(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013397
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】タッチセンサ
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20161011BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
G06F3/041 490
G06F3/041 495
G06F3/041 422
G06F3/044 122
【請求項の数】27
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-97067(P2014-97067)
(22)【出願日】2014年5月8日
(65)【公開番号】特開2014-219987(P2014-219987A)
(43)【公開日】2014年11月20日
【審査請求日】2014年5月8日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0053359
(32)【優先日】2013年5月10日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2013-0162829
(32)【優先日】2013年12月24日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154379
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジャン ホ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ウン チュン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ジン ウック
(72)【発明者】
【氏名】オ,ナム キュン
【審査官】
原 秀人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−195443(JP,A)
【文献】
国際公開第2005/060326(WO,A1)
【文献】
特開2012−204763(JP,A)
【文献】
特開2005−344207(JP,A)
【文献】
特開2012−103761(JP,A)
【文献】
特開2013−084026(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/121518(WO,A2)
【文献】
欧州特許出願公開第02482172(EP,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0206395(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板と、
前記透明基板上に形成された電極パターンと、を含み、
前記電極パターンは、
前記透明基板上に配置された第1電極層と、
前記第1電極層上に配置された第2電極層と、
前記第2電極層上に配置された第3電極層と、を備え、
前記第1及び第3電極層は、CuNi、NiCr、Ti及びMo、またはこれらの合金からなる群から選択される少なくとも一つを含有し、前記第2電極層は、Cu、Al及びAg、またはこれらの合金からなる群から選択される少なくとも一つを含有し、
前記第3電極層は、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、またはケイ素(Si)からなる群から選択される少なくとも一つ以上をさらに含有し、
前記第1電極層の積層方向の厚さ(d1)、前記第2電極層の積層方向の厚さ(d2)、及び前記第3電極層の積層方向の厚さ(d3)は、d1<d3<d2の関係式を満たす、タッチセンサ。
【請求項2】
前記電極パターンの電気的な連結のために前記電極パターンに連結され、前記電極パターンのそれぞれの電極層に対応するように備えられた複数の電極配線層を有する電極配線をさらに含み、
前記電極配線は、
前記第1電極層に対応する第1電極配線層と、
前記第2電極層に対応する第2電極配線層と、
前記第3電極層に対応する第3電極配線層と、を含む、請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項3】
前記電極パターンはメッシュパターンに形成される、請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項4】
前記電極配線の電気的な連結のために電極配線の一端に形成されたメッシュ状の接続パッドをさらに含む、請求項2に記載のタッチセンサ。
【請求項5】
前記第2電極層は、前記第1電極層より高い導電性を有する、請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項6】
前記第1電極層は、前記第2電極層より低い反射率を有する、請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項7】
前記第1電極層は、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、またはケイ素(Si)からなる群から選択される少なくとも一つ以上をさらに含有する、請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項8】
前記第1電極層及び第3電極層は、前記マンガン(Mn)、鉄(Fe)、またはケイ素(Si)を0.1wt%〜3wt%含有する、請求項7に記載のタッチセンサ。
【請求項9】
前記第1電極層は、ニッケル(Ni)を10wt%〜80wt%含有する、請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項10】
前記第1電極層は、ニッケル(Ni)を20wt%〜70wt%含有する、請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項11】
前記第3電極層は、ニッケル(Ni)を10wt%〜80wt%含有する、請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項12】
前記第3電極層は、ニッケル(Ni)を20wt%〜70wt%含有する、請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項13】
