【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、上記の目的は、導入部で引用した種類の方法によって達成され、その方法は、
a)少なくとも1つの容器を準備する工程と、
b)前記容器に少なくとも1つの電圧パルスを印加すると同時に、少なくとも1つのさらなる容器を準備する工程と、
c)電圧パルスが既に印加された前記容器と前記さらなる容器のそれぞれの位置を相互に交換する工程と、
d)前記さらなる容器に少なくとも1つの電圧パルスを印加すると同時に、少なくとも1つの電圧パルスが印加された前記容器を後処理にかけ、かつ、少なくとも1つの次の容器を準備する工程とを含む。
【0012】
少なくとも1つの容器を電気的処理にかけると同時に、少なくとも1つのさらなる容器を前処理又は後処理にかけることによって、総処理時間を大幅に短縮することができる。すなわち、容器が電気的処理にかけられている間、ロボットは既に処理された容器を取り外し、次に処理される容器を準備することができる。本発明に係る方法によれば、1周期毎の処理時間(TP)が待機時間及び作業時間によって短縮されるため、全体のスループットを大幅に増加させることができる。
【0013】
【表2】
【0014】
本発明によれば、BとV+Nのうちどちらの時間が長いかによって1周期毎の処理時間(TP)がB又はV+Nとなるように周期が互いに入れ子になっている。本発明に係る方法は、少なくとも2つの容器、特に3つを超える容器を備える場合に実行することができる。最も単純な場合では、本発明に係る方法を、例えば2つの位置を備えるターンテーブルによって実施することができる。
【0015】
本発明の文脈において、容器のそれぞれの位置を相互に交換することは、容器の位置がお互いに対して、又は本発明に係る方法を実行するデバイスの他の構成要素、例えば電圧パルスを送り出す装置に対して変更されること意味する。すなわち、容器がお互いに対して移動するか、及び/又は、容器に対して他の構成要素が移動するかのいずれかであり、後者の場合には容器を動かす必要がない。
【0016】
工程b)〜d)は複数回繰り返されるのが好ましく、処理すべき容器の全てに対して電圧パルス又は複数の電圧パルスが印加され次第、本方法が終了する。
【0017】
本発明に係る方法の有利な実施の形態においては、前記工程b)及びd)のそれぞれの間に前記容器に複数の電圧パルスが印加されるように構成される。これは、複数の反応空間、特に384個の反応空間を有する容器を処理しなければならない場合に特に必要となる。この場合、容器の処理にはより長い時間が必要となるため、次の容器の準備が並行して行われることが特に有利であり、そのため、非常に多くの試料を処理しなければならない用途であっても、処理時間を比較的短く抑えることができる。
【0018】
工程a)、b)及びd)の間の容器の準備には容器の供給が含まれるのが好ましく、及び/又は、工程d)の間の容器の後処理には容器の取り外しが含まれるのが好ましい。
【0019】
工程c)の間の容器の位置の交換は、例えば、容器が相互に交換されるように行うことができる。同時に又はあるいは、工程c)の間の容器の位置の交換は、電圧パルスを送り出す装置がそれぞれの位置に移動するように行うこともできる。ここで、位置の交換は、例えば回転動作によって行うことができる。特に、そのような状況では、容器の動作を合わせる、すなわち動作を同時に行わせることができる。あるいは、位置の交換を直線動作によって行うことができる。そのような状況では、容器の動作を合わせない、すなわち動作を少なくとも部分的に交互に行わせることができる。
【0020】
本発明に係る方法の特に有利な実施の形態においては、工程b)及びd)の間に少なくとも1つの接触装置によって容器の電極との接触が行われるように構成されている。接触装置は、それぞれの容器の上の接触平面とほぼ平行に、好ましくは水平に実質的に移動する。そのため、接触装置によって容器の電極を次から次に横断することができ、その場合、接触装置は容器の上を段階的に移動するのが好ましい。
