(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記判定部は、前記検知部により前記電子機器が前記天板上に載置されたことが最初に検知された時点における前記電子機器の位置から、前記所定時間よりも短い判定時間以内に前記電子機器の位置が変化した場合に、前記電子機器が前記天板に対して側方から載置されたと判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の非接触充電器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術に係る非接触充電器において充電台を車載する場合、スペース効率または設計的な都合から、必ずしも充電台の真上から電池内蔵機器が載せられる場所に配置できるとは限らない。例えば、インストルメントパネル内に充電台を埋設するような場合、インストルメントパネル内に配置される他の構成部品との関係で充電台の上に大きな空間が確保することができないため、電池内蔵機器を充電台に対して側方から滑らせるようにして載せる必要が生じる。このとき、電池内蔵機器が完全に奥の方まで押し込まれる以前に電池内蔵機器が充電台に載せられたことが検知されると、その時点で検知された位置に対して一次コイルの移動が行われる。その後、電池内蔵機器が奥まで押し込まれると、その位置に対して再度一次コイルの移動が行われる。このため、一次コイルの移動の回数が増え、移動機構のモータ音などの作動音による煩わしさを利用者に与えてしまうという問題が生じる。
また、1つの一次コイルを移動させるムービングコイル方式ではなく、複数の一次コイルを配置して電子機器に最も近い一次コイルを選択するアレーコイル方式が知られている。このアレーコイル方式では、モータ音による煩わしさは生じないものの、手前側の一次コイルで検知された電子機器の位置で充電を開始しようとした場合、電子機器の移動に伴ってフィードバック音などによる煩わしさが生じる虞がある。つまり、電子機器の位置が充電器の天板上で移動されているにもかかわらず充電を開始しようとした時点で電子機器から発せられる充電開始のフィードバック音などによる煩わしさを利用者に与えてしまうという問題が生じる。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、一次コイルが不必要に移動してしまうことを防止することが可能な非接触充電器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明は以下の態様を採用した。
(1)本発明の一態様に係る非接触充電器は、ケース(例えば、実施形態でのケース12a)に内蔵される一次コイル(例えば、実施形態での一次コイル33)と、前記ケースの上面を構成する天板(例えば、実施形態での天板12b)上に、二次コイル(例えば、実施形態での二次コイル21)を内蔵する電子機器(例えば、実施形態での電子機器11)が載置されたことを検知する検知部(例えば、実施形態での位置検出部31)と、前記検知部により前記電子機器が検知された場合に前記電子機器に対し前記一次コイルによる充電を開始させる制御部(例えば、実施形態での制御部35)と、を備える非接触充電器(例えば、実施形態での非接触充電器12)であって、前記電子機器が前記天板に対して側方から載置されたか否かを判定する判定部(例えば、実施形態での判定部32)を備え、前記制御部は、前記判定部により前記電子機器が前記天板に対して側方から載置されたと判定された場合に、前記充電の開始を所定時間待機させた後、前記充電を開始させる。
【0007】
(2)上記(1)に記載の非接触充電器では、前記判定部は、前記検知部により前記電子機器が前記天板上に載置されたことが最初に検知された時点における前記電子機器の位置から、前記所定時間よりも短い判定時間以内に前記電子機器の位置が変化した場合に、前記電子機器が前記天板に対して側方から載置されたと判定する。
【0008】
(3)上記(2)に記載の非接触充電器では、前記判定部は、前記電子機器の位置の変化の大きさを検出可能であるとともに、前記変化の大きさを所定の時間間隔で複数回検出し、前記制御部は、前記判定部により前記電子機器が前記天板に対して側方から載置されたと判定された後において、前記複数回の前記変化の大きさの検出結果が減少傾向となるまでの間の時間を前記所定時間として前記充電の開始を待機させる。