前記第2電極層は、銅(Cu)及びニッケル(Ni)を含有する合金で形成される、請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項14】
前記第2電極層は、銅(Cu)及びニッケル(Ni)を含有する合金で形成され、前記ニッケル(Ni)を0.1wt%〜5wt%含有する、請求項13に記載のタッチセンサ。
【請求項15】
前記第1電極層は、クロム(Cr)を3wt%〜50wt%含有する、請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項16】
前記第1電極層は、クロム(Cr)を5wt%〜70wt%含有する、請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項17】
前記第3電極層は、クロム(Cr)を3wt%〜50wt%含有する、請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項18】
前記第3電極層は、クロム(Cr)を5wt%〜70wt%含有する、請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項19】
前記透明基板は、85%以上の透過率を有するように形成される、請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項20】
前記透明基板は樹脂層で形成される、請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項21】
前記樹脂層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルフォン(PES)、環状オレフィンポリマー(COP)、トリアセチルセルロース(Triacetylcellulose;TAC)フィルム、ポリビニルアルコール(Polyvinyl alcohol;PVA)フィルム、ポリイミド(Polyimide;PI)フィルム、ポリスチレン(Polystyrene;PS)、二軸延伸ポリスチレン(K樹脂含有biaxially oriented PS;BOPS)、またはその組み合わせで形成される、請求項20に記載のタッチセンサ。
【請求項22】
前記透明基板は、ガラスまたは強化ガラスで形成される、請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項23】
前記第1電極層の積層方向の厚さが前記第2電極層の積層方向の厚さより薄く形成される、請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項24】
前記第1電極層の積層方向の厚さ(d1)、前記第2電極層の積層方向の厚さ(d2)、及び前記第3電極層の積層方向の厚さ(d3)の和が0.05μm〜2μmとなるように形成される、請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項25】
前記第1電極層の積層方向の厚さが0.01μm〜1.935μmとなるように形成される、請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項26】
前記第2電極層の積層方向の厚さが0.04μm〜1.975μmとなるように形成される、請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項27】
前記第3電極層の積層方向の厚さが0.015μm〜1.95μmとなるように形成される、請求項1に記載のタッチセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル技術を用いるコンピュータが発達するに伴い、コンピュータの補助装置もともに開発されており、パソコン、携帯用送信装置、その他の個人用の情報処理装置などは、キーボード、マウスなどの様々な入力装置(Input Device)を利用してテキスト及びグラフィック処理を行う。
【0003】
しかし、情報化社会の急速な進行により、コンピュータの用途が益々拡大する傾向にあるため、現在、入力装置の役割を担当しているキーボード及びマウスだけでは、効率的な製品の駆動が困難であるという問題点がある。従って、簡単で誤操作が少なく、誰でも簡単に情報を入力することができる機器の必要性が高まっている。
【0004】
また、入力装置に関する技術は、一般的な機能を満たす水準を越えて、高信頼性、耐久性、革新性、設計及び加工に関する技術などが注目されており、このような目的を達成するために、テキスト、グラフィックなどの情報入力が可能な入力装置として、タッチセンサ(Touch Sensor)が開発された。
【0005】
このようなタッチセンサは、電子手帳、液晶表示装置(LCD;Liquid Crystal Display Device)、PDP(Plasma Display Panel)、El(Electroluminescence)などの平板ディスプレイ装置及びCRT(Cathode Ray Tube)などのディスプレイの表示面に設けられ、ユーザがディスプレイを見ながら所望の情報を選択するようにするために利用される機器である。
【0006】
また、タッチセンサの種類は、抵抗膜方式(Resistive Type)、静電容量方式(Capacitive Type)、電磁方式(Electro−Magnetic Type)、表面弾性波方式(SAW Type;Surface Acoustic Wave Type)及び赤外線方式(Infrared Type)に区分される。
【0007】
このような多様な方式のタッチセンサは、信号増幅の問題、解像度の差、設計及び加工技術の難易度、光学的特性、電気的特性、機械的特性、耐環境特性、入力特性、耐久性及び経済性を考慮して電子製品に採用されるが、現在、もっとも幅広い分野で用いられている方式は、抵抗膜方式タッチセンサ及び静電容量方式タッチセンサである。
【0008】
