特許第6013390号(P6013390)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013390
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】リカバリ時間が短い光受信器
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/08 20060101AFI20161011BHJP
【FI】
   H03F3/08
【請求項の数】23
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-61064(P2014-61064)
(22)【出願日】2014年3月25日
(65)【公開番号】特開2014-192898(P2014-192898A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2015年4月8日
(31)【優先権主張番号】13/850,624
(32)【優先日】2013年3月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512086149
【氏名又は名称】エクセリタス カナダ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(72)【発明者】
【氏名】ラフォース,フレデリック
【審査官】 緒方 寿彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−173449(JP,A)
【文献】 特開平11−308056(JP,A)
【文献】 特開2005−110041(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号を電気信号に変換するための光電子受信器回路であって、
トランスインピーダンス増幅器と、
光検出器であって、前記トランスインピーダンス増幅器の入力と、前記光検出器にバイアス電圧を提供する高電圧供給との間に接続された光検出器と、
前記高電圧供給と、前記トランスインピーダンス増幅器の前記入力に接続された出力端子を有する電流ミラーとの間に接続された高電圧供給変動検知要素と、
高電圧源と前記高電圧供給との間に接続された電流制限器と、
を含み、
前記光電子受信器回路の動作帯域幅は、前記高電圧供給の再充電中は維持され、前記トランスインピーダンス増幅器の出力は、前記高電圧供給の再充電に応答しない、光電子受信器回路。
【請求項2】
前記光検出器がアバランシェフォトダイオードを含む、請求項1に記載の光電子受信器回路。
【請求項3】
前記高電圧源と前記高電圧供給との間に接続された抵抗を更に含む、請求項1に記載の光電子受信器回路。
【請求項4】
前記電流制限器がダイオードを更に含み、前記ダイオードが、PINダイオード及びショットキーダイオードを含む群の1つである、請求項3に記載の光電子受信器回路。
【請求項5】
前記ダイオードが正常動作において順方向バイアスをかけられ、
前記ダイオードが固定電圧に維持されている、
請求項4に記載の光電子受信器回路。
【請求項6】
前記トランスインピーダンス増幅器の出力と前記高電圧供給との間のフィードバック経路を更に含む、請求項1に記載の光電子受信器回路。
【請求項7】
光信号を電気信号に変換するための光電子受信器回路であって、
トランスインピーダンス増幅器と、
光検出器であって、前記トランスインピーダンス増幅器の入力と、前記光検出器にバイアス電圧を提供する高電圧供給との間に接続された光検出器と、
前記高電圧供給と電流制御電流源(CCCS)との間に接続された高電圧供給変動検知要素と、
高電圧源と前記高電圧供給との間に接続された電流制限器と、を含み、
前記CCCSが前記トランスインピーダンス増幅器の前記入力に接続され
前記光電子受信器回路の動作帯域幅は、前記高電圧供給の再充電中は維持され、前記トランスインピーダンス増幅器の出力は、前記高電圧供給の再充電に応答しない、光電子受信器回路。
【請求項8】
前記光検出器がアバランシェフォトダイオードを含む、請求項7に記載の光電子受信器回路。
【請求項9】
前記CCCSが、前記高電圧供給変動検知要素からの電流を検知しミラーリングし、全波整流を提供する、請求項7に記載の光電子受信器回路。
【請求項10】
