチル(50mL)で洗浄した。この濾過物を脱ミネラル水(25.5mL)で洗浄し、水相を分離した。有機相は脱ミネラル水(24.6mL)で更に洗浄し、水相を分離した。有機相を合一し、減圧濃縮した。トルエンとの共沸蒸留により乾燥させて、4H−チエノ[2,3−b]チオピラン−4−オール、5,6−ジヒドロ−6−メチル−、7,7−ジオキシド、(4S−trans)をジアステレオマー混合物(trans:cis=92.6:7.4)として得た(0.8g、純度93.1%、収率74%、ee99.8)。
【0073】
δH(400 MHz; CDCl
3) 7.6 (1H, d, Ar), 7.1 (1H, d, Ar), 4.9 (1H, m, C4-H), 3.8 (1H, m, C6-H), 2.6 (1H, m, C5-H), 2.4 (1H, m, C5-H), 2.1-1.9 (1H, b, OH), 1.5 (3H, d, C6-CH
3).
【0074】
実施例2:4H−チエノ[2,3−b]チオピラン−4−オール、5,6−ジヒドロ−6−メチル−、7,7−ジオキシド、(4S−trans);式(I)で表される化合物(R
4=H、X=SO
2)の合成
錯体RuCl(p−シメン)[(S,S)−Ts−DPEN](5.9mg、0.009mmol)をギ酸−トリエチルアミン混合物(2.33g、モル比5:2)中、窒素下、28℃で攪拌した。続いてケトン化合物である(6S)−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4H−チエノ[2,3−b]チオピラン−4−オン−7,7−ジオキシド(1.0g、4.6mmol、ee98.7)を固体として添加し、得られた混合物を28℃で2日間連続して攪拌した。この混合物に脱ミネラル水(7.4mL)を加え、温度を20℃に低下させた。20℃で1.5時間保持した後、この不均一混合物を濾過し、沈殿物を脱ミネラル水(1.8g)で洗浄し、4H−チエノ[2,3−b]チオピラン−4−オール、5,6−ジヒドロ−6−メチル−、7,7−ジオキシド、(4S−trans)−(9CI)をジアステレオマー混合物(trans:cis=99:1)として得た(0.5g、純度96.4%、ee99.9)。
【0075】
δ
H(400 MHz; CDCl
3) 7.6 (1H, d, Ar), 7.1 (1H, d, Ar), 4.9 (1H, m, C4-H), 3.8 (1H, m, C6-H), 2.6 (1H, m, C5-H), 2.4 (1H, m, C5-H), 2.1-1.9 (1H, b, OH), 1.5 (3H, d, C6- CH
3).
【0076】
実施例3:4H−チエノ[2,3−b]チオピラン−4−オール、5,6−ジヒドロ−6−メチル−、7,7−ジオキシド、(4S−trans);式(I)で表される化合物(R
4=H、X=SO
2)の合成
触媒であるRuCl(p−シメン)[(S,S)−Ts−DPEN](0.49g、0.78mmol)及びアセトニトリル(100.0g)を、窒素下、28℃において、(6S)−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4H−チエノ[2,3−b]チオピラン−4−オン−7,7−ジオキシド(100.0g、96.5%、446mmol、90.6ee)の混合物に、ギ酸−トリエチルアミン(100.0g、モル比5:2)中で添加した。18時間攪拌して、脱色用の炭素(4.0g)を加えた後、この混合物を1時間攪拌し、濾過した。濾過溶液を20℃で脱ミネラル水(600mL)に添加し、混合物を減圧濃縮した。10℃に冷却して、沈殿物を濾取し、脱ミネラル水(80mL)で二回洗浄することにより、4H−チエノ[2,3−b]チオピラン−4−オール、5,6−ジヒドロ−6−メチル−、7,7−ジオキシド、(4S−trans)をジアステレオマー混合物(trans:cis=99:1)として得た(86.9g、純度96.9%、収率86%、ee99.9)。
【0077】
δ
H(400 MHz; CDCl
3) 7.6 (1H, d, Ar), 7.1 (1H, d, Ar), 4.9 (1H, m, C4-H), 3.8 (1H, m, C6-H), 2.6 (1H, m, C5-H), 2.4 (1H, m, C5-H), 2.1-1.9 (1H, b, OH), 1.5 (3H, d, C6-CH
3).