一方、タッチセンサにおいて、特許文献1のように、金属を用いて電極パターンを形成しようとする研究が活発に行われている。このように金属で電極パターンを形成する場合、電気伝導度に優れ、需給が円滑であるという長所がある。しかし、金属で電極パターンを形成すると、電極パターンがユーザに視認される可能性があるという問題点がある。特に、電極パターンを形成するためのパターニング過程における電極パターン下部のエッチングのばらつきによる微細パターン形成の困難さ、伝導性のために用いられる金属電極の不透明性によって生じる電極パターンの視認問題、露出された電極パターンの腐食による信頼性の低減など、様々な問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2011−175967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上述の従来技術の問題点を解決するためのものであって、タッチセンサの電極パターンを少なくとも二つ以上の電極層からなる積層構造に形成することで、電極パターンの露出部の耐腐食性及び電極パターンと透明基板との間の接着信頼性を向上させることを目的とする。
【0011】
また、タッチセンサにおいて、ユーザにより視認される露出部の電極パターンを異種材質で形成することにより、伝導性金属による電極パターンの視認問題を解決することを目的とする。
【0012】
また、タッチセンサの電極パターンを構成する多層構造の電極層を合金層で形成し、且つ耐腐食性または視認性などの特徴に応じて関連材料の含量の割合を適切に制御することにより、電極パターンの伝導性を確保するとともに、電極パターンの視認性及び耐腐食性の問題をともに解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施例によるタッチセンサは、透明基板と、前記透明基板上に形成された電極パターンと、を含み、前記電極パターンは、少なくとも二つ以上の電極層が積層されて形成されることができる。
【0014】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記電極層は、前記透明基板の一面から、第1電極層である基材層及び第2電極層である導電層が順に積層されて形成されることができる。
【0015】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記電極層は、第3電極層である表面層が前記第2電極層上にさらに積層されて形成されることができる。
【0016】
本発明の一実施例によるタッチセンサは、前記電極パターンの電気的な連結のために前記電極パターンに連結され、前記電極パターンのそれぞれの電極層に対応するように備えられた複数の電極配線層を有する電極配線をさらに含むことができる。
【0017】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記電極パターンはメッシュパターンに形成されることができる。
【0018】
本発明の一実施例によるタッチセンサは、前記電極配線の電気的な連結のために電極配線の一端に形成されたメッシュ状の接続パッドをさらに含むことができる。
【0019】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記第2電極層は、前記第1電極層より高い導電性を有することができる。
【0020】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記第1電極層は、前記第2電極層より低い反射率を有することができる。
【0021】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記第1電極層は、CuNi、NiCr、Ti及びMo、またはこれらの合金からなる群から選択される少なくとも一つ以上を含有することができる。
【0022】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記第2電極層は、Cu、Al及びAg、またはこれらの合金からなる群から選択される少なくとも一つ以上を含有することができる。
【0023】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記第3電極層は、CuNi、NiCr、Ti及びMo、またはこれらの合金からなる群から選択される少なくとも一つ以上を含有することができる。
【0024】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記第1電極層及び第3電極層は、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、またはケイ素(Si)からなる群から選択される少なくとも一つ以上をさらに含有することができる。
【0025】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記第1電極層及び第3電極層は、前記マンガン(Mn)、鉄(Fe)、またはケイ素(Si)を0.1wt%〜3wt%含有することができる。
【0026】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記第1電極層は、ニッケル(Ni)を10wt%〜80wt%含有することができる。
【0027】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記第1電極層は、ニッケル(Ni)を20wt%〜70wt%含有することができる。
【0028】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記第3電極層は、ニッケル(Ni)を10wt%〜80wt%含有することができる。
【0029】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記第3電極層は、ニッケル(Ni)を20wt%〜70wt%含有することができる。
【0030】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記第2電極層は、銅(Cu)及びニッケル(Ni)を含有する合金で形成されることができる。
【0031】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記第2電極層は、銅(Cu)及びニッケル(Ni)を含有する合金で形成され、前記ニッケル(Ni)を0.1wt%〜5wt%含有することができる。
【0032】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記第1電極層は、クロム(Cr)を3wt%〜50wt%含有することができる。
【0033】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記第1電極層は、クロム(Cr)を5wt%〜70wt%含有することができる。