前記高電圧供給の電圧が上昇した場合に前記CCCSが前記高電圧供給検知要素からの電流を検知しミラーリングするように構成されている、請求項7に記載の光電子受信器回路。
【請求項11】
前記高電圧検知要素が前記光検出器のインピーダンスと実質的に等しいインピーダンスを有する、請求項7に記載の光電子受信器回路。
【請求項12】
前記電流制限器がダイオードを更に含み、前記ダイオードが、PINダイオード及びショットキーダイオードを含む群の1つである、請求項7に記載の光電子受信器回路。
【請求項13】
前記ダイオードが正常動作において順方向バイアスをかけられ、
前記ダイオードが固定電圧に維持されている、
請求項7に記載の光電子受信器回路。
【請求項14】
光信号を電気信号に変換するための光電子受信器回路であって、
差動トランスインピーダンス増幅器と、
光検出器であって、前記差動トランスインピーダンス増幅器の第1の入力と、前記光検出器にバイアス電圧を提供する高電圧供給との間に接続された光検出器と、
前記高電圧供給と前記差動トランスインピーダンス増幅器の第2の入力との間に接続された第1の高電圧供給変動検知要素と、
前記高電圧供給と第1の電流制御電流源(CCCS)との間に接続された第2の高電圧供給変動検知要素と、
高電圧源と前記高電圧供給との間に接続された電流制限器と、
前記第2の高電圧供給変動検知要素と前記差動トランスインピーダンス増幅器の前記第1の入力との間に接続された前記第1の電流制御電流源と、
前記第2の高電圧供給変動検知要素と前記差動トランスインピーダンス増幅器の前記第2の入力との間に接続された第2のCCCSと、
を含む、光電子受信器回路。
【請求項15】
前記電流制限器が抵抗である、請求項14に記載の光電子受信器回路。
【請求項16】
前記光検出器がアバランシェフォトダイオードを含む、請求項14に記載の光電子受信器回路。
【請求項17】
前記第1の高電圧検知要素及び前記第2の高電圧検知要素が各々、前記アバランシェフォトダイオードのインピーダンスと実質的に等しいインピーダンスを有する、請求項15に記載の光電子受信器回路。
【請求項18】
前記第1のCCCSが前記差動トランスインピーダンス増幅器に対する第1の入力電流を検知し、ミラーリングし、整流するように構成されている、請求項15に記載の光電子受信器回路。
【請求項19】
前記高電圧供給の電圧が上昇した場合に前記第1のCCCSが前記第1の入力電流を検知しミラーリングするように構成されている、請求項18に記載の光電子受信器回路。
【請求項20】
前記第2のCCCSが前記差動トランスインピーダンス増幅器に対する第2の入力電流を検知し、ミラーリングし、整流するように構成されている、請求項15に記載の光電子受信器回路。
【請求項21】
前記高電圧供給の電圧が上昇した場合に前記第2のCCCSが前記入力電流を検知しミラーリングするように構成されている、請求項20に記載の光電子受信器回路。
【請求項22】
前記電流制限器がPINダイオードを更に含む、請求項15に記載の光電子受信器回路。
【請求項23】
前記電流制限器がショットキーダイオードを更に含む、請求項15に記載の光電子受信器回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光センサに関し、更に具体的には光検出器回路に関する。
【背景技術】
【0002】
光検出器は、所与の波長の光を検出して、検出した光の強度に比例した電流を生成するために用いられる。光検出器にバイアス電圧を供給する場合がある。光検出器の出力は、バイアス電圧の変動と共に変化することがある。
【0003】
図1に従来技術の光検出器回路100を示す。この回路は、高電圧供給110とトランスインピーダンス増幅器(TIA)180との間に光検出器150を含む。トランスインピーダンス増幅器180は、増幅器140及び抵抗130を含む。光検出器150からの信号(光電流)をトランスインピーダンス増幅器180によって増幅することで、検出器からの光電流が、例えば後処理回路(図示せず)による後処理に適した出力電圧160に変換される。
【0004】