【0009】
(4)上記(2)に記載の非接触充電器では、前記判定部は、前記電子機器の位置を所定の時間間隔で複数回検出し、前記制御部は、前記判定部により前記電子機器が前記天板に対して側方から載置されたと判定された後において、前記複数回の前記電子機器の位置の検出結果が所定回数連続して略同一の位置で検出されるまでの間の時間を前記所定時間として前記充電の開始を待機させる。
【0010】
(5)上記(1)から(4)の何れか1つに記載の非接触充電器では、前記一次コイルは、前記天板の面に沿う二次元方向で移動可能な移動機構(例えば、実施形態でのコイル移動部34)を備え、前記制御部は、前記充電を開始する際に前記検知部により検知された前記二次コイルの位置に前記一次コイルを移動させるとともに、前記移動機構による前記一次コイルの移動を所定時間待機させることで前記充電の開始を待機させる。
【0011】
(6)上記(1)から(4)の何れか1つに記載の非接触充電器では、前記一次コイルは、前記天板の面に沿って複数配置されており、前記制御部は、前記充電を開始する際に前記検知部により検知された前記二次コイルの位置に最も近い位置に存在する前記一次コイルを選択するとともに、前記一次コイルの選択を所定時間待機させることで前記充電の開始を待機させる。
【0012】
(7)上記(1)から(6)の何れか1つに記載の非接触充電器では、前記ケースは、車両室内の所定箇所に配置されるとともに、前記天板から所定間隔を隔てた上方の位置に前記車両室内に配置される他の構成部品(例えば、実施形態での他の構成部品3)が位置している。
【0013】
(8)上記(7)に記載の非接触充電器では、前記天板から所定間隔を隔てた上方に位置する前記他の構成部品は、前記天板の上面視において前記天板の全体を覆っている。
【0014】
(9)上記(1)から(8)の何れか1つに記載の非接触充電器では、前記ケースは、車両室内の所定箇所に配置されており、前記天板は、略矩形の形状をなしており、前記天板の外周近傍には、前記略矩形の少なくとも一辺に沿って前記車両室内に配置される他の構成部品による壁面(例えば、実施形態での壁面4)が形成されている。
【0015】
(10)上記(9)に記載の非接触充電器では、前記略矩形のうち所定の一辺のみに前記車両室内に対して開口する開口部(例えば、実施形態での開口部5)が形成される前記壁面(例えば、実施形態での後方側壁面6)を備え、前記開口部が形成される前記壁面は、前記車両室内側から前記天板に対して前記電子機器を案内する傾斜面(例えば、実施形態での傾斜面7)を有する。
【発明の効果】
【0016】
上記(1)に記載の態様に係る非接触充電器によれば、非接触充電器の天板に対して電子機器が側方から載置されたことが検知された場合には、その後さらに電子機器の天板上の位置が変化する可能性が高いと推定する。この場合、所定時間の間だけ充電の開始を待機させることで、電子機器の位置が確定していない状態で充電が開始されることを防止することができる。これにより電子機器側での不必要なフィードバック音の発生等による煩わしさを低減することができる。
【0017】
さらに、上記(2)の場合、検知部が検知する電子機器の位置の変化を用いて、追加的な構成を設ける必要無しに、適切に側方からの載置を判定することができる。
【0018】
さらに、上記(3)の場合、天板上における電子機器の移動が完了した可能性が高いと推定される適切なタイミングで充電を開始することができる。
【0019】
さらに、上記(4)の場合、天板上における電子機器の移動が完了した可能性が高いと推定される適切なタイミングで一次コイルの移動を開始することができる。
【0020】
さらに、上記(5)の場合、例えば、最初に電子機器の載置が検知された位置に向けて一次コイルを移動した場合に二次コイルがその位置に存在せず、改めて二次コイルの位置を特定しなおしてから再度一次コイルをその位置に移動させる、という煩雑な動作が実行されることを抑制することができる。
【0021】
さらに、上記(6)の場合、例えば、電子機器の位置が充電器の天板上で移動されているにもかかわらず最初に電子機器の載置が検知された位置で充電を開始しようとして電子機器から充電開始のフィードバック音などが発せられることを抑制することができる。
【0022】