【0034】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記第3電極層は、クロム(Cr)を3wt%〜50wt%含有することができる。
【0035】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記第3電極層は、クロム(Cr)を5wt%〜70wt%含有することができる。
【0036】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記透明基板は、85%以上の透過率を有するように形成されることができる。
【0037】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記透明基板は樹脂層で形成されることができる。
【0038】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記樹脂層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルフォン(PES)、環状オレフィンポリマー(COP)、トリアセチルセルロース(Triacetylcellulose;TAC)フィルム、ポリビニルアルコール(Polyvinyl alcohol;PVA)フィルム、ポリイミド(Polyimide;PI)フィルム、ポリスチレン(Polystyrene;PS)、二軸延伸ポリスチレン(K樹脂含有biaxially oriented PS;BOPS)、またはその組み合わせで形成されることができる。
【0039】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記透明基板は、ガラスまたは強化ガラスで形成されることができる。
【0040】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記第1電極層の積層方向の厚さが前記第2電極層の積層方向の厚さより薄く形成されることができる。
【0041】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記第1電極層の積層方向の厚さ(d1)、前記第2電極層の積層方向の厚さ(d2)、及び前記第3電極層の積層方向の厚さ(d3)は、d1<d3<d2の関係式を満たすことができる。
【0042】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記第1電極層の積層方向の厚さ(d1)、前記第2電極層の積層方向の厚さ(d2)、及び前記第3電極層の積層方向の厚さ(d3)の和が0.05μm〜2μmとなるように形成されることができる。
【0043】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記第1電極層の積層方向の厚さが0.01μm〜1.935μmとなるように形成されることができる。
【0044】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記第2電極層の積層方向の厚さが0.04μm〜1.975μmとなるように形成されることができる。
【0045】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記第3電極層の積層方向の厚さが0.015μm〜1.95μmとなるように形成されることができる。
【0046】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記第1電極層の積層方向の厚さ(d1)、前記第2電極層の積層方向の厚さ(d2)、及び前記第3電極層の積層方向の厚さ(d3)は、d2/(d1+d2+d3)×100の値が2%〜98.75%を満たすことができる。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、電極パターンを少なくとも二つ以上の電極層で形成することにより、電極パターンの耐腐食性及び視認性を向上させることができる。
【0048】
また、タッチセンサの電極パターンの多層構造により、透明基板と接触される電極パターンの電極層を薄膜層にすることで、透明基板との接着力をより向上させることができる。
【0049】
また、ユーザにより視認され得る最外層に露出された電極パターンの上部電極層を、ニッケル(Ni)を含有する合金層で形成することで、ユーザによる電極パターンの視認を低減させることができる。
【0050】
また、タッチセンサの電極パターンの耐腐食性を向上させるために、電極パターンの露出された電極層をマンガン(Mn)、鉄(Fe)及びケイ素(Si)を含有する合金で形成することで、さらに効果的に耐腐食性の信頼性を向上させることができる。
【0051】
また、タッチセンサの電極パターンの透明基板と接触される部分の電極層をニッケル(Ni)を含有する合金層で薄膜に形成することで、電極パターンの形成時に行われるエッチング工程時におけるエッチングレート(etching rate)を向上させて、微細パターンを具現することができる。
【0052】
また、電極パターンの透明基板と接触される電極層を薄膜形態の合金層で形成することで、電極パターンの接着力を向上させて、タッチセンサの作動性能及び駆動信頼性をより効果的に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】本発明の一実施例による電極パターンの平面図である。
【
図2】本発明の一実施例によるタッチセンサの断面図である。
【
図3】本発明の他の実施例によるタッチセンサの断面図である。
【
図4】本発明の他の実施例によるタッチセンサの断面図である。
【
図5】本発明のさらに他の実施例によるタッチセンサの断面図である。
【
図6】本発明の実施例による多数の電極層からなる電極パターンの部分拡大断面図である。
【
図7】本発明の実施例による多数の電極層からなる電極パターンの部分拡大断面図である。
【
図8】本発明の実施例による多数の電極層からなる電極パターンの部分拡大断面図である。
【