【0021】
本発明に係る方法の特に有利な実施の形態においては、工程b)及びd)の間に少なくとも1つの接触素子が取り付けられた少なくとも1つの接触装置によって容器の電極との接触が行われるように構成されている。接触素子は、接触平面に対してほぼ直角に、好ましく垂直に実質的に移動して接触を行う。従って、接触装置は、例えば、容器の上を水平に移動し、接触手段が電極の方向に垂直に移動することにより、静止した状態の接触装置と電気接触が行われることになる。
【0022】
前記目的は、導入部で引用した種類のデバイスによってさらに達成される。そのデバイスには、少なくとも2つのレセプタクルが設けられ、一方の前記レセプタクルは、前記接触装置に又はその内部に位置し、前記レセプタクルの双方及び/又は前記接触装置は、移動し終えた後に他方の前記レセプタクルが前記接触装置に又はその内部に位置するように移動することが可能である。本発明によれば、容器を備えたレセプタクルを、それらの位置が交換され得るように接触装置に対して動かすことができる。これにより、例えば、電気接触が既に行われた容器、すなわち既に処理された容器を保持するレセプタクルを接触装置から遠ざけるのと同時に、電気接触がまだ行われていない容器、すなわち未処理の容器を保持するレセプタクルを接触装置の内部に移動させることが可能となる。レセプタクルの位置の交換は、処理時間の大部分の間で、容器との電気接触を行う、すなわち容器を処理すると同時に、少なくとも1つの他の容器を準備する及び/又は後処理するための非常に迅速な機能を表す。そのため、接触装置によって少なくとも1つの容器の電極と接触が行われている間に、少なくとも1つの他のレセプタクルは、一方の容器を取り外して、処理待ちの次の容器をレセプタクルに設置できるように自由にアクセスすることができる。従って、本発明に係るデバイスは、非常に迅速であり、かつ、高いスループット速度で多くの容器を処理することができる。
【0023】
前記レセプタクルを、例えば、可動プレート上に配置することができる。前記可動プレートは、回転動作が可能であるのが好ましく、例えば、ターンテーブルであり得る。あるいは、前記可動プレートは、直線動作が可能であってもよい。
【0024】
本発明に係るデバイスの特に有利な実施の形態においては、少なくとも1つのレセプタクルが接触装置の下に配置されるように構成されている。それにより、レセプタクルに配置された容器の電極との接触を上から行うことができる。あるいは、特に、容器との接触が下からしか行えないような状況では、レセプタクルを接触装置の上に配置することもできる。
【0025】
電圧パルスによって作業者が怪我をする危険性がないように、接触装置は筐体内に配置されているのが好ましい。ここでは、少なくとも1つのレセプタクルが筐体内に配置されているのが好ましく、また、少なくとも1つの他のレセプタクルが筐体の外に配置されているのが好ましい。それにより、他のレセプタクルは自由にアクセスできる状態のままとなる。レセプタクルが可動プレート上に配置されている場合、そのような状況では可動プレートの一部が筐体内に配置され、可動プレートの他の部分が筐体の外に配置されているべきである。
【0026】
本発明に係るデバイスの別の形式の実施の形態においては、接触装置がレセプタクルの間を行き来することができる。それにより、接触装置に対するレセプタクルの位置を、本発明の文脈において素早く相互に交換することができる。
【0027】
本発明は、少なくとも1つの電極がそれぞれに取り付けられた少なくとも2つの反応空間を備える少なくとも1つの容器と電気接触を行う方法にも関し、別々の前記反応空間の前記電極と接触が順次行われる。従って、本発明によれば、処理される反応空間の電極との電気接触が、同時にではなく順次に行われる。この有利な方法により、接触によって生じる容器への、また、レセプタクルや接触装置への機械負荷を有利な方法で大幅に低減することが可能となる。何故なら、1つの容器の電極のうちのごく僅かとしか接触が同時に行われないからである。接触すべき容器の電極全てとの接触が同時に行われると、容器にかかる全ての力の総和によって、機械負荷が実際に高くなってしまうことがある。電気接触を行うのに必要な接触手段の数が少ないと、失敗の危険性及び接触装置のコストが大幅に低減されるという利点もある。