従来技術の光検出器回路100においては、トランスインピーダンス増幅器180を用いて、光検出器150からの光電流を更に処理するための電圧に変換することができる。かかる回路は、光通信又はレーザ測距等の様々な用途において広く用いられている。例えば通信用途のようないくつかの用途では、平均光電流はかなり一定であり、従来技術のトランスインピーダンス増幅器180によって容易に処理することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら測距用途では、光信号レベルが極めて低く、例えばほぼゼロであり、その後に短い持続時間の高い信号レベルを有する強度の光パルスが続く場合があるので、異なる挙動となる。かかる高出力パルスが検出器150に入射すると、光検出器150に大きい光電流が流れる可能性がある。この光電流は回路100の光受信器を飽和させるだけであり得るが、光検出器150及びトランスインピーダンス増幅器180の双方に損傷を与える場合がある。従って、トランスインピーダンス増幅器180及び光検出器150を保護することが極めて重要である。
【0006】
トランスインピーダンス増幅器180が飽和した後にパルス前状態へ戻るには、ある程度の時間がかかることがある。正常動作において、トランスインピーダンス増幅器180の入力インピーダンスは、フィードバック抵抗130を増幅器140の電圧利得Avで除算したものとほぼ同等である。
【0007】
増幅器140が飽和すると、トランスインピーダンス増幅器180の入力インピーダンスは、光検出器150の接合容量を含む全ての寄生容量と並列のフィードバック抵抗130とほぼ等しくなる。トランスインピーダンス増幅器180のリカバリに必要な時間は、寄生容量及びフィードバック抵抗130の抵抗/容量(RC)時定数に関連し、更に、飽和中に到達する入力電圧に関連する。飽和を超えて光電流が大きくなると、リカバリに要する時間が長くなる。これは、トランスインピーダンス増幅器180の「飽和の深さ(depth of saturation)」と称される。
【0008】
飽和中に等価入力インピーダンスを低下させることによってリカバリ時間を向上させるために、いくつかの戦略が試みられている。かかる戦略は、可変フィードバックインピーダンス、可変シャント入力インピーダンス、又は入力電流シンクの使用を含む。
【0009】
可変フィードバックは典型的に、フィードバック経路に容量を追加することで光受信器の周波数応答及びノイズに影響を与える。入力電流シンクは典型的に、低周波数の入力電流を削除するために用いられる。かかる戦略のほとんどは、トランスインピーダンス増幅器の出力からの何らかの種類のフィードバックを用いることで大きい光電流に対応する。この場合ユーザは、受信器の高周波数挙動を維持するために、フィードバックの帯域幅(周波数応答)を縮小せざるを得ない。しかしながら、高い光出力のパルスの場合、トランスインピーダンス増幅器180の出力を用いて保護を適用することができない。その理由は、出力が信号への応答を開始可能となる前にトランスインピーダンス増幅器180に対する損傷が発生する恐れがあるからである。リカバリ時間を向上させるためにトランスインピーダンス増幅器180の出力に頼らないことが好ましい。
【0010】
入力における可変シャントインピーダンスは、例えば正常動作において逆方向バイアスをかけると共に飽和中に順方向バイアスをかけるダイオードによって低インピーダンスを与えることを含むことができる。リカバリ時間は、飽和中に到達する入力電圧を制限することによって向上するが、光検出器からの光電流に依存する。
【0011】
高出力光パルスの影響を軽減するための別の技法は、アバランシェフォトダイオード(APD)と直列の抵抗を用いることである。この技法は、低周波数信号には有用であるが、高周波数信号又は強度の光出力パルスが存在する信号には有用でない。これは、直列抵抗が受信器の帯域幅に影響を与えるからである。抵抗の後に電圧を維持するためのデカップリングコンデンサを用いると、デカップリングコンデンサが光検出器150に電荷を供給可能である限り光検出器からの光電流は維持される。従って、当技術分野において、上述の欠点に対処することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の実施形態は、リカバリ時間が短い光受信器を提供する。簡潔に述べると、本発明の第1の態様は、光信号を電気信号に変換するための光電子受信器回路を対象とする。この回路は、トランスインピーダンス増幅器と、トランスインピーダンス増幅器の入力と光検出器にバイアス電圧を提供する高電圧供給との間に接続された光検出器と、を含む。回路は、高電圧供給とトランスインピーダンス増幅器の入力に接続された出力端子を有する電流ミラーとの間に接続された高電圧供給変動検知要素と、高電圧源と高電圧供給との間に接続された電流制限器と、を含む。