図9】本発明の一実施例によるタッチセンサの電極配線の構造を図示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本発明の目的、特定の長所及び新規の特徴は、添付図面に係る以下の詳細な説明及び好ましい実施例によってさらに明らかになるであろう。本明細書において、各図面の構成要素に参照番号を付け加えるに際し、同一の構成要素に限っては、たとえ異なる図面に示されても、できるだけ同一の番号を付けるようにしていることに留意しなければならない。また、「一面」、「他面」、「第1」、「第2」などの用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別するために用いられるものであり、構成要素が前記用語によって限定されるものではない。以下、本発明を説明するにあたり、本発明の要旨を不明瞭にする可能性がある係る公知技術についての詳細な説明は省略する。
【0055】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
【0056】
図1は、本発明の一実施例による電極パターンの平面図であり、
図2は、本発明の一実施例によるタッチセンサの断面図である。
【0057】
本発明の一実施例によるタッチセンサは、透明基板10と、前記透明基板10上に形成された電極パターン20と、を含み、前記電極パターン20は、少なくとも二つ以上の電極層20aが積層されて形成されることができる。
【0058】
本発明の一実施例によるタッチセンサは、透明基板10の一面及び他面に電極パターン20がそれぞれ形成されることができる。
図1に図示したように、電極パターン20は、第1電極パターン21と第2電極パターン22とが互いに交差されてバーアンドバー(Bar&Bar)形に形成されることができる。バーアンドバー形は、
図1に図示したように、二つのバー状の電極パターン20が互いに交差されている形態であって、各々の電極パターン20の幅(短方向の幅を意味する)が互いに対応するように形成されることができる。したがって、電極パターン20は、X軸方向(一方向)の第1電極パターン21と、この第1電極パターンと交差されるY軸方向(他の方向)の第2電極パターン22と、からなって、2次元平面でのタッチ座標を抽出することができる。
【0059】
図2は、上記の電極パターン20が透明基板10の一面上に形成されたことを図示したものであり、互いに交差する第1電極パターン21と第2電極パターン22とが透明基板10の一面上にともに形成されている。一つの平面上に二つの方向に交差される電極パターン20が形成される場合、電極パターン20が互いに交差される地点に絶縁パターン(不図示)が形成されることで、第1電極パターン21及び第2電極パターン22が一つの層にともに形成されることができる。
【0060】
また、
図3に図示したように、本発明の一実施例によるタッチセンサは、ウィンドウ基板10a上に第1電極パターン21が直接形成された後、その第1電極パターン21上に薄膜の樹脂層10bが塗布され、その樹脂層10b上に第2電極パターン22が形成されることができる。ウィンドウ基板10a上に電極パターン20が直接形成されることで、タッチセンサの感度が向上されるとともに、別の透明基板10の構成が省略できるため、タッチセンサの薄型化を実現することができる。
【0061】
他の実施例として、
図4に図示したように、透明基板10の一面上にX軸方向の第1電極パターン21が形成され、透明基板10の他面上に第1電極パターン21と交差されるY軸方向の第2電極パターン22が形成されることができる。互いに交差される第1電極パターン21と第2電極パターン22との交差角が垂直であることで図示したが、その交差角は特に限定されず、2次元平面での座標を抽出するためにX軸とY軸の座標を得ることができるように、適切な角度で交差されることが好ましい。
【0062】
図5に図示したように、本発明のさらに他の実施例によるタッチセンサは、第1透明基板11及び第2透明基板12を含み、第1透明基板11上に第1電極パターン21が形成されており、第2透明基板12には、第1電極パターン21と向い合う第2電極パターン22が、第1電極パターン21と交差される方向に形成されることができる。この第1透明基板11と第2透明基板12とが透明接着剤などの接着層40により結合されることで、タッチセンサが製作されることができる。本発明のさらに他の実施例によるタッチセンサは、タッチセンサの電極パターン20を保護するための保護層として最外層に形成されたウィンドウ基板10aをさらに含むことができる。ウィンドウ基板10aは、強化ガラスなどで形成されることができ、保護層の役割をすることができる材質を用いてコーティング処理することで形成されることができる。
【0063】
ここで、第1電極パターン21または第2電極パターン22は、透明基板10の一面または他面から順に形成される第1電極層20a−1、第2電極層20a−2、及び第3電極層20a−3を含むことができる。ここで、全ての第1電極パターン21及び第2電極パターン22が上記のような第1電極層20a−1、第2電極層20a−2、及び第3電極層20a−3を含んで形成されてもよく、電極パターン20のうち、タッチセンサのユーザに視認されるように露出された何れか一つの電極パターン20のみが、選択的に複数の電極層20aを含むように形成されてもよい。
【0064】
本発明の他の実施例によるタッチセンサは、透明基板10と電極パターン20の構造を除き、本発明の一実施例と同様に電極パターン20が電極層20aの積層構造からなるものであって、この際に同様に用いられる第1電極層20a−1、第2電極層20a−2、及び第3電極層20a−3の材質及び特性についての具体的な説明は後述する。
【0065】
また、タッチセンサへのユーザの入力による出力値を表示するためのディスプレイ部50が、透明基板10の他面に接着されることができる。ディスプレイ部50は、映像装置であって、LCD、OLEDなどの多様なディスプレイ装置を含み、特定種類の装置に限定されるものではない。
【0066】
タッチセンサの透明基板10は、所定程度以上の強度を有する材質であって、透過率が85%以上で、ディスプレイ部50の映像が出力できるものであれば特に限定されるものではないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルフォン(PES)、環状オレフィンポリマー(COP)、トリアセチルセルロース(Triacetylcellulose;TAC)フィルム、ポリビニルアルコール(Polyvinyl alcohol;PVA)フィルム、ポリイミド(Polyimide;PI)フィルム、ポリスチレン(Polystyrene;PS)、二軸延伸ポリスチレン(K樹脂含有biaxially oriented PS;BOPS)、ガラスまたは強化ガラスなどで形成されることが好ましい。また、透明基板10の一面には、電極パターン20が形成されることができる。したがって、透明基板10と電極パターン20との接着力を向上させるために、透明基板10の一面に高周波処理またはプライマー(primer)処理などを行って表面処理層を形成することができる。