【0078】
実施例4:4H−チエノ[2,3−b]チオピラン−4−オール、5,6−ジヒドロ−6−メチル−、(4S,6S);式(I)で表される化合物(R
4=H、X=S)の合成
(p−シメン)ルテニウムクロリドダイマー(16.6mg、0.03mmol)及び(S,S)−TsDPEN(19.9mg、0.05mmol)を、ギ酸−トリエチルアミン混合物(4.7g、モル比5:2)中、窒素下、28℃で20分間攪拌した。続いてケトン化合物である(6S)−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4H−チエノ[2,3−b]チオピラン−4−オン(1.0g、5.4mmol、ee97)を固体として添加し、得られた混合物を28℃で4日間、及び50℃で7時間連続して攪拌した。その後、脱ミネラル水とIPACを加えて分相させた。水相はIPACで二回抽出し、有機相を合一した後、脱ミネラル水で洗浄した。有機相(47.8g)をロータリーエバポレーターで減圧濃縮することにより、4H−チエノ[2,3−b]チオピラン−4−オール、5,6−ジヒドロ−6−メチル−、(6S)をジアステレオマー混合物(trans:cis=57.6:42.4)として得た(0.98g、GC純度74.3%、収率72%)。
【0079】
実施例5:(4S,6S)−4−ヒドロキシ−6−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−チエノ[2,3−b]チオピラン−2−スルホンアミド;式(I)で表される化合物(R
4=SO
2NH
2、X=S)の合成
触媒であるRuCl(p−シメン)[(S,S)−Fs−DPEN](27.4mg、0.0385mmol)のTEAF(1.5g、モル比5:2)溶液を、窒素下、28℃において、(6S)−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4H−チエノ[2,3−b]チオピラン−4−オン−2−スルホンアミド(1.0g、3.80mmol)混合物に、ギ酸−トリエチルアミン(2.16g、モル比5:2)内で添加した。16時間後、この混合物に、RuCl(p−シメン)[(S,S)−Fs−DPEN](27.5mg、0.0386mmol)のアセトニトリル(1.2g)溶液を添加した。28℃で5日間攪拌した後、脱ミネラル水(10.7g)を、この試薬混合物に添加し、温度を10℃に低下させた。固体を濾取することにより、(6S)−4−ヒドロキシ−6−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−チエノ[2,3−b]チオピラン−2−スルホンアミドをジアステレオマー混合物(trans:cis=61.7:38.3)として得た(0.32g、収率32%)。
【0080】
実施例6:4H−チエノ[2,3−b]チオピラン−2−スルホンアミド、5,6−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−6−メチル−、7,7−ジオキシド、(4S−trans)−;式(I)で表される化合物(R
4=SO
2NH
2、X=SO
2)の合成
触媒であるRuCl(p−シメン)[(S,S)−Ts−DPEN](22mg、0.0346mmol)及びアセトニトリル(0.7g)を,窒素下、28℃において、(6S)−4H−チエノ[2,3−b]チオピラン−2−スルホンアミド、5,6−ジヒドロ−6−メチル−4−オキソ−、7,7−ジオキシド(0.5g、1.69mmol)の混合物に、ギ酸−トリエチルアミン(1.06g、モル比5:2)内で添加した。4.5時間で還元生成物への変換が完全に達成された。脱ミネラル水(2.67g)及び酢酸イソプロピル(8.7g)を、この混合物に加えて分相させた。水相はジクロロメタン(10.7g)で更に抽出し、分相させた。有機相を合一し、ロータリーエバポレーターで減圧濃縮し、トルエンとの共沸蒸留により乾燥させて、4H−チエノ[2,3−b]チオピラン−2−スルホンアミド、5,6−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−6−メチル−、7,7−ジオキシド、(4S−trans)−(9CI)をジアステレオマー混合物(trans:cis=93:7)として得た(0.41g、収率81%、ee100)。
【0081】
4S-trans: δH (ppm) (400 MHz; DMSO) 8.0 (2H, bs, SO
2NH
2), 7.5 (1H, s, CH), 4.8 (1H, m, CH), 3.8 (1H, m, CH), 2.4 (1H, m, CH
2) 2.3 (1H, m, CH
2), 1.35 (3H, d, J = 7 Hz, CH
3).
4S-cis: δH (ppm) (400 MHz, DMSO) 8.0 (2H, bs, SO
2NH
2), 7.5 (1H, s, CH), 6.1 (1H, bs, OH), 4.8 (1H, m, CH), 3.8 (1H, m, CH), 2.4 (1H, m, CH
2) 2.1 (1H, m, CH
2), 1.3 (3H, d, J = 7 Hz, CH
3).