【0013】
簡潔に述べると、本発明の第2の態様は、光信号を電気信号に変換するための光電子受信器回路を対象とする。この回路は、トランスインピーダンス増幅器と、トランスインピーダンス増幅器の入力と光検出器にバイアス電圧を提供する高電圧供給との間に接続された光検出器と、を含む。回路は、高電圧供給と電流制御電流源(CCCS)との間に接続された高電圧供給変動検知要素と、高電圧源と高電圧供給との間に接続された電流制限器と、を含む。CCCSはトランスインピーダンス増幅器の入力に接続されている。
【0014】
簡潔に述べると、アーキテクチャにおいて、本発明の第3の態様は、光信号を電気信号に変換するための光電子受信器回路を対象とし、差動トランスインピーダンス増幅器と、差動トランスインピーダンス増幅器の第1の入力と光検出器にバイアス電圧を提供する高電圧供給との間に接続された光検出器と、を含む。
【0015】
この回路は、高電圧供給と差動トランスインピーダンス増幅器の第2の入力との間に接続された第1の高電圧供給変動検知要素と、高電圧供給と第1のCCCSとの間に接続された第2の高電圧供給変動検知要素と、を含む。高電圧源と高電圧供給との間に電流制限器が接続されている。第2の高電圧供給変動検知要素と差動トランスインピーダンス増幅器の第1の入力との間に、第1の電流制御電流源が接続されている。第2の高電圧供給変動検知要素と差動トランスインピーダンス増幅器の第2の入力との間に、第2のCCCSが接続されている。
【0016】
本発明の他のシステム、方法、及び特性は、以下の図面及び詳細な説明を検討することによって当業者には明らかとなろう。全てのそのような追加のシステム、方法、及び特性は本記載に包含され、本発明の範囲内にあり、添付の特許請求の範囲によって保護されることが意図される。
【0017】
添付図面は、本発明をより良く理解するために包含され、本明細書に組み込まれてその一部を構成する。図面は記載と共に本発明の実施形態を例示し、本発明の原理を説明するように機能する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】従来技術の光検出器回路の回路図である。
図2】フォトダイオード受信器の第1の例示的な実施形態の回路図である。
図3】フォトダイオード受信器の第2の例示的な実施形態の回路図である。
図4】フォトダイオード受信器の第3の例示的な実施形態の電流制限器を詳しく示す回路図である。
図5】差動トランスインピーダンス増幅器を有するフォトダイオード受信器の第4の例示的な実施形態の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
これより、本発明の実施形態について詳細に述べる。添付図面に実施形態の例を図示する。可能な限りいかなる場合も、図面及び記載において同一の参照番号を用いて同一の又は同様の部分を示す。
【0020】
図2に、本発明に従った光電子受信器の第1の例示的な実施形態を示す。光電子受信器回路200は光信号を電気信号に変換する。回路200は、出力260を有するトランスインピーダンス増幅器280と、例えばアバランシェフォトダイオードのような光検出器250と、を含む。光検出器250のアノードは、トランスインピーダンス増幅器280の入力に接続され、カソードは、光検出器250に必要な電圧へのバイアスをかけるのに適した高電圧供給203に接続されている。回路200は更に、高電圧供給変動検知要素220を含み、その第1の端子は高電圧供給203に接続され、その第2の端子は電流ミラー270に接続されている。回路200は更に、高電圧源210と高電圧供給203との間に接続された電流制限器215を含む。電流ミラー270は、トランスインピーダンス増幅器280の入力に接続された出力端子を有する。
【0021】