【0067】
電極パターン20は透明基板10の一面に形成されることができる。上述したように、本発明の一実施例によるタッチセンサは、透明基板10の一面上に、互いに交差される第1電極パターン21と第2電極パターン22とがともに形成されることができる。ここで、電極パターンは、金属細線からなるメッシュパターンに形成されることが好ましい。このメッシュパターンの形状は、四角形、三角形、ダイヤモンド形などの多角形の形状を含み、特定形状に限定されるものではない。電極パターン20は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、チタン(Ti)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、またはこれらの合金からなる群から選択される少なくとも一つ以上を用いて、メッシュパターン(Mesh Pattern)に形成されることができる。
【0068】
電極パターン20は、乾式工程、湿式工程、またはダイレクト(direct)パターニング工程により形成されることができる。ここで、乾式工程はスパッタリング(Sputtering)、蒸着(Evaporation)などを含み、湿式工程はディップコーティング(Dip coating)、スピンコーティング(Spin coating)、ロールコーティング(Roll coating)、スプレーコーティング(Spray coating)などを含み、ダイレクトパターニング工程はスクリーン印刷法(Screen Printing)、グラビア印刷法(Gravure Printing)、インクジェット印刷法(Inkjet Printing)などを含む。
【0069】
また、フォトリソグラフィを用いて、基板上の電極パターン20上に感光性物質を塗布し、所望のパターンに形成されたマスクを用いて光を照射する。この際、光を受けた感光性物質部分を現像液で除去するか、または光を受けていない部分を現像液で除去するなど、所望のパターンを形成するための現像工程を行った後、感光性物質が特定パターンに形成されると、感光性物質をレジストとして残りの部分をエッチング液で除去する。次いで、感光性物質を除去することにより、所望のパターンの電極パターン20を製作することができる。
【0070】
また、様々な電極材料を用いて微細な線幅の電極パターン20を形成するために、リフトオフ(Lift−off)方式を用いることができる。
【0071】
リフトオフ方式は、上記の蒸着工程やフォトリソグラフィなどの工程に比べ、その過程が簡単であり、別のマスク製作が不要であるだけでなく、高価の露光装置を使用しないという利点を有する。本発明の一実施例によるタッチパネルの電極配線30や電極パターン20を形成する際にリフトオフ方式を用いる場合を簡単に説明する。
【0072】
先ず、印刷法などにより微細パターンを形成する場合、パターン線幅の精度を向上させるために、基板上に仕切り部材としてバンク(不図示)を形成する。すなわち、透明基板10上の所定領域において、所望のパターン以外の領域を区画するためにバンクを形成する。バンクの材料としては、フォトアクリル(Photo Acryl)、ポリイミド(Polyimide)、ポリビニルアルコール(Polyvinylalcohol)、ポリビニルクロリド(polyvinyl chloride)、ポリアクリルアミド(polyacryl amide)、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol)などが使用できる。このような材料の選択は、電極配線30や電極パターン20を構成する物質が溶解または損傷されることを防止するためのものであるため、電極パターン20の物質に応じて適切な材料が当業者により選択及び適用され得る。
【0073】
次に、バンクが形成された基板上に、電極パターン20として用いられる金属物質を塗布する。この際、スクリーン印刷、オフセット印刷、スピンコーティングなどの様々な方法が選択及び適用されることができる。
【0074】
最後に、リフトオフ段階を経て電極パターン20を形成することができる。この段階は、電極パターン20が形成されたバンク部分をリフトオフ(lift−off)する工程を行うことで、所望の電極パターン20を形成することができる。ここで、リフトオフ方式の一例として、バンクを構成する物質を溶解させる溶液を用いてバンクを除去することができる。この段階で、バンクの上部に形成された電極パターン20もともに除去されることができる。これにより、バンクを含んでいない電極パターン20のみが残ることになって、所望の電極パターン20が得られる。
【0075】
上記のようなメッシュパターンは、不透明な金属細線を用いて電極パターン20を形成するため、ユーザによってタッチセンサの電極パターン20が視認されやすいという問題点があった。したがって、メッシュパターンを含む電極パターン20を微細パターンに具現するとともに、電極パターン20の視認性を低減させる必要がある。また、金属性の細線を用いて電極パターン20を形成することにより、電位差、または正極−負極を連結する電極配線に連結されることにより腐食されやすいなど、耐久性の問題などが発生し得る。
【0076】
したがって、本発明は、この電極パターン20の材質をより効果的に組み合わせて複数の電極層20aを形成し、電極パターン20の腐食などを防止するための異種材質の金属を合金することにより、電極パターン20の伝導性を確保するだけでなく、電極パターン20の耐環境性及び視認性をより効果的に向上させることができるタッチセンサを提供する。
【0077】
上記の耐環境性及び視認性の向上のために、本発明の電極パターン20は、透明基板10上の積層方向に形成された少なくとも二つ以上の電極層20aを含むことができる。
【0078】
先ず、
図6から
図8に図示したように、電極パターン20は、透明基板10の一面から順に、基材層20a−1、導電層20a−2、及び表面層20a−3からなってもよく(
図6参照)、基材層20a−1及び導電層20a−2、または導電層20a−2及び表面層20a−3からなってもよい(
図7及び
図8参照)。このような層の積層数は、特に制限されるものではなく、同一または対応するかかる効果を向上させるための当業者の設計変更事項を含むことができる。但し、説明の便宜のために、基材層を第1電極層20a−1、導電層を第2電極層20a−2、表面層を第3電極層20a−3と定義して説明する。また、このような名称及び機能に各構成の権利範囲が制限されるものではない。