さらに、上記(7)の場合、非接触充電器を、例えば、車両のインストルメントパネル内またはセンターコンソール内などに搭載する場合に、他の構成部品が天板の上方に位置していても、一次コイルが不必要に動作してしまうことを防止することができる。
【0023】
さらに、上記(8)の場合、非接触充電器が、車両の内装表面から内部に埋設される他の構成部品に対して外方に突出しないように配置することで、車両室内のスペースを広くとることが可能であるとともに、天板への落下物等から非接触充電器を保護することができる。このように電子機器が天板の側方から載置され易いレイアウトであっても、一次コイルが不必要に動作することを防止することができる。
【0024】
さらに、上記(9)の場合、天板周囲の一部に壁面が存在する場合には、そこに押し当てるようにして電子機器が載置される可能性が高いと推定される。このため、そのような場所に非接触充電器が配置される場合でも、一次コイルが不必要に動作してしまうことを防止することができる。
【0025】
さらに、上記(10)の場合、天板上方に他の構成部品が存在している場合であっても、電子機器をスムーズに天板上に載置することができ、利便性を向上させることができる。さらに、電子機器が天板上で移動し易いレイアウトであっても、一次コイルが不必要に動作することを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態に係る非接触充電器について添付図面を参照しながら説明する。
【0028】
実施形態による非接触充電システム10は、
図1に示すように、電子機器11と、非接触充電器12と、を備えている。電子機器11は、例えば、車両1の乗員が所持する情報端末などの携帯機器である。非接触充電器12は、
図1〜
図3に示すように、バッテリ13などを備える車両1に搭載されている。
【0029】
電子機器11は、二次コイル21と、受電制御部22と、を備えている。
二次コイル21は、
図3に示すように、電子機器11の筐体11aに内蔵されている。二次コイル21は、後述する非接触充電器12の一次コイル33が発生する磁束による電磁誘導によって起電力を発生する。
受電制御部22は、CPU、ROM、およびRAMを備えている。受電制御部22は、非接触充電器12の一次コイル33から二次コイル21への送電時に、二次コイル21の負荷を変動させることによって反射インピーダンスを変化させる。受電制御部22は、電子機器11の反射インピーダンスの変動に伴って非接触充電器12の一次コイル33に発生する反射電力の変動を用いて、各種の情報の信号を非接触充電器12に送信する。受電制御部22は、各種の情報の信号として、電子機器11に固有の識別情報、受電電力、充電率、充電停止要求、および異常情報などの信号を非接触充電器12に送信する。
【0030】
非接触充電器12は、
図2および
図3に示すように、車両1の室内(車両室内)1a、例えばインスツルメントパネルまたはダッシュボードなどの内部に形成されるトレイ2内に配置されている。非接触充電器12は、後述する天板12bをトレイ2の表面上に露出させている。トレイ2は、車両1の他の構成部品3による壁面4によって周囲(例えば、車両前方側、車両右方側、車両左方側、車両上方側、および車両後方側など)を取り囲まれている。
壁面4のうち車両室内1aに対して開口する開口部5が形成される後方側壁面6は、車両後方側の開口端から車両前方側のトレイ2に向かうことに伴い、下方Dに傾斜する傾斜面7を有している。傾斜面7は、車両室内1a側から車両1の前方Fに向かってトレイ2内に電子機器11が挿入される際に、天板12bに対して電子機器11を案内する。
壁面4のうちトレイ2から所定間隔を隔てた上方Uに配置される上方側壁面8は、トレイ2の上面視において、後述する非接触充電器12の天板12bの全体を覆う。
【0031】
非接触充電器12の外形は、
図3および
図4に示すように、矩形箱型に形成されている。非接触充電器12は、
図1および
図4に示すように、位置検出部31と、判定部32と、一次コイル33と、コイル移動部34と、制御部35と、を備えている。一次コイル33およびコイル移動部34は、例えば、ケース12aに内蔵されている。位置検出部31、判定部32、および制御部35は、例えば、電子機器11が載置されるケース12aの上面を構成する蓋状の天板12bに備えられている。
【0032】