この回路は、高電圧供給203を厳密に降下させることによってリカバリ時間を向上させる。高電圧供給変動検知要素220は、光検出器250のインピーダンスを実質的に再現する。要素220及び270は、光検出器250及びトランスインピーダンス増幅器280と共に、高電圧供給203の変動に対して感度が低い疑似差動回路を形成する。光電流が電流制限器215を流れると高電圧供給203の電圧は降下し、光検出器250の利得が高電圧供給203によって制御されると想定すると、この利得を低下させることができる。光検出器250の利得が低下すると光電流が小さくなり、飽和の深さが制限され、これによってリカバリ時間が向上する。電流制限器215は、簡単な負荷(例えば抵抗)又はこれを流れる電流に応じる可変負荷の形態を取ることができる。
【0022】
フィードバック経路275は、トランスインピーダンス増幅器280の出力に応じる高電圧供給に適用され得る。図2によって示すように、フィードバック経路275は、トランスインピーダンス増幅器の出力260に応じる電流源275を含む。このフィードバック経路275は、高電圧供給203の電圧を更に降下させることができ、これによってリカバリ時間がいっそう向上する。代替的な実施形態では、フィードバック経路275を省略することも可能である。
【0023】
図3に、本発明に従った光電子受信器回路の第2の例示的な実施形態を示す。光電子受信器回路300は、光信号を電気信号に変換する。回路300は、出力360を有するトランスインピーダンス増幅器380と、例えばアバランシェフォトダイオードのような光検出器350と、を含む。光検出器350のアノードは、トランスインピーダンス増幅器380の入力307に接続され、カソードは、光検出器350に必要な電圧へのバイアスをかけるのに適した高電圧供給303に接続されている。回路300は更に、高電圧供給変動検知要素320を含み、この第1の端子は高電圧供給303に接続され、第2の端子はCCCS330に接続されている。回路300は更に、高電圧源310と高電圧供給303との間に接続された電流制限器315を含む。CCCS330は、トランスインピーダンス増幅器380の入力307に接続された出力端子を有する。
【0024】
高電圧供給検知デバイス320は、高電圧供給303の電圧の変動を電流に変換するために用いられ、この電流はトランスインピーダンス増幅器380の入力307においてCCCS330を介して検知、整流、及びミラーリングされる。高電圧供給検知デバイス320は、高電圧供給303の変動に応じて光検出器350に誘導される電流と実質的に等しい電流をその等価インピーダンスによって与える。受信器300は、CCCS330による全波整流の場合は正の高電圧供給303の変動に応答せずに負の電圧供給変動の影響を「増幅」し、又はCCCS330による半波整流の場合は通常のトランスインピーダンス増幅器のようにふるまう。この挙動は、負の電圧供給変動が大きい光電流に関連し、正の電圧供給変動は高電圧供給303がその飽和前レベルに戻ることに関連するが、これは出力360において望ましくない場合があるからである。
【0025】
高電圧供給検知デバイス320は、好ましくは光検出器350のインピーダンスと実質的に等しい値のインピーダンスを有する。電圧源310と高電圧供給303との間に電流制限器315が配置されている。電流制限器315は、電流が所定の限度に達する電流閾値レベルまで電流を自由に通過させる。その後、入力電流が電流閾値レベルよりも小さくなるまで電流を所定の限度に制限(clamp)する。
【0026】
正常動作においては、光検出器350に印加される高電圧供給303の電圧は一定であり、光検出器350からの光電流は電流制限器315の電流閾値未満である。こういった状況では、回路300は標準的な光受信器としてふるまう。これは例えば図1のように、トランスインピーダンス増幅器及びアバランシェフォトダイオードを中心として構築された光受信器である。
【0027】
光電流が電流制限器315の電流閾値より大きい場合、電流制限器315のインピーダンスは上昇し、高電圧供給303の電圧は降下し、光検出器350に入射する光出力についての電流−電圧曲線に従う。例えば、光検出器350がアバランシェフォトダイオードである実施形態においては、アバランシェフォトダイオード350の利得は高電圧供給303に比例するので、アバランシェフォトダイオード350の利得は低下する。この挙動により光電流の振幅が制限されることで、トランスインピーダンス増幅器380を保護すると共に飽和の深さを制限する。
【0028】
高電圧供給303の電圧レベルが低下すると、電流は高電圧供給変動検知デバイス320を通って高電圧供給303へと流れる。高電圧供給変動検知デバイス320における電流はCCCS330によって検知され、整流され、場合によっては増幅されて、トランスインピーダンス増幅器380の入力307に注入される。