【0079】
透明基板10の一面に接触される第1電極層20a−1は、透明基板10との接着力を確保するとともに、電極パターン20の形成時に行われるエッチング工程時におけるエッチングレート(etching rate)を向上させて、微細電極パターン20をより容易に具現できるようにする。第3電極層20a−3は、電極パターン20の腐食による電気的信頼性の低下を防止するための耐腐食性材質、または最外層でのユーザによる視認性を向上させるための材質で形成されることが好ましい。
【0081】
本発明の実施例では、第1電極層20a−1及び第2電極層20a−2または第1電極層20a−1、第2電極層20a−2及び第3電極層20a−3の各材料を、上記表1に例示されたように、実施例1〜実施例12をそれぞれ適切に組み合わせて適用することができる。
【0082】
本発明の各電極層の材料としては、基本的に、基材層である第1電極層20a−1には、銅及びニッケルを含有する合金、ニッケル及びクロムを含有する合金、チタンまたはモリブデンを含有する合金を用いることができ、第2電極層20a−2には、銅、アルミニウムまたは銀を用いることができ、第3電極層20a−3には、銅及びニッケルを含有する合金、ニッケル及びクロムを含有する合金、チタンまたはモリブデンをそれぞれ選択して用いることができる。各実施例別に記載しているが、第1電極層20a−1、第2電極層20a−2、及び第3電極層20a−3の材料は、それぞれ独立して、第1電極層20a−1、第2電極層20a−2、及び第3電極層20a−3に用いられる材料を必要に応じて選択して、各電極層を2層または3層に組み合わせて形成してもよく、各実施例に提示された第1電極層20a−1、第2電極層20a−2、及び第3電極層20a−3の組み合わせに本発明が限定されるものではない。
【0083】
具体的に、第1電極層20a−1及び第3電極層20a−3は、銅とニッケルの合金で形成されることができる。ニッケルは、電気伝導性に優れた銅からなる電極パターン20を用いることにより発生する銅の視認性を低減させるために含有される。従来、銅からなる電極パターン20の視認性を低減させるために黒化処理などを行う場合、黒化処理される電極パターン20の上端面の最小面積を確保するために、電極パターン20の厚さを所定厚さ以上に維持しなければならない限界があった。しかし、ニッケルを含有する合金で第3電極層20a−3を形成して電極パターン20の露出部に積層することにより、電極パターン20の厚さが制限されることなく電極パターン20の視認性を低減させることができる。第1電極層20a−1及び第3電極層20a−3に含有されるニッケルの含量は10wt%〜90wt%、より好ましくは20wt%〜70wt%であることができる。
【0084】
また、第1電極層20a−1及び第3電極層20a−3は、ニッケル及びクロムを含有する合金で形成されることができる。この際、クロムは、5wt%〜70wt%、より好ましくは3wt%〜50wt%で含有されることができる。
【0085】
また、第1電極層20a−1及び第3電極層20a−3は、チタンまたはモリブデンを含有する合金で形成されることができる。
【0086】
また、第3電極層20a−3は、電極パターン20の耐腐食性を向上させるために、マンガン、鉄、またはケイ素をさらに含有することができる。この際、マンガン、鉄、またはケイ素は、最小限の範囲で含有されることが好ましく、0.1wt%〜1wt%で含有されることが好ましい。
【0087】
第2電極層20a−2は、銅、アルミニウム、またはその組み合わせで形成されることができ、電気伝導性を考慮して選択及び適用されることが好ましい。また、銅またはアルミニウムは、電気伝導性を考慮して98wt%〜100wt%で含有されることが好ましい。銀の場合は、80wt%〜97wt%で含有されることが好ましい。
【0088】
また、第2電極層20a−2は、銅とニッケルの合金で形成されることができる。この際、電気伝導性を考慮して、ニッケルが0.1wt%〜5wt%含有されるように合金されることが好ましい。その他にも、第2電極層20a−2の材質は、伝導性の金属であれば特に限定されるものではないが、第1電極層20a−1及び第3電極層20a−3と組み合わされた際の電極層20a間の接着力、電極層20a間の接触による化学的特性などを考慮して選択及び適用されることが好ましい。
【0089】
次に、電極パターン20は、上述の第1電極層20a−1、第2電極層20a−2、及び第3電極層20a−3の三つの層からなってもよいが、
図7及び
図8に図示したように、第1電極層20a−1及び第2電極層20a−2、または第2電極層20a−2及び第3電極層20a−3の二つの電極層20aからなってもよい。また、電極パターン20の電極層20aの積層構造において、透明基板10と電極パターン20との接触面に形成される第1電極層20a−1、及び最外層に形成される第3電極層20a−3の耐腐食性及び視認性の材質的な特性を満たすものであれば、必ずしも二つまたは三つの電極層20aに限定されるものではない。ただ、タッチセンサの薄型化の傾向に応じて、電極パターン20の厚さを適切に考慮して積層構造及び数を選択することが好ましい。
【0090】
次に、
図6を参照して、タッチセンサの電極パターンを構成する第1電極層20a−1、第2電極層20a−2、及び第3電極層20a−3の各積層方向の形成厚さについて説明する。
【0091】
第1電極層20a−1は、透明基板10と電極パターン20との接触面に形成されることができる。この際、透明基板10と電極パターン20との接触力を向上させるために、薄膜層に形成されることができる。一方、第3電極層20a−3は、耐腐食性の向上及び電極パターン20の視認性の低減のために形成されるものであって、積層方向の厚さが第1電極層20a−1より厚いように形成されることが好ましい。
【0092】
具体的に、電極パターン20が透明基板10の一面から順に積層された第1電極層20a−1及び第2電極層20a−2を含むように形成される場合、第1電極層20a−1の積層方向の厚さが第2電極層20a−2の積層方向の厚さより薄く形成されることが好ましい。このように相対的な薄く形成される基材層(第1電極層20a−1)により、電極パターンと透明基板との接着力がより向上され、電極パターンの信頼性が向上されることができる。
【0093】