位置検出部31は、網目状に配置された検出コイルによって形成されるマトリクスコイル(図示略)を備えている。位置検出部31は、検出コイルと電子機器11の二次コイル21との通信によって、天板12b上に二次コイル21を内蔵する電子機器11が載置されたことを検知する。位置検出部31は、マトリクスコイル上の二次元座標系(例えば、XY直交座標系など)における二次コイル21の位置(つまり、電子機器11の位置)を検出する。
【0033】
判定部32は、位置検出部31によって検出される二次コイル21の位置の変化に基づいて、電子機器11が天板12bに対して側方から載置されたか否かを判定する。判定部32は、位置検出部31により電子機器11が天板12b上に載置されたことが最初に検知された時点における電子機器11の位置から、所定の判定時間以内に電子機器11の位置が所定範囲を超えて変化したか否かを判定する。判定部32は、所定の判定時間以内に電子機器11の位置が所定範囲を超えて変化した場合に、電子機器11が天板12bに対して側方から載置されたと判定する。つまり、判定部32は、天板12b上における電子機器11の位置の変化が検出可能な程度に電子機器11と位置検出部31とが接近した状態で電子機器11が側方から載置されたことを検出する。
所定の判定時間は、例えば、位置検出部31が繰り返し検出を行なう際の所定回数(例えば、数回など)の検出に要する時間などである。判定部32は、電子機器11の位置、または電子機器11の位置の変化の大きさ(例えば、電子機器11の移動速度または移動加速度など)を、所定の時間間隔で複数回検出する。
【0034】
一次コイル33は、バッテリ13の電力によって通電されることによって二次コイル21に鎖交する磁束を発生する。
コイル移動部34は、一次コイル33を移動させるモータおよび駆動機構などを備えている。
【0035】
制御部35は、CPU、ROM、およびRAMを備えている。制御部35は、非接触充電器12の動作を統括的に制御する。制御部35は、位置検出部31によって検出される二次コイル21の位置に基づき、コイル移動部34を駆動制御して一次コイル33を移動させることによって、一次コイル33を二次コイル21に向かい合わせるように位置決めする。
制御部35は、判定部32により電子機器11が天板12bに対して側方から載置されたと判定された場合に、コイル移動部34による一次コイル33の移動を所定時間待機させた後、一次コイル33を二次コイル21の位置に向かって移動させる。所定時間は、判定部32の所定の判定時間よりも長い時間である。
制御部35は、一次コイル33の移動を所定時間待機させた後、判定部32による複数回に亘る電子機器11の位置変化の大きさの検出結果が減少傾向となったときに、一次コイル33を二次コイル21の位置に向かって移動させる。
【0036】
制御部35は、バッテリ13から出力される直流電力を交流電力に変換して一次コイル33に供給する。制御部35は、一次コイル33に対する通電によって二次コイル21を鎖交する磁束を発生させ、この磁束による電磁誘導によって二次コイル21に起電力を発生させる。制御部35は、一次コイル33から二次コイル21への送電時に、一次コイル33に発生する反射電力の変動を用いて二次コイル21から送信される各種の情報の信号を受信する。
【0037】
制御部35は、充電開始時などの初期状態において、実質的な充電時とほぼ同程度に一次コイル33に通電を行ない、二次コイル21から送信される各種の情報の信号を受信する。制御部35は、二次コイル21から受信した受電電力の情報と、一次コイル33の出力電力とに基づき、二次コイル21による受信強度が所定値以上であるか否かを判定することによって、非接触充電器12に電子機器11が載置されているか否かを検出する。
制御部35は、非接触充電器12に電子機器11が載置されていることを検出すると、さらに、二次コイル21から受信した識別情報に基づく認証、および電子機器11の要求電力の把握などの各種の処理を実行した後に、実質的な充電を開始する。
【0038】
実施形態による非接触充電器12は上記構成を備えており、次に、この非接触充電器12の動作の一例について、
図5、
図6、および
図7を参照して説明する。
以下において、
図5に示すように、利用者が電子機器11をトレイ2内の非接触充電器12に載置する際における非接触充電器12の動作について、