【0028】
本発明に係る方法の有利な実施の形態においては、前記電極と電気接触を行う接触装置が、少なくとも1つの接触平面とほぼ平行に移動し、そして前記電極と電気接触を行うように構成されている。この有利な方法によれば、表面、すなわち容器の電極を素早く横断することが可能になると共に、例えば、容器の方向への可能な限り迅速で短い接触装置の動作又は接触装置の一部の動作によって電気接触を行うことが可能になる。
【0029】
本発明に係る方法のさらに有利な実施の形態においては、接触装置が容器の上を接触平面とほぼ平行に、好ましくは水平に実質的に移動するように構成されている。そして、接触装置の少なくとも一部が接触平面に対してほぼ直角に、好ましくは垂直に進む動作によって電気接触が行われるのが好ましい。
【0030】
本発明に係る方法の特に有利な実施の形態においては、電極との接触が行われる際の接触圧が制限されるように構成されている。これは、電気的に及び/又は接触点を削減することによって達成することができる。さらには、バネ式接触手段(sprung contact means)を用いることもできる。
【0031】
接触手段の許容誤差を一致させるために、バネ式接触手段、例えば、バネ式ヘッド(sprung head)を備えた接触ピンを用いる必要があり得る。しかし、接触すべき容器の電極全てと接触が行われる場合には、必要な接触手段の全てとそれらの個々のバネ力の総和によって、接触装置とは無関係に接触力が高くなってしまう。
【0032】
処理時間を最小限に留めるために、複数の電極との接触が同時に行われるのが好ましく、少なくとも2つの反応空間の電極との接触が同時に行われるのが特に好ましい。この場合には、特に非常に多くの電極との接触を同時に行わなければならない場合、例えば、ハイスループット法で96又は384ウェルプレートを使用する場合に、受端部(receiving unit)及び容器に対する機械負荷を低減すべきである。その上、必要な接触針の数が多いと、失敗の危険性の増加や微々たるものではない接触装置のコストにも影響を与える。これらの問題は、横移動可能(traversable)な接触装置によって、反応空間の個々のグループとの、すなわち容器の別々の電極との接触を順次に行うことにより、解消することができる。特に、1つ又は複数列の、好ましくは2列の反応空間の電極との接触を同時に行うことができ、また、反応空間の別々の列又は反応空間の列のグループとの接触を順次に行うことができる。従って、前記容器が、少なくとも1つの電極をそれぞれが備える複数の反応空間を有する場合、前記反応空間の個々のグループを決定し、同一グループの前記反応空間の前記電極との接触を同時に行い、異なるグループの前記反応空間の前記電極との接触を順次に行うことにより、前記デバイスに対する接触圧及び機械負荷を効果的に低減することができる。
【0033】
本発明はさらに、少なくとも1つの電極がそれぞれに取り付けられた少なくとも2つの反応空間を備える少なくとも1つの容器と電気接触を行うデバイスに関する。そのデバイスには、少なくとも1つの接触装置が設けられ、その接触装置は、前記電極との接触を行う接触手段を有する少なくとも1つの接触部を備える。前記接触部の数は、前記反応空間の数よりも少なく、1つの前記接触部は、少なくとも2つの前記反応空間の前記電極との接触を行う前記接触手段を有する。接触すべき容器の電極全てとの接触が行われる場合、電気接触を行うのに必要な接触手段の全ての接触力の総和によって、集合的に接触圧が非常に大きなものになることがある。従って、本発明によれば、接触部の数と共に接触手段の数も反応空間の数より小さいため、レセプタクル、接触装置、及び容器に対する機械負荷が低減される。接触手段の数が少ないと、失敗の危険性及び接触装置のコストが大幅に削減されるという利点もある。