第2電極層20a−2上に第3電極層20a−3がさらに形成される場合、第3電極層20a−3の積層方向の厚さが第2電極層20a−2の積層方向の厚さより薄く形成され、第3電極層20a−3の積層方向の厚さが第1電極層20a−1の積層方向の厚さよりは厚く形成されることが好ましい。
【0094】
より具体的に、透明基板上に基材層として形成される第1電極層20a−1の最小厚さは、第2電極層20a−2の接着力を維持するために0.01μmに形成され、導電層として形成される第2電極層20a−2の最小厚さは、電極パターンの電気的な信頼性を維持するために0.04μmに形成され、表面層として形成される第3電極層20a−3の最小厚さは、電極パターンの視認性及び腐食などを防止するために0.015μmに形成されることができる。
【0095】
したがって、第1電極層20a−1、第2電極層20a−2、及び第3電極層20a−3の各厚さの和は0.05μm〜2μmとなるように形成されることができる。
【0096】
上記のような関係下で、第1電極層20a−1は0.01μm〜1.945μmの厚さに形成されて、電極パターンの薄型化とともに、導電層である第2電極層20a−2の透明基板上における接着信頼性を確保することができる。第1電極層20a−1が上記の最小厚さ以下に形成される場合、接着力を失って導電層である第2電極層20a−2の接着信頼性を確保することができず、1.935μmを超過する厚さに形成される場合には、電極パターンの薄型化を阻害するだけでなく、導電層である第2電極層20a−2との接着力をむしろ低下させて、第1電極層20a−1の本来の機能ができなくなる。
【0097】
導電層として形成される第2電極層20a−2は、0.04μm〜1.975μmの厚さに形成されて、タッチセンサの電極パターンの電気的信頼性及び作動性能を確保することができる。第2電極層20a−2が0.04μm未満の厚さに形成される場合、導電層としての電気的信頼性を確保することができず、1.975μmを超過する厚さに形成される場合、基材層である第1電極層20a−1による接着力の確保を維持することができなくなる。
【0098】
表面層として形成される第3電極層20a−3は、0.015μm〜1.95μmの厚さに形成されて、電極パターンの視認性を低減させ、外部に露出された電極パターンの腐食を防止することができる。第3電極層20a−3が0.015μm未満の厚さに形成される場合、導電層である第2電極層20a−2の視認性を低減させるという表面層としての役割を効果的に遂行することができず、1.95μmを超過する厚さに形成される場合、電極パターンの薄型化を妨害するだけでなく、表面層の過度な厚さによって全体的な電極パターンの電気的信頼性が阻害されるという問題がある。
【0099】
したがって、前記第1電極層20a−1及び第2電極層20a−2、または第1電極層20a−1、第2電極層20a−2及び第3電極層20a−3の厚さを相対的に異なるようにし、それぞれの厚さを上述の範囲内で設計することにより、タッチセンサの作動信頼性を向上させるだけでなく、不透明な電極パターンの使用による視認性の低減及び露出された電極パターンの腐食をともに防止することができる利点がある。
【0100】
第1電極層20a−1、第2電極層20a−2、及び第3電極層20a−3の積層方向のそれぞれの厚さd1、d2、d3は、第1電極層20a−1の厚さd1が第3電極層20a−3の厚さd3より薄く形成され、第3電極層20a−3の厚さd3が第2電極層20a−2の厚さd2より薄く形成されることができる。
【0101】
ここで、第1電極層20a−1、第2電極層20a−2、及び第3電極層20a−3の特性及び材質は、上記で説明した三つの電極層20aの構成と同一であるため、その重複説明は省略する。
【0102】
図9は、本発明の一実施例によるタッチセンサの電極配線の構造を示した図面である。
【0103】
図9に図示したように、本発明の一実施例によるタッチセンサの電極配線30は、電極パターン20の電気的な連結のために電極パターン20に連結され、電極パターン20を構成する電極層20aに対応するように形成された複数の電極配線層30aを含むことができる。すなわち、タッチセンサの製造工程で、電極パターン20の製造工程と同一の方法でともに製作されることにより、電極パターン20の電極層20aと対応して同一の材質で形成される電極配線層30aを含むことができる。しかし、電極配線層30aの製造方法や材質は、特に限定されるものではなく、電極配線30の腐食や耐環境性のための複数の電極配線層30aを積層して別に形成してもよいということは勿論である。
【0104】
具体的に、電極配線30は、
図9に図示したように、第1電極配線層30a−1、第2電極配線層30a−2、及び第3電極配線層30a−3が積層されて形成されることができる。この際、電極配線30は、上述のタッチセンサの電極層20aと対応するように形成されるため、2層または3層以上の多様な積層構造の電極配線層30aからなることができるということは自明である。
【0105】
また、電極配線30の一端部には、フレキシブル印刷回路基板(不図示)などとの電気的な連結のための接続パッド30bがメッシュ状に形成されることができる。この際、接続パッド30bも、上述の電極配線30の電極配線層30aと同様に積層及び製造されることができる。
【0106】
以上、本発明を具体的な実施例に基づいて詳細に説明したが、これは本発明を具体的に説明するためのものであり、本発明はこれに限定されず、該当分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想内にての変形や改良が可能であることは明白であろう。
【0107】
本発明の単純な変形乃至変更はいずれも本発明の領域に属するものであり、本発明の具体的な保護範囲は添付の特許請求の範囲により明確になるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明は、タッチセンサに適用可能である。
【符号の説明】
【0109】
10 透明基板
10a ウィンドウ基板
10b 樹脂層
11 第1透明基板
12 第2透明基板
20 電極パターン
20a 電極層
20a−1 第1電極層
20a−2 第2電極層
20a−3 第3電極層
21 第1電極パターン(電極パターン)
22 第2電極パターン(電極パターン)
30 電極配線
30a 電極配線層
30a−1 第1電極配線層
30a−2 第2電極配線層
30a−3 第3電極配線層
30b 接続パッド
40 接着層
50 ディスプレイ部
I 絶縁パターン