図6および
図7のフローチャートを参照して説明する。
【0039】
先ず、制御部35は、位置検出部31によって二次コイル21の位置(つまり、電子機器11の位置)が検出されたか否かを判定する(ステップS01)。
この判定結果が「NO」の場合、制御部35は、ステップS01の処理を繰り返す。
一方、この判定結果が「YES」の場合、制御部35は、処理をステップS02に進める。
次に、判定部32は、前回の処理で記憶した二次コイル21の位置の前回値と、今回の処理で検出した二次コイル21の位置の今回値とを用いて、所定の判定時間以内に二次コイル21の位置が所定範囲を超えて変化したか否かを判定する(ステップS02)。
ステップS02の判定結果が「NO」の場合、制御部35は、処理を後述するステップS05に進める。
一方、ステップS02の判定結果が「YES」の場合、制御部35は、処理をステップS03に進める。
【0040】
次に、制御部35は、コイル移動部34による一次コイル33の移動および充電開始を待機させる(ステップS03)。
次に、制御部35は、後述する所定の確定条件判定の処理を実行する(ステップS04)。
次に、制御部35は、コイル移動部34により一次コイル33を二次コイル21の位置に移動させ、一次コイル33から二次コイル21への充電を開始する(ステップS05)。そして、制御部35は、一連の処理を終了する。
【0041】
以下に、上述したステップ04における所定の確定条件判定の処理について説明する。
制御部35は、位置検出部31によって二次コイル21の位置を検出する(ステップS11)。
次に、判定部32は、前回の処理で記憶した二次コイル21の位置の前回値と、今回の処理で検出した二次コイル21の位置の今回値とを用いて、二次コイル21の位置の変化の大きさを算出する(ステップS12)。
次に、判定部32は、算出した二次コイル21の位置変化の大きさを記憶する(ステップS13)。
【0042】
次に、判定部32は、二次コイル21の位置変化の大きさが減少傾向に変化しているか否かを判定する(ステップS14)。
この判定結果が「NO」の場合、制御部35は、処理を上述したステップS11に戻す。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、制御部35は、天板12b上における電子機器11の移動が完了した可能性が高いと判断して、処理をリターンに進める。
【0043】
上述したように、実施形態による非接触充電器12によれば、非接触充電器12の天板12bに対して電子機器11が側方から載置されたことが検知された場合には、その後さらに電子機器11の天板12b上の位置が変化する可能性が高いと推定する。この場合、二次コイル21の位置変化の大きさが減少傾向に変化するまでの間の時間である所定時間に亘って一次コイル33の移動を待機させることで、一次コイル33が不必要に移動してしまうことを防止することができる。例えば、最初に電子機器11の載置が検知された位置に向けて一次コイル33を移動した場合に二次コイル21がその位置に存在せず、改めて二次コイル21の位置を特定しなおしてから再度一次コイル33をその位置に移動させる、という煩雑な動作が実行されることを抑制することができる。非接触充電器12の天板12bに対して電子機器11が側方から載置された場合に所定時間の間だけ充電の開始を待機させることで、電子機器11の位置が確定していない状態で充電が開始されることを防止することができる。これにより電子機器11側での不必要なフィードバック音の発生等による煩わしさを低減することができる。
【0044】
さらに、位置検出部31が検知する電子機器11の位置の変化を用いて、追加的な構成を設ける必要無しに、適切に側方からの載置を判定することができる。
さらに、天板12b上における電子機器11の移動が完了した可能性が高いと推定される適切なタイミングで一次コイル33の移動および充電を開始することができる。
【0045】
さらに、非接触充電器12を、例えば、車両1のインストルメントパネル内またはセンターコンソール内などに搭載する場合に、他の構成部品3が天板12bの上方に位置していても、一次コイル33が不必要に動作してしまうことを防止することができる。