【0034】
前記接触装置は、サポート型(a type of support)、特にブリッジ型(a type of bridge)及び/又はスライド型(a type of slide)に設計され、接触平面とほぼ平行に、好ましくは水平に移動することが実質的に可能であるのが好ましい。
【0035】
本発明の有利な実施の形態において、本発明に係るデバイスの前記接触装置の少なくとも一部は、前記接触平面に対してほぼ直角に、好ましくは垂直に移動することが実質的に可能であるように構成されている。前記接触装置のこの部分は、前記容器の前記電極との接触を行う前記接触部及び/又は前記接触手段を備えているのが好ましい。
【0036】
少なくとも2つの接触部が、少なくとも1つの共通の接触素子を備えるのが好ましい。これにより、少なくとも部分的に共通した電極及び/又は電気的に連結された電極を有する反応空間を備える容器と有利に接触を行うことができる。
【0037】
従って、接触装置は、好ましくは接触ピン又は接触針である接触手段を備えていてもよい。接触手段は、スプラング式に支持され得る。
【0038】
本発明の有利な実施の形態においては、接触装置に複数の接触部が少なくとも1列に配置されるようにも構成される。そのような状況では、少なくとも3列の接触手段が設けられる。そのため、少なくとも3列の接触手段を接触装置に配置できるように、接触部を接触装置に配置しなければならない。ここでは、接触手段をジグザグ状に配置することもできる。
【0039】
本発明のさらに有利な実施の形態においては、枠状で、好ましくは、接触平面に対してほぼ直角に、特に垂直に移動することが実質的に可能な取付装置の内側に接触装置が取り付けられるように構成されている。
【0040】
接触装置は、ガイド部材に支持されて、接触平面とほぼ平行に、好ましくは水平に移動することが実質的に可能である。
【0041】
本発明は、電極が取り付けられた少なくとも1つの容器と電気接触を行う方法にも関する。この方法においては、前記容器が冷却装置によって冷却され、前記容器が前記冷却装置にほぼ均一に押し付けられる。均一な圧力によって、前記電極及び/又は前記容器の表面からの熱を均一に、かつ、効果的に、そして素早く前記冷却装置に移すことが確実になる。
【0042】
前記容器が前記冷却装置に押し付けられる際の圧力は、少なくとも部分的に前記容器の縁部に対して加えられるのが好ましい。さらには、又はあるいは、前記容器が前記冷却装置に押し付けられる際の圧力は、例えば前記接触手段によって少なくとも部分的に前記容器の前記電極に対しても加えられる。ここで、前記容器は、前記容器と前記冷却装置との間に位置する空気の多くが押し退けられるように前記冷却装置に押し付けられるべきである。
【0043】
本発明に係る方法は、複数の反応空間、例えば384個の反応空間を有する容器の電気的処理に用いるのに特に適している。
【0044】
本発明は、電極が取り付けられた少なくとも1つの容器と電気接触を行うデバイスにも関し、そのデバイスは、少なくとも1つの前記容器を設置可能な少なくとも1つのレセプタクルを備え、前記レセプタクルに冷却装置が取り付けられている。
【0045】
ここで、前記冷却装置は、少なくとも1つのペルチェ素子を備えているのが好ましい。あるいは、又はさらには、前記冷却装置は、少なくとも1つの冷却体、及び/又は、冷蔵庫、及び/又は、少なくとも1つの換気装置も備え得る。
【0046】
本発明の有利な実施の形態においては、本発明に係るデバイスは、前記容器を前記レセプタクル及び/又は前記冷却装置に押し付ける少なくとも1つの加圧装置を備えることができる。前記加圧装置は、枠状に設計することができ、前記容器の縁部の少なくとも一部に設置することができる。
【0047】
本発明の特に有利な実施の形態においては、加圧装置が電気接触装置であるように構成されている。
【0048】
容器は、複数の反応空間、好ましくは96個又は384個の反応空間を備えることができる。