【0029】
この結果としてトランスインピーダンス増幅器380に到達する電流は、整流のタイプに依存する。整流を行わない場合、トランスインピーダンス増幅器380に到達する電流は光電流からのものだけである。高電圧供給303の変動のために光検出器350において及び電圧検知デバイス320において誘導される電流は、実質的に振幅が等しいので、相互に相殺される。従って、受信器300は高電圧供給変動に対して感度が低い。これは、受信器300の帯域幅が電流制限器315の高インピーダンスによる影響を受けないことを示し、高電圧検知デバイス320の電流がトランスインピーダンス増幅器380の入力にミラーリングされない場合と同様である。
【0030】
この構成の欠点は、高電圧供給303の電圧降下により小さくなった電流がトランスインピーダンス増幅器380内に流れると、もはや減衰されないことである。その理由は、高電圧供給変動検知デバイス320からの電流がトランスインピーダンス増幅器380へと電流を押し、光電流と加算されるからである。このため、高光出力の場合、トランスインピーダンス増幅器380の飽和は更に深くなり得る。
【0031】
CCCS330における半整流を用いると、高電圧供給303の電圧が上昇する場合に限って、電流をトランスインピーダンス増幅器380の入力にミラーリングすることができ、高電圧供給303の電圧が降下する場合に電流はミラーリングされない。光電流が電流制限器315の電流閾値よりも大きい場合、高電圧供給303の電圧の降下で誘導された光検出器350の電流によって、トランスインピーダンス増幅器380を流れる全電流が低減するので、トランスインピーダンス増幅器380の飽和の深さが制限される。
【0032】
高電圧供給303の電圧が降下してトランスインピーダンス増幅器380の飽和の深さが更に浅くなる場合に、CCCS330における全整流は、トランスインピーダンス増幅器380の入力307からの電流をシンク(sink)するために用いられ得る。また、飽和の深さを更に浅くするために、この方向に流れる電流のCCCS330による増幅も可能である。
【0033】
過負荷状況の後に光出力がゼロ又はゼロ付近に戻った場合、電流制限器315によって流れることができる電流のために高電圧供給303の電圧は上昇し始める。高電圧供給303の電圧の変化率は、電流制限器315により固定されている。高電圧供給303の電圧変動の増大は、光検出器350の等価インピーダンスを流れる電流を誘導し、トランスインピーダンス増幅器380によって増幅される。この電流は、光電流と同一方向に流れることに留意すべきである。しかしながら、高電圧検知要素320の電流がトランスインピーダンス増幅器380の入力においてミラーリングされるので、トランスインピーダンス増幅器380は、従来技術の受信器の場合のように高電圧供給303の再充電(recharge)に応答しない。結果として、この回路300は高電圧供給303を再充電することができるが、その一方でトランスインピーダンス増幅器380の出力はこの再充電に応答しない。
【0034】
また、高電圧供給303の再充電中、電流制限器315が高インピーダンス状態であっても受信器300の帯域幅を維持することができることに留意すべきである。従って、光受信器300は、高電圧供給303の再充電中、完全に動作状態である。電流制限器315は、例えば論理回路又はソフトウェア(図示せず)を用いて制御して、システム入力に従って限度を上昇又は低下させることができる。
【0035】
高出力光パルスが光検出器350に入射する場合、光電流が直接トランスインピーダンス増幅器380に流れるので、トランスインピーダンス増幅器380の飽和が生じ得る。受信器300のリカバリ時間を向上させるために、当業者が精通した設計に従ってトランスインピーダンス増幅器380を設計し、可変フィードバック抵抗(図示せず)又はトランスインピーダンス増幅器380の入力307に適用した可変入力インピーダンスを用いることで、ダイナミックレンジの拡大及び/又は過負荷の後のリカバリ時間の向上を図ることができる。
【0036】