さらに、非接触充電器12が、車両1の内装表面から内部に埋設される他の構成部品3に対して外方に突出しないように配置することで、車両室内1aのスペースを広くとることが可能であるとともに、天板12bへの落下物等から非接触充電器12を保護することができる。このように電子機器11が天板12bの側方から載置され易いレイアウトであっても、一次コイル33が不必要に動作することを防止することができる。
【0046】
さらに、天板12b周囲の一部に壁面4が存在する場合には、そこに押し当てるようにして電子機器11が載置される可能性が高いと推定される。このため、そのような場所に非接触充電器12が配置される場合でも、一次コイル33が不必要に動作してしまうことを防止することができる。
さらに、トレイ2の周辺の壁面4のうち車両室内1aに対して開口する開口部5が形成される後方側壁面6は傾斜面7を有するので、天板12b上方に他の構成部品3が存在している場合であっても、電子機器11をスムーズに天板12b上に載置することができ、利便性を向上させることができる。さらに、傾斜面7に起因して電子機器11が天板12b上で移動し易いレイアウトであっても、一次コイル33が不必要に動作することを防止することができる。
【0047】
以下、上述した実施形態の第1変形例について説明する。
上述した実施形態において、制御部35は、一次コイル33の移動および充電開始を、判定部32による電子機器11の位置変化の大きさの検出結果が減少傾向に変化するまでの間の時間である所定時間だけ待機させるとしたが、これに限定されない。
制御部35は、一次コイル33の移動および充電開始を、判定部32による複数回に亘る電子機器11の位置の検出結果が所定回数連続して略同一の位置で検出されるまでの間の時間である所定時間だけ待機させてもよい。
以下において、
図5に示すように、利用者が電子機器11をトレイ2内の非接触充電器12に載置する際における非接触充電器12の動作について、
図6および
図8のフローチャートを参照して説明する。
【0048】
以下に、上述したステップ04における所定の確定条件判定の処理について説明する。
先ず、制御部35は、位置検出部31によって二次コイル21の位置を検出する(ステップS21)。
次に、判定部32は、位置検出部31によって検出された二次コイル21の位置(検出位置)が、複数の異なる位置を略同一位置と判定するための所定範囲内に存在するか否かを判定する(ステップS22)。
この判定結果が「NO」の場合、判定部32は、処理をステップS23に進める。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、判定部32は、処理をステップS24に進める。
そして、制御部35は、パラメータNをゼロに初期化する(ステップS23)。そして、制御部35は、処理を上述したステップS21に戻す。
また、制御部35は、パラメータNに「1」を加算する(ステップS24)。そして、制御部35は、処理をステップS25に進める。
【0049】
次に、判定部32は、パラメータNが2以上の所定値n以上であるか否かを判定する(ステップS25)。
この判定結果が「NO」の場合、制御部35は、処理を上述したステップS21に戻す。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、制御部35は、天板12b上における電子機器11の移動が完了した可能性が高いと判断して、処理をリターンに進める。
【0050】
第1変形例によれば、電子機器11の位置の検出結果が所定回数連続して略同一の位置で検出されるまでの間の時間である所定時間に亘って一次コイル33の移動を待機させることで、一次コイル33が不必要に移動してしまうことを防止することができる。
【0051】
以下、上述した実施形態の第2変形例について説明する。
上述した実施形態において、制御部35は、一次コイル33の移動および充電開始を、判定部32による電子機器11の位置変化の大きさの検出結果が減少傾向に変化するまでの間の時間である所定時間だけ待機させるとしたが、これに限定されない。
制御部35は、一次コイル33の移動および充電開始を、一律の所定時間だけ待機させてもよい。
以下において、
図5に示すように、利用者が電子機器11をトレイ2内の非接触充電器12に載置する際における非接触充電器12の動作について、
図6および
図9のフローチャートを参照して説明する。
【0052】
以下に、上述したステップ04における所定の確定条件判定の処理について説明する。