第2の実施形態は、電流制限器315を介して高電圧供給を降下させるために光電流を利用するが、第1の実施形態においては、高電圧供給203(図2)の電圧の降下は、光信号に応じて高電圧供給203(図2)からの電流をシンクさせるフィードバック経路275(図2)におけるデバイスによって向上させることができる。
【0037】
図4の回路400により、第2の実施形態の電流制限器315(図3)の具体例の1つを示す。低出力動作において光電流が存在せずに光受信器帯域幅に対する影響が最小限に抑えられる場合、回路400は低インピーダンスを有する。第3の実施形態において、電流制限器415は、PINダイオード416又はショットキーダイオードを中心として設計されている。
【0038】
小さいダイオードバイアス電流は、電流制限器415に見られるインピーダンスを低下させるために用いられる。バイアス電流は、回路400における電流源417を用いて印加し、ダイオード416のカソードは、デカップリングコンデンサ418を用いることで低インピーダンスノードに維持される。高電圧源410と高電圧供給403との間に、高い値の抵抗420が配置されている。正常動作において、回路400は、順方向バイアスのダイオード416を介して低インピーダンスを与える。高電圧供給403からの電流がダイオード416のバイアス電流より大きい場合、ダイオード416はオフになり、高電圧供給403から見たインピーダンスは増大し、高電圧源410と高電圧供給403との間の抵抗420によって規定される。電流が大きい場合、高電圧供給403の電圧は降下し、過負荷状況を示す。
【0039】
ショットキーダイオードの代わりにPINダイオード416を用いると、直列抵抗が小さいという利点があり、高電圧変動を扱うことができるが、迅速なオン及びオフが行われず、典型的にかなり高い容量を有する。これに対して、ショットキーダイオード416はオン及びオフが迅速であるが、直列抵抗が大きく、電圧許容誤差が小さい。高電圧供給403の値は、抵抗420を介して過負荷前の状況に戻る。第3の実施形態の回路400は正の電圧供給403を用いるが、代替的な実施形態は負の電圧供給を含む場合がある。
【0040】
差動式の実施形態
図5に、本発明に従った光電子受信器の第4の例示的な実施形態を示す。
【0041】
第4の実施形態の光受信器500は、差動トランスインピーダンス増幅器580を用いる完全に差動式のスキームを採用する。差動トランスインピーダンス増幅器580は、第1の出力560及び第2の出力565を有する。例えばアバランシェフォトダイオードである光検出器550は、差動トランスインピーダンス増幅器580の第1の入力507に接続され、第1の高電圧検知要素566は、差動トランスインピーダンス増幅器580の第2の入力508に接続されている。第1の高電圧検知要素566は、アバランシェフォトダイオード550のインピーダンスと実質的に等しいインピーダンスを有する。この構成のもとで、抵抗等の高値インピーダンス515によって電流制限器を実施することができ、差動トランスインピーダンス増幅器580を用いることで光受信器500の周波数応答を維持する。高値インピーダンス515は、高電圧源510と高電圧供給503との間に接続され、前述のように広い意味で電流制限器として見ることができる。
【0042】
第1及び第2の実施形態に関して前述したのと同様に、第2の高電圧検知要素520は、高電圧供給503の電圧変動を検知するために用いられる。信号は、第1のCCCS590によって完全に整流されることが好ましく、電流はトランスインピーダンス増幅器580の第1の入力507からシンクされる。また、必須ではないが好ましくは、信号は第2のCCCS595によって全波整流され、トランスインピーダンス増幅器580の第2の入力508からシンクされる。
【0043】
図3及び図5に示す回路は、TIAの入力から電流をシンクさせるのみであり、飽和が起きた場合にTIAに入る全体的な電流を低減させ、飽和の深さを低減することができるという追加の利点を有する。
【0044】
本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、本発明の構造に対して様々な変更及び変形が可能であることは当業者には認められよう。前述のことに鑑み、本発明の変更及び変形が以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲内に該当するならば、それらは本発明によって包含されることが意図される。
図1
図2
図5
図3
図4