先ず、制御部35は、タイマーによる計時を開始する(ステップS31)。
次に、制御部35は、タイマーによる計時開始、つまり一次コイル33の移動待機を開始してから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS32)。
この判定結果が「NO」の場合、制御部35は、ステップS32の判定処理を繰り返し実行する。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、制御部35は、処理をリターンに進める。
【0053】
以下、上述した実施形態の第3変形例について説明する。
上述した実施形態において、制御部35は、ステップS02の処理において、所定の判定時間以内に二次コイル21の位置が所定範囲を超えて変化したか否かを判定するとしたが、これに限定されない。
制御部35は、上述したステップS02の処理において、所定の判定時間以内に二次コイル21の位置変化の大きさが減少傾向に変化しているか否かを判定してもよい。
【0054】
以下、上述した実施形態の第4変形例について説明する。
上述した実施形態において、非接触充電器12は、一次コイル33を可動コイルとする、いわゆるムービングコイル型であるとしたが、これに限定されない。
非接触充電器12は、ムービングコイル型の他に、
図10に示すように、複数の一次コイル33を備える多コイル型(アレーコイル型)であってもよい。アレーコイル型の非接触充電器12では、コイル移動部34が省略されている。
非接触充電器12は、ケース12aに内蔵される複数の一次コイル33を備えている。複数の一次コイル33は、天板12bの面に沿って配置されている。
非接触充電器12の制御部35は、充電を開始する際に位置検出部31により検出された二次コイル21の位置に最も近い位置に存在する一次コイル33を選択する。制御部35は、判定部32により電子機器11が天板12bに対して側方から載置されたと判定された場合に、一次コイル33の選択を所定時間待機させることで充電の開始を待機させる。
【0055】
第4変形例によれば、電子機器11の位置が非接触充電器12の天板12b上で移動されているにもかかわらず充電を開始することを防止し、充電を開始しようとした時点で電子機器11から発せられる充電開始のフィードバック音などによる煩わしさを利用者に与えてしまうことを抑制することができる。
【0056】
以下、上述した実施形態の第5変形例について説明する。
上述した実施形態の第4変形例において、非接触充電器12の位置検出部31は、上述した実施形態と同様に、
図11に示すように、網目状に配置された検出コイルによって形成されるマトリクスコイル12cを備えるとしたが、これに限定されない。つまり、上述した実施形態の第4変形例では、位置検出部31は、マトリクスコイル12cと電子機器11の二次コイル21との通信によって、天板12b上に二次コイル21を内蔵する電子機器11が載置されたことを検知する。位置検出部31は、マトリクスコイル12c上の二次元座標系における二次コイル21の位置(つまり、電子機器11の位置)を検出する。
これに対して、上述した実施形態の第5変形例では、位置検出部31においてマトリクスコイル12cは省略されてもよい。
第5変形例の位置検出部31は、複数の一次コイル33の各々と電子機器11の二次コイル21との通信によって、天板12b上に二次コイル21を内蔵する電子機器11が載置されたことを検知する。位置検出部31は、天板12bの面に沿って配置される複数の一次コイル33の二次元座標系における二次コイル21の位置(つまり、電子機器11の位置)を検出する。
【0057】
二次コイル21は、電子機器11の筐体11aに内蔵されているもののほか、電子機器11の筐体11aに追加的に装着可能な部材(保護ケース等)に内蔵されるものも、電子機器11に内蔵された二次コイル21として理解されるべきである。
また、本願発明は、壁面4のうち最も手前側の面となる部分に傾斜面7を形成したが、傾斜面7を備えておらず、天板12bに対して真横から(天板12bの表面に平行な方向から)電子機器11を載置可能な構造の場合にも好適であることはいうまでもない。
【0058】
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。